<第1の実施形態>
図1は、本実施形態の移動体通信システムの構成図である。ここでは、本発明に直接的に係わる装置のみを示している。
移動局(Mobile Node)1〜3は、携帯型端末装置であり、例えば、電話機、PDA、パーソナルコンピュータ等である。そして、移動局1〜3は、それぞれ、1または複数の基地局との間に無線伝送路を確立するためのインタフェースを備え、その無線伝送路を介して基地局との間で信号を送受信する。
基地局11、12は、移動局1〜3との間に無線伝送路を確立するためのインタフェースを備え、移動局1〜3を収容する。また、基地局11、12は、伝送路を介して基地局制御装置21に接続されており、その動作は基地局制御装置21により制御される。ここで、伝送路は、基本的には光ファイバケーブルまたはメタルケーブル等であるが、無線伝送路の場合もある。
基地局制御装置21は、基地局11、12を制御すると共に、各基地局と網とを接続する。なお、基地局制御装置21は、網内の任意の交換機31に接続されている。
このように、移動局1〜3は、基地局および基地局制御装置を介して網に接続される。また、別の見方をすれば、移動局1〜3は、無線伝送路および伝送路を介して網に接続する。なお、この実施例では、信号は、無線伝送路上ではCDMAにより多重化され、伝送路上では、TDM(時間分割多重)により多重化されるものとする。
次に、ハンドオフ動作について説明する。ハンドオフは、既存の移動体通信システムでは、例えば、ある基地局に収容されている移動局が他の基地局の通信エリアに移動したときに実行される。例えば、図1において、基地局11に収容されている移動局2が、基地局12の通信エリア内に移動すると、移動局2は、基地局12との間で信号を送受信できるようになる。そして、基地局11からの無線信号の受信レベルがある閾値よりも低下すると共に、基地局12からの無線信号の受信レベルがある閾値よりも高くなると、ハンドオフが実行される。すなわち、移動局2は、以降、基地局12に収容されることになる。このように、既存のシステムでは、無線信号のレベルに従って、ハンドオフを実行すべきか否かが判断されていた。
これに対して、本実施形態のシステムでは、下記のパラメータに基づいてハンドオフを実行すべきか否かが判断される。
1a:移動局において基地局から受信する無線信号の受信レベル
1b:基地局において移動局から受信する無線信号の受信レベル
2a:基地局から移動局へ信号を伝送するための無線伝送路の品質
2b:移動局から基地局へ信号を伝送するための無線伝送路の品質
3:基地局および/または基地局制御装置により管理される通信リソースの使用状態
ここで、上記1aおよび1bの「受信レベル」は、無線信号の電力または振幅を検出することにより得られる。また、上記2aおよび2bの「品質」は、例えば、ビット誤り率またはフレーム誤り率を検出することにより得られる。なお、上記3のパラメータについては、後述詳しく説明する。
続いて、本実施形態の移動体通信システムにおけるハンドオフの概念を説明する。ここでは、図1において、基地局11の通信エリアおよび基地局12の通信エリアが互いにオーバラップしており、移動局2は、基地局11および12のいずれとも無線信号を送受信できるものとする。そして、現在、移動局2は基地局11に収容されているものとする。
上記状況において、基地局11の通信リソースが他の通信により多量に使用されるようになると、移動局2に対して割り当て可能な通信リソースが減少する。例えば、図1に示すように、基地局11に収容されている移動局1が高速通信を開始すると、移動局2に割り当て可能な通信リソースが減少する。この場合、移動局2は、例えば、伝送速度を低下させなければならなくなる。
このとき、基地局12において未使用状態の通信リソースが多量に残っているものとする。すなわち、基地局12には移動局2に割り当て可能な通信リソースが多量に残っているものとする。この場合、本実施形態のシステムでは、ハンドオフが実行され、移動局2は基地局12に収容されることになる。そして、移動局2は、基地局12の通信リソースを使用することにより、高速通信を実現する。
このように、本実施形態の移動体通信システムでは、基地局の通信リソース(無線伝送路の通信リソース、および伝送路の通信リソースを含む)に基づいて、ハンドオフを実行すべきか否かが判断される。このとき、当然のことではあるが、無線信号の受信レベルも考慮される。なお、無線信号の受信レベル代わりに無線伝送路の品質を考慮してもよいし、無線信号の受信レベルおよび無線伝送路の品質の双方を考慮してもよい。
図2は、基地局および基地局制御装置により管理される通信リソースを説明する図である。なお、図2において、「F(Forward)」は、網から移動局へ向かう方向(下り方法)を表し、また、「R(Reverse)」は、移動局から網へ向かう方向(上り方向)を表す。
「送信電力」は、基地局から移動局へ無線信号を送出する際の電力を意味する。ここで、基地局は、複数の信号を多重して出力する。したがって、基地局の総送信電力は、各無線信号の送信電力の和である。一方、基地局の総送信電力の最大値は、例えば各種規制により、予め決められている。このため、ある特定の無線信号に対して大きな送信電力を割り当てると、他の無線信号に対しては小さな送信電力しか割り当てられなくなる。
なお、CDMAでは、よく知られているように、無線信号の送信電力は、その信号を利用して伝送されるデータのデータレート(または、通信レート)に比例する。すなわち、低速通信の場合は送信電力は小さいが、高速通信の場合には大きな送信電力を必要とする。このため、基地局に多数の移動局を収容しようとする場合には、各移動局へ送出すべき無線信号に対して割り当て可能な「送信電力」は小さくなるので、各移動局に対して許可されるデータレートは遅くなる。一方、基地局に収容される移動局の数が少なくなると、各移動局へ送出すべき無線信号に対して割り当て可能な「送信電力」は大きくなるので、各移動局に対して許可されるデータレートは速くなる。
図3は、各無線信号の送信電力を管理するためのテーブルである。このテーブルには、基地局と各移動局との間の各無線伝送路(または、無線チャネル)を利用して伝送される信号のデータレートおよびそのデータレートに対応する送信電力が格納される。そして、このテーブルは、各無線信号の送信電力の和が基地局の最大送信電力を越えないように各無線チャネルのデータレートを決定するために使用される。
なお、基地局から送信する電波は、すべての信号を一括して増幅した後、空中に送出される。ここで、CDMAの特徴として、送信するレートに比例して送信電力が必要になるので、一定値以上の電力が割り当てられなければ、高速データを送ることはできなくなる。一方、基地局は、ハードウェアの制約から最大送信電力が決まってしまうため、有限の全体電力を効率よく各チャネルで分割する必要がある。
