JP2009204100A - ベルト組立方法およびベルト - Google Patents

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佳大 前川
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Abstract

【課題】エレメントを環状に配列した場合に、最外周部より内側に、リングを巻き掛けるサドル面が設定されるベルトを効率良く組み立てる。
【解決手段】姿勢を揃えて環状に配列された板片状の多数のエレメント6をリング9によって結束してなるベルト1を組み立てるベルト組立方法であって、前記各エレメント6は、前記リング9を配置させるサドル面10を、前記環状に配列した状態で最外周に突出する部分よりも内周側に備え、前記環状に配列されたエレメント6の最外周部を最短で結んだ円弧の周長が前記リングの周長より短くなるように、少なくとも一部が内周側に窪んだ環状に前記エレメントを配列し、それらのエレメント6の外周側に前記リング9を配置してそのリング9を前記サドル面10に収める。
【選択図】図1

Description

この発明は、板片状の多数のエレメントを互いに対面させて環状に配列し、それらのエレメントを無端環状のリングにより結束して構成されるベルトの組立方法およびベルトに関するものである。
車両用の無段変速機に用いられるベルトとして、ブロックもしくはエレメントと称される金属片を、多数、環状に配列し、それらの金属片を無端キャリヤ(リングもしくはフープと称されることもある)によって結束した構成のものが知られている。この種のベルトは、互いに接触して配列されている金属片同士の押圧力によってトルクを伝達するように構成されたものであり、駆動側のプーリにおける巻き掛け溝に挟み込まれた金属片が、そのプーリが回転することによりその巻き掛け溝から順次押し出されて先行する金属片を押圧し、こうして前進させられる金属片が従動側のプーリにおける巻き掛け溝に進入することにより、金属片の進行に伴って従動側のプーリにトルクが伝達される。
このようなベルトの一例が特許文献1に記載されている。この特許文献1に記載されたベルトは、ほぼ台形状をなす多数のブロックをそれぞれ環状をなす二条の無端キャリヤで結束して、全体として環状に構成されている。図11にはそのブロック100の形状を示してある。ここに示すブロック100は、短辺側が内周側となるように環状に配列されその配列状態での左右両側部101,102が、図示しないプーリにおけるV字状の巻き掛け溝のテーパ状の内面に対応して傾斜している。また、上下方向および幅方向のほぼ中央部には、無端キャリヤ103を巻き掛けるサドル面104が形成されている。このサドル面104は幅方向に並べて配置した二条の無端キャリヤ103の幅以上の幅に形成されている。
さらに、無端キャリヤ103がサドル面104から抜け出ることを防止するため、言い換えれば、ブロック100が無端キャリヤ103から外れることを防止するための係止部105,106が設けられている。これらの係止部105,106は、サドル面104の左右両側部あるいはサドル面104に載せられている無端キャリヤ103の左右両側部の上側を覆うものであって、サドル面104の左右両側で立ち上がった逆L字状の部分であり、各係止部105,106同士の間は開いていてサドル面104に対する開口部107となっている。さらに、係止部105,106における一方の面(例えば正面)の左右の二箇所に、断面円形の凸部108,109が形成されており、その凸部108,109とは反対側の面に、凸部108,109を嵌合させる凹部(図示せず)が形成されている。
特開2000−205342号公報
上述したように環状に配列した金属片であるブロックを結束している無端キャリヤは、サドル面に接触してブロックを結束しているだけでなく、プーリにおける巻き掛け溝からブロックを引き抜く作用も行うから、特許文献1に記載されているように係止部が必須である。なお、この係止部は、他の部材によって構成することもでき、例えばブロックの左右両側部に柱部を立設し、それらの柱部の間を、サドル面に向けて無端キャリヤを挿入するための開口部とし、さらに各柱部に両端部を連結する板状の部材でその開口部を閉じるように構成することもできる。
