JP2009250184A - 内燃機関のバルブタイミング制御装置 - Google Patents

内燃機関のバルブタイミング制御装置 Download PDF

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Abstract

【課題】位相変更機構による相対回転位相の特に進角側への変換応答性の向上を図る得るバルブタイミング制御装置を提供する。
【解決手段】拡径部4bに揺動自在に支持されて、渦ディスクの渦巻き溝15に係合案内される係合ピン11を介して揺動するリンク部材8と、渦ディスクの回転位置に応じて渦巻き溝を介して係合ピンを径方向に移動させることによりタイミングスプロケット2とカムシャフトの相対回転位相を変更させる位相変更機構とを備えている。前記リンク部材は、リンク本体8aの基端部8bの外端に鎌形形状の付加重量部25を一体に有し、この付加重量部によってリンク部材の揺動支点であるピン9の軸心P位置が、常時リンク部材全体の重心G位置となるように形成して、遠心力による係合ピンの内側への移動速度の影響を回避した。
【選択図】図6

Description

本発明は、例えば内燃機関の吸気弁または排気弁の開閉タイミングを、電磁ブレーキ力を介して可変制御する内燃機関のバルブタイミング制御装置に関する。
前記バルブタイミング制御装置は、機関のクランク軸から回転力が伝達されるタイミングスプロケットと、該タイミングスプロケットに対して所定の角度範囲内で相対回転自在に支持されたカムシャフトと、該カムシャフトに連結された従動軸部材と、前記タイミングスプロケットと前記従動軸部材との間に設けられ、機関運転状態に応じて前記タイミングスプロケットとカムシャフトの相対回転位相を変換させる位相変更機構とを備えている。
この位相変更機構は、前記タイミングスプロケットに形成された径方向ガイド窓と、中間回転体に形成された渦巻き状ガイド(渦巻き溝)と、一端部が前記従動軸部材にピンを介して揺動自在に設けられて、先端部が前記径方向ガイド内を径方向移動可能に配置されたリンク部材と、該リンク部材の先端部に設けられて、先端の球状部が前記渦巻き状ガイドに係合した係合部と、機関運転状態に応じて前記中間回転体にブレーキ力を付与するヒステリシスブレーキとを備えている。
そして、前記ヒステリシスブレーキにより前記中間回転体に電磁ブレーキを作用させると、前記係合部が径方向ガイドに沿って径方向に移動しつつ渦巻き状ガイド内を摺動して前記リンク部材が揺動することによって前記中間回転体を一方向へ回転させて、前記タイミングスプロケットと前記従動軸部材(カムシャフト)とを所定の角度範囲内で相対的に回転させるようになっている。
ところで、前記リンク部材には、前記従動軸部材などの回転に伴う遠心力が大きなモーメントとして作用することによってリンク部材の先端側の係合部と渦巻き状ガイドの接触抵抗が増大して装置の作動応答性が低下してしまう。
そこで、本出願人が先に出願した以下の特許文献1に記載されたバルブタイミング制御装置のように、リンク部材に付加重量部を設けることにより、リンク部材の重心を径方向内側の揺動支点と外側の揺動支点を結ぶ直線上からずらして、前記リンク部材の揺動支点回りに作用するモーメントを低減させ、装置の作動応答性を向上させるようになっている。
特開2004−052729号公報
しかしながら、前記公報記載のバルブタイミング制御装置にあっては、付加重量部によってリンク部材の傾斜角度によっては該リンク部材の重心が前記内側の揺動支点を通る法線と一致するが、それ以外の傾斜角度ではリンク部材の重心が法線に対してずれてしまうため、特に、高回転時における前記モーメントの影響を十分に回避することができない。
この結果、全ての機関運転状態においても装置の作動応答性の低下を抑制することは不可能である。