「変調器」は、基地局から移動局へ送出すべき信号を変調するための変調器であり、図4に示す変調器管理テーブルにより管理される。ここで、各基地局に設けられる変調器の数は、予め決められている。そして、このテーブルには、各変調器の使用状態(使用/未使用)、および当該変調器が使用されている場合にはその変調器を利用している無線チャネルを識別する情報が格納される。
なお、通信チャネル毎に変調器が必要になる。また、変調器によっては、データレートの高さに比例して複数の変調器が必要になることもある。そして、複数の変調器が必要となる場合、変調器が多数用意された列の内、連続して並んでいる部分だけが使用可能という制約が発生することもある。特に、音声等のレートの低い信号が変調器の列の所々において歯抜け状に割り当てられていると、複数の変調器が連続して空いていることが少なくなるので、高速データを割り当てられない事態が発生する。従って、変調器は物理的に有限なので、効率的な管理が要求される。
「拡散コード」は、基地局と移動局との間で伝送される信号を拡散するための符号であり、図5に示す拡散コード管理テーブルにより管理される。ここで、各基地局が使用可能な拡散コードの数は、予め決められている。そして、このテーブルには、各拡散コードの使用状態(使用/未使用)、および当該拡散コードが使用されている場合にはそのコードを使用している無線チャネルを識別する情報が格納される。なお、拡散コードは、例えば、Walshコードである。
なお、CDMAシステムでは、Walsh関数等を拡散コードとして用いており、各チャネル毎にWalshコードが直交を保つようにすることでチャネル識別を行う。ここで、拡散コードの数は有限であり、チャネル割当ての際には、この中から使用されていないコードを割り当てる。また、データレートによって必要となる拡散コードの次数は可変であり、レートが高くなると拡散コードの次数が小さくなる。そして、複数の拡散コードが歯抜け状に使用されると、高レートの通信に拡散コードが割り当てられなくなる。従って、拡散コードについても、効率的な割当てが必要になる。
「復調器」は、移動局から基地局へ伝送されてきた信号を復調するための復調器であり、図6に示す復調器管理テーブルにより管理される。ここで、各基地局に設けられる復調器の数は、基本的に、変調器に数と同じである。そして、このテーブルには、各復調器の使用状態(使用/未使用)、および当該復調器が使用されている場合にはその復調器を利用している無線チャネルを識別する情報が格納される。
「復号器」は、移動局から基地局へ伝送されてきた信号を復号するための復号器であり、図7に示す復号器管理テーブルにより管理される。ここで、各基地局に設けられる復号器の数は、予め決められている。そして、このテーブルには、各復号器の使用状態(使用/未使用)、および当該復号器が使用されている場合にはその復号器を使用している無線チャネルを識別する情報が格納される。なお、復号器は、例えば、ビタビ復号器またはターボ復号器である。
「フレームオフセット」は、基地局と基地局制御装置との間で送受信されるフレームに信号を挿入するタイミングを指示する情報である。具体的には、例えば、複数のタイムスロットから構成されるTDMフレーム内の所定のタイムスロットを指定する情報である。より具体的には、フレームオフセットは、例えば、基地局と基地局制御装置との間で送受信される20msフレームを16分割することによって得られる1.25ms単位のフレームのことであり、図8Aに示すフレームオフセット管理テーブルにより管理される。すなわち、基地局と基地局制御装置との間は、2Mbpsの回線で接続され、これをCDMAの基本フレームである20msで管理している。そして、この20msフレームを16分割し、1.25ms単位で各チャネルの割当てを管理するものである。このとき、ある特定のフレームオフセットにチャネルが集中するとそれらのチャネルを収容できなくなる可能性が発生する。よって、新たなチャネルに対してフレームオフセットを割り当てる際には、フレームオフセット毎のチャネル割当て状況を見ながら、それらが適切に分散されるように行われる必要がある。
「チャネルID」は、基地局と基地局制御装置との間の伝送路上に確立されるチャネルを識別する情報である。具体的には、チャネルIDは、送受のやり取りをするデータを識別するために付与する。すなわち、ひとつの呼の中でやり取りされるデータに対して番号を付与し、装置内等で管理をする。一般に、装置内部では、付与された番号とデータをペアで処理し、当然、番号長も有限である。
「帯域」は、基地局と基地局制御装置との間の伝送路上に確立される各チャネルに対して割り当てられる帯域であり、図8Bに示す帯域管理テーブルにより管理される。具体的には、「帯域」は、基地局と基地局制御装置との間で送受信される1.25ms単位のフレーム内で確立される各チャネルに対して割り当てられる帯域である。ここで、例えば、ひとつのフレームオフセット内には複数のチャネルが割り当てられる。よって、そのフレーム内に収容できるように各チャネルの帯域を管理を行う必要がある。
なお、基地局と基地局制御装置との間の装置間インタフェースでは、伝送量に限度があるので、限られた伝送量を夫々の加入者で効率よく分割して使用する必要がある。例えば、装置間インタフェースでATM回線を採用した場合、データの送信タイミング(フレームオフセット)と伝送帯域で、装置間を転送されるATMセル全体のリソースを分割することになる。この場合、フレームオフセットおよび帯域はセットで管理される。
次に、本発明のハンドオフのシーケンスを説明する。以下では、移動局が主導でハンドオフを実行する場合、および基地局が主導でハンドオフを実行する場合をそれぞれ説明する。
図9は、ハンドオフを実行すべきか否かを移動局が判断する場合のシーケンスを示す図である。ここでは、移動局を収容している基地局を「ソース基地局」と呼ぶ。すなわち、移動局は、現在、ソース基地局を介してデータ通信を行っているものとする。また、上記移動局を収容する可能性のある基地局を「ターゲット基地局」と呼ぶ。
各基地局は、定期的に、あるいは所定の契機が発生した際に、リソース情報を広告する。ここで、「所定の契機」とは、基地局が管理する通信リソースの状態が変化した場合をいい、例えば、呼が終了した場合、新たな呼が設定された場合、任意の通信のデータレートが変化した場合などを想定する。また、各基地局から広告されるリソース情報は、当該基地局の通信エリア内に位置するすべての移動局に通知されるものとする。
