JP2009250058A - 酸素濃度センサの劣化判定装置及び劣化判定システム - Google Patents

酸素濃度センサの劣化判定装置及び劣化判定システム Download PDF

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Abstract

【課題】酸素濃度センサの劣化の有無を判定するにあたり、その判定精度向上を図った酸素濃度センサの劣化判定装置を提供する。
【解決手段】インジェクタ(燃料噴射弁)からの燃料噴射量をステップ的に増減させることで、空燃比をリッチ側とリーン側に交互に強制変化させるディザ制御を実施するディザ制御手段を備える。そして、A/Fセンサ(酸素濃度センサ)が劣化していない場合におけるA/Fセンサの検出値の理想的な変動を示す予測値(A/F理想値ID)を基準値として設定し、ディザ制御に伴い変動するA/Fセンサの検出値と前記基準値との差分を積分演算する。そして、この積分演算値、つまり図2(b)〜(d)中の斜線に示す面積L1〜L3,R1〜R3が所定値よりも大きければ、A/Fセンサが劣化していると判定する。
【選択図】 図2

Description

本発明は、排ガス中の酸素濃度を検出する酸素濃度センサに対し、劣化の有無を判定する装置に関する。
内燃機関から排出される排ガス中の酸素濃度を酸素濃度センサで検出し、燃焼した混合気の空気と燃料の比率(空燃比)を酸素濃度センサの検出値に基づき算出し、検出値から算出した空燃比が目標空燃比となるよう燃料噴射量をフィードバック制御する技術が、従来より知られている。このような内燃機関においては、酸素濃度センサの検出精度がエミッション排出量の制御に大きく影響するため、酸素濃度センサの劣化を精度良く判定することが重要である。
このような劣化判定を行う特許文献1記載の判定装置では、燃料噴射量を制御することで空燃比をリッチ側とリーン側に交互に強制変化させるディザ制御を実施している。そして、ディザ制御を開始してから酸素濃度センサの検出値に変化が生じるまで(つまり検出値が閾値を超えるまで)の応答時間が、予め設定された所定時間よりも長い場合に、酸素濃度センサは劣化していると判定する。
特開平4−365950号公報
しかしながら、この種の一般的な酸素濃度センサでは、ディザ制御による検出値の強制変化は、ノイズ等により大きく変動しながらの変化となる。そのため、ディザ制御開始直後においてノイズにより瞬間的に検出値が閾値を超えることもあり、その場合には前述の応答時間は短くなってしまうので、酸素濃度センサは劣化しているにも拘わらず劣化していないと誤判定するおそれがある。
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、その目的は、酸素濃度センサの劣化の有無を判定するにあたり、その判定精度向上を図った酸素濃度センサの劣化判定装置及び劣化判定システムを提供することにある。
以下、上記課題を解決するための手段、及びその作用効果について記載する。
請求項1記載の発明では、
燃焼に供する燃料を噴射する燃料噴射弁、及び排ガス中の酸素濃度を検出する酸素濃度センサを備え、前記酸素濃度センサの検出値から算出した空燃比が目標空燃比となるよう、前記燃料噴射弁からの燃料噴射量をフィードバック制御する内燃機関に適用され、
前記燃料噴射弁からの燃料噴射量を制御することで、空燃比をリッチ側とリーン側に交互に強制変化させるディザ制御を実施するディザ制御手段と、
前記ディザ制御に伴い変動する前記酸素濃度センサの検出値と、前記変動に対する基準値との差分を積分演算する積分演算手段と、
前記積分演算により得られた値に基づき、前記酸素濃度センサの劣化の有無を判定する劣化判定手段と、
を備えることを特徴とする。
先述の如く、検出値が閾値を超えるまでの応答時間に基づき劣化判定する従来装置では、酸素濃度センサの劣化の判定結果を左右する応答時間はノイズの影響を大きく受ける。これに比べ、ディザ制御に伴い変動する酸素濃度センサの検出値と基準値との差分を積分演算し、その積分値に基づき酸素濃度センサの劣化の有無を判定する上記請求項1記載の発明においては、劣化の判定結果を左右する積分値はノイズの影響を受けにくい。よって、酸素濃度センサの劣化の有無を判定するにあたり、その判定精度を向上できる。
