JP2009190442A - 車両の制御装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】走行用の駆動力を出力するエンジン及び電動機とを備え、その電動機からの動力を変速機を介して駆動輪に出力する車両の制御装置において、バッテリ制限やエンジン回転数に影響されずに、変速中に電動機のトルクダウンを実施できるようにする。
【解決手段】変速中に電動機(第2モータジェネレータMG2)の駆動電流を低下させることができない場合(バッテリ制限やエンジン過回転の可能性がある場合)は、第2モータジェネレータMG2の駆動効率を低下させてトルクダウンを実施する。このように駆動効率低下によるトルクダウンを行うことにより、消費電力が減らなくなり電力収支が変化しなくなるので、バッテリ制限やエンジン回転数に影響されずに、変速中のトルクダウンを実施することが可能となり、変速ショックの悪化を防ぐことができる。
【選択図】図9

Description

本発明は、走行用の駆動力を出力するエンジン及び電動機とを備え、その電動機からの動力を変速機を介して駆動輪に出力する車両の制御装置に関する。
近年、環境保護の観点から、車両に搭載されたエンジン(内燃機関)からの排気ガスの排出量低減と燃料消費率(燃費)の向上が望まれており、これを満足する車両として、ハイブリッドシステムを搭載したハイブリッド車両が実用化されている。
ハイブリッド車両は、ガソリンエンジンやディーゼルエンジンなどのエンジンと、エンジンの出力による発電またはバッテリの電力により駆動してエンジン出力のアシスト等を行う電動機(例えばモータジェネレータまたはモータ)とを備え、エンジン及び電動機のいずれか一方または双方を走行駆動源としている。
ハイブリッド車両においては、車速及びアクセル開度に基づいて、エンジン及び電動機の運転領域(具体的には駆動または停止)が制御される。例えば、発進時や低速走行時のようにエンジン効率が低くなる領域では、エンジンを停止させて電動機のみの動力で駆動輪を駆動する。また、通常走行時には、エンジンを駆動して、そのエンジンの動力で駆動輪を駆動するという制御を行う。さらに、全開加速等の高負荷時には、エンジンの動力に加えて、バッテリから電動機に電力を供給して電動機による動力を補助動力として追加するという制御を行う。
こうしたハイブリッド車両の駆動装置の1つとして、例えば、サンギヤ、リングギヤ及びキャリヤ(ピニオンギヤ)を回転要素とする機構であって、エンジンの出力を第1電動機(以下、ジェネレータともいう)及び伝達軸(リングギヤ軸)へ分配(もしくはエンジンの出力と第1電動機の出力とを合成して伝達軸に出力)する動力分配機構と、第2電動機と、この第2電動機(以下、モータともいう)と駆動輪(出力軸)との間に設けられた有段式の自動変速機と、第1乃至第2電動機からの発電電力の充電及び第1乃至第2電動機への電力供給が可能なバッテリとを備え、第2電動機からの動力を自動変速機を介して駆動輪に出力する車両用駆動装置が知られている(例えば、特許文献1及び2参照)。
このような車両用駆動装置では、動力分配機構が差動機構として機能し、その差動作用によりエンジンからの動力の主部を駆動輪に機械的に伝達し、そのエンジンからの動力の残部を第1電動機から第2電動機への電気パスを用いて電気的に伝達することにより、電気的に変速比が変更される変速機として機能する。これによってエンジンを最適な作動状態に維持しつつ車両を走行させることができ、燃費の向上をはかることができる。また、この種のハイブリッド車両用の駆動装置において電力収支は、通常、ジェネレータ発電量・バッテリ充放電量・モータ消費量を全て足すとゼロとなるように制御されている。
一方、ハイブリッド車両に搭載される変速機としては、摩擦係合要素であるクラッチやブレーキと遊星歯車装置とを用いてギヤ段(変速段)を設定する遊星歯車式変速機が適用されている。例えば、摩擦係合要素として2個のブレーキを備え、一方のブレーキを係合し他方のブレーキを解放する変速段(例えば低速段)と、他方のブレーキを係合し一方のブレーキを解放する変速段(例えば高速段)との切り替えを行うようにしている。この場合、変速時に係合側の摩擦係合要素の係合と、解放側の摩擦係合要素の解放とを同時に行う、いわゆるクラッチツウクラッチ変速が行われることになる。
また、ハイブリッド車両などの車両においては、ドライバにより操作されるシフト操作装置が設けられており、そのシフト操作装置のシフトレバーを操作することにより、自動変速機のシフトポジションを、例えばP(パーキング)ポジション、R(リバース)ポジション、N(ニュートラル)ポジション、D(ドライブ)ポジションなどに切り替えることが可能になっている。さらに、近年では、シーケンシャルモード付きのシフト操作装置も実用化されている。シーケンシャルモードには、複数段(例えば8段)のシーケンシャルシフトレンジが設定されており、シフトレバーをS(シーケンシャル)ポジションに配置してアップシフト(+)またはダウンシフト(−)操作を行うと、シーケンシャルシフトレンジがアップまたはダウンされる。そして、このようなシーケンシャルモードが選択された場合、Dレンジで走行する場合と比較してエンジン回転数を高く維持するように制御される。
なお、ハイブリッド車両の制御に関する技術として、下記の特許文献3に、エンジン及びモータジェネレータと駆動輪との間に変速機を設けたハイブリッド車両において、変速時に変速機に入力される入力トルクのトルクダウン制御を行う技術が記載されている。
特開2005−212494号公報 特開2006−273071号公報 特開2004−129494号公報
ところで、上記したハイブリッド車両において、モータのトルクダウンを行うと消費電力が減少するため余剰な電力が発生する。その余剰電力量を吸収するには、発電量の低減またはバッテリへの充電のいずれかの方法を実施する必要がある。