しかしながら、これらいずれの構成であっても、無端キャリヤを載せるサドル面から係止部あるいは柱部が突出しているので、ブロックを環状に配置した場合、サドル面を結んだ円の半径もしくは周長に対して、係止部あるいは柱部の先端を結んだ円の半径もしくは周長が大きくなる。そのため、ベルトに必要とする数のブロックを互いに接触させて環状に配置した状態では、そのブロックの列の最大外径に対して無端キャリヤの外径が小さくなり、無端キャリヤをそのサドル面に嵌めることができない。このように特許文献1に記載されているような構成のブロックを用いたベルトは、必要とする多数のブロックあるいは必要とする数の大半の数のブロックを一括してベルトと組み付けることができず、組立性もしくは生産性の点で改善すべき余地があった。
また、特許文献1に記載された構成のブロックは、ブロック同士の姿勢を維持するための凹凸部が左右の二箇所に形成されているので、ブロック同士が接近・離隔することができるとしても、相対的に回転することができない。そのため、無端キャリヤに対するブロックの組み付けが進行し、最終の一枚もしくは数枚のブロックを、組み付けの済んだブロックの間に差し込み、かつ無端キャリヤに係合させる場合、ブロック同士を相違的に捻った状態にすることができないので、最終の一枚もしくは数枚のブロックを組み付ける作業が困難な作業になり、この点でも組立性もしくは製造性を改善する余地があった。
この発明は上記の技術的課題に着目してなされたものであり、エレメントを環状に配列した場合に、最外周部より内側に、リングを巻き掛けるサドル面が設定されるベルトを効率良く組み立てることのできる方法を提供することを目的とするものである。
上記の目的を達成するために、請求項1の発明は、姿勢を揃えて環状に配列された板片状の多数のエレメントをリングによって結束してなるベルトを組み立てるベルト組立方法において、前記各エレメントは、前記リングを配置させるサドル面を、前記環状に配列した状態で最外周に突出する部分よりも内周側に備え、前記環状に配列されたエレメントの最外周部を最短で結んだ円弧の周長が前記リングの周長より短くなるように、少なくとも一部が内周側に窪んだ環状に前記エレメントを配列し、それらのエレメントの外周側に前記リングを配置してそのリングを前記サドル面に収めることを特徴とする方法である。
請求項2の発明は、請求項1の発明において、前記サドル面は、前記エレメントの幅方向での中央部に形成され、そのサドル面の左右両側部の上面側を覆うフック部がサドル面の左右両側に突出して形成されるとともに、それらのフック部同士の間が開口部となっており、第一のリングをサドル面に収めた後、その第一のリングを一方のフック部側に移動させ、ついで第二のリングをサドル面に収めるとともに該第二のリングを他方のフック部側に移動させることにより二条のリングをサドル面上に並列に配置することを特徴とするベルト組立方法である。
請求項3の発明は、請求項2の発明において、前記サドル面に収められた第一のリングと第二のリングとの間に、これらのリングの間を埋める第三のリングを嵌め込むことを特徴とするベルト組立方法である。
請求項4の発明は、請求項2または3の発明において、前記第一のリングおよび第二のリングは、複数の金属製の帯状材を積層して構成され、これら第一のリングおよび第二のリングを前記サドル面に収める場合、それぞれの内層側の一条もしくは複数条の帯状材をサドル面に収めた後に外層側の帯状材を先行する帯状材の上に嵌め合わせることを特徴とするベルト組立方法である。
請求項5の発明は、請求項1ないし4のいずれかの発明において、前記環状に配列されたエレメントのうち内周側に窪まされる箇所にあるエレメントの前記環状の配列状態における外周側の部分の厚さが前記サドル面に近い中央部の厚さより薄く形成されていることを特徴とするベルト組立方法である。
請求項6の発明は、姿勢を揃えて環状に配列された板片状の多数のエレメントをリングによって結束してなるベルトにおいて、環状に配列されたエレメントのうち内周側に撓まされる箇所にあるエレメントの前記環状の配列状態における外周側の部分の厚さが前記サドル面に近い中央部の厚さより薄く形成されていることを特徴とするものである。
請求項1の発明の方法によれば、環状に配列されているエレメントの列の一部が、内周側に窪んでいるので、その列の最外周側の部分を最短で結んだ円弧の周長は、内周側に窪んでいる分がその円弧に含まれなくなるので、上記の内周側への窪みがないように全てのエレメントを環状に配列した場合よりも短くなる。したがって、内周側への窪みもしくは撓みをもたせて環状に配列したエレメントの列に対してリングが相対的に大径となるので、リングをエレメントの列の外周側に同軸上に配置できる。すなわち、エレメントの列にリングを嵌合させることできるので、それよりも内周側に位置しているサドル面にリングを収め、リングとエレメントとを組み付けることができる。