JP2009198902A - 吸音構造、吸音構造群、音響室、吸音構造の調整方法及び騒音低減方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】吸音構造1は、筐体10と振動体20とで構成されている。振動体20は、弾性を有する合成樹脂で形成された第1部材21と、第1部材21より面密度が小さく弾性を有する合成樹脂で形成された第2部材22とで構成されており、第1部材21が第2部材22の中央部分の孔に固着されて板状の振動体20が形成されている。このように、振動体20の中央部分の面密度が周縁部分より大きいと、振動体20全体を同じ素材で板状に形成し、振動体20全体の質量を重くして吸音する音を変更する場合と比較して、吸音される音が低くなる。
【選択図】図3
Description
この発明では、前記振動体においては、前記振動体が屈曲振動したときに振幅が極大となる位置を含む所定領域の密度が、前記所定領域以外の部分の密度と異なっていてもよい。
この発明では、前記振動体においては、前記振動体が屈曲振動したときに振幅が極大となる位置を含む所定領域の厚さが、前記所定領域外の部分の厚さと異なっていてもよい。
この発明では、前記振動体においては、前記振動体が屈曲振動したときに振幅が極大となる位置を含む所定領域に付加部材を有していてもよい。
また、この発明においては、前記振動体の前記所定領域の表面に付加部材が固定されていてもよい。
また、この発明においては、前記振動体の前記所定領域の部分に付加部材が混入されていてもよい。
また、本発明は、上記のいずれか一の吸音構造を複数組み合わせた吸音構造群を提供する。
この本発明においては、組み合わされた複数の吸音構造の各空気層のサイズが各々異なっていてもよい。
また、この本発明においては、組み合わされた複数の吸音構造の各空気層の厚みが各々異なっていてもよい。
また、本発明は、上記のいずれか一の吸音構造または上記のいずれか一の吸音体群を有する音響室を提供する。
なお、本実施形態においては、振動体20を構成する部材の素材は合成樹脂としているが、振動体20を構成する部材の素材は合成樹脂に限定されず、弾性を有し板振動が生じるのであれば紙、金属、繊維板など他の素材であってもよい。
また、本実施形態においては、振動体20における第1部材21の領域は、振動体20が屈曲振動したときに振幅が極大となる位置を含む領域となっている。なお、第1部材21の領域は、振動体20が屈曲振動したときに振幅が極大となる位置を含むのであれば、図に示した広さに限定されず任意に変更することができる。
そして、吸音構造1においては、音波が振動体20に到達すると、音波の音圧と吸音構造1の空気層30内の圧力との差により振動体20が振動し、音波のエネルギーは、この振動により消費されて音が吸音される。
ここで、吸音構造1は、バネマス系と屈曲系の両方の吸音メカニズムが形成されているため、吸音される音の周波数と吸音率との関係を見ると、バネマス系の共振周波数における吸音率及び屈曲系の共振周波数における吸音率が高くなる。
具体的には、図5に示したように、第1部材21の面密度を、(1)399.5[g/m2]、(2)799[g/m2]、(3)1199[g/m2]、(4)1598[g/m2]、(5)2397[g/m2]とし、第2部材22の面密度を799[g/m2]として振動体20の平均面密度を、(1)783[g/m2]、(2)799[g/m2]、(3)815[g/m2]、(4)831[g/m2]、(5)862.9[g/m2]とした場合のシミュレーション結果である。
なお、(2)の場合は、第1部材21の面密度と第2部材22の面密度が同じ、即ち、振動体20全体が同じ素材で形成されている場合をシミュレートしたものであり、固有振動が1×1のモードに対応する共振周波数として400Hzにピークが表れている(図5、条件(2)の共振周波数(屈曲系)の欄)。
700[Hz]付近で吸音率が高くなっているのは、振動体20のマス(mass:質量)と空気層30のバネ成分によって形成されるバネマス系の共振によるものである。吸音構造1においては上記バネマス系の共振周波数での吸音率をピークとして音が吸音されており、第1部材21の面密度を大きくしても、振動体20全体のマスは大きく変わらないので、バネマス系の共振周波数も大きく変わらないことが分かる。
