JP2009197149A - ディップ成形用共重合体ラテックス、ディップ成形用組成物およびディップ成形品 - Google Patents

ディップ成形用共重合体ラテックス、ディップ成形用組成物およびディップ成形品 Download PDF

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【課題】 重合安定性が高いディップ成形用共重合体ラテックス、機械的安定性、および塩凝固性の良好なディップ成形用組成物、および風合い、引張り強度、伸び等の物性に優れるディップ成形品を提供。
【解決手段】 1,3−ブタジエン30〜80重量%、アクリロニトリル15〜50重量%、エチレン性不飽和カルボン酸系単量体0.1〜10重量%およびこれらと共重合可能な他のエチレン性不飽和単量体0〜54.9重量%からなる単量体を乳化重合して得られる共重合体ラテックスであって、粒子結合酸量をA(meq/g)、粒子非結合酸量をB(meq/g)とした場合、0.05≦B/A≦0.5であることを特徴とするディップ成形用共重合体ラテックス。
【選択図】なし

Description

本発明はディップ成形用共重合体ラテックス、ディップ成形用組成物およびディップ成形品に関するものである。更に詳しくは、重合安定性が高いディップ成形用共重合体ラテックス、機械的安定性と凝固液に対する塩凝固性のバランスが良好なディップ成形用組成物、および風合い、引張り強度、伸び等の物性に優れるディップ成形品に関するものである。
近年、ゴム手袋は、安全衛生に対する関心の高まりから医療(院内感染、SARS感染予防など)、食品加工分野(O−157問題)および電子部品製造分野など各方面において広く使用されている。これらゴム手袋の製造方法の1つとしてディップ成形法が挙げられる。ディップ成形法としては、木材、ガラス、陶磁、金属又はプラスチックなどから作られた型を予め凝固剤液に浸漬した後、天然ゴムラテックス組成物や合成ゴムラテックス組成物に浸漬するアノード凝着浸漬法や、型をラテックス組成物に浸漬した後、凝固液に浸漬するティーグ凝着浸漬法などが知られており、これらのディップ成形法により得られる成形物がディップ成形品である。
ディップ成形用ラテックスの代表的なものとして天然ゴムラテックス、あるいはアクリロニトリル・ブタジエンゴム(NBRゴム)などの合成ゴムラテックスが知られている。最近、前者の天然ゴムラテックスは、含有する微量蛋白質が原因で使用者によってはアレルギー反応を引き起こす場合があり、後者の蛋白質を含まない合成ゴムラテックス(NBRゴム−共重合体ラテックス)が注目され、使用量も多くなってきている。
また、使用量の増加に伴いディップ成形用共重合体ラテックスには高生産性、高品質化が推し進められている。高生産性に関しては、ディップ成形用組成物の使用時に凝集物を作らないように、また、ディップ成形品の重大な欠陥となるピンホールを誘発する凝集物の発生を低減するために良好な機械的安定性や、凝固液に対する良好な塩凝固性が要求されている。また高品質化については、このディップ成形用組成物より得られたディップ成形品の風合い、引張り強度、伸び等の高いレベルでの物性が求められている。
例えば、特開平6−182788号公報(特許文献1)では、NBRラテックスのメチルエチルケトン不溶分とポリスチレン換算重量平均分子量を調整することで膜厚が均一で風合いが柔らかいディップ成形物を得る事が開示されている。
また、再公表特許国際公開WO2002/036665号公報(特許文献2)では、水溶性多価金属塩によって架橋することにより、ピンホールが少なく、風合いが良好で、かつ十分な強度を有するディップ成形物を得ることが開示されている。
更に、特開平7−60766号公報(特許文献3)では、凝固液として、カルシウム塩濃度が65〜90%で且つチクソトロピー値が0.6〜2.0であるカルシウム塩・メタノール溶液を用いることにより、比較的厚い膜厚を有し、且つ膜厚の均一性が良いゴム成形品を製造する方法が開示されている。
しかしながら、ディップ成形物に要求される性能は更に高くなっており、従来の技術だけでは、その要求に応えられなくなっていた。