その場合、エレメントの列の内周側への窪みあるいは撓みに応じて前記円弧の周長を短くできるので、ベルトに必要とする数のエレメントを配列する場合であっても、エレメント同士の間のクリアランスを幾分大きく設定すれば、内周側への窪みあるいは撓みを大きくして、その輪郭円に相当する前記円弧の長さをリングの周長より短くできる。このようにすることにより、ベルトに必要とする全数のエレメントを一括してリングに組み付けることができる。なお、ベルトに必要とする全数より数枚少ないエレメントの一括した組付けを上記のようにして行った後に、残余のエレメントを手作業で組み付けてることもできる。いずれの場合であっても、エレメントとベルトとの組付けを一括して行うことができるので、ベルトを効率良く組み立てて製造することができる。
請求項2の発明の方法によれば、二条もしくはそれ以上のリングを使用し、かつそれらのリングの一方の側縁部がフック部の内側に入ってフック部に係合する構成のベルトであっても、全数のエレメントあるいはその大半のエレメントを一括してリングと組み付けることができ、したがってベルトを効率良く組み立てて製造することが可能になる。
請求項3の発明の方法によれば、第一のリングと第二のリングとをサドル面に収める場合、先行する第一のリングを一方の係止部側に移動させてサドル面にスペースを空けた状態で第二のリングをサドル面に収めるから、これら二条のリングの側縁部同士が重なり合うことを回避もしくは抑制でき、また第三のリングは、第一および第二のリングの間のスペースに嵌め込むことによりサドル面上に収めることができ、したがって各リングの組み付けが容易になって、ベルトを効率良く組み立てて製造することが可能になる。
請求項4の発明の方法によれば、各リングを部分的に変形させて組み付け、あるいは各リングの側縁部を相互に重ね合わせる場合であっても、それらのリングを構成している相対的に薄肉の帯状材を順次組み付けるので、部分的な変形あるいは重ね合わせが容易になり、その結果、ベルトを効率良く組み立てて製造することが可能になる。
請求項5および6の発明によれば、リングの一部を内周側に撓ませ、それに併せてエレメントの列を内周側に撓ませた状態でリングに対してエレメントを組み付けることができ、したがってエレメントにおけるサドル面に対する開口部の幅がリングよりも狭い場合であっても、リングに捩りを与えてエレメントのサドル面に挿入することができるので、ベルトの組立性あるいは製造性を向上させることができる。
つぎに、この発明をより具体的に説明する。先ず、この発明で対象とするベルトについて説明すると、この発明で対象とするベルトは、例えば無段変速機に使用されるものであり、プーリの外周部に形成された断面V字状の巻き掛け溝の内部に挟み込まれ、その結果、プーリとの間で生じる摩擦力でトルクを伝達するように構成されている。その一例を図9に模式的に示してあり、ベルト1は無段変速機を構成している駆動プーリ2と従動プーリ3とに巻き掛けられている。これらの各プーリ2,3は、テーパ面をそれぞれ備えた固定シーブと可動シーブとを対向させて配置することにより、これらのシーブの間に断面V字状の巻き掛け溝4が形成され、その可動シーブを油圧シリンダなどのアクチュエータ5によって固定シーブに対して前後動させることにより、巻き掛け溝4の幅を変化させるように構成されている。
このようにして使用されるこの発明で対象とするベルトは、全体として環状をなし、かつ両側面がV字状もしくはテーパ状をなすように、多数のエレメントをリングで環状に結束して構成されている。上記の図9に示すベルト1を構成しているエレメント6の例を図10に示してある。このエレメント6は、金属製の板片であり、同一の形状および寸法のものが、姿勢を揃えて環状に配列される。その整列状態でのエレメント6同士の上下および左右方向の相対位置を維持するために、ディンプル7と称される凸部とこのディンプル7が緩く嵌合するホール(図示せず)と称される凹部とが、エレメントの表裏両面の一箇所に形成されている。具体的には、エレメント6の表面もしくは裏面の一箇所を板厚方向に押圧して窪ませてホールを形成することに伴って、ディンプル7が裏面もしくは表面に突出させられて形成されている。したがって、ディンプル7が、隣接するエレメント6のホールに嵌合することにより、その半径方向すなわち上下方向および左右方向へのエレメント6の相対移動が規制される。