請求項2記載の発明では、前記基準値は、前記ディザ制御に伴い生じる前記検出値の理想的な変動を示す、予め記憶された予測値(図2中の点線ID参照)であることを特徴とする。そのため、酸素濃度センサが劣化してくると、ディザ制御に伴い生じる検出値と理想変動を示す予測値との差分が顕著に大きくなるので、積分演算による値も顕著に大きくなる。よって、劣化判定精度を好適に向上できる。
前記基準値を設定するにあたり、上記請求項2記載の他に請求項3〜5のように設定してもよい。すなわち、請求項3記載の発明では、前記ディザ制御を実行する直前の目標空燃比を前記基準値として設定する。請求項4記載の発明では、前記ディザ制御を開始してから前記積分演算を開始するまでの期間における、変動する前記検出値の最小値又は最大値を前記基準値として設定する(図4中の点線Bmin,Bmax参照)。請求項5記載の発明では、前記積分演算を開始した時点における前記検出値を前記基準値として設定する(図5中の点線BL,BR参照)。
ここで、酸素濃度センサの種類によっては、空燃比がリッチ側からリーン側に変化する時(リーン化時)に劣化による応答遅れが大きく現れるものもあれば、リーン側からリッチ側に変化する時(リッチ化時)に劣化による応答遅れが大きく現れるものもある。この点に着目した請求項6記載の発明では、前記積分演算手段は、空燃比がリッチ側からリーン側に変化する期間における前記差分をリーン応答値として積分演算するリーン応答演算手段、及び空燃比がリーン側からリッチ側に変化する期間における前記差分をリッチ応答値として積分演算するリッチ応答演算手段の少なくとも一方を有することを特徴とする。
したがって、劣化による応答遅れがリーン化時及びリッチ化時のいずれにおいて大きく現れるかに応じて、リーン応答演算手段による積分演算値及びリッチ応答演算手段による積分演算値のうち好適な演算値を選択でき、選択した積分演算値に基づき劣化判定手段は劣化判定を行うことができる。
例えば、劣化による応答遅れがリーン化時に大きく現れることが予め分かっていれば、リーン応答演算手段による積分演算値に基づき劣化判定を行うようにできる。これによれば、両演算手段による積分演算値に基づき劣化判定を行う場合に比べて、その判定精度を向上できる。同様にして、例えば、劣化による応答遅れがリッチ化時に大きく現れることが予め分かっていれば、リッチ応答演算手段による積分演算値に基づき劣化判定を行うようにでき、ひいては判定精度を向上できる。また、例えば、劣化による応答遅れがリーン化時及びリッチ化時のいずれにおいても同等に現れることが予め分かっていれば、両演算手段による両方の積分演算値に基づき劣化判定を行うようにでき、ひいては判定精度を向上できる。
ところで、酸素濃度センサが劣化してくると積分演算値が変化してくることとなるが、その積分演算値に現れる変化の大きさは、設定する積分範囲によって変わってくる。そして、劣化に伴い積分演算値が大きく変化するよう積分範囲を設定すれば劣化判定精度を高くできる。しかしながら、そのような望ましい積分範囲は内燃機関の運転状態(例えば、アクセル操作量等に基づく内燃機関の負荷や、内燃機関の出力軸の回転速度等)に応じて変化する。この点を鑑み、請求項7記載の発明では、前記積分演算手段は、変動する前記検出値のうち前記積分演算を行う積分範囲を、前記内燃機関の運転状態(例えば、先述の負荷や回転速度)に応じて可変設定することを特徴とする。よって、酸素濃度センサの劣化に伴い積分演算値が大きく変化するよう積分範囲を可変設定するので、劣化判定精度を高くできる。
請求項8記載の発明では、
燃焼に供する燃料を噴射する燃料噴射弁、及び排ガス中の酸素濃度を検出する酸素濃度センサを備え、前記酸素濃度センサの検出値から算出した空燃比が目標空燃比となるよう、前記燃料噴射弁からの燃料噴射量をフィードバック制御する内燃機関に適用され、
前記燃料噴射弁からの燃料噴射量を制御することで、空燃比をリッチ側とリーン側に交互に強制変化させるディザ制御を実施するディザ制御手段と、
前記ディザ制御に伴い生じる前記検出値の理想的な変動を示す予測値が予め記憶された記憶手段と、
前記ディザ制御に伴い変動する前記酸素濃度センサの検出値と前記予測値との差異に基づき、前記酸素濃度センサの劣化の有無を判定する劣化判定手段と、
を備えることを特徴とする。
