JP2009201437A - 種子内の油脂含量を調節する変異遺伝子、種子内油脂含量の調節方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】種子内の油脂含量を調節する機能を有する変異遺伝子及び種子内油脂含量の調節方法を提供する。
【解決手段】イネ科、アブラナ科、ヤナギ科から成る群から選ばれる遺伝子としてオレオシン-GFP融合タンパク質を発現させ、GFP蛍光強度の総和と油脂含量との間に正の相関がある。具体的には、本蛋白質のアミノ酸配列において、N末端側から12番目のアミノ酸残基が他のアミノ酸に置換されたコンセンサス配列を有する変異タンパク質が、種子内の油脂含量を調節する機能を有する変異タンパク質をコードする変異遺伝子に由来する。
【選択図】なし
【解決手段】イネ科、アブラナ科、ヤナギ科から成る群から選ばれる遺伝子としてオレオシン-GFP融合タンパク質を発現させ、GFP蛍光強度の総和と油脂含量との間に正の相関がある。具体的には、本蛋白質のアミノ酸配列において、N末端側から12番目のアミノ酸残基が他のアミノ酸に置換されたコンセンサス配列を有する変異タンパク質が、種子内の油脂含量を調節する機能を有する変異タンパク質をコードする変異遺伝子に由来する。
【選択図】なし
Description
本発明は、種子内に存在するオイルボディの変化を指標にして同定された、種子内の油脂含量を調節する変異遺伝子、及び、特定の遺伝子を変異させることで種子内油脂含量を調節する方法に関する。
オイルボディ(油体、リピッドボディ(脂質体)と呼ばれる場合もある)は植物、特に油糧作物の種子細胞中に多量に存在する細胞内小器官である。オイルボディはオレオシンやステロレオシン、カレオシンと呼ばれる特異的なタンパク質を含んだ一層のリン脂質膜で形成され、内部には植物油脂がトリアシルグリセロール(TAG、中性脂肪、中性脂質)の形で、特に植物種子中に大量に蓄積している。従来、オイルボディに蓄積された油脂を分析する手法としては、種子を破壊して油脂成分を抽出し、ガスクロマトグラフィーや液体クロマトグラフィー等を用いた分析方法であった。このような方法では、脂質分解阻害剤を添加したり、処理温度に低温条件が必要であったり、また、油脂成分の分解の危険性があった。
一方、非特許文献1には、オイルボディの大きさがオレオシンの存在量に影響されることが開示されている。また、非特許文献2には、オレオシン遺伝子とGFP(緑色蛍光タンパク質、green fluorescent protein)遺伝子を融合させることにより、GFP由来の蛍光によってオイルボディを観察できることが開示されている。しかしながら、オイルボディを観察できたとしても、オイルボディの数や形状と、オイルボディに蓄積される油脂量や油脂種との相関については未解明であった。
Siloto, R. M. P. Et al., Plant Cell 18, 1961-1974, (2006)
Wahlroos et al., GENESIS, 35 (2): 125-132, (2003)
そこで、本発明は、植物細胞中のオイルボディの数や大きさといった各種性状を測定できる系を確立し、これを用いてオイルボディ性状と油脂含量との相関関係を解明し、種子内の油脂含量を調節する機能を有する変異遺伝子及び種子内油脂含量の調節方法を提供することを目的とする。
上述した目的を達成するため、本発明者らが鋭意検討し、オレオシン-GFP融合タンパク質を発現させ、GFP蛍光強度の総和と油脂含量との間に正の相関があることを見いだした。この知見に基づいて、本発明者らは、種子中の油脂含量に影響を与える機能を有する遺伝子及び当該遺伝子におけるアミノ酸置換変異が種子中の油脂含量に影響を与えることを見いだし、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明に係る変異遺伝子は以下を包含する。
(1)配列番号1に示すアミノ酸配列において、N末端側から12番目のアミノ酸残基が他のアミノ酸に置換されたコンセンサス配列を有する変異タンパク質であって、植物種子内の油脂含量を調節する機能を有する変異タンパク質をコードする変異遺伝子。
(1)配列番号1に示すアミノ酸配列において、N末端側から12番目のアミノ酸残基が他のアミノ酸に置換されたコンセンサス配列を有する変異タンパク質であって、植物種子内の油脂含量を調節する機能を有する変異タンパク質をコードする変異遺伝子。
(2)上記他のアミノ酸がイソロイシン、バリン、ロイシン及びメチオニンからなる群から選ばれる一種のアミノ酸であることを特徴とする(1)記載の変異遺伝子。
(3)上記他のアミノ酸がイソロイシンであることを特徴とする(1)記載の変異遺伝子。
(4)上記変異タンパク質は、配列番号4〜17のアミノ酸配列のうちいずれか1に示すアミノ酸配列に含まれる上記コンセンサス配列において、N末端側から12番目のアミノ酸残基が他のアミノ酸に置換されたものであることを特徴とする(1)記載の変異遺伝子。
(5)植物由来の遺伝子を変異させたものであることを特徴とする(1)記載の変異遺伝子。
(6)イネ科、アブラナ科及びヤナギ科からなる群から選ばれる1つの科に属する植物由来遺伝子を変異させたものであることを特徴とする(1)記載の変異遺伝子。
(7)大麦、イネ、シロイヌナズナ、Brassica rapa及びポプラからなる群から選ばれる1つの種に属する植物由来遺伝子を変異させたものであることを特徴とする(1)記載の変異遺伝子。
また、本発明は、上述した変異遺伝子によってコードされる変異タンパク質、上述した変異遺伝子を導入してなる形質転換細胞、上述した変異遺伝子を導入してなる形質転換植物を包含する。
一方、本発明に係る種子内油脂含量の調節方法は以下を包含する。
(8)配列番号1に示すアミノ酸配列からなるコンセンサス配列を有するタンパク質をコードする遺伝子に対して、配列番号1に示すアミノ酸配列のN末端側から12番目のアミノ酸残基を他のアミノ酸に置換する変異を導入する、種子内油脂含量の調節方法。
(8)配列番号1に示すアミノ酸配列からなるコンセンサス配列を有するタンパク質をコードする遺伝子に対して、配列番号1に示すアミノ酸配列のN末端側から12番目のアミノ酸残基を他のアミノ酸に置換する変異を導入する、種子内油脂含量の調節方法。
(9)上記他のアミノ酸がイソロイシン、バリン、ロイシン及びメチオニンからなる群から選ばれる一種のアミノ酸であることを特徴とする(8)記載の種子内油脂含量の調節方法。
(10)上記他のアミノ酸がイソロイシンであることを特徴とする(8)記載の種子内油脂含量の調節方法。
(11)
配列番号4〜17のアミノ酸配列のうちいずれか1に示すアミノ酸配列に含まれる上記コンセンサス配列において、N末端側から12番目のアミノ酸残基が他のアミノ酸に置換された変異タンパク質を発現させることを特徴とする(8)記載の種子内油脂含量の調節方法。
配列番号4〜17のアミノ酸配列のうちいずれか1に示すアミノ酸配列に含まれる上記コンセンサス配列において、N末端側から12番目のアミノ酸残基が他のアミノ酸に置換された変異タンパク質を発現させることを特徴とする(8)記載の種子内油脂含量の調節方法。
(12)イネ科、アブラナ科及びヤナギ科からなる群から選ばれる1つの科に属する植物由来遺伝子を変異させることを特徴とする(8)記載の種子内油脂含量の調節方法。
(13)大麦、イネ、シロイヌナズナ、Brassica rapa及びポプラからなる群から選ばれる1つの種に属する植物由来遺伝子を変異させることを特徴とする(8)記載の種子内油脂含量の調節方法。
本発明に係る変異遺伝子によれば、種子内の油脂含量や油脂組成等を調節することができる。また、本発明に係る種子内油脂含量の調節方法によれば、油脂含量や油脂組成が調節された植物を提供することができる。
以下、図面を参照して本発明を詳細に説明する。
本発明では、オイルボディ特異的タンパク質と蛍光タンパク質、具体的にはオレオシン-GFP融合遺伝子を用いてモデル植物であるシロイヌナズナを形質転換し、形質転換シロイヌナズナから採取した子葉に含まれるオイルボディを蛍光により可視化した。この形質転換シロイヌナズナに突然変異を誘発してオイルボディの形状や数といった各種性状の変化を観察するとともに、油脂含量や油性組成の変化を測定した。驚くべきことに、オイルボディの各種性状のうち子葉中の蛍光総和(換言すれば、単位面積あたりの蛍光強度)と、種子に含まれる油脂含量との間に正の相関があることが明らかになった。以上の知見に基づいて、植物における油脂含量、油脂量や油脂中の脂肪酸組成が変化した突然変異体の原因遺伝子及び原因となる突然変異を特定した。
本発明では、オイルボディ特異的タンパク質と蛍光タンパク質、具体的にはオレオシン-GFP融合遺伝子を用いてモデル植物であるシロイヌナズナを形質転換し、形質転換シロイヌナズナから採取した子葉に含まれるオイルボディを蛍光により可視化した。この形質転換シロイヌナズナに突然変異を誘発してオイルボディの形状や数といった各種性状の変化を観察するとともに、油脂含量や油性組成の変化を測定した。驚くべきことに、オイルボディの各種性状のうち子葉中の蛍光総和(換言すれば、単位面積あたりの蛍光強度)と、種子に含まれる油脂含量との間に正の相関があることが明らかになった。以上の知見に基づいて、植物における油脂含量、油脂量や油脂中の脂肪酸組成が変化した突然変異体の原因遺伝子及び原因となる突然変異を特定した。
すなわち、本発明に係る変異遺伝子は、ジアシルグリセロールアシルトランスフェラーゼ・ドメインと呼ばれる進化的に保存されたアミノ酸配列中の所定のアミノ酸を他のアミノ酸に置換したタンパク質であって、植物における油脂含量や油脂量を調節する機能を有するタンパク質をコードしている。本発明に係る変異遺伝子は、所定のアミノ酸を他のアミノ酸に置換したアミノ酸配列からなるジアシルグリセロールアシルトランスフェラーゼ・ドメインと呼ばれる進化的に保存されたアミノ酸配列を有するタンパク質である。以下の説明において、ジアシルグリセロールアシルトランスフェラーゼ・ドメインと呼ばれる進化的に保存されたアミノ酸配列を構成するアミノ酸配列をコンセンサス配列と称する。コンセンサス配列を配列番号1に示す。