各エレメント6は環状に配列されるので、各エレメント6が平行にならずにベルト1の曲率中心を中心としていわゆる扇状(放射状)に開いた状態に配列される箇所が必ず生じる。各エレメント6を互いに接触させた状態で扇状に開いた配列を可能にするために、エレメント6にはロッキングエッジ8が形成されている。このロッキングエッジ8は、具体的には、エレメントの厚さが変化する境界線もしくは境界領域であり、エレメント6の高さ方向でのほぼ中央部に幅方向(プーリの回転中心軸線と平行な方向)に延びて形成されている。すなわち、ベルト1がプーリ2,3に巻き掛かった状態では、エレメント6の上側(ベルト1としては外周側)の周長が長くなるので、エレメント6同士の間隔が広くなり、これとは反対にエレメント6の下側(ベルト1としては内周側)の周長が短くなるので、エレメント6同士の間隔が狭くなる。そのため、エレメント6の下側の部分は、下端側で薄くなるように構成されており、このように板厚がエレメントの上側と下側とで変化する箇所がロッキングエッジ8となっている。したがって、各エレメント6は、ロッキングエッジ8を中心にして板厚方向に回転し、すなわちピッチングが生じて、上記のように扇状に開くようになっている。なお、このロッキングエッジ8は表裏両面のいずれか一方に形成されていればよく、一例として前記ディンプル7が突出している面に形成されている。
また、各エレメント6にはリング9を載せる(配置させる)サドル面10が形成されている。そのサドル面10には、多数のエレメント6を結束しているリング9が接触しているので、ベルト1がトルクを伝達している状態ではその接触圧が大きくなるのに対して、エレメント6が直線状に配列されている状態からプーリ2,3に巻き掛かって扇状に開く場合にはリング9とサドル面10との間に摺動が生じ、それに伴って大きい摩擦力が生じる。この摩擦力によるモーメントが大きくならないように、サドル面10は前述したロッキングエッジ8に可及的に近い位置に形成されている。したがって、サドル面10は各エレメント6の上下方向でのほぼ中央部に形成されている。
この発明で対象とするベルト1におけるリング9は、薄い金属帯を積層して構成され、二条のリング9を前記サドル面10に幅方向に隣接して並べた状態に配置してエレメント6を結束するように構成されている。言い換えれば、サドル面10は、並列させて配置した二条のリング9の幅以上の幅に形成されている。この発明に係るベルトにおいても、リングは、サドル面に載っていて、各エレメントが環状の配列を維持するように各エレメントを結束し、各エレメントが半径方向で外側に離脱しないように作用するが、それだけでなく、エレメントがプーリの巻き掛け溝から送り出される際にエレメントを巻き掛け溝から引き抜く作用も行う。そのため、リングがエレメントから半径方向で外側に抜け出ないようにするために、リングをサドル面との間に挟んだ状態に保持するフック部が設けられている。
その例を説明すると、図10において、エレメント6の左右両側に、サドル面10から上方向に延びてサドル面10の上側の一部を覆うフック部11が設けられている。このフック部11は、図10に示すように、逆L字状をなす部分であって、サドル面10に並列に配置したリング9の左右の側縁部を、サドル面10との間に緩く挟み込むようになっている。したがって、フック部11の先端部同士は離れていて、ここにサドル面10に対する開口部12が形成されている。そのフック部11同士の間隔、言い換えれば、サドル面10の開口幅W0は、一本のリング9の幅より広く、かつ二本のリング9の幅を合算した寸法W1より小さくなっている。
上記のようにこの発明で対象とするベルト1は、リング9を載せるサドル面10より上側(環状に配列した状態では外周側)に突き出た部分を備えているので、ベルト1に必要とする数のエレメント6を環状に配列した場合、最外周部を最短で結んだ円弧の周長が、サドル面10を最短で結んだ円弧の周長より長くなる。したがってこのままの状態では、環状をなすエレメント6の列6Lの最大外径よりリング9の径が小さいので、リング9をサドル面10に嵌め込むことができない。そこで、この発明の方法では、以下のようにしてリング9をサドル面10に収める。
先ず、製造するべきベルト1に必要な数のエレメント6を、それぞれの姿勢を揃えかつ相互に接触させて環状に配列し、その配列の形態を、一部、内周側に窪んだ(撓んだ)環状に設定する。なお、内周側に窪ませるための余裕を確保するために、各エレメント6を密に接触させずに、エレメント6同士の間に僅かなクリアランスを設けてもよい。あるいは、エレメント6の数をベルト1に必要とする数より数枚少なくしてもよい。図1には、対向する二箇所を接近させるように窪ませていわゆる「8」の字形もしくは繭形になるように多数のエレメント6を環状に配列した例を示している。このようにエレメント6を配列するためには、外周側にエレメント6を嵌め込むことのできる可撓性のある環状の治具(図示せず)を使用し、その治具に必要数のエレメント6を嵌め込んだ後、治具毎エレメント6の列6Lを図1に示すように撓ませればよい。