特開平6−182788号公報 再公表特許国際公開WO2002/036665号公報 特開平7−60766号公報 特開2007−126613号公報
本発明の目的は、重合安定性が高いディップ成形用共重合体ラテックス、機械的安定性、および塩凝固性の良好なディップ成形用組成物、および風合い、引張り強度、伸び等の物性に優れるディップ成形品を提供することにある。
本発明者らは、前述の諸事情に鑑み鋭意検討した結果、粒子結合酸量と粒子非結合酸量を特定の比率として得られるディップ成形用共重合体ラテックスが高い重合安定性を有し、得られるディップ成形用組成物が良好な機械的安定性、および塩凝固性を有し、さらに、得られるディップ成形品が、風合い、引張り強度、かつ伸び等の物性バランスに優れることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち本発明は、1,3−ブタジエン30〜80重量%、アクリロニトリル15〜50重量%、エチレン性不飽和カルボン酸系単量体0.1〜10重量%およびこれらと共重合可能な他のエチレン性不飽和単量体0〜54.9重量%からなる単量体(合計)100重量部を乳化重合して得られた共重合体ラテックスであって、粒子結合酸量をA(meq/g)、粒子非結合酸量をB(meq/g)とした場合、0.05≦B/A≦0.5であることを特徴とするディップ成形用共重合体ラテックス、ディップ成形用組成物、およびこのディップ成形用組成物をディップしてなるディップ成形品を提供するものである。
本発明により、重合安定性が高いディップ成形用共重合体ラテックス、機械的安定性と塩凝固性に良好なディップ成形用組成物、かつ、風合い、引張り強度、伸び等の物性バランスに優れるディップ成形品を得ることが可能となり、医療、食品加工分野および電子部品製造分野など各方面において広く使用されるゴム手袋等を得ることができ、極めて有用である。
以下に、本発明を詳細に説明する。
本発明における共重合体ラテックスの単量体組成は、1,3−ブタジエン30〜80重量%、アクリロニトリル15〜50重量%、エチレン性不飽和カルボン酸系単量体0.1〜10重量%およびこれらと共重合可能な他のエチレン性不飽和単量体0〜54.9重量%により構成される。
1,3−ブタジエンは全単量体中、30〜80重量%の範囲で使用されることが必要である。1,3−ブタジエンが30重量%未満では乾燥後のラテックスポリマーがNBRゴムとしての性質を呈さず、好ましくない。1,3−ブタジエンが80重量%を越えると耐油性が低下する。好ましくは50〜75重量%である。
アクリロニトリルは全単量体中、15〜50重量%の範囲で使用されることが必要である。アクリロニトリルが15重量%未満では耐油性が低下し、50重量%を越えると乾燥後ラテックスポリマーがNBRゴムとしての性質を呈さず、好ましくない。好ましくは20〜45重量%である。
本発明にて使用されるエチレン性不飽和カルボン酸系単量体としては、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、フマール酸、イタコン酸、マレイン酸などが挙げられ、1種または2種以上用いることができる。特にメタクリル酸が好ましい。
エチレン性不飽和カルボン酸系単量体は全単量体中、0.1〜10重量%の範囲で使用されることが必要である。エチレン性不飽和カルボン酸系単量体が0.1重量%未満では、ディップ成形用組成物の機械的安定性が低下し、10重量%を越えると共重合体ラテックスの粘度が高くなりすぎ、全ての用途で取り扱い上の問題を発生する可能性が高くなるため好ましくない。
本発明に使用される上記単量体と共重合可能な他のエチレン性不飽和単量体としては、例えば、2−メチル−1,3−ブタジエン、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン、2−クロル−1,3−ブタジエン、置換直鎖共役ペンタジエン類、置換および側鎖共役ヘキサジエン類などの脂肪族共役ジエン化合物、例えば、メタクリロニトリル、α−クロルアクリロニトリル、α−エチルアクリロニトリルなどシアン化ビニル化合物、例えば、スチレン、α−メチルスチレンなどの芳香族ビニル化合物、例えば、