JP2009226873A - 高分子膜−金属積層体 - Google Patents

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Abstract

【課題】イオン液体高分子膜―金属積層体を使用した無加湿条件で使用可能な全固体電気化学セルを提供する。
【解決手段】酸化還元電位の異なる金属からなる2個の成型体間に、ラジカル重合性官能基を有するプロトン性イオン液体を重合してなる重合物を含有する高分子膜を挟持させて得られる高分子膜−金属積層体。ラジカル重合性官能基を有するプロトン性イオン液体としては、ビニル基のようなラジカル重合性官能基を有し、且つイミダゾール塩構造、グアニジン塩構造又はメラミン塩構造を含む含窒素化合物と、ブレンステッド酸の中和反応で得られるブレンステッド酸塩が適する。
【選択図】図1

Description

本発明は、イオン液体重合物を含有する高分子膜―金属積層体に関するものであり、更にはこれを使用した電気化学セル、全固体電池や圧力センサーに関する。
近年の電子機器の小型化、軽量化の進歩には目覚ましいものがあり、とりわけOA分野においては、デスクトップ型からラップトップ、ノートブック型へと小型化、軽量化している。加えて、電子手帳、電子スチルカメラなどの新しい小型電子機器の分野も出現し、さらには従来のハードディスク、フロッピーディスク(登録商標)の小型化に加えてメモリーカードの開発が進められている。このような電子機器の小型化、軽量化の波の中で、電池の形状においても、従来からある円筒形のものから、機器の形状に合わせることができる角型電池が種々開発され、さらには、より薄い偏平型電池が開発されている。この偏平電池は一般にポリマー電池と呼ばれ、形状も従来の電池より更に薄く、使用機器に合わせて自在に作製できるなどのメリットを有している。このポリマー電池では、高分子固体電解質が使用されている。高分子固体電解質は、便宜上2種類に分類されることが多い(非特許文献1)。
一つは、電解液を高分子化合物でゲル化し、電解液の流動性を無くしたゲル状電解質を用いる方法である。もう一つの方法は、有機溶媒を全く使用しない電解質、あるいは、高分子電解質合成時は低沸点の有機溶媒を使用するが、その後加熱などにより、低沸点の有機溶媒を除去する全固体型固体電解質である。ゲル状電解質としては、例えば、多孔性合成樹脂フィルム及び/又は合成繊維不織布に、モノマーあるいはマクロマー、溶媒、及び無機イオン塩からなる液状混合物を含浸させた後に、液状混合物をゲル化させた半固体高分子電解質膜が提案されているが(例えば、特許文献1)、液状物質を使用しているため、漏液の危険性があり、信頼性のレベルが十分ではない。一方、全固体型固体電解質としては、例えば、N−アルキルイミダゾリウム塩を有効成分とするイミダゾリウム系溶融塩型電解質が提案され、イオン伝導率10-7 S/cmが達成されているが(例えば、特許文献2)、これらのイオン伝導度は電池性能において十分満足のできるレベルとはいえない。
一方、従来の高分子固体電解質型燃料電池の電解質膜にはパーフルオロカーボンスルホン酸膜などが用いられている(特許文献3)。パーフルオロカーボンスルホン酸膜は、膜内に含まれる水がプロトン伝導パスとなるため、乾燥状態では使用することができないという欠点がある(非特許文献2)。そこで、水を必要としないプロトン伝導体の開発が求められており、その例としてイオン液体の利用が提案されている。イオン液体はアニオンとカチオンの組合せからなる100℃以下の融点を有する化合物の総称であり、目的に応じたイオンの組合せにより必要な特性を発現させることが可能なことが提唱されている(非特許文献2)。その用途として反応溶媒、電池電解液、潤滑剤、熱媒等への利用が提案されている(非特許文献3)。