これによれば、ディザ制御に伴い生じる検出値の理想的な変動を示す予測値を予め記憶させておき、ディザ制御に伴い変動する酸素濃度センサの検出値と前記予測値との差異に基づき酸素濃度センサの劣化の有無を判定するので、検出値が閾値を超えるまでの応答時間に基づき劣化判定する従来装置に比べ、劣化判定の精度を向上できる。
請求項9記載の発明は、燃焼に供する燃料を噴射する燃料噴射弁、及び排ガス中の酸素濃度を検出する酸素濃度センサの少なくとも1つと、上記劣化判定装置と、を備えることを特徴とする酸素濃度センサの劣化判定システムである。この劣化判定システムによれば、上述の各種効果を同様に発揮することができる。
以下、本発明を具体化した各実施形態を図面に基づいて説明する。なお、以下の各実施形態相互において、互いに同一もしくは均等である部分には、図中、同一符号を付してある。
(第1実施形態)
以下、本発明にかかる酸素濃度センサの劣化判定装置を、車両用の内燃機関に備えられた酸素濃度センサに適用した第1実施形態について説明する。本実施形態では、内燃機関であるガソリンエンジンを走行駆動源とした四輪車両を対象としており、はじめに、エンジン及び電子制御ユニット(以下、ECUという)を中心としたエンジン制御システムの全体概略構成を、図1を用いて説明する。
図1に示すエンジン10において、吸気管11の最上流部にはエアクリーナ12が設けられ、このエアクリーナ12の下流側には吸入空気量を検出するためのエアフローメータ13が設けられている。このエアフローメータ13には、吸入空気の温度を検出する吸気温センサ13aが内蔵されている。エアフローメータ13の下流側には、DCモータ等のアクチュエータによって開度調節されるスロットルバルブ14と、スロットルバルブ開度を検出するためのスロットルバルブ開度センサ15とが設けられている。
吸気管11のうちスロットルバルブ14の下流側には、吸気管圧力を検出するための吸気管圧力センサ16が設けられている。エンジン10は多気筒エンジンであり、吸気管11のうち吸気管圧力センサ16の下流側部分には、エンジン10の各気筒に空気を導入する吸気マニホールド17が接続されている。吸気マニホールド17のうち各気筒の吸気ポート近傍部分には、燃料を噴射供給する電磁駆動式のインジェクタ18(燃料噴射弁)が各々取り付けられている。
車両に搭載された燃料タンク19内の燃料は、燃料ポンプ20によりデリバリパイプ21(燃料配管)に供給され、デリバリパイプ21から各インジェクタ18に分配供給される。デリバリパイプ21には、燃料の温度を検出する燃温センサ22が取り付けられている。エンジン10の吸気ポート及び排気ポートにはそれぞれ吸気バルブ23及び排気バルブ24が設けられており、吸気バルブ23の開動作により空気と燃料との混合気が燃焼室内に導入され、排気バルブ24の開動作により燃焼後の排ガスが吸気マニホールド25に排出される。
吸気マニホールド25の下流側に位置して各気筒からの排気が集合する部分には、排ガス中のCO,HC,NOx等を浄化するための三元触媒等の触媒装置26が設けられ、この触媒装置26の上流側には排ガス中の酸素濃度を検出するA/Fセンサ27(酸素濃度センサ)が設けられている。A/Fセンサ27は、時々の排気中酸素濃度に応じた酸素濃度検出信号を出力する酸素濃度センサである。A/Fセンサ27のセンサ出力としての酸素濃度検出信号は、酸素濃度に応じてリニアに変化するように調整される。なお、A/Fセンサ27に替えて、排気がリッチかリーンかに応じて異なる起電力信号を出力する起電力出力型のO2センサを採用してもよい。
エンジン10には、吸気バルブ23と排気バルブ24の開閉タイミングをそれぞれ可変する可変バルブタイミング機構23a,24aが設けられている。更に、エンジン10には、吸気カム軸と排気カム軸の回転に同期してカム角信号を出力する吸気カム角センサ23b及び排気カム角センサ24bが設けられ、エンジン10のクランク軸の回転に同期して所定クランク角毎(例えば30℃A毎)にクランク角信号のパルスを出力するクランク角センサ28が設けられている。また、エンジン10のシリンダブロック10aには、主にエンジン10内を循環する冷却水の温度を検出するための冷却水温センサ29が取り付けられている。
エンジン10のシリンダヘッドには気筒毎にそれぞれ点火プラグ(図示せず)が取り付けられており、点火プラグには、点火コイル等よりなる点火装置を通じて、所望とする点火時期において高電圧が印加される。この高電圧の印加により、各点火プラグの対向電極間に火花放電が発生し、燃焼室内に導入した混合気が着火され燃焼に供される。