しかし、発電量を低減するには、エンジントルクの反力を受け持つジェネレータ(第1電動機)のトルクを低減することが必要になるが、ジェネレータのトルクを低減すると、エンジントルクの反力を吸収しきれなくなるため、エンジン過回転を招く場合がある。従って、発電量を低減する方法はエンジンが高回転の条件では実施することができない。また、バッテリへの充電により余剰電力量を吸収する方法の場合、バッテリの充電制限(温度による制限や、SOC(State of Charge)による制限など)があるときには実施できない。
そして、このような理由で変速中にトルクダウンを実施できないと変速ショックが生じる場合がある。すなわち、変速中でトルク容量が小さいときに(摩擦係合要素が解放状態のときに)、アクセルペダルが踏み込まれた場合はモータ(第2電動機)のトルクダウンを実施する必要があるが、上記した理由によりトルクダウンを実施できないと、変速対象であるモータ(第2電動機)の吹きを制限できなくなるため、モータ回転数と係合目標回転数(目標変速段の同期回転数)との間に差回転がある状態で摩擦係合要素が係合することになり、係合ショックが生じる場合がある。
本発明はそのような実情を考慮してなされたもので、走行用の駆動力を出力するエンジン及び電動機とを備え、その電動機からの動力を変速機を介して駆動輪に出力する車両の制御装置において、バッテリ制限やエンジン回転数に影響されずに、変速中に電動機のトルクダウンを実施することが可能な制御の実現を目的とする。
本発明は、走行用の駆動力を出力するエンジン及び電動機と、前記電動機からの発電電力の充電及び電動機への電力供給が可能な蓄電装置と、変速機とを備え、前記電動機からの動力を前記変速機を介して駆動輪に出力する車両の制御装置を前提としており、このような車両の制御装置において、前記変速機の変速中に、一時的に前記電動機の損失を増加させて当該電動機の駆動効率を低下させるトルクダウン制御手段を備えていることを特徴としている。
本発明において、変速機の変速中に電動機の駆動電流を低下させる制御を実施できない場合には、電動機の駆動効率低下のみでトルクダウンを実施する。また、変速中に電動機(モータ)の駆動電流を低下させる制御が実施可能である場合、その実施可能範囲(条件)内において、可能な限り電動機の駆動電流低下によるトルクダウンを実施し、その駆動電流低下によるトルクダウンだけでは不足する分のトルクダウン量を、電動機の駆動効率低下によるトルクダウンで補うという制御を行ってもよい。
本発明によれば、変速中に電動機(モータ)の駆動電流を低下させることができない状況(バッテリ制限やエンジン過回転の可能性がある場合)のときには、電動機の駆動効率を低下させてトルクダウンを実施するようにしているので、トルクダウンを行っても消費電力が減らなくなり電力収支が変化しない。これによって、バッテリ制限(蓄電装置の充電制限)やエンジン回転数に影響されずに、変速中のトルクダウンを実施することが可能となり、変速ショックの悪化を防ぐことができる。
本発明についてより具体的に説明する。
まず、本発明において、上記したように変速中に電動機(モータ)の駆動電流を低下させる制御が実施可能である場合、可能な限り駆動電流低下によるトルクダウンを実施し、不足分のトルクダウン量を、電動機の駆動効率低下によるトルクダウンで補うようにすれば、駆動効率低下つまり電動機損失を少なくすることができるので、燃費の悪化を低減できる。
本発明において、駆動効率を低下させる方法が複数設定されており、それら複数の駆動効率低下方法のうち、いずれか1つの方法を選択して電動機の駆動効率を低下させるようにしてもよい。具体的には、例えば、電動機のインバータのキャリア周波数を高くしてスイッチングロスを増加させることにより電動機の駆動効率を低下させる第1の駆動効率低下方法、電動機の駆動電流の位相をロータ磁界に対してずらすことにより電動機の駆動効率を低下させる第2の駆動効率低下方法、または、前記第1の駆動効率低下方法及び第2の駆動効率低下方法の両方で電動機の駆動効率を低下させる第3の駆動効率低下方法のうち、いずれか1つの方法を選択して電動機の駆動効率を低下させて変速中のトルクダウンを行うようにしてもよい。
この場合、例えば、変速中に必要なトルクダウン量が小さくて、第1の駆動効率低下方法または第2の駆動効率低下方法のみでトルクダウンを達成できる場合は、第1または第2の駆動効率低下方法のいずれか一方の方法を選択して電動機の駆動効率低下を行い、トルクダウン量が大きい場合には第3の駆動効率低下方法を選択して電動機の駆動効率低下を行うようにすればよい。
また、第1または第2の駆動効率低下方法のいずれか一方の方法を選択する場合、インバータ及び電動機の現在の温度をそれぞれ温度センサ等によって検出し、その温度検出結果に基づいて、インバータまたは電動機のうち、許容温度に対する余裕が大きい方の発熱量が大きくなる方法(第1または第2の駆動効率低下方法)を選択して、電動機の駆動効率を低下させるようにしてもよい。例えば、インバータの方が許容温度に対して余裕がある場合は第1の駆動効率低下方法を選択し、電動機の方が許容温度に対して余裕がある場合は第2の駆動効率低下方法を選択して、第2モータジェネレータMG2の駆動効率低下を行うようにすればよい。
また、第3の駆動効率低下方法を選択する場合、同様に、インバータ及び電動機の現在の温度を検出し、インバータの方が許容温度に対して余裕がある場合、インバータの発熱量を大きく設定し、電動機の発熱量を小さく設定するという制御を行い、電動機の方が許容温度に対して余裕がある場合、電動機の発熱量を大きく設定し、インバータ4の発熱量を小さく設定するという制御を行って電動機の駆動効率低下を行うようにすればよい。
このようにインバータ及び電動機の発熱量を考慮して駆動効率低下を制御することにより、インバータ及び電動機の熱負荷の上昇を抑えながら変速中のトルクダウンを実施することができる。