本発明は前記従来の技術的課題を解決するために案出されたもので、請求項1に記載の発明は、機関のクランク軸によって回転駆動される駆動回転体と、カムシャフトに固定され、前記駆動回転体から回転力が伝達される従動回転体と、前記駆動回転体と従動回転体とに対して相対回転可能に設けられ、円周方向に縮径するガイドを有する中間回転体と、
前記駆動回転体または従動回転体に揺動自在に支持されて、前記ガイドに係合案内される係合部を介して揺動するリンク部材と、前記中間回転体の回転位置に応じて前記ガイドを介して前記係合部を径方向に移動させることにより前記駆動回転体と従動回転体の相対回転位相を変更させる位相変更機構と、機関の状態に応じて前記中間回転体に回転力を付与するアクチュエータと、を備え、前記リンク部材は、揺動支点となる揺動軸の位置がリンク部材全体の重心位置となるウエイトを有することを特徴としている。
この発明によれば、ウエイトによってリンク部材の揺動軸の位置が常時リンク部材全体の重心位置となるようにしたことから、リンク部材の揺動支点回りのモーメントを充分に低減させることができる。この結果、たとえ機関高回転時においても装置の作動応答性が向上する。
以下、本発明に係る内燃機関のバルブタイミング制御装置の実施形態を図面に基づいて説明する。なお、この実施形態は、内燃機関の吸気弁側の動弁装置に適用したものであるが、内燃機関の排気弁側の動弁装置に同様に適用することも可能である。
このバルブタイミング制御装置は、図1〜図3に示すように、内燃機関の図外のシリンダヘッドに回転自在に支持されたカムシャフト1と、このカムシャフト1の前端側に必要に応じて相対回動可能に設けられた駆動回転体であるタイミングスプロケット2と、該タイミングスプロケット2の内周側に配置されて、両者1,2の相対回転位相を変更する位相変更機構3とを備えている。
前記カムシャフト1は、外周に吸気弁を開作動させる一気筒当たり2つのカム1a、1aを有すると共に、先端部に従動回転体である従動軸部材4がカムボルト5によって軸方向から結合され、前記従動軸部材4の先端部にはスリーブ6が螺着固定されている。
前記従動軸部材4は、内部軸方向に形成された貫通孔を介して前記カムボルト5が挿通する円筒状の軸部4aと、該軸部4aのカムシャフト1側の端縁に一体に形成された段差径状の大径な拡径部4bとを備えている。前記軸部4aの先端部外周には、前記スリーブ6が螺着する雄ねじが形成されている。前記拡径部4bには、カムシャフト1側の端部内周側に放射状に2つのレバー突起4cが突設されていると共に、該レバー突起4cの内部にそれぞれ保持孔4dが貫通形成されている。
前記スリーブ6は、カムシャフト1側の一端部の内周面に軸部4aの雄ねじに螺合する雌ねじ6aが切られていると共に、前記軸部4aに最大にねじ込まれた後に、前記雌ねじ6aの先端部が軸部4aの先端面側に回り止めのために、円環状のかしめ加工が施されている。
前記タイミングスプロケット2は、外周に図外のタイミングチェーンを介してクランク軸に連係されるリング状のギア歯車2aが外周に一体に形成されていると共に、このギア歯車2aの内周側にはほぼ円板状のプレート部材2bを有している。また、このプレート部材2bの中央に形成された挿通孔2cの内周面が前記従動軸部材4の軸部4aの外周に回転自在に支持されている。
また、前記プレート部材2bには、対面する平行な側壁を有するガイドである2つ径方向窓孔7,7がタイミングスプロケット2のほぼ直径方向に沿うように貫通形成されていると共に、この2つの径方向窓孔7、7の間に2つのガイド孔2d、2dが貫通形成されている。
前記ガイド孔2d、2dは、前記挿通孔2bの外周部に円周方向に沿って円弧状に形成されて、後述する2つのリンク部材8,8のリンク本体8a、8aの各基端部8b、8bが周方向へ移動可能に係入保持されるようになっていると共に、その円弧長さは前記各基端部8bが移動する範囲内(カムシャフト1とタイミングスプロケット2の相対回動範囲内)の大きさに設定されている。