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸2−ヒドロキシエチル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル、メタクリル酸グリシジルなどの不飽和カルボン酸アルキルエステル化合物、例えば、アクリルアミド、メタクリロアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、N−メチロールアクリルアミドなどのエチレン系不飽和カルボン酸アミド化合物、例えば、酢酸ビニルなどのカルボン酸ビニルエステル類、例えば、メチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、2−ビニルピリジン、などのエチレン系不飽和アミン化合物などが挙げられ、1種または2種以上用いることができる。共重合可能な他のエチレン性不飽和単量体は全単量体中、0〜54.9重量%の範囲で使用されることが必要である。好ましくは0〜29.9重量%である。
本発明により得られる共重合体ラテックスは、粒子結合酸量をA(meq/g)、粒子非結合酸量をB(meq/g)とした場合、0.05≦B/A≦0.5であることが必要である。B/Aが0.05未満では凝固液に対する塩凝固性が低下し、目的の厚みのディップ成形品を得るのが困難であり、0.5を越えると共重合体ラテックス、およびディップ成形用組成物の機械的安定性が低下するとともに、ディップ成形品の引張強度が低下する。好ましくは0.1≦B/A≦0.45であり、さらに好ましくは0.15≦B/A≦0.4である。
なお、本発明では、共重合体ラテックス粒子に結合しているカルボン酸を粒子結合酸、共重合体ラテックス粒子に結合していないカルボン酸を粒子非結合酸とするものであるが、具体的には下記実施例に記載の滴定法により測定されるものである。
また、上記のB/Aの値は、共重合時の重合温度、重合速度、各単量体(特にエチレン性不飽和カルボン酸系単量体)の添加量や添加時期、およびカルボン酸系重合体(例:ポリアクリル酸ナトリウム、ポリアクリル酸アンモニウム・・・等)などの添加により調整が可能である。
本発明における共重合体ラテックスの数平均粒子径については特に制限はないが、好ましくは200nm以下であり、さらに好ましくは180nm以下であり、最も好ましい共重合体ラテックスの数平均粒子径は50〜150nmである。
また、本発明における共重合体ラテックスのゲル含有量についても特に制限はないが、好ましくは90重量%以下、さらに好ましくは85重量%以下である。
本発明の共重合体ラテックスを乳化重合するに際しては、常用の乳化剤、重合開始剤、還元剤、連鎖移動剤、酸化還元触媒、電解質、重合促進剤、キレート剤等を使用することができる。
本発明の共重合体ラテックスの製造に使用できる乳化剤としては高級アルコールの硫酸エステル塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルジフェニルエーテルジスルホン酸塩、脂肪族スルホン酸塩、脂肪族カルボン酸塩、非イオン性界面活性剤の硫酸エステル塩等のアニオン性界面活性剤あるいはポリエチレングリコールのアルキルエステル型、アルキルフェニルエーテル型、アルキルエーテル型等のノニオン性界面活性剤が挙げられ、これらを1種又は2種以上使用することができる。特に、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルジフェニルエーテルジスルホン酸塩が好ましい。
重合開始剤としては、過硫酸カリウム、過硫酸ナトリウム、過硫酸アンモニウム等の水溶性重合開始剤、クメンハイドロパーオキサイド、過酸化ベンゾイル、t−ブチルハイドロパーオキサイド、アセチルパーオキサイド、ジイソプロピルベンゼンハイドロパーオキサイド、1,1,3,3−テトラメチルブチルハイドロパーオキサイド等の油溶性重合開始剤を適宜用いることができる。特に過硫酸カリウム、過硫酸ナトリウム、過硫酸アンモニウムの水溶性重合開始剤の使用が好ましい。