ECU40は、周知の通りCPU、ROM、RAM等よりなるマイクロコンピュータを主体として構成されている。ECU40には、前記各種センサ13a,15,22,23b,24b,27,28の他、車両に搭載される各種センサから随時入力される各種の検出信号等に基づいてエンジン運転状態や運転者の要求(アクセル操作量等)を把握し、それに応じた各種制御を制御プログラムに従って実行している。
具体的に、ECU40は、前記A/Fセンサ27からの酸素濃度検出信号に基づいて空燃比を検出している。そして、このように検出した都度の空燃比と目標空燃比との偏差に応じて空燃比補正係数FAFを算出し、算出した空燃比補正係数FAFを基本噴射量に乗算して次回の燃料噴射量を設定する空燃比フィードバック制御を行っている。したがって、目標空燃比をストイキ(理論空燃比)に設定した場合には、検出した空燃比がストイキよりもリッチ側にシフトすると、ECU40は、空燃比をストイキに維持しようと空燃比補正係数FAFを小さくし、次回の燃料噴射量を減少させる。空燃比がリーン側にシフトすると、ECU40は、空燃比をストイキに維持しようと空燃比補正係数FAFを大きくし、次回の燃料噴射量を増量させる。
ECU40のマイコンが有するEEPROM等のメモリには、A/Fセンサ27により検出された実際の空燃比と目標空燃比との偏差と、空燃比補正係数FAFとの関係を特定するマップが記憶されている。そして、マップに記憶された前記偏差を更新することで、学習制御を実行している。
また、ECU40は、以下の如く基本噴射量に各種補正を行って燃料の目標噴射量を算出する。すなわち、クランク角センサ28の検出値から算出されるエンジン回転速度と、エンジン負荷に基づいて基本噴射量を算出する。エンジン負荷は、スロットルバルブ開度センサ15の検出値から算出されるスロットルバルブ開度や、エアフローメータ13の検出値から算出される吸入空気量等から算出する。基本噴射量に対する補正には、加速応答性を向上させるための加速増量の他、始動後増量、暖気増量等が挙げられる。
なお、空燃比フィードバック制御は、エンジン10の運転状態が安定している定常運転時に実行される。例えば、以下の条件(1)〜(6)の全て、或いは少なくとも1つを満たしている場合に定常運転であると判定して好適である。
(1)加速増量、始動後増量、暖気増量及びフューエルカット等の、基本噴射量に対する補正がなされていない。
(2)吸気管圧力センサ16により検出される吸気圧が下限値と上限値の間にある。
(3)エンジン回転速度が下限値と上限値の間にある。
(4)冷却水温センサ29により検出される水温が下限値より高い。
(5)吸気温センサ13aにより検出される吸気温が下限値より高い。
(6)A/Fセンサ27が活性化している。
ところで、排気中のPM(Particulate Matter、粒子状物質)がA/Fセンサ27に付着する等により、A/Fセンサ27が経年劣化すると、上述した空燃比フィードバック制御の精度が低下して空燃比がストイキからずれてしまい、エミッション排出量を目標値以下となるよう制御することが困難となる。よって、A/Fセンサ27の劣化を精度良く判定することが重要である。以下、A/Fセンサ27の劣化の有無を判定する手法について、図2及び図3を用いて詳細に説明する。図2は、横軸を経過時間、縦軸を空燃比としたタイミングチャートであり、図3は、ECU40が有するマイクロコンピュータ(劣化判定装置)による上記劣化判定の処理手順を示すフローチャートである。
先ず、空燃比フィードバック制御が実行されている期間中において、燃料の目標噴射量をステップ的に増減させることで、図2(a)に示すように目標空燃比をリッチ側とリーン側に交互に強制変化させるディザ制御を実行する。図2(a)の例では、t10,t30,t50の時点において目標空燃比がリーン側に強制変化され、t20,t40,t60の時点において目標空燃比がリッチ側に強制変化され、目標空燃比のステップ切替を所定時間(図2の例では約1秒)毎に複数回(図2の例では3回)実行する。