詳細に、配列番号1に示すコンセンサス配列は、以下のアミノ酸配列(アミノ酸一文字表記)と書き換えることができる。
(D/E)xxxxxGxxxx(T/S)xxxx(Y/F)(R/K/N/Q)L(F/L)xxxx(F/H)VxL(Y/F)PGGxRE(A/S)LHx(K/R)(G/D)Ex(Y/H)(K/R/Q)L(F/I)WP(D/E)(Q/H/R)xEFVRxA(A/S)(R/K/Q)F(G/N)(A/V/T)(T/K)(I/V)(I/V)PFGxVGEDD(V/F/I/L/M)x(E/D/H)(L/V/M/I)x
(D/E)xxxxxGxxxx(T/S)xxxx(Y/F)(R/K/N/Q)L(F/L)xxxx(F/H)VxL(Y/F)PGGxRE(A/S)LHx(K/R)(G/D)Ex(Y/H)(K/R/Q)L(F/I)WP(D/E)(Q/H/R)xEFVRxA(A/S)(R/K/Q)F(G/N)(A/V/T)(T/K)(I/V)(I/V)PFGxVGEDD(V/F/I/L/M)x(E/D/H)(L/V/M/I)x
上記アミノ酸配列において、カッコ内の複数のアミノ酸は当該位置において取りうるアミノ酸残基のバリエーションを示している。また、下記アミノ酸配列において、xは、当該位置に置いて任意のアミノ酸残基を取りうることを意味している。所定の位置において取りうるアミノ酸残基のバリエーションは以下の理由によるものである。すなわち、上記コンセンサス配列は、後述するように、複数の植物種由来の相同タンパク質のアミノ酸配列をマルチプルアラインメント解析することで規定することができる。ここで、参考文献(1)(「マッキー生化学」第3版 5章アミノ酸・ペプチド・タンパク質 5.1アミノ酸、監修:市川厚、監訳:福岡伸一、発行者:曽根良介、発行所:(株)化学同人、ISBN4-7598-0944 -9)でも記載されているように、アミノ酸は同様の性質(化学的性質や物理的大きさ)を持つ側鎖に従って分類される事がよく知られる。また、タンパク質の活性を保持したまま、所定のグループに分類されるアミノ酸残基間における分子進化上の置換が頻度高く起こることがよく知られる。この考えを基に、参考文献(2): Henikoff S., Henikoff J.G., Amino-acid substitution matrices from protein blocks, Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 89, 10915-10919 (1992)中の、Fig.2でアミノ酸残基の置換変異のスコアマトリックス(BLOSUM)が提唱され、広く使用されている(本明細書の図1)。参考文献(2)では、側鎖の化学的性質が似たもの同士のアミノ酸置換は、タンパク質全体に与える構造や機能変化が少なくなると言う知見に基づくものである。上記参考文献(1)及び(2)によれば、マルチプルアラインメントで考慮するアミノ酸の側鎖のグループは、化学的性質や物理的大きさなどの指標を基にして考えることができる。これは、図1に示されたスコアの0以上の値を持つアミノ酸、好ましくは1以上の値を持つアミノ酸のグループとして示される。代表的なグループとしては、下記の8つが上げられる。その他の細かいグループ分けは、図1の値の0以上同士のアミノ酸グループ、好ましくは1以上同士のアミノ酸グループ、さらに好ましくは2以上のアミノ酸グループであれば良い。
1)脂肪族疎水性アミノ酸グループ(ILMVグループ)
このグループは、上記参考文献(1)で示された中性非極性アミノ酸のうち、脂肪属性の疎水性側鎖をもつアミノ酸のグループであり、V(Val、バリン)、L(Leu、ロイシン)、I(Ile、イソロイシン)及びM(Met、メチオニン)から構成される。参考文献(1)による中性非極性アミノ酸と分類されるもののうちFGACWPは以下理由で、この「脂肪族疎水性アミノ酸グループ」には含めない。G(Gly、グリシン)やA(Ala、アラニン)はメチル基以下の大きさで非極性の効果が弱いからである。C(Cys、システイン)はS-S結合に重要な役目を担う場合があり、また、酸素原子や窒素原子と水素結合を形成する特性があるからである。F(Phe、フェニルアラニン)やW(Trp、トリプトファン)は側鎖がとりわけ大きな分子量をもち、かつ、芳香族の効果が強いからである。P(Pro、プロリン)はイミノ酸効果が強く、ポリペプチドの主鎖の角度を固定してしまうからである。
このグループは、上記参考文献(1)で示された中性非極性アミノ酸のうち、脂肪属性の疎水性側鎖をもつアミノ酸のグループであり、V(Val、バリン)、L(Leu、ロイシン)、I(Ile、イソロイシン)及びM(Met、メチオニン)から構成される。参考文献(1)による中性非極性アミノ酸と分類されるもののうちFGACWPは以下理由で、この「脂肪族疎水性アミノ酸グループ」には含めない。G(Gly、グリシン)やA(Ala、アラニン)はメチル基以下の大きさで非極性の効果が弱いからである。C(Cys、システイン)はS-S結合に重要な役目を担う場合があり、また、酸素原子や窒素原子と水素結合を形成する特性があるからである。F(Phe、フェニルアラニン)やW(Trp、トリプトファン)は側鎖がとりわけ大きな分子量をもち、かつ、芳香族の効果が強いからである。P(Pro、プロリン)はイミノ酸効果が強く、ポリペプチドの主鎖の角度を固定してしまうからである。
2)ヒドロキシメチレン基をもつグループ(STグループ)
このグループは、中性極性アミノ酸のうちヒドロキシメチレン基を側鎖に持つアミノ酸のグループであり、S(Ser、セリン)とT(Thr、スレオニン)から構成される。SとTの側鎖に存在する水酸基は、糖の結合部位であるため、あるポリペプチド(タンパク質)が特定の活性を持つために重要な部位である場合が多い。
このグループは、中性極性アミノ酸のうちヒドロキシメチレン基を側鎖に持つアミノ酸のグループであり、S(Ser、セリン)とT(Thr、スレオニン)から構成される。SとTの側鎖に存在する水酸基は、糖の結合部位であるため、あるポリペプチド(タンパク質)が特定の活性を持つために重要な部位である場合が多い。
3)酸性アミノ酸(DEグループ)
このグループは、酸性であるカルボキシル基を側鎖に持つアミノ酸のグループであり、D(Asp、アスパラギン酸)とE(Glu、グルタミン酸)から構成される。
このグループは、酸性であるカルボキシル基を側鎖に持つアミノ酸のグループであり、D(Asp、アスパラギン酸)とE(Glu、グルタミン酸)から構成される。
4)塩基性アミノ酸(KRグループ)
このグループは、塩基性アミノ酸のグループであり、K(Lys、リジン)とR(Arg、アルギニン)から構成される。これらKとRは、pHの広い範囲で正に帯電し塩基性の性質をもつ。一方、塩基性アミノ酸に分類されるH(His、ヒスチジン)はpH7においてほとんどイオン化されないので、このグループには分類されない。
このグループは、塩基性アミノ酸のグループであり、K(Lys、リジン)とR(Arg、アルギニン)から構成される。これらKとRは、pHの広い範囲で正に帯電し塩基性の性質をもつ。一方、塩基性アミノ酸に分類されるH(His、ヒスチジン)はpH7においてほとんどイオン化されないので、このグループには分類されない。
5)メチレン基=極性基(DHNグループ)
このグループは、全てα位の炭素元素に側鎖としてメチレン基が結合しその先に極性基を有すると言う特徴を持つ。非極性基であるメチレン基の物理的大きさが酷似している特徴を持ち、N(Asn、アスパラギン、極性基はアミド基)、D(Asp、アスパラギン酸、極性基はカルボキシル基)とH(His、ヒスチジン、極性基はイミダゾール基)から成る。
このグループは、全てα位の炭素元素に側鎖としてメチレン基が結合しその先に極性基を有すると言う特徴を持つ。非極性基であるメチレン基の物理的大きさが酷似している特徴を持ち、N(Asn、アスパラギン、極性基はアミド基)、D(Asp、アスパラギン酸、極性基はカルボキシル基)とH(His、ヒスチジン、極性基はイミダゾール基)から成る。
6)ジメチレン基=極性基(EKQRグループ)
このグループは、全てα位の炭素元素に側鎖としてジメチレン基以上の直鎖炭化水素が結合しその先に極性基を有すると言う特徴を持つ。非極性基であるジメチレン基の物理的大きさが酷似している特徴を持つ。E(Glu、グルタミン酸、極性基はカルボキシル基)、K(Lys、リジン、極性基はアミノ基)、Q(Gln、グルタミン、極性基はアミド基)、R(Arg、アルギニン、極性基はイミノ基とアミノ基)から成る。
このグループは、全てα位の炭素元素に側鎖としてジメチレン基以上の直鎖炭化水素が結合しその先に極性基を有すると言う特徴を持つ。非極性基であるジメチレン基の物理的大きさが酷似している特徴を持つ。E(Glu、グルタミン酸、極性基はカルボキシル基)、K(Lys、リジン、極性基はアミノ基)、Q(Gln、グルタミン、極性基はアミド基)、R(Arg、アルギニン、極性基はイミノ基とアミノ基)から成る。
7)芳香族(FYWグループ)
このグループには、側鎖にベンゼン核を持つ芳香族アミノ酸であり、芳香族特有の化学的性質を特徴とする。F(Phe、フェニルアラニン)、Y(Tyr、チロシン)、W(Trp、トリプトファン)から成る。
このグループには、側鎖にベンゼン核を持つ芳香族アミノ酸であり、芳香族特有の化学的性質を特徴とする。F(Phe、フェニルアラニン)、Y(Tyr、チロシン)、W(Trp、トリプトファン)から成る。
8)環状&極性(HYグループ)
このグループには、側鎖に環状構造を持つと同時に極性も持つアミノ酸で、H(H、ヒスチジン、環状構造と極性基は共にイミダゾール基)、Y(Tyr、チロシン、環状構造はベンゼン核で極性基は水酸基)から成る。
このグループには、側鎖に環状構造を持つと同時に極性も持つアミノ酸で、H(H、ヒスチジン、環状構造と極性基は共にイミダゾール基)、Y(Tyr、チロシン、環状構造はベンゼン核で極性基は水酸基)から成る。