電解質膜用途についても、例えば、4級アンモニウム塩や4級ピリジニウム塩、4級イミダゾリウム塩の如き含窒素4級塩からなる非プロトン性イオン液体とイオン交換基を有する高分子材料を用いることによる電解質膜(特許文献4〜6)、イミダゾール化合物からなるプロトン性イオン液体を用いることによる電解液及び電解質膜(特許文献7)等が挙げられる。しかしながら、いずれも報告も、高分子材料にイオン液体を含浸させたものであり、潜在的にイオン液体漏出の問題を有している。
本来、電池は酸化還元電位の異なる2種の金属板を電解液に浸漬することにより得ることができる。ボルタ電池では、亜鉛や銅の電極を硫酸水溶液からなる電解液に浸漬することにより形成されている。硫酸水溶液並みのイオン伝導性を有する固体電解質を得ることができれば、ボルタ電池の電解液を固体化することが可能と考えられるが、このような例は報告されていない。
そこで、本発明者らは、固体電解質として高イオン伝導性を有するプロトン性イオン液体重合物を使用し、その重合物を酸化還元電位の異なる2種の金属箔で挟持することにより、新たな全固体電池を得ることが可能と考え、本発明にいたった。
特開平2-82457号公報 特開2000-11753号公報 特開平7-90111号公報 特開2003-257484号公報 特開2004-31307号公報 特開2004-311212号公報 WO2003-083981号公報 ポリマーバッテリー、株式会社シーエムシー出版 1998年 Chem.& Eng. News, 2000年5月15日号 イオン性液体の機能創生と応用、株式会社エヌ・ティー・エス 2004年
本発明は、イオン液体高分子膜―金属積層体及びこれを使用した無加湿条件で使用可能な全固体電気化学セル又はその使用方法を提供することを目的とする。
本発明者らはこのような問題点を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、重合性官能基を有するプロトン性イオン液体から得られる重合物が高いイオン伝導性を有する固体電解質となることを見出し、さらに、この重合物を酸化還元電位の異なる2種の金属で挟持することにより電気化学セルとして機能することを見出し、本発明に到達した。
本発明は、酸化還元電位の異なる金属からなる2個の成型体間に、ラジカル重合性官能基を有するプロトン性イオン液体を重合してなる重合物を含有する高分子膜を挟持させることを特徴とする高分子膜−金属積層体である。
ラジカル重合性官能基を有するプロトン性イオン液体を重合してなる重合物としては、イミダゾール塩構造、グアニジン塩構造又はメラミン塩構造を含む重合物が好ましく挙げられる。
ラジカル重合性官能基を有するプロトン性イオン液体としては、N−ビニルイミダゾール、下記一般式(1)、(2)又は(4)で表わされる含窒素化合物と、ブレンステッド酸の中和反応で得られるブレンステッド酸塩から選ばれる一種以上のプロトン性イオン液体が好ましく挙げられる。
Figure 2009226873
(式中、R1は水素又はアルキル基を示す。)
Figure 2009226873
(式中、R2は水素又はアルキル基を示し、mは1以上4以下の整数を示す。)
Figure 2009226873
(式中、R3,R4,R5及びR6は、独立にアルキル基を示し、R7は水素又はアルキル基を示し、R3,R4,R5及びR6から選ばれる2つが一体となって環構造を形成してもよい。)
Figure 2009226873
(式中、R8、R9、R10及びR11は、独立にアルキル基を示し、R12は水素又はアルキル基を示し、nは1以上5以下の整数を示す)
重合物を含有する高分子膜としては、重合物の他に熱可塑性ポリマーを20〜99重量%含む高分子膜が好ましく挙げられる。また、金属を含有する成型体としては、金属箔が好ましく挙げられる。そして、金属箔としては、アルミニウム、ステンレス、銅、ニッケル、白金、金、鉄又は亜鉛から選ばれる2種の金属が好ましく挙げられる。
また、本発明は、高分子膜の両面に金属箔を熱圧着することを特徴とする上記の高分子膜−金属積層体の製造方法である。
