JP2009199044A - 位相差フィルム - Google Patents

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Abstract

【課題】位相差フィルムに好適な位相差を有し、可撓性が非常に優れる位相差フィルムを実現する。
【解決手段】本発明の位相差フィルムは、アクリル系重合体を主成分として、弾性有機微粒子を含有する位相差フィルムであって、波長589nmにおける面内位相差値が15nm以上100nm以下の範囲内であり、波長589nmにおける厚さ方向の位相差値が70nm以上400nm以下の範囲内であり、耐折回数が100回以上である。
【選択図】なし

Description

本発明は、位相差フィルムに関するものである。
近年、液晶表示装置(LCD)の大画面化及び使用環境が広がるにつれ、視認性(より明るく、より見やすく、よりコントラスト良く、より高視野角、等)に対する要求が厳しくなっている。しかし、液晶セル本体の改良のみでは視認性向上への要求を十分満足することができないため、位相差フィルム等の光学フィルムの性能向上に依存するところが大きい。
そこで、位相差フィルム等の光学フィルムには、高い透明性、低い光弾性率、耐熱性、耐光性、高い表面硬度、高い機械的強度、大きい位相差、位相差の波長依存性が小さいこと、位相差の入射角依存性が小さいこと等の特性が要求される。
一方、PMMAに代表されるアクリル系樹脂(アクリル系重合体)は光学的特性に優れていることが良く知られており、高い光透過率や低複屈折率、低位相差の光学材料として従来種々の用途に適用されている。しかしながら、アクリル系樹脂は、位相差発現性能が低いため、延伸しても必要とされる位相差値を得ることが難しい。また、液晶表示装置の使用環境が厳しくなるなか、光学フィルムの耐熱性の要求が強まっているが、PMMAの延伸フィルムに十分な耐熱性を付与することは困難である。
更には、上記アクリル系樹脂は、フィルムとした場合には割れ等が生じ易く、機械的強度、特に十分な可撓性を得るためには改善の余地があった。
また、アクリル系樹脂に種々の環構造を導入することにより耐熱性を向上させる検討が行われているが、耐熱性が向上すると樹脂が脆くなり、フィルムの可撓性が低下する傾向がある。
一方、アクリル系樹脂の可撓性を改善させる方法として、フィルムの延伸を行うことやフィルム中に有機微粒子を含有させることが知られている(例えば、特許文献1〜3参照)。
特開2006−257263号公報(2006年9月28日公開) 特開2006−241197号公報(2006年9月14日公開) 国際公開2007/099927号パンフレット(2007年9月7日公開)
しかしながら、上記特許文献1〜3の構成よりも可撓性を更に改善したフィルムが求められている。
本発明は、上記の問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、位相差フィルムに好適な位相差を有し、可撓性が非常に優れる位相差フィルムを実現することにある。
本発明者は上記課題を解決するために、位相差フィルムの可撓性を更に改善させることについて、鋭意検討を行った。
その結果、アクリル系重合体を主成分とする、有機微粒子を含むフィルムを逐次2軸延伸することにより、位相差フィルムの可撓性が顕著に改善することを見出し、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明に係る位相差フィルムは、上記課題を解決するために、アクリル系重合体を主成分として、弾性有機微粒子を含有する位相差フィルムであって、波長589nmにおける面内位相差値が15nm以上100nm以下の範囲内であり、波長589nmにおける厚さ方向の位相差値が70nm以上400nm以下の範囲内であり、幅15mm、長さ80mmの試料フィルムを使用し、荷重50gの条件で、JIS P8115に準拠して測定した耐折回数が100回以上であることを特徴としている。
上記構成によれば、位相差フィルムに好適な位相差を有し、可撓性が非常に優れる位相差フィルムを提供することができるという効果を奏する。
本発明に係る位相差フィルムでは、上記耐折回数が500回以上であることが好ましい。
本発明に係る位相差フィルムでは、ヘイズが2%以下であることが好ましい。
本発明に係る位相差フィルムは、二軸延伸をして得られることが好ましい。
本発明に係る位相差フィルムでは、上記弾性有機微粒子は、共役ジエン単量体を重合して構築される共役ジエン単量体構造単位を必須成分として有し、低温側のガラス転移温度が−40℃未満であることが好ましい。
上記構成によれば、上記弾性有機微粒子は、重合した際に正の複屈折性を示す共役ジエン単量体構造単位を有し、低温側のガラス転移温度が−40℃未満であるため、位相差特性を大幅に低下させること無く可撓性をより向上させることができる。
本発明に係る位相差フィルムでは、上記弾性有機微粒子は、ブタジエン及びイソプレンからなる群から選択される少なくとも1種以上の単量体を重合して得られる共役ジエン単量体構造を有することが好ましい。
本発明に係る位相差フィルムは、高温側のガラス転移温度が110℃以上200℃以下の範囲内であることが好ましい。
上記構成によれば、フィルムの成形加工性を確保しながら、厳しい環境においても使用することができ、フィルムの変形による位相差のムラの発生を抑制することができる。
本発明に係る位相差フィルムでは、上記アクリル系重合体はラクトン環構造を有することが好ましい。
本発明に係る位相差フィルムでは、上記ラクトン環構造が下記一般式(1)
Figure 2009199044
(式中、R、R、Rは、それぞれ独立に、水素原子または炭素数1〜20の有機残基を表す。尚、有機残基は酸素原子を含んでいてもよい。)
で表される構造であることが好ましい。
上記構成によれば、耐熱性を低下させることなく、位相差性能をより向上させることができる。
本発明に係る位相差フィルムは、以上のように、アクリル系重合体を主成分として、弾性有機微粒子を含有する位相差フィルムであって、波長589nmにおける面内位相差値が15nm以上100nm以下の範囲内であり、波長589nmにおける厚さ方向の位相差値が70nm以上400nm以下の範囲内であり、幅15mm、長さ80mmの試料フィルムを使用し、荷重50gの条件で、JIS P8115に準拠して測定した耐折回数が100回以上であることを特徴としている。
このため、位相差フィルムに好適な位相差を有し、可撓性が非常に優れる位相差フィルムを提供することができるという効果を奏する。
本発明の実施の一形態について説明すれば、以下の通りである。
尚、本明細書では、「(メタ)アクリル」とはアクリル又はメタクリルを意味し、「主成分」とは50質量%以上含有していることを意味する。また、「重量」は「質量」と同義語として扱い、「重量%」は「質量%」と同義語として扱う。また、範囲を示す「A〜B」は、A以上B以下であることを示し、本明細書では、「ppm」は特に断らない限り質量換算で求められる値を意味し、例えば、10,000ppmは1質量%を意味する。
また、本明細書で挙げられている各種物性は、特に断りの無い限り後述する実施例に記載の方法により測定した値を意味する。
本実施の形態に係る位相差フィルムは、アクリル系重合体を主成分として、弾性有機微粒子を含有する位相差フィルムであって、波長589nmにおける面内位相差値が15nm以上100nm以下の範囲内であり、波長589nmにおける厚さ方向の位相差値が70nm以上400nm以下の範囲内であり、耐折回数が100回以上である。
(I)アクリル系重合体
本実施の形態に係る位相差フィルムの主成分となるアクリル系重合体としては、(メタ)アクリル酸エステルを主成分として含有する単量体組成物を重合した樹脂であれば特には限定されない。また、2種類以上のアクリル系重合体を主成分とするものでもよい。
上記(メタ)アクリル酸エステルとしては、例えば、一般式(2)
Figure 2009199044
(式中、R及びRは、それぞれ独立に、水素原子または炭素数1〜20の有機残基を示す。)
で表される構造を有する化合物(単量体)、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸t−ブチル、アクリル酸シクロヘキシル、アクリル酸ベンジル等のアクリル酸エステル;メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸t−ブチル、メタクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸ベンジル等のメタクリル酸エステル;等が挙げられ、これらは1種のみ用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも特に、耐熱性、透明性が優れる点から、上記一般式(2)で表される構造を有する化合物、メタクリル酸メチルがより好ましい。また、正の複屈折性(正の位相差)を大きくする点で、(メタ)アクリル酸ベンジルが好ましい。
尚、(メタ)アクリル酸ベンジル単量体構造単位を導入する場合には、アクリル系重合体における(メタ)アクリル酸ベンジル単量体構造単位の好ましい含有量は、5〜50重量%の範囲内であり、より好ましくは10〜40重量%の範囲内であり、更に好ましくは15〜30重量%の範囲内である。
一般式(2)で表される構造を有する化合物としては、例えば、2−(ヒドロキシメチル)アクリル酸メチル、2−(ヒドロキシメチル)アクリル酸エチル、2−(ヒドロキシメチル)アクリル酸イソプロピル、2−(ヒドロキシメチル)アクリル酸ノルマルブチル、2−(ヒドロキシメチル)アクリル酸ターシャリーブチル等が挙げられる。これらの中でも、2−(ヒドロキシメチル)アクリル酸メチル、2−(ヒドロキシメチル)アクリル酸エチルが好ましく、耐熱性向上効果が高い点で、2−(ヒドロキシメチル)アクリル酸メチルが特に好ましい。一般式(2)で表される化合物は、1種のみ用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