ここで、本発明は、手動にて変速操作を行うシーケンシャルモードを選択することが可能なハイブリッド車両に特に適している。すなわち、ハイブリッド車両などの車両において、シーケンシャルモードが選択されている場合、Dレンジで走行する場合と比較してエンジン回転数を高く維持する制御が実行されるので、エンジン過回転に対する余裕度が厳しくなり、変速中の回転数上昇によりエンジン過回転が生じやすくなるが、本発明のように電動機の駆動効率を低下させてトルクダウンを行うことで、変速中のエンジン回転数変化を抑制できるので、シーケンシャルモード選択中であってもエンジン回転数を上限回転数以下に抑えることができる。
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
図1は本発明を適用するハイブリッド車両の一例を示す概略構成図である。
この例のハイブリッド車両HVは、エンジン1、第1モータジェネレータMG1、第2モータジェネレータMG2、動力分配機構2、自動変速機3、インバータ4、バッテリ(HVバッテリ)5、デファレンシャルギヤ6、駆動輪7、油圧制御回路300(図4参照)、シフト操作装置8(図5参照)、及び、ECU(Electronic Control Unit)100などを備えている。
これらエンジン1、モータジェネレータMG1,MG2、自動変速機3、動力分配機構2、自動変速機3(油圧制御回路300も含む)、シフト操作装置8、及び、ECU100の各部について以下に説明する。
−エンジン−
エンジン1は、ガソリンエンジンやディーゼルエンジンなどの燃料を燃焼させて動力を出力する公知の動力装置であって、スロットル開度(吸気量)、燃料噴射量、点火時期などの運転状態を制御できるように構成されている。エンジン1の出力軸であるクランクシャフト11の回転数(エンジン回転数)はエンジン回転数センサ201によって検出される。エンジン1はECU100によって駆動制御される。
−モータジェネレータ−
モータジェネレータMG1,MG2は交流同期電動機であって、電動機として機能するとともに発電機として機能する。モータジェネレータMG1,MG2はインバータ4を介してバッテリ5に接続されている。インバータ4は、ECU100によって制御され、そのインバータ4の制御により、モータジェネレータMG1,MG2の回生または力行(アシスト)が設定される。その際の回生電力はバッテリ5にインバータ4を介して充電される。また、モータジェネレータMG1,MG2の駆動用電力はバッテリ5からインバータ4を介して供給される。
−動力分配機構−
動力分配機構2は、外歯歯車のサンギヤS21と、このサンギヤS21と同心円上に配置された内歯歯車のリングギヤR21と、サンギヤS21に噛み合うとともに、リングギヤR21に噛み合う複数のピニオンギヤP21と、この複数のピニオンギヤP21を自転かつ公転自在に保持するキャリアCA21とを備え、それらサンギヤS21、リングギヤR21及びキャリアCA21を回転要素として差動作用を行う遊星歯車機構である。
動力分配機構2のキャリアCA21にはエンジン1のクランクシャフト11が連結されている。また、動力分配機構2のサンギヤS21には第1モータジェネレータMG1の回転軸が連結されている。そして、動力分配機構2のリングギヤR21にはリングギヤ軸21が連結されている。リングギヤ軸21はデファレンシャルギヤ6を介して駆動輪7に連結されている。また、リングギヤ軸21には第2モータジェネレータMG2の回転軸が自動変速機3を介して連結されている。
このような構造の動力分配機構2において、第1モータジェネレータMG1が発電機として機能するときには、キャリアCA21から入力されるエンジン1からの動力をサンギヤS21側とリングギヤR21側にそのギヤ比に応じて分配する。一方、第1モータジェネレータMG1が電動機として機能するときには、キャリアCA21から入力されるエンジン1からの動力とサンギヤS21から入力される第1モータジェネレータMG1からの動力とを統合してリングギヤR21に出力する。
−自動変速機−
自動変速機3は、図2に示すように、ダブルピニオン型の第1遊星歯車機構31、シングルピニオン型の第2遊星歯車機構32、及び、2つのブレーキB1,B2などを備えた遊星歯車式の変速機であって、入力軸30が第2モータジェネレータMG2の回転軸に連結されている。また、自動変速機3の出力軸33はリングギヤ軸21(図1)に連結されている。
第1遊星歯車機構31は、外歯歯車のサンギヤS31と、このサンギヤS31と同心円上に配置された内歯歯車のリングギヤR31と、サンギヤS31に噛み合う複数の第1ピニオンギヤP31aと、この第1ピニオンギヤP31aに噛み合うとともに、リングギヤR31に噛み合う複数の第2ピニオンギヤP31bと、これら複数の第1ピニオンギヤP31a及び複数の第2ピニオンギヤP31bを連結して自転かつ公転自在に保持するキャリアCA31とを備えている。第1遊星歯車機構31のキャリアCA31は第2遊星歯車機構32のキャリアCA32に一体的に連結されている。そして、第1遊星歯車機構31のサンギヤS31はブレーキB1を介して非回転部材であるハウジング3Aに選択的に連結されており、ブレーキB1の係合によってサンギヤS31の回転が阻止される。
第2遊星歯車機構32は、外歯歯車のサンギヤS32と、このサンギヤS32と同心円上に配置された内歯歯車のリングギヤR32と、サンギヤS32に噛み合うとともに、リングギヤR32に噛み合う複数のピニオンギヤP32と、複数のピニオンギヤP32を自転かつ公転自在に保持するキャリアCA32とを備えている。この第2遊星歯車機構32のサンギヤS32は入力軸30に連結されており、キャリアCA32は出力軸33に連結されている。さらに、第2遊星歯車機構32のリングギヤR32はブレーキB2を介してハウジング3Aに選択的に連結されており、ブレーキB2の係合によりリングギヤR32の回転が阻止される。
そして、以上の自動変速機3の入力軸30の回転数(入力軸回転数)は入力軸回転数センサ203によって検出される。また、自動変速機3の出力軸33の回転数(出力軸回転数)は出力軸回転数センサ204によって検出される。これら入力軸回転数センサ203及び出力軸回転数センサ204の出力信号から得られる回転数の比(出力軸回転数/入力軸回転数)に基づいて、自動変速機3の現状ギヤ段を判定することができる。
