JP2009250092A - 筒内噴射型内燃機関の制御装置 - Google Patents

筒内噴射型内燃機関の制御装置 Download PDF

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博行 夏井
Yoshihiro Sukegawa
義寛 助川
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Abstract

【課題】
筒内噴射型内燃機関において、燃焼室の壁面に燃料が付着することで悪化する排気,燃費,出力を改善する必要があった。
【解決手段】
弁座と、弁体である弁ロッドと、ソレノイドと、前記弁ロッドに嵌合し、前記弁ロッドに対し軸方向に可動である可動子と、ソレノイドとを有し、前記ソレノイドに通電することにより、可動子が吸引されると共に前記弁ロッドを弁座から離して開弁する燃料噴射弁の制御装置であって、前記燃料噴射弁が取付けられる内燃機関の一行程ないしは一サイクルに複数回燃料噴射する分割噴射を行う場合に、燃料噴射N1の噴射終了時期と前記燃料噴射N1の次の燃料噴射N2の噴射開始時期との噴射間隔に応じて、前記燃料噴射N2の燃料噴射期間を決定することを特徴とする制御装置。
【選択図】図9

Description

本発明は内燃機関の燃料噴射弁及びその制御方法に関し、特に燃料噴射弁(インジェクタとも称す)によって燃料を直接燃焼室に供給する筒内噴射型内燃機関(筒内噴射型エンジンとも称す)の燃料噴射装置および制御回路装置に関するものである。
筒内噴射型内燃機関における始動時に発生する有害排出ガスの一つとして、未燃燃料であるハイドロカーボン(HC)が挙げられる。特に、内燃機関始動後の冷機運転時には、HCを浄化する触媒(三元触媒)が活性化されていないため、内燃機関から排出されるHCは浄化されず、大気中に排出されてしまう。このため、始動時には、内燃機関から排出されるHCを低減することが要求される。筒内噴射型内燃機関の場合、冷機始動時に機関から排出されるHCの発生要因の一つとしては、シリンダ壁面やピストン冠面への燃料付着が考えられる。筒内噴射型内燃機関の場合、筒内へ直接燃料を噴射するため燃料付着が発生し、特に、冷機状態では、付着燃料が気化されず、未燃燃料としてHCが内燃機関から排出されると考えられる。
このような背景において、特許文献1では、インジェクタから1回に噴射される燃料を数回に分割して噴射し、燃料噴霧の貫徹力を低下させることで内燃機関のシリンダ壁面やピストン冠面への燃料付着を抑制して、内燃機関の排気を向上する技術が開示されている。
特開平11−62680号公報
しかし、特許文献1に記載のような分割噴射により燃料噴霧の貫徹力を低下させる場合、可動子の弁座やストッパに対する衝突動作を緩和し、閉弁動作時に弁体が弁座に衝突することで弁体が跳ね返り発生するいわゆる2次噴射を防止する機構を備えたインジェクタでは、噴射信号に対する燃料噴射の応答遅れが起こり、分割噴射した各燃料量を均等に分割することが出来ず、燃料噴霧の燃料量に偏りが生じるという問題があった。そのため、分割噴射した各噴霧のうち、燃料量が多くなっている噴霧の貫徹力は大きいため、シリンダ壁面やピストン冠面への燃料付着が発生するという課題が存在する。
本発明の目的は、筒内噴射型内燃機関において、1回に噴く燃料を数回に分割して、非常に短い間に近接的に噴射をした際、燃料噴射信号に対する噴射遅れを補正し、分割噴射した各燃料量を精密に制御することで、燃料の壁面付着を抑制し、内燃機関の排気,燃費,出力の向上を実現するものである。
