JP2009227701A - 蛍光体およびその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】演色性を主とする発光特性をさらに改善することのできる発光装置を与え得る蛍光体を提供する。
【解決手段】以下の式(1)で表される化合物におけるM2の少なくとも一部がM4(M4は三価カチオン元素を表す。)で置換され、該化合物におけるOの一部がM5(M5は三価アニオン元素を表す。)で置換され、該化合物におけるM1および/またはM2の一部が賦活元素で置換されてなる蛍光体。
aM1O・3M2O・6M32 (1)
(ここで、M1はBa、SrおよびCaからなる群より選ばれる1種以上のアルカリ土類金属元素を表し、M2はMgおよびZnからなる群より選ばれる1種以上の二価金属元素を表し、M3は四価金属元素を表し、aは3以上9以下の範囲の値である。)
【選択図】なし

Description

本発明は、蛍光体およびその製造方法に関する。
蛍光体は白色LED等の発光装置に用いられている。白色LEDは、発光素子と該発光素子が発する光の少なくとも一部により励起され発光する蛍光体とを有し、白色光を発する発光装置であり、それに用いる発光素子としては、青色光を発する発光素子(以下、青色LEDと記載することがある。)、近紫外光〜青紫色光を発する発光素子(以下、近紫外LEDと記載することがある。)が挙げられる。また、これらの発光素子が発する光により励起され発光する蛍光体として、特許文献1には、式(Ba,Eu)9Sc2Si624で表される蛍光体が記載されている。
特開2007−77307号公報(実施例)
上記式で表される蛍光体は特に緑色に発光することから、例えば、黄色に発光することのできるY3Al512:Ce蛍光体と組み合わせるなどして、演色性に優れる発光装置を得ることができる意味で有用なものの、未だ改良の余地はある。本発明の目的は、演色性を主とする発光特性をさらに改善することのできる発光装置を与え得る蛍光体を提供することにある。
本発明者らは、鋭意研究を重ねた結果、本発明に至った。
すなわち本発明は、下記の発明を提供する。
<1>以下の式(1)で表される化合物におけるM2の少なくとも一部がM4(M4は三価カチオン元素を表す。)で置換され、該化合物におけるOの一部がM5(M5は三価アニオン元素を表す。)で置換され、該化合物におけるM1および/またはM2の一部が賦活元素で置換されてなる蛍光体。
aM1O・3M2O・6M32 (1)
(ここで、M1はBa、SrおよびCaからなる群より選ばれる1種以上のアルカリ土類金属元素を表し、M2はMgおよびZnからなる群より選ばれる1種以上の二価金属元素を表し、M3は四価金属元素を表し、aは3以上9以下の範囲の値である。)
<2>aの値が9である前記<1>記載の蛍光体。
<3>以下の式(2)で表される化合物におけるM1および/またはM2の一部が賦活元素で置換されてなる蛍光体。
1 9(M2 3-1.5x4 x)M3 624-1.5y5 y (2)
(ここで、M1、M2、M3、M4およびM5は、それぞれ前記と同じ意味を有し、xは0を超え2以下の範囲の値であり、yは0を超え2以下の範囲の値である。)
<4>メルウィナイト(Merwinite)と同型の結晶構造を有する前記<2>または<3>に記載の蛍光体。
<5>M3がSiである前記<1>〜<4>のいずれかに記載の蛍光体。
<6>M4がScである前記<1>〜<5>のいずれかに記載の蛍光体。
<7>M5がNである前記<1>〜<6>のいずれかに記載の蛍光体。
<8>前記化合物におけるM1の一部が賦活元素で置換されてなる前記<1>〜<7>のいずれかに記載の蛍光体。
<9>賦活元素がEuである前記<1>〜<8>のいずれかに記載の蛍光体。