自動変速機3は運転者がシフト操作装置8のシフトレバー81(図5参照)を操作することにより、例えばPレンジ(パーキングレンジ)、Nレンジ(ニュートラルレンジ)、Dレンジ(前進走行レンジ)等に切り替えることができる。
以上の自動変速機3では、摩擦係合要素であるブレーキB1、B2を所定の状態に係合または解放することによってギヤ段(変速段)が設定される。自動変速機3のブレーキB1、B2の係合・解放状態を図3の作動表に示す。図3の作動表において「○」は「係合」を表し、「空欄」は「解放」を表している。
この例の自動変速機3において、ブレーキB1、B2の双方を解放することにより、入力軸30(第2モータジェネレータMG2の回転軸)と出力軸33(リングギヤ軸21)とを切り離すことができる(ニュートラル状態)。
また、変速ギヤ段の「Lo」は、ブレーキB2を係合し、ブレーキB1を解放することによって設定される。ブレーキB2が係合すると、第2遊星歯車機構32のリングギヤR32の回転が固定され、その回転が固定されたリングギヤR32と、第2モータジェネレータMG2によって回転するサンギヤS32とによって、キャリアCA32つまり出力軸33が低速回転する。
変速ギヤ段の「Hi」は、ブレーキB1を係合し、ブレーキB2を解放することによって設定される。ブレーキB1が係合すると、第1遊星歯車機構31のサンギヤS31の回転が固定され、その回転が固定されたサンギヤS31と、第2モータジェネレータMG2によって回転するサンギヤS32(リングギヤ31)の回転とによって、キャリアCA32(キャリアCA31)つまり出力軸33が高速回転する。
以上の自動変速機3において、「Lo」から「Hi」へのアップ変速は、ブレーキB2を解放すると同時にブレーキB1を係合するクラッチツウクラッチ変速制御によって達成される。また、「Hi」から「Lo」へのダウン変速は、ブレーキB1を解放すると同時にブレーキB2を係合するクラッチツウクラッチ変速制御によって達成される。これらブレーキB1,B2の係合時または解放時の油圧は油圧制御回路300(図4参照)によって制御される。
−油圧制御回路−
油圧制御回路300には、後述するリニアソレノイドバルブ及びコントロールバルブなどが設けられており、ソレノイドバルブの励磁・非励磁を制御して油圧回路を切り替えることによって自動変速機3のブレーキB1,B2の係合・解放を制御することができる。油圧制御回路300のリニアソレノイドバルブの励磁・非励磁は、ECU100からのソレノイド制御信号(指示油圧信号)によって制御される。
図4は、上記油圧制御回路300の概略構成を示している。この図4に示すように、油圧制御回路300は、エンジン1の回転により駆動され、かつ、ブレーキB1,B2を作動させるのに十分な圧送性能をもってオイル(オートマチックトランスミッションフルード:ATF)をオイル用流路301に圧送する機械式ポンプMPと、機械式ポンプMPからオイル用流路301に圧送されたオイルのライン油圧PLを調整する3ウェイソレノイドバルブ302及びプレッシャコントロールバルブ303と、ライン油圧PLを用いてブレーキB1,B2の係合力を調整するリニアソレノイドバルブ304,305やコントロールバルブ306,307、アキュムレータ308,309とから構成されている。
この油圧制御回路300では、ライン油圧PLは、3ウェイソレノイドバルブ302を駆動してプレッシャコントロールバルブ303の開閉を制御することにより調整することができる。
また、ブレーキB1,B2の係合力は、リニアソレノイドバルブ304,305に印加する電流を制御することによりライン油圧PLをブレーキB1,B2に伝達させるコントロールバルブ306,307の開閉を制御することにより調節することができる。
なお、この油圧制御回路300では、機械式ポンプMPから圧送されたオイルのうちブレーキB1,B2の作動に用いられなかった余剰のオイルと、ブレーキB1,B2の作動に用いられた後のプレッシャコントロールバルブ303からの戻りのオイルとを潤滑油としてオイル用流路310を介して動力分配機構2などに供給する。
−シフト操作装置−
一方、ハイブリッド車両HVの運転席の近傍には図5に示すようなシフト操作装置8が配置されている。シフト操作装置8にはシフトレバー81が変位可能に設けられている。
この例のシフト操作装置8には、P(パーキング)ポジション、R(リバース)ポジション、N(ニュートラル)ポジション、及び、D(ドライブ)ポジションが設定されており、ドライバが所望のポジションへシフトレバー81を変位させることが可能となっている。これらPポジション、Rポジション、Nポジション、Dポジション(下記のSポジションのシフトアップ(+)位置及びシフトダウン位置(−)位置も含む)の各位置は、シフトポジションセンサ206(図6参照)によって検出される。
Pポジション及びNポジションは、車両を走行させないときに選択される非走行ポジションであり、Rポジション及びDポジションは、車両を走行させるときに選択される走行ポジションである。
また、シフト操作装置8には、図5(b)に示すように、S(シーケンシャル)ポジション82が設けられており、シフトレバー81がSポジション82に操作されたときに、手動にて変速操作を行うシーケンシャルモード(マニュアル変速モード)が設定される。
この例では、例えば8段のシーケンシャルシフトレンジS1〜S8が設定されており、シフトレバー81がアップシフト(+)またはダウンシフト(−)に操作されると、シーケンシャルシフトレンジがアップまたはダウンされる。例えば、アップシフト(+)への1回操作ごとにシーケンシャルシフトレンジが1段ずつアップ(例えばS1→S2→・・→S8)される。一方、ダウンシフト(−)への1回操作ごとにシーケンシャルシフトレンジが1段ずつダウン(例えばS8→S7→・・→S1)される。