上記課題を解決するために、本発明の一手段として、燃料噴射装置により燃焼室内に燃料を直接供給する筒内噴射型内燃機関を制御する制御装置において、燃料噴射装置は電磁弁により駆動し、燃料噴射装置を制御して1回に噴く燃料を数回に分割して噴射するとともに、電磁弁への通電時間を、係数により補正し、前記係数は直前に通電した通電終了時期との噴射間隔により決定されるように制御した。
本発明によれば、可動子が弁ニードルに対して軸方向可動となる構造により、可動子の弁座やストッパに対する衝突動作(跳ね返り)を緩和する、いわゆる2次噴射防止機構を取入れたインジェクタにおいて発生する噴射応答遅れを補正し、分割噴射した際の燃料噴射の間隔により変化する燃料量を精密に制御することができる。その結果、燃料の分割噴射により燃料噴霧の貫徹力を低減することができ、燃料の壁面付着を顕著に抑制することができる。
本発明が実施される筒内噴射内燃機関の一例を図1に示す。
筒内噴射内燃機関1はシリンダヘッド2とシリンダブロック3と、シリンダブロック3内部を往復運動するピストン4を備えている。点火プラグ5は、シリンダヘッド2と、シリンダブロック3と、ピストン4とで囲まれた燃焼室11の中央部に配置される。燃焼室11内部に直接燃料を噴射供給するインジェクタ6は、燃焼室内に設けられた2つの吸気弁9の間に配置される。
シリンダヘッド2には燃焼室11に通じる吸気管7と排気管8とが形成され、燃焼室11と吸気管7および排気管8とをつなぐ流路は、それぞれ吸気弁9と排気弁10とで開閉する。
吸気弁9の上部に取付けられた吸気側バルブリフタ12が、吸気カム15によって押圧されリフトすることにより、吸気弁9が開閉駆動する。吸気カム15は吸気側カムシャフト14に取付けられる。
上部に取付けられた排気側バルブリフタ13が排気カム17によって排気弁が押圧されリフトする。排気カム17は排気側カムシャフト16に取付けられる。
図2にインジェクタ6の概略構成を示す。インジェクタ6は、2次噴射防止機構を備える。インジェクタ6は、磁界発生用のソレノイド18と、ソレノイド18により発生した磁界により吸引される可動子19と、弁ロッド20(プランジャロッド)と、弁座21(オリフィスプレート)と、弁ロッド戻しばね22と、可動子戻しばね23と、ストッパ24とから構成される。可動子戻しばね23よりも弁ロッド戻しばね22のほうがばね定数が大きくなるように設定されている。
インジェクタ6は、弁ロッド戻しばね22が弁ロッド20を弁座側に付勢されることで閉弁している。
ここで可動子戻しばね23は、板ばねを使用しても良い。
図3に筒内噴射内燃機関1の概略構成を示す。
吸気管7には、吸入される空気を浄化するエアクリーナ25,吸気流量を測定するエアフローセンサ26,吸気流量を制御する電子制御スロットル27,吸気管内部の脈動を抑制するサージタンク28が具備される。
また、排気管30の1番気筒と4番気筒との集合部および2番気筒と3番気筒との集合部にそれぞれ空燃比センサ31が、また各気筒すべての排気管が集合している部分に排気温度センサ32が取付けられ、この下流には排気浄化用の触媒33,触媒の温度を測る触媒温度センサ34が具備される。
エンジンコントロールユニット(以下、ECU29)は、双方向性バスを介して相互に接続されたマイクロプロセッサ(CPU101)と、リードオンメモリ(ROM102)と、ランダムアクセスメモリ(RAM103)と、入力回路104と、入出力ポート105とから構成されている公知のマイクロコンピュータである。
図4に示すようにECU29は、筒内噴射内燃機関1に取付けられたクランク角度センサ,吸気管圧力センサ,エアフローセンサ26,スロットル開度センサ,水温センサ,空燃比センサ31等の各種センサの入力信号を入力回路104を介して、入出力ポート105と接続されており、筒内噴射内燃機関1の状態を判定する。