上記アクリル系重合体は、上述した(メタ)アクリル酸エステルを重合した構造以外の構造を有していてもよい。(メタ)アクリル酸エステルを重合した構造以外の構造としては、特には限定されないが、水酸基含有単量体、不飽和カルボン酸、下記一般式(3)
Figure 2009199044
(式中、Rは水素原子またはメチル基を表し、Xは水素原子、炭素数1〜20のアルキル基、アリール基、−OAc基、−CN基、−CO−R基、または−C−O−R基を表し、Ac基はアセチル基を表し、R及びRは水素原子または炭素数1〜20の有機残基を表す。)
で表される単量体から選ばれる少なくとも1種を重合して構築される重合体構造単位(繰り返し構造単位)が好ましい。
上記水酸基含有単量体としては、特に限定されないが、例えば、メタリルアルコール、アリルアルコール、2−ヒドロキシメチル−1−ブテン等のアリルアルコール、α−ヒドロキシメチルスチレン、α−ヒドロキシエチルスチレン、2−(ヒドロキシエチル)アクリル酸メチル等の2−(ヒドロキシアルキル)アクリル酸エステル;2−(ヒドロキシエチル)アクリル酸等の2−(ヒドロキシアルキル)アクリル酸;等が挙げられ、これらは1種のみ用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
不飽和カルボン酸としては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、α−置換アクリル酸、α−置換メタクリル酸等が挙げられ、これらは1種のみ用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも特に、本発明の効果を十分に発揮させる点で、アクリル酸、メタクリル酸が好ましい。
一般式(3)で表される化合物としては、例えば、スチレン、ビニルトルエン、α−メチルスチレン、アクリロニトリル、メチルビニルケトン、エチレン、プロピレン、酢酸ビニル等が挙げられ、これらは1種のみ用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも特に、本発明の効果を十分に発揮させる点で、スチレン、α−メチルスチレンが好ましい。
重合方法は特に限定されず、公知の重合方法を用いることができる。使用する単量体(単量体組成物)の種類、使用比率等に応じて、適宜適した方法を採用すればよい。
本実施の形態に係る位相差フィルムの主成分となるアクリル系重合体は、ガラス転移温度(Tg)が、好ましくは110℃〜200℃、より好ましくは115℃〜200℃、更に好ましくは120℃〜200℃、特に好ましくは125℃〜190℃、最も好ましくは130℃〜180℃である。
耐熱性を高めるため、フェニルマレイミド、シクロヘキシルマレイミド、メチルマレイミド等のN−置換マレイミドを共重合してもよいし、分子鎖中(重合体の主骨格中、または主鎖中ともいう。)にラクトン環構造、グルタル酸無水物構造、グルタルイミド構造等を導入してもよい。中でも、フィルムの着色(黄変)し難さの点で、窒素原子を含まない単量体が好ましく、また、正の複屈折性(正の位相差)を発現させやすい点で、主鎖にラクトン環構造を持つものが好ましい。
主鎖中のラクトン環構造に関しては、4〜8員環でもよいが、構造の安定性から5〜6員環の方がより好ましく、6員環が更に好ましい。また、主鎖中のラクトン環構造が6員環である場合、一般式(1)や特開2004−168882号公報で表される構造等が挙げられるが、主鎖にラクトン環構造を導入する前の重合体を合成する上において重合収率が高い点や、ラクトン環構造の含有割合の高い重合体を高い重合収率で得易い点や、メタクリル酸メチル等の(メタ)アクリル酸エステルとの共重合性が良い点で、一般式(1)で表される構造であることが好ましい。
上記アクリル系重合体が、上記一般式(2)で表される構造を有する化合物を含有する単量体を重合した樹脂である場合、上記アクリル系重合体はラクトン環構造を有していることがより好ましい(以下、ラクトン環構造を有するアクリル系重合体を「ラクトン環含有重合体」と記す)。以下、ラクトン環含有重合体について説明する。
上記ラクトン環構造としては、例えば、下記一般式(1)
Figure 2009199044
(式中、R、R、Rは、それぞれ独立に、水素原子または炭素数1〜20の有機残基を表す。尚、有機残基は酸素原子を含んでいてもよい。)
で表される構造が挙げられる。
尚、上記一般式(1)、(2)、(3)における有機残基は、炭素数が1〜20の範囲内であれば特には限定されず、例えば、直鎖若しくは分岐状のアルキル基、直鎖若しくは分岐状のアルキレン基、アリール基、−OAc基、−CN基等が挙げられる。
上記アクリル系重合体中の上記ラクトン環構造の含有割合は、好ましくは5〜90重量%の範囲内、より好ましくは20〜90重量%の範囲内、更に好ましくは30〜90重量%の範囲内、更に好ましくは35〜90重量%の範囲内、特に好ましくは40〜80重量%の範囲内、最も好ましくは45〜75重量%の範囲内である。
上記ラクトン環構造の含有割合が90重量%よりも多いと、成形加工性に乏しくなる。また、得られたフィルムの可撓性が低下する傾向があり、好ましくない。上記ラクトン環構造の含有割合が5重量%よりも少ないと、フィルムに成形したときに必要な位相差を得ることが難しく、また耐熱性、耐溶剤性、表面硬度が不十分になることがあり、好ましくない。
ラクトン環含有重合体において、一般式(1)で表されるラクトン環構造以外の構造の含有割合は、(メタ)アクリル酸エステルを重合して構築される重合体構造単位(繰り返し構造単位)の場合、好ましくは10〜95重量%の範囲内、より好ましくは10〜80重量%の範囲内、更に好ましくは10〜65重量%の範囲内、特に好ましくは20〜60重量%の範囲内、最も好ましくは25〜55重量%の範囲内である。
水酸基含有単量体を重合して構築される重合体構造単位(繰り返し構造単位)の場合、好ましくは0重量%を超え30重量%以下の範囲内、より好ましくは0重量%を超え20重量%以下の範囲内、更に好ましくは0重量%を超え15重量%以下の範囲内、特に好ましくは0重量%を超え10重量%以下の範囲内である。
不飽和カルボン酸を重合して構築される重合体構造単位(繰り返し構造単位)の場合、好ましくは0重量%を超え30重量%以下の範囲内、より好ましくは0重量%を超え20重量%以下の範囲内、更に好ましくは0重量%を超え15重量%以下の範囲内、特に好ましくは0重量%を超え10重量%以下の範囲内である。
一般式(3)で表される単量体を重合して構築される重合体構造単位(繰り返し構造単位)の場合、好ましくは0重量%を超え30重量%以下の範囲内、より好ましくは0重量%を超え20重量%以下の範囲内、更に好ましくは0重量%を超え15重量%以下の範囲内、特に好ましくは0重量%を超え10重量%以下の範囲内である。
上述したアクリル系重合体は従来公知の重合方法を用いて、上述した単量体を含む単量体成分の重合反応を行うことにより得ることができる。
具体的には、上記ラクトン環構造は、例えば、国際公報第2007/099927号パンフレットに記載されているように、重合工程によって分子鎖中に水酸基とエステル基とを有する重合体を得た後に、得られた重合体を加熱処理することにより導入することができる。
上記ラクトン環含有重合体は、重量平均分子量が、好ましくは1,000〜2,000,000の範囲内、より好ましくは5,000〜1,000,000の範囲内、更に好ましくは10,000〜500,000の範囲内、特に好ましくは50,000〜500,000の範囲内である。
ラクトン環含有重合体は、ダイナミックTG測定における150〜300℃の間での重量減少率が1%以下であることが好ましく、より好ましくは0.5%以下、更に好ましくは0.3%以下である。
ラクトン環含有重合体は、環化縮合反応率が高いので、成形後のフィルム中に泡やシルバーストリークが入るという欠点が回避できる。更に、高い環化縮合反応率によってラクトン環構造が重合体に十分に導入されるため、得られたラクトン環含有重合体が十分に高い耐熱性を有している。
ラクトン環含有重合体は、15重量%のクロロホルム溶液中での着色度(YI)が6以下となるものが好ましく、より好ましくは3以下、更に好ましくは2以下、最も好ましくは1以下である。着色度(YI)が6を越えると、着色により透明性が損なわれ、本来目的とする用途に使用できない場合がある。
ラクトン環含有重合体は、熱重量分析(TG)における5%重量減少温度が、330℃以上であることが好ましく、より好ましくは350℃以上、更に好ましくは360℃以上である。熱重量分析(TG)における5%重量減少温度は、熱安定性の指標であり、これが330℃未満であると、十分な熱安定性を発揮できないおそれがある。
ラクトン環含有重合体は、ガラス転移温度(Tg)が、好ましくは110℃〜200℃、より好ましくは115℃〜200℃、更に好ましくは120℃〜200℃、特に好ましくは125℃〜190℃、最も好ましくは130℃〜180℃である。
ラクトン環含有重合体は、それに含まれる残存揮発分の総量が、好ましくは1500ppm以下、より好ましくは1000ppm以下である。残存揮発分の総量が1500ppmよりも多いと、成形時の変質等によって着色したり、発泡したり、シルバーストリーク等の成形不良の原因となる。