<10>M1、M3、M4、賦活元素、および必要に応じてM2を所定量含有する混合原料(ここで、M1、M2、M3およびM4は、それぞれ前記と同じ意味を有する。)を、酸素含有雰囲気中で焼成し、さらにM5含有雰囲気中(ここで、M5は前記と同じ意味を有する。)で焼成することを特徴とする蛍光体の製造方法。
<11>M5含有雰囲気が、アンモニア含有雰囲気である前記<10>記載の製造方法。
<12>前記<1>〜<9>のいずれかに記載の蛍光体を有する発光装置。
<13>発光素子と該発光素子が発する光の少なくとも一部により励起され発光する蛍光物質とを有する発光装置であって、該蛍光物質が前記<1>〜<9>のいずれかに記載の蛍光体を含有する発光装置。
<14>発光素子が発する光が、波長範囲を300nm以上780nm以下とする波長−発光強度曲線において最大発光強度となるところの波長(λMax)が350nm以上480nm以下の範囲にある光である前記<13>記載の発光装置。
本発明によれば、演色性を主とする発光特性をさらに改善することのできる発光装置を与え得る蛍光体を提供することができる。本発明は、白色LEDなどの発光装置、すなわち蛍光体の励起源が青色LEDまたは紫外LEDの発する光である発光装置に好適であるばかりか、蛍光体の励起源が電子線である電子線励起発光装置(例えば、ブラウン管、フィールドエミッションディスプレイ、表面電界ディスプレイ等)、蛍光体の励起源が紫外線である紫外線励起発光装置(例えば、液晶ディスプレイ用バックライト、3波長型蛍光ランプ、高負荷蛍光ランプ等)、蛍光体の励起源が真空紫外線である真空紫外線励起発光装置(例えば、プラズマディスプレイパネル、希ガスランプ等)、蛍光体の励起源がX線である発光装置(X線撮像装置等)等にも適用可能であり、本発明は、工業的に極めて有用である。
以下、本発明について詳しく説明する。
本発明の蛍光体は、以下の式(1)で表される化合物におけるM2の少なくとも一部がM4(M4は三価カチオン元素を表す。)で置換され、該化合物におけるOの一部がM5(M5は三価アニオン元素を表す。)で置換され、該化合物におけるM1および/またはM2の一部が賦活元素で置換されてなることを特徴とする。
aM1O・3M2O・6M32 (1)
(ここで、M1はBa、SrおよびCaからなる群より選ばれる1種以上のアルカリ土類金属元素を表し、M2はMgおよびZnからなる群より選ばれる1種以上の二価金属元素を表し、M3は四価金属元素を表し、aは3以上9以下の範囲の値である。)
上記において、aの値が3であるときの蛍光体の結晶構造としては、ディオプサイド(Diopside、透輝石)と同型の結晶構造を挙げることができ、aの値が6であるときの蛍光体の結晶構造としては、オケルマナイト(Akermanite、オケルマン石)と同型の結晶構造を挙げることができ、aの値が9であるときの蛍光体の結晶構造としては、メルウィナイト(Merwinite)と同型の結晶構造を挙げることができる。これらの中でも、本発明の効果をより高める観点では、aの値が9であることが好ましい。なお、これらの結晶構造は、粉末X線回折測定により、同定することができる。
aの値が9であるときの本発明の蛍光体としては、以下の式(2)で表される化合物におけるM1および/またはM2の一部が賦活元素で置換されてなる蛍光体を挙げることができ、好ましい実施形態である。さらにメルウィナイト(Merwinite)と同型の結晶構造を有することが好ましい。
1 9(M2 3-1.5x4 x)M3 624-1.5y5 y (2)
(ここで、M1、M2、M3、M4およびM5は、それぞれ前記と同じ意味を有し、xは0を超え2以下の範囲の値であり、yは0を超え2以下の範囲の値である。)
本発明において、蛍光体の発光輝度、温度特性の観点から、M1は少なくともBaを含有することが好ましく、例えば、M1がBaであることを挙げることができる。
