JP2009161802A - 高耐食性オーステナイト系ステンレス鋼、ならびにそのステンレス鋼を用いて構成した原子力発電プラント、溶接継手および構造部材 - Google Patents

高耐食性オーステナイト系ステンレス鋼、ならびにそのステンレス鋼を用いて構成した原子力発電プラント、溶接継手および構造部材 Download PDF

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潤也 金田
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隆彦 加藤
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Masaru Iwanami
勝 岩波
Masato Koshiishi
正人 越石
Naoto Shigenaka
尚登 茂中
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治男 藤森
Kazumi Fujii
和美 藤井
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Abstract

【課題】プラント製造時の表面加工痕が残留した場合であっても応力腐食割れを抑制し、原子炉構造物の健全性を維持する。
【解決手段】本発明のオーステナイト系ステンレス鋼は、質量%で、Cr17〜20%、Ni10〜13%、C0.001〜0.020%、Si0.1〜1.0%、Mn0.1〜2.0%、P0.035%以下、S0.015%以下、Mo0.01〜3.0%、N0.001〜0.08%、Cu0.01〜2.5%含有し、残部がFeおよび不純物からなり、かつ式1で計算されるM値が590以上760以下、式2で計算されるS値が24以上45以下である;
式1:M=462×(C+N)+9.2×Si+8.1×Mn+13.7×Cr+29×(Ni+Cu)+18.5×Mo
式2:S=32.7+101×C-13×Si-1.2×Mn-0.9×Cr+2×Ni-5.3×Mo+0.1×Cu-179×N
ここで、式中の元素記号は各成分の質量%を示す。
【選択図】 図1

Description

本発明は厳しい腐食環境にさらされ応力腐食割れが問題となる構造物の材料に用いて好適な高耐食性オーステナイト系ステンレス鋼に係り、特に原子力発電プラントの炉内構造物、高温水経路の配管、制御棒等の応力腐食割れを防止するのに好適な高耐食性オーステナイト系ステンレス鋼、ならびにそのステンレス鋼を用いて構成した原子力発電プラント、溶接継手および構造部材に関する。
沸騰水型軽水炉の炉内構造物や再循環冷却水配管には、近年SUS316L鋼といった炭素含有量の低い、耐応力腐食割れ性の高いステンレス鋼(低炭素ステンレス鋼)が用いられている。
しかしながら、これらの炉内構造物や再循環冷却水配管等の、特に機械加工された表面の機械加工による引張応力が残留した部位においては、それが原子炉水に接する場所に配置された場合は、原子炉水の酸化性環境の作用により、運転中に応力腐食割れを引き起こす損傷事例が顕在化しつつある。このような引張残留応力は、プラント製造時のグラインダ研削や切削加工等の機械加工によって加工表面に発生し、単独で影響する場合もあれば、製造過程の溶接施工時に溶接金属部の凝固収縮により溶接部周辺に発生する引張残留応力に重なって影響する。
ところで、応力腐食割れは、材料・応力・環境(水質)のすべての要因が重なった条件で発生するとされており、それぞれの要因を緩和する対策が検討されてきた。応力対策としては、溶接や加工によって発生した引張応力の緩和もしくは圧縮応力化を指向して熱処理や表面処理が提案され、一部実施されている。また、環境対策としては、純水中の不純物低減、導電率や溶存酸素量の厳格な管理のほか、腐食電位の引き下げを指向して水素や貴金属注入が提案され、一部実施されている。他方、上記の低炭素ステンレス鋼の損傷事例が顕在化する前は、一般的に次のような材料対策が実施或いは提案されていた。
すなわち、従来から、高温水中での応力腐食割れ抑制のため、その素過程の一つである粒界腐食を抑制する方法が検討されてきた。例えば、CrやMoといった耐食性に有効な元素の含有量を最適化したり、C添加を低減してCr炭化物の粒界析出によるCr欠乏領域の生成を防止したり、または耐粒界腐食性に有害な元素であるPおよびSの含有量を低減する手法があり、これらの知見の多くは既に実施されている。近年では、例えば、特許文献1(特開平6−122946号公報)に記載されているように、低炭素ステンレス鋼の粒界腐食の要因としてラーベス相およびχ相の粒界析出を特定し、これらの析出を抑制する化学成分が提案されている。
また、近年、鋼中の材料組織に着目して、耐応力腐食割れ性を向上させる手法が提案されている。結晶粒径に着目し、粗粒化もしくは細粒化を指向したものがある。例えば、特許文献2(特開平8−246106号公報)、特許文献3(特開平8−337853号公報)では細粒化によって、特許文献4(特開2005−23343号公報)では粗粒化によって、さらに特許文献5(特許第2897694号公報)では単結晶化によって、応力腐食割れやその素過程の一つである粒界腐食を抑制できることが示されている。