ラクトン環含有重合体は、射出成形により得られる成形品の、ASTM−D−1003に準じた方法で測定された全光線透過率が、好ましくは85%以上、より好ましくは90%以上、更に好ましくは91%以上である。全光線透過率は、透明性の目安であり、これが85%未満であると、透明性が低下し、本来目的とする用途に使用できないおそれがある。
(II)弾性有機微粒子
上記弾性有機微粒子(以下、「有機微粒子」と記す。)は、可撓性(耐折曲げ性)等のアクリル系重合体の物性を改善する効果を有するものであれば特に限定されない。
上記アクリル系重合体の可撓性を改善する効果を有するため、上記有機微粒子は架橋構造を有していることがより好ましい。
上記架橋構造を有する有機微粒子としては、例えば、1分子あたり2個以上の非共役二重結合(共役ジエン)を有する多官能性化合物を含む単量体組成物を重合することによって得ることができる。
上記多官能性化合物としては、ブタジエン、イソプレン、ジビニルベンゼン、メタクリル酸アリル、アクリル酸アリル、メタクリル酸ジシクロペンテニル、アクリル酸ジシクロペンテニル、ジメタクリル酸1,4−ブタンジオール、ジメタクリル酸エチレングリコール、トリアリルシアヌレ−ト、トリアリルイソシアヌレ−ト、ジアリルフタレ−ト、ジアリルマレ−ト、ジビニルアジペ−ト、ジビニルベンゼンエチレングリコ−ルジメタクリレ−ト、ジビニルベンゼンエチレングリコ−ルジアクリレ−ト、ジエチレングリコ−ルジメタクリレ−ト、ジエチレングリコ−ルジアクリレ−ト、トリエチレングリコ−ルジメタクリレ−ト、トリエチレングリコ−ルジアクリレ−ト、トリメチロ−ルプロパントリメタクリレ−ト、トリメチロ−ルプロパントリアクリレ−ト、テトラメチロ−ルメタンテトラメタクリレ−ト、テトラメチロ−ルメタンテトラアクリレ−ト、ジプロピレングリコ−ルジメタクリレ−ト及びジプロピレングリコ−ルジアクリレ−ト等が挙げられ、これらは1種類のみ用いてもよいし、2種以上併用してもよい。
上記弾性有機微粒子は、ブタジエン及びイソプレンからなる群から選択される少なくとも1種以上の単量体を重合して得られる共役ジエン単量体構造を有することがより好ましい。また、上記有機微粒子は、低温側のガラス転移温度が−40℃未満であることが好ましい。
上記有機微粒子は、上記多官能性化合物を重合した構造(以下、多官能性化合物由来の構造と記す)以外の構造を有していてもよい。上記多官能性化合物由来の構造以外の構造としては、上述したアクリル系重合体を構成する、(メタ)アクリル酸エステル、水酸基含有単量体、不飽和カルボン酸、一般式(3)で表される単量体から選ばれる少なくとも1種を重合して構築される重合体構造単位(繰り返し構造単位)の構造を有していていることが好ましい。
上記有機微粒子が、上述したアクリル系重合体を構成する重合体構造単位の構造を有していることにより、アクリル系重合体中での有機微粒子の分散性が改善され、フィルムの透明性が向上し、また、有機微粒子の凝集等によって生じる異物の副生をより抑制することができる。これにより、位相差フィルム成形時における濾過工程を短時間で行うことができる。
上記有機微粒子は、上記多官能性化合物を含む単量体組成物を重合することにより得られる場合、架橋弾性を示す。これにより、成形した位相差フィルムの可撓性は改善され、フィルム成形性及び耐折曲げ性に優れる位相差フィルムを得ることができる。
有機微粒子は、平均粒子径0.01μm以上1μm以下の範囲内のコア部となる粒子状重合体に、シェル部として(メタ)アクリル酸エステルを更に重合してなるコア部とシェル部とからなる多層構造を有する有機微粒子であって、上記コア部とシェル部との重量比は、20:80〜80:20の範囲内であり、上記シェル部は、5重量%以上50重量%以下の範囲内の2−(ヒドロキシメチル)アクリル酸エステルの単量体の構造単位を含むことが好ましい。上記有機微粒子はコア・シェル構造を有するため、アクリル系重合体中でより均一に分散することができる。また、本実施の形態に係る有機微粒子は、平均粒子径が0.01μm以上1μm以下の範囲内の架橋構造を有する有機微粒子であって、1重量%以上100重量%以下の範囲内の2−(ヒドロキシメチル)アクリル酸エステルの単量体の構造単位を含むことが好ましい。
上記2−(ヒドロキシメチル)アクリル酸エステルとしては、上述した一般式(2)で表される構造を有する化合物が好ましく、2−(ヒドロキシメチル)アクリル酸メチルがより好ましい。
上記有機微粒子は、中心の部分(コア)のみに多官能性化合物由来の構造を有し、中心の部分を囲む部分(シェル)には、位相差フィルムを構成するアクリル系重合体との相溶性が高い構造を有することが好ましい。これより、有機微粒子はアクリル系重合体中でより均一に分散することができ、有機微粒子の凝集等によって生じる異物の副生をより抑制することができる。これにより、位相差フィルム成形時における濾過工程をより短時間で行うことができる。このようなコア・シェル構造を有する有機微粒子は、例えば、上記有機微粒子の重合時に反応せずに残った反応性官能基(二重結合)をグラフト交叉点として、上述した(メタ)アクリル酸エステル、水酸基含有単量体、不飽和カルボン酸、一般式(3)で表される単量体から選ばれる少なくとも1種をグラフト重合させることにより得ることができる。以下、上記コア・シェル構造のシェル部及びコア部について説明する。
上記シェル部としては、位相差フィルムを構成するアクリル系重合体との相溶性が高い構造であれば特には限定されない。位相差フィルムを構成するアクリル系重合体との相溶性が高い構造を有するシェル部を構成する構造としては、例えば、アクリル系重合体が上述したラクトン環含有重合体である場合、2−(ヒドロキシメチル)アクリル酸メチル(以下、MHMAと記す)とメタクリル酸メチル(以下、MMAと記す)とからなる単量体組成物を重合して構築される構造(以下、MHMA/MMA構造と記す)、メタクリル酸シクロヘキシル(以下、CHMAと記す)とMMAとからなる単量体組成物を重合して構築される構造(以下、CHMA/MMA構造と記す)、メタクリル酸ベンジル(以下、BzMAと記す)とMMAとからなる単量体組成物を重合して構築される構造(以下、BzMA/MMA構造と記す)、メタクリル酸−2−ヒドロキシエチル(以下、HEMAと記す)とMMAとからなる単量体組成物を重合して構築される構造(以下、HEMA/MMA構造と記す)、アクリロニトリル(以下、ANと記す)とスチレン(以下、Stと記す)とからなる単量体組成物を重合して構築される構造(以下、AN/St構造と記す)等が挙げられる。
シェル部がMHMA/MMA構造である場合、MHMAとMMAとの割合は、5:95〜50:50の範囲内であることが好ましく、10:90〜40:60の範囲内であることがより好ましい。上記範囲内であれば、ラクトン環含有重合体との相溶性は良好であり、有機微粒子はラクトン環含有重合体中に均一に分散することができる。また、上記MHMA/MMA構造を有するシェルの場合、ラクトン環構造を含んでいることが好ましい。ラクトン環構造は、上記シェルを形成した後、ラクトン化することにより導入することができる。
上記シェルがCHMA/MMA構造である場合、CHMAとMMAとの割合は、5:95〜50:50の範囲内であることが好ましく、10:90〜40:60の範囲内であることがより好ましい。上記範囲内であれば、ラクトン環含有重合体との相溶性は良好であり、有機微粒子はラクトン環含有重合体中に均一に分散することができる。
上記シェルがBzMA/MMA構造である場合、BzMAとMMAとの割合は、10:90〜60:40の範囲内であることが好ましく、20:80〜50:50の範囲内であることがより好ましい。上記範囲内であれば、ラクトン環含有重合体との相溶性は良好であり、有機微粒子はラクトン環含有重合体中に均一に分散することができる。
上記シェルがHEMA/MMA構造である場合、HEMAとMMAとの割合は、2:98〜50:50の範囲内であることが好ましく、5:95〜40:60の範囲内であることがより好ましい。上記範囲内であれば、ラクトン環含有重合体との相溶性は良好であり、有機微粒子はラクトン環含有重合体中に均一に分散することができる。
上記シェルがAN/St構造である場合、ANとStとの割合は、5:95〜50:50の範囲内であることが好ましく、10:90〜40:60の範囲内であることがより好ましい。上記範囲内であれば、ラクトン環含有重合体との相溶性は良好であり、有機微粒子はラクトン環含有重合体中に均一に分散することができる。
中でも、アクリル系重合体が上述したラクトン環含有重合体である場合、正の複屈折性(正の位相差)を示すことから、正の複屈折性を小さくさせ難い点で、CHMA/MMA構造、BzMA/MMA構造、MHMA/MMA構造を有するシェルが、更に、MHMA/MMA構造を有するシェルの場合、ラクトン環構造を含んでいることが好ましい。
上記コア部としては、上記位相差フィルムを構成するアクリル系重合体の可撓性を改善する効果を発現する構造であれば特には限定されず、例えば、架橋を有する構造が挙げられる。また、架橋を有する構造としては、架橋ゴム構造であることが好ましい。
上記架橋ゴム構造とは、ガラス転移点が−100℃から25℃の範囲内である重合体を主鎖とし、多官能性化合物によって、その主鎖間を架橋することによって弾性を持たせたゴムの構造を意味する。架橋ゴム構造としては、例えばアクリル系ゴム、ポリブタジエン系ゴム、オレフィン系ゴムの構造(繰り返し構造単位)が挙げられる。
上記架橋を有する構造としては、例えば、上述した多官能性化合物由来の構造が挙げられる。上記多官能性化合物の中でも、ブタジエン、イソプレン、1,4−ブタンジオールジメタクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、ジビニルベンゼン、メタクリル酸アリル、アクリル酸アリル、メタクリル酸ジシクロペンテニルがより好ましい。