本発明において、蛍光体の結晶性を高める観点から、M2は少なくともMgを含有することが好ましく、例えば、M2がMgであることを挙げることができる。
本発明において、M3の四価金属元素としては、Si、Ti、Ge、Zr、SnおよびHfからなる群より選ばれる1種以上の元素を挙げることができ、取り扱い容易性の観点から、M3は少なくともSiを含有することが好ましく、例えば、M3がSiであることを挙げることができる。
本発明において、M4の三価カチオン元素としては、Al、Sc、Ga、Y、In、La、GdおよびLuからなる群より選ばれる1種以上の元素を挙げることができ、蛍光体の結晶性を高める観点から、M4は少なくともScを含有することが好ましく、例えば、M4がScであることを挙げることができる。
本発明において、M5の三価アニオン元素としては、Nを挙げることができる。
本発明において、賦活元素としては、希土類元素およびMnの中から、適宜選択して用いることができる。発光輝度をより高める意味で、好ましい賦活元素はEuである。賦活元素がEuである場合には、Euの一部を共賦活元素で置換することにより、発光輝度がさらにより高くなる場合がある。共賦活元素としては、Al、Sc、Y、La、Gd、Ce、Pr、Nd、Pm、Sm、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、Lu、Bi、Au、Ag、CuおよびMnからなる群より選ばれる1種以上の元素を挙げることができる。置換の割合としては、Euの50モル%以下が挙げられる。また、賦活元素は、上記式(1)または式(2)におけるM1の一部を置換することが好ましい。
本発明において、xは0を超え2以下の範囲の値である。xをこの範囲で調整することで、任意の波長の発光を得ることができる。より具体的には、0を超え2以下の範囲において、xを大きくすればするほど、より長波長の発光を得ることができ、xを小さくすればするほど、より短波長の発光を得ることができる。また、yは0を超え2以下の範囲の値である。yをこの範囲で調整することで、任意の波長の発光を得ることができる。より具体的には、0を超え2以下の範囲において、yを大きくすればするほど、より長波長の発光を得ることができ、yを小さくすればするほど、より短波長の発光を得ることができる。また、安定な結晶構造を保つ意味では、x=yであることが好ましい。
次に、本発明の蛍光体を製造する方法について説明する。本発明の蛍光体は、焼成により本発明の蛍光体となり得る組成を含有する混合原料を焼成することにより製造することができる。例えば、M1、M3、M4、賦活元素、および必要に応じてM2を所定量含有する混合原料(ここで、M1、M2、M3およびM4は、それぞれ前記と同じ意味を有する。)を、酸素含有雰囲気中で焼成し、さらにM5含有雰囲気中(ここで、M5は前記と同じ意味を有する。)で焼成することにより製造することができる。
混合原料は、M1、M3、M4、賦活元素、および必要に応じてM2のそれぞれの金属元素を含有する化合物を所定の組成(本発明の蛍光体となり得る組成)となるように秤量し混合することにより得ることができる。該化合物としては、それぞれの金属元素の化合物で、例えば、酸化物を用いるか、または窒化物、水酸化物、炭酸塩、硝酸塩、ハロゲン化物、シュウ酸塩などを用いることができる。該化合物としてフッ化物、塩化物等のハロゲン化物を適量用いることにより、生成する蛍光体の結晶性、蛍光体を構成する粒子の平均粒径を制御することができる。この場合、ハロゲン化物は、反応促進剤(フラックス)としての役割を果たす場合もある。フラックスとしては、例えば、MgF2、CaF2、SrF2、BaF2、MgCl2、CaCl2、SrCl2、BaCl2、MgI2、CaI2、SrI2、BaI2などのハロゲン化物、NH4Cl、NH4Iなどのアンモニウム塩、B23、H3BO3などのホウ素化合物を挙げることができ、これらを混合原料として、あるいは、混合原料に適量添加して用いることができる。