本発明において好ましく用いられる還元剤の具体例としては、亜硫酸塩、亜硫酸水素塩、ピロ亜硫酸塩、亜ニチオン酸塩、ニチオン酸塩、チオ硫酸塩、ホルムアルデヒドスルホン酸塩、ベンズアルデヒドスルホン酸塩、また、L−アスコルビン酸、酒石酸、クエン酸などのカルボン酸類、更にはデキストロース、サッカロースなどの還元糖類、更にはジメチルアニリン、エチレンジアミン四酢酸塩、トリエタノールアミンなどのアミン類が挙げられる。
本発明の共重合体ラテックスの製造に使用できる連鎖移動剤としては、n−ヘキシルメルカプタン、n−オクチルメルカプタン、t−オクチルメルカプタン、n−ドデシルメルカプタン、t−ドデシルメルカプタン、n−ステアリルメルカプタン等のアルキルメルカプタン、ジメチルキサントゲンジサルファイド、ジイソプロピルキサントゲンジサルファイド等のキサントゲン化合物、ターピノレンや、テトラメチルチウラムジスルフィド、テトラエチルチウラムジスルフィド、テトラメチルチウラムモノスルフィド等のチウラム系化合物、2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール、スチレン化フェノール等のフェノール系化合物、アリルアルコール等のアリル化合物、ジクロルメタン、ジブロモメタン、四臭化炭素等のハロゲン化炭化水素化合物、α−ベンジルオキシスチレン、α−ベンジルオキシアクリロニトリル、α−ベンジルオキシアクリルアミド等のビニルエーテル、トリフェニルエタン、ペンタフェニルエタン、アクロレイン、メタアクロレイン、チオグリコール酸、チオリンゴ酸、2−エチルヘキシルチオグリコレート等が挙げられ、これらを1種または2種以上使用することができる。特に、n−オクチルメルカプタンやt−ドデシルメルカプタンが好ましい。これらの連鎖移動剤の量は特に限定されないが、通常、単量体100重量部に対して0〜5重量部にて使用される。
また、本発明においては連鎖移動剤としてα−メチルスチレンダイマーも使用することが可能である。α−メチルスチレンダイマーには、異性体として2,4−ジフェニル−4−メチル−1−ペンテン、2,4−ジフェニル−4−メチル−2−ペンテンおよび1,1,3−トリメチル−3−フェニルインダンがあるが、本発明に使用されるα−メチルスチレンダイマーとしては、2,4−ジフェニル−4−メチル−1−ペンテンの含有量が60重量%以上、特に80重量%以上であることが好ましい。なお、α−メチルスチレンダイマーは沸点が高く、共重合体ラテックスの製造後もラテックス粒子中に残留するため、本発明の目的とは別の環境問題から、その使用量は単量体100重量部に対して2重量部未満とすることが好ましい。
また、重合に際してペンテン、ヘキセン、ヘプテン、シクロペンテン、シクロヘキセン、シクロヘプテン、4−メチルシクロヘキセン、1−メチルシクロヘキセン等の不飽和炭化水素を使用しても良い。特に、沸点が適度に低く、重合終了後に水蒸気蒸留などによって回収、再利用しやすいシクロヘキセンが、本発明の目的とは異なるものの、環境問題の観点から好適である。
さらに、共重合体ラテックスには、必要に応じて、老化防止剤、防腐剤、分散剤、増粘剤などを適宜添加することができる。
本発明における重合方法は、一段重合、二段重合、多段階重合、シード重合、パワーフィード重合法等何れを採用してもよい。また、本発明の重合方法における各種成分の添加方法についても特に制限されるものではなく、一括添加方法、分割添加方法、連続添加方法の何れも採用することができる。
本発明における共重合体ラテックスは、ディップ成形用共重合体ラテックスとして使用される。ディップ成形物を得るためには、例えば直接浸漬法、アノード凝着浸漬法、ティーグ浸漬法など従来公知のディップ成形法がいずれも適応される。
以下、アノード凝着浸漬法について簡単に説明する。まず、型を凝固液に浸漬し、引き上げて乾燥することにより型表面に凝固剤が付着した状態にする。凝固液は、塩化カルシウム、硝酸カルシウム、酢酸カルシウムなどのカルシウム塩を水、またはアルコール、ケトンなどの親水性有機溶媒に溶解させたものである。凝固液中のカルシウム濃度は、通常5〜50重量%、好ましくは10〜30重量%である。凝固液には必要に応じてノニオン、アニオン界面活性剤などの界面活性剤、炭酸カルシウム、タルク、シリカゲルなどの充填剤を配合してもよい。ついで凝固剤が付着した型をディップ成形用共重合ラテックス組成物中に浸漬し、引き上げる。この時、凝固剤と共重合ラテックスが反応して型上にゴム状皮膜が形成される。得られた皮膜を水洗、乾燥した後、型から剥離すればディップ成形物となる。
