JP2009149805A - インクジェット記録用インクセット - Google Patents
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Abstract
【解決手段】シアン顔料とベンジルメタクリレート由来の構成単位を有するポリマーとを含有する第1の水系インクと、イエロー顔料又はマゼンタ顔料とベンジルアクリレート由来の構成単位を有するポリマーとを含有する第2の水系インクとを含むインクジェット記録用インクセット、該インクセットを用いたインクジェット記録方法、及び該インクジェット記録方法によりインクジェット写真用紙又はコート紙上に印字する、多次色の印字物の製造方法である。
【選択図】なし
Description
その中でも、印刷物の耐候性や耐水性の観点から、顔料系インクを用いるものが主流となってきているが、着色剤として顔料を用いた場合、印刷物の観測角度によって、反射光が顔料本来の色とは異なる色に観察されるブロンズ現象が生じることがある。特に、シアンインクに含まれるフタロシアニン系顔料は、反射光が赤色に着色し、画質を著しく悪化させることがある。なお、ブロンズ現象に関しては、「色彩科学ハンドブック」(東京大学出版会)第777頁に詳細な解説がなされている。
さらに、保存安定性等を改善するために、例えば、特許文献3には、水、および少なくともポリマーの構成成分としてベンジルアクリレートと、(メタ)アクリル酸とが重合され、50〜120mgKOH/g以下の酸価を有する、重量平均分子量20000〜120000のポリマーを用いて分散された顔料を含んでなるインクジェット記録用インクが開示されている。しかし、このインクは、ブロンズ現象の改善について明らかにされていない。
即ち、本発明は、次の(1)〜(3)を提供する。
(1)シアン顔料とベンジルメタクリレート由来の構成単位を有するポリマーとを含有する第1の水系インクと、イエロー顔料又はマゼンタ顔料とベンジルアクリレート由来の構成単位を有するポリマーとを含有する第2の水系インクとを含む、インクジェット記録用インクセット。
(2)上記インクセットを用いた記録方法であって、前記第1の水系インクを印字した上に、前記第2の水系インクを重ねて印字する、インクジェット記録方法。
(3)上記インクジェット記録方法によりインクジェット写真用紙又はコート紙上に印字する、多次色の印字物の製造方法。
第1の水系インクは、シアン顔料とベンジルメタクリレート由来の構成単位を有するポリマーとを含有する。シアン顔料は、耐擦過性、印字濃度、保存安定性の観点から、ポリマー中に含有させることが好ましい。
シアン顔料としては、ブロンズ現象の低減効果を得る観点から、フタロシアニン顔料がより好ましい。フタロシアニン顔料としては、無金属フタロシアン顔料;銅、アルミニウム、ニッケル、コバルト、鉄、チタン、スズ等の金属フタロシアニン顔料、及びそれらの無置換又は塩素、臭素等のハロゲン基置換フタロシアニン顔料等が挙げられる。より具体的には、銅フタロシアニン顔料が好ましく、特にC.I.ピグメントブルー15、同15:1、同15:2、同15:3、同15:4、同16及び同60からなる群から選ばれる1種以上が好ましい。これらの中でも、光、熱、溶剤に対する耐久性の観点から、C.I.ピグメントブルー15:3、同15:4が特に好ましい。上記の顔料は、単独で又は2種以上を任意の割合で混合して用いることができる。
このような現象は、人間の視覚特性によるものである。つまり、人間の目の分光感度を示す等色関数のうち、赤色の波長域に大きな感度を持つ等色関数のピークが600〜650nm付近、緑色のそれが550nm付近にあることから、反射スペクトルの両者の上記比率が大きくなると、人間の目は赤色に認識することとなる。両者の上記反射スペクトル強度比は、ブロンズ現象を低減する観点から、好ましくは4以下、更に好ましくは1〜4、より好ましくは1〜3.5、最も好ましくは1〜3に調整することが好ましい。
シアン顔料と後述するポリマーの合計量に対するシアン顔料の重量比〔シアン顔料/(シアン顔料+ポリマー)〕は、顔料の分散安定性、印字濃度、ブロンズ現象を低減する観点から、0.2〜0.8が好ましく、0.3〜0.7が更に好ましい。
第1の水系インクに用いられるポリマーは、ブロンズ現象を低減する観点から、ベンジルメタクリレート由来の構成単位を有する。
ポリマーは、シアン顔料を含有しやすくするために、水不溶性ポリマーであることが好ましい。ここで、水不溶性ポリマーとは、ポリマーを105℃で2時間乾燥させた後、25℃の水100gに溶解させたときに、その溶解量が10g以下、好ましくは5g以下、更に好ましくは1g以下であるポリマーをいう。溶解量は、ポリマーが塩生成基を有する場合は、その種類に応じて、ポリマーの塩生成基を酢酸又は水酸化ナトリウムで100%中和した時の溶解量である。
ポリマーとしては、(a)塩生成基含有モノマー(以下「(a)成分」ともいう)と、(b)ベンジルメタクリレート(以下「(b)成分」ともいう)とを含むモノマー混合物(以下「モノマー混合物」ということがある)を共重合させてなるポリマーが好ましい。更に(c)マクロマー(以下「(c)成分」ともいう)を共重合させることが好ましい。このポリマーは、(a)成分由来の構成単位と、(b)成分由来の構成単位とを有し、更に(c)成分由来の構成単位を有する。