このように配列したエレメント6の最外周部の周長、すなわち前記フック部11の先端を結んだ凸円弧(あるいは内周側に窪ませた箇所を除いたエレメント6のフック部11の先端を結んだ円)の周長は、内周側への撓み分、短くなる。したがって、その撓み量を適宜に調整することにより、エレメント6の列6Lの最外周の周長が、サドル面10に巻き掛けるべきリング9の周長より短くなるので、リング9を図1に示すように、エレメント6の列6Lの外周側に配置することができる。なお、図1の(a)はリング9の軸線方向から見た平面図であり、(b)はその縦断側面図である。
エレメント6の列6Lを図1に示すように、一部、内周側に窪ませた状態とし、その外周側に、先ず、一条のリング9を配置し、そのリング9を順次変形させてサドル面10に添わせる。その状態を図2に断面図として示してある。なお、そのリング9が、複数の金属製の帯状材を積層して構成されており、そのために内周側への変形を生じさせ難い場合には、周長の短い内周側の帯状材から順にサドル面10に添わせればよい。その場合、一層毎の帯状材を組み付ける以外に、複数層毎の帯状材を一括して組み付けてもよい。並列に配置する二条のリング9を使用するベルト1の場合、第一のリング9を上記のようにサドル面10に添わせた後、そのリング9を一方のフック部11側(図2では下側)に移動させてその側縁部をそのフック部11とサドル面10との間に挿入する。
上記のようにして第一のリング9をエレメント6の列6Lに組み付けた後においても、エレメント6の列6Lの一部を内周側に窪ませた状態を維持し、その状態で第二のリング9をエレメント6の列6Lの外周側(より正確にはサドル面10の外周側)に配置する。そして、この第二のリング9を上述した第一のリング9を組み付ける場合と同様に、サドル面10に添わせた後、他方のフック部11側に移動させ、その側縁部を他方のフック部11とサドル面10との間に挿入する。
その場合、第二のリング9をエレメント6の列6Lに嵌合させた後に、さらに他のリングを嵌合させることがないので、エレメント6の列6Lの一部を内周側に撓ませておく必要がない。したがって、第二のリング9をサドル面10に添わせるためには、第二のリング9をエレメント6の列6Lの形状に添うように変形させる代わりに、エレメント6の列6Lにおける内周側に窪んでいる部分を外周側に移動させてその窪み変形を解消し、全体として滑らかな楕円形状もしくは円形状にすることにより、サドル面10を第二のリング9の内周面に添わせるようにしてもよい。
また、二条のリング9を使用する構成のベルト1では、そのエレメント6におけるサドル面10の幅が、各リング9の幅を合算した寸法より僅かに大きい程度であるから、第二のリング9をサドル面10に添わせる場合、図3に示すように、第一のリング9の側縁部に第二のリング9の側縁部が一時的に重なることがある。したがって、エレメント6の列6Lの一部が未だ内周側に窪んでいて第二のリング9の周長に余裕がある状態で、第二のリング9を部分的に撓ませつつ、フック部11の内側に挿入し、最終的に重なった状態に残る部分は、既に組み付けられている第一のリング9をエレメント6の列6Lと共に撓ませて重なり部分の接触圧を軽減した状態で、第二のリング9をサドル面10で他方のフック部11側に滑らせてその側縁部を他方のフック部11とサドル面10との間に挿入する。このように第二のリング9を組み付ける場合も第二のリング9を幾分変形させる必要があるので、変形を生じさせ難い場合には、周長の短い内周側の帯状材から順にサドル面10に添わせればよい。その場合、一層毎の帯状材を組み付ける以外に、複数層毎の帯状材を一括して組み付けてもよい。
この発明に係る上述した組立方法によれば、ベルト1に必要とする全数もしくはこれに近い数のエレメント6を環状に配列し、その配列の一部を内周側に撓ませ、その状態でリング9をエレメント6の列6Lの外周側に嵌合させるから、サドル面10より外周側に突出するフック部11あるいはこれに相当する突出部分があるとしても、必要とする数もしくはこれに近い数のエレメント6を一括してリング9と組み付けることができる。特に、必要とする全数のエレメント6を環状に配列し、これにリング9を巻き掛ける場合には、リング9を組み付けた後に、組み付けの終わっているエレメント6の間に追加のエレメント6を挿入する必要がないので、図11に示すようにディンプルおよびホールが複数対、設けられているエレメントもしくはブロックを使用するベルトであっても、容易かつ迅速にベルトを組み立てることができる。このようにこの発明に係る方法によれば、ベルト1の組立性あるいは生産性が向上する。