上記コア部の製造時における多官能性単量体の使用量は、用いる単量体組成物の0.01〜15重量%の範囲内であることが好ましく、0.1〜10重量%の範囲内であることがより好ましい。多官能性単量体を上記範囲内で使用することにより、得られるフィルムは良好な耐折曲げ性を示す。
コア部とシェル部との割合は、重量比で、コア:シェルが20:80〜80:20の範囲内が好ましく、40:60〜60:40の範囲内であることがより好ましい。コア部分が20重量%未満では、得られる有機微粒子から形成したフィルムの耐折曲げ性が悪化する傾向があり、80重量%を超えると、フィルムの硬度及び成形性が低下する傾向がある。
上記コア部は、架橋構造を有していても有していなくてもよく、また同様に、上記シェル部も、架橋構造を有していても有していなくてもよいが、コア部のみが架橋構造を有し、シェル部は架橋構造を有していないものがより好ましい。
有機微粒子の平均粒子径は、0.01〜1μmの範囲内であることが好ましく、0.03〜0.5μmの範囲内であることがより好ましく、0.05〜0.3μmの範囲内であることが特に好ましい。上記平均粒子径が0.01μm未満では、フィルムを作製した場合、十分な可撓性が得られない傾向があり、上記平均粒子径が1μmを超えると、フィルム製造時における濾過処理工程においてフィルタに有機微粒子が詰まりやすくなる傾向がある。尚、有機微粒子の粒子径は、市販の粒度分布測定装置(例えば、NICOMP社製粒度分布測定装置(Submicron Particle Sizer NICOMP380)等)を用いて測定することができる。
本実施の形態に係る位相差フィルムにおける有機微粒子の含有割合は、好ましくは5〜50重量%、より好ましくは10〜40重量%、更に好ましくは15〜30重量%である。弾性有機微粒子の含有割合が5重量%未満であると、所望の可撓性が得られない場合がある。また、弾性有機微粒子の含有割合が50重量%を超えると、弾性有機微粒子の凝集等によって透明性が低下したり、異物の副生が多くなったりして、位相差フィルムとして使用できない場合がある。
上記有機微粒子の製造方法は特には限定されず、例えば、国際公開2007/099927号パンフレットに記載されているような従来公知の乳化重合法、乳化−懸濁重合法、懸濁重合法、塊状重合法または溶液重合法により、上述した単量体組成物を1段若しくは多段で重合させることにより、上記有機微粒子を製造することができる。これらの中では、乳化重合法がより好ましい。
尚、上述した有機微粒子は、位相差フィルム中に1種類のみ含まれていてもよいし、2種類以上含まれていてもよい。
(III)アクリル系重合体以外の含有成分
本実施の形態に係る位相差フィルムは、アクリル系重合体を主成分として、有機微粒子を含んでいればよく、その他の成分を更に含有していてもよい。
上記その他の成分としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−プロピレン共重合体、ポリ(4−メチル−1−ペンテン)等のオレフィン系ポリマー;塩化ビニル、塩素化ビニル樹脂等の含ハロゲン系ポリマー;ポリスチレン、スチレン−メタクリル酸メチル共重合体、スチレン−アクリロニトリル共重合体、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレンブロック共重合体等のスチレン系ポリマー;ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル;ナイロン6、ナイロン66、ナイロン610等のポリアミド;ポリアセタール;ポリカーボネート;ポリフェニレンオキシド;ポリフェニレンスルフィド;ポリエーテルエーテルケトン;ポリサルホン;ポリエーテルサルホン;ポリオキシベンジレン;ポリアミドイミド;等の重合体が挙げられる。
また、上記位相差フィルムは、その他の添加剤を含んでいてもよい。その他の添加剤としては、例えば、ヒンダードフェノール系、リン系、イオウ系等の酸化防止剤;耐光安定剤、耐候安定剤、熱安定剤等の安定剤;ガラス繊維、炭素繊維等の補強材;フェニルサリチレート、(2,2’−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−ヒドロキシベンゾフェノン等の紫外線吸収剤;近赤外線吸収剤;トリス(ジブロモプロピル)ホスフェート、トリアリルホスフェート、酸化アンチモン等の難燃剤;アニオン系、カチオン系、ノニオン系の界面活性剤等の帯電防止剤;無機顔料、有機顔料、染料等の着色剤;有機フィラーや無機フィラー;樹脂改質剤;有機充填剤や無機充填剤;可塑剤;滑剤;帯電防止剤;難燃剤;等が挙げられる。
上記位相差フィルムが上記その他の添加剤を含む場合、その含有割合は、好ましくは0重量%を超え5重量%以下の範囲内、より好ましくは0重量%を超え2重量%以下の範囲内、更に好ましくは0重量%を超え0.5重量%以下の範囲内である。
(IV)位相差フィルム
本実施の形態に係る位相差フィルムは、(a)波長589nmにおける面内位相差値が15nm以上100nm以下の範囲内であり、(b)波長589nmにおける厚さ方向の位相差値が70nm以上400nm以下の範囲内であり、(c)耐折回数が100回以上である。
ここで、「位相差値」はレターデーション値ともいう。ここでいう内面位相差値(Re)は、
Re=(nx−ny)×d
で、厚さ方向の位相差値(Rth)は、
Rth=[(nx+ny)/2−nz]×d
で、定義される。尚、nxはフィルム面内の遅相軸方向の屈折率、nyはフィルム面内でnxと垂直方向の屈折率、nzはフィルム厚さ方向の屈折率、dはフィルムの厚さ(nm)を表す。遅相軸方向は、フィルム面内の屈折率が最大となる方向とする。また、延伸方向の屈折率が大きくなるものを正の複屈折性があると言い、フィルム面内で延伸方向と垂直方向の屈折率が大きくなるものを負の複屈折性があると言う。
尚、上記「厚さ100μmあたりの波長589nmにおける面内位相差値」とは、面内位相差値(Re)を求める上記式において、d=100×10nmでの値のことである。また、上記「厚さ100μmあたりの波長589nmにおける厚さ方向の位相差値」とは、厚さ方向の位相差値(Rth)を求める上記式において、d=100×10nmでの値のことである。
(a)波長589nmにおける面内位相差値
上記位相差フィルムは、波長589nmにおける面内位相差値(Re)が15〜100nmの範囲内である。より好ましくは30〜90nmである。
内面位相差値が上記範囲内であれば、VA(バーティカルアライメント)用液晶表示装置の光学補償フィルムとして好適に用いることができる。
また、上記位相差フィルムは、厚さ100μmあたりの波長589nmにおける面内位相差値が5〜1000nmの範囲内であることが好ましく、15〜500nmの範囲内であることがより好ましい。更に好ましくは30〜450nmの範囲内である。
厚さ100μmあたりの波長589nmにおける面内位相差値が5nmより小さいと、所望の位相差値(レターデーション値)を得るためにフィルムの厚さが厚くなるため好ましくない。また、1000nmを超えると延伸条件の少しの変化で位相差値(レターデーション値)が変化してしまい、安定的に生産することが難しくなる場合があるため好ましくない。更には、大きな位相差値を得るためには、延伸倍率を大きくし、延伸温度を低くする必要があり、延伸工程中にフィルムの破断等が起こり、安定的に生産することが難しくなる場合がある。
上記内面位相差値は、後述するように、例えば、フィルムを所定の条件で逐次二軸延伸することにより上記範囲内に調整することができる。
(b)波長589nmにおける厚さ方向の位相差値
上記位相差フィルムは、波長589nmにおける厚さ方向の位相差値(Rth)が70nm〜400nmの範囲内である。より好ましくは90〜300nmである。
厚さ方向の位相差値が上記範囲内であれば、VA用液晶表示装置の光学補償フィルムとして好適に用いることができる。
本実施の形態に係る位相差フィルムは、厚さ100μmあたりの波長589nmにおける厚さ方向の位相差値の絶対値が70〜2000nmの範囲内であることが好ましい。より好ましくは90〜1500nmの範囲内である。
上記厚さ方向の位相差値は、後述するように、例えば、フィルムを所定の条件で逐次二軸延伸することにより上記範囲内に調整することができる。
(c)耐折回数
耐折回数とは、具体的には、後述の実施例に記載の方法で測定される値を意味する。
上記位相差フィルムは、耐折回数が100回以上である。より好ましくは500回以上である。
上記耐折回数は、後述するように、例えば、フィルムを所定の条件で逐次二軸延伸することにより上記範囲内に調整することができる。
(d)ヘイズ
上記位相差フィルムは、ヘイズが2%以下であることが好ましい。より好ましくは1%以下である。ヘイズが2%を超えると透明性が低下し、位相差フィルムとして適さない。
上記ヘイズは、位相差フィルムの二軸延伸時の延伸温度を変化させることにより調整することができる。
(e)その他物性
本実施の形態に係る位相差フィルムの厚さは、5〜350μmが好ましく、より好ましくは20〜200μm、更に好ましくは30〜150μmである。膜厚が5μmより薄いと強度に乏しく、また、所望の位相差値(レターデーション値)を得ることが困難となる。膜厚が350μmより厚いと液晶表示装置の薄型化に不利となる。
フィルムの厚さは、例えばデジマチックマイクロメーター((株)ミツトヨ製)等の市販の測定機器を用いて測定することができる。