ここで、基地局から移動局へ通知されるリソース情報は、図2に示した各リソースに関する情報であり、具体的には、例えば、図3〜図8に示したテーブルを参照して生成される。ここで、「送信電力」に係わる情報としては、例えば、基地局の最大送信電力と現在の送信電力との差(使用可能電力)、あるいはその差に対応するデータレート(許容データレート)及びそれらに換算され得る単位チャネル数等が通知される。また、「変調器」「拡散コード」「復調器」「復号器」「チャネルID」に係わる情報としては、例えば、それぞれ、未使用状態の変調器、拡散コード、復調器、復号器、チャネルIDが存在するか否かを表す情報が通知される。さらに、「帯域」に係わる情報としては、例えば、未使用状態の帯域を表す情報が通知される。
なお、基地局から移動局へ通知すべきリソース情報は、上述の情報をすべて含んでいる必要はない。ただし、このリソース情報は、少なくとも「送信電力に係わる情報」を含んでいることが望ましい。
移動局は、ソース基地局およびターゲット基地局からリソース情報を受け取ると、それらのリソース情報に基づいてハンドオフを要求すべきか否かを判断する。そして、移動局は、ハンドオフを要求すべきと判断した場合には、ソース基地局を介して基地局制御装置に対してハンドオフ要求を送出する。なお、この判断の手順については、後述説明する。
基地局制御装置は、移動局からハンドオフ要求を受信すると、ソース基地局、ターゲット基地局、および移動局に対してそれぞれハンドオフ指令を送出する。このとき、ソース基地局に対しては、移動局との間の無線コネクションを切断すべき旨の指示を含むハンドオフ指令が送られる。また、ターゲット基地局に対しては、移動局を収容すべき旨の指示を含むハンドオフ指令が送られる。さらに、移動局に対しては、ターゲット基地局との間に無線コネクションを確立すると共に、ソース基地局との間の無線伝送路を切断すべき旨の指示を含むハンドオフ指令を送る。そして、ソース基地局、ターゲット基地局、および移動局は、それぞれハンドオフ指令に対応するハンドオフ応答を基地局制御装置へ返送する。
続いて、ソース基地局、ターゲット基地局、および移動局は、上記ハンドオフ指令に従って、ハンドオフ処理を実行する。具体的には、例えば、移動局とターゲット基地局との間でチャネル割当て等に係わるネゴシエーションが行われ、無線伝送路が確立される。この後、移動局とソース基地局との間の無線伝送路が解放される。以降、移動局は、ターゲット基地局に収容され、そのターゲット基地局を介して網に接続されるようになる。
なお、上述の例では、各基地局がそれぞれ移動局に対してリソース情報を広告しているが、他の方法でリソース情報を通知するようにしてもよい。例えば、移動局からの要求に応じて、基地局からその移動局へリソース情報が通知されるようにしてもよい。
図10は、ハンドオフを要求すべきか否かを判断する処理のフローチャートである。この処理は、移動局によって実行される。なお、移動局は、ソース基地局に収容されているものとする。
ステップS1では、ターゲット基地局からの無線信号の受信レベルをモニタする。ステップS2では、ステップS1で検出された受信レベルが、予め決められている閾値を越えているか否かを調べる。そして、上記受信レベルが閾値を越えていた場合には、ステップS3以降の処理を実行し、そうでない場合にはステップS1へ戻る。
ステップS3では、ソース基地局からリソース情報を受信する。また、ステップS4では、ターゲット基地局からリソース情報を受信する。
ステップS5では、ターゲット基地局に未使用の通信リソースが存在するか否かを調べる。具体的には、移動局とターゲット基地局との間に無線チャネルを確立できるか否かを調べる。より具体的には、例えば、ターゲット基地局から通知されたリソース情報を参照し、ターゲット基地局において使用されていない変調器、拡散コード、復調器、復号器等が残っているか否かを調べる。そして、ターゲット基地局に未使用の通信リソースが存在する場合にはステップS6へ進み、そうでない場合には処理を終了する。
ステップS6では、ソース基地局およびターゲット基地局からそれぞれ受信したリソース情報を比較する。具体的には、どちらの基地局においてより多くの未使用リソースが存在しているのかを調べる。なお、互いに比較される通信リソースは、例えば、「送信電力」である。ここで、「送信電力に係わる情報」は、上述したように、各基地局の「使用可能電力」または「許容データレート」である。したがって、この場合、ステップS6では、上記2つの基地局の「使用可能電力」または「許容データレート」を比較する。
ターゲット基地局の未使用リソースがソース基地局の未使用リソースよりも多かった場合には、ステップS7において、ハンドオフ要求を作成して基地局制御装置へ送出する。ここで、このハンドオフ要求は、例えば、ソース基地局およびターゲット基地局をそれぞれ識別する情報を含んでいる。なお、ターゲット基地局の未使用リソースがソース基地局の未使用リソースよりも少なかった場合には、ハンドオフ要求を作成することなく処理を終了する。
このように、本実施形態の移動体通信システムでは、移動局が複数の基地局(ここでは、ソース基地局およびターゲット基地局)と無線信号を送受信できる状態においては、それらの基地局の中でより多くの未使用リソースが存在する基地局を介して移動局が網に接続されるようにハンドオフが行われる。そして、移動局は、より多くの通信リソースを使用できる基地局に収容された後は、より多くの通信リソースを使用してより高速な通信を行うことが可能になる。
なお、上述の実施例では、未使用のリソースを比較しているが、本発明はこれに限定されるものではない。すなわち、例えば、複数の基地局から受信したリソース情報を比較し、より多くの通信リソースを確保できる基地局を選択するようにしてもよい。
図11は、ハンドオフを実行すべきか否かを基地局制御装置が判断する場合のシーケンスを示す図である。なお、図9に示した例と同様に、移動局は、現在、ソース基地局を介してデータ通信を行っているものとする。
各基地局は、定期的に、あるいは所定の契機が発生した際に、リソース情報を基地局制御装置に通知する。ここで、「所定の契機」および通知されるリソース情報は、図9を参照しながら説明した例と同じである。
基地局制御装置は、ソース基地局およびターゲット基地局からリソース情報を受け取ると、それらのリソース情報に基づいてハンドオフを実行すべきか否かを判断する。この判断処理は、基本的には、図10に示した移動局における処理と同じである。ただし、基地局制御装置では、ステップS1、S2、S7は実行されない。
基地局制御装置は、ハンドオフを実行すべきと判断した場合には、ソース基地局、ターゲット基地局、および移動局に対してそれぞれハンドオフ指令を送出する。これらのハンドオフ指令は、基本的に、図9を参照しながら説明したものと同じである。そして、ソース基地局、ターゲット基地局、および移動局は、それぞれハンドオフ指令に対応するハンドオフ応答を基地局制御装置へ返送する。