更に、本発明は上記の高分子膜−金属積層体を使用したことを特徴とする電気化学セル又は全固体電池である。また、本発明は、上記の高分子膜−金属積層体を圧力センサーとして使用することを特徴とする使用方法である。上記の高分子膜−金属積層体は、2個の成型体間に高分子膜を挟持させてなるユニットを、複数積層したものであることもできる。
本発明の高分子膜―金属積層体は、使用した2種の金属の酸化還元電位の差及び2種の金属成型体間の距離に応じた開放電圧が発生する。すなわち、金属成型体間の距離が一定の場合、2種の金属の酸化還元電位の差が大きければ、大きな開放電圧が観測され、酸化還元電位の差が小さければ小さな開放電圧が観測される。一方、金属成型体に使用する2種の金属を一定にした場合、その金属成型体間の距離に応じて開放電圧が変化する。これは、金属成型体間の距離に応じて抵抗が変化するためである。したがって、本発明により得られる高分子膜―金属積層体の2種の金属成型体の間に圧力をかけることによって変化する金属成型体間の距離に起因する開放電圧の変化を観測することにより、圧力センサーとして利用することが可能となる。
以下、本発明の実施の形態を詳細に説明する。
本発明の高分子膜―金属積層体は、酸化還元電位の異なる金属からなる2個の成型体間にラジカル重合性官能基を有するプロトン性イオン液体を重合してなる重合物を含有する高分子膜を挟持させることによって製造される。
ラジカル重合性官能基を有するプロトン性イオン液体としては、N−ビニルイミダゾール又は上記一般式(1)又は(2)又は(3)又は(4)で表わされる含窒素化合物とブレンステッド酸の中和反応から得られるブレンステッド酸塩から選ばれる一種以上のプロトン性イオン液体を用いることが有利である。
一般式(1)において、R1は水素又はアルキル基を示すが、好ましくは水素又は炭素数1〜3のアルキル基である。一般式(2)において、R2は水素又はアルキル基を示すが、好ましくは水素又は炭素数1〜3のアルキル基である。mは1〜4の整数を示す。一般式(3)において、R3,R4,R5及びR6は、独立にアルキル基を示すが、好ましくは炭素数1〜6のアルキル基である。R7は水素又はアルキル基を示すが、好ましくは水素又は炭素数1〜3のアルキル基である。なお、R3,R4,R5及びR6から選ばれる2つが一体となって環構造を形成してもよい。一般式(4)において、R8、R9、R10及びR11は、独立にアルキル基を示すが、好ましくは炭素数1〜6のアルキル基である。R12は水素又はアルキル基を示が、好ましくは水素又は炭素数1〜3のアルキル基である。nは1〜5の整数を示す。
含窒素化合物と中和反応させてブレンステッド酸とするために使用されるブレンステッド酸としては、有機ブレンステッド酸、無機ブレンステッド酸のいずれも用いることができる。無機ブレンステッド酸としては、硫酸、リン酸、ホウ酸、ヘテロポリ酸が挙げられる。有機ブレンステッド酸としては、酢酸、蟻酸、トリフルオロ酢酸等のカルボン酸類、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、オクタンスルホン酸等のアルキルスルホン酸類、トリフルオロメタンスルホン酸、パーフルオロブタンスルホン酸、パーフルオロオクタンスルホン酸等の含フッ素スルホン酸類、ビス(トリフルオロメタンスルホン酸)イミド等の含フッ素アルキルスルホン酸イミド類(イミド酸類という)が挙げられる。好ましくは、アルキルスルホン酸類、含フッ素アルキルスルホン酸類、アルキルカルボン酸(RCOOH)又はイミド酸類である。ここで、これらアルキルの炭素数は1〜6であることが好ましい。
上記、N-ビニルイミダゾール又は式(1)〜(4)に示される含窒素化合物は塩基として作用し、ブレンステッド酸との中和反応によってブレンステッド酸塩が得られる。このブレンステッド酸塩はプロトン性イオン液体である。中和反応の具体的方法は、一般的に知られている酸塩基の中和反応方法を用いることができる。すなわち、1当量の塩基と1当量の酸を作用させることによって得られる。