例えば、本発明において好ましい蛍光体の一つであるSr:Eu:Mg:Sc:Siのモル比が、2.97:0.03:0.5:0.5:2である蛍光体は、SrCO3、Eu23、MgO、Sc23およびSiO2の各原料をSr:Eu:Mg:Sc:Siのモル比が2.97:0.03:0.5:0.5:2となるように秤量、混合して得られる混合原料を酸素含有雰囲気中で焼成し、さらにM5含有雰囲気中(ここで、M5は前記と同じ意味を有する。)で焼成することにより製造することができる。
前記の混合には、例えばボールミル、V型混合機、攪拌機等の通常工業的に用いられている装置を用いることができる。また、湿式混合、乾式混合のいずれによってもよい。また共沈などの晶析により、混合原料を得てもよい。
前記の混合原料の焼成は、組成にもよるが、例えば600℃以上1600℃以下の温度範囲にて、0.3時間以上100時間以下の時間範囲で保持して焼成することにより本発明の蛍光体を得ることができる。前記の焼成時の保持温度は、1100℃以上1400℃以下の温度であることが好ましい。
焼成時の酸素含有雰囲気としては、酸素雰囲気、空気雰囲気などを挙げることができる。また、M5含有雰囲気として、M5がNである場合には、アンモニア含有雰囲気が好ましい。アンモニア含有雰囲気は、アンモニア雰囲気のほか、アンモニア−水素混合雰囲気、アンモニア−メタン混合雰囲気などのアンモニア混合雰囲気を挙げることができる。混合雰囲気におけるアンモニアの濃度を調整することで、蛍光体におけるNの量を調整することが可能である。また、蛍光体におけるNの量は、M4の量にも依存することがある。また例えば、N含有雰囲気として、0.1気圧以上の窒素雰囲気などの高圧窒素雰囲気も使用可能である。
また、前記の焼成の前に、混合原料について、焼成時の保持温度未満の温度で保持して仮焼を行い、結晶水を除去したりした後に、前記の焼成を行うことも可能である。仮焼を行う雰囲気は、酸素含有雰囲気、不活性ガス雰囲気、還元性雰囲気のいずれでもよい。また仮焼後に粉砕することもできる。また、混合原料の一部または全部に、窒化物を用いた場合は、混合原料を、不活性ガス雰囲気、還元性雰囲気で焼成することによっても、本発明の蛍光体の製造が可能である。
また、本発明における蛍光体の組成の分析に関して、M1、M2、M3、M4の量は、例えば、高周波誘導結合プラズマを光源とした発光分析法(ICP分析法)により測定することができる。また、M5の量については、例えば、混合原料を酸素含有雰囲気中で焼成し、さらにM5含有雰囲気中で焼成する場合には、酸素含有雰囲気中で焼成した後の重量に対するM5含有雰囲気中で焼成した後の重量の増減から、測定することができる。この測定は、TG−DTA測定装置などの熱分析装置を用いて行ってもよい。
さらに上記方法にて得られる蛍光体を、例えばボールミル、ジェットミル等を用いて粉砕することができる。また、洗浄、分級することができる。また、粉砕、焼成を2回以上行うこともできる。また、蛍光体の粒子表面を表面修飾材で被覆するなどの表面処理を施してもよい。表面修飾材としては、Si、Al、Ti、La、Y等を含有する無機物質を挙げることができる。
上記のようにして得られる本発明の蛍光体は、白色LED、液晶用バックライト、蛍光灯、プラズマディスプレイパネル、希ガスランプ、ブラウン管、FED、X線撮像装置、無機ELディスプレイ等の発光装置に用いることができる。