この後、図9を参照しながら説明したシーケンスと同様に、ソース基地局、ターゲット基地局、および移動局は、上記ハンドオフ指令に従ってハンドオフ処理を実行する。これにより、移動局は、以降、ターゲット基地局に収容され、そのターゲット基地局を介して網に接続されるようになる。ただし、上記ハンドオフ指令が送出された場合であっても、移動局においてターゲット基地局からの無線信号のレベルが閾値よりも低かった場合、或いは移動局とターゲット基地局との間の無線伝送路の品質が所定レベルよりも低かった場合には、ハンドオフ処理は実行されない。
なお、このシーケンスでは、リソース情報は、交換機によって管理されてもよいし、或いは、基地局間で相互に通知しあってもよい。
図12は、ハンドオフを実行すべきか否かを基地局制御装置が判断する場合の他のシーケンスを示す図である。このシーケンスでは、移動局は、ターゲット基地局からの無線信号の電力が閾値を越えたことを検出すると、その旨を基地局制御装置に通知する。基地局制御装置は、この通知を受け取ると、ソース基地局およびターゲット基地局に対してそれぞれリソース情報を要求する。また、ソース基地局およびターゲット基地局は、それぞれ要求に応じてリソース情報を基地局制御装置へ通知する。そして、基地局制御装置は、これらのリソース情報に基づいてハンドオフを実行すべきか否かを判断する。なお、以降の手順は、図9または図11に示したシーケンスと同じなので省略する。
このように、第1の実施形態の移動体通信システムでは、移動局が複数の基地局と無線信号を送受信できる状態のときは、それらの基地局の中でより多くの通信リソースを使用できる基地局を介して移動局が網に接続されるようにハンドオフが行われる。したがって、移動局は、常に最適な基地局に収容され、より高速な通信を行うことが可能になる。
<第2の実施形態>
第1の実施形態でも説明したように、基地局の総送信電力の最大値は予め決められており、無線伝送路を介して伝送される信号のデータレートも制限される。このため、例えば、高速のパケットデータ通信を行おうとすると、他の通信のために割り当てることができる通信リソースが少なくなり、他の通信に悪影響が及ぶ。また、パケットデータ通信は、データレートの変動が大きい。このため、もし、パケットデータ通信に対して固定的に大きな通信リソースを割り当ててしまうと、そのパケットデータ通信のデータレートが低下したときに、使用されることなくリザーブされた状態の通信リソースが発生することになる。
この問題を解決するためには、各コネクション毎に割り当てるべき通信リソース、あるいは各コネクション毎のデータレートを必要に応じて動的に変更すればよい。
第2の実施形態の移動体通信システムでは、以下の契機に基づいて、通信リソースの割当ての変更またはデータレートの変更を実行する。
1:新たな呼の発生(発呼)
2:呼の解放
3:リバースリンク(上りリンク)の遅延
4:フォワードリンク(下りリンク)の遅延
5:問合せ
「新たな呼の発生」は、通信を開始しようとする移動局を収容する基地局により検出される。ここで、新たな呼が設定されると、その呼に対して通信リソースを割り当てる必要がある。このとき、未使用の通信リソースがあればその通信リソースが新たな呼に対して割り当てられる。しかし、未使用の通信リソースが残っていない場合には、特定のコネクションに対して割り当てられている通信リソースの一部をその新たな呼に対して割り当てる必要がある。したがって、この場合、その特定のコネクションのデータレートは引き下げられる。
「呼の解放」は、通信が終了した移動局を収容している基地局により検出される。ここで、呼が解放されると、その呼に対して割り当てられていた通信リソースは、他の呼に対して割り当てることができるようになる。この場合、解放された通信リソースを他の特定のコネクションに割り当てられるこれにより、そのコネクションのデータレートを引き上げることができる。
「リバースリンクの遅延」は、移動局から基地局へデータを送信するためのコネクションに対して十分なデータレートが割り当てられていない場合に発生する。具体的には、移動局のデータが予め決められた時間内に基地局へ送信されない場合に検出される。なお、移動局には、基地局へ送出すべきデータを一時的に格納するためのデータキュー(例えば、FIFOメモリ)が設けられており、そのデータキューにデータが残っているか否かにより遅延が発生しているか否かが判断される。そして、遅延が発生していた場合には、その旨が基地局制御装置に通知され、これを契機として対応するコネクションのデータレートが引き上げられる。
「フォワードリンクの遅延」は、基地局または基地局制御装置から移動局へデータを送信するためのコネクションに対して十分なデータレートが割り当てられていない場合に発生する。なお、基地局または基地局制御装置には、移動局へ送出すべきデータを一時的に格納するためのバッファメモリがコネクション毎に設けられており、そのバッファメモリに格納されるデータ量が閾値を越えた場合に遅延が発生したものとみなされる。そして、特定のコネクションにおいて遅延が発生すると、そのコネクションのデータレートは引き上げられる。
「問合せ」は、基地局制御装置から基地局に対してポーリングによってリソース情報を問い合わせる手順のことをいう。そして、この問合せにおいて未使用の通信リソースが発見された場合には、その未使用の通信リソースを特定のコネクションに割り当てることにより、そのコネクションのデータレートが引き上げられる。
以下、図13〜図16を参照しながら、上記1〜5の契機の発生に伴ってデータレートを変更する方法を説明する。
図13は、新たな呼の設定に伴ってデータレートを変更するシーケンスを示す図である。ここでは、移動局1が基地局11を介してフルレート(最大伝送速度)でパケットデータ通信をしているものとする。そして、その状態において、基地局11の通信エリア内に位置する移動局2が新たな通信を開始するために発呼をしたものとする。
基地局11は、上記発呼を検出すると、移動局2へ応答メッセージを返送すると共に、基地局制御装置21に対して上記発呼を伝える。基地局制御装置21は、発呼を検出すると、まず、基地局11に対してリソース割当要求(1301)を送出する。このリソース割当要求(1301)は、新たな呼に対して割り当てるための未使用通信リソースが残っているか否かを問い合わせるためのメッセージである。
基地局11は、リソース割当要求(1301)を受信すると、図3〜図8に示したテーブル等を参照することにより、移動局2に対して割り当てるべき未使用通信リソースが存在するか否かを調べる。ここでは、そのような未使用通信リソースが存在しないものとする。この場合、基地局11は、基地局制御装置21に対してリソースフル応答(1302)を返送する。リソースフル応答(1302)は、未使用通信リソースが存在しないことを表すメッセージである。なお、未使用通信リソースが存在するのであれば、その通信リソースは移動局2に割り当てられる。この場合、移動局1の通信には何ら影響は及ばない。