中和反応方法としては、上記のような含窒素化合物とブレンステッド酸を、溶媒に溶解又は混合することにより反応させて得られる。例えば、含窒素化合物としてN-ビニルイミダゾールを、ブレンステッド酸としてビス(トリフルオロメタンスルホン酸)イミドを使用し、それぞれを等モル量使用してメタノール中で作用させることにより、対応するビス(トリフルオロメタンスルホン酸)イミド塩を得ることができる。
上記のラジカル重合性官能基を有するプロトン性イオン液体を重合して重合物とする。この重合物はラジカル重合性官能基を有するプロトン性イオン液体の単独重合物であっても、これと他のモノマーを共重合させた共重合物であってもよい。
重合方法はラジカル重合であることが好ましい。重合を行った後、製膜することにより、高分子膜―金属積層体に使用する高分子膜を得ることができる。また、膜状の重合物が得られるように重合すれば、重合と製膜を同時に行うこともできる。
重合の際、架橋剤を使用してラジカル重合性官能基を有するプロトン性イオン液体と共重合すると重合体中にポリマーネットワークが形成され、熱安定性や伝導性を向上させることができる。
架橋剤としては、上記プロトン性イオン液体と共重合可能なラジカル重合性官能基を2つ以上有するモノマーの1種以上が使用される。好ましい架橋剤としては、重合性不飽和基を2〜4個有するモノマーがある。好ましい架橋剤の例としては、N,N'-メチレンビスアクリルアミド、1,8-ノナジエン、1,13-テトラデカジエン、1,4-ブタンジオールジビニルエーテル、テトラエチレングリコールジメタクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジビニルエーテル、ジエチレングリコールジビニルエーテル、ジエチレングリコールジアクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート、1,6-ヘキサンジオールジアクリレート、ネオペンチルグリコージアクリレート、トリプロピレングリコールジアクリレート、ポリプロピレングリコールジアクリルレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、テトラメチロールメタンテトラアクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、ポリエチレングリコールジメタクリレート、1,3-ブチレングリコールジメタクリレート、1,6-ヘキサンジオールジメタクリレート、ネオペンチルグリコールジメタクリレートなどを挙げることができる。
架橋剤の使用量としては、上記プロトン性イオン液体と架橋剤の合計の0.1〜50重量%であり、好ましくは1〜30重量%、より好ましくは2〜10重量%である。これを下回る量では、架橋度が低いために、自立性のある固体電解質を得ることができない。また、これを上回る量では、架橋度が高くなるために、伝導度の低下が問題となる。
ラジカル重合を行う方法としては、熱を加える方法、可視・紫外領域の光を照射する方法、電子線などの放射線を照射する方法などが利用できる。また、必要に応じて重合開始剤を添加することも可能である。
前記重合開始剤としては、熱重合の場合、例えば、2,2'-アゾビスイソブチロニトリル、2,2'-アゾビス(2,4-ジメチルバレロニトリル)などのアゾ系重合開始剤、ベンゾイルパーオキシド、ジクミルパーオキシド、ジイソプロピルパーオキシカーボネートなどの過酸化物系重合開始剤などが挙げられる。光重合の場合の重合開始剤としては、例えば、アセトフェノン、ベンゾフェノン、2,2-ジメトキシ-2-フェニルアセトフェノンなどが挙げられる。