本発明に係る変異遺伝子は、上記コンセンサス配列におけるN末端側から12番目のアミノ酸残基(スレオニン(T)又はセリン(S))を他のアミノ酸に置換してなり、植物における油脂量を調節する機能を有するタンパク質をコードしている。ここで、上記コンセンサス配列におけるN末端側から12番目のアミノ酸残基(スレオニン(T)又はセリン(S))は、スレオニンキナーゼやセリンキナーゼによりリン酸化される可能性が高いアミノ酸残基であり、ジアシルグリセロールアシルトランスフェラーゼ活性に大きく寄与するアミノ酸残基である蓋然性が高い。よって、上記コンセンサス配列におけるN末端側から12番目のアミノ酸残基(スレオニン(T)又はセリン(S))を他のアミノ酸に置換することによって、本発明に係る遺伝子がコードするタンパク質の活性が変化することとなる。該遺伝子がコードするタンパク質の活性が変化するとは、酵素活性を向上させること、酵素活性を抑制すること、基質特異性を変化させること、及び、基質や補酵素その他の因子との親和性を変化させることを意味する。
ここで置換後の他のアミノ酸としては、イソロイシン、バリン、ロイシン及びメチオニンを挙げることができるが、特に、イソロイシンであることが好ましい。上記コンセンサス配列におけるN末端側から12番目のアミノ酸残基(スレオニン(T)又はセリン(S))をイソロイシンに置換した場合には、種子一粒あたりに含まれる油脂量が野生型と比較して増大するが、種子一粒あたりの油脂含量%は減少するといった特徴的な表現型を呈する。
また、上記コンセンサス配列は、配列番号1に示すアミノ酸配列のC末端側に、10アミノ酸残基からなる配列(xxx(N/H/E/D)(D/E)xx(N/K)xP)を付加した配列(配列番号2に示す)であってもよい。すなわち、本発明に係る変異遺伝子は、配列番号1に示すアミノ酸配列のC末端側に所定の配列(xxx(N/H/E/D)(D/E)xx(N/K)xP)が付加されたコンセンサス配列におけるN末端側から12番目のアミノ酸残基(スレオニン(T)又はセリン(S))を他のアミノ酸に置換してなり、植物における油脂量を調節する機能を有するタンパク質をコードするものを含んでいる。
上記コンセンサス配列を有するタンパク質をコードする遺伝子としては、特定の植物種に限らず、広く種々の植物種から同定・単離することができる。具体的に、上記コンセンサス配列を有するタンパク質をコードする遺伝子は、アブラナ科に属するシロイヌナズナ(Arabidopsis thaliana)、イネ科に属する大麦(Hordeum vulgare)、イネ科に属するイネ(Oryza sativa)、アブラナ科に属するBrassica rapa及びヤナギ科に属するポプラ(Populus trichocarpa、ブラックコットンウッドやコットンウッドと呼ばれる事もある)から同定・単離することができる。ここで、Brassica rapaは、同種に分類される亜種として、例えば、ナタネ、アブラナ、ナノハナ、ハクサイ、チンゲンサイ、カブ、ノザワナ、ミズナ、コマツナ及びパクチョイを含んでいる。
シロイヌナズナにおいて、上記コンセンサス配列を有するタンパク質をコードする遺伝子としては、GenBankアクセッション番号BT005958.で特定されるAt1g54570遺伝子、GenBankアクセッション番号NM_123478.3で特定されるAt5g41130遺伝子、GenBankアクセッション番号AY09638.1で特定されるAt5g41120遺伝子及びGenBankアクセッション番号AF360145.1で特定されるAt3g26840遺伝子を挙げることができる。また、大麦において、上記コンセンサス配列を有するタンパク質をコードする遺伝子としては、GenBankアクセッション番号AK251457.1で特定されるFLbaf127k09遺伝子を挙げることができる。イネにおいて、上記コンセンサス配列を有するタンパク質をコードする遺伝子としては、GenBankアクセッション番号NM_001049558.1で特定されるOs01g0361500遺伝子、GenBankアクセッション番号NM_001049562.1で特定されるOs01g0362100遺伝子、GenBankアクセッション番号NM_001049559.1で特定されるOs01g0361700遺伝子及びGenBankアクセッション番号NM_001070165.1で特定されるOs09g0509500遺伝子を挙げることができる。Brassica rapa(例えば、ナタネ、アブラナ、ナノハナ、ハクサイ、チンゲンサイ、カブ、ノザワナ、ミズナ、コマツナ及びパクチョイ)において、上記コンセンサス配列を有するタンパク質をコードする遺伝子としては、GenBankアクセッション番号AC189616.1で特定されるKBrH099I08遺伝子を挙げることができる。ポプラにおいて、上記コンセンサス配列を有するタンパク質をコードする遺伝子としては、GenBankアクセッション番号AC213081.1として登録されたクローン名POP002-D20の完全塩基配列における第41811塩基〜第50309塩基の領域に存在する遺伝子、第62687塩基〜第71216塩基の領域に存在する遺伝子、第89072塩基〜第97258塩基の領域に存在する遺伝子及び第75984塩基〜第83278塩基の領域に存在する遺伝子を挙げることができる。
上記At1g54570遺伝子の塩基配列及びAt1g54570遺伝子によってコードされるタンパク質のアミノ酸配列を、それぞれ配列番号3及び4に示す。上記At5g41130遺伝子によってコードされるタンパク質のアミノ酸配列を配列番号5に示す。上記At5g41120遺伝子によってコードされるタンパク質のアミノ酸配列を配列番号6に示す。上記At3g26840遺伝子によってコードされるタンパク質のアミノ酸配列を配列番号7に示す。上記FLbaf127k09遺伝子によってコードされるタンパク質のアミノ酸配列を配列番号8に示す。上記Os01g0361500遺伝子によってコードされるタンパク質のアミノ酸配列を配列番号9に示す。上記Os01g0362100遺伝子によってコードされるタンパク質のアミノ酸配列を配列番号10に示す。上記Os01g0361700遺伝子によってコードされるタンパク質のアミノ酸配列を配列番号11に示す。上記Os09g0509500遺伝子によってコードされるタンパク質のアミノ酸配列を配列番号12に示す。上記KBrH099I08遺伝子によってコードされるタンパク質のアミノ酸配列を配列番号13に示す。AC213081.1として登録されたクローン名POP002-D20の完全塩基配列における第41811塩基〜第50309塩基の領域に存在する遺伝子によってコードされるタンパク質のアミノ酸配列を配列番号14に示す。クローン名POP002-D20の完全塩基配列における第62687塩基〜第71216塩基の領域に存在する遺伝子によってコードされるタンパク質のアミノ酸配列を配列番号15に示す。クローン名POP002-D20の完全塩基配列における第89072塩基〜第97258塩基の領域に存在する遺伝子によってコードされるタンパク質のアミノ酸配列を配列番号16に示す。クローン名POP002-D20の完全塩基配列における第75984塩基〜第83278塩基の領域に存在する遺伝子によってコードされるタンパク質のアミノ酸配列を配列番号17に示す。
これら配列番号4〜17に示したアミノ酸配列について、CLUSTAL W (1.83) multiple sequence alignmentプログラム(国立遺伝学研究所のDDBJで使用できる(http://clustalw.ddbj.nig.ac.jp/top-j.html))を用いてアラインメント解析した結果を図2に示す(使用したアミノ酸配列置換行列表はデフォルト値のBLOSUMマトリックスを使用した)。図2に示すように、これら14種類のタンパク質は、上記コンセンサス配列を有することが判る(下線部)。なお、本発明に係る変異遺伝子は、図2に示したマルチプルアライメントにおいて矢印で示した位置におけるスレオニン(T)又はセリン(S)を他のアミノ酸に置換したものである。なお、図2に示した14種類のアミノ酸配列のアライメントの結果から得られる分子進化系統樹を図3に示す。
図2に示した14種類のタンパク質においてを矢印で示した位置におけるスレオニン(T)又はセリン(S)を他のアミノ酸に置換する手法としては、従来公知の遺伝子工学的手法を適宜使用することができる。要するに、変異導入対象のタンパク質をコードする野生型の遺伝子の塩基配列を特定し、部位特異的突然変異導入キット等を用いて上記置換後のタンパク質をコードするように変異を導入することができる。また、変異を導入した遺伝子は、定法に従って、例えば発現ベクターに組み込んだ状態で回収することができる。遺伝子に変異を導入するには、Kunkel法又はGapped duplex法等の公知手法又はこれに準ずる方法により行うことができ、例えば部位特異的突然変異誘発法を利用した変異導入用キット(例えばMutant-K(TAKARA Bio社製)やMutan-G(TAKARA Bio社製)などを用いて、あるいは、TAKARA Bio社のLA PCR in vitro Mutagenesisシリーズキットを用いて変異が導入される。
ところで、本発明に係る変異遺伝子は、配列番号4〜17に示したアミノ酸配列において上記コンセンサス配列におけるN末端側から12番目のアミノ酸残基(スレオニン(T)又はセリン(S))を他のアミノ酸に置換したアミノ酸配列を含むタンパク質をコードするものに限定されない。本発明に係る変異遺伝子は、配列番号4〜17に示したアミノ酸配列において配列番号1に示したコンセンサス配列におけるN末端側から12番目のアミノ酸残基(スレオニン(T)又はセリン(S))を他のアミノ酸に置換したアミノ酸配列から、複数個、好ましくは1若しくは数個のアミノ酸に欠失、置換、付加などの変異が生じてもよい。例えば、配列番号4〜17に示したアミノ酸配列において1〜10個、1〜8個、好ましくは1〜5個のアミノ酸が欠失、付加あるいは置換してもよい。
また、配列番号4〜17に示したアミノ酸配列と70%以上の相同性を有するタンパク質をコードする遺伝子であって、上記コンセンサス配列におけるN末端側から12番目のアミノ酸残基(スレオニン(T)又はセリン(S))を他のアミノ酸に置換したアミノ酸配列を有するタンパク質をコードする遺伝子でもよい。前記相同性は、好ましくは80%以上であり、より好ましくは85%以上であり、さらに好ましくは90%以上であり、最も好ましくは95%以上である。