基地局制御装置21は、リソースフル応答(1302)を受信すると、移動局1に対して変更指示(1303)を送出する。この変更指示(1303)は、データレートが「フルレート」から「1/2レート」に変更される旨の通知である。また、基地局制御装置21は、基地局11に対してレート変更要求(1304)を送出する。このレート変更要求(1304)は、移動局1のデータレートを「フルレート」から「1/2レート」に変更する旨の指示である。なお、図13に示す例では、変更指示(1303)が送出された後にレート変更要求(1304)が送出されているが、変更指示(1303)が送出される前にレート変更要求(1304)が送出されてもよい。
移動局1および基地局11は、基地局制御装置21からの要求により、あるタイミングでデータレートを変更する。以降、移動局1は、1/2レートで網に接続されることになる。なお、このとき、基地局11は、移動局1に対して割り当てられていた通信リソースの一部を他の通信のために使用できるようにする。具体的には、移動局1のデータレートを下げることにより移動局1に対して割り当てられていた「送信電力」を低下させ、余った「送信電力」を他の通信のために使用できる状態にする。
この後、基地局制御装置21は、基地局11に対してリソース割当要求(1305)を送出する。このリソース割当要求(1305)は、未使用状態の通信リソースを移動局2に対して割り当てる旨の指示を含む。そして、基地局11は、基地局制御装置21へ応答を返送すると共に、移動局2に対して適切に通信リソースを割り当てる。これにより、移動局2は、所定のデータレートで通信を開始する。
なお、図13に示す例では、移動局1のデータレートを引き下げることにより、余った通信リソースを移動局2に割り当てているが、以下の方法で通信リソースの再割当を行ってもよい。すなわち、基地局11に収容される複数の移動局の中で最もデータレートの高い移動局に対して割り当てられている通信リソースの一部を新規呼に割り当てる。あるいは、パケットデータ通信と音声データ通信とが混在している場合には、任意のまたは全てのパケットデータ通信に対して割り当てられている通信リソースの一部を新規呼に割り当てる。
図14は、呼の解放に伴ってデータレートを変更するシーケンスを示す図である。ここでは、移動局1および移動局2が基地局11を介して網に接続されているものとする。また、移動局1は、1/2レートでパケットデータ通信をしているものとする。そして、その状態において、移動局2が通信を終了したものとする。
移動局2は、基地局制御装置21に対して呼解放要求(1401)を送出する。基地局制御装置21は、この要求を受信すると、移動局2に応答メッセージを返送すると共に、基地局11に対して呼解放要求(1402)を送出する。基地局11は、この要求に従って移動局1との間のコネクションを切断した後、基地局制御装置21へ応答メッセージを返送する。
続いて、基地局制御装置21は、基地局11に対してリソース解放要求(1403)を送出する。このリソース解放要求(1403)は、移動局2に対して割り当てられていた通信リソースを解放して他の通信のために使用できる状態にする旨の指示を含む。そして、基地局11は、このリソース解放要求(1403)を受信すると、移動局2に対して割り当てていた通信リソースを解放する。
この後、基地局制御装置21は、基地局11に対してリソース割当要求(1404)を送出する。このリソース割当要求(1404)は、移動局1のデータレートを引き上げるために十分な未使用通信リソースが存在するか否かを問い合わせるメッセージを含む。そして、基地局11は、このリソース割当要求(1404)に従って図3〜図8に示すテーブル等を参照し、未使用通信リソースの状態を基地局制御装置21に通知する。
移動局1のデータレートを引き上げるために十分な未使用通信リソースが存在する場合には、基地局制御装置21は、基地局11に対してレート変更要求(1405)を送出する。このレート変更要求(1405)は、移動局1のデータレートを「1/2レート」から「フルレート」に変更する旨の指示である。なお、移動局1のデータレートを引き上げるために十分な未使用通信リソースが存在しない場合には、基地局制御装置21は、レート変更要求(1405)を送出することなく処理を終了する。
さらに、基地局制御装置21は、移動局1に対して変更指示(1406)を送出する。この変更指示(1406)は、データレートが「1/2レート」から「フルレート」に変更される旨の通知である。この結果、移動局1は、以降、基地局11を介してフルレートで網に接続されることになる。
図15は、上り方向の伝送路における遅延の発生に伴ってデータレートを変更するシーケンスを示す図である。ここでは、移動局1が基地局11を介して1/2レートで網に接続されているものとする。
基地局制御装置21は、移動局1に対して遅延の発生の有無を問い合わせる。移動局1は、基地局11へ送出すべきデータを一時的に格納するためのデータキューを有しており、そのデータキューにデータが残っているか否かにより遅延が発生しているか否かを判断する。あるいは、基地局制御装置21から上記問合せを受信した時点でデータキューに格納されていたデータが所定時間内にすべて基地局11へ送出されたか否かにより遅延の発生の有無が判断される。そして、移動局1は、問合せ応答(1501)を用いて上記判断結果を基地局制御装置21に通知する。
移動局1において遅延が発生している旨が基地局制御装置21に通知されると、以降のシーケンスは、図14を参照しながら説明したシーケンスと同じである。すなわち、基地局制御装置21は、基地局11に対してリソース割当要求(1502)およびレート変更要求(1503)を送出する。そして、基地局11は、未使用状態の通信リソースを移動局1に割り当てる。また、基地局制御装置21は、移動局1に対して変更指示(1504)を送出する。これにより、移動局1は、基地局11を介してフルレートで網に接続されるようになる。
なお、図15に示す例では、移動局1は、基地局制御装置21からの問合せに応じて遅延の有無を通知しているが、遅延が発生したときにそれを自発的に基地局制御装置21に通知するようにしてもよい。この場合、移動局1は、問合せ応答(1501)の代わりに、リソース割当要求を基地局制御装置21へ送出する。
図16は、下り方向の伝送路における遅延の発生に伴ってデータレートを変更するシーケンスを示す図である。ここでは、移動局1が基地局11を介して1/2レートで網に接続されているものとする。
基地局制御装置21は、移動局1へ送出すべきデータを一時的に格納するためのバッファメモリを有している。そして、そのバッファメモリに格納されるデータ量が閾値を越えた場合には、基地局制御装置21は、移動局1へのコネクションにおいて遅延が発生したものと判断する。