本発明のディップ成形用ラテックス組成物には、必要に応じて、天然ゴムラテックス、イソプレンゴムラテックスなどのゴムラテックス、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、アンモニア水などのpH調整剤、コロイド硫黄、チウラムジスルフィドなどの加硫剤、ジアルキルジチオカルバミン酸塩、キサントゲン酸塩などの加硫促進剤、亜鉛華、リサージ(PbO)、鉛丹(Pb3O4)、酸化マグネシウムなどの加硫促進助剤、無水フタル酸、安息香酸、サリチル酸、炭酸マグネシウムなどの充填剤、スチレン化フェノール、イミダゾール類、パラフェニレンジアミンなどの老化防止剤、ファーストイエロー、フタロシアンブルー、群青などの着色剤など適宜配合してもよい。
[実施例]
以下、実施例を挙げて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はその要旨を超えない限り、これらの実施例に限定されるものではない。なお実施例中、割合を示す部および%は特に断りのない限り重量基準によるものである。また実施例における諸物性の評価は次の方法に拠った。
共重合体ラテックスの数平均粒子径測定
数平均粒子径を動的光散乱法により測定した。測定に際しては、大塚電子株式会社製FPAR−1000を使用した。
共重合体ラテックスのゲル含有量の測定
室温雰囲気にて24時間乾燥させ、共重合体ラテックスのフィルムを作成する。そのフィルムを約1g秤量し、これを400ccのメチルエチルケトンに入れ48時間膨張溶解させる。その後、これを300メッシュの金網で濾過し、金網に捕捉されたメチルエチルケトン不溶部を乾燥後秤量し、この重量のはじめのフィルム重量に占める割合をゲル含有量として重量%で算出した。
共重合体ラテックスの結合酸量、非結合酸量の測定
5重量%に希釈した共重合体ラテックスに0.1Nの水酸化ナトリウム水溶液を50g、四塩化炭素を3g添加後、1時間攪拌した。その後、遠心分離装置にてラテックス粒子を遠心沈降させ上澄み層とラテックス粒子層を分離した。得られた二層をそれぞれ純水で希釈し、0.1Nの塩酸を過剰量添加した後、0.1Nの水酸化ナトリウム水溶液で逆滴定し、得られた電気伝導度曲線から粒子結合酸量(A(meq/g))、および粒子非結合酸量(B(meq/g))をラテックス固形分1gあたりのミリ当量(meq)として求めた。
共重合体ラテックスの重合安定性の測定
共重合体ラテックス中の重合安定性の評価を以下の方法で行った。
重合終了後のラテックスを300メッシュの金網で濾過し、金網に捕捉された凝集物を秤量する。結果を表1および表2に示した。
○:捕捉された凝集物が0.05g以下/ラテックス100g
△:捕捉された凝集物が0.05gを越えて、0.10g以下/ラテックス100g
×:捕捉された凝集物が0.10gを超える/ラテックス100g
ディップ成形用組成物の機械的安定性の測定
ディップ成形用組成物の機械的安定性の評価を以下の方法で行った。熊谷理機工業株式会社製マロン式機械的安定性試験機を用いて、予め300メッシュで濾過したディップ成形用組成物50g(固形分濃度33%)にローター回転数1000rpm、ローター荷重30kg、回転時間15分間の条件で機械的せん断を与えた後、試料を300メッシュで濾過した。捕捉された凝固物を水洗、乾燥した後、元の固形分量に対する凝固物の割合を重量%で求めた。結果を表1および表2に示した。
○:発生凝固物の割合が0.01重量%以下
△:発生凝固物の割合が0.01重量%を超えて、0.05%以下
×:発生凝固物の割合が0.05重量%を超える
ディップ成形物の各物性については、下記のとおり評価を行い、結果を表1および表2に示した。
ディップ成形物の厚み測定
作成したディップ成形物(手袋)の掌部分から4点の厚みを測定し、平均した。手袋の厚みが薄いことは、凝固液に対する塩凝固性が低く、所望の厚みを得るのが難しいとともに、厚みムラ等の欠陥を生じやすいことを示す。
ディップ成形物の風合い評価
