JP2009242520A - ポリ乳酸樹脂組成物及びそれを成形してなる成形品 - Google Patents

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仁司 松井
Soichiro Kamiya
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Abstract

【課題】結晶化速度を向上させ、短時間で成形しても変形が起こりにくく、耐熱性の高い成形体とすることができるポリ乳酸樹脂組成物及びそれからなる成形体の提供。
【解決手段】ポリ乳酸樹脂、結晶核剤とグリセリン脂肪酸エステルまたはポリグリセリン脂肪酸エステルからなる樹脂組成物であって、結晶核剤が粘土鉱物、脂肪酸アミド、有機金属錯体の化合物群から選択された少なくとも一種であるポリ乳酸樹脂組成物及びそれからなる成形体。
【選択図】なし

Description

本発明は結晶化速度が改善されたポリ乳酸系樹脂組成物及びそれを成形してなる成形体に関する。
近年、環境意識の高まりによって、バイオマスを原料とした、いわゆる植物由来プラスチック材料の利用が注目されており、そのひとつとしてポリ乳酸が挙げられる。ポリ乳酸は公知の汎用樹脂とは異なり、トウモロコシ等の自然材料から製造可能であるため、化石資源の枯渇問題が生じず、地球温暖化の一原因とされる二酸化炭素ガスの発生量を抑制できる等の利点を有している。また、これらは自然環境下で分解可能な、いわゆる生分解性をも有しており、廃棄物処理に関する問題の解決に寄与しうることから、今後においてより一層の注目が予想される材料である。
しかしながら、ポリ乳酸は、その結晶化が遅いために、短時間の成形では十分に結晶化が進行せず、成形体の変形、あるいは耐熱性の低下を引き起こすことがあった。そこで、ポリ乳酸の成形性、耐熱性を改善する方法として、特許文献1にはポリ乳酸にアミド化合物あるいはタルク等を添加し、結晶化を促進する方法が提案されており、特許文献2には熱可塑性ポリエステルを添加し、結晶化を促進する方法等が種々提案されている。
しかしながら、上記公報記載の方法ではポリ乳酸単独の成形品と比較すればその物性は改善されるものの、他の汎用樹脂と同等の物性を得るには十分ではないのが実情である。
特開2004−51666号公報 特開2006−36818号公報
本発明は、成形時間が短縮でき、かつ、低温の金型温度でも成形体の変形が起こりにくく、金型からの離型性に優れ、耐熱性の高い成形体とすることができるポリ乳酸系樹脂組成物及びそれからなる成形体を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために本発明は以下の構成をとる。
1.ポリ乳酸樹脂組成物において、結晶核剤とグリセリン脂肪酸エステルまたはポリグリセリン脂肪酸エステルとを含有することを特徴とするポリ乳酸樹脂組成物。
2.結晶核剤を0.1〜10質量%とグリセリン脂肪酸エステルまたはポリグリセリン脂肪酸エステルを0.1〜10質量%含有することを特徴とする上記1に記載のポリ乳酸樹脂組成物。
3.結晶核剤が粘土鉱物、脂肪酸アミド、有機金属錯体から選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする上記1又は2に記載のポリ乳酸樹脂組成物。
4.上記1〜3何れかに記載のポリ乳酸樹脂組成物を成形してなる成形体。
本発明によれば、成形時間の短縮及び金型温度の低温化が可能となり、生産性の向上、省エネルギー化が可能となる。
以下、発明を実施するための最良な形態により、本発明を詳細に説明する。本発明のポリ乳酸は乳酸を重合してなるポリマーである。当該ポリ乳酸の質量平均分子量は特に制限されないが、10,000以上400,000以下であることが望ましい。ポリ乳酸の質量平均分子量が前記下限値未満であると、強度・弾性率等の機械物性が不十分となる傾向があり、上限値を超えると、成形時の流動性が低下する傾向がある。
ポリ乳酸の重合方法は特に制限されず、D−乳酸、L−乳酸の直接重合であってもよく、乳酸の環状2量体であるD−ラクチド、L−ラクチド、meso−ラクチドの開環重合であってもよい。また、ポリ乳酸が上記D体原料とL体原料との共重合体である場合、D体原料またはL体原料のうち、一方の含有割合が90モル%以上であり、より好ましくは95モル%以上であり、さらに好ましくは98モル%以上であることが望ましい。D体またはL体のうちの一方が90モル%未満であると、立体規則性の低下により結晶化が阻害され、本発明による効果が十分に発現しない傾向にある。このようにして得られるポリ乳酸は光学異性を示すが、当該ポリ乳酸はD体、L体、DL体のいずれであってもよい。また、構成成分の主体がD体であるポリ乳酸と、構成成分の主体がL体であるポリ乳酸とが任意の割合でブレンドされたものを用いても良い。
本発明に用いられるポリ乳酸系樹脂組成物は、ポリ乳酸に対し、結晶核剤及び分散剤を添加してなる。
本発明で用いられる結晶核剤としては、粘土鉱物、脂肪酸アミド、有機金属錯体が挙げられる。粘土鉱物としては、タルク、マイカ、モンモリロナイト、バイデライト、サポナイト、ヘクトライト、カオリナイト等が挙げられる。中でもタルクは、化学的に安定な鉱物であるため、結晶核剤として好ましく用いることができる。