前記アミノ酸の欠失、付加、及び置換は、前記タンパク質をコードする遺伝子を、当該技術分野で公知の手法によって改変することによって行うことができる。遺伝子に変異を導入するには、Kunkel法又はGapped duplex法等の公知手法又はこれに準ずる方法により行うことができ、例えば部位特異的突然変異誘発法を利用した変異導入用キット(例えばMutant-K(TAKARA Bio社製)やMutan-G(TAKARA Bio社製)などを用いて、あるいは、TAKARA Bio社のLA PCR in vitro Mutagenesisシリーズキットを用いて変異が導入される。本発明に係る変異遺伝子への変異導入方法としては、EMS(エチルメタンスルホン酸)、5-ブロモウラシル、2-アミノプリン、ヒドロキシルアミン、N-メチル-N’-ニトロ-Nニトロソグアニジン、その他の発ガン性化合物に代表されるような化学的変異剤を使用する方法でも良いし、X線、アルファ線、ベータ線、ガンマ線、イオンビームに代表されるような放射線処理や紫外線処理による方法でも良い。
さらに、本発明に係る変異遺伝子は、配列番号3に示す塩基配列からなるDNAと相補的な塩基配列からなるDNAとストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、かつ種子内の油脂含量を調節する機能を有する変異タンパク質をコードするDNAを含み。ここで、ストリンジェントな条件とは、いわゆる特異的なハイブリッドが形成され、非特異的なハイブリッドが形成されない条件をいう。例えば、45℃、6×SSC(塩化ナトリウム/クエン酸ナトリウム)でのハイブリダイゼーション、その後の50〜65℃、0.2〜1×SSC、0.1%SDSでの洗浄が挙げられ、或いはそのような条件として、65〜70℃、1×SSCでのハイブリダイゼーション、その後の65〜70℃、0.3×SSCでの洗浄、を挙げることができる。
なお、本発明に係る変異遺伝子の塩基配列が確定されると、その後は化学合成によって、又はクローニングされたcDNAを鋳型としたPCRによって、あるいは該塩基配列を有するDNA断片をプローブとしてハイブリダイズさせることによって、種々の植物より得ることができる。
以上で説明した本発明に係る変異遺伝子は、植物ゲノム中において野生型遺伝子を、上記コンセンサス配列におけるN末端側から12番目のアミノ酸残基(スレオニン(T)又はセリン(S))を他のアミノ酸に置換するように改変することで、所望の植物内で機能的に発現することとなる。すなわち、本発明に係る変異遺伝子を有する植物は、上述したような部位特異的突然変異誘発法によって作出しても良いし、予め準備した変異遺伝子とゲノム中の野生型遺伝子の間の相同組換えによって作出しても良い。或いは、本発明に係る変異遺伝子を有する植物は、植物ゲノム内の野生型遺伝子を欠損させるとともに当該変異型遺伝子を発現可能なように導入することで作出しても良い。さらに、本発明に係る変異遺伝子を有する植物は、植物ゲノム内の野生型遺伝子を欠損させず、当該変異型遺伝子が過剰発現するように導入することで作出しても良い。
なお、本発明に係る変異遺伝子を植物内に導入する方法と従来公知の手法を適宜採用することができる。例えば、本発明に係る変異遺伝子を植物細胞へ導入し、発現させるためのベクターとしては、pBI系のベクター、pUC系のベクター、pTRA系のベクターが好適に用いられる。pBI系及びpTRA系のベクターは、アグロバクテリウムを介して植物に目的遺伝子を導入することができる。pBI系のバイナリーベクター又は中間ベクター系が好適に用いられ、例えば、pBI121、pBI101、pBI101.2、pBI101.3等が挙げられる。pUC系のベクターは、植物に遺伝子を直接導入することができ、例えば、pUC18、pUC19、pUC9等が挙げられる。また、カリフラワーモザイクウイルス(CaMV)、インゲンマメモザイクウイルス(BGMV)、タバコモザイクウイルス(TMV)等の植物ウイルスベクターも用いることができる。
また、本発明に係る変異遺伝子は、ベクター機能を持つDNAと共に導入しなくても、パーティクルガン法により、植物細胞に直接導入しても良い。
本発明に係る変異遺伝子は、その遺伝子の機能が発揮されるように構築されたDNAに含まれることが好ましい。そこで、遺伝子導入用のDNAには、プロモーターのほか、所望によりエンハンサー、スプライシングシグナル、ポリA付加シグナル、選択マーカー、5'-UTR配列などを連結することができる。なお、選択マーカーとしては、例えばジヒドロ葉酸還元酵素遺伝子、アンピシリン耐性遺伝子、ネオマイシン耐性遺伝子、ハイグロマイシン耐性遺伝子、ビアラホス耐性遺伝子等が挙げられる。
「プロモーター」としては、植物細胞において機能し、植物の特定の組織内あるいは特定の発育段階において発現を導くことのできるDNAであれば、植物由来のものでなくてもよい。具体例としては、カリフラワーモザイクウイルス(CaMV)35Sプロモーター、ノパリン合成酵素遺伝子のプロモーター(Pnos)、トウモロコシやイネ由来ユビキチンプロモーター、トウモロコシやイネ由来のアクチンプロモーター、タバコ由来PRタンパク質プロモーター等が挙げられる。
「ターミネーター」は、前記プロモーターにより転写された遺伝子の転写を終結できる配列であればよい。具体例としては、ノパリン合成酵素遺伝子のターミネーター(Tnos)、カリフラワーモザイクウイルスポリAターミネーター等が挙げられる。
「エンハンサー」は、目的遺伝子の発現効率を高めるために用いられ、例えばCaMV35Sプロモーター内の上流側の配列を含むエンハンサー領域が好適である。
また、本発明に係る変異遺伝子を有する発現ベクターを用いて、形質転換植物を定法に従って作製することができる。形質転換植物は、上記発現ベクターを、導入した変異遺伝子が発現し得るように宿主中に導入することにより得ることができる。また、本発明に係る変異遺伝子の機能が発揮される様に構築されたDNA断片に含まれるのであれば、ベクター機能を持つDNAを欠いたままパーティクルガン法により形質転換植物を作製することもできる。形質転換植物(トランスジェニック植物)は以下のようにして得ることができる。形質転換の対象は、植物組織(例えば表皮、師部、柔組織、木部、維管束等、植物器官(例えば葉、花弁、茎、根、種子等)を含む)又は植物細胞である。
一方、本発明に係る変異遺伝子を有する植物としては、双子葉植物、単子葉植物、例えばアブラナ科、イネ科、ナス科、マメ科、ヤナギ科等に属する植物(下記参照)が挙げられるが、これらの植物に限定されるものではない。
アブラナ科:シロイヌナズナ(Arabidopsis thaliana)、アブラナ(Brassica rapa、Brassica napus)、キャベツ(Brassica oleracea var. capitata)、ナタネ(Brassica rapa、Brassica napus)、ナノハナ(Brassica rapa、Brassica napus)、ハクサイ(Brassica rapa var. pekinensis)、チンゲンサイ(Brassica rapa var. chinensis)、カブ(Brassica rapa var. rapa)、ノザワナ(Brassica rapa var. hakabura)、ミズナ(Brassica rapa var. lancinifolia)、コマツナ(Brassica rapa var. peruviridis)、パクチョイ(Brassica rapa var. chinensis)、ダイコン(Brassica Raphanus sativus)、ワサビ(Wasabia japonica)など。
ナス科:タバコ(Nicotiana tabacum)、ナス(Solanum melongena)、ジャガイモ(Solaneum tuberosum)、トマト(Lycopersicon lycopersicum)、トウガラシ(Capsicum annuum)、ペチュニア(Petunia)など。
マメ科:ダイズ(Glycine max)、エンドウ(Pisum sativum)、ソラマメ(Vicia faba)、フジ(Wisteria floribunda)、ラッカセイ(Arachis. hypogaea)、ミヤコグサ(Lotus corniculatus var. japonicus)、インゲンマメ(Phaseolus vulgaris)、アズキ(Vigna angularis)、アカシア(Acacia)など。
キク科:キク(Chrysanthemum morifolium)、ヒマワリ(Helianthus annuus)など。
ヤシ科:アブラヤシ(Elaeis guineensis、Elaeis oleifera)、ココヤシ(Cocos nucifera)、ナツメヤシ(Phoenix dactylifera)、ロウヤシ(Copernicia)
ウルシ科:ハゼノキ(Rhus succedanea)、カシューナットノキ(Anacardium occidentale)、ウルシ(Toxicodendron vernicifluum)、マンゴー(Mangifera indica)、ピスタチオ(Pistacia vera)
ウリ科:カボチャ(Cucurbita maxima、Cucurbita moschata、Cucurbita pepo)、キュウリ(Cucumis sativus)、カラスウリ(Trichosanthes cucumeroides)、ヒョウタン(Lagenaria siceraria var. gourda)
バラ科:アーモンド(Amygdalus communis)、バラ(Rosa)、イチゴ(Fragaria)、サクラ(Prunus)、リンゴ(Malus pumila var. domestica)など。
ナデシコ科:カーネーション(Dianthus caryophyllus)など。
ヤナギ科:ポプラ(Populus trichocarpa、Populus nigra、Populus tremula)