塩生成基含有モノマーとしては、カチオン性モノマー、アニオン性モノマー等が挙げられる。その例として、特開平9−286939号公報段落〔0022〕等に記載されているもの等が挙げられる。
カチオン性モノマーの代表例としては、不飽和アミン含有モノマー、不飽和アンモニウム塩含有モノマー等が挙げられる。これらの中では、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N−(N',N'−ジメチルアミノプロピル)(メタ)アクリルアミド及びビニルピロリドンが好ましい。
不飽和カルボン酸モノマーとしては、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸、シトラコン酸、2−メタクリロイルオキシメチルコハク酸等が挙げられる。不飽和スルホン酸モノマーとしては、スチレンスルホン酸、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、3−スルホプロピル(メタ)アクリレート、ビス−(3−スルホプロピル)−イタコン酸エステル等が挙げられる。不飽和リン酸モノマーとしては、ビニルホスホン酸、ビニルホスフェート、ビス(メタクリロキシエチル)ホスフェート、ジフェニル−2−アクリロイルオキシエチルホスフェート、ジフェニル−2−メタクリロイルオキシエチルホスフェート、ジブチル−2−アクリロイルオキシエチルホスフェート等が挙げられる。
上記アニオン性モノマーの中では、分散安定性、吐出安定性の観点から、不飽和カルボン酸モノマーが好ましく、アクリル酸及び/又はメタクリル酸がより好ましい。
(c)マクロマーは、ポリマーがシアン顔料を含有した場合に、ポリマー粒子の分散安定性を高める観点から用いられる。マクロマーとしては、数平均分子量500〜100,000、好ましくは1,000〜10,000の重合可能な不飽和基を有するモノマーであるマクロマーが挙げられる。なお、(c)マクロマーの数平均分子量は、溶媒として1mmol/Lのドデシルジメチルアミンを含有するクロロホルムを用いたゲルクロマトグラフィー法により、標準物質としてポリスチレンを用いて測定される。
(c)マクロマーの中では、ポリマー粒子の分散安定性等の観点から、片末端に重合性官能基を有する、スチレン系マクロマーが好ましい。
スチレン系マクロマーとしては、スチレン系モノマー単独重合体、又はスチレン系モノマーと他のモノマーとの共重合体が挙げられる。スチレン系モノマーとしては、スチレン、2−メチルスチレン、ビニルトルエン、エチルビニルベンゼン、ビニルナフタレン、クロロスチレン等が挙げられる。
また、それらのマクロマーの片末端に存在する重合性官能基としては、アクリロイルオキシ基又はメタクリロイルオキシ基が好ましく、共重合される他のモノマーとしては、アクリロニトリル等が好ましい。
スチレン系マクロマー中におけるスチレン系モノマーの含有量は、顔料との親和性を高める観点から、好ましくは50重量%以上、より好ましくは70重量%以上である。
CH2=C(CH3)-COOC3H6-〔Si(CH3)2O〕t-Si(CH3)3 (1)
(式中、tは8〜40の数を示す。)。
(c)成分として商業的に入手しうるスチレン系マクロマーとしては、例えば、東亜合成株式会社の商品名、AS−6(S)、AN−6(S)、HS−6(S)等が挙げられる。
アルキル(メタ)アクリレートとしては、炭素数1〜22、好ましくは炭素数6〜18のアルキル基を有するものが好ましく、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、(イソ)プロピル(メタ)アクリレート、(イソ又はターシャリー)ブチル(メタ)アクリレート、(イソ)アミル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、(イソ)オクチル(メタ)アクリレート、(イソ)デシル(メタ)アクリレート、(イソ)ドデシル(メタ)アクリレート、(イソ)ステアリル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
なお、本明細書において、「(イソ又はターシャリー)」及び「(イソ)」は、これらの基が存在する場合としない場合の双方を意味し、これらの基が存在しない場合には、ノルマルを示す。また、「(メタ)アクリレート」は、アクリレート、メタクリレート又はそれらの両方を示す。
(d)成分の中では、印字濃度向上の観点から、スチレン系モノマーが好ましく、スチレン、2−メチルスチレンがより好ましい。(d)成分中のスチレン系モノマーの含有量は、印字濃度向上の観点から、好ましくは10〜100重量%、より好ましくは20〜80重量%である。
(e)成分としては、例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコール(n=2〜30、nはオキシアルキレン基の平均付加モル数を示す。以下同じ。)(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコール(n=2〜30)(メタ)アクリレート、ポリ(エチレングリコール(n=1〜15)・プロピレングリコール(n=1〜15))(メタ)アクリレート等が挙げられる。これらの中では、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノメタクリレート、ポリプロピレングリコールメタクリレートが好ましい。