なお、シーケンシャルモードが設定されたときのシフトレンジ制御は、例えば、車速(出力軸回転数)及びエンジン回転数をパラメータとし、各シーケンシャルシフトレンジS1〜S8毎に目標回転数(エンジン回転数)が設定されたマップを用い、現在の車速及びシフトレバー操作にて選択されたシーケンシャルシフトレンジの位置情報に基づいて、上記マップを参照して目標回転数を求め、その目標回転数に実エンジン回転数が一致するように、動力分配機構2に連結した第1電動機MG1の運転状態を制御するという方法によって実行される。また、上記マップにおいて目標回転数は、車速が同じ条件であれば、シーケンシャルシフトレンジS1が最も高く、シーケンシャルシフトレンジS8側に向かうに従って小さくなるように設定されており、例えば、シーケンシャルシフトレンジが「S3」から「S2」にダウンシフトされると、エンジン回転数は上昇する。また、シャルシフトレンジが「S3」から「S4」にアップシフトされると、エンジン回転数は低下するようになっている。
−ECU−
ECU100は、図6に示すように、CPU101、ROM102、RAM103及びバックアップRAM104などを備えている。
ROM102には、ハイブリッド車両HVの基本的な運転に関する制御の他、ハイブリッド車両HVの走行状態に応じて自動変速機3のギヤ段を設定する変速制御を実行するためのプログラムを含む各種プログラムなどが記憶されている。この変速制御の具体的な内容については後述する。
CPU101は、ROM102に記憶された各種制御プログラムやマップに基づいて演算処理を実行する。また、RAM103はCPU101での演算結果や各センサから入力されたデータ等を一時的に記憶するメモリであり、バックアップRAM104はエンジン1の停止時にその保存すべきデータ等を記憶する不揮発性のメモリである。
これらCPU101、ROM102、RAM103、及び、バックアップRAM104はバス106を介して互いに接続されるとともに、インターフェース105と接続されている。
ECU100のインターフェース105には、エンジン回転数センサ201、エンジン1のスロットルバルブの開度を検出するスロットル開度センサ202、入力軸回転数センサ203、出力軸回転数センサ204、アクセルペダルの開度を検出するアクセル開度センサ205、シフトレバー81の位置を検出するシフトポジションセンサ206、バッテリ5の充放電電流を検出する電流センサ207、及び、バッテリ温度センサ208などが接続されており、これらの各センサからの信号がECU100に入力される。
ECU100は、上記した各種センサの出力信号に基づいて、エンジン1のスロットル開度(吸気量)制御、燃料噴射量制御及び点火時期制御などを含むエンジン1の各種制御を実行する。
ECU100は、自動変速機3の油圧制御回路300にソレノイド制御信号(指示油圧信号)を出力する。このソレノイド制御信号に基づいて、油圧制御回路300のリニアソレノイドバルブなどが制御され、所定のギヤ段(LoまたはHi)を構成するように、ブレーキB1、B2が所定の状態に係合または解放される。また、ECU100は、バッテリ5を管理するために、電流センサ207にて検出された充放電電流の積算値に基づいて充電状態(SOC)を演算する。さらに、ECU100は、インバータ4を制御し、そのインバータ4の制御によって第1モータジェネレータMG1及び第2モータジェネレータMG2の回生または力行(アシスト)が制御される。
そして、ECU100は下記の「変速制御」、「走行制御」、及び、「トルクダウン制御」を実行する。
−変速制御−
まず、ECU100は、アクセル開度センサ205に出力信号に基づいてアクセル開度Acを算出するとともに、出力軸回転数センサ204に出力信号に基づいて車速Vを算出し、それらアクセル開度Ac及び車速Vに基づいて、図7に示すマップを参照して要求トルクTrを求める。
次に、車速Vと要求トルクTrに基づいて図8に示す変速マップを参照して目標ギヤ段を算出するとともに、入力軸回転数センサ203及び出力軸回転数センサ204の出力信号から得られる回転数の比(出力軸回転数/入力軸回転数)に基づいて、自動変速機3の現状ギヤ段を判定し、それら目標ギヤ段と現状ギヤ段とを比較して変速操作が必要であるか否かを判定する。
その判定結果により、変速の必要がない場合(目標ギヤ段と現状ギヤ段とが同じで、ギヤ段が適切に設定されている場合)には、現状ギヤ段を維持するソレノイド制御信号(指示油圧信号)を自動変速機3の油圧制御回路300に出力する。
一方、目標ギヤ段と現状ギヤ段とが異なる場合には変速制御を行う。例えば、自動変速機3のギヤ段が「Hi」の状態で走行している状況から、ハイブリッド車両HVの走行状態が変化(例えば車速が変化)して、例えば図8に示す点Aから点Bに変化した場合、変速マップから算出される目標ギヤ段が「Lo」となり、その「Lo」のギヤ段を設定するソレノイド制御信号(指示油圧信号)を自動変速機3の油圧制御回路300に出力して、摩擦係合要素であるブレーキB1を解放すると同時に、ブレーキB2を係合することにより、Hiのギヤ段からLoのギヤ段への変速(Hi→Loダウン変速)を行う。
図7に示す要求トルク算出用のマップは、車速V及びアクセル開度Acをパラメータとして、要求トルクTrを実験・計算等により経験的に求めた値をマップ化したもので、ECU100のROM102に記憶されている。
また、図8に示す変速マップは、車速V及び要求トルクTrをパラメータとし、それら車速V及び要求トルクTrに応じて、適正なギヤ段を求めるための2つの領域(Lo領域及びHi領域)が設定されたマップであって、ECU100のROM102内に記憶されている。図8の変速マップにおいて、シフトアップ線(変速線)を実線で示し、シフトダウン線(変速線)を破線で示している。また、シフトアップ及びシフトダウンの各切り替え方向を図中に矢印を用いて示している。
なお、上記したシーケンシャルモードが選択されている場合においても、ハブリッド車両HVの走行状態の変化により、図8に示す変速マップのシフトアップ線またはダウンシフト線を跨いだときには、自動変速機3のダウン変速またはアップ変速を行う。