脂肪酸アミドとしてはラウリン酸アミド、パルミチン酸アミド、オレイン酸アミド、ステアリン酸アミド、エルカ酸アミド、ベヘニン酸アミド、リシノール酸アミド、ヒドロキシステアリン酸アミド、メチレンビスステアリン酸アミド、エチレンビスラウリン酸アミド、エチレンビスオレイン酸アミド、エチレンビスステアリン酸アミド、エチレンビスエルカ酸アミド、エチレンビスベヘニン酸アミド、メチレンビスヒドロキシステアリン酸アミド、ヘキサメチレンビスヒドロキシステアリン酸アミド、エチレンビスヒドロキシステアリン酸アミド、ブチレンビスステアリン酸アミド、ヘキサメチレンビスヒドロキシステアリン酸アミド、ヘキサメチレンビスベヘニン酸アミド等を例示することができる。これらの中でも、エチレンビス−12−ヒドロキシステアリン酸アミドを用いることが特に好ましい。
また、有機金属錯体としては、銅フタロシアニン等の各種有機顔料やフェニルホスホン酸亜鉛等が挙げられる。
本発明のポリ乳酸樹脂組成物は、結晶核剤の分散剤としてグリセリン脂肪酸エステルまたはポリグリセリン脂肪酸エステルを含有する。グリセリン脂肪酸エステルまたはポリグリセリン脂肪酸エステルは単独使用であってもよいし、2以上の併用であってもよい。
本発明で用いられるグリセリン脂肪酸エステルとしては、グリセリンステアレート、グリセリンパルミテート、グリセリンベヘネート、グリセリン−12−ヒドロキシステアレート、グリセリンオレート、グリセリンカプリレート、グリセリンカプレート、グリセリンラウレート等を例示することができる。
本発明で用いられるポリグリセリン脂肪酸エステルとしては、ジグリセリンステアレート、ジグリセリンパルミテート、ジグリセリンベヘネート、ジグリセリン−12−ヒドロキシステアレート、ジグリセリンオレート、ジグリセリンカプリレート、ジグリセリンカプレート、ジグリセリンラウレート、トリグリセリンラウレート、トリグリセリンオレート、トリグリセリンパルミテート、トリグリセリンステアレート、テトラグリセリンステアレート、デカグリセリンステアレート、デカグリセリンラウレート、デカグリセリンオレート、テトラグリセリンポリリシノレート、ヘキサグリセリンポリリシノレート等を例示することができる。
本発明に使用されるグリセリン脂肪酸エステルあるいはポリグリセリン脂肪酸エステルは従来公知の方法により製造できる。一例として、グリセリンまたはポリグリセリンと脂肪酸をエステル化反応することにより得られる。また、市販品を用いることもできる。
本発明において、結晶核剤の配合量は0.1〜10質量%、グリセリン脂肪酸エステルまたはポリグリセリン脂肪酸エステルの配合量は0.1〜10質量%であることが望ましい。さらに好ましくは、結晶核剤の配合量は0.5〜5質量%、モノグリセリン脂肪酸エステルまたはポリグリセリン脂肪酸エステルの配合量は0.5〜5質量%であることが望ましい。かかる範囲を下回るときはその性能が不十分であり、上回るときは溶融粘度が低下し、成形が困難となるかあるいはブリードアウト等の物性低下が生じる。
本発明の樹脂組成物は従来公知の方法により製造することができる。一例として樹脂と添加剤を均一に予備混合し、溶融混練、ペレット化する手法を挙げることができる。予備混合の手法としては、粉体用各種ブレンダー、ヘンシェルミキサー等を用いることができる。予備混合の後、ストランドダイを備えた二軸押出機によりストランドを押出し、そのストランドをカットしてペレット化し、高濃度マスターバッチとすることができる。さらに高濃度マスターバッチをポリ乳酸樹脂と混合することで所望の添加剤濃度の成形体とすることができる。
他に、樹脂と添加剤を予備混合することなく二軸押出機に供給する手法もとることができる。樹脂を二軸押出機に供給して溶融した後、添加剤をサイドフィーダー、液添装置を用いて二軸押出機に供給し、混練する手法もとることができる。また、上記の予備混合をする方法と、サイドフィーダー、液添装置を使用する方法とを組み合わせて使用することもできる。
本発明の成形体の製造方法としては、射出成形、押出成形、ブロー成形、インフレーション成形、異形押出成形、射出ブロー成形、真空圧空成形、紡糸等が挙げられる。特に射出成形において、従来のポリ乳酸樹脂では結晶化の進行が遅いために生産性が悪い、また、変形等の原因により、目的の成形体が得られないことがあったが、本発明のポリ乳酸樹脂組成物を用いることによって成形体の製造を効率よく行なうことができる。
以下に実施例を挙げて本発明を詳細に説明するが、本発明の態様はこれに限定されない。
[評価方法]
ビカット軟化点:HDT TESTER(東洋精機社製)を用いてビカット軟化点を測定した。
成形性:○ ・・・ ほぼ変形せずに成形可能
△ ・・・ 金型から取り出せるが、やや変形が見られる
× ・・・ 金型から突き出しによって離型せず、取り出した際に大きく変形する
実施例1〜6 比較例1〜2
金型温度一定で冷却時間を変化させた実験を行った。
ポリ乳酸(三井化学社製「レイシアH−100」質量分子量150000、D体含量1.2〜1.6% 以下同)に、結晶核剤とグリセリン脂肪酸エステルまたはポリグリセリン脂肪酸エステルを表1に示す含有量で配合した混合物を、ストランドダイを備える二軸押出機を用いて180℃で溶融混練して押し出し、ストランドを切断してペレット状のポリ乳酸樹脂組成物を調整した。
調整したポリ乳酸樹脂組成物について、テストピース用金型を備えた射出成形機を用いて金型温度105℃で冷却時間が60、90、120、150秒の条件で厚さ3mmのシートを作成し、成形性、ビカット軟化点を測定した。測定結果は表2に示す。
Figure 2009242520