前記各リンク部材8は、前記従動軸部材4の拡径部4bの円周方向のほぼ180°位置に配置され、リンク本体8aがほぼ円弧状に折曲形成されていると共に、該各リンク本体8aの各基端部8bが内部にピン孔8dを有する円筒状に形成されていると共に、先端部8cも円筒状に形成されて、前記各基端部8b及び各先端部8cがプレート部材2b側に突出している。また、前記各レバー突起4cの各保持孔4dに、前記それぞれピン9、9の一端部が圧入固定されていると共に、該両ピン9,9の各他端部に前記各リンク部材8の各基端部8bがピン孔8dを介して回転自在に連結されている。
また、各リンク部材8は、各先端部8cが前記各径方向窓孔7にそれぞれ係入していると共に、該各先端部8cには、軸方向の前方側に開口する収容穴10が形成されている。この収容穴10には、前記各径方向窓孔7を介して、後述する中間回転体である渦ディスク13の渦巻き溝15に係合する球面状の先端部を有する係合部である係合ピン11と、この係合ピン11を前方側(渦巻き溝15側)に付勢するコイルばね12が収容されている。
そして、各リンク部材8は、各先端部8cが対応する前記各径方向窓孔7に係入した状態において、該各基端部8bがピン9を介して前記従動軸部材4に連結されているため、各先端部8c側が、外力を受けて各径方向窓孔7に沿って径方向へ変位すると、タイミングスプロケット2と従動軸部材4とは、各基端部8bが各ガイド孔2dに沿って相対回動して、各基端部8bの変位に応じた方向及び角度だけ相対回動する。
一方、前記プレート部材2bの前方側に対向配置された前記円板状の渦ディスク13は、ボールベアリング14を介して前記軸部4a外周に回転自在に支持されており、前記ボールベアリング14の外輪が固定された筒状部13aと、該筒状部13aの後端に一体に設けられたディスク部13bと、から構成されている。
前記ディスク部13bは、円盤状に形成されて、前記カムシャフト1側の後面に渦巻き状ガイドである断面半円状の2条の渦巻き溝15が形成されていると共に、この各渦巻き溝15に前記各リンク部材8の各係合ピン11の先端部が摺動自在に係合案内されるようになっている。
前記各渦巻き溝15は、図2に示すように、互いに分離されて、タイミングスプロケット2の回転方向に沿って次第に縮径するように形成されていると共に、渦(位相)の変化率が一定に形成されている。
そして、各係合ピン11が渦巻き溝15に係合した状態において、渦ディスク13がタイミングスプロケット2に対して遅れ方向に相対回動すると、各リンク部材8の先端部8cは各径方向窓孔7に案内されつつ、渦巻き溝15の渦巻き形状に誘導されて半径方向の内側(進角側)に移動し、逆に、渦ディスク13が進み方向に相対変位すると、半径方向最も外側に移動して、係合ピン11が前記渦巻き溝15の半径方向の外側(遅角側)に移動する。なお、この半径方向の最大外側の位置では機関始動に適した位相になるように設定されている。
前記渦ディスク13は、操作力付与機構によってカムシャフト1に対する相対的な回動操作力が入力されると、その操作力が各渦巻き溝15と各係合ピン11の先端部11aを通してリンク部材8の先端部8cを各径方向窓孔7内で径方向に変位させ、このときリンク部材8の作用でもってタイミングスプロケット2と従動軸部材4に相対的な回動力を伝達する。
前記操作力付与機構は、図1に示すように、渦ディスク13を、前記スリーブ6を介してタイミングスプロケット2の回転方向に付勢するトーションスプリング16と、渦ディスク13をタイミングスプロケット2の回転方向と逆方向に制動付勢するアクチュエータであるヒステリシスブレーキ17と、該ヒステリシスブレーキ17の制動力を機関運転状態に応じて制御するコントローラ24とを備え、機関の運転状態に応じてヒステリシスブレーキ17の制動力を適宜制御することにより、渦ディスク13をタイミングスプロケット2に対して相対回動させ、あるいは両者の回動位置を維持するようになっている。