−走行制御−
ECU100は、上記と同様な処理により、アクセル開度Ac及び車速Vに基づいて図7に示すマップを参照してリングギヤ軸(出力軸)21に出力すべき要求トルクTrを算出し、この要求トルクTrに対応する要求動力がリングギヤ軸21に出力されるように、エンジン1及びモータジェネレータMG1,MG2(インバータ4)を駆動制御して所定の走行モードでハイブリッド車両HVを走行する。
例えば、発進時や低速走行時のようにエンジン効率が低くなる領域では、エンジン1の運転を停止し、要求動力に見合う動力を第2モータジェネレータMG2から自動変速機3を介してリングギヤ軸21に出力する。通常走行時には、要求動力に見合う動力がエンジン1から出力されるようにエンジン1を駆動するとともに、第1モータジェネレータMG1によって最適燃費となるようにエンジン1の回転数を制御する。
また、第2モータジェネレータMG2を駆動してトルクをアシストする場合、車速Vが遅い状態では自動変速機3のギヤ段をLoに設定してリングギヤ軸(出力軸)21に付加するトルクを大きくし、車速Vが増大した状態では自動変速機3のギヤ段をHiに設定して第2モータジェネレータMG2の回転数を相対的に低下させて損失を低減することで、効率の良いトルクアシストを実行する。さらに、第2モータジェネレータMG2の運転を停止し、第1モータジェネレータMG1でエンジントルクの反力を受け持ちながら、エンジン1から動力分配機構2を介してリングギヤ軸21に直接伝達されるトルク(直達トルク)だけで走行するという走行制御も実行される。
なお、ECU100は、通常、自動変速機3の入力トルクが等パワー(入力軸回転数×入力トルク=一定)となるように、第2モータジェネレータMG2に等パワー指令を供給して第2モータジェネレータMG2を等パワー制御している。
−トルクダウン制御−
まず、ハイブリッド車両HVにおいて、第2モータジェネレータMG2のトルクダウンを行うと、消費電力が減少するため余剰な電力が発生する。その余剰電力量を吸収するには、発電量の低減またはバッテリ5への充電のいずれかの方法を実施する必要があるが、上述したように、発電量を低減するには、エンジントルクの反力を受け持つ第1モータジェネレータMG1のトルクを低減することが必要になるが、第1モータジェネレータMG1のトルクを低減すると、エンジン過回転を招く場合があるため、エンジン1が高回転の条件では実施することができない。また、バッテリ5への充電により余剰電力量を吸収する方法の場合、バッテリ5の充電制限(温度による制限や、SOCによる制限など)があるときには実施できない。
そして、このような理由で変速中にトルクダウンを実施できないと、変速対象である第2モータジェネレータMG2の吹きを制限できなくなるため、第2モータジェネレータMG2の回転数と係合目標回転数(目標変速段の同期回転数)との間に差回転がある状態で摩擦係合要素が係合することになり、係合ショックが生じる場合がある。
そのような点を考慮して、この例ではバッテリ制限やエンジン回転数に影響されずに、自動変速機3の変速中に第2モータジェネレータMG2のトルクダウンを実施できるようにする。その具体的な制御の例について図9のフローチャートを参照して説明する。図9の制御ルーチンは、ECU100において所定時間(例えば数msec)毎に繰り返して実行される。
まず、ステップST10では、自動変速機3の変速を開始したか否かを判定し、その判定結果が肯定判定である場合はステップST20に進む。具体的には、自動変速機3のギヤ段が「Hi」または「Lo」の状態で走行している状況から、ハイブリッド車両HVの走行状態が変化して図8の変速線を跨いだときに変速(ダウン変速またはアップ変速)が開始されるので、その変速開始時点でステップST20に進む。ステップST10の判定結果が否定判定である場合はリターンする。
ステップST20では、第2モータジェネレータMG2のトルクダウン量T1を決定する。具体的には、上記と同様な処理により、アクセル開度Ac及び車速Vに基づいて図7に示すマップを参照して要求トルクTrを算出し、その要求トルクTrに基づいて図10のマップを参照してトルクダウン量T1を決定する。ここで、変速中のトルクダウンは、変速ショックの低減、自動変速機3の摩擦係合要素(ブレーキB1,B2)の負荷の低減、モータ過回転の防止などを目的として行う。
図10のトルクダウン量算出マップは、要求トルクTcをパラメータとして変速ショック及び摩擦係合要素の負荷などを低減できるような値を実験・計算等によって求めた値をマップ化したものであり、ECU100のROM102内に記憶されている。図10のマップにおいて、トルクダウン量T1は要求トルクTrに応じて、要求トルクTrが大きくなるほど大きな値が設定されている。なお、トルクダウン量T1は、上記した要求トルクTrを用いて演算式に従って算出するようにしてもよい。
次に、ステップST30において、ステップST20で決定したトルクダウン量T1のトルクダウンを実施した場合に発生する発生充電量W1を予測する。この発生充電量W1について説明する。まず、ハイブリッド車両HVの駆動装置では、通常、電力収支はジェネレータ発電量・バッテリ充放電量・モータ消費量を全て足すとゼロとなるように制御されているため、第2モータジェネレータMG2だけトルクダウンすると、そのトルクダウン分がそのまま発電量(充電量)として発生する。その発生発電量W1は、[発生発電量W1=モータ回転数×トルクダウン量T1]と表すことができるので、この演算式を用いて、モータ回転数(第2モータジェネレータMG2の回転数)及びステップST20で求めたトルクダウン量T1に基づいて発生発電量W1を算出する。なお、モータ回転数は、例えば入力軸回転数センサ203の出力信号に基づいて算出する。