上記遅延が検出された後のシーケンスは、図14を参照しながら説明したシーケンスと同じである。すなわち、基地局制御装置21は、基地局11に対してリソース割当要求およびレート変更要求を送出する。そして、基地局11は、未使用状態の通信リソースを移動局1に割り当てる。また、基地局制御装置21は、移動局1に対して変更指示を送出する。これにより、移動局1は、基地局11を介してフルレートで網に接続されるようになる。
なお、図16に示す例では、バッファメモリが基地局制御装置21に設けられているが、基地局11に設けられていてもよい。この場合、例えば、基地局制御装置21は、基地局11に対してそのバッファメモリに格納されているデータ量を問い合わせ、その結果に従って移動局1のデータレートを変更するか否かを判断する。
図17〜図20は、第2の実施形態の移動体通信システムにおけるレート変更手順の具体例である。ここでは、パケットデータ通信と音声通信とが混在しているものとする。図中、「P1」〜「P6」はパケットデータ通信を表し、「V1」〜「V37」は音声通信を表す。そして、基地局(および基地局制御装置)は、限られた通信リソースをパケットデータ通信および音声通信に対して適切に割り当てる。ここでは、通信リソースとして、電力(基地局が送出する無線信号の送信電力)、チップ(基地局において移動局との間で送受信される信号のためのモデムチップ)、コード(移動局と基地局との間で送受信される信号を拡散するための拡散コード)、回線(基地局と基地局制御装置との間におけるTDM通信のタイムスロット)を想定する。
各コネクションには、基本チャネル(Fチャネル)または補助チャネル(Sチャネル)が割り当てられる。ここで、基本チャネルのリソース量は、音声チャネルに対して割り当てられるリソース量と同じである。また、パケット通信では、そのパケット通信のためのコネクションに対して、まず基本チャネルが割り当てられ、送信データ量が増加した場合に補助チャネルが割り当てられるようにしてもよい。この場合、この補助チャネルのリソース量は、上述のシーケンスの通り可変である。
新たなコネクションが確立されるとき、未使用の通信リソースがあれば、そのコネクションに対してその未使用の通信リソースが割り当てられる。このとき、パケットデータ通信に対しては、可能な限り大きな通信リソースが割り当てられるようにしてもよい。図17に示す例では、パケットデータ通信コネクションP1、P2、P3に対して、それぞれ補助チャネルのフルレートが割り当てられている。
新たなコネクションが確立されるとき、未使用の通信リソースがなければ、図13に示したシーケンスに従って、特定のコネクションのデータレートを引き下げることにより、そのコネクションに割り当てられている通信リソースの一部を新たなコネクションに与える。図18に示す例では、音声通信コネクションV6を確立するために、パケットデータ通信コネクションP1のデータレートがフルレートから1/2レートに引き下げられている。そして、パケットデータ通信コネクションP1のデータレートを引き下げることによって得られた通信リソースが音声通信コネクションV6に割り当てられている。同様に、パケットデータ通信コネクションP4を確立するために、パケットデータ通信コネクションP2のデータレートがフルレートから1/2レートに引き下げられている。そして、パケットデータ通信コネクションP2のデータレートを引き下げることによって得られた通信リソースがパケットデータ通信コネクションP4に割り当てられている。
この後、さらに新たなコネクションが確立される場合には、図19に示すように、順次、パケットデータ通信コネクションのデータレートが引き下げられていく。このとき、パケットデータ通信コネクションが新たに確立される場合には、最もデータレートの高いコネクションのデータレートが引き下げられると共に、新たなコネクションには、既存のパケットデータ通信コネクションの中で最も低いデータレートと同一のデータレートが割り当てられる。なお、すべてのパケットデータ通信コネクションのデータレートが最低速度まで引き下げられた後、さらに新たなコネクションを確立しようとした場合には、そのコネクションは拒絶される。すなわち、呼損が発生する。
一方、図15または図16を参照しながら説明したように、あるコネクションにおいて遅延が発生した場合には、そのコネクションに対して追加的に割り当てるための未使用通信リソースが存在するか否かが調べられる。そして、存在する場合には、その通信リソースが上記コネクションに割り当てられ、そのコネクションのデータレートが引き上げられる。図20に示す例では、パケットデータ通信コネクションP2に対して通信リソースが追加的に割り当てられ、そのデータレートが1/2レートからフルレートに引き上げられている。
なお、呼の解放に伴って未使用通信リソースが発生した場合、その通信リソースは、例えば、最もデータレートに低いパケットデータ通信コネクションに割り当てられる。これにより、そのコネクションのデータレートが引き上げられる。
このように、第2の実施形態の移動体通信システムでは、呼の生成、呼の解放、通信遅延などの契機が発生した際に、通信リソースを各コネクションに適切に割り当てられる。これにより、通信リソースが効率的に使用されるようになる。なお、データレートの変更、すなわち通信リソースの割当は、上りリンクと下りリンクとをそれぞれ独立に行うことができる。
<第3の実施形態>
移動局41は、図21に示すように、基地局装置51および基地局制御装置61を介して網に接続される。ここで、移動局41と基地局装置51との間は無線伝送路により接続され、基地局装置51と基地局制御装置61との間は伝送路(光ファイバ、メタルケーブル、無線伝送路)により接続されている。そして、このシステムでは、無線伝送路の通信リソースは基地局51により管理され、伝送路の通信リソースは基地局制御装置61により管理されている。
無線伝送路の通信リソースとしては、送信電力、変調器、拡散コード、復調器、復号器などが管理されているが、以下では、送信電力に注目して説明する。なお、コネクション毎の送信電力は、そのコネクションのデータレートに比例する。一方、伝送路の通信リソースとしては、帯域、フレームオフセット、チャネルIDなどが管理されているが、以下では、帯域に注目して説明する。
ところで、高速のパケットデータ通信を提供するためには、そのコネクションに対して可能な限り大きな通信リソースが割り当てられることが望ましい。したがって、図21において、移動局41がパケットデータ通信コネクションを確立しようとした場合、基地局制御装置61は、そのコネクションに対して可能な限り大きな伝送路リソースを割り当て、基地局装置51は、そのコネクションに対して可能な限り大きな無線リソースを割り当てようとする。しかし、こられの通信リソースが互いに一致していなかったとすると、一方の通信リソースの利用効率が低くなる。例えば、あるコネクションに対して、基地局制御装置61が2Mbpsに相当する伝送路リソースを割り当て、基地局装置51が1Mbpsに相当する無線リソースを割り当てたとすると、1Mbpsの伝送路リソースが無駄にリザーブされることになる。