入出力ポート105に送られた値は、RAM103に保管され、CPU101で演算処理される。演算処理内容を記述した制御プログラムは、ROM102に予め書き込まれている。制御プログラムに従って演算された各アクチュエータの作動量を示す値は、RAM103に保管された後、入出力ポート105内の出力ポートに送られ、各駆動回路を経て各アクチュエータに送られる。本実施形態の場合は、駆動回路として、電子制御スロットル駆動回路106と、インジェクタ駆動回路107と、点火出力回路108とがある。各回路は、それぞれ、電子制御スロットル27,インジェクタ6,点火プラグ5と接続されており、筒内噴射内燃機関1の状態に合わせて吸気量制御,燃料噴射期間制御,点火時期制御をしている。
図5〜図7はインジェクタ6の燃料噴射前(閉弁時)から燃料噴射中(開弁時),噴射終了直後(閉弁直後)の内部構成の概略を拡大した図である。
図5は、燃料を噴射していない閉弁時におけるインジェクタ6の状態を模式的に表現した概略図である。インジェクタ6が閉弁状態の時には、弁ロッド20が弁ロッド戻しばね22により弁座21に押し付けられる。さらに、弁ロッド戻しばね22は可動子戻しばね23と比較してばね定数が大きいため、可動子戻しばね23により開弁することは通常ない。
図6は、燃料を噴射している状態におけるインジェクタ6の内部状態を模式的に表現した概略図である。図6に示すように、燃料噴射時(開弁時)には、ECU29からの指令によりインジェクタ6のソレノイド18に駆動電流が入力される。そして、入力された駆動電流によって磁界が発生し、可動子19がソレノイド18側に吸引される。可動子19と弁ロッド20とは互いに引っかかるように形成されているため、弁ロッド20は可動子19と共に、弁ロッド戻しばね22の付勢力に抗して引き上げられる。この際、可動子19,弁ロッド20のリフト量はストッパ24により制限される。以上のように、ソレノイド18へ通電して可動子19が吸引されることで、弁ロッド20と弁座21との間に隙間が生じてインジェクタ6は、開弁状態となり、図示しない高圧ポンプにて加圧された高圧の燃料が燃焼室11に噴射される。
図7は、開弁状態から、ソレノイド18への駆動電流を停止することでインジェクタ6を閉弁させたとき(閉弁直後)におけるインジェクタ6の内部状態を模式的に表現した概略図である。図7に示すように、ソレノイド18に入力されていた駆動電流がなくなると、ソレノイド18にて作られていた磁界が消滅し、可動子19をストッパ側へ引き上げていた吸引力が無くなる。この際、弁ロッド20は、弁ロッド戻しばね22により弁座21に付勢されているため、可動子19と共に弁座側へ押し下げられる。弁ロッド20は、弁ロッド戻しばね22にて押し下げられると弁座21に当接して停止する。一方、可動子19は、弁ロッド20に対して軸方向に可動可能な構造となっている。従って、弁ロッド20が弁座21に当接して停止した後も、可動子19自身が持つ慣性力(運動エネルギー)によって、図5に示す可動子19の位置からさらに下方へと可動子戻しばね23を弾性変形させながら移動する。可動子19の運動エネルギーは可動子戻しばね23を弾性変形させることに使用されるため、弁ロッド20の弁座21への衝突が緩和され、弁ロッド20の跳ね返りが無くなり、2次噴射を抑制することができる。このダンパ作用は2次噴射の抑制に極めて高い効果を示す。この機構を2次噴射防止機構と呼ぶ。
しかし、一行程ないしは一サイクルの間に複数回の噴射を行う分割噴射を行う場合、燃料噴射を停止直後に、再び、燃料噴射を行う必要がある。それゆえ、図5に示す燃料噴射前のソレノイド18と可動子19との距離X1と比較して、図7に示すソレノイド18と可動子19との距離X2が離れている状態で、インジェクタ6のソレノイド18へ駆動電流を供給することになる。従って、可動子19が弁ロッド20を引き上げて、開弁状態にするまでの応答時間が長くなり、燃料噴射応答遅れが発生することになる。そのため、燃料量が低下し、分割噴射時の燃料量の偏りを生じさせることとなる。特に、分割噴射同士の時間間隔が短い近接分割噴射の場合にこの偏りは顕著となる。