熱重合により上記重合体を膜の形態で得ようとする場合、種々の方法が利用できるが、例えば、プロトン性イオン液体と架橋剤の溶液に、必要に応じて重合開始剤を溶解させ、これを、シャーレ等に流延した後に、減圧下又は窒素雰囲気下で60℃〜80℃に加熱することにより重合反応を行い、その後、乾燥することにより得ることができる。また、光重合の場合、シャーレに流延した後に、紫外光を照射することにより重合反応を行い、その後乾燥することによって得ることができる。
本発明の高分子膜―金属積層体に使用する高分子膜は、ラジカル重合性官能基を有するプロトン性イオン液体を重合反応に付すことによって得られる重合体のみからなってもよく、この重合体を含む材料からなってもよい。この重合体の分子量は5000〜500000の範囲が好ましい。
本発明の高分子膜―金属積層体に使用する高分子膜は、他の熱可塑性ポリマーと複合化することにより機械的強度及び熱的安定性に優れたプロトン伝導性の高分子膜とすることもできる。その製造法としては、種々の方法を用いることができるが、例えば、以下に例示する熱可塑性ポリマーと上記N−ビニルイミダゾール塩等のプロトン性イオン液体と架橋剤を溶解したワニスを調製し、これをシャーレ等の容器やガラス板等に流延し、重合反応、乾燥を行うことにより得ることができる。熱可塑性ポリマーとしては、上記重合物と複合化し得るものであれば、限定されないが、好ましくは、有機溶媒可溶性を有した熱可塑性合成高分子であり、例えば、ポリアクリロニトリル、ポリメタクリル酸メチル、ポリフッ化ビニリデン等のポリビニル系高分子化合物、ポリオキシメチレン、ポリエチレンオキシド、ポリプロピレンオキシド等のポリエーテル系高分子化合物、ポリイミド系高分子化合物、ポリカーボネート系高分子化合物が挙げられる。高分子膜を上記重合物と他の熱可塑性ポリマーを含む樹脂組成物から形成すると、膜の機械的性質や成形性が改良される。
樹脂組成物から形成される場合、この高分子膜中に含まれる上記プロトン性イオン液体の重合物の含有量としては、1〜80重量%であり、好ましくは5〜75重量%である。この量を下回る量では、十分なイオン伝導性を得ることはできない。ここで、上記プロトン性イオン液体の重合物が共重合体である場合は、共重合体中の上記プロトン性イオン液体単位の含有量を基準として、上記範囲とすることが好ましい。
本発明に使用するラジカル重合性官能基を有するプロトン性イオン液体の重合物はこれを膜状に成形することにより本発明の高分子膜―金属積層体に使用する高分子膜とすることができる。
このようにして得られた高分子膜を2種の金属成型体で挟持することによって本発明の高分子膜―金属積層体を得ることができる。
高分子膜を挟持する金属成型体の形状としては、シート状、金属箔状等が適するが用途に応じて変化しうる。しかし、両面に配置される2つの金属成型体は直接的には接触しない。金属成型体に使用する金属種としては、挟持する高分子膜のそれぞれの面に接する2つの金属の酸化還元電位が異なる組み合わせであれば、特に制限されないが、好ましくは、アルミニウム、ステンレス、銅、ニッケル、白金、金、鉄又は亜鉛から選択される2種の金属の組み合わせである。
高分子膜を挟持する金属成型体の形状は高分子膜と密着しているものであれば特に限定されないが、金属箔を用いることが得られる積層体の薄膜化、可撓性の向上の点で好ましい。好ましい金属箔の膜厚は、金属種によっても異なるが、通常10〜50μmである。
高分子膜を2種の金属成型体により挟持する方法は種々の方法を用いることができるが、金属成型体と高分子膜の密着性がより高くなる方法を用いることが好ましく、例えば、熱圧着を行う方法は、その操作の簡便さと得られる積層体の密着性の高さの点で好ましく適用される。熱圧着を行う際の温度は、使用する高分子膜のガラス転移点以上の温度で行うことが望ましい。また、熱圧着の際の圧力も使用する高分子膜の種類及び金属箔の種類と膜厚によっても異なるが、通常、50〜1,000kg/cm2の範囲であり、好ましくは100〜500kg/cm2である。なお、積層体を圧力センサーとして使用する場合は、金属成型体と高分子膜を完全に密着させる必要はなく、圧力の変動に応じて密着度が変化するような積層体であることがよい。