尚、複屈折率の正負の判断は、「高分子素材の偏光顕微鏡入門」(粟屋裕著、アグネ技術センター版、第5章、pp78〜82(2001))に記載の偏光顕微鏡を用いたλ/4板による加色判定法により判定を行なうことができる。また、位相差フィルムそのものを、または位相差フィルムを加熱収縮させた後、単軸延伸し、延伸方向の屈折率が大きくなるかどうかで判断することもできる。
本実施の形態に係る位相差フィルムは、ガラス転移温度が110℃〜200℃であることが好ましい。より好ましくは115℃〜200℃、更に好ましくは120℃〜200℃、特に好ましくは125℃〜190℃、最も好ましくは130℃〜180℃である。110℃未満であると、厳しくなる使用環境に対して耐熱性が不足し、フィルムが変形して位相差のムラが発生しやすくなることがあるため好ましくない。また、200℃を超えると、超高耐熱性の位相差フィルムとなるが、該フィルムを得るための成形加工性が悪かったり、フィルムの可撓性が大きく低下したりする場合があるため好ましくない。
本明細書においては、ガラス転移温度(Tg)は、ASTM−D−3418に従い、中点法で求めたものが意図される。
本実施の形態に係る位相差フィルムは、全光線透過率が85%以上であることが好ましい。より好ましくは90%以上、更に好ましくは91%である。全光線透過率は、透明性の目安であり、85%未満であると透明性が低下し、位相差フィルムとして適さない。
本実施の形態に係る位相差フィルムは、単独での使用以外に、同種光学材料及び/又は異種光学材料と積層して用いることにより、更に光学特性を制御することができる。この際に積層される光学材料としては、特には限定されないが、例えば、偏光板、ポリカーボネート製延伸配向フィルム、環状ポリオレフィン製延伸配向フィルム等が挙げられる。
本実施の形態に係る位相差フィルムは、液晶表示装置用の光学補償部材として好適に用いられる。具体的には、例えば、STN型LCD、TFT−TN型LCD、OCB型LCD、VA型LCD、IPS型LCD等のLCD用位相差フィルム;光学補償フィルム;偏光板との積層フィルム;偏光板光学補償フィルム等が挙げられる。また、本実施の形態に係る位相差フィルムを応用した用途は、これらに制限されるものではない。
また、本実施の形態に係る位相差フィルムは、液晶表示装置用の偏光板に用いる偏光子保護フィルムとして用いられ、特に、様々な液晶モードに対応した位相差フィルムとしても好ましく用いることができる。本実施の形態に係る位相差フィルムの好ましい光学特性は液晶モードによって異なる。
VA型LCDに位相差フィルムとして用いる場合、液晶セルの片側に、1枚のみで補償する場合には波長589nmにおける面内位相差値が40〜100nmの範囲であり、かつ波長589nmにおける厚さ方向の位相差値が160〜300nmの範囲であることが好ましく、波長589nmにおける面内位相差値が45〜80nmであり、波長589nmにおける厚さ方向の位相差値が170〜250nmであることが更に好ましい。
一方、VA型LCDの光学補償フィルムとして液晶セルの両側に使用し、同一の光学補償フィルム2枚で補償する場合には、波長589nmにおける面内位相差値が20〜100nmの範囲であり、かつ波長589nmにおける厚さ方向の位相差値が100〜200nmの範囲であることが好ましく、波長589nmにおける面内位相差値が25〜80nmであり、波長589nmにおける厚さ方向の位相差値が100〜150nmであることが更に好ましい。
(f)位相差フィルムの製造方法
上記(a)〜(c)を少なくとも満たす本実施の形態に係る位相差フィルムは、例えば、主成分であるアクリル系重合体と、弾性有機微粒子と、必要により、その他の重合体やその他の添加剤等とを、従来公知の混合方法にて混合し、フィルム状に成形し、逐次二軸延伸、同時二軸延伸等の二軸延伸をすることで得られる。
フィルム成形の方法としては、溶液キャスト法(溶液流延法)、溶融押出法、カレンダー法、圧縮成形法等、公知のフィルム成形方法が挙げられる。これらの中でも、溶液キャスト法(溶液流延法)、溶融押出法が好ましい。
溶液キャスト法(溶液流延法)に用いられる溶媒としては、例えば、クロロホルム、ジクロロメタン等の塩素系溶媒;トルエン、キシレン、ベンゼン、及びこれらの混合溶媒等の芳香族系溶媒;メタノール、エタノール、イソプロパノール、n−ブタノール、2−ブタノール等のアルコール系溶媒;メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブ、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルフォキシド、ジオキサン、シクロヘキサノン、テトラヒドロフラン、アセトン、酢酸エチル、ジエチルエーテル;等が挙げられる。これら溶媒は1種のみ用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
溶液キャスト法(溶液流延法)を行うための装置としては、例えば、ドラム式キャスティングマシン、バンド式キャスティングマシン、スピンコーター等が挙げられる。
溶融押出法としては、Tダイ法、インフレーション法等が挙げられ、その際の、フィルムの成形温度は、好ましくは150〜350℃、より好ましくは200〜300℃である。
また、上記アクリル系重合体と、上記弾性有機微粒子と、必要により、その他の重合体やその他の添加剤等の混合物を、Tダイ等から溶融押出しし、得られるフィルム状物の少なくとも片面をロール若しくはベルトに接触させて製膜する方法が、表面性状の良好なフィルムが得られる点で好ましい。更には、フィルムの表面平滑性及び表面光沢性を向上させる観点から、上記混合物を溶融押出成形して得られるフィルム状物の両面をロール表面若しくはベルト表面に接触させてフィルム化する方法が好ましい。
尚、上記ロールは、「タッチロール」若しくは「冷却ロール」と呼ばれることがあるが、本明細書中における用語「ロール」とは、これらの両方の意味を包含する。
ここで、フィルム状物の両面をロール若しくはベルト表面に最初に接触させる際のフィルム状物の温度は、当該フィルム状物のガラス転移温度以上の温度、好ましくは当該ガラス転移温度よりも約20℃以上高い温度である。
上記ロール若しくはベルト表面の材質としては、冷却効率が良いこと、及び平滑性に優れたフィルムが得易いことから、金属が好ましい。具体的にはステンレス、鋼鉄等が挙げられる。鋼鉄を用いる場合には、その表面にクロームメッキ等の処理が施されていてもよい。またロールは、その表面が鏡面となっているものがより好ましい。
上記フィルム状物と接触させる際の上記ロール若しくはベルト表面の温度は特に限定されないが、フィルムに成形し易い点で、一定温度に保持されていることが好ましい。
また、使用する上記ロールの本数は特には限定されないが、3〜4本を使用し、多段でフィルム厚み及び表面状態を調整することが望ましい。
尚、ロール表面若しくはベルト表面との接触はフィルム状物の一方の面に接触した後に他方の面に接触させることにより段階的に行ってもよいが、両面を同時に接触させることが好ましい。
このようにして得られるフィルムは、十分な厚み精度、表面平滑性を有しているが、更に厚み精度及び表面平滑性を向上させるために、その両面若しくは片面を、ロール表面若しくはベルト表面に接触させた状態で加熱し、ロール表面若しくはベルト表面に接触させた状態のままで冷却してもよい。
尚、本実施形態においては、フィルム化の前に、用いるアクリル系重合体等のフィルム原料を予備乾燥させることがより好ましい。予備乾燥は、例えば、原料をペレット等の形態にして、熱風乾燥機等を用いて行われる。予備乾燥は、押し出される樹脂の発泡を防ぐことができるので非常に有用である。
また、押出機内で加熱溶融されたフィルム原料を、ギアポンプやフィルターを通して、Tダイに供給することが好ましい。ギアポンプの使用は、樹脂の押出量の均一性を向上させ、厚みムラを低減させる効果が高く、非常に有用である。また、フィルターの使用は、樹脂中の異物を除去し、欠陥の無い外観に優れたフィルムを得るのに有用である。
更には、Tダイ等から押し出されるフィルム状物を2つのロールで挟み込んで冷却し、フィルムを成膜する際、2つのロールの内の一方が、表面が平滑な剛体性の金属ロールであり、もう一方が、表面が平滑な弾性変形可能な金属製弾性外筒を備えたフレキシブルロールであることが特に好ましい。
剛体性のロールとフレキシブルなロールとで、Tダイ等から押し出されるフィルム状物を挟み込んで冷却して成膜することにより、表面の微小な凹凸やダイライン等が矯正されて、表面の平滑な、厚みムラが5μm以下であるフィルムを得ることができる。
ここで、Tダイ等から押し出されるシート状の溶融樹脂を剛体性のロールとフレキシブルなロールとで挟み込みながら冷却して、厚さが薄いフィルムを成形する場合、一方のロールが弾性変形可能であったとしても、何れのロール表面も金属で構成されているために、ロールの面同士が接触してロール外面に傷が付き易い。また、ロールそのものが破損し易い。従って、このような方法で成形する場合、フィルムの厚さは10μm以上とすることが好ましく、50μm以上とすることがより好ましく、更に好ましくは80μm以上、特に好ましくは100μm以上である。
また、Tダイ等から押し出されるフィルム状物を剛体性のロールとフレキシブルなロールとで挟み込みながら冷却して、厚さが厚いフィルムを成形する場合、フィルムの冷却が不均一になり易く、光学的特性が不均一になり易い。従って、このような方法で成形する場合、フィルムの厚さは300μm以下とすることが好ましく、より好ましくは200μm以下、更に好ましくは170μm以下である。
上記位相差フィルムを得るための延伸方法としては、面内の任意の方向の耐折れ曲げ性と、大きな面内位相差値とを両立させやすい点で、逐次二軸延伸、同時二軸延伸が好ましく、中でも逐次二軸延伸が好ましい。面内の任意の直交する二方向としては、例えば、フィルム面内の遅相軸と平行方向及びフィルム面内の遅相軸と直交する方向が挙げられる。尚、所望の位相差値、所望の耐折れ曲げ性に応じて、延伸倍率、延伸温度、延伸速度等の延伸条件を適宜設定すればよく、特に限定はされない。