図8は、分割噴射をした際の噴射燃料の変化を示した一例である。図8の上図に、インジェクタ6のソレノイド18へ供給する電流信号を示す。1回目の噴射を行うための電流を示す第1噴射信号パルス35と2回目の噴射を行うための電流を示す第2噴射信号パルス36とは同じパルス幅に設定する。第1噴射信号パルス35の終了と第2噴射信号パルス36の開始との間の時間間隔を噴射間隔37と定義する。噴射信号パルスがインジェクタ6に入力されている期間、ソレノイド18へ駆動電流が通電され、可動子19が弁ロッド20を弁ロッド戻しばね22に抗して引き上げ、図6に示す開弁状態となる。
ここで、図8下図に示すように噴射間隔37(横軸)が変化すると、分割噴射の2回目以降の噴射で要求される要求燃料量に基づいて設定された同一幅の第2噴射信号パルス36に対して、実燃料噴射量(第2噴射燃料量:縦軸)が変化することが解る。これは、図7で説明したように、第1噴射信号パルス35による燃料噴射が終了し、弁ロッド20が弁座21に当接した閉弁動作直後は、可動子19が下方へと可動子戻しばね23を弾性変形させながら移動している期間にあたるためである。つまり、可動子19を吸引するソレノイド18と可動子19との距離が、時間とともに変化する閉弁直後の期間での噴射間隔37の変化は、第2噴射信号パルス36の入力開始時期が変わることにつながり、ソレノイド18が可動子19の吸引を開始する距離が変わることになる。可動子19の位置によって、弁ロッド20が引き上げられるタイミングが変化するため、燃料噴射の応答遅れが起こる要因となり、結果的に第2噴射信号パルス36による燃料量が、要求燃料量に対して低下することになる。
また、噴射間隔37が非常に小さい場合、第1噴射信号パルス35の終了後、弁ロッド20が弁座21に当接する前に、第2噴射信号パルス36が再びソレノイド18へ入力される。この場合、インジェクタ6が閉弁する前に、再度、開弁するように弁ロッド20が駆動されるため、第1噴射信号パルス35と第2噴射信号パルス36による燃料噴射は、分割されずにつながった状態となる。図8の下図に示すように、噴射間隔37が0からT1までの区間が、上記の状態を示している。以上のことから、分割噴射をする場合には、インジェクタ6の特性に応じて、T1以降に噴射間隔を設定することが必要である。
図8の下図において、噴射間隔37がT1からT2の区間は、可動子19が閉弁時の状態から可動子戻しばね23を弾性変形させながら弁座21へ移動している状態である。このときに、第2噴射信号パルス36が入力された場合の燃料噴射量を示しており、時間の経過とともにソレノイド18と可動子19との距離が遠くなるため、燃料量は低下していく区間となる。
更に、噴射間隔T2からT3の間は、可動子19が可動子戻しばね23を弾性変形させながら弁座側へ移動し終わり、弁座側に下がりきった状態から、可動子戻しばね23により可動子19がソレノイド18の方へ押し戻され、可動子19が閉弁時の位置に戻っていく期間である。このときに、第2噴射信号パルス36が入力された場合の燃料噴射量を示しており、時間の経過とともにソレノイド18と可動子19との距離が近くなるため、第2噴射燃料量が要求燃料量に近づいてくる期間である。
以上から分かるように、図8に示した噴射間隔37と噴射応答遅れによる燃料量の低下は、可動子19とソレノイド18との距離が変化することにより起こるため、規則性があり、噴射間隔37により推定できる。そのため、図8に示す分割噴射時の噴射間隔37と燃料量の低下の関係から補正係数を決定し、その補正係数にて、ソレノイド18を駆動するための噴射信号パルスを補正することで、近接分割噴射時の燃料量を精密に制御することができる。つまり、第2噴射信号パルス36のパルス幅を補正し、噴射応答遅れ分だけ第2噴射信号パルス36を長くすることで、要求燃料量を噴射するものである。