CH2=C(R1)COO(R2O)pR3 (2)
(式中、R1は、水素原子又は炭素数1〜5の低級アルキル基、R2は、ヘテロ原子を有していてもよい炭素数1〜30の2価の炭化水素基、R3は、ヘテロ原子を有していてもよい炭素数1〜30の1価の炭化水素基、pは、平均付加モル数を意味し、1〜60の数、好ましくは1〜30の数を示す。)
(f)成分は、吐出性を高めるために用いられる。
式(2)において、ヘテロ原子としては、例えば、窒素原子、酸素原子、ハロゲン原子及び硫黄原子が挙げられる。
R1の好適例としては、メチル基、エチル基、(イソ)プロピル基等が挙げられる。
R2O基の好適例としては、オキシエチレン基、オキシ(イソ)プロピレン基、オキシテトラメチレン基、オキシヘプタメチレン基、オキシヘキサメチレン基及びこれらオキシアルキレンの2種以上の組合せからなる炭素数2〜7のオキシアルキレン基が挙げられる。
R3の好適例としては、炭素数1〜30、好ましくは炭素数1〜20の脂肪族アルキル基、芳香族環を有する炭素数7〜30のアルキル基及びヘテロ環を有する炭素数4〜30のアルキル基が挙げられる。
上記(a)〜(f)成分は、それぞれ単独で又は2種以上を混合して用いることができる。
(a)成分の含有量は、得られる分散体の分散安定性の観点から、好ましくは2〜40重量%、より好ましくは2〜30重量%、特に好ましくは3〜20重量%である。
(b)成分の含有量は、ブロンズ現象を低減し、保存安定性を向上する観点から、好ましくは10〜80重量%、より好ましくは10〜60重量%、更に好ましくは20〜60重量%である。
(c)成分の含有量は、分散安定性の観点から、好ましくは3〜20重量%、より好ましくは5〜15重量%である。
(d)成分の含有量は、印字濃度の観点から、好ましくは5〜40重量%、より好ましくは7〜20重量%である。
(e)成分の含有量は、得られる分散体の分散安定性の観点から、好ましくは5〜50重量%、より好ましくは10〜40重量%である。
(f)成分の含有量は、得られる分散体の吐出性向上の観点から、好ましくは5〜50重量%、より好ましくは10〜40重量%である。
モノマー混合物中における〔(a)成分+(b)成分〕の合計含有量は、得られる分散体の分散安定性及び光沢性の観点から、好ましくは30〜100重量%、より好ましくは40〜100重量%、より更に好ましくは50〜90重量%である。
〔(a)成分/(b)成分〕の重量比は、光沢性の観点から、好ましくは0.1〜0.75、より好ましくは0.1〜0.67、更に好ましくは0.15〜0.5である。
また、〔(b)成分+(c)成分+(d)成分〕の合計含有量は、得られる分散体の分散安定性の観点から、好ましくは50〜90重量%、より好ましくは60〜90重量%である。
第1の水系インク中のポリマーには、本質的に、ベンジルアクリレート由来の構成単位は有さない。本質的に有さないとは、本発明の目的を損なわない範囲で含有されていてもよいことを言うが、通常1重量%以下であり、好ましくは0.5重量%以下であり、有さないことが好ましい。
第2の水系インクは、マゼンタ又はイエロー顔料とベンジルアクリレート由来の構成単位を有するポリマーとを含有する。マゼンタ又はイエロー顔料は、耐擦過性、印字濃度、保存安定性の観点から、ポリマーに含有させることが好ましい。
以下、詳細に記載する。
イエロー顔料としては、アゾレーキ系顔料、不溶性アゾ系顔料、縮合アゾ系顔料、多環系顔料、金属錯体系顔料等の黄色有機顔料が挙げられる。
アゾレーキ系顔料としては、アセト酢酸アリリド系顔料等が挙げられ、より具体的には、C.I.ピグメント・イエロー133,168,169等が挙げられる。
不溶性アゾ系顔料としては、アセト酢酸アリリド系モノアゾ顔料、アセト酢酸アリリド系ジスアゾ顔料、ピラゾロン系顔料等が挙げられる。
アセト酢酸アリリド系モノアゾ顔料としては、ハンザ系顔料、ベンズイミダゾロン系顔料等が挙げられる。ハンザ系顔料としては、C.I.ピグメント・イエロー1,2,3,5,6,49,63,65,73,74, 75, 87,90,97,98,106, 111, 114, 116, 121,124,126、127,130, 136,152,165,167,170,174,176,188等が挙げられ、ベンズイミダゾロン系顔料としては、C.I.ピグメント・イエロー120,151,154,156,175,180,181,194,等が挙げられる。
縮合アゾ系顔料としては、C.I.ピグメント・イエロー93,94,95,128,166等が挙げられる。多環系顔料としては、C.I.ピグメント・イエロー109,110,173等のイソインドリノン系顔料、フラバンスロン系顔料、キノフタロン系顔料が挙げられる。
これらの中では、C.I.ピグメント・イエロー74及び97等のハンザ系顔料や、C.I.ピグメント・イエロー151等のベンズイミダゾロン系顔料等の不溶性アゾ系顔料;C.I.ピグメント・イエロー93及び128等の縮合アゾ系顔料;C.I.ピグメント・イエロー110等のイソインドリノン系顔料等の多環系顔料が好ましく、特にC.I.ピグメント・イエロー74、C.I.ピグメント・イエロー97等のハンザ系顔料が好ましい。上記の顔料は、単独で又は2種以上を任意の割合で混合して用いることができる。