このため、第3の実施形態の移動体通信システムでは、基地局装置51および基地局制御装置61が互いに連携しながら各コネクションに対して無線リソースおよび伝送路リソースを割り当てる。以下、図22〜図29を参照しながら、通信リソースを管理する方法を説明する。
図22は、第3の実施形態の移動体通信システムにおいて通信リソースを割り当てるシーケンスを示す図である。このシーケンスでは、基地局装置51から基地局制御装置61に対して定期的に無線リソースに係わる情報が通知され、その通知に基づいて通信リソースの割当が実行される。
すなわち、基地局装置51は、呼の確立または解放にかかわりなく、所定の周期で(時間Aが経過するごとに)、リソース情報(2201)を基地局制御装置61に通知する。このリソース情報(2201)は、未使用の無線リソースを表す。ここでは、「未使用の無線リソース=B」が通知される。これにより、基地局制御装置61は、新たなコネクションに対して割当可能な無線リソースの量を認識する。ここで、基地局制御装置61は、伝送路リソースを管理している。したがって、基地局制御装置61は、新たなコネクションに対して割当可能な伝送路リソースの量および無線リソースの量の双方を認識することになる。
上記状態のシステムにおいて移動局41が発呼すると、基地局装置51は、その発呼を基地局制御装置61に伝える。基地局制御装置61は、移動局41からの発呼を検出すると、リソース情報(2201)により通知された「未使用の無線リソースの量」の範囲内で、その発呼に割り当てるべき「伝送路リソースの量」を決定する。ここで、無線リソースおよび伝送路リソースは、互いにディメンジョンが異なっている。このため、無線リソースの「送信電力」および伝送路リソースの「帯域」は、例えば、それぞれデータレート及び単位チャネル数に換算されて処理される。そして、基地局制御装置61により決定された「伝送路リソースの量」は、リソース割当要求(2202)により基地局装置51に通知される。
基地局装置51は、リソース割当要求(2202)を受信すると、その要求に従って伝送路リソースおよび無線リソースを確保する。このとき、これらの通信リソースは、例えば、データレートに換算して互いに同じ値である。この後、基地局装置51は、移動局41に対してトラヒック割当(2203)を送出する。このトラヒック割当(2203)は、基地局装置51において確保した無線リソースを移動局41に通知するためのメッセージである。
このように、図22に示すシーケンスでは、「未使用の無線リソースの量」が基地局制御装置に通知され、その通知に基づいて無線リソースおよび伝送路リソースが割り当てられるので、無駄なリソース割当が回避される。
なお、図22に示すシーケンスにおいて、リソース情報(2201)が通知される周期内に複数の発呼があると、基地局制御装置61が認識している「未使用の無線リソースの量」と実際の「未使用の無線リソースの量」とが一致しなくなる。図23に示すシーケンスでは、この問題を回避するための処理が実行される。
基地局装置51から基地局制御装置61へリソース情報(2301)が定期的に通知されている。このシステムにおいて移動局41から発呼があると、基地局制御装置61は、リソース情報(2301)に基づいてリソース割当要求(2302)を作成し、それを基地局装置51へ送出する。ここで、基地局装置51における実際の「未使用の無線リソースの量」が「B」であり、リソース割当要求(2302)により指定された通信リソースの量が「C(C<B)」であったものとする。この場合、基地局装置51は、移動局41からの発呼に対して「無線リソース=C」および「伝送路リソース=C」を割り当てると共に、移動局41に対してトラヒック割当(2303)を通知する。これにより、移動局41は、「通信リソース=C」を利用して通信を開始する。そして、この結果、基地局装置51における実際の「未使用の無線リソースの量」は「B−C」になる。
続いて、次のリソース情報が基地局制御装置61に通知される前に移動局42が発呼したものとする。この場合、基地局制御装置61は、移動局41に通信リソースを割り当てる前に受信したリソース情報(2301)に基づいてリソース割当要求(2304)を作成し、それを基地局装置51へ送出する。ここで、リソース割当要求(2304)により指定された通信リソースの量が「D(B−C<D)」であったものとする。
この場合、基地局装置51は、そのリソース割当要求(2304)により要求される量の無線リソースを確保することはできない。したがって、基地局装置51は、割当て拒否(2405)を基地局制御装置61へ送出する。ここで、この割当て拒否(2405)は、基地局装置51における現時点での実際の「未使用の無線リソースの量」を表すメッセージを含んでいる。なお、この例では、「未使用の無線リソースの量=B−C」が通知される。
基地局制御装置61は、割当て拒否(2405)を受信すると、それに従ってリソース割当要求(2306)を作成し、それを基地局装置51へ送出する。ここで、リソース割当要求(2306)により指定された通信リソースの量は「B−C」である。そして、基地局装置51は、移動局42からの発呼に対して「無線リソース=B−C」および「伝送路リソース=B−C」を割り当てると共に、移動局42に対してトラヒック割当(2307)を通知する。これにより、移動局42は、「通信リソース=B−C」を利用して通信を開始する。
なお、図22および図23に示すシーケンスでは、基地局装置51が自発的に基地局制御装置61に対してリソース情報(2201、2301)を送出しているが、図24および図25に示すように、基地局制御装置61が定期的に基地局装置51に対して「未使用の無線リソースの量」を問い合わせるようにしてもよい。この場合、基地局制御装置61は、基地局装置51に対して定期的にリソース問合せ(2401、2501)を送出し、基地局装置51がそれに対応するリソース情報(2402、2502)を返送する。以降の手順は、図22または図23を参照しながら説明したシーケンスと同じである。
また、図22〜図25に示すシーケンスでは、呼の確立または切断にかかわりなく基地局装置から基地局制御装置へリソース情報が定期的に通知されるが、呼の確立または切断を契機としてリソース情報の通知が行われるようにしてもよい。以下、図26〜図29を参照しながら、呼の確立または切断を契機としてリソース情報の通知が行われる場合のンスを説明する。