更に、鋼中の粒界構造に着目して、耐食性に有効な構造を有する粒界の比率を増やすことにより、応力腐食割れの素過程の一つである粒界腐食の抑制を指向したものがある。例えば、特許文献6(特許第2983289号公報)、特許文献7(特開2003−253401号公報)、特許文献8(特開2004−339576号公報)、特許文献9(特開2005−15896公報)では、オーステナイト系ステンレス鋼を対象に耐食性に有効な低エネルギー粒界(双晶粒界などの特殊粒界)の比率を増やすことにより耐粒界腐食性が向上することが示されている。
一方、上記の低炭素ステンレス鋼の損傷事例が顕在化後は、その具体的な材料対策として特許文献10(特開2006−291325公報)の提案がある。特許文献10では、機械加工の影響を想定し、化学成分組成を限定して応力腐食割れを抑制するオーステナイト系ステンレス鋼を提案している。
特開平6−122946号公報 特開平8−246106号公報 特開平8−337853号公報 特開2005−23343号公報 特許第2897694号公報 特許第2983289号公報 特開2003−253401 特開2004−339576 特開2005−15896公報 特開2006−291325公報
特許文献2〜9に記載の材料組織を制御した材料は、素材製造プロセスにおいて複雑かつ高度な制御が必要であるため製造可能な寸法が小さくなり、製造コストが高くなる場合が多いほか、プラントの製造工程を考慮すると成形加工や溶接により当初の制御組織が維持されない可能性が危惧され、プラントへの適用のために解決すべき課題も多い。逆に言えば、従来の素材製造プロセスを大きく変更せず製造でき、プラントの製造工程を経た後もその特性が維持できる材料が、プラントに早く適用されやすい。
また、近年顕在化しつつある低炭素ステンレス鋼の応力腐食割れは、上記のように、製造時の機械加工との関わりが指摘されている。強加工を受けた最表面では貫粒型の応力腐食割れも観察されることから、少なくとも応力腐食割れの発生段階では粒界腐食にのみ着目した材料は従来材と差異がないと考えられる。
最近は、応力腐食割れの要因として製造時の機械加工を考慮し、製造時にグラインダ研削などで生じた表面加工層を研磨によって除去、さらに上述の応力緩和もしくは応力圧縮化対策、水質改善対策を併せて実施することにより、応力腐食割れに対する総合的なリスク低減を図っている。
材料においても、このリスク低減に寄与できる対策を提案し、総合的に応力腐食割れを抑制することが望まれている。
特許文献10はこのような観点から、機械加工の影響を想定し、化学成分組成(化学成分とその割合)を限定して応力腐食割れを抑制するオーステナイト系ステンレス鋼を提案している。
より具体的には、特許文献10は、軽水炉において高温高圧水に接する構造材料として、表面への機械加工を受けても応力腐食割れに及ぼす影響を小さくでき、耐応力腐食割れ性に優れた被溶接材とそれを用いた溶接構造物及び原子力発電プラントと耐応力腐食割れ性の高い高耐食性オーステナイト系ステンレス鋼部材並びに高耐食性オーステナイト系ステンレス鋼を提供することを発明の目的として、質量で、C0.001〜0.020%、Si0.1〜1.0%、Mn0.2〜2.0%、Cr16〜20%、Ni9〜15%、Mo3%以下、N0.001〜0.12%含有し、残部がFe及び不可避不純物からなり、Crと式1によって求められるMd30とが式2を満たすことを特徴とする被溶接材を提案している。
Md30=551−462(C+N)−9.2Si−8.1Mn−13.7Cr−29Ni−18.5Mo−1.42(ν−8.0)…(式1)
Cr+0.022Md30≧14.5…(式2)(νは結晶粒度番号)。
しかしながら、本発明者等は、特許文献10の規定の範囲外にあるオーステナイト系ステンレス鋼の中にも、製造時の機械加工の影響による応力腐食割れを抑制できるものがあることを見いだした。
本発明は、特許文献10の発明を補完する技術を提供するものであって、特許文献10とは異なる観点から原子炉構造物の材料として用いられるオーステナイト系ステンレス鋼の化学成分組成および材料組織を規定することによって、プラント製造時の表面加工痕が残留した場合であっても応力腐食割れを抑制し、原子炉構造物の健全性を維持するものである。また、本発明は、そのようなオーステナイト系ステンレス鋼を用いて構成した溶接継手および構造部材を提供する。
[1]上記課題を解決するため、本発明は、高耐食性オーステナイト系ステンレス鋼の化学成分組成(化学成分とその割合)を、質量%で、Crを17〜20%、Niを10〜15%、Cを0.001〜0.020%、Siを0.1〜1.0%、Mnを0.1〜2.0%、Pを0.035%以下、Sを0.015%以下、Moを0.01〜3.0%、Nを0.001〜0.08%、Cuを0.01〜2.5%含有し、残部がFeおよび不純物からなり、かつ下記式1でM値を計算し、下記式2でS値を計算するとき、