このようなディザ制御を実行すれば、空燃比フィードバック制御により、A/Fセンサ27により検出される空燃比(A/F検出値)は目標空燃比のステップ変化に対して応答遅れを伴って変化することとなる(図2(b)〜(d)中の実線参照)。また、図2(b)〜(d)中の点線IDは、A/Fセンサ27が劣化していない正常状態である場合におけるA/F検出値の理想的な変動を示す予測値(A/F理想値ID)であり、マイコンのROM(記憶手段)等に予め記憶された値である。なお、図2(b)〜(d)中の実線に示すA/F検出値は、実際には重畳しているはずの高周波ノイズを除去した態様で図示されている。
<正常の場合>
図2(b)に示すA/F検出値は、A/Fセンサ27の劣化が許容範囲にある正常状態の場合の値である。この場合においては、A/F上昇開始時点は、A/F理想値IDのt11,t31,t51時点よりも僅かに遅いt12,t32,t52時点となっており、A/F検出値の上昇速度(傾き)はA/F理想値IDと略同一となっている。同様にして、A/F下降開始時点は、A/F理想値IDのt21,t41,t61時点よりも僅かに遅いt22,t42,t62時点となっており、A/F検出値の下降速度(傾き)はA/F理想値IDと略同一となっている。
<ディレイ異常の場合>
図2(c)に示すA/F検出値は、A/Fセンサ27の劣化が許容範囲を超えており、目標空燃比のステップ変化に対するA/F検出値の応答遅れ時間が許容を超えて長いディレイ異常状態の場合の値である。この場合においては、A/F上昇開始時点は、A/F理想値IDのt11,t31,t51時点よりも大きく遅いt13,t33,t53時点となっている。同様にして、A/F下降開始時点は、A/F理想値IDのt21,t41,t61時点よりも大きく遅いt23,t43,t63時点となっている。なお、A/F検出値の上昇及び下降速度(傾き)はA/F理想値IDと略同一となっている。
<応答異常の場合>
図2(d)に示すA/F検出値は、A/Fセンサ27の劣化が許容範囲を超えており、目標空燃比のステップ変化に対してA/F検出値が応答を開始してからの上昇及び下降速度が許容を超えて遅い応答異常状態の場合の値である。この場合においては、A/F上昇開始時点及び下降開始時点はA/F理想値IDとほぼ同じであるものの、A/F検出値の上昇速度及び下降速度(傾き)はA/F理想値IDよりも遅くなっている。
本実施形態では、A/F理想値ID(基準値)と、ディザ制御に伴い変動するA/F検出値との差分を、予め設定された積分範囲t11〜t15,t21〜t25,t31〜t35,t41〜t45,t51〜t55,t61〜t65について積分演算する。つまり、図2(b)〜(d)中の斜線に示す面積L1〜L3,R1〜R3を算出する。これらの面積(積分値)L1〜L3,R1〜R3は、図2(b)に示すようにA/Fセンサ27が正常状態であれば小さく、図2(c)(d)に示すようにディレイ異常状態や応答異常状態であれば大きくなる。この点を鑑み本実施形態では、積分演算して得られた値L1〜L3,R1〜R3が所定値よりも大きければA/Fセンサ27が劣化異常であると判定する。
次に、図3を用いてマイコンによる劣化判定の処理手順を説明する。
図3に示す処理は、所定期間毎に、或いは車両が所定距離だけ走行した毎に実行される。先ず、ステップS10において、先述した空燃比フィードバック制御を実行しているか否かを判定する。空燃比フィードバック制御中であると判定されれば(S10:YES)、ステップS20(ディザ制御手段)において先述したディザ制御を実行する。図2(a)中の符合t0はディザ制御の実行開始時点を示しており、この開始時点t0から目標空燃比はステップ的に変化することとなる。続くステップS30では、エンジン10の運転状態に基づき、積分範囲t12〜t15,t22〜t25,t32〜t35,t42〜t45,t52〜t55,t62〜t65を可変設定する。運転状態の具体例として、運転者によるアクセル操作量、吸気量、吸気圧等に基づくエンジン負荷や、エンジン回転速度等が挙げられる。
具体的には、目標空燃比をリッチ側からリーン側に強制変化させた時点t10,t30,t50(リーン化時点)から所定時間が経過した時点を、リーン化時の積分範囲の開始時点t12,t32,t52として設定する。また、目標空燃比をリーン側からリッチ側に強制変化させた時点t20,t40,t60(リッチ化時点)から所定時間が経過した時点を、リッチ化時の積分範囲の開始時点t22,t42,t62として設定する。これらの所定時間は、ディザ制御に伴うA/F理想値IDの変動量(最小値と最大値との差)の約10%分だけA/F理想値IDが変化した時点が、積分範囲の開始時点となるようにエンジン運転状態に応じて設定されている。換言すれば、各積分範囲がA/F理想値IDのリーン化期間内及びリッチ化期間内となるよう、エンジン運転状態に応じて上記所定時間は設定されていると言える。