図26に示すシーケンスでは、移動局41において呼の切断動作が行われると、移動局41から基地局装置51を介して基地局制御装置61へ呼解放指示が送出される。基地局制御装置61は、この指示を受信すると、移動局41に対して呼解放応答を返送すると共に、基地局装置51に対して呼解放要求を送出する。これにより、基地局装置51と移動局41との間の無線リソースが解放される。
この後、基地局制御装置61は、呼解放応答を受信すると、基地局装置51に対してリソース解放要求を送出する。このリソース解放要求は、移動局41のために確保していた基地局装置51と基地局制御装置61との間の伝送路リソースを解放する旨の指示を含む。そして、そのリソース解放要求に対応するリソース解放応答を受信すると、基地局制御装置61は、その時点における「未使用の無線リソースの量」を認識するために、基地局装置51に対してリソース問合せを送出する。そして、基地局装置51は、その時、対応するリソース情報を基地局制御装置へ送出する。これにより、基地局制御装置61は、最新の「リソース情報(未使用の無線リソースの量)」を認識できる。
なお、図26に示す例では、基地局制御装置は、リソース情報を得るためには、リソース解放要求を送出した後にさらにリソース問合せを発行しなければならない。これに対して、図27に示すシーケンスでは、リソース問合せは不要である。すなわち、基地局装置51は、リソース解放要求を受信すると、対応する通信リソースを解放すると共に、その時点における「未使用の無線リソースの量」を調べる。そして、基地局装置51は、リソース解放要求に対応するリソース解放応答の中にその結果を格納して基地局制御装置61へ返送する。これにより、基地局制御装置61は、最新の「リソース情報(未使用の無線リソースの量)」を認識できる。
図28に示すシーケンスでは、移動局41からの発呼を契機としてリソース情報が通知され、さらにそのリソース情報に基づいて移動局41に対して通信リソースが割り当てられる。すなわち、移動局41が発呼すると、発信要求が基地局51を介して基地局制御装置61へ通知される。基地局制御装置61は、発信要求を受信すると、基地局51に対して「リソース情報(未使用の無線リソースの量)」を問い合わせる。そして、基地局制御装置61は、基地局装置51から受信したリソース情報に基づいてリソース割当要求を作成し、それを基地局装置51へ送出する。
基地局制御装置51は、リソース割当要求に従って移動局41のために通信リソースを確保し、また、確保した無線リソースを、トラヒック割当てメッセージを用いて移動局41に通知する。
なお、図28に示す例では、基地局制御装置は、リソース情報を得るためには、リソース問合せを発行しなければならない。これに対して、図29に示すシーケンスでは、リソース問合せは不要である。すなわち、基地局装置51は、移動局41から発信要求を受信すると、その時点における「リソース情報(未使用の無線リソースの量)」を調べる。そして、基地局装置51は、そのリソース情報を発信要求に付与して基地局制御装置61へ送出する。これにより、基地局制御装置61は、最新の「リソース情報(未使用の無線リソースの量)」を認識できる。
なお、上記第1〜第3の実施形態の移動体通信システムは、無線伝送路がCDMA方式であることを前提として説明をしたが、本発明はこれに限定されるものではない。
また、上記第1〜第3の実施形態の中のいくつかの実施例では、基地局に収容される移動局からの発呼を契機としてハンドオフやレート変更が行われているが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば、基地局に収容される移動局への着呼を契機としてハンドオフやレート変更が行われるようにしてもよい。
上述の各実施例を含む実施形態について、下記の付記を開示する。
(付記1)
移動局と基地局との間が無線伝送路で接続され、その基地局と基地局制御装置との間が伝送路で接続される移動体通信システムであって、
上記無線伝送路にかかわる通信リソースの使用状態を上記基地局から上記基地局制御装置へ定期的に通知する通知手段と、
上記通知に基づいて上記移動局に対して割り当てるべき無線伝送路に係わる通信リソースおよび伝送路に係わる通信リソースを決定する決定手段と、
上記決定に従って上記移動局に対して無線伝送路に係わる通信リソースおよび伝送路に係わる通信リソースを割り当てる割当て手段と、
を有する移動体通信システム。
(付記2)
付記1に記載の移動体通信システムであって、
上記割当て手段は、上記決定手段により決定された無線伝送路に係わる通信リソースを取得できない場合には、取得可能な量を上記基地局制御装置に通知し、
上記決定手段は、その通知に従って上記移動局に対して割り当てるべき無線伝送路に係わる通信リソースおよび伝送路に係わる通信リソースを決定する
ことを特徴とする移動体通信システム。
(付記3)
付記1または付記2に記載の移動体通信システムであって、
上記通知手段は、上記基地局制御装置からの定期的な問合せに対応して、上記通知を行う
ことを特徴とする移動体通信システム。
(付記4)
移動局と基地局との間が無線伝送路で接続され、その基地局と基地局制御装置との間が伝送路で接続される移動体通信システムであって、
上記移動局に係わる呼の切断を検出する検出手段と、
上記呼の切断に伴ってその呼に対して割り当てられていた無線伝送路に係わる通信リソースを解放する解放手段と、
上記解放後における上記無線伝送路に係わる通信リソースの使用状態を上記基地局から上記基地局制御装置へ通知する通知手段と、
を有する移動体通信システム。
(付記5)
付記4に記載の移動体通信システムであって、
上記基地局制御装置内に、上記呼の切断が検出されたことを契機として上記基地局に対して無線伝送路に係わる通信リソースの使用状態を問い合わせる問合せ手段を設け、
上記通知手段は、その問合せ手段からの問合せに応じて上記通知を行う
ことを特徴とする移動体通信システム。
(付記6)
移動局と基地局との間が無線伝送路で接続され、その基地局と基地局制御装置との間が伝送路で接続される移動体通信システムであって、
上記移動局からの呼接続要求を検出する検出手段と、
上記接続要求に伴ってその呼に対して割り当てるべき無線伝送路に係わる通信リソースを取得する取得手段と、
上記取得後における上記無線伝送路に係わる通信リソースの使用状態を上記基地局から上記基地局制御装置へ通知する通知手段と、
を有する移動体通信システム。
(付記7)
付記6に記載の移動体通信システムであって、
上記基地局制御装置内に、上記接続要求が検出されたことを契機として上記基地局に対して無線伝送路に係わる通信リソースの使用状態を問い合わせる問合せ手段を設け、
上記通知手段は、その問合せ手段からの問合せに応じて上記通知を行う
ことを特徴とする移動体通信システム。