前記トーションスプリング16は、前記スリーブ6の外周側に配置され、その一端部16aがスリーブ6の先端部に形成された係止孔に径方向から挿通係止されている一方、他端部16bが前記筒状部13aの内部軸方向に形成された係止孔に挿通係止されて、機関停止後に前記渦ディスク13を始動用の回転位相方向へ回転付勢するようになっている。
前記ヒステリシスブレーキ17は、渦ディスク13の外周側前端部に固定状態に取り付けられたヒステリシスリング18と、該ヒステリシスリング18の前端部に配置された円環状のコイルヨーク19と、該コイルヨーク19の内部に収容配置されて、該コイルヨーク19に磁気を誘導する電磁コイル20とを備え、この電磁コイル20が機関の運転状態に応じて前記コントローラ24によって通電制御されることによって比較的大きな磁束が発生するようになっている。
前記ヒステリシスリング18は、前記外部の磁界の変化に対して位相遅れをもって磁束が変化する特性をもつヒステリシス材(半硬質材)によって形成されている。
前記コイルヨーク19は、電磁コイル20を取り囲むように全体がほぼ円筒形状に形成され、内周側でボールベアリング23を介して前記筒状部13aに回転自在に支持されていると共に、図外のガタ吸収機構を介してエンジンカバーに固定されている。
また、前記コイルヨーク19は、後面側(渦ディスク13側)の空間部の内周側に環状ヨーク部19aを有し、前記空間部の内周面と該内周面に対向する環状ヨーク部19aの外周面に凸状の極歯21、22がそれぞれ円周方向へ等間隔で複数設けられている。前記対向する各極歯21,22は、図4に示すように、一方の極歯21と他方の極歯22が円周方向に交互に配置され、対向する前記内外周面相互の近接する極歯21,22がすべて円周方向にずれている。したがって、両対向面の近接する極歯21,22間には、電磁コイル20の励磁によって円周方向に傾きをもった磁界が発生する。
また、極歯21,22間の隙間には、前記ヒステリシスリング18の先端部18aが非接触状態で介装されており、該先端部18aの内外周面と前記極歯21、22との間のエアギャップは、大きな磁力を確保するために微小隙間に設定されている。
前記ヒステリシスブレーキ17は、ヒステリシスリング18が対向面21,22間の磁界内を変位するときに、ヒステリシスリング18の内部の磁束の向きと磁界の向きのずれによって制動力を発生するものであるが、その制動力は、ヒステリシスリング18の回転速度(前記対向内外周面とヒステリシスリング18の相対速度)に関係なく、磁界の強さ、つまり、電磁コイル20の励磁電流の大きさに略比例した一定の値となる。
前記コントローラ24は、機関の回転数を検出するクランク角センサや機関の吸入空気量から負荷を検出エアーフローメーター、スロットルバルブ開度及び機関水温センサなどの各種のセンサ類からの検出信号に基づいて現在の機関運転状態を検出して、機関運転状態に応じて電磁コイル20に制御電流を出力するようになっている。
前記位相変更機構3は、前記タイミングスプロケット2の径方向窓孔7、リンク部材8、係合ピン11、レバー突起4c、渦ディスク13、渦巻き溝15及び以下の操作力付与機構等によって構成されている。
なお、前記位相変更機構3の内部には、機関の動弁系に潤滑油を供給する図外のメインオイルギャラリーからカムシャフト1の内部などに形成されたオイル供給回路を介して潤滑油(オイル)が循環供給されるようになっている。これによって、ヒステリシスブレーキ17の作動によって高熱となった前記電磁コイル20が冷却されて電気抵抗の増加が防止されると共に、渦巻き溝15と係合ピン11などの摺動部の潤滑を図るようになっている。
そして、前記各リンク部材8は、図3、図5〜図8に示すように、各リンク本体8aの基端部8b側にウエイトである付加重量部25が設けられている。