イネ科:トウモロコシ(Zea mays)、イネ(Oryza sativa)、オオムギ(Hordeum vulgare)、コムギ(Triticum aestivum)、タケ(Phyllostachys)、サトウキビ(Saccharum officinarum)など。
ユリ科:チューリップ(Tulipa)、ユリ(Lilium)など。
アブラナ科:シロイヌナズナ(Arabidopsis thaliana)、アブラナ(Brassica rapa、Brassica napus)、キャベツ(Brassica oleracea var. capitata)、ナタネ(Brassica rapa、Brassica napus)、ナノハナ(Brassica rapa、Brassica napus)、ハクサイ(Brassica rapa var. pekinensis)、チンゲンサイ(Brassica rapa var. chinensis)、カブ(Brassica rapa var. rapa)、ノザワナ(Brassica rapa var. hakabura)、ミズナ(Brassica rapa var. lancinifolia)、コマツナ(Brassica rapa var. peruviridis)、パクチョイ(Brassica rapa var. chinensis)、ダイコン(Brassica Raphanus sativus)、ワサビ(Wasabia japonica)など。
ナス科:タバコ(Nicotiana tabacum)、ナス(Solanum melongena)、ジャガイモ(Solaneum tuberosum)、トマト(Lycopersicon lycopersicum)、トウガラシ(Capsicum annuum)、ペチュニア(Petunia)など。
マメ科:ダイズ(Glycine max)、エンドウ(Pisum sativum)、ソラマメ(Vicia faba)、フジ(Wisteria floribunda)、ラッカセイ(Arachis. hypogaea)、ミヤコグサ(Lotus corniculatus var. japonicus)、インゲンマメ(Phaseolus vulgaris)、アズキ(Vigna angularis)、アカシア(Acacia)など。
キク科:キク(Chrysanthemum morifolium)、ヒマワリ(Helianthus annuus)など。
ヤシ科:アブラヤシ(Elaeis guineensis、Elaeis oleifera)、ココヤシ(Cocos nucifera)、ナツメヤシ(Phoenix dactylifera)、ロウヤシ(Copernicia)
ウルシ科:ハゼノキ(Rhus succedanea)、カシューナットノキ(Anacardium occidentale)、ウルシ(Toxicodendron vernicifluum)、マンゴー(Mangifera indica)、ピスタチオ(Pistacia vera)
ウリ科:カボチャ(Cucurbita maxima、Cucurbita moschata、Cucurbita pepo)、キュウリ(Cucumis sativus)、カラスウリ(Trichosanthes cucumeroides)、ヒョウタン(Lagenaria siceraria var. gourda)
バラ科:アーモンド(Amygdalus communis)、バラ(Rosa)、イチゴ(Fragaria)、サクラ(Prunus)、リンゴ(Malus pumila var. domestica)など。
ナデシコ科:カーネーション(Dianthus caryophyllus)など。
ヤナギ科:ポプラ(Populus trichocarpa、Populus nigra、Populus tremula)
イネ科:トウモロコシ(Zea mays)、イネ(Oryza sativa)、オオムギ(Hordeum vulgare)、コムギ(Triticum aestivum)、タケ(Phyllostachys)、サトウキビ(Saccharum officinarum)など。
ユリ科:チューリップ(Tulipa)、ユリ(Lilium)など。
本発明に係る変異遺伝子を有する発現ベクターまたはDNA断片を植物中に導入する方法としては、アグロバクテリウム法、PEG-リン酸カルシウム法、エレクトロポレーション法、リポソーム法、パーティクルガン法(ボンバードメント法)、マイクロインジェクション法等が挙げられる。例えばアグロバクテリウム法を用いる場合は、プロトプラストを用いる場合と組織片を用いる場合がある。プロトプラストを用いる場合は、Tiプラスミドをもつアグロバクテリウムと共存培養する方法、スフェロプラスト化したアグロバクテリウムと融合する方法(スフェロプラスト法)、組織片を用いる場合は、リーフディスクにより対象植物の無菌培養葉片に感染させる方法(リーフディスク法)、カルス(未分化培養細胞)に感染させる方法、直接花組織に浸透させる方法等により行うことができる。また、単子葉植物のアグロバクテリウム法による形質転換には、アセトシリンゴンが形質転換率を高めるのに使用できる。
変異遺伝子が植物に組み込まれたか否かの確認は、PCR法、サザンハイブリダイゼーション法、ノーザンハイブリダイゼーション法等により行うことができる。例えば、形質転換植物からDNAを調製し、DNA特異的プライマーを設計してPCRを行う。PCRを行った後は、増幅産物についてアガロースゲル電気泳動、ポリアクリルアミドゲル電気泳動又はキャピラリー電気泳動等を行い、臭化エチジウム、SYBR Green液等により染色し、そして増幅産物を1本のバンドとして検出することにより、形質転換されたことを確認することができる。また、予め蛍光色素等により標識したプライマーを用いてPCRを行い、増幅産物を検出することもできる。さらに、マイクロプレート等の固相に増幅産物を結合させ、蛍光又は酵素反応等により増幅産物を確認する方法でもよい。
形質転換の結果、得られる腫瘍組織やシュート、毛状根、種子などは、そのまま細胞培養、組織培養又は器官培養に用いることが可能であり、また従来知られている植物組織培養法を用い、適当な濃度の植物ホルモン(オーキシン、サイトカイニン、ジベレリン、アブシジン酸、エチレン、ブラシノライド等)の投与などにより植物体に再生させることができる。培養細胞からの植物体の再生は、一般的には、適当な種類のオーキシンとサイトカイニンを混ぜた培地の上で根を分化させてから、サイトカイニンを多く含む培地に移植させシュートを分化させた後にホルモンを含まない土壌に移植することによって行う。
このようにして、上述した変異遺伝子が導入された形質転換植物は、変異遺伝子が導入される前の植物と比較して特定の組織に含まれる油脂全量が野生型の特定の組織に含まれる油脂全量と比較して増大するが、特定の組織中の油脂含量%は野性型の特定の組織に含まれる油脂含量減少するといった特徴的な表現型を示す。このとき特定の組織としては葉、子葉、根、根毛、トライコーム、花、種子、果実、花茎、塊根、塊茎、球茎などで良く、好ましくは子葉、種子、果実、さらに好ましくは種子が望ましい。なお、植物から採取した種子に含まれる油脂成分は、従来公知の手法によって定量的に検出することができる。特定の組織に含まれる油脂成分を測定する手法としては、一例としてパルスNMR装置を使用する方法を挙げることができる。
なお、本発明に係る変異遺伝子は、オレオシン-GFP融合遺伝子を導入した形質転換シロイヌナズナから採取した子葉に含まれるオイルボディを蛍光により可視化することで同定された。しかしながら、本発明において、オイルボディ特異的タンパク質としては、オレオシンに限定されず、オイルボディ特異的に存在するタンパク質を広く使用することができる。オイルボディ特異的タンパク質としては、例えば、オレオシン、ステロレオシンやカレオシンが挙げられる。また、本発明において、子葉中のオイルボディを可視化する蛍光タンパク質としては、蛍光能を持つタンパク質であれば良く、例えば、GFP(green fluorescent protein)、YFP(yellow fluorescent protein)、RFP(red fluorescent protein)、OFP(orange fluorescent protein)及びBFP(blue fluorescent protein)等を使用することができる。但し、子葉中のオイルボディを可視化できるのであれば蛍光タンパク質に限定されず、可視光によって検出可能なタンパク質を広く使用することができる。すなわち、可視光によって検出可能なタンパク質としては、例えばルシフェラーゼなどの発光タンパク質を使用することもできる。
以下、実施例により本発明をより詳細に説明するが、本発明の技術的範囲は以下の実施例に限定されるものではない。
〔実施例1〕
本実施例では、モデル植物として広く利用されているシロイヌナズナを、オレオシン-GFP融合遺伝子を発現するように形質転換し、蛍光観察によりオイルボディを観察できる形質転換植物を作出した。その後、得られた形質転換植物に変異処理を施し、オイルボディの性状の変化を指標にして、種子内の油脂量が変動した変異体を同定した。その後、同定した変異体における原因遺伝子を特定し、種子内の油脂量を変動させる機能を有する遺伝子を同定するとともに、植物内の油脂量を変動させるアミノ酸置換変異を同定した。以下、具体的な実験フロー及び実験結果を詳述する。
〔実施例1〕
本実施例では、モデル植物として広く利用されているシロイヌナズナを、オレオシン-GFP融合遺伝子を発現するように形質転換し、蛍光観察によりオイルボディを観察できる形質転換植物を作出した。その後、得られた形質転換植物に変異処理を施し、オイルボディの性状の変化を指標にして、種子内の油脂量が変動した変異体を同定した。その後、同定した変異体における原因遺伝子を特定し、種子内の油脂量を変動させる機能を有する遺伝子を同定するとともに、植物内の油脂量を変動させるアミノ酸置換変異を同定した。以下、具体的な実験フロー及び実験結果を詳述する。
材料と方法
<植物材料>
シロイヌナズナ(Arabidopsis thaliana)コロンビア生態型を用いた。植物は、定法に従い、種子滅菌、無菌寒天培地(1/2ムラシゲスクーグ培地、0.8%寒天)で7日間22℃明条件下で発芽させた。その後、バーミキュライト:パーライト=1:1を入れた鉢に植え、22℃で16時間明、8時間暗条件下で育成した。