次に、ステップS40において、ステップS30にて設定した積分範囲について、A/F検出値を読み込む。そして、ステップS50では、ステップS40にて読み込んだA/F検出値とA/F理想値IDとの差分をリーン化時の積分範囲について演算して、リーン化時の積分値L1〜L3を取得する。また、ステップS60では、ステップS40にて読み込んだA/F検出値とA/F理想値IDとの差分をリッチ化時の積分範囲について演算して、リッチ化時の積分値R1〜R3を取得する。
次に、ステップS70(劣化判定手段)において、それぞれの積分値L1〜L3,R1〜R3の総和を算出し、その総和が所定値よりも大きいか否かを判定する。積分値の総和が所定値よりも大きい場合(S70:YES)には、ステップS80(劣化判定手段)において図2(c)(d)に例示される劣化異常状態であると判定し、所定値以下の場合(S70:NO)には、ステップS90において図2(a)に例示される正常状態であると判定する。
以上詳述した本実施形態によれば、以下の効果が得られるようになる。
(1)A/F検出値が閾値を超えるまでの応答時間に基づき劣化判定する従来装置では、A/Fセンサの劣化の判定結果を左右する応答時間は、A/F検出値に重畳するノイズの影響を大きく受ける。これに比べ、ディザ制御に伴い変動するA/F検出値とA/F理想値IDとの差分を積分演算し、その積分値L1〜L3,R1〜R3に基づきA/Fセンサ27の劣化の有無を判定する本実施形態においては、劣化の判定結果を左右する積分値L1〜L3,R1〜R3は、上記応答時間に比べればノイズの影響を受けにくい。よって、A/Fセンサ27の劣化の有無を判定するにあたり、その判定精度を向上できる。
(2)積分演算するにあたり、ディザ制御に伴い生じるA/F検出値の理想的な変動を示すA/F理想値IDを基準値とするので、A/Fセンサ27が劣化してくると、ディザ制御に伴い生じるA/F検出値とA/F理想値IDとの差分が顕著に大きくなる。よって、積分演算して得られる値L1〜L3,R1〜R3も顕著に大きくなるので、劣化判定精度を好適に向上できる。
(3)複数の積分値L1〜L3,R1〜R3の総和に基づき劣化判定を行うので、1つの積分値に基づき劣化判定を行う場合に比べて、ノイズの影響により誤判定してしまうおそれを低減できる。また、リーン化時の積分値L1〜L3及びリッチ化時の積分値R1〜R3の両方に基づき劣化判定を行うので、いずれか一方の積分値に基づき劣化判定する場合に比べて劣化判定の精度を向上できる。
(4)ディザ制御に伴い変動するA/F検出値のうち積分演算を行う積分範囲t11〜t15,t21〜t25,t31〜t35,t41〜t45,t51〜t55,t61〜t65を、エンジン10の運転状態に応じて可変設定するので、A/Fセンサ27の劣化に伴い積分値L1〜L3,R1〜R3が大きく変化するよう積分範囲を可変設定するので、劣化判定精度を高くできる。
(第2実施形態)
上記第1実施形態では、A/Fセンサ27が劣化していない場合におけるA/F検出値の理想的な変動を示す予測値(A/F理想値ID)を基準値として、A/F検出値との差分を積分演算するのに対し、図4に示す本実施形態では、ディザ制御開始後において、リーン化時点t10,t30,t50から積分演算開始時点t11,t31,t51までの期間におけるA/F検出値の最小値Bminjと、リッチ化時点t20,t40,t60から積分演算開始時点t21,t41,t61までの期間におけるA/F検出値の最大値Bmaxとを基準値として設定している。
そして、このように設定した基準値Bmin,Bmaxと、ディザ制御に伴い変動するA/F検出値との差分を、第1実施形態と同様にして設定された積分範囲t11〜t15,t21〜t25,t31〜t35,t41〜t45,t51〜t55,t61〜t65について積分演算する。つまり、図4(b)〜(d)中の斜線に示す面積L1〜L3,R1〜R3を算出する。
これらの面積(積分値)L1〜L3,R1〜R3は、図4(b)に示すようにA/Fセンサ27が正常状態であれば大きく、図4(c)(d)に示すようにディレイ異常状態や応答異常状態であれば小さくなる。この点を鑑み本実施形態では、積分演算して得られた値L1〜L3,R1〜R3が所定値よりも小さければA/Fセンサ27が劣化異常であると判定する。本実施形態によっても、上記第1実施形態と同様の効果が得られる。