図9は、分割噴射に対して、噴射間隔37により決定した補正係数により噴射応答遅れを補正し、燃料量補正制御を実施した一例である。この実施例では、図8と同様に、燃料噴射の分割回数は2回である。図9の上図では、時間に対する第1噴射信号パルス35と補正後第2噴射信号パルス38を示している。点線で示した第2噴射信号パルス36は、噴射間隔37に応じた補正を行わない場合である。図9の上図に示す補正後第2噴射信号パルス38は、図8に示した噴射間隔37と第2噴射燃料量との関係から求められる補正係数により、第2噴射信号パルス36を補正し、応答遅れ分だけパルス幅を長く設定していることを示す。
ここで、図8の下図に示す関係から噴射間隔37がT1からT2の区間では、噴射間隔37が長くなるに従い、噴射パルス幅の補正量は長くなる。また、噴射間隔37がT2からT3の区間にかけては、噴射間隔37が長くなるに従い、噴射パルス幅の補正量は短くなり、噴射間隔37がT2の場合に、噴射パルス幅の補正量が最大となる。本実施例においては分割噴射を二分割としているが、3回以上の場合であっても、2回目以降の噴射について同様の補正をすることが望ましい。
図10は分割噴射時に、噴射間隔により変化する燃料量を補正する際のECU29における制御ブロック図の一例を示している。インジェクタ6におけるソレノイド18へ入力する噴射信号パルスは、ECU29にて演算された要求燃料量に基づき決定される。先ず、パルス幅決定手段109にて、ECU29のROM102にマップ化され記憶されているインジェクタ6のパルス幅に対する噴射量マップを用いて要求燃料量からソレノイド18へ供給する噴射信号パルスを決定する。次に、パルス幅補正量決定手段110にて、分割噴射時の噴射間隔ΔTと燃料量の低下を補正するパルス幅補正係数αの補正係数マップ110を用いて、設定された噴射間隔ΔTからパルス幅補正係数を決定し、パルス幅決定手段109にて決定された噴射信号パルスと前記パルス幅補正係数から最終的な分割噴射時の補正後パルス幅を決定する。
図11は吸気行程を想定した、近接分割噴射制御ルーチンを示すフローチャートの一例であり、以下、図11に基づき分割噴射制御を説明する。
制御が開始されるとステップS11において、筒内噴射内燃機関1に取付けられた各センサから機関の回転数,冷却水の温度,排気ガス温度,空燃比,吸気流量,触媒温度が読み込まれる。
次にステップS12に進み、燃料の分割噴射の必要があるか判別される。ここで燃料の分割噴射が必要な場合とは、例えば冷間始動時が挙げられ、燃料噴霧が燃焼室11のシリンダ壁面やピストン冠面に付着することで排気が悪化するような場合である。
分割噴射が要求されない場合はS21に進み、1回噴射制御処理へと進む。
S12で分割噴射が必要と判断された場合、S13に進み、S11により読み込まれた吸気流量,空燃比などの値から、必要とされる全燃料量を演算する。
次に、S14に進み、燃料噴射の分割回数,噴射時期が決定される。分割回数の決定は、S13により演算された全燃料量とS11により読み込まれたエンジンの状態により決定され、燃料噴霧が燃焼室11の壁面へ付着しないように、燃料噴霧の貫徹力を十分低減できる分割回数を決定する。具体的には、S11から読み込んだ各種センサの値をもとに、エンジンの状態を判定し、エンジンの状態から1回に噴く燃料量をいくつ以下にする必要があるかという関係を予めECU29のROM102にマップ化し記憶させ、これを読み込むことで1回の燃料量を決定する。S13で必要とされる全燃料量が演算されているので、これをS14で決定した1回の燃料量で割ることで、分割回数が決定される。