マゼンタ顔料としては、アゾ顔料、ジスアゾ顔料、アゾレーキ顔料、キナクリドン顔料、ペリレン顔料、アントラキノン顔料等が挙げられる。
好ましい具体例としては、C.I.ピグメント・レッド 48, 57, 122, 184, 188, C.I.ピグメント・バイオレット19等が挙げられる。上記の顔料は、単独で又は2種以上を任意の割合で混合して用いることができる。
イエロー又はマゼンタ顔料と後述するポリマーとの重量比[イエロー又はマゼンタ顔料/(イエロー又はマゼンタ顔料+ポリマー)]は、顔料の分散安定性、印字濃度の観点から、0.2〜0.8が好ましく、0.3〜0.7が更に好ましい。
第2の水系インクに用いられるポリマーは、ブロンズ現象を低減する観点から、ベンジルアクリレート由来の構成単位を有する。
ポリマーは、イエロー又はマゼンタ顔料を含有しやすくするために、水不溶性ポリマーであることが好ましい。ここで、水不溶性ポリマーの水に対する溶解性は前記と同じである。
ここで、(a’)と前記(a)とは、同じであり、(c’)と前記(c)とは、同じである。
更に、第2の水系インクのポリマーは、第1の水系インクのポリマーと(b)と(b’)成分が異なることを除いて、好ましい種類、範囲を同じく援用することができる。
即ち、(d’)と(d)成分、(e’)と(e)成分、及び(f’)と(f)成分は、それぞれ同じであり、ポリマー製造時における、上記(a’)〜(f’)成分のモノマー混合物中における含有量(未中和量としての含有量。以下同じ)又はポリマー中における(a’)〜(f’)成分に由来する構成単位の含有量は、次のとおりである。
(a’)成分の含有量は、得られる分散体の分散安定性の観点から、好ましくは2〜40重量%、より好ましくは2〜30重量%、特に好ましくは3〜20重量%である。
(b’)成分の含有量は、ブロンズ現象を低減する観点から、好ましくは10〜80重量%、より好ましくは10〜60重量%、更に好ましくは20〜60重量%である。
(c’)成分の含有量は、分散安定性の観点から、好ましくは3〜20重量%、より好ましくは5〜15重量%である。
(d’)成分の含有量は、印字濃度の観点から、好ましくは5〜40重量%、より好ましくは7〜20重量%である。
(e’)成分の含有量は、得られる分散体の分散安定性の観点から、好ましくは5〜50重量%、より好ましくは10〜40重量%である。
(f’)成分の含有量は、得られる分散体の吐出性向上の観点から、好ましくは5〜50重量%、より好ましくは10〜40重量%である。
モノマー混合物中における〔(a’)成分+(b’)成分〕の合計含有量は、得られる分散体の分散安定性及び光沢性の観点から、好ましくは30〜100重量%、より好ましくは40〜100重量%、より更に好ましくは50〜90重量%である。
〔(a’)成分/(b’)成分〕の重量比は、光沢性の観点から、好ましくは0.1〜0.75、より好ましくは0.1〜0.67、更に好ましくは0.15〜0.5である。
また、〔(b’)成分+(c’)成分+(d’)成分〕の合計含有量は、得られる分散体の分散安定性の観点から、好ましくは50〜90重量%、より好ましくは60〜90重量%である。
第2の水系インク中のポリマーには、本質的に、ベンジルメタクリレート由来の構成単位は有さない。本質的に有さないとは、前述の第1の水系インクで述べた説明と同じである。
本発明で用いられるポリマーは、塊状重合法、溶液重合法、懸濁重合法、乳化重合法等の公知の重合法により、モノマー混合物を共重合させることによって製造される。これらの重合法の中では、溶液重合法が好ましい。
溶液重合法で用いる溶媒としては、特に限定されないが、極性有機溶媒が好ましい。極性有機溶媒が水混和性を有する場合には、水と混合して用いることもできる。極性有機溶媒としては、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール等の炭素数1〜3の脂肪族アルコール;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン類;酢酸エチル等のエステル類等が挙げられる。これらの中では、メタノール、エタノール、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン又はこれらの1種以上と水との混合溶媒が好ましい。
重合の際には、2,2'−アゾビスイソブチロニトリル、2,2'−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)等のアゾ化合物や、t−ブチルペルオキシオクトエート、ジベンゾイルオキシド等の有機過酸化物等の公知のラジカル重合開始剤を用いることができる。
重合の際には、さらに、オクチルメルカプタン、2−メルカプトエタノール等のメルカプタン類、チウラムジスルフィド類等の公知の重合連鎖移動剤を添加してもよい。
重合反応の終了後、反応溶液から再沈澱、溶媒留去等の公知の方法により、生成したポリマーを単離することができる。また、得られたポリマーは、再沈澱を繰り返したり、膜分離、クロマトグラフ法、抽出法等により、未反応のモノマー等を除去して精製することができる。