ここで、モータ回転数は変速中において変化していく。また、トルクダウン量も変速進行度に応じて変化させたり、モータ吹き抑えとして通常よりも大きいトルクダウン量が必要になる場合があるので、この例では、上記した演算式を用いて発生発電量W1を常時算出するようにする。なお、発生発電量W1は、モータ回転数及びトルクダウン量をパラメータする変数マップを用いて算出するようにしてもよい。
ステップST40においては、バッテリ温度センサ208にて検出されるバッテリ温度及びSOCから決定されるバッテリ充電許可量(Win)が、ステップST30で算出した発生発電量W1よりも小さいか否かを判定し、その判定結果が肯定判定である場合(バッテリ充電許可量<W1)はステップST50に進み。ステップST40の判定結果が否定判定である場合(バッテリ充電許可量≧W1)はステップST80に進む。なお、ステップST40の判定処理に用いるバッテリ充電許可量は、変速中のイナーシャ相で等パワー制御にずれが生じて充電量が増えることや、エアコンなどの補機負荷の減少により充電量が増えることなどの余裕分を考慮して算出するようにしてもよい。また、バッテリ充電許可量は、モータ、インバータ、バッテリの損失分などを考慮して算出するようにしてもよい。
以上のステップST40が肯定判定でステップST50の処理が実行される状況のときには、バッテリ5だけで発生充電量W1を吸収することができないことが分かっているので、ステップST50では、バッテリ5で吸収できない充電量の分だけ第1モータジェネレータMG1による発電量を減らした場合のエンジン回転数上昇量N1を予測する。
エンジン回転数上昇量N1は、N1=[(現在のエンジントルク−MG1トルクダウンによる反力(トルク)減少分)×単位時間÷エンジン慣性モーメント]から推定(予測)する。ここで、現在のエンジントルクは、エンジン動作状況により推定するか、またはMG1トルクにより推定する。MG1トルクダウンによる反力減少分は、[(発生充電量/MG1回転数)×ギヤ比]から推定する。なお、単位時間はECU100の処理周期である。
そして、ステップST60においては、エンジン回転数センサ201の出力信号から現在のエンジン回転数を読み込み、その現在のエンジン回転数から上記ステップST50で計算されたN1だけ回転数が上昇した場合に、その上昇回転数(エンジン回転数+N1)がエンジン上限回転数Nmaxを超えるか否かを判定する。ステップST60の判定結果が肯定判定である場合([エンジン回転数+N1]>Nmax)はステップST70に進む。ステップST60の判定結果が否定判定である場合([エンジン回転数+N1]≦Nmax)はステップST80に進む。なお、エンジン上限回転数Nmaxは、エンジン1自体のハード限界・制御限界、及び、第1モータジェネレータMG1の上限回転数や駆動力伝達系の回転体の上限回転数(ギヤ回転数など)などを考慮して決定される。
ステップST70では、第2モータジェネレータMG2の駆動効率を低下(損失増加)させて、ステップST20で求めたトルクダウン量T1だけトルクダウンを実施する。第2モータジェネレータMG2の駆動効率を低下させる方法としては、インバータ4のキャリア周波数を高くしてスイッチングロスを増加させる方法や、第2モータジェネレータMG2の駆動電流の位相をロータ磁界に対してずらす方法などを挙げることができる。
一方、ステップST60の判定結果が否定判定である場合は、トルクダウンによる発生充電量W1を吸収することが可能であると判断して、通常のトルク制御と同様に、第2モータジェネレータMG2のトルク指令値を低下させ、駆動電流を小さくすることによってトルクダウンを実施する(ステップST80)。
以上のように、この例の制御によれば、変速中に第2モータジェネレータMG2のトルクダウンを実施したときに発生する発生充電量W1を予測し、その発生充電量W1がバッテリ充電許可量よりも大きくて、エンジン1が過回転する可能性がある場合は、第2モータジェネレータMG2の駆動効率を低下させてトルクダウンを実施しているので、トルクダウンを行っても消費電力が減らなくなり、電力収支が変化しない。これによって、バッテリ制限やエンジン回転数に影響されずに、変速中のトルクダウンを実施することが可能となり、変速ショックの悪化を防ぐことができる。
−他の実施形態−
以上の例では、変速中に必要なトルクダウンの全てを、第2モータジェネレータMG2の駆動効率を低下させる方法で実施しているが、これに限られることなく、変速中に第2モータジェネレータMG2の駆動電流を低下させる制御が実施可能である場合、その実施可能範囲(条件)内において、可能な限り駆動電流低下によるトルクダウンを実施し、不足分のトルクダウン量を第2モータジェネレータMG2の駆動効率低下によるトルクダウンで補うという制御を行ってもよい。この場合、駆動効率低下つまりモータ損失を少なくすることができるので、燃費の悪化を低減できる。
ここで、第2モータジェネレータMG2の駆動効率を低下させる方法としては、上記したインバータ4のキャリア周波数を高くしてスイッチングロスを増加させることにより駆動効率を低下させる第1の駆動効率低下方法、及び、第2モータジェネレータMG2の駆動電流の位相をロータ磁界に対してずらすことにより駆動効率を低下させる第2の駆動効率低下方法と、それら第1の駆動効率低下方法及び第2の駆動効率低下方法の両方で駆動効率を低下させる第3の駆動効率低下方法とを挙げることができ、これら第1の駆動効率低下方法、第2の駆動効率低下方法、または、第3の駆動効率低下方法のうち、いずれか1つの方法を選択して第2モータジェネレータMG2の駆動効率を低下させて変速中のトルクダウンを行うようにしてもよい。具体的には、例えば、変速中に必要なトルクダウン量T1が小さくて、第1の駆動効率低下方法または第2の駆動効率低下方法のみでトルクダウンを達成できる場合は、第1の駆動効率低下方法または第2の駆動効率低下方法のいずれか一方の方法を選択して第2モータジェネレータMG2の駆動効率を低下させ、トルクダウン量T1が大きい場合には第3の駆動効率低下方法を選択して第2モータジェネレータMG2の駆動効率を低下させる。