噴射間隔の設定は、本実施例では分割回数により決定するようにした。具体的には、分割回数が多い場合には、噴射間隔を短く設定し、分割回数が少ない場合には長く設定する。分割回数が多い場合には、噴射間隔が長くなると、最終的な噴射終了時期が遅くなることになる。そのため、燃料噴射終了から点火までの燃料の気化時間が短くなり、液体燃料の残存による排気の悪化、混合気分布の不均質による燃焼の悪化を招く可能性があるためである。分割回数と噴射間隔の関係はECU29のROM102にマップ化し記憶されており、これを読み込むことで決定する。
次に、S15に進み、噴射パルス幅を決定する。これは、S14で分割回数を決定する際に、1回に噴射する燃料量を決定しているため、この値と、ECU29のROM102にマップ化し記憶されているインジェクタ6のパルス幅に対する噴射量マップを読み込むことで1回に噴射するパルス幅を決定する。
次に、S16に進み、分割噴射時の2回目以降の噴射にかかる応答遅れに起因する燃料量の変化を補正するため、補正係数の決定と、補正後の噴射パルス幅を決定する。具体的には、ECU29のROM102にマップ化し記憶されている分割噴射時の噴射間隔と燃料量の低下を補正する補正係数マップ110により、補正係数を決定し、S15にて決定した噴射パルス幅を補正することで最終的な分割噴射時の補正後パルス幅を決定する。S15,S16におけるECU29内部の制御ブロックの概要は、図10に示した通りである。
次に、S17に進み、ECU29のROM102にマップ化し記憶されている燃料の噴射開始時期を読み込み、決定する。分割回数が多い場合、噴射間隔を短くしても、全燃料の噴射期間は長くなる。そのため、燃料噴射終了から点火までの燃料の気化時間が短くなるため、分割噴射時の噴射開始時期は、噴射の終了時期を考慮し、1回噴射の噴射時期と比較すると早め(進角側)に設定される。この時のエンジン状態とは、具体的には、燃焼室11の温度が低く、燃料が気化しにくい条件である冷間始動時、或いは燃料の気化時間が相対的に短くなる回転数が高い運転条件などである。
次に、S18に進み、S14で決定した分割回数と噴射間隔、S16で補正した噴射信号パルス幅、S17で決定した噴射開始時期により分割噴射を実行する。
図12は、燃料噴射を1回に設定した場合における、燃焼室11の燃料噴霧挙動の一例である。噴射した燃料は貫徹力が大きいため、燃焼室11の壁面へ付着する。付着した燃料は、特に冷間始動時には気化しにくいため、HCの発生要因となり排気の悪化を招く。
HCは燃焼には寄与しない未燃燃料であることから、燃費の悪化にもつながる。さらに、シリンダ壁面への燃料の付着は、シリンダ壁面を潤滑しているオイルを希釈するため、シリンダ壁面の摩擦抵抗の増加を招き、機関の耐久性を低下させる。また、筒内噴射型内燃機関では、燃焼室11に直接燃料を噴射することで、気化冷却により吸気時の筒内温度を下げることで充填効率を上げ、出力を向上することができるが、壁面に燃料が付着した場合には、壁面の熱を奪い燃料が気化することになるため、燃焼室11の温度を下げることができず、気化冷却効果による十分な出力の向上を実現できない。
図13は、第1噴射と第2噴射の噴射信号パルスのパルス幅を同じ長さに設定して噴射させた分割噴射である。噴射信号に対して、第2噴射は応答遅れが起きるため、第1噴射燃料量に比較して、第2噴射燃料量が少なくなる。そのため、空燃比センサ31により検知される空燃比の値は、第2噴射燃料量が低下する分だけ減少し、設定値とずれるため、ECU29からのフィードバック制御により1回目と2回目の燃料噴射信号パルスの両方にパルス幅を増幅するように制御する。そのため、均等に燃料量を分割できず、燃料噴霧の貫徹力を十分に低減することができないため、燃料の壁面付着が発生する。