特に、本発明の蛍光体は、350nm以上480nm以下の範囲の波長の光、好ましくは380nm以上460nm以下の範囲の波長の光により励起され発光することができるので、発光素子として青色LEDまたは近紫外LEDを用い、該発光素子と該発光素子が発する波長範囲を300nm以上780nm以下とする波長−発光強度曲線において最大発光強度となるところの波長(λmax)が350nm以上480nm以下の範囲にある光、好ましくはλmaxが380nm以上460nm以下の範囲にある光の少なくとも一部により励起され発光する蛍光物質とを有する発光装置(白色LED)に用いることができる。この場合、該蛍光物質は、少なくとも本発明の蛍光体を含有していればよく、さらに後述のように他の蛍光体を含有するものであってもよい。
次に、発光装置に用いる発光素子について、青色LEDまたは近紫外LEDを例に挙げて、具体的に説明する。青色LEDまたは近紫外LEDは、例えば、特開平6−177423号公報、特開平11−191638号公報に開示されているような公知の技術により製造することができる。すなわち、基板上にn型の化合物半導体層(n型層)、化合物半導体からなる発光層(発光層)、p型の化合物半導体層(p型層)を積層した構造を有する。基板としては、サファイア、SiC、Siなどが挙げられる。化合物半導体層の積層方法としては、一般的に用いられているMOVPE(Metal Organic Vapor Phase Epitaxy)法、MBE(Molecular Beam Epitaxy)法などが挙げられる。発光層の化合物半導体の基本組成として、GaN、IniGa1-iN(0<i<1)、IniAljGa1-i-jN(0<i<1、0<j<1、i+j<1)等が用いられる。この組成を変化させることにより、発する光の波長すなわち近紫外光〜青紫色光または青色光の波長を変化させることができる。また、発光層に含まれる不純物の量を低く抑えておくことが好ましい。具体的には、不純物としてSi、Ge、2族元素の各元素を用いた場合、いずれもその濃度が1017cm-3以下であることが好ましい。発光層は単一量子井戸構造あるいは多重量子井戸構造としてもよい。また発光層の膜厚としては5Å以上300Å以下が好ましく、より好ましくは、10Å以上90Å以下である。膜厚が5Åより小さいかまたは300Åより大きいと発光素子の発光効率が十分でない場合がある。
p型層およびn型層としては、発光層の化合物半導体のバンドギャップより大きなバンドギャップを有する化合物半導体を用いる。n型層とp型層との間に発光層を配置することで、発光素子を得ることができる。また、n型層と発光層との間、発光層とp型層との間には、必要に応じて組成、伝導性、ドーピング濃度の異なるいくつかの層を挿入してもよい。この挿入層の化合物半導体の基本組成としては、例えば、前記のIniAljGa1-i-jN(0<i<1、0<j<1、i+j<1)が挙げられ、この中で、発光層とは組成、伝導性、ドーピング濃度等を異なる組成を用いる。
発光層に隣接する二つの層を電荷注入層という。前記の挿入層がある場合には、その挿入層が電荷注入層となり、挿入層がない場合には、n型層、p型層が電荷注入層となる。発光層においては、この二つの電荷注入層により、正電荷および負電荷が注入され、この電荷同士が再結合することにより光を発する。この発光層に注入された電荷を効率的に再結合させ高強度の光を得るためには、n型層と発光層との間および発光層とp型層との間に、発光層のバンドギャップより大きなバンドギャップを有する挿入層を挿入して電荷注入層とした構造(いわゆるダブルヘテロ構造)を有する発光素子とすることが好ましい。電荷注入層と発光層とのバンドギャップの差は0.1eV以上であることが好ましい。電荷注入層と発光層とのバンドギャップの差が0.1eVより小さい場合、発光層へのキャリアの閉じ込めが十分でないことにより発光素子の発光効率が低下することがある。またこのバンドギャップの差は、より好ましくは0.3eV以上である。ただし、電荷注入層のバンドギャップが5eVを越えると電荷注入に必要な電圧が高くなるため、電荷注入層のバンドギャップは5eV以下が好ましい。また、電荷注入層の膜厚は、10Å以上、5000Å以下が好ましい。電荷注入層の膜厚が5Åより小さい場合あるいは5000Åより大きい場合は、発光素子の発光効率が低下する傾向にある。電荷注入層の膜厚は、より好ましくは10Å以上2000Å以下である。