なお、組み付け時のリング9に余裕を持たせるために、環状に配列するエレメント6の数を最終的に必要とする数より幾分少なくすることも可能である。その場合、リング9によって結束されているエレメント6の間に、不足分のエレメント6を挿入することになるが、そのような挿入操作を必要とするエレメント6の数は僅かであるから、ベルト1の組立性あるいは生産性が特に損なわれることはない。
この発明の方法は、上述した具体例から知られるように、環状に配列したエレメント6の一部を内周側に撓ませることにより、そのエレメント6の列6Lの最外周部を最短で結ぶ円弧の周長を、リング9の周長より短くすることを特徴の一つとしている。したがって、周長を上記のように短くする他のエレメント6の列6Lの配列形状は種々可能であり、例えば図4に示すように、エレメント6の列6Lの一箇所を内周側に撓ませた配列形状であってもよい。
また、この発明の方法は、サドル面10が、環状に配列したエレメント6の最外周位置より内周側に位置する構成のベルトを対象とする方法であり、そのサドル面に巻き掛けられるリングの数を特に特定するものではない。すなわち、この発明は、一条(一本)のリングあるいは三条(三本)のリングをサドル面に巻き掛けるエレメントを備えたベルトにも適用することができる。図5の(a)、(b)、(c)には、三条(三本)のリング9a,9b,9cをエレメント6の列6Lに組み付ける手順を順に示してある。
これらのリング9a,9b,9cは、同一幅のものであってもよく、あるいは中央に配置される第三のリング9cの幅が狭いものであってもよい。先ず、図5の(a)に示すように、左右両側部のいずれか一方に配置される第一のリング9aを、上記の図1および図2を参照して説明したようにしてエレメント6の列6Lに組み付ける。ついで、図5の(b)に示すように、左右両側部のいずれか他方に配置される第二のリング9bを上記の図1および図2を参照して説明したようにしてエレメント6の列6Lに組み付ける。その場合、サドル面10の幅が、これら第一のリング9aおよび第二のリング9bの幅より十分に広いから、第二のリング9bの一部を第一のリング9aに重ね合わせることなく、第二のリング9bを容易に組み付けることができる。また、その後に、第三のリング9cを更に組み付ける必要があるので、エレメント6の列6Lはその少なくとも一部を内周側に撓ませた状態に維持しておく。
こうして組み付けた第一のリング9aと第二のリング9bとの間のスペースに第三のリング9cを組み付ける。その状態を図5の(c)に示してある。その場合、エレメント6の列6Lは従前の配列状態、すなわち一部が内周側に窪んだ配列状態になっているので、第三のリング9cもエレメント6の列6Lの外周側に嵌合させることができ、したがって第一のリング9aおよび第二のリング9bと同様にして容易に組み付けることができる。なお、第三のリング9cをサドル面10に添わせる場合、第三のリング9cをサドル面10側に変形させる代わりに、エレメント6の列6Lにおける内周側に窪んでいる部分を外周側に移動させてその窪み変形を解消し、全体として滑らかな楕円形状もしくは円形状にすることにより、サドル面10を第三のリング9cの内周面に添わせるようにしてもよい。
板片状である複数のエレメント6を互いに対面させて環状もしくは円弧状に配列する場合、その配列状態における内周側の部分の周長が外周側の部分の周長より短くなるから、この発明で対象とするベルトにおいては、プーリに巻き掛かった場合に前記サドル面10に近い箇所でエレメント6同士が接触した状態で各エレメント6がいわゆる扇状に開いた配列状態となるように、各エレメント6の下側の部分(プーリに巻き掛かった状態では内周側の部分)の厚さを相対的に薄くしてある。これは配列した形状がいわゆる凸円弧状であるためであるが、上述した組立方法のように一部を凹円弧状とするためには、各エレメント6の上側(プーリに巻き掛かった状態では外周側の部分)にスペースを確保する必要がある。そのために、上述した具体例では、組立途中におけるエレメント6の数を、ベルト1として必要な最終的な数よりも少なくしてよい、としたが、これに替えて、凹円弧状に撓ませた箇所にあるエレメント6における、該凹円弧の曲率中心に対して内周側の部分の厚さを薄くしてもよい。その例を図6にエレメント6Aの側面図として示してある。