<植物材料>
シロイヌナズナ(Arabidopsis thaliana)コロンビア生態型を用いた。植物は、定法に従い、種子滅菌、無菌寒天培地(1/2ムラシゲスクーグ培地、0.8%寒天)で7日間22℃明条件下で発芽させた。その後、バーミキュライト:パーライト=1:1を入れた鉢に植え、22℃で16時間明、8時間暗条件下で育成した。
<オレオシン-GFP遺伝子の作成>
キアゲン社のRNeasy plant mini kitを用いてシロイヌナズナの鞘からRNAを単離し、インビトロジェン社のSuperScript III first strand synthesis system for RT-PCRを用いて逆転写反応を行った。得られたcDNAとプライマー1(5’AAAAAGCAGGCTCAATGGCGGATACAGCTAGAGGA3’:配列番号18)とプライマー2(5’CTCGCCCTTGCTCACCATAGTAGTGTGCTGGCCACC3’:配列番号19)を用いてPCRを行い、オレオシンS3 cDNAの両端にattB1配列の一部とGFP遺伝子の一部を持つDNA断片Aを増幅した。同時に、オワンクラゲの緑色蛍光タンパク質GFPをコードするcDNAとプライマー3(5’GGTGGCCAGCACACTACTATGGTGAGCAAGGGCGAG3’:配列番号20)、プライマー4(5’AGAAAGCTGGGTCTTACTTGTACAGCTCGTCCAT3’:配列番号21)を用いたPCRにより、GFP cDNAの両端にオレオシンS3 cDNAの一部とattB2配列の一部が付加されたDNA断片Bを増幅した。次いで、DNA断片AとDNA断片B、プライマー5(5’GGGG ACA AGT TTG TAC AAA AAA GCA GGC T3’:配列番号22)とプライマー6(5’GGGG AC CAC TTT GTA CAA GAA AGC TGG G3’:配列番号23)を混ぜ合わせ、さらにPCRをおこなうことで、両側にattB1およびattB2配列を持つオレオシン-GFP融合遺伝子を作成した。オレオシン-GFP融合遺伝子の塩基配列及び当該遺伝子産物のアミノ酸配列を、それぞれ配列番号24及び25に示した。
キアゲン社のRNeasy plant mini kitを用いてシロイヌナズナの鞘からRNAを単離し、インビトロジェン社のSuperScript III first strand synthesis system for RT-PCRを用いて逆転写反応を行った。得られたcDNAとプライマー1(5’AAAAAGCAGGCTCAATGGCGGATACAGCTAGAGGA3’:配列番号18)とプライマー2(5’CTCGCCCTTGCTCACCATAGTAGTGTGCTGGCCACC3’:配列番号19)を用いてPCRを行い、オレオシンS3 cDNAの両端にattB1配列の一部とGFP遺伝子の一部を持つDNA断片Aを増幅した。同時に、オワンクラゲの緑色蛍光タンパク質GFPをコードするcDNAとプライマー3(5’GGTGGCCAGCACACTACTATGGTGAGCAAGGGCGAG3’:配列番号20)、プライマー4(5’AGAAAGCTGGGTCTTACTTGTACAGCTCGTCCAT3’:配列番号21)を用いたPCRにより、GFP cDNAの両端にオレオシンS3 cDNAの一部とattB2配列の一部が付加されたDNA断片Bを増幅した。次いで、DNA断片AとDNA断片B、プライマー5(5’GGGG ACA AGT TTG TAC AAA AAA GCA GGC T3’:配列番号22)とプライマー6(5’GGGG AC CAC TTT GTA CAA GAA AGC TGG G3’:配列番号23)を混ぜ合わせ、さらにPCRをおこなうことで、両側にattB1およびattB2配列を持つオレオシン-GFP融合遺伝子を作成した。オレオシン-GFP融合遺伝子の塩基配列及び当該遺伝子産物のアミノ酸配列を、それぞれ配列番号24及び25に示した。
得られた融合遺伝子は、インビトロジェン社のGateway systemプロトコールに従い、pDONR221ベクターを介して、CaMV 35Sプロモーターの下流にattR1とattR2配列を持ち、カナマイシン耐性マーカーを含むTiベクターにクローニングした。得られたプラスミドは、エレクトロポレーション法によりアグロバクテリウム(Agrobacterium tumefacience C58C1 rifR)へ導入、これをTi-OleGとした。
<シロイヌナズナへの形質転換>
オレオシン-GFP融合遺伝子は、アグロバクテリウム法を用いてシロイヌナズナのゲノムへ導入した。まず、Ti-OleGをYEB培地(5 g/l polypeptone、5g/l beef extract、1g/l yeast extract、5 g/l sucrose、0.5g/l MgSO4)にてA600=0.8-1.0になるまで28℃で増殖させた後、遠心分離により集菌した。得られた菌体はA600=0.8になるようにinfiltration液(10mM MgCl2、5% sucrose、0.05% Silwet L-77)に懸濁した。開花中のシロイヌナズナ花茎をこの懸濁液に1分間浸した後、結実した種子を採取した。採取した種子は、種子滅菌処理後に25 mg/l カナマイシンを含む無菌寒天培地に播種し、カナマイシン耐性を指標にしてオレオシン-GFP融合遺伝子がゲノムに挿入された形質転換シロイヌナズナを単離した。得られた形質転換シロイヌナズナから種子を採取し、後代でカナマイシン耐性マーカーをホモで持つ形質転換体を選抜し、これをOleGと名付けた。
オレオシン-GFP融合遺伝子は、アグロバクテリウム法を用いてシロイヌナズナのゲノムへ導入した。まず、Ti-OleGをYEB培地(5 g/l polypeptone、5g/l beef extract、1g/l yeast extract、5 g/l sucrose、0.5g/l MgSO4)にてA600=0.8-1.0になるまで28℃で増殖させた後、遠心分離により集菌した。得られた菌体はA600=0.8になるようにinfiltration液(10mM MgCl2、5% sucrose、0.05% Silwet L-77)に懸濁した。開花中のシロイヌナズナ花茎をこの懸濁液に1分間浸した後、結実した種子を採取した。採取した種子は、種子滅菌処理後に25 mg/l カナマイシンを含む無菌寒天培地に播種し、カナマイシン耐性を指標にしてオレオシン-GFP融合遺伝子がゲノムに挿入された形質転換シロイヌナズナを単離した。得られた形質転換シロイヌナズナから種子を採取し、後代でカナマイシン耐性マーカーをホモで持つ形質転換体を選抜し、これをOleGと名付けた。
<形質転換体の変異原処理>
OleGの種子を0.2%エチルメタンスルホン酸液で16時間処理後、バーミキュライト:パーライト=1:1を入れた鉢に播種した。22℃で16時間明、8時間暗条件下で後代の種子を採取し、これをM2種子とした。
OleGの種子を0.2%エチルメタンスルホン酸液で16時間処理後、バーミキュライト:パーライト=1:1を入れた鉢に播種した。22℃で16時間明、8時間暗条件下で後代の種子を採取し、これをM2種子とした。
<GFP蛍光観察>
変異体のスクリーニングには、蛍光実体顕微鏡(Carl Zeiss SteREO Lumar V12)を用いた。OleGおよびM2種子を垂直に立てた無菌寒天培地で暗所6日間発芽させ、蛍光実体顕微鏡(Carl Zeiss)下で黄化子葉、胚軸および根の各細胞におけるオレオシン-GFP融合タンパク質のGFP蛍光を観察した。OleGとはGFP蛍光の強度や分布が異なるものを変異体として同定した。
変異体のスクリーニングには、蛍光実体顕微鏡(Carl Zeiss SteREO Lumar V12)を用いた。OleGおよびM2種子を垂直に立てた無菌寒天培地で暗所6日間発芽させ、蛍光実体顕微鏡(Carl Zeiss)下で黄化子葉、胚軸および根の各細胞におけるオレオシン-GFP融合タンパク質のGFP蛍光を観察した。OleGとはGFP蛍光の強度や分布が異なるものを変異体として同定した。
OleGおよび変異体におけるオレオシン-GFP融合タンパク質のGFP蛍光を比較するためには、共焦点レーザー顕微鏡(Carl Zeiss LSM 510)を用いた。暗所6日間発芽させたOleGおよび変異体から、黄化子葉、胚軸、根を切り取り、スライドクラスにマウントした。各細胞におけるGFP蛍光像を同一条件下で撮影し、顕微鏡付属の画像解析ソフトウエアを用いて、同一面積内での画素に対する蛍光強度の度数分布を計算し、蛍光総和a=sum(蛍光強度×画素数)を算出した。
<種子タンパク質の電気泳動およびイムノブロット解析>
20粒の種子を40μlのSDSサンプルバッファ中で破砕した後、遠心上清を種子タンパク質のサンプルとした。定法に従い、15μlのサンプルをSDSポリアクリルアミドゲル電気泳動に供した。電気泳動後のゲルは、0.2%クマシーブリリアントブルーR250溶液(25%メタノール、10%酢酸を含む)で染色した。
20粒の種子を40μlのSDSサンプルバッファ中で破砕した後、遠心上清を種子タンパク質のサンプルとした。定法に従い、15μlのサンプルをSDSポリアクリルアミドゲル電気泳動に供した。電気泳動後のゲルは、0.2%クマシーブリリアントブルーR250溶液(25%メタノール、10%酢酸を含む)で染色した。
イムノブロット解析には、5μlのサンプルをSDSポリアクリルアミドゲルで電気泳動した後、セミドライブロット法を用いてゲル中のタンパク質をニトロセルロール膜に転写した。ニトロセルロール膜に転写されたタンパク質の抗タンパク質抗体を用いた検出は、GEヘルスケアバイオサイエンスのプロトコルに従い、ECL Western blotting detection reagentsを用いて行った。その際、1次抗体(抗オレオシン抗体もしくは抗GFP抗体)および2次抗体はともに1/5000希釈したものを用いた。発光の検出には富士フイルム製の発光イメージアナライザーLAS-1000 plusを用いた。