式1:
M=462×(C+N)+9.2×Si+8.1×Mn+13.7×Cr+29×(Ni+Cu)+18.5×Mo
式2:
S=32.7+101×C−13×Si−1.2×Mn−0.9×Cr+2×Ni−5.3×Mo+0.1×Cu−179×N
ここで、式1および2中の元素記号は各成分の質量%を示す;
前記M値が590以上760以下であり、前記S値が24以上45以下であるものとする。
[2]また、好ましくは、高耐食性オーステナイト系ステンレス鋼の化学成分組成を、上記化学成分組成を有し、さらに質量%で、Moを0.5%〜3.0%、Tiを0.01%〜0.4%、Nbを0.01%〜0.4%、Zrを0.01%〜1.14%、もしくはHfを0.01〜2.24%、1種以上含有するものとする。
[3]また、好ましくは、高耐食性オーステナイト系ステンレス鋼の化学成分組成を、上記化学成分組成を有するものとし、かつその材料組織を、平均結晶粒径が30μm以下、望ましくは10μm以下であるものとする。
[4]さらに、好ましくは、高耐食性オーステナイト系ステンレス鋼の化学成分組成を、上記化学成分組成を有するものとし、かつその材料組織を、腐食環境に接する表面から少なくとも2mm以上の深さ範囲内において、Σ値29以下の粒界を除いたランダム粒界からなる連続粒界網の深さ方向長さが1.5mm以下であるものとする。
[5]また、上記課題を解決するため、本発明は、原子力発電プラントの炉内構造物、配管、または制御棒を上記のオーステナイト系ステンレス鋼で製造されたものとする。
[6]さらに、上記課題を解決するため、本発明は、溶接継手を、表面を機械加工した上記のオーステナイト系ステンレス鋼を溶接後、余盛部を研削し、研磨、必要に応じてピーニングによる残留応力圧縮化処理を行うものとする。
[7]また、上記課題を解決するため、本発明は、構造部材を、上記のオーステナイト系ステンレス鋼を応力腐食割れが生じる環境と接する側にライニングするものとする。
以上のように構成した本発明の作用原理は次のようである。
現行のプラント製造プロセスでは製造時の機械加工は避けられない。この際生じる加工表面が応力腐食割れの要因として考えられており、研磨による表面加工層除去、熱処理やピーニングによる応力緩和もしくは応力圧縮化対策、水質改善対策を併せて実施することにより、応力腐食割れに対する総合的なリスク低減を図っている。本発明は、材料そのものの応力腐食割れ発生感受性を低下させることにより、一層のリスク低減を図るものである。
応力腐食割れに及ぼす表面への機械加工の影響として、引張残留応力の生成と、加工組織形成に伴う硬度上昇ならびに局部腐食経路の生成とが挙げられる。硬度の上昇は、加工層の脆化と対応し、一旦き裂が発生した際にき裂の進展を助長する。また、表面への機械加工は、表面に対して局所的に高いひずみ速度で大きな変形を強いるため、巨大すべり変形による変形帯や、変形双晶もしくはマルテンサイト変態によるせん断変形帯からなる加工組織を生成する。その局所的な変形帯は、結晶性が乱れているため腐食現象の優先サイトとなり、局所腐食の発生起点および経路となる。これらの要因に加えて、引張残留応力が働くことにより、応力腐食割れが発生するものと考えている。
本発明では、表面への機械加工を受けても、応力腐食割れに及ぼすその影響を小さくできる材料を提供する。グラインダ施工といった表面への機械加工は大きな変形を擁すため、発生する引張残留応力は応力腐食割れを発生させるのに十分大きく、ステンレス鋼の化学成分を変化させても引張残留応力を応力腐食割れが発生しないレベルまで低下させることはできない。しかしながら、本発明者等は、化学成分組成によって加工表面の硬さ上昇量と加工組織を変えて、応力腐食割れを抑制できることを見出した。
一般的な316Lステンレス鋼の強加工した表面は、最表面層は粒径50〜200 nmの微細結晶組織からなり、その深部では直線的なせん断変形帯がつづく加工層組織を呈している。直線的なせん断変形帯は、巨大すべり変形による変形帯や、変形双晶もしくはεマルテンサイト変態によるせん断変形帯である。304系および316系のオーステナイト系ステンレス鋼は一般に、積層欠陥エネルギーが低いため、このような直線的なせん断変形帯を形成しやすい。さらに、オーステナイト安定性の低い304Lステンレス鋼では、α’マルテンサイト変態により直線的なせん断変形帯を形成する。このような直線的なせん断変形帯が局所腐食の経路となっており、応力腐食割れの一形態である粒内型応力腐食割れの要因となる。また、積層欠陥エネルギーが低い場合やα’マルテンサイト変態が生じる場合は、加工硬化率が上昇して硬さが上昇し、応力腐食割れを助長する。
したがって、積層欠陥エネルギーを高くし、かつα’マルテンサイト変態を抑制することによって、割れ経路となる直線的なせん断変形帯の形成を抑制し、強加工表面の硬さを低減でき、その結果、応力腐食割れを抑制することができる。