上記のようにして得られる発光素子は、波長範囲を300nm以上780nm以下とする波長−発光強度曲線において最大発光強度となるところの波長(λmax)が350nm以上480nm以下の範囲にある光を発する。ここで、波長−発光強度曲線は、光を波長に対して発光強度をプロットすることにより表す曲線であり、発光スペクトルということもある。波長−発光強度曲線は、蛍光分光光度計を用いて得ることができる。
次に、上記の発光素子と該発光素子が発する光の少なくとも一部により励起され発光する蛍光物質とを有する発光装置として、白色LEDを挙げてその製造方法について説明する。白色LEDの製造方法としては例えば、特開平5−152609号公報および特開平7−99345号公報等に開示されているような公知の方法が使用できる。すなわち蛍光物質を、エポキシ樹脂、ポリカーボネート、シリコンゴムなどの透光性樹脂中に分散させ、その蛍光物質を分散させた樹脂を青色LEDまたは近紫外LEDを取り囲むように成形することにより、白色LEDを製造することができる。また、蛍光物質を透光性樹脂中に分散させることなく、白色LEDを製造することもできる。すなわち、青色LEDまたは近紫外LEDを取り囲むように透光性樹脂(ここで、透光性樹脂は、蛍光体を含有していない。)を成形し、その表面に蛍光物質層を形成させて、白色LEDを製造することもできる。また、このとき、蛍光物質層の表面をさらに透光性樹脂で覆ってもよい。
白色LEDの製造の際には、所望の白色に発光するよう蛍光物質の組成、量を適宜設定する。蛍光物質として、本発明の蛍光体を単独で使用することもできるし、他の蛍光体との併用によって使用することもできる。他の蛍光体としては、BaMgAl1017:Eu、(Ba,Sr,Ca)(Al,Ga)24:Eu、BaMgAl1017:Eu,Mn、BaAl1219:Eu,Mn、(Ba,Sr,Ca)S:Eu,Mn、Y3Al512:Ce、(Y,Gd)3Al512:Ce、YBO3:Ce,Tb、Y23:Eu、Y22S:Eu、YVO4:Eu、(Ca,Sr)S:Eu、SrY24:Eu、Ca−Al−Si−O−N:Eu、Li−(Ca,Mg)−Ln−Al−O−N:Eu(ただし、LnはEu以外の希土類金属元素を表す)などが挙げられる。
次に、本発明を実施例によりさらに詳しく説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものでもない。
蛍光体の発光特性は、分光蛍光光度計(日本分光株式会社製FP6500)を用いて、大気中で、励起スペクトル、発光スペクトルを測定することにより評価を行った。
蛍光体の粉末X線回折図形は、CuKαの特性X線を用いた粉末X線回折法により測定した。測定装置としては、株式会社リガク製X線回折測定装置RINT2500TTR型を用いた。
比較例1
炭酸バリウム、酸化ユウロピウム、酸化スカンジウム、二酸化珪素の各原料をBa:Eu:Sc:Siのモル比が8.55:0.45:2:6となるように秤量し、アセトンを用いた湿式ボールミルにより4時間混合してスラリーを得た。得られたスラリーをエバポレーターにより乾燥後、得られた混合原料を、大気雰囲気中において1300℃の温度で6時間保持して焼成し、その後室温まで徐冷した。次いで、メノウ乳鉢による粉砕後、5体積%H2含有Ar雰囲気中で1300℃の温度で6時間保持して焼成し、その後室温まで徐冷して式(Ba0.95Eu0.059Sc2Si624で表される化合物からなる蛍光体1を得た。
蛍光体1の発光特性(励起スペクトル、発光スペクトル)を評価したところ、蛍光体1は、350nm以上480nm以下の波長の光により励起され、波長510nmに最大発光強度を有する発光を示すことがわかった。