逐次二軸延伸法については、特に限定されないが、逐次延伸の縦延伸には、従来公知の任意の延伸方法が採用されてよく、ゾーン延伸又はロール縦延伸等が挙げられる。ゾーン延伸法は、2つのニップロール間に加熱ゾーンを有する縦一軸延伸であり、ロール縦延伸法は、所定の温度に設定された延伸ロール間で、入口側のロール回転数より出口側のロール回転数を大きくすることによって延伸する方法である。
逐次二軸延伸の横延伸には、従来公知の任意の延伸方法が採用されてもよく、テンター延伸等が挙げられる。テンター延伸は、フィルムの幅方向端部をテンタークリップで保持し、次第に間隔が開くように設置されたテンターレールに沿って、フィルムの幅方向端部を保持したテンタークリップを前進させることにより、フィルムを横延伸する方法である。
延伸等を行なう装置としては、例えば、ロール延伸機、テンター型延伸機、小型の実験用延伸装置として引張試験機、逐次二軸延伸機等が挙げられ、これら何れの装置を用いても、本実施の形態に係る位相差フィルムを得ることができる。
延伸温度としては、未延伸フィルムの高温側のガラス転移温度(つまり、アクリル系重合体由来のガラス転移温度)近辺で行うことが好ましい。具体的には、(高温側のガラス転移温度−10)℃〜(高温側のガラス転移温度+40)℃で行うことが好ましい。(高温側のガラス転移温度−10)℃よりも低いと、十分な延伸倍率が得られないために好ましくない。(高温側のガラス転移温度+40)℃よりも高いと、樹脂の流動(フロー)が起こり安定な延伸が行えなくなるために好ましくない。
面積比で定義した延伸倍率は、好ましくは1.1〜25倍の範囲、より好ましくは1.2〜10倍の範囲、更に好ましくは1.3〜5倍の範囲で行われる。1.1倍よりも小さいと、延伸に伴う位相差性能の発現や靭性の向上につながらないために好ましくない。25倍よりも大きいと、延伸倍率を上げるだけの効果が認められない。
ある方向に延伸する場合、その一方向に対する延伸倍率は、好ましくは1.05〜10倍の範囲、より好ましくは1.1〜5倍の範囲、更に好ましくは1.2〜3倍の範囲で行われる。1.05倍よりも小さいと、所望の位相差値が得られない場合があり好ましくない。10倍よりも大きいと、延伸倍率を上げるだけの効果が認められず、また延伸中にフィルムの破断が起こる場合があり好ましくない。
延伸速度(一方向)としては、好ましくは10〜20000%/分の範囲、より好ましくは100〜10000%/分の範囲である。10%/分よりも遅いと、十分な延伸倍率を得るために時間がかかり、製造コストが高くなるために好ましくない。20000%/分よりも早いと、延伸フィルムの破断等が起こるおそれがあるために好ましくない。
本実施の形態に係る位相差フィルムは、アクリル系重合体を主成分とし、有機微粒子を含むフィルム(以下、「未延伸フィルム」と記する場合がある)を延伸して得られるものであり、該未延伸フィルムの高温側のガラス転移温度−10℃〜該フィルムの高温側のガラス転移温度+40℃の温度範囲で延伸する一段目の工程と、一段目の工程後に行う、該フィルムの高温側のガラス転移温度−10℃〜該フィルムの高温側のガラス転移温度+40℃の温度範囲で延伸する二段目の工程とを含む方法で延伸を行うことにより製造することがより好ましい。
上記一段目の工程の延伸温度としては、未延伸フィルムの高温側のガラス転移温度−10℃以上の温度であれば特には限定されないが、該フィルムの高温側のガラス転移温度−5℃〜該フィルムの高温側のガラス転移温度+30℃の温度範囲であることがより好ましく、該フィルムの高温側のガラス転移温度〜該フィルムの高温側のガラス転移温度+20℃の温度範囲であることが更に好ましい。
尚、上記記載において、延伸温度は、未延伸フィルムの高温側のガラス転移温度に対する温度差で表記している場合がある。この場合、例えば、「高温側のガラス転移温度+40℃」は、高温側のガラス転移温度よりも40℃高い温度、「高温側のガラス転移温度−10℃」は、高温側のガラス転移温度よりも10℃低い温度を意味する。
上記一段目の工程の延伸倍率は、好ましくは1.1〜25倍の範囲内であり、より好ましくは1.2〜10倍の範囲内であり、更に好ましくは1.3〜5倍の範囲内である。延伸倍率が1.1倍よりも低いと、可撓性の向上の度合いが小さく、延伸倍率が25倍よりも高いと、延伸倍率を上げることによる効果が小さくなり、また、延伸中にフィルムの破断が起こり易くなる傾向がある。
上記一段目の工程の延伸速度としては、好ましくは10〜20000%/分の範囲であり、より好ましくは100〜10000%/分の範囲内である。延伸速度が10%/分よりも遅いと、延伸を行うまでに時間がかかるため製造コストが高くなる。延伸速度が20000%/分よりも速いと、延伸フィルムの破断等が起こるおそれがある。
上記二段目の工程の延伸温度としては、未延伸フィルムの高温側のガラス転移温度−10℃以上の温度であれば特には限定されないが、該フィルムの高温側のガラス転移温度−5℃〜該フィルムの高温側のガラス転移温度+30℃の温度範囲であることがより好ましく、該フィルムの高温側のガラス転移温度〜該フィルムの高温側のガラス転移温度+20℃の温度範囲であることが更に好ましい。
上記二段目の工程の延伸倍率は、好ましくは1.1〜25倍の範囲内であり、より好ましくは1.2〜10倍の範囲内であり、更に好ましくは1.3〜5倍の範囲内である。延伸倍率が1.1倍よりも低いと、可撓性の向上の度合いが小さく、延伸倍率が25倍よりも高いと、延伸倍率を上げることによる効果が小さくなり、また、延伸中にフィルムの破断が起こり易くなる傾向がある。
上記二段目の工程の延伸速度としては、好ましくは10〜20000%/分の範囲であり、より好ましくは100〜10000%/分の範囲内である。延伸速度が10%/分よりも遅いと、延伸を行うまでに時間がかかるため製造コストが高くなる。延伸速度が20000%/分よりも速いと、延伸フィルムの破断等が起こるおそれがある。
また、上記延伸方法では、二段目の延伸倍率が一段目の工程の延伸倍率よりも大きいことが好ましい。一段目の工程の延伸倍率が二段目の工程の延伸倍率以上であれば、任意の軸に対する可撓性の付与と、必要な位相差値とを両立することが困難になるおそれがある。
上記延伸方法では、二段目の工程で、一段目の工程の延伸方向と直交する方向に延伸を行うことが好ましい。この場合には、任意の軸の折り曲げに対する可撓性を十分に付与することができる。
以下に、実施例及び比較例によって本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。以下では、便宜上、「重量部」を単に「部」と、「リットル」を単に「L」と記すことがある。
尚、以下の説明では下記略語
MMA :メタクリル酸メチル
MHMA:2−(ヒドロキシメチル)アクリル酸メチル
BzMA:メタクリル酸ベンジル
MIBK:メチルイソブチルケトン
MEK :メチルエチルケトン
EDTA:エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム
SFS :ソジウムホルムアルデヒドスルホキシレート
BA :アクリル酸n−ブチル
St :スチレン
BDMA:ジメタクリル酸1,4−ブタンジオール
AMA :メタクリル酸アリル
PBH :t−ブチルハイドロパーオキサイド
AN :アクリロニトリル
を用いる場合がある。
<重合反応率、重合体組成分析>
重合反応時の反応率及び重合体中の特定単量体単位の含有率は、得られた重合反応混合物中の未反応単量体の量をガスクロマトグラフィー(島津製作所社製、装置名:GC17A)を用いて測定して求めた。
<BzMA構造単位の含有量>
H−NMR(製品名:FT−NMR UNITY plus400、400MHz、Varian社製、溶媒:銃クロロホルム、内部標準物質:メシチレン)により測定することにより求めた。
<ダイナミックTG>
重合体(もしくは重合体溶液あるいはペレット)を一旦テトラヒドロフランに溶解もしくは希釈し、過剰のヘキサン若しくはメタノールへ投入して再沈殿を行い、取り出した沈殿物を真空乾燥(1mmHg(1.33hPa)、80℃、3時間以上)することによって揮発成分等を除去し、得られた白色固形状の樹脂を以下の方法(ダイナミックTG法)で分析した。
測定装置:Thermo Plus2 TG−8120 Dynamic TG((株)リガク社製)
測定条件:試料量 5〜10mg
昇温速度:10℃/min
雰囲気:窒素フロー 200ml/min
方法:階段状等温制御法(60℃〜500℃の間で重量減少速度値0.005%/sec以下で制御)
<脱アルコール反応率(ラクトン環化率)>
脱アルコール反応率(ラクトン環化率)を、重合で得られた重合体組成からすべての水酸基がメタノールとして脱アルコールした際に起こる重量減少量を基準にし、ダイナミックTG測定において重量減少が始まる前の150℃から重合体の分解が始まる前の300℃までの脱アルコール反応による重量減少から求めた。
即ち、ラクトン環構造を有した重合体のダイナミックTG測定において150℃から300℃までの間の重量減少率の測定を行い、得られた実測重量減少率を(X)とする。他方、当該重合体の組成から、その重合体組成に含まれる全ての水酸基がラクトン環の形成に関与するためアルコールになり脱アルコールすると仮定した時の理論重量減少率(即ち、その組成上において100%脱アルコール反応が起きたと仮定して算出した重量減少率)を(Y)とする。尚、理論重量減少率(Y)は、より具体的には、重合体中の脱アルコール反応に関与する構造(水酸基)を有する原料単量体のモル比、即ち当該重合体組成における前記原料単量体の含有率から算出することができる。これらの値(X、Y)を脱アルコール計算式:
1−(実測重量減少率(X)/理論重量減少率(Y))
に代入してその値を求め、%で表記すると、脱アルコール反応率が得られる。
例として、後述の製造例2で得られるペレットにおいてラクトン環構造の占める割合を計算する。この重合体の理論重量減少率(Y)を求めてみると、メタノールの分子量は32であり、2−(ヒドロキシメチル)アクリル酸メチルの分子量は116であり、2−(ヒドロキシメチル)アクリル酸メチルのラクトン環化前の重合体中の含有率(重量比)は組成上29.7重量%であるから、(32/116)×29.7≒8.19重量%となる。他方、ダイナミックTG測定による実測重量減少率(X)は0.25重量%であった。これらの値を上記の脱アルコール計算式に当てはめると、1−(0.25/8.19)≒0.969となるので、脱アルコール反応率は96.9%である。
そして、上記脱アルコール反応率の分だけラクトン環化反応が行われたと仮定して、下記式
ラクトン環の含有割合(重量%)=B×A×M/M
(式中、Bは、ラクトン環化前の重合体における、ラクトン環化に関与する構造(水酸基)を有する原料単量体構造単位の重量含有割合であり、Mは生成するラクトン環構造単位の式量であり、Mはラクトン環化に関与する構造(水酸基)を有する原料単量体の分子量であり、Aは脱アルコール反応率である)
により、ラクトン環含有割合を算出することができる。
例えば、製造例2の場合、アクリル系樹脂(ペレット(P−1))のラクトン環化前の重合体における2−(ヒドロキシメチル)アクリル酸メチルの含有率が29.7重量%、算出した脱アルコール反応率が96.9%、分子量が116の2−(ヒドロキシメチル)アクリル酸メチルがメタクリル酸メチルと縮合した場合に生成するラクトン環構造単位の式量が170であることから、アクリル系樹脂におけるラクトン環の含有割合は42.2(≒29.7×0.969×170/116)重量%となる。
<重量平均分子量>
重合体の重量平均分子量は、GPC(東ソー社製GPCシステム、クロロホルム溶媒)のポリスチレン換算により求めた。
<樹脂及びフィルムの熱分析>
樹脂及びフィルムの熱分析は、試料約10mg、昇温速度10℃/min、窒素フロー50cc/minの条件で、DSC((株)リガク社製、装置名:DSC−8230)を用いて行った。尚、ガラス転移温度(Tg)は、ASTM−D−3418に従い、中点法で求めた。尚、上記ガラス転移温度の測定は、30〜250℃の温度範囲で行った。
<メルトフローレート>
メルトフローレートは、JIS K7210に基づき、試験温度240℃、荷重10kgで測定した。
<光学特性>
波長589nmにおける、フィルム面内の位相差値(Re)及び厚さ方向の位相差値(Rth)は、王子計測器社製KOBRA−WRを用いて測定した。測定項目として入射角依存性(単独N計算)を選択し、アッベ屈折率計で測定したフィルムの平均屈折率、膜厚d、傾斜中心軸として遅相軸、入射角を40°と入力し、面内位相差値(Re)及び厚さ方向の位相差値(Rth)、遅相軸を傾斜軸として40°傾斜させて測定した位相差値(Re(40°))、三次元屈折率nx、ny、nzの値を得た。
全光線透過率及びヘイズは、日本電色工業社製NDH−1001DPを用いて測定した。屈折率は、JIS K 7142に準拠して、測定波長589nmに対する、23℃での値を屈折計((株)アタゴ社製、装置名:デジタルアッベ屈折計DR−M2)を用いて測定した。
<フィルムの厚さ>
デジマチックマイクロメーター((株)ミツトヨ製)を用いて測定した。
<耐折回数>
フィルムの耐折回数は、耐折度試験機(テスター産業(株)製、MIT、BE−201型)を用いて、25℃、65%RHの状態に1時間以上静置させた、幅15mm、長さ80mmの試料フィルムを使用し、荷重50gの条件で、JIS P8115に準拠して測定した。尚、2軸延伸フィルムの測定の方向は直交する2つの軸方向で折り曲げ、何回目で折れるかを測定した。各方向で測定をそれぞれ3回行い、各方向における平均値を求め、平均値が小さかった方向の平均値を耐折回数とした。
〔製造例1〕
攪拌装置、温度センサー、冷却管、窒素導入管を付した30L反応釜に、メタクリル酸メチル(MMA)5200g、2−(ヒドロキシメチル)アクリル酸メチル(MHMA)2500g、メタクリル酸ベンジル(BzMA)2300g、トルエン10000gを仕込んだ。次に、上記反応釜に窒素を流しながら、反応釜の内容物を105℃まで昇温させ、還流開始後に、開始剤としてターシャリーブチルパーオキシイソノナノエート(商品名:ルパゾール570、アトフィナ吉富(株)製)6.0gを添加すると同時に、t−アミルパーオキシイソノナノエート12.0g及びトルエン100gからなる開始剤溶液を6時間かけて滴下しながら、還流下(約105〜110℃)で溶液重合を行った。t−アミルパーオキシイソノナノエート・トルエン溶液の滴下後、更に2時間熟成を行った。
得られた重合体の反応率は96.4%であり、重合体中のMHMA構造単位の含有量は25.1重量%であり、BzMA構造単位の含有量は23.2%であった。
得られた上記重合体溶液に、リン酸オクチル/リン酸ジオクチル混合物(堺化学製、商品名:Phoslex A−8)20gを加え、還流下(約80〜105℃)で2時間環化縮合反応を行い、更に240℃の熱媒を用いて、オートクレーブ中で加圧下(ゲージ圧が最高約1.6MPaまで)、240℃で1.5時間環化縮合反応を行った。
上記環化縮合反応で得られた重合体溶液を、バレル温度250℃、回転数100rpm、減圧度13.3〜400hPa(10〜300mmHg)、リアベント数1個、フォアベント数4個のベントタイプスクリュー二軸押出し機(φ=29.75mm、L/D=30)に、樹脂量換算で2.0kg/時間の処理速度で導入し、該押出し機内で環化縮合反応と脱揮とを行い、押出すことにより、透明なペレット(P−1)を得た。
得られたペレット(P−1)について、ダイナミックTGの測定を行ったところ、0.15重量%の重量減少を検知した。また、ペレット(P−1)の重量平均分子量は150,000であり、メルトフローレート(MFR)は20g/10分、ガラス転移温度(Tg)は130℃であった。また、ペレット(P−1)中のBzMA構造単位の含有量は23.6重量%であり、プレスフィルムを作製して測定した屈折率は1.517であった。
〔製造例2〕
攪拌装置、温度センサー、冷却管、窒素導入管を付した30L反応釜に、メタクリル酸メチル(MMA)7000g、2−(ヒドロキシメチル)アクリル酸メチル(MHMA)3000g、メチルイソブチルケトン(MIBK)とメチルエチルケトン(MEK)とからなる混合溶媒(重量比9:1)6667gを仕込み、これに窒素を通じつつ、105℃まで昇温し、還流したところで、開始剤としてターシャリーブチルパーオキシイソノナノエート(商品名:ルパゾール570、アトフィナ吉富(株)製)6.0gを添加すると同時に、ターシャリーブチルパーオキシイソノナノエート12.0gと、MIBKとMEKとからなる混合溶媒(重量比9:1)3315gとからなる溶液を3時間かけて滴下しながら、還流下(約95〜110℃)で溶液重合を行い、更に4時間かけて熟成を行った。重合の反応率は94.5%、重合体中のMHMAの含有率(重量比)は29.7%であった。
得られた重合体溶液に、リン酸オクチル/リン酸ジオクチル混合物(堺化学製、商品名:Phoslex A−8)20gを加え、還流下(約85〜100℃)で2時間、環化縮合反応を行い、更に240℃の熱媒を用いて、オートクレーブ中で加圧下(ゲージ圧が最高約2MPa)で1.5時間環化縮合反応を行った。
次いで、上記環化縮合反応で得られた重合体溶液を、製造例1と同様に、ベントタイプスクリュー二軸押出し機内で環化縮合反応と脱揮とを行い、押出すことにより、透明なペレット(P−2)を得た。
得られたペレット(P−2)について、ダイナミックTGの測定を行ったところ、0.25重量%の重量減少を検知した。また、ペレット(P−2)の重量平均分子量は127,000であり、メルトフローレートは6.5g/10分、ガラス転移温度は140℃であり、プレスフィルムを作製して測定した屈折率は1.504であった。
〔製造例3〕(弾性有機微粒子(G−1)の製造)
冷却器と攪拌機とを備えた重合容器に、脱イオン水120部、ブタジエン系ゴム重合体ラテックス(平均粒子径240nm)を固形分として50部、オレイン酸カリウム1.5部、ソジウムホルムアルデヒドスルホキシレート(SFS)0.6部を投入し、重合容器内を窒素ガスで十分置換した。
続いて、内温を70℃に昇温させた後、スチレン36.5部、及びアクリロニトリル13.5部からなる混合モノマー溶液と、クメンハイドロキシパーオキサイド0.27部、及び脱イオン水20.0部からなる重合開始剤溶液とを別々に2時間かけて連続滴下しながら重合を行った。滴下終了後、内温を80℃に昇温して2時間重合を継続させた。次に内温が40℃になるまで冷却した後に300メッシュ金網を通過させて弾性有機微粒子の乳化重合液を得た。
得られた弾性有機微粒子の乳化重合液を塩化カルシウムで塩析、凝固し、水洗、乾燥して、粉体状の弾性有機微粒子(G−1、平均粒子径:0.260μm、軟質重合体層の屈折率:1.516)を得た。
尚、弾性有機微粒子の平均粒子径の測定には、NICOMP社製粒度分布測定装置(Submicron Particle Sizer NICOMP380)を用いた。