前記ポリマーは、塩生成基含有モノマー由来の塩生成基を有している場合は中和剤により中和して用いる。中和剤としては、ポリマー中の塩生成基の種類に応じて、酸又は塩基を使用することができる。例えば、塩酸、酢酸、プロピオン酸、リン酸、硫酸、乳酸、コハク酸、グリコール酸、グルコン酸、グリセリン酸等の酸、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、アンモニア、メチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、エチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、トリエタノールアミン、トリブチルアミン等の塩基が挙げられる。
ここで中和度は、塩生成基がアニオン性基である場合、下記式(3)、(4)によって求めることができる。
{[中和剤の重量(g)/中和剤の当量]/[ポリマーの酸価 (KOHmg/g)×ポリマーの重量(g)/(56×1000)]}×100 (3)
塩生成基がカチオン性基である場合は、下記式によって求めることができる。
{[中和剤の重量(g)/中和剤の当量]/[ポリマーのアミン価 (HCLmg/g)×ポリマーの重量(g)/(36.5×1000)]}×100 (4)
酸価やアミン価は、ポリマーの構成単位から、計算で算出することができる。または、
適当な溶剤(例えばメチルエチルケトン)にポリマーを溶解して、滴定する方法でも求め
ることができる。ポリマーの酸価又はアミン価は、50〜200が好ましく、50〜150が更に好ましい。
本発明で用いられる水系インクは、ポリマーにより顔料を分散させた水分散体を含有することが好ましく、顔料は、ポリマー粒子中に含有させることがより好ましい。そのような水分散体の製造方法は、例えば、次の工程(1)〜(2)により得ることができる。
工程(1):ポリマー、有機溶媒、顔料、水、及び必要なら中和剤を含有する混合物を分散処理して、顔料を含有するポリマー粒子の分散体を得る工程
工程(2):工程(1)で得られた分散体から前記有機溶媒を除去して、顔料を含有する水不溶性ポリマー粒子の水分散体を得る工程
ポリマーが塩生成基を有する場合、中和剤を用いることが好ましいが、中和度には、特に限定がない。通常、最終的に得られる水分散体の液性が中性、例えば、pHが4.5〜10であることが好ましい。前記ポリマーの望まれる中和度により、pHを決めることもできる。中和剤としては、前記のものが挙げられる。また、ポリマーを予め中和しておいてもよい。
混合物を予備分散させる際には、アンカー翼等の一般に用いられている混合撹拌装置を用いることができる。混合撹拌装置の中では、ウルトラディスパー〔浅田鉄工株式会社、商品名〕、エバラマイルダー〔荏原製作所株式会社、商品名〕、TKホモミクサー〔プライミクス株式会社、商品名〕等の高速攪拌混合装置が好ましい。
本分散の剪断応力を与える手段としては、例えば、ロールミル、ビーズミル、ニーダー、エクストルーダ等の混練機、高圧ホモゲナイザー〔株式会社イズミフードマシナリ、商品名〕、ミニラボ8.3H型〔Rannie社、商品名〕に代表されるホモバルブ式の高圧ホモジナイザー、マイクロフルイダイザー〔Microfluidics 社、商品名〕、ナノマイザー〔ナノマイザー株式会社、商品名〕等のチャンバー式の高圧ホモジナイザー等が挙げられる。これらの中では、顔料の小粒子径化の観点から、高圧ホモジナイザーが好ましい。
得られた顔料を含有するポリマー粒子の水分散体は、顔料を含有するポリマーの固体分が水を主媒体とする中に分散しているものである。ここで、顔料を含有するポリマー粒子の形態は特に制限はなく、少なくとも顔料とポリマーにより粒子が形成されていればよい。例えば、ポリマーに顔料が内包された粒子形態、ポリマー中に顔料が均一に分散された粒子形態、ポリマー粒子表面に顔料が露出された粒子形態等が含まれる。
インクジェット記録用インクセットに用いられる水系インクは、上記の水分散体をそのまま用いてもよいが、通常用いられる湿潤剤、浸透剤、分散剤、粘度調整剤、消泡剤、防黴剤、防錆剤等を添加することもできる。
本発明のインクセットを構成する水系インク中、各成分の含有量は、次のとおりである。
ポリマーの含有量は、ブロンズ現象を低減する観点、印字濃度の観点から、好ましくは0.5〜30重量%、更に好ましくは1〜20重量%、特に好ましくは1〜15重量%である。
顔料の含有量は、印字濃度の観点から、1〜30重量%が好ましく、2〜25重量%が更に好ましく、2〜20重量%が特に好ましい。
顔料を含有するポリマー粒子の含有量は、印字濃度の観点から、2〜20重量%が好ましく、4〜15重量%が更に好ましい。
上記水系インクにおける、ポリマー粒子の平均粒径は、プリンターのノズルの目詰まり防止及び分散安定性の観点から、好ましくは0.01〜0.5μm、より好ましくは0.03〜0.3μm、特に好ましくは0.05〜0.2μmである。なお、平均粒径は、大塚電子株式会社のレーザー粒子解析システムELS−8000(キュムラント解析)で測定することができる。測定条件は、温度25℃、入射光と検出器との角度90°、積算回数100回であり、分散溶媒の屈折率として水の屈折率(1.333) を入力する。測定濃度は、通常5×10-3重量%程度で行う。