実施例1
比較例1と同様の混合原料を、大気雰囲気中において1300℃の温度で6時間保持して焼成し、その後室温まで徐冷した。次いで、メノウ乳鉢による粉砕後、アンモニア雰囲気中で1300℃の温度で6時間保持して焼成し、その後室温まで除冷した。次いで、メノウ乳鉢による粉砕後、再度アンモニア雰囲気中で1300℃の温度で6時間保持して焼成し、その後室温まで除冷して、式(Ba0.95Eu0.059Sc2Si6212で表される化合物からなる蛍光体2を得た。
蛍光体2の励起スペクトルおよび発光スペクトルより、実施例1は350nm以上480nm以下の波長の光により励起され、波長570nmに最大発光強度を有する発光を示すことがわかった。
上記のように、本発明の蛍光体を発光装置に用いれば、発光の波長を長くすることもでき、演色性などの発光特性をさらに改善することのできる発光装置を与え得る蛍光体となることがわかる。
実施例1における蛍光体2の粉末X線回折図形。

Claims (14)

  1. 以下の式(1)で表される化合物におけるM2の少なくとも一部がM4(M4は三価カチオン元素を表す。)で置換され、該化合物におけるOの一部がM5(M5は三価アニオン元素を表す。)で置換され、該化合物におけるM1および/またはM2の一部が賦活元素で置換されてなる蛍光体。
    aM1O・3M2O・6M32 (1)
    (ここで、M1はBa、SrおよびCaからなる群より選ばれる1種以上のアルカリ土類金属元素を表し、M2はMgおよびZnからなる群より選ばれる1種以上の二価金属元素を表し、M3は四価金属元素を表し、aは3以上9以下の範囲の値である。)
  2. aの値が9である請求項1記載の蛍光体。
  3. 以下の式(2)で表される化合物におけるM1および/またはM2の一部が賦活元素で置換されてなる蛍光体。
    1 9(M2 3-1.5x4 x)M3 624-1.5y5 y (2)
    (ここで、M1、M2、M3、M4およびM5は、それぞれ前記と同じ意味を有し、xは0を超え2以下の範囲の値であり、yは0を超え2以下の範囲の値である。)
  4. メルウィナイト(Merwinite)と同型の結晶構造を有する請求項2または3に記載の蛍光体。
  5. 3がSiである請求項1〜4のいずれかに記載の蛍光体。
  6. 4がScである請求項1〜5のいずれかに記載の蛍光体。
  7. 5がNである請求項1〜6のいずれかに記載の蛍光体。
  8. 前記化合物におけるM1の一部が賦活元素で置換されてなる請求項1〜7のいずれかに記載の蛍光体。
  9. 賦活元素がEuである請求項1〜8のいずれかに記載の蛍光体。
  10. 1、M3、M4、賦活元素、および必要に応じてM2を所定量含有する混合原料(ここで、M1、M2、M3およびM4は、それぞれ前記と同じ意味を有する。)を、酸素含有雰囲気中で焼成し、さらにM5含有雰囲気中(ここで、M5は前記と同じ意味を有する。)で焼成することを特徴とする蛍光体の製造方法。
  11. 5含有雰囲気が、アンモニア含有雰囲気である請求項10記載の製造方法。
  12. 請求項1〜9のいずれかに記載の蛍光体を有する発光装置。
  13. 発光素子と該発光素子が発する光の少なくとも一部により励起され発光する蛍光物質とを有する発光装置であって、該蛍光物質が請求項1〜9のいずれかに記載の蛍光体を含有する発光装置。
  14. 発光素子が発する光が、波長範囲を300nm以上780nm以下とする波長−発光強度曲線において最大発光強度となるところの波長(λMax)が350nm以上480nm以下の範囲にある光である請求項13記載の発光装置。
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