<種子細胞の電子顕微鏡観察>
半切した種子を固定液(4%パラホルムアルデヒド、1%グルタルアルデヒド、10% DMSO、0.05Mカコジル酸バッファpH7.4)で固定した。固定後のサンプルをエポン812樹脂に包埋、Leica製ミクロトーム Ultracut UCTを用いて超薄切片を作成した。超薄切片は4%酢酸ウランおよび0.4%クエン酸鉛で電子染色後、電子顕微鏡(日立製作所H-7600)にて観察を行った。
半切した種子を固定液(4%パラホルムアルデヒド、1%グルタルアルデヒド、10% DMSO、0.05Mカコジル酸バッファpH7.4)で固定した。固定後のサンプルをエポン812樹脂に包埋、Leica製ミクロトーム Ultracut UCTを用いて超薄切片を作成した。超薄切片は4%酢酸ウランおよび0.4%クエン酸鉛で電子染色後、電子顕微鏡(日立製作所H-7600)にて観察を行った。
<種子の油脂量測定>
静電気除電処理を行いながら薬包紙を用いて種子を精密電子天秤で重量測定し、種子重量が10〜12mgになるように量りとった。種子は、パルスNMR用の試験管に入れ、Resonance製MARAN-23パルスNMRを用いて1H-パルスNMR緩和時間値から種子中の油脂含量(重量%)を求めた。詳しい測定手順についてはパルスNMR測定マニュアルに従った。
静電気除電処理を行いながら薬包紙を用いて種子を精密電子天秤で重量測定し、種子重量が10〜12mgになるように量りとった。種子は、パルスNMR用の試験管に入れ、Resonance製MARAN-23パルスNMRを用いて1H-パルスNMR緩和時間値から種子中の油脂含量(重量%)を求めた。詳しい測定手順についてはパルスNMR測定マニュアルに従った。
<種子の油脂に含まれる脂肪酸組成分析>
1 mg-5 mg程度の種子サンプルの重量を測定後、1.5 mlマイクロテストチューブに入れた。マイクロテストチューブに3 mmφのタングステンカーバイドビーズを1粒添加後、さらに450μlのメタノール、0.2%(w/v)の濃度でメタノール溶媒と混合したブチルヒドロキシトルエン溶液を50μl、内部標準物質として0.2% C15:0脂肪酸10μlを加えた。これら各種試薬とサンプルを加えたマイクロテストチューブをRetsch製Mixer Mill Type MM301を用いて1/20s頻度で1分間振動させ、種子を粉砕した。サンプルを、10 mlのスクリューキャップ付試験管に移した。さらにマイクロテストチューブ内部をメタノール250μlで2回洗浄し、洗浄メタノール液を上記試験管に加え、試料液を約1 mlとした。これに10%塩酸/メタノール液を1 ml添加し、80℃で1時間処理をした後、1.5 mlのn-ヘキサンを加え、ヴォルテックスミキサーで撹拌し、n-ヘキサン層を10 mlスピッツ管に移した。1 mlのn-ヘキサンでさらにメタノリシスに用いた試験管内部を洗浄し、洗浄n-ヘキサン液層を上記スピッツ管に加えた。得られたn-ヘキサン溶媒溶液を40℃で窒素ガスパージし、脂肪酸メチルエステルを乾固した。乾固した脂肪酸メチルエステルをn-ヘキサン500μlで溶解し、GC-FIDにより各種脂肪酸メチルエステルを分離・定量した。定量にあたっては、内部標準(C15:0脂肪酸)の面積値を参照した。
1 mg-5 mg程度の種子サンプルの重量を測定後、1.5 mlマイクロテストチューブに入れた。マイクロテストチューブに3 mmφのタングステンカーバイドビーズを1粒添加後、さらに450μlのメタノール、0.2%(w/v)の濃度でメタノール溶媒と混合したブチルヒドロキシトルエン溶液を50μl、内部標準物質として0.2% C15:0脂肪酸10μlを加えた。これら各種試薬とサンプルを加えたマイクロテストチューブをRetsch製Mixer Mill Type MM301を用いて1/20s頻度で1分間振動させ、種子を粉砕した。サンプルを、10 mlのスクリューキャップ付試験管に移した。さらにマイクロテストチューブ内部をメタノール250μlで2回洗浄し、洗浄メタノール液を上記試験管に加え、試料液を約1 mlとした。これに10%塩酸/メタノール液を1 ml添加し、80℃で1時間処理をした後、1.5 mlのn-ヘキサンを加え、ヴォルテックスミキサーで撹拌し、n-ヘキサン層を10 mlスピッツ管に移した。1 mlのn-ヘキサンでさらにメタノリシスに用いた試験管内部を洗浄し、洗浄n-ヘキサン液層を上記スピッツ管に加えた。得られたn-ヘキサン溶媒溶液を40℃で窒素ガスパージし、脂肪酸メチルエステルを乾固した。乾固した脂肪酸メチルエステルをn-ヘキサン500μlで溶解し、GC-FIDにより各種脂肪酸メチルエステルを分離・定量した。定量にあたっては、内部標準(C15:0脂肪酸)の面積値を参照した。
<変異遺伝子の同定>
変異原処理した後、種子中の油脂量が変動した変異体における原因遺伝子の高精度マッピングを行うために、コロンビア生態型をバックグラウンドに持つ変異体と野性型シロイヌナズナであるランズバーグ・エレクタ生態型とを交配し、変異遺伝子をホモに持つ310系統のF2世代を得た。多数の分子マーカーを用いて、定法に従い、これら310系統、計620染色体の遺伝的バックグラウンドのスコアリングを行った。PCR法を用いてOleGおよび変異体のゲノムDNAから原因遺伝子と推定した遺伝子を増幅し、アプライドバイオシステム製の3130xlジェネティックアナライザを用いて塩基配列を決定した。
変異原処理した後、種子中の油脂量が変動した変異体における原因遺伝子の高精度マッピングを行うために、コロンビア生態型をバックグラウンドに持つ変異体と野性型シロイヌナズナであるランズバーグ・エレクタ生態型とを交配し、変異遺伝子をホモに持つ310系統のF2世代を得た。多数の分子マーカーを用いて、定法に従い、これら310系統、計620染色体の遺伝的バックグラウンドのスコアリングを行った。PCR法を用いてOleGおよび変異体のゲノムDNAから原因遺伝子と推定した遺伝子を増幅し、アプライドバイオシステム製の3130xlジェネティックアナライザを用いて塩基配列を決定した。
結果と考察
<オイルボディ形成不全変異体スクリーニング法の確立>
オレオシンとGFP(green fluorescent protein)の融合タンパク質をコードする融合遺伝子(Oleosin-GFP)を作製し、これをカリフラワーモザイクウイルス由来35SプロモーターDNA下流に連結した(図4A)。このDNAコンストラクトをアグロバクテリウム法を用いてシロイヌナズナ(Arabidopsis thaliana)のゲノムDNA中に導入し、形質転換シロイヌナズナを作製、oleGと名付けた。暗黒条件下で6日間発芽後のoleG子葉を蛍光顕微鏡観察を用いて観察した結果が図4Bである。図4Bより、オイルボディ膜がGFP蛍光で標識されており、多数の小さなオイルボディが凝集体として集まった状態で存在していることがわかる。また、暗黒条件下で発芽した子葉以外にも胚や明条件下で発芽した緑色子葉中や本葉中・花弁中でもオイルボディが存在することがわかった。
<オイルボディ形成不全変異体スクリーニング法の確立>
オレオシンとGFP(green fluorescent protein)の融合タンパク質をコードする融合遺伝子(Oleosin-GFP)を作製し、これをカリフラワーモザイクウイルス由来35SプロモーターDNA下流に連結した(図4A)。このDNAコンストラクトをアグロバクテリウム法を用いてシロイヌナズナ(Arabidopsis thaliana)のゲノムDNA中に導入し、形質転換シロイヌナズナを作製、oleGと名付けた。暗黒条件下で6日間発芽後のoleG子葉を蛍光顕微鏡観察を用いて観察した結果が図4Bである。図4Bより、オイルボディ膜がGFP蛍光で標識されており、多数の小さなオイルボディが凝集体として集まった状態で存在していることがわかる。また、暗黒条件下で発芽した子葉以外にも胚や明条件下で発芽した緑色子葉中や本葉中・花弁中でもオイルボディが存在することがわかった。
オイルボディへの植物油脂蓄積メカニズムに関与する遺伝子を決定するために、oleG種子をエチルメタンスルホン酸で変異処理し、後代M2種子を得た。暗黒下で6日間発芽したM2植物の蛍光顕微鏡観察を行い、oleGと比較して蛍光強度の異なる変異体A(図4C)及び変異体B(図4D)を取得した。これらの変異体は発芽した子葉中のGFP蛍光強度がoleGよりも低下していた。
<GFP蛍光総和と種子の脂質含量の関係>
OleG、変異体A及び変異体Bについて、暗黒下で6日間発芽した子葉のGFP蛍光を同一条件、同一面積、同一画素数のレーザー共焦点顕微鏡画像として取得し、各画像のGFP蛍光強度に対する画素数の度数分布からGFP蛍光総和a(a=sum(蛍光強度×画素数))を求めた。OleGの蛍光総和を100%とすると、変異体Aの蛍光総和は37.9%、変異体Bは85.1%となった。一方、OleG、変異体A及び変異体Bの種子に含まれる脂質含量を測定したところ、それぞれ34.66%±0.43%、26.91%±0.34%、32.34%±0.49%であった。GFP蛍光総和と種子の脂質含量には正の相関が認められた(図5)。また、これらの変異体の種子に蓄積している脂質に含まれる脂肪酸組成を分析した(図6)。その結果、変異体A及び変異体BともにOleGと比較してC20:1(11)cisの含量が低下していた。本明細書中での脂肪酸は次のように標記する。C炭素数:炭素同士の不飽和結合数 (不飽和結合が存在するカルボキシル基側からの炭素番号) 不飽和結合のcis-trans幾何異性。cic-trans幾何異性が不明な場合は、幾何異性に関する標記を行わない。例えばステアリン酸は、C18:0で、一般的なオレイン酸は、C:18:1(9)cisと標記する。一方で、変異体AではC18:3(9,12,15)、変異体BではC18:1(9)cisの増加が認められた。以上の結果から、オレオシン-GFP融合タンパク質のGFP蛍光総和を測定することで、植物油脂の蓄積メカニズムに異常のある変異体を生きたままで同定することが可能になった。
なお、図6において、各脂肪酸を示す棒グラフは、左からOleG、変異体A及び変異体Bの順で示している。