本発明の電気化学セルは、例えば、以下のような方法によって作成することができる。ラジカル重合性官能基を有するプロトン性イオン液体、架橋剤、重合開始剤と熱可塑性高分子を溶媒に溶解してワニスを調製した後、ガラス板にキャストし、溶媒を乾燥させ、さらに、所望の熱重合反応を行うことにより、本発明に使用する高分子膜を得ることができる。金属成型体として金属箔を用いる場合、得られた高分子膜を2種類の金属箔により挟持することにより、電気化学セルを得ることができる。得られた電気化学セルは所望の用途に応じて、さらに加工が行われる。例えば、得られた電気化学セルを複数積層して熱圧着した後、配線を付すことにより全固体電池として使用可能となる。また、電気化学セルの両面に配線を付した上で、その両面の金属成型体に加重を伝播する冶具をすえつけることにより挟持された金属間の圧力に応じて変異する電位を検知する圧力センサーとしての使用が可能となる。
以下、実施例により本発明を更に詳細に説明する。
実施例1
フッ化ビニリデン0.5g、N−ビニルイミダゾールのビス(トリフルオロメタンスルホン酸)イミド塩1.5g、2,2'−アゾビス(イソブチロニトリル)0.7mg、テトラエチレングリコールジアクリレート60mgをN−メチルピロリドン3gに溶解した後、ガラス板に流延した。減圧下60℃で18時間処理した後、ガラス板から高分子膜を剥離した。得られたイオン液体の高分子膜の膜厚は53μmであった。
得られた高分子膜をアルミニウム箔(厚み20μm)及びステンレス箔(SUS304:20μm)で挟み、120℃、200kg/cm2にて圧着を行い、イオン液体高分子膜−金属積層体を得た。得られた積層体を図1の模式図に従って電圧計を接続し開放電圧を測定したところ800mVであった。ここで、図1はイオン液体高分子膜−金属積層体からなるセルから発生する電圧を測定するための方法を示す図である。
実施例2〜6
実施例1の方法により得られた膜を、表1に示す金属箔で挟み、120℃、200kg/cm2にて圧着を行い、イオン液体高分子膜−金属積層体を得た。得られた積層体の開放電圧を測定した結果を表1に示す。
Figure 2009226873
比較例1
実施例1において、イオン液体高分子膜の代わりにナフィオン112を用いたほかは同様に操作を行いナフィオン膜―金属積層体を作成し、開放電圧の測定を行ったが、電圧は確認されなかった。
比較例2
実施例1において、アルミニウム箔(厚20μm)及びステンレス箔(SUS304:20μm)にかえて、共に同じステンレス箔(SUS304:20μm)を用いたほかは同様に操作を行いイオン液体高分子膜−金属積層体を作成し、開放電圧の測定を行ったが、電圧は確認されなかった。
実施例7
実施例1の方法により得られた、イオン液体高分子膜−金属積層体5枚を積層し図2の模式図に従って電圧計を接続し開放電圧を測定したところ、4.0vの開放電圧が確認された。ここで、図2はイオン液体高分子膜−金属積層体を複数積層した全固体電池から発生する電圧を測定するための方法を示す図である。
実施例8〜12
実施例1のイオン液体高分子膜−金属積層体の製造法において、熱圧着の際の圧力又は温度を変えた他は同様に操作を行い、イオン液体高分子膜−金属積層体を得た。得られたイオン液体高分子膜−金属積層体の開放電圧を測定した結果を表2に示す。
Figure 2009226873
実施例1〜12及び比較例1、2から明らかなように本発明の高分子膜―金属積層体の開放電圧を測定すると、使用した金属種に応じた開放電圧が検出されたことから、本発明の高分子膜―金属積層体が電池として機能していることが確認された。
実施例13