また、300[Hz]〜500[Hz]の間で吸音率が高くなっているのは、振動体20の屈曲振動によって形成される屈曲系の共振によるものである。吸音構造1においては屈曲系の共振周波数での吸音率が低音域側のピークとして表れており、第1部材21の面密度を大きくしていくと屈曲系の共振周波数だけが低くなっていることが分かる。一般に、屈曲系の共振周波数は、振動体の弾性振動を支配する運動方程式で決定され、振動体の密度(面密度)に反比例する。また、前記共振周波数は、固有振動の腹(振幅が極大値となる場所)の密度により大きく影響される。このため、上記シミュレーションでは、1×1の固有モードの腹となる領域を第1部材21で異なる面密度に形成したので、屈曲系の共振周波数が変化したものである。
上述した吸音構造1においては、第1部材21の面密度を変えるだけで吸音される音のピークの周波数を変える(シフトさせる)ことができるため、振動体20全体を同じ素材で板状に形成し、振動体20全体の質量を重くして吸音する音を変更する場合と比較して、吸音構造1全体の質量を大きく変えることなく吸音される音を低くできる。
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上述した実施形態に限定されることなく、他の様々な形態で実施可能である。例えば、上述の実施形態を以下のように変形して本発明を実施してもよい。
図7は、空気層の縦と横の大きさが100mm×100mm、厚さ10mmの筐体10に面密度800[g/m2]の振動体20(大きさ100mm×100mm)を固着し、第1領域23の厚さを(1)周縁部分と同じ(厚さ0.85mm)、(2)周縁部分の2倍、(3)周縁部分の3倍、(4)周縁部分の4倍、(5)周縁部分の5倍と変えた時の吸音構造1Aの垂直入射吸音率の測定結果を示したグラフである(測定は、JIS A 1405-2(音響管による吸音率及びインピーダンスの測定−第2部:伝達関数法)による)。
また、上述した吸音構造1Aにおいては、第1領域23の厚さを変えるだけで吸音される音を変えることができるため、振動体20全体を同じ素材で板状に形成し、振動体20全体の質量を重くして吸音する音を変更する場合と比較して、吸音構造1A全体の質量を大きく変えることなく、吸音される音を低くできる。なお、第1領域23の厚さを厚くする場合、周縁部分から滑らかに厚みが厚くなるようにしてもよい。また、第1領域23の領域は、振動体20が屈曲振動したときに振幅が極大となる位置を含むのであれば、図に示した広さに限定されず任意に変更することができる。
振動体20においては、板状部材24が屈曲振動したときに振幅が極大となる位置を含む第1領域23に付加部材25が貼り付けられている。なお、付加部材25は振動体20を筐体10に取り付けた時に空気層30に面する側に貼り付けてもよいし、空気層30に面する側と反対側に貼り付けてもよい。
なお、上述した実施形態または変形例に係る吸音構造を配置する場合、図10に示したように大きさの同じ吸音構造を複数組み合わせた吸音体群を配置してもよい。また、図1の吸音構造1を複数組み合わせる場合には、組み合わせる吸音構造毎に第1部材21の面密度を異ならせ、複数の吸音構造で複数の周波数の音を吸音するようにしてもよい。
また、図6の吸音構造を複数組み合わせる場合には、組み合わせる吸音構造毎に第1領域23の厚さを異ならせ、複数の吸音構造で複数の周波数の音を吸音するようにしてもよく、また、図8または図9の吸音構造を複数組み合わせる場合には、組み合わせる吸音構造毎に付加部材25の質量を異ならせ、複数の吸音構造で複数の周波数の音を吸音するようにしてもよい。また、吸音構造を複数組み合わせる場合には、組み合わせる吸音構造毎に空気層30の縦と横のサイズを一定にして厚さを異ならせてもよく、空気層30の厚さを一定にして空気層30の縦と横のサイズを各々異ならせてもよい。また、空気層30の厚さとサイズの両方を各々異ならせてもよい。
また、振動体20の振幅が極大となる部分を除き、極大となる部分周辺に第1部材21や付加部材25があってもよく、振動体20の振幅が極大となる部分の周辺の厚さが極大となる部分より厚くなっていてもよい。