式1に示されるM値は、α’マルテンサイト変態能に関わる値である。30%の引張変形を与えたときに組織の体積率50%がα’マルテンサイトに変態する温度Md30の化学成分依存性を参考に式1を決定した。このM値が大きいほど、α’マルテンサイト変態は生じにくくなり、オーステナイトが安定となる。α’マルテンサイトに起因した応力腐食割れを抑制するには、590以上のM値が必要である。他方、オーステナイトが安定になりすぎると加工性や溶接性が低下するため、M値は760以下に制限される。
式2に示されるS値は、積層欠陥エネルギーに関わる値である。報告されている積層欠陥エネルギーの化学成分依存性を参考に積層欠陥エネルギーに関わる特性の実験結果から式2を決定した。このS値が大きいほど、積層欠陥エネルギーは高くなり、直線的なせん断変形帯の形成が抑制される。積層欠陥エネルギーが低いことに起因した応力腐食割れを抑制するには、24以上のS値が必要である。他方、Ni量が大きくなるとS値が大きくなるが、その結果オーステナイトが安定になりすぎると加工性や溶接性が低下するため、S値は45以下に制限される。
一方、積層欠陥エネルギーを高くし、かつα’マルテンサイト変態を抑制することによって加工硬化率が低下するため、強度、特に引張強さの低下を招くことがある。強度を要求される部材については、結晶粒微細化強化により強度を向上させる。平均粒径90μm程度の材料を平均粒径30μmまで結晶粒微細化を図ることにより、引張強さを20Mpa程度上昇させることができ、平均粒径10μmまで結晶粒微細化した場合は40Mpa程度上昇させることができる。
上述のとおり粒内型応力腐食割れを抑制することで、強加工に伴う応力腐食割れ感受性を大きく低減できるが、応力腐食割れに対する万全な健全性を確保するには、さらに粒界型応力腐食割れに対する施策も必要である。まずは、Cr炭化物析出に伴う粒界鋭敏化を抑制するため、C量の低減とともに鋭敏化抑制元素であるMo、もしくはC安定化元素であるTi,Nb,Zr,Hf等を添加する。
粒界性格によって隣り合う結晶粒の結合性や耐食性が異なることが知られている。加工熱処理によって、エネルギーの低い対応粒界の割合を増やし、エネルギーの高いランダム粒界からなる粒界網を分断すると、腐食や応力腐食割れは対応粒界を回避してエネルギーの高いランダム粒界に沿って進むことが多い。超音波探傷によるき裂の検出限界が2 mm程度であることを考慮すると、発生した応力腐食割れの進展を表面部から深さ2mm以内で止めることができれば、検査上は応力腐食割れの発生を抑えたことになる。また、十分な厚さをもつ構造物であれば強度上も問題ない。表面強加工による加工影響層の深さは300〜400μmであり、観察されている粒内型応力腐食割れは深さ200〜300μmまで達しているものもある。さらに深部では粒界型応力腐食割れが進展するが、その進展を1.5mm程度以内で止めることができれば、全体でみると深さ2mm以内で止めたことになる。三次元分布を考慮したランダム粒界網の深さ方向長さを1.5mm以内とすることにより、ランダム粒界に沿った粒界型応力腐食割れを確率的に止めることができる。
Cは、材料強度を確保する上で必要な元素であり、0.001%以上でその効果が得られる。0.020%を超えるとCr炭化物の粒界析出による粒界鋭敏化が顕著となり、耐粒界腐食性が損なわれる。そこで、C含有量の範囲を0.001〜0.020%とした。
Siは、素材製造工程で脱酸材として必要な元素であり、0.1%以上で脱酸の効果を得られる。1.0%を超えると靭性が低下する。そこで、Si含有量の範囲を0.1〜1.0%とした。
Mnは、素材製造工程で脱酸に有効な元素であり、0.1%以上で脱酸の効果を得られる。2.0%を超えると耐食性が低下する。そこで、Mn含有量の範囲を0.1〜2.0%とした。
Pは、鋼中の不純物元素であり、粒界の耐食性を低下させ、溶接時の高温割れの原因となるので、極力含有量を低減するのが望ましい。しかし、含有量を低減するには素材製造コストが高くなるため、経済性を考慮し現行の通常プロセス水準である0.035%以下とした。
Sは、鋼中の不純物元素であり、粒界の耐食性を低下させ、溶接時の高温割れの原因となるので、含有量を低減するのが望ましく、含有量の上限を0.015%とした。
Crは、耐食性を向上するのに必要な元素であり、高温水環境では17%以上で効果が得られる。20%を超えると、熱間加工性を低下させ、経済性を損ねる。そこで、Cr含有量の範囲を17〜20%とした。
Niは、耐食性の向上およびオーステナイト相の形成に有効な元素であり、10%以上でこれらの効果が得られる。15%を超えるとオーステナイト相の安定度が増し、加工性や溶接性が低下させ、経済性を損ねる。そこで、Ni含有量の範囲を10〜15%とした。
Cuは、耐食性の向上およびオーステナイト相の形成に有効な元素である。通常のステンレス鋼に含まれる成分であり、α’マルテンサイト変態能に与える影響も大きいことから2.5%を上限とする。