本発明に用いられるインクの表面張力(25℃)は、インクノズルからの良好な吐出性を確保する観点から、好ましくは20〜35mN/m、更に好ましくは25〜35mN/mである。
また、本発明に用いられるインクの粘度(25℃)は、良好な吐出性を維持するために、2〜12mPa・sが好ましく、2.5〜10mPa・sが更に好ましい。
本発明のインクセットは、シアン顔料とベンジルメタクリレート由来の構成単位を有するポリマーとを含有する第1の水系インクと、イエロー顔料又はマゼンタ顔料とベンジルアクリレート由来の構成単位を有するポリマーとを含有する第2の水系インクとを含む。
好ましくは、第1の水系インクとしてシアンインク、並びに第2の水系インクとしてマゼンタインク及びイエローインクを備えたインクセットであり、更に、ブラックインクを備えていてもよい。
本発明のインクジェット記録方法は、インクジェット記録用インクセットを用いた記録方法であって、第1の水系インクを印字した上に、第2の水系インクを重ねて印字する、インクジェット記録方法である。すなわち、第1インクが、写真用紙上にインクジェットノズルから吐出され、インク液滴がドットとして存在する上に、第2のインクがインクジェットノズルから吐出され、インク液滴のドットが重なることが必要である。ここで重なるとは、全てを覆うように重なることが好ましいが、一部が重なっていればよい。
第1のインクより、第2のインクが拡がり易く、第1インクのシアン顔料を第2インクのマゼンタ又はイエロー顔料あるいはベンジルアクリレート系のポリマーで覆うことでブロンズ現象を低減することができると考えられる。ここでインクの拡がり易さは、ポリマー組成と関係すると考えられる。
また、具体的には、インクの種類により印字する順序が決まった片方向に印字することができるプリンター、例えば、セイコーエプソン株式会社製インクジェットプリンター(型式:PX−V630)等を用いることで効果的に、重ねることができる。また、各色のヘッドが固定され、固定されたヘッドの下を紙が移動することで印字がなされるラインヘッドプリンターであっても、設置したヘッドの並び順で印字する順番を制御することができ、有効に重ねることができる。
このように重ねて印字することで、多次色の印字物を製造することができ、例えば、インクセットが、イエローインク及びシアンインクを備えていれば、シアンインクを印字した上にイエローインクを重ねて印字させて、グリーンの二次色を製造することができ、マゼンタインク及びシアンインクを備えていれば、シアンインクを印字した上にマゼンタインクを重ねて印字させて、ブルーの二次色を製造することができる。3種以上の異なる色を用いて三次色、例えばコンポジットブラックを印字させることも可能である。コンポジットブラックを印字させる場合は、シアン顔料とベンジルメタクリレート由来の構成単位を有するポリマーとを含有する第1の水系インク、イエロー顔料とベンジルアクリレート由来の構成単位を有するポリマーとを含有する第2の水系インク及びマゼンタ顔料とベンジルアクリレート由来の構成単位を有するポリマーとを含有する第3の水系インクとを含む、インクジェット記録用インクセットを用いて、シアンインクを印字した上にイエローインク及びマゼンタインクを重ねて印字させて、コンポジットブラックを製造する方法が好ましい。イエローインクとマゼンタインクはどちらを先に印字させてもよい。
かかるインクジェット写真用紙として、セイコーエプソン株式会社製、商品名:写真用紙<光沢>、型番:KA450PSK等を挙げることができる。
また、かかるインクジェットコート紙として、セイコーエプソン株式会社製、商品名:フォト光沢紙 顔料専用、型番:KA420PG等を挙げることができる。
本発明のインクセットを適用するインクジェットの方式は制限されないが、特にピエゾ
方式のインクジェットプリンターに好適である。
ポリマーの重量平均分子量
溶媒として、60mmol/Lのリン酸と50mmol/Lのリチウムブロマイドを含有するN,N−ジメチルホルムアミドを用いたゲルクロマトグラフィー法〔東ソー株式会社製GPC装置(HLC−8120GPC)、東ソー株式会社製カラム(TSK-GEL、α-M×2本)、流速:1mL/min〕により、標準物質としてポリスチレンを用いて測定した。
反応器内に、表1−1及び表1−2に示すモノマー100部と、有機溶媒(メチルエチルケトン)20部、重合連鎖移動剤(2−メルカプトエタノール、和光純薬工業株式会社製、試薬)1部、重合開始剤(2,2'−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、和光純薬工業株式会社製、V−65)1部との合計量の10%を入れて混合し、窒素ガス置換を十分に行い、混合溶液を得た。
一方、滴下ロートに、残りの90%を用い、75℃攪拌下、滴下しながら重合を行った。滴下終了から75℃で約2時間経過後、80℃で1時間熟成させ、ポリマー溶液を得た。得られたポリマーの重量平均分子量を、前記方法により測定した。その結果を表1−1及び表1−2に示す。
(a)(a’) メタクリル酸:和光純薬工業株式会社製、試薬