風合いの評価は、手袋形状のディップ成形物を引張り速度500mm/minにて引張り、300%伸びに到達した時の引張応力を測定した。この数値が小さいほど風合いは良好であることを示す。
ディップ成形物の引張り強度評価
引張り強度評価は、手袋形状のディップ成形物を引張り速度500mm/minにて引張り、破断直前の引張り強度を測定した。
ディップ成形物の伸び評価
伸び評価は、手袋形状のディップ成形物を引張り速度500mm/minにて引張り、破断直前の伸びを測定した。
実施例1
共重合体ラテックス1の作製(本発明例)
耐圧性の重合反応機に、窒素雰囲気下で、重曹0.6部、表1の添加1に示す各単量体、n−オクチルメルカプタン、α−メチルスチレンダイマー、シクロヘキセン、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、純水を加えて25℃に昇温した後に、クメンハイドロパーオキサイド、ナトリウムホルムアルデヒドスルホキシレートを加えて重合を開始した。重合開始5時間後に、表1の添加2に示す各単量体、クメンハイドロパーオキサイド、ナトリウムホルムアルデヒドスルホキシレート、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、純水を添加し、重合を継続した。重合開始から23時間後に、苛性カリ水溶液でpHを8に調整し、重合停止剤として表1に示すジエチルヒドロキシルアミンを添加する。その後に、90℃にて水蒸気蒸留を15時間行い、未反応単量体および他の低沸点化合物を除去した。さらに、苛性カリ水溶液でpHを約9に調整して、表1に示す数平均粒子径、ゲル含有量、非結合酸量/結合酸量の共重合体ラテックス1を得た。
実施例2
共重合体ラテックス2の作製(本発明例)
耐圧性の重合反応機に、窒素雰囲気下で、重曹0.6部、表1の添加1に示す各単量体、t−ドデシルメルカプタン、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、純水を加えて35℃に昇温した後に、クメンハイドロパーオキサイド、L−アスコルビン酸を加えて重合を開始した。重合開始3時間後に、表1の添加2に示す各単量体、t−ドデシルメルカプタン、クメンハイドロパーオキサイド、L−アスコルビン酸、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、純水を添加し、重合を継続した。重合開始から17時間後に、苛性カリ水溶液でpHを8に調整し、重合停止剤として表1に示すジエチルヒドロキシルアミンを添加する。その後に、90℃にて水蒸気蒸留を15時間行い、未反応単量体および他の低沸点化合物を除去した。さらに、苛性カリ水溶液でpHを約9に調整して、表1に示す数平均粒子径、ゲル含有量、非結合酸量/結合酸量の共重合体ラテックス2を得た。
実施例3
共重合体ラテックス3の作製(本発明例)
耐圧性の重合反応機に、窒素雰囲気下で、重曹0.6部、表1の添加1に示す各単量体、t−ドデシルメルカプタン、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、アルキルジフェニルエーテルジスルホン酸ナトリウム、純水を加えて40℃に昇温した後に、クメンハイドロパーオキサイド、L−アスコルビン酸を加えて重合を開始した。重合開始3時間後に、表1の添加2に示す各単量体、t−ドデシルメルカプタン、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、アルキルジフェニルエーテルジスルホン酸ナトリウム、純水を添加し、重合を継続した。重合開始から15時間後に、苛性カリ水溶液でpHを8に調整し、重合停止剤として表1に示すジエチルヒドロキシルアミンを添加する。さらに、表1に示すポリアクリル酸ナトリウム(東亞合成株式会社製 T−50)を添加した。その後に、90℃にて水蒸気蒸留を15時間行い、未反応単量体および他の低沸点化合物を除去した。さらに、苛性カリ水溶液でpHを約9に調整して、表1に示す数平均粒子径、ゲル含有量、非結合酸量/結合酸量の共重合体ラテックス3を得た。
実施例4
共重合体ラテックス4の作製(本発明例)