また、上記「ブタジエン系ゴム重合体ラテックス(平均粒子径240nm)」は、以下の方法により製造した。耐圧反応容器に、脱イオン水70部、ピロリン酸ナトリウム0.5部、オレイン酸カリウム0.2部、硫酸第一鉄0.005部、デキストロース0.2部、p−メンタンハイドロパーオキシド0.1部、1,3−ブタジエン28部からなる反応混合物を加え、65℃に昇温し、2時間重合を行った。次に、該反応混合物にp−ハイドロパーオキシド0.2部を加え、1,3−ブタジエン72部、オレイン酸カリウム1.33部、脱イオン水75部を2時間で連続滴下した。重合開始から21時間反応させて、上記ブタジエン系ゴム重合体ラテックスを得た。
〔製造例4〕(弾性有機微粒子(G−2)の製造)
冷却器と攪拌機とを備えた重合容器に、脱イオン水710部、ラウリル硫酸ナトリウム1.5部を投入して溶解し、内温を70℃に昇温した。そして、SFS0.93部、硫酸第一鉄0.001部、EDTA0.003部、脱イオン水20部の混合液を上記重合容器中に一括投入し、重合容器内を窒素ガスで十分置換した。
モノマー混合液(M−1)(BA7.10部、St2.86部、BDMA0.02部、AMA0.02部)と重合開始剤溶液(PBH0.13部、脱イオン水10.0部)とを上記重合容器の中に一括添加し、60分間重合反応を行った。
続いて、モノマー混合液(M−2)(BA63.90部、St25.20部、AMA0.9部)と重合開始剤溶液(PBH0.246部、脱イオン水20.0部)とを別々に90分間かけて連続滴下しながら重合を行った。滴下終了後更に60分間重合を継続させた。これにより、有機微粒子のコア・シェル構造のコアとなる部分を得た。
続いて、モノマー混合液(M−3)(St73.0部、AN27.0部)と重合開始剤溶液(PBH0.27部、脱イオン水20.0部)とを別々に100分間かけて連続滴下しながら重合を行い、滴下終了後内温を80℃に昇温して120分間重合を継続させた。次に内温が40℃になるまで冷却した後に300メッシュ金網を通過させて有機微粒子の乳化重合液を得た。
得られた有機微粒子の乳化重合液を塩化カルシウムで塩析、凝固し、水洗、乾燥して、粉体状の有機微粒子(G−2、平均粒子径0.105μm)を得た。
〔製造例5〕(弾性有機微粒子混練樹脂(B−1)の製造)
製造例1で得られたペレット(P−1)と製造例3で得られた弾性有機微粒子(G−1)とを(P−1)/(G−1)=70/30の重量比となるようにフィーダーを用いてフィードしながら、シリンダー径が20mmの2軸押出機を用いて240℃で混練し、ペレット(B−1)を得た。
〔製造例6,7〕(弾性有機微粒子混練樹脂(B−2)(B−3)の製造)
ペレットの種類、弾性有機微粒子の種類、混練する重量比を表1に示すように変更したこと以外は製造例5と同様の操作を行い、ペレット(B−1)、ペレット(B−2)をそれぞれ得た。
Figure 2009199044
〔実施例1〕
製造例5で得られたペレット(B−1)を30mmφのスクリュウを有する一軸押出機を用いて溶融混練後、リーフディスク型のポリマーフィルタ(濾過精度5μm)を通して幅300mmのT型ダイから押出しし、表面が鏡面である金属キャストロールと表面が鏡面で弾性変形可能な金属弾性外筒を備えたフレキシブルタッチロールとを用いてフィルム両面が同時に完全にロールに接触するように成形をして、厚さ約150μmのフィルム(FB1a)を作製した。
得られた未延伸フィルム(FB1a)を、一辺の長さが97mmの正方形に切り出し、MD方向が1段目の延伸方向となるように延伸機のチャックにセットした。チャックの内側の距離は縦横共に80mmとした。135℃で3分間余熱後、延伸倍率1.5倍、延伸速度240mm/分でMD方向に1段目の一軸延伸を行った。尚、この際、幅方向(延伸方向に対して直交する方向)は収縮しないようにした。
続いて、延伸倍率1.8倍、延伸速度240mm/分でTD方向に2段目の延伸を行った。この際、一段目の延伸と同様に、幅方向が収縮しないようにした。得られた延伸フィルムの結果を表2に示す。
〔実施例2〕
延伸における温度を140℃に、1段目の延伸倍率を1.6倍、2段目の延伸倍率を1.9倍に変更したこと以外は、実施例1と同様の操作を行い、2軸延伸フィルムを得た。得られた2軸延伸フィルムの結果を表2に示す。
〔実施例3〕
1段目の延伸倍率を1.8倍、2段目の延伸倍率を2.1倍に変更したこと以外は、実施例1と同様の操作を行い、2軸延伸フィルムを得た。得られた2軸延伸フィルムの結果を表2に示す。
〔実施例4〕
ペレット(B−1)を製造例6で得られたペレット(B−2)に、延伸温度を137℃に変更したこと以外は、実施例1と同様の操作を行い、2軸延伸フィルムを得た。得られた2軸延伸フィルムの結果を表2に示す。
〔実施例5〕
延伸温度を125℃に変更したこと以外は、実施例1と同様の操作を行い、2軸延伸フィルムを得た。得られた2軸延伸フィルムの結果を表2に示す。
〔実施例6〕
未延伸フィルムの厚さを200μm、延伸温度を150℃、一段目の延伸倍率を1.8倍、2段目の延伸倍率を2.2倍に変更したこと以外は、実施例1と同様の操作を行い、2軸延伸フィルムを得た。得られた2軸延伸フィルムの結果を表2に示す。
〔実施例7〕
ペレット(B−1)を製造例7で得られたペレット(B−3)に、未延伸フィルムの厚さを230μmに、延伸温度を143℃に変更したこと以外は、実施例1と同様の操作を行い、2軸延伸フィルムを得た。得られた2軸延伸フィルムの結果を表2に示す。
〔比較例1〕
製造例5で得られたペレット(B−1)を30mmφのスクリュウを有する一軸押出機を用いて溶融混練後、リーフディスク型のポリマーフィルタ(濾過精度5μm)を通して幅300mmのT型ダイから押出しし、表面が鏡面である金属キャストロールと表面が鏡面で弾性変形可能な金属弾性外筒を備えたフレキシブルタッチロールとを用いてフィルム両面が同時に完全にロールに接触するように成形をして、厚さ約150μmのフィルム(FB1f)を作製した。
得られた未延伸フィルム(FB1f)を、コーナーストレッチ式二軸延伸試験装置X6−S(東洋精機製作所製)を用いて延伸を行った。具体的には、まず、得られた未延伸フィルム(FB1f)をMD方向が97mm、TD方向が80mmの長方形に切り出し、MD方向が延伸方向となるように延伸機にセットした。TD方向は自由に収縮できるようにするために、チャックはフィルムを掴まないようにした。チャックの内側の距離は縦横共に80mmとした。135℃で3分間余熱後、延伸倍率2倍、延伸速度240mm/分でMD方向に自由端一軸延伸を行った。得られた一軸延伸フィルムの測定結果を表2に示す。
〔比較例2〕
ペレット(B−1)を製造例7で得られたペレット(B−3)に、延伸温度を143℃に変更したこと以外は、比較例1と同様の操作を行い、1軸延伸フィルムを得た。得られた1軸延伸フィルムの結果を表2に示す。
〔比較例3〕
ペレット(B−1)を製造例1で得られたペレット(P−1)に、延伸温度を128℃に変更したこと以外は、実施例1と同様の操作を行うことを試みたが、延伸開始後にフィルムが破断した。もう一度、同様の操作を試みたが、やはり延伸途中でフィルムが破断した。このため、逐次2軸延伸フィルムを得ることができなかった。
〔比較例4〕
ペレット(B−1)を製造例2で得られたペレット(P−2)に、延伸温度を160℃に変更したこと以外は実施例1と同様の操作を行い、2軸延伸フィルムを得た。得られた二軸延伸フィルムの結果を表2に示す。
Figure 2009199044
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
本発明の位相差フィルムは、位相差フィルムに好適な位相差を有し、可撓性が非常に優れている。このため、VA(バーティカルアライメント)用液晶表示装置に用いられる位相差フィルム等に使用することができる。

Claims (9)

  1. アクリル系重合体を主成分として、弾性有機微粒子を含有する位相差フィルムであって、
    波長589nmにおける面内位相差値が15nm以上100nm以下の範囲内であり、
    波長589nmにおける厚さ方向の位相差値が70nm以上400nm以下の範囲内であり、
    幅15mm、長さ80mmの試料フィルムを使用し、荷重50gの条件で、JIS P8115に準拠して測定した耐折回数が100回以上であることを特徴とする位相差フィルム。
  2. 上記耐折回数が500回以上であることを特徴とする請求項1に記載の位相差フィルム。
  3. ヘイズが2%以下であることを特徴とする請求項1又は2に記載の位相差フィルム。
  4. 二軸延伸をして得られることを特徴とする請求項1〜3の何れか1項に記載の位相差フィルム。
  5. 上記弾性有機微粒子は、共役ジエン単量体を重合して構築される共役ジエン単量体構造単位を必須成分として有し、低温側のガラス転移温度が−40℃未満であることを特徴とする請求項1〜4の何れか1項に記載の位相差フィルム。
  6. 上記弾性有機微粒子は、ブタジエン及びイソプレンからなる群から選択される少なくとも1種以上の単量体を重合して得られる共役ジエン単量体構造を有することを特徴とする請求項1〜5の何れか1項に記載の位相差フィルム。
  7. 高温側のガラス転移温度が110℃以上200℃以下の範囲内であることを特徴とする請求項1〜6の何れか1項に記載の位相差フィルム。
  8. 上記アクリル系重合体はラクトン環構造を有することを特徴とする請求項1〜7の何れか1項に記載の位相差フィルム。
  9. 上記ラクトン環構造が下記一般式(1)
    Figure 2009199044
    (式中、R、R、Rは、それぞれ独立に、水素原子または炭素数1〜20の有機残基を表す。尚、有機残基は酸素原子を含んでいてもよい。)
    で表される構造であることを特徴とする請求項8に記載の位相差フィルム。
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