Moは、粒界鋭敏化を抑制し、さらに照射環境下で照射誘起偏析を抑制し、耐食性を向上させる作用を有する。Moを0.01%以上、より好ましくは、0.4%より多く含有させることでその効果が得られるが、3.0%を超えると、金属間化合物が粒界析出し、耐粒界腐食性が劣化する。そこで、Mo含有量の範囲を3%以下とした。
Nは、材料強度を確保する上で必要な元素であり、0.001%以上でその効果が得られる。0.08%を超えると粒内型応力腐食割れ感受性が増加する。そこで、N含有量の範囲を0.001〜0.08%とした。
ZrおよびHfは、少量の含有量からCと炭化物を形成し、粒界鋭敏化を抑制する。さらに照射環境下で照射誘起偏析を抑制し、耐食性を向上させる作用を有する。ZrおよびHfを含有させることによる耐食性の向上が要求される場合には、これらの元素の1種以上をそれぞれ0.2%以上含有させることによりその効果が得られる。Zr1.14%およびHf2.24%を超えて含有させてもその効果は飽和する。そこで、含有量の範囲を、Zrは0.01%〜1.14%、Hfは0.01〜2.24%とした。
上記の条件を満たすオーステナイト系ステンレス鋼を用いることにより、表面への機械加工を受けた場合の材料そのものの応力腐食割れ発生に対するポテンシャルを低減できる。さらに、研磨による表面加工層除去、熱処理やピーニングによる応力緩和もしくは応力圧縮化対策、水質改善対策といった諸対策と併せて実施することにより、応力腐食割れに対する総合的なリスク低減を図り、原子炉構造物の健全性を維持できる。
本発明により、プラント製造時の表面加工痕が残留した部材であって、原子炉構造物の高温高圧水にさらされる部材での応力腐食割れの発生を抑制することが可能になった。本発明で示した材料は原子炉構造物や応力腐食割れが生じる環境に配置される溶接継手および構造部材に対して適用するのに好適である。
<実施例(化学成分組成)>
表1は本発明の実施例として用いられた供試材の化学成分、式1および式2で化学成分から計算したM値およびS値を示す表である。
Figure 2009161802
図1にM値およびS値における本発明材の範囲を示す。各供試材には、固溶化熱処理ののち、溶接部を摸擬した鋭敏化熱処理を実施した。試験片の表面をグラインダなどで機械加工し、一定ひずみを負荷した上で、288℃、8.3MPaの高圧高温水中に最大5000時間浸漬した。浸漬後、試験片表面での割れの有無により応力腐食割れ発生感受性を評価した。
表2にこれら供試材に対して高圧高温水中で実施した応力腐食割れ試験結果を示す。応力腐食割れ試験は、機械加工条件や試験水質条件を変え、供試材を分けて実施された。一次評価では条件の異なる試験の結果を整理し、割れを生じたものと生じなかったものに分けた。一次評価で割れを生じなかった供試材と比較材として用いる供試材に対して、二次評価を行った。二次評価では、表面機械加工、付加ひずみ量および試験水質の面で厳しい条件を選択し、同一の条件で試験を行った。その結果、いずれの供試材においても応力腐食割れが発生したが、き裂数およびき裂深さに有意な差が生じた。供試材13,14,15,23に対して、本発明材は平均き裂数が約3分の1以下となった。また、最大き裂深さにおいても供試材15を基準とすれば、本発明材は約2分の1以下となった。
Figure 2009161802
研削加工を施した表面に対して、研削表面から深さ20μmの位置でのビッカース硬さを測定した結果を表3に示す。比較のため表面加工の影響を受けていない深さ2 mmの位置でのビッカース硬さ測定結果も示す。
Figure 2009161802
3つの位置で測定したビッカース硬さをみると、比較材に対して本発明材の硬さが低くなっていた。供試材15に対しては、表面加工による硬さ上昇が低くなっていた。高N材の供試材23に対しては、表面加工による硬さ上昇には大きな差異はないが、供試材23の未加工状態での硬さが高いため、表面での硬さも高くなっていた。本発明材は、積層欠陥エネルギーが高く、かつ加工誘起α’マルテンサイト変態能が小さい化学成分組成を有しており、その結果加工硬化率が低下し、表面加工による硬さ上昇が抑える効果がある。
本発明材では、粗大すべり、変形双晶、加工誘起マルテンサイト変態を抑える化学成分組成を有しており、材料組織内で直線的なせん断変形帯を伴って局所的な変形をするのではなく、転位の交叉すべりが比較的容易であることから均一に変形しやすい。表面加工による硬さ上昇を抑制するほか、加工組織内の粒内型応力腐食割れ経路となる直線的なせん断変形帯の生成を抑制することにより、本発明材では応力腐食割れの発生を抑制する効果がある。
<結晶微細化強化>
一方、本発明材では加工硬化率が低下することから、強度、特に引張強さが低下する傾向があり、強度を要求される部位では望ましくない。このような部位に使用される部材については結晶粒微細化により強化した材料を用いる。表4に本発明材の一つである供試材6の強度に及ぼす結晶粒微細化の効果を示すため、供試材6について加工熱処理(圧延、鍛造等の加工と熱処理)により結晶粒微細化した場合の引張試験結果を示す。通常の固溶化熱処理後では平均結晶粒径が90μmであり、これに加工熱処理を施すことにより平均結晶粒径を25μmないし9μmまで微細化した。その結果、表4に示すとおり耐力ないし引張強さを増加させることができた。