実施例1の方法により得られたイオン液体高分子膜をアルミニウム箔(厚20μm)及びステンレス箔(20μm)で挟み、25℃、50kg/cm2で30分間保持することによりアルミニウム箔―イオン液体高分子膜―ステンレス箔積層体を得た。この積層体をプラスチック製型枠に固定し、図3の模式図に従って加圧しながら電圧の測定を行い、圧力と電位との相関データの採取を行った。結果を表3及び図4に示す。ここで、図3は積層体に荷重を加えて圧力センサーと使用する方法を示す図である。
Figure 2009226873
実施例14
実施例13においてステンレス箔の代わりに銅箔(20μm)を用いたほかは同様に操作を行った。結果を表4及び図5に示す。
Figure 2009226873
表3及び表4からも明らかなように、圧力と電位の間に相関が確認され、この積層体が圧力センサーとして使用可能なことが確認された。
実施例1での電圧測定方法を示す模式図 実施例7での電圧測定方法を示す模式図 実施例13での圧力―電圧相関測定方法を示す模式図 圧力―電圧の関係を示す図 圧力―電圧の関係を示す図

Claims (10)

  1. 酸化還元電位の異なる金属からなる2個の成型体間に、ラジカル重合性官能基を有するプロトン性イオン液体を重合してなる重合物を含有する高分子膜を挟持させることを特徴とする高分子膜−金属積層体。
  2. プロトン性イオン液体を重合してなる重合物が、イミダゾール塩構造、グアニジン塩構造又はメラミン塩構造を含むプロトン性イオン液体の単独重合物又は該プロトン性イオン液体と架橋剤との共重合物である請求項1に記載の高分子膜−金属積層体。
  3. ラジカル重合性官能基を有するプロトン性イオン液体が、N−ビニルイミダゾール、一般式(1)、(2)又は(4)で表わされる含窒素化合物と、ブレンステッド酸の中和反応で得られるブレンステッド酸塩から選ばれる一種以上のプロトン性イオン液体である請求項1又は2記載に高分子膜−金属積層体。
    Figure 2009226873
    (式中、R1は水素又はアルキル基を示す。)
    Figure 2009226873
    (式中、R2は水素又はアルキル基を示し、mは1以上4以下の整数を示す。)
    Figure 2009226873
    (式中、R3,R4,R5及びR6は、独立にアルキル基を示し、R7は水素又はアルキル基を示し、R3,R4,R5及びR6から選ばれる2つが一体となって環構造を形成してもよい。)
    Figure 2009226873
    (式中、R8、R9、R10及びR11は、独立にアルキル基を示し、R12は水素又はアルキル基を示し、nは1以上5以下の整数を示す)
  4. ラジカル重合性官能基を有するプロトン性イオン液体を重合してなる重合物を含有する高分子膜が、該重合物の他に熱可塑性ポリマーを20〜99重量%含む請求項1〜3のいずれかに記載の高分子膜−金属積層体。
  5. 金属を含有する成型体が金属箔であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の高分子膜−金属積層体。
  6. 金属箔が、アルミニウム、ステンレス、銅、ニッケル、白金、金、鉄又は亜鉛から選ばれる2種の金属である請求項5に記載の高分子膜−金属積層体。
  7. 高分子膜の両面に金属箔を熱圧着することを特徴とする請求項5に記載の高分子膜−金属積層体の製造方法。
  8. 請求項1〜6のいずれかに記載の高分子膜−金属積層体を用いることを特徴とする電気化学セル。
  9. 請求項1〜6のいずれかに記載の高分子膜−金属積層体を用いることを特徴とする全固体電池。
  10. 請求項1〜6のいずれかに記載の高分子膜−金属積層体を、挟持された金属間の圧力に応じて変異する電位を検知する圧力センサーとして使用することを特徴とする高分子膜−金属積層体の使用方法。
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