また、第1または第2の駆動効率低下方法のいずれか一方の方法を選択する場合は、インバータ4及び第2モータジェネレータMG2の現在の温度をそれぞれ温度センサ等によって検出し、その温度検出結果に基づいて、インバータ4または第2モータジェネレータMG2のうち、許容温度に対する余裕が大きい方の発熱量が大きくなる方法(第1または第2の駆動効率低下方法)を選択して第2モータジェネレータMG2の駆動効率を低下させるようにしてもよい。例えば、インバータ4の方が許容温度に対して余裕がある場合は第1の駆動効率低下方法を選択し、第2モータジェネレータMG2の方が許容温度に対して余裕がある場合は第2の駆動効率低下方法を選択して、第2モータジェネレータMG2の駆動効率を低下させる。
また、第3の駆動効率低下方法を選択する場合、同様に、インバータ4及び第2モータジェネレータMG2の現在の温度を検出し、インバータ4の方が許容温度に対して余裕がある場合、インバータ4の発熱量を大きく設定し、第2モータジェネレータMG2の発熱量を小さく設定するという制御を行い、第2モータジェネレータMG2の方が許容温度に対して余裕がある場合、第2モータジェネレータMG2の発熱量を大きく設定し、インバータ4の発熱量を小さく設定するという制御によって第2モータジェネレータMG2の駆動効率低下を行うようにすればよい。
このようにインバータ4及び第2モータジェネレータMG2の発熱量を考慮して駆動効率低下を制御することにより、インバータ4及び第2モータジェネレータMG2の熱負荷の上昇を抑えながら変速中のトルクダウンを実施することができる。
以上の例では、前進2段変速の自動変速機が搭載された車両の制御に本発明を適用した例を示したが、本発明はこれに限られることなく、例えば前進4段変速等の他の任意の変速段の遊星歯車式自動変速機が搭載された車両の制御にも適用可能である。
以上の例では、ガソリンエンジンを搭載した車両の制御に本発明を適用した例を示したが、本発明はこれに限られることなく、ディーゼルエンジン等の他のエンジンを搭載した車両の制御にも適用可能である。さらに、本発明は、FR(フロントエンジン・リアドライブ)型車両に限られることなく、FF(フロントエンジン・フロントドライブ)型車両や、4輪駆動車の制御にも適用できる。
本発明を適用するハイブリッド車両の一例を示す概略構成図である。 図1のハイブリッド車両に搭載される自動変速機の概略構成図である。 図1に示す自動変速機の作動表である。 自動変速機の油圧制御回路の一部を示す回路構成図である。 シフト操作装置の要部斜視図(a)及びシフト操作装置のシフトゲート(b)を併記して示す図である。 ECU等の制御系の構成を示すブロック図である。 要求トルク算出に用いるマップの一例を示す図である。 変速制御に用いる変速マップの一例を示す図である。 ECUが実行するトルクダウン制御の一例を示すフローチャートである。 トルクダウン量算出用のマップを示す図である。
符号の説明
1 エンジン
2 動力分配機構
21 リングギヤ軸
3 自動変速機
30 入力軸
33 出力軸
300 油圧制御回路
B1,B2 ブレーキ(摩擦係合要素)
4 インバータ
5 バッテリ(蓄電装置)
7 駆動輪
8 シフト操作装置
S シーケンシャルポジション
MG1 第1モータジェネレータ
MG2 第2モータジェネレータ
100 ECU

Claims (7)

  1. 走行用の駆動力を出力するエンジン及び電動機と、前記電動機からの発電電力の充電及び電動機への電力供給が可能な蓄電装置と、変速機とを備え、前記電動機からの動力を前記変速機を介して駆動輪に出力する車両の制御装置であって、
    前記変速機の変速中に、一時的に前記電動機の損失を増加させて当該電動機の駆動効率を低下させるトルクダウン制御手段を備えていることを特徴とする車両の制御装置。
  2. 請求項1記載の車両の制御装置において、
    前記トルクダウン制御手段は、前記変速機の変速中に、前記電動機の駆動電流を低下させる制御を実施できない場合には、前記電動機の駆動効率低下のみでトルクダウンを実施することを特徴とする車両の制御装置。
  3. 請求項1記載の車両の制御装置において、
    前記トルクダウン制御手段は、前記変速機の変速中に、前記電動機の駆動電流を低下させる制御が実施可能である場合、その実施可能範囲内で前記電動機の駆動電流低下によるトルクダウンを実施し、不足分のトルクダウン量を前記駆動効率低下によるトルクダウンで補うことを特徴とする車両の制御装置。
  4. 請求項1〜3のいずれか1つに記載の車両の制御装置において、
    前記駆動効率を低下させる方法が複数設定されており、前記トルクダウン制御手段は、前記複数の駆動効率低下方法のうち、いずれか1つの方法を選択して前記電動機の駆動効率を低下させることを特徴とする車両の制御装置。
  5. 請求項4記載の車両の制御装置において、
    前記電動機のインバータのキャリア周波数を高くしてスイッチングロスを増加させることにより電動機の駆動効率を低下させる第1の駆動効率低下方法、前記電動機の駆動電流の位相をロータ磁界に対してずらすことにより電動機の駆動効率を低下させる第2の駆動効率低下方法、または、前記第1の駆動効率低下方法及び第2の駆動効率低下方法の両方で電動機の駆動効率を低下させる第3の駆動効率低下方法のうち、いずれか1つの方法を選択してトルクダウンを行うことを特徴とする車両の制御装置。
  6. 請求項5記載の車両の制御装置において、
    前記インバータ及び電動機の各温度を検出し、その温度検出結果に基づいて、前記インバータまたは電動機のうち、許容温度に対する余裕が大きい方の発熱量が大きくなるように前記駆動効率低下を制御することを特徴とする車両の制御装置。
  7. 請求項1〜6のいずれか1つに記載の車両の制御装置において、
    手動にて変速操作を行うシーケンシャルモードを選択する機能を備えていることを特徴とする車両の制御装置。
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