結晶核剤1:タルク(商品名 ハイトロンA 竹原化学工業社製)
結晶核剤2:エチレンビスー12ヒドロキシステアリン酸アミド(商品名 スリパックスH 日本化成社製)
(ポリ)グリセリン脂肪酸エステル1:グリセリンステアレート (商品名リケマールS-100A 理研ビタミン社製)
(ポリ)グリセリン脂肪酸エステル2:ジグリセリンステアレート (商品名リケマールS−71−D 理研ビタミン社製)
Figure 2009242520
実施例7〜12 比較例3〜4
冷却時間一定で金型温度を変化させる実験を行った。
ポリ乳酸(三井化学社製「レイシアH−100」質量分子量150000、D体含量1.2〜1.6% 以下同)に、結晶核剤とグリセリン脂肪酸エステルまたはポリグリセリン脂肪酸エステルを表1に示す含有量で配合した混合物を、ストランドダイを備える二軸押出機を用いて180℃で溶融混練して押し出し、ストランドを切断してペレット状のポリ乳酸樹脂組成物を調整した。
調整したポリ乳酸樹脂組成物について、テストピース用金型を備えた射出成形機を用いて冷却時間90秒で金型温度90、95、100、105℃の条件で厚さ3mmのシートを作成し、成形性、ビカット軟化点を測定した。測定結果は表3に示す。
Figure 2009242520
表2に示すように、金型温度を一定にした場合、比較例1,2では120秒付近で耐熱性の向上が見られるのに対し、実施例1〜6では90秒付近で耐熱性の向上が見られる。また、表3に示すように、冷却時間を一定にした場合、比較例3,4では耐熱性が向上にしないのに対し、実施例7〜12では90℃程度の金型で耐熱性の向上が見られる。従って、本発明の製造方法によれば、短時間の成形サイクルや低い金型温度での成形でも結晶化が速やかに進行し、成形体の変形が起こりにくく、耐熱性に優れた成形体を得ることができる。

Claims (4)

  1. ポリ乳酸樹脂組成物において、結晶核剤とグリセリン脂肪酸エステルまたはポリグリセリン脂肪酸エステルとを含有することを特徴とするポリ乳酸樹脂組成物。
  2. 結晶核剤を0.1〜10質量%とグリセリン脂肪酸エステルまたはポリグリセリン脂肪酸エステルを0.1〜10質量%含有することを特徴とする請求項1に記載のポリ乳酸樹脂組成物。
  3. 結晶核剤が粘土鉱物、脂肪酸アミド、有機金属錯体から選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする請求項1又は2に記載のポリ乳酸樹脂組成物。
  4. 請求項1〜3何れか1項に記載のポリ乳酸樹脂組成物を成形してなる成形体。
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