(第3実施形態)
図5に示す本実施形態では、積分演算を開始した時点t11,t21におけるA/F検出値(図5中の点線BL,BR参照)を基準値として設定している。そして、このように設定した基準値BL,BRと、ディザ制御に伴い変動するA/F検出値との差分を、第1実施形態と同様にして設定された積分範囲t11〜t15,t21〜t25について積分演算する。つまり、図5(b)〜(d)中の斜線に示す面積L1,R1を算出する。
これらの面積(積分値)L1,R1は、図5(b)に示すようにA/Fセンサ27が正常状態であれば大きく、図5(c)(d)に示すようにディレイ異常状態や応答異常状態であれば小さくなる。この点を鑑み本実施形態では、積分演算して得られた値L1,R1が所定値よりも小さければA/Fセンサ27が劣化異常であると判定する。本実施形態によっても、上記第1実施形態と同様の効果が得られる。なお、図5では図示を省略しているが、本実施形態においても上記各実施形態と同様にして、リーン化時の積分値及びリッチ化時の積分値を複数算出しており、これら複数の積分値に基づき劣化判定を行っている。
(第4実施形態)
本実施形態では、ディザ制御によりリーン化させる直前の目標空燃比、及びリッチ化させる直前の目標空燃比を基準値として設定している。そして、このように設定した基準値と、ディザ制御に伴い変動するA/F検出値との差分を、第1実施形態と同様にして設定された積分範囲t11〜t15,t21〜t25について積分演算する。したがって、仮にA/F検出値が目標空燃比と一致していたとすれば、本実施形態において積分演算した値は、上記第3実施形態における面積L1,R1と一致することとなる。そして、本実施形態においても上記第3実施形態と同様にして、積分演算して得られた値L1,R1が所定値よりも大きければA/Fセンサ27が劣化異常であると判定する。
(他の実施形態)
上記各実施形態は、以下のように変更して実施してもよい。また、本発明は上記実施形態の記載内容に限定されず、各実施形態の特徴的構成をそれぞれ任意に組み合わせるようにしてもよい。
・上記各実施形態では、リーン化時の積分値L1〜L3及びリッチ化時の積分値R1〜R3の総和に基づき劣化判定を行っているが、両積分値L1〜L3,R1〜R3のいずれか一方のみの総和に基づき劣化判定を行うことで、劣化判定精度向上を図るようにしてもよい。
例えば、空燃比がリッチ側からリーン側に変化する時(リーン化時)に劣化による応答遅れが大きく現れることが予め分かっていれば、リーン化時における積分値L1〜L3のみの総和に基づき劣化判定を行う。或いは、リーン側からリッチ側に変化する時(リッチ化時)に劣化による応答遅れが大きく現れることが予め分かっていれば、リッチ化時における積分値R1〜R3のみの総和に基づき劣化判定を行う。
・上記各実施形態では、複数の積分値L1〜L3,R1〜R3の総和に基づき劣化判定を行っているが、1つの積分値L1,R1に基づき劣化判定を行うようにしてもよい。
・上記各実施形態では、ディザ制御に伴い変動するA/F検出値と基準値との差分を積分演算して得られた積分値に基づき、A/Fセンサ27の劣化判定を行っているが、このような積分演算を廃止して次のように劣化判定を行ってもよい。すなわち、A/Fセンサ27が劣化していない場合におけるA/F検出値の理想的な変動を示す予測値(A/F理想値ID)を基準値とし、ディザ制御に伴い変動するA/F検出値とA/F理想値IDとの差異に基づき劣化判定を行う。
例えば、積分範囲t11〜t15,t21〜t25,t31〜t35,t41〜t45,t51〜t55,t61〜t65の各々に対して、A/F検出値とA/F理想値IDとの差分を複数時点で算出し、当該算出により得られた複数の差分の平均値に基づき劣化判定を行うことが具体例として挙げられる。
・上記実施形態では、点火式のガソリンエンジンに搭載されたインジェクタ18に本発明の制御装置を適用させているが、自己着火式のディーゼルエンジンに搭載されたインジェクタに本発明の制御装置を適用させてもよい。