Figure 2009161802
<粒界性格分布制御>
表2の応力腐食割れ試験二次評価では、厳しい条件を選択したため、すべての試験片に応力腐食割れが発生した。応力腐食割れは深部で粒界割れに移行しており、割れ進展を抑制するには粒界型応力腐食割れを抑制する施策が必要である。安定化元素NbないしTiを添加した供試材および不純物元素を低減しHfやZrを添加した供試材で、き裂深さが低下しているのが認められた。これらに加えて、粒界性格によって隣り合う結晶粒の結合強度や耐食性が異なることに着目し、表面強加工による応力腐食割れ発生を抑制できる本発明材に粒界型応力腐食割れ進展を抑制する機能を付加する位置づけで粒界性格分布制御を検討した。
プラントの保全では、応力腐食割れによる損傷は定期点検時に目視または超音波探傷により検査される。超音波探傷によるき裂の検出限界が2mm程度であることを考慮すると、発生した応力腐食割れの進展を表面部から深さ2mm以内で止めることができれば、検査上は応力腐食割れの発生を抑えたことになる。また、超音波探傷による検査が必要とされる厚みのある部材では、深さ2mm程度のき裂は強度上問題ない。表面加工により導入される加工影響層は300〜400μmであり、これまで観察されている粒内型応力腐食割れの深さは深いものでも200〜300μmである。このことから、深部での粒界型応力腐食割れを1.5mm程度に抑えれば、全体で深さ2mm以内に抑えることができると考えられる。
図2に、供試材6の固溶化熱処理後の通常組織と、加工熱処理(圧延、鍛造等の加工と熱処理)によって粒界性格分布制御を施した組織について、電子線後方散乱回折法によって解析した粒界性格分布マップを示す。図2(a)が通常組織、図2(b)が粒界性格分布制御を施した組織示している。ここで粒界性格は、隣り合う結晶粒の結晶方位関係で決定されるΣ値を採用し、Σ値が1〜29までの粒界を対応粒界とし、それ以外の粒界をランダム粒界として取り扱った。図2の黒線で示された粒界がランダム粒界であり、白色で示された粒界は対応粒界である。図2(a)の通常組織では、ランダム粒界がネットワーク状に分布しているが、図2(b)の粒界性格分布制御組織ではランダム粒界のネットワークが分断されている。
図2の上下方向を部材の深さ方向と捉えると、図中に記載しているようにランダム粒界が連続しているネットワークについて深さ方向長さを求めることができる。10視野から各視野の最大深さ方向長さを計測し、最大値分布の最頻値を求めると450μmであった。本発明材について、実際に応力腐食割れ試験をしてみると、厳しい試験条件としてみても深いき裂を得ることが難しかった。そこで、炭素量を0.06%と増やし、同様に粒界性格分布制御を施した材料を鋭敏化して応力腐食割れ試験を実施した。その結果を通常組織材と比較したものを表5に示す。この粒界性格分布制御材の最大き裂深さは、通常組織材と比べて小さく870μmであった。応力腐食割れは概ねランダム粒界に沿って進展していた。この粒界性格分布制御材のランダム粒界深さ方向長さの最大値分布最頻値は460μmであった。このことを考慮すると、ランダム粒界は3次元で結合していて迂回して進展している。しかし、その深さは、本試験結果では高々最大値分布最頻値の2倍程度であり、き裂がその3倍進展するには確率が低く、長時間を要するといえる。
Figure 2009161802
このことから、このような粒界性格分布制御された組織が表面から2mm以上存在し、ランダム粒界が連続しているネットワークの深さ方向長さについて、その最大値分布最頻値の3倍の値が1.5mm以下であれば、粒界型応力腐食割れが1.5mm進展する確率はかなり低くなると考えられる。
<原子炉構造物への適用>
本発明のオーステナイト系ステンレス鋼を使って、図3に示す沸騰水型原子炉炉心用の各種構造用部材を作製した。本原子炉は蒸気温度286℃、蒸気圧力70.7atgで運転され、発電出力として500,800,1100MWの発電が可能である。
各名称は次のとおりである。
中性子源パイプ51、炉心支持板52、中性子計装検出管53、制御棒54、炉心シュラウド55、上部格子板56、燃料集合体57、上鏡スプレイノズル58、ベントノズル59、圧力容器蓋60、フランジ61、計測用ノズル62、気水分離器63、シュラウドヘッド64、給水入口ノズル65、ジェットポンプ66、蒸気乾燥器68、蒸気出口ノズル69、給水スパージャ70、炉水スプレイ用ノズル71、下部炉心格子72、再循環水入口ノズル73、バッフル板74、制御棒案内管75。
所定の厚さと形状に熱間圧延ないし熱間鍛造にて成形、溶体化処理を施した鋼板および管を使用し、切断、曲げ、溶接により、炉心支持板52、炉心シュラウド55、上部格子板56、ジェットポンプ66、給水スパージャ70、炉水スプレイ用ノズル71、下部炉心格子72、再循環水入口ノズル73を作製した。溶接部に対しては、溶接後、余盛部を研削し、研磨、必要に応じてピーニングによる残留応力圧縮化処理を行った。