また、振動体20の振幅の節または極小となる部分を除いた部分の少なくとも一部に第1部材21や付加部材25があってもよく、振動体20の振幅の節または極小となる部分の周辺の厚さが節又は極小となる部分より厚くなっていてもよい。
また、変位が許容されている支持状態や自由支持など他の支持状態であってもよい。
また、振動体20が屈曲振動したときに振幅の節または極小となる位置以外の領域の少なくとも一部の厚さが、振幅の節または極小となる位置の厚さと異なる構成にあっては、第1領域23の厚さを削って薄くする、または振動体20と同じ素材の部材を第1領域23に付加して厚さを厚くすることにより、吸音構造におけるバネマス系の吸音メカニズムの共振周波数や屈曲系の吸音メカニズムの共振周波数を調整し、吸音構造における吸音率のピークとなる周波数を調整してもよい。
また、振動体20が屈曲振動したときに振幅の節または極小となる位置以外の領域の少なくとも一部に付加部材25を有する構成にあっては、密度が異なる複数の付加部材25を準備し、板状部材24に固着する付加部材25を交換することにより、吸音構造におけるバネマス系の吸音メカニズムの共振周波数や屈曲系の吸音メカニズムの共振周波数を調整し、吸音構造における吸音率のピークとなる周波数を調整してもよい。
このような吸音構造の調整方法によれば、バネマス系の吸音メカニズムの共振周波数や屈曲系の吸音メカニズムの共振周波数の調整、吸音構造における吸音率のピークとなる周波数の調整を容易に行うことができる。
また、上述した吸音構造のうち、振動体20の厚さが均一でなく、振動体20が屈曲振動したときに振幅の節または極小となる位置以外の領域の少なくとも一部の厚さが振幅の節または極小となる位置の厚さと異なる吸音構造についても、当該吸音構造を、吸音構造の吸音率のピークの周波数の音が騒音として発生している場所に配置して騒音を低減させてもよい。
また、上述した吸音構造のうち、振動体20を板状部材24と付加部材25とで構成し、振動体が屈曲振動したときに振幅の節または極小となる位置以外の領域の少なくとも一部に付加部材25を配置する吸音構造についても、当該吸音構造を、吸音構造の吸音率のピークの周波数の音が騒音として発生している場所に配置して騒音を低減させてもよい。
このように本発明に係る吸音構造を騒音の発生場所に配置して騒音を低減させる騒音低減方法によれば、振動体20が振動して騒音のエネルギーが消費されて騒音が低減されることとなる。
なお、騒音の発生場所としては、例えば車両や飛行機など各種輸送機器の内部、工場や工事現場などで運転されている各種機械などがある。
Claims (19)
- 中空で開口部を備えた筐体と、
板状または膜状の振動体とを有し、
前記開口部が前記振動体で塞がれて前記筐体と前記振動体とで空気層が形成されており、
前記振動体においては、前記振動体が屈曲振動したときに振幅の節または極小となる位置以外の領域の少なくとも一部の密度が、振幅の節または極小となる位置の密度と異なることを特徴とする吸音構造。 - 前記振動体においては、前記振動体が屈曲振動したときに振幅が極大となる位置を含む所定領域の密度が、前記所定領域以外の部分の密度と異なることを特徴とする請求項1に記載の吸音構造。
- 中空で開口部を備えた筐体と、
板状または膜状の振動体とを有し、
前記開口部が前記振動体で塞がれて前記筐体と前記振動体とで空気層が形成されており、
前記振動体においては、前記振動体が屈曲振動したときに振幅の節または極小となる位置以外の領域の少なくとも一部の厚さが、振幅の節または極小となる位置の厚さと異なることを特徴とする吸音構造。 - 前記振動体においては、前記振動体が屈曲振動したときに振幅が極大となる位置を含む所定領域の厚さが、前記所定領域以外の部分の厚さと異なることを特徴とする請求項3に記載の吸音構造。
- 中空で開口部を備えた筐体と、
板状または膜状の振動体と、
付加部材と
を有し、
前記開口部が前記振動体で塞がれて前記筐体と前記振動体とで空気層が形成されており、
前記振動体においては、前記振動体が屈曲振動したときに振幅の節または極小となる位置以外の領域の少なくとも一部に前記付加部材を有することを特徴とする吸音構造。 - 前記振動体においては、前記振動体が屈曲振動したときに振幅が極大となる位置を含む所定領域に付加部材を有することを特徴とする請求項5に記載の吸音構造。