図14は、本発明を適用し、噴射間隔により噴射信号パルスを補正することで、2回目以降の燃料量の低下を補正した近接分割噴射を実施した場合における、燃焼室11の燃料噴霧挙動の一例である。第1噴射燃料量と第2噴射燃料量を均等に分割できるため、燃料噴霧の貫徹力を低減し、燃料の壁面付着を抑制できる。そのため、特に冷間始動時にはHCの発生を抑制し、排気を向上することができる。さらに、シリンダ壁面へのオイル希釈がないため、機関の耐久性を低下させることがない。また、気化冷却効果により充填効率を上げられるため、出力を向上することができる。
筒内噴射型内燃機関の概略図。 2次噴射防止機構を備えたインジェクタの一例。 筒内噴射型内燃機関の概略構成図。 エンジンコントロールユニット(ECU)。 燃料噴射前(閉弁時)のインジェクタの内部概略図。 燃料噴射時(開弁時)のインジェクタの内部概略図。 燃料噴射終了直後(開弁直後)のインジェクタの内部概略図。 噴射応答遅れ発生時の燃料噴射量と噴射間隔との関係。 補正係数により噴射信号パルスを補正した場合の燃料噴射量。 ECU内での分割噴射時のパルス補正のイメージ図。 分割噴射時の制御ルーチンの一例を示すフローチャート。 燃料1回噴射時のシリンダ筒内燃料挙動。 噴射応答遅れにより燃料量に偏りが生じた近接分割噴射時のシリンダ筒内燃料挙動。 噴射応答遅れを補正係数により補正した近接分割噴射時のシリンダ筒内燃料挙動。
符号の説明
1 筒内噴射内燃機関
2 シリンダヘッド
3 シリンダブロック
4 ピストン
5 点火プラグ
6 インジェクタ
7 吸気管
8 排気管
9 吸気弁
10 排気弁
11 燃焼室
12 吸気側バルブリフタ
13 排気側バルブリフタ
14 吸気側カムシャフト
15 吸気カム
16 排気側カムシャフト
17 排気カム
18 ソレノイド
19 可動子
20 弁ロッド
21 弁座
22 弁ロッド戻しばね
23 可動子戻しばね
24 ストッパ
25 エアクリーナ
26 エアフローセンサ
27 電子制御スロットル
28 サージタンク
29 ECU
30 排気管
31 空燃比センサ
32 排気温度センサ
33 触媒
34 触媒温度センサ
35 第1噴射信号パルス
36 第2噴射信号パルス
37 噴射間隔
38 補正後第2噴射信号パルス
101 CPU
102 ROM
103 RAM
104 入力回路
105 入出力ポート
106 電子制御スロットル駆動回路
107 インジェクタ駆動回路
108 点火出力回路
109 パルス幅決定手段

Claims (4)

  1. 弁座と、弁体である弁ロッドと、ソレノイドと、前記弁ロッドに嵌合し、前記弁ロッドに対し軸方向に可動である可動子と、ソレノイドとを有し、前記ソレノイドに通電することにより、可動子が吸引されると共に前記弁ロッドを弁座から離して開弁する燃料噴射弁の制御装置であって、
    前記燃料噴射弁が取付けられる内燃機関の一行程ないしは一サイクルに複数回燃料噴射する分割噴射を行う場合に、
    燃料噴射N1の噴射終了時期と前記燃料噴射N1の次の燃料噴射N2の噴射開始時期との噴射間隔に応じて、前記燃料噴射N2の燃料噴射期間を決定することを特徴とする制御装置。
  2. 前記噴射間隔は、ソレノイドへの電流を停止してから前記弁座と弁ロッドとが当接するまでの時間よりも長くすることを特徴とする請求項1記載の制御装置。
  3. 前記燃料噴射期間の決定は前記噴射間隔と噴射応答遅れによる燃料量の低下量との関係から演算することを特徴とする請求項1記載の制御装置。
  4. 前記噴射間隔は、分割噴射の回数に応じて決定することを特徴とする請求項1記載の制御装置。
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