図6に示すエレメント6Aにおいては、そのロッキングエッジ8より下側の部分(リング9に対してはその内周側にある部分)は、下端部側ほど薄くなっている。具体的には、ディンプル7が形成されている正面が、これとは反対側の背面に向けて傾斜している。これは、プーリに巻き掛かっていわゆる扇状にほぼ最大限開いた場合に、各エレメント6Aの下側の部分(内周側に位置する部分)の対向面同士がほぼ平行になるようにするためである。
また、図6に示すエレメント6Aにおいては、フック部11が、サドル面10から図6での上方に延びる柱部11aと、それぞれの柱部11aの上端部でサドル面10とほぼ平行になるように屈曲した鉤部11bとを備えており、その鉤部11bの厚さが図6での上端部側(リング9に対してはその外周側)で次第に薄くなっている。より具体的には、鉤部11bでのエレメント6Aの正面が背面側に次第に後退する傾斜面となっている。他の構成は、図10に示すエレメント6と同様であるから、図6に図10と同様の符号を付してその説明を省略する。
いわゆる上端部側を薄くしたエレメント6Aは、図10に示すエレメント6と混ぜて環状に配列され、かつリング9によって結束されてベルト1を構成する。その場合、図6に示すエレメント6Aはランダムに配列せずに、図7に示すように所定数ずつまとめて配列する。そして、全体として環状に配列されたエレメント6のうち上端部側が薄くなっている一群のエレメント6Aが繋がっている部分を、環状のエレメント列6Lの内周側に撓ませる。すなわち、凹円弧状の配列にする。したがって、この凹円弧部では、リング9の外周側の周長が短くなるが、そのいわゆる縮まり代は、各エレメント6Aのうち前述した鉤部11b同士の間の隙間が詰まることにより確保され、エレメント6,6A同士の間隔を広くする必要はない。なお、ベルト1として必要とする全数を図6に示すエレメント6Aとしてもよい。
したがって、図6に示すエレメント6Aを使用するこの発明の方法あるいはこの発明に係るベルトによれば、環状をなすエレメント列6Lの一部を内周側に撓ませる場合、そのいわゆる凹円弧状にするために必要なスペースをエレメント6Aの上端部(配列状態での外周部)を薄くして確保してあるから、エレメント6,6A同士の間隔を広くする必要がない。そのため、ベルト1に必要な全数のエレメント6,6Aを環状に配列しておくことが可能になり、その環状をなすエレメント列6Lにリング9を組み付ければよいので、ベルト1の組立作業性が良好になり、ベルト1の生産性が向上する。
なお、図6に示す構成のエレメント6Aを使用すれば、リング9やエレメント列6Lの一部をその内周側に撓ませてリング9とエレメント6,6Aとの組み付けを行うことができるので、互いに並列に配置した二条のリング9にエレメント6,6Aを組み付ける場合にもその作業を容易なものとすることができる。すなわち、各エレメント6,6Aにおけるサドル面10に対する開口部12の幅は、並列に配置した二条のリング9全体の幅より狭いから、それらのリング9にエレメント6,6Aを組み付ける場合、リング9の一部を捩って部分的に重ね合わせ、その幅を小さくする必要がある。
そこで、並列に配置した二条のリング9の一部を図8に示すように内周側に撓ませる。このようにいわゆる凹円弧状に撓んでいる部分では捩りなどの変形を生じさせ易いので、この部分に、例えば図10に示す構成のエレメント6を順次組み付ける。こうしてエレメント6の組み付けが進行すると、エレメント6同士の間隔が詰まってくる。そして、最終の一つもしくは数個のエレメントを組み付ける段階になると、リング9の凹円弧状に撓んでいる箇所にエレメントを組み付けることになる。その場合、リング9の撓み形状に即してエレメント列6Lを撓ませることになるので、その状態では図6に示す構成のエレメント6Aを使用する。
リング9が凹円弧状に撓んでいる箇所では、エレメント列6Lも同様に撓んでおり、それぞれのいわゆる外周側(フック部11側)でエレメント同士の間隔が狭くなっている。そのように組み付けられている先行のエレメントの間に最終の数個もしくは一つのエレメントを差し込んで組み付けるが、そのエレメントが図6に示す構成であって、フック部11の先端部が薄くなっているので、最終の数個もしくは一つのエレメント6Aを先行して組み付けられているエレメントの間に容易に差し込み、リング9に対して組み付けることができる。
このように、いわゆる外周側を薄くしたエレメント6Aによれば、ベルト1に必要な全数のエレメントを互いに接触させて環状に配列し、しかもそれらのエレメントがサドル面より外周側に突出した部分を備えているとしても、そのエレメント列の外周側にリングを嵌合させることができる。また、並列に配置した二条のリングの内周側からエレメントを組み付ける場合であっても、リングの一部を内周側に撓ませて部分的に重ね合わせた状態でエレメントの組み付けを行うことが可能になるので、組み付け作業が容易になる。