本発明の第1実施形態にかかる酸素濃度センサの劣化判定装置が適用された、エンジン制御システムの全体概略構成を示す図。 第1実施形態にかかる劣化判定手法を説明する図であり、(a)は正常状態、(b)はディレイ異常状態、(c)は応答異常状態におけるA/F検出値をそれぞれ示す。 第1実施形態にかかる劣化判定の処理手順を示すフローチャート。 本発明の第2実施形態にかかる劣化判定手法を説明する図であり、(a)は正常状態、(b)はディレイ異常状態、(c)は応答異常状態におけるA/F検出値をそれぞれ示す。 本発明の第3実施形態にかかる劣化判定手法を説明する図であり、(a)は正常状態、(b)はディレイ異常状態、(c)は応答異常状態におけるA/F検出値をそれぞれ示す。
符号の説明
10…ガソリンエンジン(内燃機関)、18…インジェクタ(燃料噴射弁)、27…A/Fセンサ(酸素濃度センサ)、40…ECU(劣化判定装置、記憶手段)、S20…ディザ制御手段、S50…リーン応答演算手段(積分演算手段)、S60…リッチ応答演算手段(積分演算手段)、S70,S80…劣化判定手段。

Claims (9)

  1. 燃焼に供する燃料を噴射する燃料噴射弁、及び排ガス中の酸素濃度を検出する酸素濃度センサを備え、前記酸素濃度センサの検出値から算出した空燃比が目標空燃比となるよう、前記燃料噴射弁からの燃料噴射量をフィードバック制御する内燃機関に適用され、
    前記燃料噴射弁からの燃料噴射量を制御することで、空燃比をリッチ側とリーン側に交互に強制変化させるディザ制御を実施するディザ制御手段と、
    前記ディザ制御に伴い変動する前記酸素濃度センサの検出値と、前記変動に対する基準値との差分を積分演算する積分演算手段と、
    前記積分演算により得られた値に基づき、前記酸素濃度センサの劣化の有無を判定する劣化判定手段と、
    を備えることを特徴とする酸素濃度センサの劣化判定装置。
  2. 前記基準値は、前記ディザ制御に伴い生じる前記検出値の理想的な変動を示す、予め記憶された予測値であることを特徴とする請求項1に記載の酸素濃度センサの劣化判定装置。
  3. 前記基準値は、前記ディザ制御を実行する直前の目標空燃比であることを特徴とする請求項1に記載の酸素濃度センサの劣化判定装置。
  4. 前記基準値は、前記ディザ制御を開始してから前記積分演算を開始するまでの期間における、変動する前記検出値の最小値又は最大値であることを特徴とする請求項1に記載の酸素濃度センサの劣化判定装置。
  5. 前記基準値は、前記積分演算を開始した時点における前記検出値であることを特徴とする請求項1に記載の酸素濃度センサの劣化判定装置。
  6. 前記積分演算手段は、空燃比がリッチ側からリーン側に変化する期間における前記差分をリーン応答値として積分演算するリーン応答演算手段、及び空燃比がリーン側からリッチ側に変化する期間における前記差分をリッチ応答値として積分演算するリッチ応答演算手段の少なくとも一方を有することを特徴とする請求項1〜5のいずれか1つに記載の酸素濃度センサの劣化判定装置。
  7. 前記積分演算手段は、変動する前記検出値のうち前記積分演算を行う積分範囲を、前記内燃機関の運転状態に応じて可変設定することを特徴とする請求項1〜6のいずれか1つに記載の酸素濃度センサの劣化判定装置。
  8. 燃焼に供する燃料を噴射する燃料噴射弁、及び排ガス中の酸素濃度を検出する酸素濃度センサを備え、前記酸素濃度センサの検出値から算出した空燃比が目標空燃比となるよう、前記燃料噴射弁からの燃料噴射量をフィードバック制御する内燃機関に適用され、
    前記燃料噴射弁からの燃料噴射量を制御することで、空燃比をリッチ側とリーン側に交互に強制変化させるディザ制御を実施するディザ制御手段と、
    前記ディザ制御に伴い生じる前記検出値の理想的な変動を示す予測値が予め記憶された記憶手段と、
    前記ディザ制御に伴い変動する前記酸素濃度センサの検出値と前記予測値との差異に基づき、前記酸素濃度センサの劣化の有無を判定する劣化判定手段と、
    を備えることを特徴とする酸素濃度センサの劣化判定装置。
  9. 燃焼に供する燃料を噴射する燃料噴射弁、及び排ガス中の酸素濃度を検出する酸素濃度センサの少なくとも1つと、
    請求項1〜8のいずれか1つに記載の劣化判定装置と、
    を備えることを特徴とする酸素濃度センサの劣化判定システム。
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