図4に本発明のオーステナイト系ステンレス鋼で作製した制御棒の斜視図を示す。制御棒は高照射量にさらされることから、照射偏析を抑制するためHfを0.8%含有した本発明材を適用し、ハンドル、シース、ブレード部を作製した。
再循環系配管など圧力境界となる配管では、強度が要求される。本発明のオーステナイト系ステンレス鋼では、炭素および窒素量を抑えているため、結晶粒微細化により強度を担保した。継目無配管を製造する際に、予め加工熱処理にて細粒化しておき、穿孔することによって、平均結晶粒径が30μm以下、条件によっては10μm以下とした。配管の一部では、配管内側に冷間加工を施し、引き続き熱処理する加工熱処理により、粒界性格分布を変化させた。その結果、配管内側表面から2mm以上の深さまで、ランダム粒界からなる連続粒界網の深さ方向長さが1.5mm以下の粒界性格分布制御組織層を作り込むことができた。
一方、大径管では、体積が大きくなることにより、プレス容量の制限などから加工量が制限され細粒化が困難となる。そこで、従来の原子力用低炭素ステンレス鋼配管の内部に本発明のオーステナイト系ステンレス鋼をライニングしたクラッド配管を用いた。
図5は上述の本発明のオーステナイト系ステンレス鋼を用いた配管の溶接継手部断面の模式図である。図5(a)は、本発明の化学成分組成を有するオーステナイト系ステンレス鋼であって、特別な加工熱処理を施していないものを用いた配管の溶接継手を示し、図5(b)は、結晶微細化強化を施した本発明のオーステナイト系ステンレス鋼を用いた配管の溶接継手を示し、図5(c)は、さらに、配管内側に粒界性格分布制御を施した本発明のオーステナイト系ステンレス鋼を用いた配管の溶接継手を示し、図5(d)は、配管内側の内径合わせ加工部に粒界性格分布制御を施した本発明のオーステナイト系ステンレス鋼を用いた配管の溶接継手を示し、図5(e)は、配管内側に本発明のオーステナイト系ステンレス鋼からなるライニングを施した配管の溶接継手を示す。配管内側の溶接部近傍に、内面機械加工と溶接による引張残留応力のため応力腐食割れの発生するポテンシャルがあるが、その部位に本発明材を用いることにより材料面で応力腐食割れの発生を抑制することができる。さらに、誘導加熱で内外面温度差付与などを行い内面応力の圧縮化を図り、応力腐食割れによる材料損傷に対して一層高い信頼性を有する配管継手を作製した。
本発明のオーステナイト系ステンレス鋼を使って、図6に示す改良型沸騰水型原子炉炉心用の各種構造用部材を作製した。本原子炉は、発電出力として1350MWの発電が可能である。
各名称は次のとおりである。
炉心支持板52、制御棒54、炉心シュラウド55、上部格子板56、燃料集合体57、気水分離器63、蒸気乾燥器68、蒸気出口ノズル69、インターナルポンプ126。
所定の厚さと形状に熱間圧延ないし熱間鍛造にて成形、溶体化処理を施した鋼板および管を使用し、切断、曲げ、溶接により、炉心支持板52、制御棒54、炉心シュラウド55、上部格子板56、給水スパージャ70、炉水スプレイ用ノズル71、下部炉心格子72、インターナルポンプ126を作製した。溶接部に対しては、溶接後、余盛部を研削し、研磨、必要に応じてピーニングによる残留応力圧縮化処理を行った。
表6に沸騰水型原子炉および改良型沸騰水型原子炉の仕様を比較して示す。
Figure 2009161802
改良型沸騰水型原子炉では、再循環方式を沸騰水型原子炉の外部再循環ポンプおよびジェットポンプから、インターナルポンプに変更しており、再循環系配管が不要であることが特長の一つである。インターナルポンプを取り付けるノズル部は、原子炉圧力容器内に温度および圧力変化を生じても、インターナルポンプの回転機能へ影響を与えず、また電動機部への熱の伝達が少なくなるような、スリーブ型最適形状とした。また、炉内構造物も、インターナルポンプ採用による流動振動への影響を少なくしている。
原子炉圧力容器は、冷却材の圧力境界を構成するとともに、炉心および圧力容器内部構造物を内蔵し保持する機能を有する。沸騰水型原子炉では燃料集合体764体、ジェットポンプおよび内部構造物を収納して内径約6.4mであるのに対して、改良型沸騰水型原子炉では燃料集合体が872体に増加したこと、インターナルポンプの炉内取扱いスペースを確保したことにより内径約7.1mと大きくなっている。一方、内高は、高効率気水分離器、改良型制御棒駆動機構の採用、上蓋・主フランジ構造変更、下鏡の形状変更により、沸騰水型原子炉では約22mであるのに対して改良型沸騰水型原子炉では約21mとわずかにコンパクト化している。下鏡形状はインターナルポンプの採用に伴い、インターナルポンプの圧力容器下部への据付必要スペース確保、および冷却水循環流路を考慮して、沸騰水型原子炉の半球状から皿型に変更した。インターナルポンプは一体鍛造により作製し、溶接線数の少ない設計とした。支持スカート127は、インターナルポンプの取扱い必要スペースの確保とともに、インターナルポンプ用熱交換器をペデスタル内に設置するために円錐形状とした。