耐圧性の重合反応機に、窒素雰囲気下で、重曹0.6部、表1の添加1に示す各単量体、過硫酸カリウム、t−ドデシルメルカプタン、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、純水を加えて50℃に昇温した後に、クメンハイドロパーオキサイド、L−アスコルビン酸を加えて重合を開始した。重合開始から14時間後に、苛性カリ水溶液でpHを8に調整し、重合停止剤として表1に示すジエチルヒドロキシルアミンを添加する。さらに、表1に示すポリアクリル酸ナトリウム(東亞合成株式会社製 T−50)を添加した。その後に、90℃にて水蒸気蒸留を15時間行い、未反応単量体および他の低沸点化合物を除去した。さらに、苛性カリ水溶液でpHを約9に調整して、表1に示す数平均粒子径、ゲル含有量、非結合酸量/結合酸量の共重合体ラテックス4を得た。
比較例5
共重合体ラテックス5の作製(比較例)
耐圧性の重合反応機に、窒素雰囲気下で、重曹0.6部、表2の添加1に示す各単量体、t−ドデシルメルカプタン、α-メチルスチレンダイマー、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、純水を加えて45℃に昇温した後に、クメンハイドロパーオキサイド、ナトリウムホルムアルデヒドスルホキシレートを加えて重合を開始した。重合開始4時間後に、表1の添加2に示す各単量体、t−ドデシルメルカプタン、クメンハイドロパーオキサイド、ナトリウムホルムアルデヒドスルホキシレート、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、純水を添加し、重合を継続した。重合開始から14時間後に、苛性カリ水溶液でpHを8に調整し、重合停止剤として表2に示すジエチルヒドロキシルアミンを添加する。その後に、90℃にて水蒸気蒸留を15時間行い、未反応単量体および他の低沸点化合物を除去した。さらに、苛性カリ水溶液でpHを約9に調整して、表2に示す数平均粒子径、ゲル含有量、非結合酸量/結合酸量の共重合体ラテックス5を得た。
比較例6
共重合体ラテックス6の作製(比較例)
耐圧性の重合反応機に、窒素雰囲気下で、重曹0.6部、表2の添加1に示す各単量体、t−ドデシルメルカプタン、過硫酸カリウム、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、アルキルジフェニルエーテルジスルホン酸ナトリウム、純水を加えて65℃に昇温し、重合を開始した。重合開始3時間後に、表2の添加2に示す各単量体、t−ドデシルメルカプタン、過硫酸カリウム、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、アルキルジフェニルエーテルジスルホン酸ナトリウム、純水を添加し、重合を継続した。重合開始から12時間後に、苛性カリ水溶液でpHを8に調整し、重合停止剤として表2に示すジエチルヒドロキシルアミンを添加する。さらに、表2に示すポリアクリル酸ナトリウム(東亞合成株式会社製 T−50)を添加した。その後に、90℃にて水蒸気蒸留を15時間行い、未反応単量体および他の低沸点化合物を除去した。さらに、苛性カリ水溶液でpHを約9に調整して、表2に示す数平均粒子径、ゲル含有量、非結合酸量/結合酸量の共重合体ラテックス6を得た。
比較例7
共重合体ラテックス7の作製(比較例)
耐圧性の重合反応機に、窒素雰囲気下で、重曹0.6部、表2の添加1に示す各単量体、t−ドデシルメルカプタン、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、純水を加えて35℃に昇温した後に、クメンハイドロパーオキサイド、L−アスコルビン酸を加えて重合を開始した。重合開始6時間後に、表2の添加2に示す各単量体、t−ドデシルメルカプタン、クメンハイドロパーオキサイド、L−アスコルビン酸、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、純水を添加し、重合を継続した。重合開始から16時間後に、苛性カリ水溶液でpHを8に調整し、重合停止剤として表2に示すジエチルヒドロキシルアミンを添加する。その後に、90℃にて水蒸気蒸留を15時間行い、未反応単量体および他の低沸点化合物を除去した。さらに、苛性カリ水溶液でpHを約9に調整して、表2に示す数平均粒子径、ゲル含有量、非結合酸量/結合酸量の共重合体ラテックス7を得た。