(b) ベンジルメタクリレート:和光純薬工業株式会社製、試薬
(b’) ベンジルアクリレート:和光純薬工業株式会社製、試薬
(c)(c’) スチレンマクロマー:東亜合成株式会社製、商品名:AS−6(S)(50%トルエン溶液、固形分50重量%)数平均分子量:6000、重合性官能基:メタクリロイルオキシ基
(d) スチレンモノマー:和光純薬工業株式会社製、試薬
(e)(e’) ポリプロピレングリコールモノメタクリレート(プロピレンオキシド平均付加モル数=9、末端:水酸基):日本油脂株式会社製、商品名:ブレンマーPP−500
製造例1で得られたポリマー溶液を減圧乾燥させて得られたポリマー60部に対しメチルエチルケトン70部を加え、溶解させた後、その中に中和剤(5N水酸化ナトリウム水溶液)17.4部(中和度75%)及びイオン交換水230部加えて塩生成基を中和し、更に銅フタロシアニン系顔料(C.I.ピグメント・ブルー15:3)90部を加え、ディスパーで予備分散した後、浅田鉄工株式会社製 ピコミルにて周速15m/sにて2時間分散処理を施した。得られた混合物をマイクロフルイダイザー(Microfluidics 社製、商品名)で200MPaの圧力で10パス分散処理した。
得られた分散液400部に、イオン交換水250部を加え、攪拌した後、減圧下で60℃に加熱し、メチルエチルケトンを除去し、更に一部の水を除去した。次いで、5μmのフィルター(アセチルセルロース膜、外径:2.5cm、富士フイルム株式会社製)を取り付けた容量25mLの針なしシリンジ(テルモ株式会社製)で濾過し、粗大粒子を除去することにより、固形分濃度が20%の顔料含有ポリマー粒子の水分散体を得た。
調製例1において、用いるポリマーの量を60部から50部に、中和剤(5N水酸化ナトリウム水溶液)の量を17.4部から14.5部(中和度75%)に、用いる顔料を銅フタロシアニン系顔料からアゾ系顔料(C.I.ピグメント・イエロー 74、山陽色素製 商品名:FY7414)に、用いる顔料の量を90部から75部にした以外は、調製例1と同様にして、固形分濃度4%のベンジルメタクリレート系水系イエローインク1を得た。
調製例2において、用いる顔料をアゾ系顔料からジメチルキナクリドン顔料(C.I.ピグメント・バイオレット19、クラリアントジャパン株式会社製、商品名:Hostaperm Red E5B02)にした以外は、調製例2と同様にして、固形分濃度4%のベンジルメタクリレート系水系マゼンタインク1を得た。
調製例1において、製造例2で得られたポリマー溶液を用いた以外は調製例1と同様にして、固形分濃度4%のベンジルアクリレート系水系シアンインク2を得た。
調製例2において、製造例2で得られたポリマー溶液を用いた以外は調製例2と同様にして、固形分濃度4%のベンジルアクリレート系水系イエローインク2を得た。
調製例3において、製造例2で得られたポリマー溶液を用いた以外は調製例3と同様にして、固形分濃度4%のベンジルアクリレート系水系マゼンタインク2を得た。
調製例1において、製造例3で得られたポリマー溶液を用いた以外は調製例1と同様にして、固形分濃度4%のベンジルメタクリレート系水系シアンインク3を得た。
調製例1において、製造例4で得られたポリマー溶液を用いた以外は調製例1と同様にして、固形分濃度4%のベンジルメタクリレート系水系シアンインク4を得た。
調製例1において、製造例5で得られたポリマー溶液を用いた以外は調製例1と同様にして、固形分濃度4%のベンジルメタクリレート系水系シアンインク5を得た。
調製例1において、製造例6で得られたポリマー溶液を用いた以外は調製例1と同様にして、固形分濃度4%のベンジルメタクリレート系水系シアンインク6を得た。
調製例1において、用いるポリマーの量を60部から112.5部に、中和剤(5N水酸化ナトリウム水溶液)の量を17.4部から32.55部(中和度75%)にした以外は調製例1と同様にして、固形分濃度4%のベンジルメタクリレート系水系シアンインク7を得た。
調製例1において、用いるポリマーの量を60部から75部に、中和剤(5N水酸化ナトリウム水溶液)の量を17.4部から21.7部(中和度75%)にした以外は調製例1と同様にして、固形分濃度4%のベンジルメタクリレート系水系シアンインク8を得た。
調製例1において、用いるポリマーの量を60部から32.1部に、中和剤(5N水酸化ナトリウム水溶液)の量を17.4部から9.3部(中和度75%)にした以外は調製例1と同様にして、固形分濃度4%のベンジルメタクリレート系水系シアンインク9を得た。
調製例1において、用いるポリマーの量を60部から18.8部に、中和剤(5N水酸化ナトリウム水溶液)の量を17.4部から5.4部(中和度75%)にした以外は調製例1と同様にして、固形分濃度4%のベンジルメタクリレート系水系シアンインク10を得た。
市販インクジェットプリンター(セイコーエプソン株式会社製、型式:PX−V630、ピエゾ方式)に、上記製造例でそれぞれ得られたインクを、第1の水系インク及び第2の水系インクとして、それぞれ表2〜4に示す組み合わせで、調製例1〜14で得られた水系インクをインクカートリッジに充填し、プリンターのカートリッジスロットに装着した。なお、シアンのヘッドにはシアンインクを装着し、同様に、イエロー及びマゼンタのヘッドには、それぞれイエローインク、マゼンタインクを装着した。