- 前記振動体の前記所定領域の表面に付加部材が固定されていることを特徴とする請求項6に記載の吸音構造。
- 前記振動体の前記所定領域の部分に付加部材が混入されていることを特徴とする請求項6に記載の吸音構造。
- 請求項5乃至請求項8のいずれかに記載の吸音構造を複数組み合わせた吸音構造群であって、組み合わされた複数の吸音構造の各付加部材の質量が各々異なることを特徴とする吸音構造群。
- 請求項1乃至請求項8のいずれか一に記載の吸音構造を複数組み合わせた吸音構造群。
- 組み合わされた複数の吸音構造の各空気層のサイズが各々異なることを特徴とする請求項10に記載の吸音構造群。
- 組み合わされた複数の吸音構造の各空気層の厚みが各々異なることを特徴とする請求項10または請求項11に記載の吸音構造群。
- 請求項1乃至請求項8のいずれか一に記載の吸音構造または請求項9乃至請求項12のいずれか一に記載の吸音構造群を有する音響室。
- 中空で開口部を備えた筐体と、
板状または膜状の振動体とを有し、
前記開口部が前記振動体で塞がれて前記筐体と前記振動体とで空気層が形成されており、
前記振動体においては、前記振動体が屈曲振動したときに振幅の節または極小となる位置以外の領域の少なくとも一部の密度が、振幅の節または極小となる位置の密度と異なる吸音構造の調整方法であって、
前記振動体において前記振動体が屈曲振動したときに振幅の節または極小となる位置以外の領域の少なくとも一部の密度を変更して吸音構造の共振周波数を調整する吸音構造の調整方法。 - 中空で開口部を備えた筐体と、
板状または膜状の振動体とを有し、
前記開口部が前記振動体で塞がれて前記筐体と前記振動体とで空気層が形成されており、
前記振動体においては、前記振動体が屈曲振動したときに振幅の節または極小となる位置以外の領域の少なくとも一部の厚さが、振幅の節または極小となる位置の厚さと異なる吸音構造の調整方法であって、
前記振動体において前記振動体が屈曲振動したときに振幅の節または極小となる位置以外の領域の少なくとも一部の厚さを変更して吸音構造の共振周波数を調整する吸音構造の調整方法。 - 中空で開口部を備えた筐体と、
板状または膜状の振動体と、
付加部材と
を有し、
前記開口部が前記振動体で塞がれて前記筐体と前記振動体とで空気層が形成されており、
前記振動体においては、前記振動体が屈曲振動したときに振幅の節または極小となる位置以外の領域の少なくとも一部に前記付加部材を有する吸音構造の調整方法であって、
前記前記付加部材を変更して吸音構造の共振周波数を調整する吸音構造の調整方法。 - 中空で開口部を備えた筐体と、
板状または膜状の振動体とを有し、
前記開口部が前記振動体で塞がれて前記筐体と前記振動体とで空気層が形成されており、
前記振動体が振動して騒音を低減する騒音低減方法であって、
前記振動体においては、前記振動体が屈曲振動したときに振幅の節または極小となる位置以外の領域の少なくとも一部の密度を、振幅の節または極小となる位置の密度と異ならせること
を特徴とする騒音低減方法。 - 中空で開口部を備えた筐体と、
板状または膜状の振動体とを有し、
前記開口部が前記振動体で塞がれて前記筐体と前記振動体とで空気層が形成されており、
前記振動体が振動して騒音を低減する騒音低減方法であって、
前記振動体においては、前記振動体が屈曲振動したときに振幅の節または極小となる位置以外の領域の少なくとも一部の厚さを、振幅の節または極小となる位置の厚さと異ならせることを特徴とする騒音低減方法。 - 中空で開口部を備えた筐体と、
板状または膜状の振動体と、
付加部材と
を有し、
前記開口部が前記振動体で塞がれて前記筐体と前記振動体とで空気層が形成されており、
前記振動体が振動して騒音を低減する騒音低減方法であって、
前記振動体においては、前記振動体が屈曲振動したときに振幅の節または極小となる位置以外の領域の少なくとも一部に前記付加部材を配置することを特徴とする騒音低減方法。
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