OleG、変異体A及び変異体Bについて、暗黒下で6日間発芽した子葉のGFP蛍光を同一条件、同一面積、同一画素数のレーザー共焦点顕微鏡画像として取得し、各画像のGFP蛍光強度に対する画素数の度数分布からGFP蛍光総和a(a=sum(蛍光強度×画素数))を求めた。OleGの蛍光総和を100%とすると、変異体Aの蛍光総和は37.9%、変異体Bは85.1%となった。一方、OleG、変異体A及び変異体Bの種子に含まれる脂質含量を測定したところ、それぞれ34.66%±0.43%、26.91%±0.34%、32.34%±0.49%であった。GFP蛍光総和と種子の脂質含量には正の相関が認められた(図5)。また、これらの変異体の種子に蓄積している脂質に含まれる脂肪酸組成を分析した(図6)。その結果、変異体A及び変異体BともにOleGと比較してC20:1(11)cisの含量が低下していた。本明細書中での脂肪酸は次のように標記する。C炭素数:炭素同士の不飽和結合数 (不飽和結合が存在するカルボキシル基側からの炭素番号) 不飽和結合のcis-trans幾何異性。cic-trans幾何異性が不明な場合は、幾何異性に関する標記を行わない。例えばステアリン酸は、C18:0で、一般的なオレイン酸は、C:18:1(9)cisと標記する。一方で、変異体AではC18:3(9,12,15)、変異体BではC18:1(9)cisの増加が認められた。以上の結果から、オレオシン-GFP融合タンパク質のGFP蛍光総和を測定することで、植物油脂の蓄積メカニズムに異常のある変異体を生きたままで同定することが可能になった。
なお、図6において、各脂肪酸を示す棒グラフは、左からOleG、変異体A及び変異体Bの順で示している。
<種子タンパク質の解析>
図7は、野生型シロイヌナズナ、OleG、変異体A及び変異体Bの種子に含まれるタンパク質を解析した結果である。クマシーブリリアントブルー染色(図7A)、抗オレオシン抗体によるイムノブロット解析(図7B)および抗GFP抗体によるイムノブロット解析(図7C)から、変異体A、変異体Bの種子では、内在性オレオシン量およびオレオシン-GFP量がともにOleGよりも減少していることが明らかになった。なお、図7A〜Cにおいて、レーン1は野生型シロイヌナズナ由来サンプルを示し、レーン2はOleG由来サンプルを示し、レーン3は変異体A由来サンプルを示し、レーン4は変異体B由来サンプルを示している。
図7は、野生型シロイヌナズナ、OleG、変異体A及び変異体Bの種子に含まれるタンパク質を解析した結果である。クマシーブリリアントブルー染色(図7A)、抗オレオシン抗体によるイムノブロット解析(図7B)および抗GFP抗体によるイムノブロット解析(図7C)から、変異体A、変異体Bの種子では、内在性オレオシン量およびオレオシン-GFP量がともにOleGよりも減少していることが明らかになった。なお、図7A〜Cにおいて、レーン1は野生型シロイヌナズナ由来サンプルを示し、レーン2はOleG由来サンプルを示し、レーン3は変異体A由来サンプルを示し、レーン4は変異体B由来サンプルを示している。
<オイルボディの電子顕微鏡観察>
図8は、OleG、変異体A及び変異体Bの種子細胞を電子顕微鏡で観察した結果を示している。OleGの種子細胞中には、野生型シロイヌナズナと同様、小さなオイルボディがぎっしりと詰まっている。一方、変異体A及び変異体Bでは、お互いの間にサイトゾルと思われる隙間が認められ、個々のオイルボディが丸くなっている。これは、種子の貯蔵脂肪量が減少しているためと考えられる。また、種子中のいくつかのオイルボディが巨大化している。これは、オイルボディ膜のオレオシン量が減少していることに起因すると考えられた。
図8は、OleG、変異体A及び変異体Bの種子細胞を電子顕微鏡で観察した結果を示している。OleGの種子細胞中には、野生型シロイヌナズナと同様、小さなオイルボディがぎっしりと詰まっている。一方、変異体A及び変異体Bでは、お互いの間にサイトゾルと思われる隙間が認められ、個々のオイルボディが丸くなっている。これは、種子の貯蔵脂肪量が減少しているためと考えられる。また、種子中のいくつかのオイルボディが巨大化している。これは、オイルボディ膜のオレオシン量が減少していることに起因すると考えられた。
<原因遺伝子の同定>
コロンビア生態型をバックグラウンドに持つ変異体Aとランズバーグ・エレクタ生態型の野生型シロイヌナズナを交配し、原因遺伝子の高精度マッピングを行った。分子マーカーを用いて620個の染色体について遺伝的バックグラウンドのスコアリングを行った結果を図9Aに示す。ランズバーグ・エレクタ由来の染色体数は、変異体A原因遺伝子の遺伝子座と分子マーカーとの間で組換えが起こったことを示している。図9Aに示したように、高精度マッピングにより、変異体A原因遺伝子の遺伝子座が第1染色体のAt1g54560の極近傍で、At1g54150とAt1g54970の間に位置していることが分かった。この領域には機能未同定遺伝子At1g54570(図9B)を含む87の遺伝子の存在が示唆されている。
コロンビア生態型をバックグラウンドに持つ変異体Aとランズバーグ・エレクタ生態型の野生型シロイヌナズナを交配し、原因遺伝子の高精度マッピングを行った。分子マーカーを用いて620個の染色体について遺伝的バックグラウンドのスコアリングを行った結果を図9Aに示す。ランズバーグ・エレクタ由来の染色体数は、変異体A原因遺伝子の遺伝子座と分子マーカーとの間で組換えが起こったことを示している。図9Aに示したように、高精度マッピングにより、変異体A原因遺伝子の遺伝子座が第1染色体のAt1g54560の極近傍で、At1g54150とAt1g54970の間に位置していることが分かった。この領域には機能未同定遺伝子At1g54570(図9B)を含む87の遺伝子の存在が示唆されている。
At1g54570はジアシルグリセロールアシルトランスフェラーゼ(DAGAT)ドメインと提唱されている部分を含んだポリペプチドをコードしている。DAGATドメインは、トリアシルグリセロール合成に関与する酵素の一つであるジアシルグリセロールアシルトランスフェラーゼに共通して存在すると考えられているアミノ酸配列であるが、塩基配列情報に基づく推察であるため、DAGATドメインを持つポリペプチドが全てDAGAT活性を有するとは限らない。また、DAGATの研究は出芽酵母で集中して行われており、植物種子中の特定のポリペプチドがDAGATであると解明された例は知られていない。
変異体AのゲノムDNAに存在するAt1g54570遺伝子領域の塩基配列を決定したところ、At1g54570中の塩基配列にC3252Tの点変異があった(C3252Tの標記は、mRNAに対するcDNAの開始コドン5’ATG3’のAを1としたときの第3252番目のCがTに置換変異した事を示す)。この点変異は第10番目のエクソン中に位置しており、At1g54570遺伝子産物アミノ酸配列のDAGATドメイン内にT508Iのミスセンス変異を引き起こす(T508Iの標記は、ポリペプチドのN末端から第508アミノ酸残基目のT(Thr)がI(Ile)に置換変異した事を示す)。以上の結果から、変異体Aの原因遺伝子はAt1g54570であり、At1g54570遺伝子産物におけるT508I変異が植物内の油脂量を変動させるアミノ酸置換変異であると結論付けられた。
Claims (16)
- 配列番号1に示すアミノ酸配列において、N末端側から12番目のアミノ酸残基が他のアミノ酸に置換されたコンセンサス配列を有する変異タンパク質であって、植物種子内の油脂含量を調節する機能を有する変異タンパク質をコードする変異遺伝子。
- 上記他のアミノ酸がイソロイシン、バリン、ロイシン及びメチオニンからなる群から選ばれる一種のアミノ酸であることを特徴とする請求項1記載の変異遺伝子。
- 上記他のアミノ酸がイソロイシンであることを特徴とする請求項1記載の変異遺伝子。
- 上記変異タンパク質は、配列番号4〜17のアミノ酸配列のうちいずれか1に示すアミノ酸配列に含まれる上記コンセンサス配列において、N末端側から12番目のアミノ酸残基が他のアミノ酸に置換されたものであることを特徴とする請求項1記載の変異遺伝子。
- 植物由来の遺伝子を変異させたものであることを特徴とする請求項1記載の変異遺伝子。
- イネ科、アブラナ科及びヤナギ科からなる群から選ばれる1つの科に属する植物由来遺伝子を変異させたものであることを特徴とする請求項1記載の変異遺伝子。
- 大麦、イネ、シロイヌナズナ、Brassica rapa及びポプラからなる群から選ばれる1つの種に属する植物由来遺伝子を変異させたものであることを特徴とする請求項1記載の変異遺伝子。
- 請求項1乃至7いずれか一項記載の変異遺伝子によってコードされる変異タンパク質。
- 請求項1乃至7いずれか一項記載の変異遺伝子を導入してなる形質転換細胞。
- 請求項1乃至7いずれか一項記載の変異遺伝子を導入してなる形質転換植物。
- 配列番号1に示すアミノ酸配列からなるコンセンサス配列を有するタンパク質をコードする遺伝子に対して、配列番号1に示すアミノ酸配列のN末端側から12番目のアミノ酸残基を他のアミノ酸に置換する変異を導入する、種子内油脂含量の調節方法。
- 上記他のアミノ酸がイソロイシン、バリン、ロイシン及びメチオニンからなる群から選ばれる一種のアミノ酸であることを特徴とする請求項11記載の種子内油脂含量の調節方法。
- 上記他のアミノ酸がイソロイシンであることを特徴とする請求項11記載の種子内油脂含量の調節方法。
- 配列番号4〜17のアミノ酸配列のうちいずれか1に示すアミノ酸配列に含まれる上記コンセンサス配列において、N末端側から12番目のアミノ酸残基が他のアミノ酸に置換された変異タンパク質を発現させることを特徴とする請求項11記載の種子内油脂含量の調節方法。
- イネ科、アブラナ科及びヤナギ科からなる群から選ばれる1つの科に属する植物由来遺伝子を変異させることを特徴とする請求項11記載の種子内油脂含量の調節方法。
- 大麦、イネ、シロイヌナズナ、Brassica rapa及びポプラからなる群から選ばれる1つの種に属する植物由来遺伝子を変異させることを特徴とする請求項11記載の種子内油脂含量の調節方法。
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