前記プリンターを用いて、記録紙として、市販の写真用紙〔写真用紙<光沢>、エプソン株式会社製、型番:KA450PSK〕に〔印刷条件=用紙種類:EPSON写真用紙、印刷品質:フォト、カラー設定:色補正なし〕の条件で、表2〜4に示す条件で片方向印字または双方向印字を行った。記録パターンは、50mm×50mmの領域で、各インクの吐出量を4g/m2になるように画像濃度を変えて固定し、シアンインクとイエローインクのみを印字してグリーン画像を、シアンインクとマゼンタインクのみを用いてブルー画像を、シアンインクとマゼンタインクとイエローインクのみを用いてグレー画像を作成した。吐出量は、一定量印刷後のカートリッジの減少重量で確認した。
なお、このインクジェットプリンターでは、2次色を作成する際に片方向印字を行うと、まずシアンインクを印刷した後の印刷部位に、他のマゼンタインク及び/またはイエローインクが重ねて印刷される。また、双方向印字を行うと、まずシアンインクを印刷した後の印刷部位に、他のマゼンタインク及び/またはイエローインクが重ねて印刷される。次いで即座に該マゼンタインクおよび/またはイエローインクが重ねて印字され、次いでシアンインクが重ねて印刷される。
ブロンズ試験は、上記実施例で得られた印字物を変角分光器Gonio-Spectrometer(村上色材技術研究所製、型式:GSP−2)の試料台に装着して、波長390nm〜720nmの反射スペクトルを測定した。測定条件は以下のとおりであった。
測定条件:入射角度45°、受光角度45°、視野角2°、あおり角0°、光源:ハロゲンランプC光
このようにして得られたスペクトルから、波長550nmの強度と650nmの強度を調べ、その値について反射スペクトル強度比(650nmの強度/550nmの強度)を算出し、以下の評価基準に従って評価した。
反射スペクトル強度比は、数字の小さい方がブロンズ現象が低減しており、好ましい。
(評価基準)
◎:反射強度スペクトル比が4以下:ベタ印刷においても赤さが認識されにくいので最も好ましい。
○:反射強度スペクトル比が4を超え5未満:写真等の印刷を行っても赤みを認識されにくく、好ましい。
△:反射強度スペクトル比が5を超え、5.5未満:写真等の印刷で、広いベタ印字部分において、赤みが気になる。
×:反射強度スペクトル比が5.5以上:写真等の印刷で小さな面積のベタ印字部分でも赤みがひどく気になる。
表2〜4の条件で作製した印字物をGretag Macbeth SpectroEye(グレタグマクベス社製)を用いて印字濃度の測定を行った。測定条件は、観測光源を D65とし、観測視野を 2度とし、濃度基準を DIN16536とし、白色基準を装置に組み込まれた絶対白色基準 Absとし、フィルター無しとし、出力されるシアン、イエロー、マゼンタの色濃度のうち、シアンの色濃度を測定した。印字濃度は1.9以上が望ましく、2.0以上が更に望ましい。
上記調製例で得られたシアンインク1〜10の初期粘度及び70℃で1週間静置した後の粘度を、下記の測定方法で測定し、粘度の変化率(%)を、〔[70℃で1週間静置後の粘度(mPa・s)]/[初期粘度(mPa・s)]〕×100の値として求めた。
粘度は、東機産業株式会社製の「RE80」のE型粘度計により、標準ローター(1°34′×R24)を使用し、測定温度20℃、測定時間1分、回転数100rpmの条件で測定した。
上記で求めた粘度の変化率から、保存安定性を評価した。結果を表1に示す。
粘度の変化率は、90以上110%以下であることが望ましく、95%以上105%以下であると更に望ましい。
表4より、シアンインクに用いられるポリマーのベンジルメタクリレート由来の構成単位の含有量、又はシアン顔料とポリマーとの重量比を一定の範囲で変化させてもブロンズ現象の低減に効果があることがわかる。
Claims (6)
- シアン顔料とベンジルメタクリレート由来の構成単位を有するポリマーとを含有する第1の水系インクと、イエロー顔料又はマゼンタ顔料とベンジルアクリレート由来の構成単位を有するポリマーとを含有する第2の水系インクとを含む、インクジェット記録用インクセット。
- 前記第1の水系インクのポリマー中、ベンジルメタクリレート由来の構成単位が10〜80重量%である、請求項1に記載のインクジェット記録用インクセット。
- 前記第2の水系インクのポリマー中、ベンジルアクリレート由来の構成単位が10〜80重量%である、請求項1又は2に記載のインクジェット記録用インクセット。
- 前記第1の水系インク中、シアン顔料とポリマーとの合計量に対するシアン顔料の重量比〔シアン顔料/(シアン顔料+ポリマー)〕が、0.2〜0.8である、請求項1〜3のいずれかに記載のインクジェット記録用インクセット。
- 請求項1〜4のいずれかに記載のインクセットを用いたインクジェット記録方法であって、前記第1の水系インクを印字した上に、前記第2の水系インクを重ねて印字する、インクジェット記録方法。
- 請求項5に記載のインクジェット記録方法により、インクジェット写真用紙又はコート紙上に印字する、多次色の印字物の製造方法。
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