比較例8
共重合体ラテックス8作製(比較例)
耐圧性の重合反応機に、窒素雰囲気下で、重曹0.6部、表2の添加1に示す各単量体、t−ドデシルメルカプタン、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、純水を加えて25℃に昇温した後に、クメンハイドロパーオキサイド、L−アスコルビン酸を加えて重合を開始した。重合開始3時間後に、表2の添加2に示す各単量体、t−ドデシルメルカプタン、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、クメンハイドロパーオキサイド、L−アスコルビン酸、純水を添加し、重合を継続した。重合開始から25時間後に、苛性カリ水溶液でpHを8に調整し、重合停止剤として表2に示すジエチルヒドロキシルアミンを添加する。さらに、表2に示すポリアクリル酸ナトリウム(東亞合成株式会社製 T−50)を添加した。その後に、90℃にて水蒸気蒸留を15時間行い、未反応単量体および他の低沸点化合物を除去した。さらに、苛性カリ水溶液でpHを約9に調整して、表2に示す数平均粒子径、ゲル含有量、非結合酸量/結合酸量の共重合体ラテックス8を得た。
ディップ成形用ラテックス組成物の調製
上記実施例1〜4、および比較例5〜8で得られたディップ成形用共重合体ラテックス1〜8に下記の配合剤を加え、ディップ成形用組成物を得た。
<ディップ成形用ラテックス組成物>
ディップ成形用ラテックス(固形分) 100.0部
水酸化カリウム 0.4部
酸化亜鉛 1.5部
コロイドイオウ 1.0部
ジ−エチルジチオカルバミン酸亜鉛 0.5部
二酸化チタン 1.5部
(固形分濃度 33%)
ディップ成形物の製造
別に凝固液として濃度15%の硝酸カルシウム水溶液を調製し、80℃で予備乾燥しておいた手袋用モールドを5秒間浸漬し、引き上げた後水平にして回転下に乾燥(80℃×2分)させた。引き続き、ディップ成形用組成物に手袋用モールドを5秒間浸漬し、引き上げた後、水平にして回転下で乾燥(80℃×2分)させた。次にその手袋用モールドを40℃の温水に2分間浸漬して、洗浄した後、120℃で20分間加熱処理して手袋用モールドの表面に固形皮膜物を得た。最後にこの固形皮膜物を手袋用モールドから剥がし、手袋形状のディップ成形物を得た。
各共重合体ラテックスの数平均粒子径、ゲル含有量、粒子結合酸量(A)、粒子非結合酸量(B)、これらから求められるB/A、重合安定性、ディップ成形用組成物の機械的安定性、ディップ成形品の厚み、風合い、引張り強度、破断時伸びの評価結果を表1および表2にまとめた。
Figure 2009197149
Figure 2009197149
上記の通り、本発明のディップ成形用ラテックスは重合安定性が高く、これを用いることにより、機械的安定性、および塩凝固性の良好なディップ成形用組成物、および風合い、引張り強度、伸び等の物性に優れるディップ成形品を得ることができるものであり、医療、食品加工分野および電子部品製造分野など各方面において広く使用されるゴム手袋等を得ることができるものである。

Claims (3)

  1. 1,3−ブタジエン30〜80重量%、アクリロニトリル15〜50重量%、エチレン性不飽和カルボン酸系単量体0.1〜10重量%およびこれらと共重合可能な他のエチレン性不飽和単量体0〜54.9重量%からなる単量体を乳化重合して得られる共重合体ラテックスであって、粒子結合酸量をA(meq/g)、粒子非結合酸量をB(meq/g)とした場合、0.05≦B/A≦0.5であることを特徴とするディップ成形用共重合体ラテックス。
  2. 請求項1に記載のディップ成形用共重合体ラテックスを含むディップ成形用組成物。
  3. 請求項2に記載のディップ成形用組成物をディップ成形してなるディップ成形品。
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