なお、エレメントの環状に配列した場合の外周側の部分を薄くするための形状は適宜に選択すればよく、上述したように正面側を傾斜面とする形状に限られない。すなわち、正面側および背面側をそぎ落として両方をいわゆる傾斜面としてもよく、あるいは平坦な傾斜面せずに、曲面であってもよい。
なおまた、この発明は上述した各具体例に限定されないのであって、エレメントにおいてサドル面より外周側に突出する部分は、上記のフック部11以外に、係止機能のない単純な柱部であってもよい。すなわち、リングをサドル面に挿入するための開口部を閉じる適宜の部材を取り付ける柱部が左右両側部に突出して形成されたエレメントもしくはブロックを使用するベルトであってもよい。
この発明に係る組立方法による組立途中の状態を示す図であって、一部を内周側に撓ませたエレメントの列とその外周側に第一のリングを嵌合させた状態を示す図である。 その第一のリングをサドル面に添わせた状態を示す断面図である。 第一のリングの側縁部に第二のリングの側縁部が重なっている状態を示す部分断面図である。 一部のみを内周側に窪ませたエレメントの配列の形態を示す図である。 三条(三本)のリングを組み付ける手順を説明するための模式的な断面図である。 この発明に係る他のエレメントの例を示す側面図である。 図6に示すエレメントを混ぜて構成したエレメント列の例を示す模式図である。 並列に配置した二条のリングの一部を内周側に撓ませた状態を示す図である。 この発明で対象とするベルトを用いた無段変速機の模式図である。 この発明で対象とするベルトを構成しているエレメントの正面図である。 従来のベルトを構成しているブロックの正面図である。
符号の説明
1…ベルト、 6,6A…エレメント、 6L…エレメントの列、 9,9a,9b,9c…リング、 10…サドル面、 11…フック部、 12…開口部。

Claims (6)

  1. 姿勢を揃えて環状に配列された板片状の多数のエレメントをリングによって結束してなるベルトを組み立てるベルト組立方法において、
    前記各エレメントは、前記リングを配置させるサドル面を、前記環状に配列した状態で最外周に突出する部分よりも内周側に備え、
    前記環状に配列されたエレメントの最外周部を最短で結んだ円弧の周長が前記リングの周長より短くなるように、少なくとも一部が内周側に窪んだ環状に前記エレメントを配列し、
    それらのエレメントの外周側に前記リングを配置してそのリングを前記サドル面に収める
    ことを特徴とするベルト組立方法。
  2. 前記サドル面は、前記エレメントの幅方向での中央部に形成され、そのサドル面の左右両側部の上面側を覆うフック部がサドル面の左右両側に突出して形成されるとともに、それらのフック部同士の間が開口部となっており、
    第一のリングをサドル面に収めた後、その第一のリングを一方のフック部側に移動させ、ついで第二のリングをサドル面に収めるとともに該第二のリングを他方のフック部側に移動させることにより二条のリングをサドル面上に並列に配置する
    ことを特徴とする請求項1に記載のベルト組立方法。
  3. 前記サドル面に収められた第一のリングと第二のリングとの間に、これらのリングの間を埋める第三のリングを嵌め込む
    ことを特徴とする請求項2に記載のベルト組立方法。
  4. 前記第一のリングおよび第二のリングは、複数の金属製の帯状材を積層して構成され、
    これら第一のリングおよび第二のリングを前記サドル面に収める場合、それぞれの内層側の一条もしくは複数条の帯状材をサドル面に収めた後に外層側の帯状材を先行する帯状材の上に嵌め合わせる
    ことを特徴とする請求項2または3に記載のベルト組立方法。
  5. 前記環状に配列されたエレメントのうち内周側に窪まされる箇所にあるエレメントの前記環状の配列状態における外周側の部分の厚さが前記サドル面に近い中央部の厚さより薄く形成されていることを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載のベルト組立方法。
  6. 姿勢を揃えて環状に配列された板片状の多数のエレメントをリングによって結束してなるベルトにおいて、
    環状に配列されたエレメントのうち内周側に撓まされる箇所にあるエレメントの前記環状の配列状態における外周側の部分の厚さが前記サドル面に近い中央部の厚さより薄く形成されていることを特徴とするベルト。
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