沸騰水型原子炉および改良型沸騰水型原子炉において、本発明のオーステナイト系ステンレス鋼で作製した各部材は、応力腐食割れによる材料損傷に対して裕度が向上しており、応力腐食割れ要因である応力および水質に対する施策と組み合わせることにより、制御棒や燃料集合体といった交換機器を除き、30年以上無交換で使用可能となることが見込まれる。また、12ヶ月運転後で1回当り50日以内、好ましくは40日以内、特に好ましくは30日での定期点検が繰り返し実施されるとともに、稼動率85%以上、好ましくは90%以上、特に好ましくは92%、熱効率35%で運転される。
本発明のオーステナイト系ステンレス鋼は、表面への機械加工を受けた場合の材料そのものの応力腐食割れ発生に対するポテンシャルを低減できることから、同様に応力腐食割れ対策が必要となる、加圧水型原子炉など他型原子炉や開発中の次世代原子炉に対しても有効に機能することが期待される。
化学成分から計算されるM値およびS値に対して本発明材の範囲を示す図である。 電子線後方散乱図形法にて測定した材料断面の粒界性格分布を示す図であり、図2(a)が通常組織、図2(b)が粒界性格分布制御を施した組織を示す。 本発明のオーステナイト系ステンレス鋼を用いた沸騰水型原子炉炉心を示す部分断面斜視図である。 本発明のオーステナイト系ステンレス鋼を用いた制御棒を示す部分断面斜視図である。 本発明のオーステナイト系ステンレス鋼を用いた配管の溶接継手部断面模式図であり、図5(a)は、本発明の化学成分組成を有するオーステナイト系ステンレス鋼であって、特別な加工熱処理を施していないものを用いた配管の溶接継手を、図5(b)は、結晶微細化強化を施した本発明のオーステナイト系ステンレス鋼を用いた配管の溶接継手を、図5(c)は、さらに、配管内側に粒界性格分布制御を施した本発明のオーステナイト系ステンレス鋼を用いた配管の溶接継手を、図5(d)は、配管内側の内径合わせ加工部に粒界性格分布制御を施した本発明のオーステナイト系ステンレス鋼を用いた配管の溶接継手を、図5(e)は、配管内側に本発明のオーステナイト系ステンレス鋼からなるライニングを施した配管の溶接継手をそれぞれ示す。 本発明のオーステナイト系ステンレス鋼を用いた改良型沸騰水型原子炉炉心を示す断面図である。
符号の説明
1 油圧ポンプ
1a 斜板
1b 吐出油路
2〜5 アクチュエータ(2:旋回モータ)
7a,7b 方向切換弁
8〜10 方向切換弁
210 運転室

Claims (7)

  1. 質量%で、Crを17〜20%、Niを10〜15%、Cを0.001〜0.020%、Siを0.1〜1.0%、Mnを0.1〜2.0%、Pを0.035%以下、Sを0.015%以下、Moを0.01〜3.0%、Nを0.001〜0.08%、Cuを0.01〜2.5%含有し、残部がFeおよび不純物からなり、かつ下記式1でM値を計算し、下記式2でS値を計算するとき、
    式1:
    M=462×(C+N)+9.2×Si+8.1×Mn+13.7×Cr+29×(Ni+Cu)+18.5×Mo
    式2:
    S=32.7+101×C−13×Si−1.2×Mn−0.9×Cr+2×Ni−5.3×Mo+0.1×Cu−179×N
    ここで、式1および2中の元素記号は各成分の質量%を示す;
    前記M値が590以上760以下であり、前記値が24以上45以下であることを特徴とする高耐食性オーステナイト系ステンレス鋼。
  2. 質量%で、Moを0.4%より多く3.0%以下、Tiを0.01%〜0.4%、Nbを0.01%〜0.4%、Zrを0.01%〜1.14%、もしくはHfを0.01〜2.24%、1種以上含有することを特徴とする請求項1に記載の高耐食性オーステナイト系ステンレス鋼。
  3. 平均結晶粒径が30μm以下であることを特徴とする請求項1または2記載の高耐食性オーステナイト系ステンレス鋼。
  4. 腐食環境に接する表面から少なくとも2mm以上の深さ範囲内において、Σ値29以下の粒界を除いたランダム粒界からなる連続粒界網の深さ方向長さが1.5mm以下であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項記載の高耐食性オーステナイト系ステンレス鋼。
  5. 請求項1〜4のいずれか1項記載の高耐食性オーステナイト系ステンレス鋼で製造された炉内構造物、配管、または制御棒からなる原子力発電プラント。
  6. 表面を機械加工した請求項1〜4のいずれか1項記載の高耐食性オーステナイト系ステンレス鋼を溶接後、余盛部を研削し、研磨、必要に応じてピーニングによる残留応力圧縮化処理を行うことを特徴とする溶接継手。
  7. 請求項1〜4のいずれか1項記載の高耐食性オーステナイト系ステンレス鋼を応力腐食割れが生じる環境と接する側にライニングすることを特徴とする構造部材。
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