この付加重量部25は、図8に示すように、前記基端部8bの外周に先端部8cと反対側の位置に一体に設けられ、リンク本体8aと同じ金属材によってほぼ鎌形三日月状に形成されて、前記基端部8bのピン孔8dの軸心Pと先端部8cの収容孔10の軸心P1とを結ぶ直線Qを中心として拡径部4bの周方向左右の異なる方向へ延出した2つの重量部位である第1突部25a、第2突部25bを有していると共に、その幅長さWは前記リンク本体8aとほぼ同一に設定されている。
前記第1突部25aは、その円周方向の長さが比較的短く形成されているのに対して、第2突部25bは、その長さが長く形成されていると共に、該第2突部25bの上面25dが円弧状に切欠されており、これら第1、第2突部25a、25bの重量調整によって後述する重心G位置を調整するようになっている。
かかる付加重量部25は、該付加重量部25を含めた前記リンク部材8全体の重心Gが前記基端部8bのほぼ軸心P、つまりリンク部材8の揺動中心となる前記各ピン9のほぼ軸心位置となるようにその形状や質量が設定されている。なお、この重心Gの位置は、必ずしも前記軸心Pと同一の位置にある必要はなく、前記ピン9の径内のいずれかの位置に設定することも可能である。
また、この付加重量部25は、図6に示すように、前記係合ピン11が径方向窓孔7を介して渦ディスク13の最も内周側に位置したときのリンク部材8の傾斜角度位置でその外周面25cが前記拡径部4bの外周面4eに沿って位置して、該外周面4eよりも内側に位置する外形に形成されている。
以下、この実施の形態の作用について説明する。
まず、機関停止時には、ヒステリシスブレーキ17の電磁コイル20の励磁をオフにしておくことにより、トーションスプリング16のばね力によって渦ディスク13をタイミングスプロケット2に対して機関回転方向へ最大に回転させておく。これにより、係合ピン11は、図5に示すように、球状先端部が渦巻き溝15の先端溝部15aに位置して、クランク軸とカムシャフト1の相対回転位相(機関弁の開閉タイミング)は始動に最適な位置に保持されている。
したがって、機関始動のためにイグニッションキーを操作して電源をオンにすると、前記係合ピン11が渦巻き溝15の先端溝部15aに安定に保持されていることから、良好な始動性を確保することができると共に、排気エミッション性能の低下を防止できる。
その後、機関がアイドル運転などの低回転域に移行しようとすると、前記コントローラ24から電磁コイル20に発された制御電流によって、ヒステリシスブレーキ17に磁力が発生して、トーションスプリング16の力に抗する制動力が渦ディスク13に付与される。
したがって、前記係合ピン11は、渦巻き溝15の先端溝部15aから速やかに脱出し、渦ディスク13が、タイミングスプロケット2の回転方向に対して僅かに逆方向に回転し、それによってリンク部材8の先端の係合ピン11が各渦巻き溝15に誘導されてリンク部材8の基端部8bが径方向窓孔7に沿って外側に揺動し、リンク部材8の作用によってタイミングスプロケット2と従動軸部材4の回転位相角が所定の位相に変更される。
この結果、クランク軸とカムシャフト1の相対回転位相が機関運転状態に応じた任意な位相に変更される。これによって、アイドル運転時の機関回転の安定化と燃費の向上が図れる。
そして、この状態から機関の運転が通常運転に移行して、例えば高回転時になると、前記回転位相を最進角側に変更すべき指令が前記コントローラ24から発され、電磁コイル20にさらに大きな電流が供給されて、トーションスプリング16の力に抗する制動力が渦ディスク13に付与される。
これにより、渦ディスク13がタイミングスプロケット2に対してさらに逆方向に回転し、それによってリンク部材8の先端の係合ピン11が各渦巻き溝15に誘導されてリンク部材8の基端部8bが、図6に示すように、径方向窓孔7に沿ってさらに最大内側に揺動し、リンク部材8の作用によってタイミングスプロケット2と従動軸部材4の相対回転角が最進角側に変更される。
この結果、クランク軸とカムシャフト1の回転位相が最進角側に変更され、それによって機関の高出力化が図られることになる。
このとき、前記リンク部材8は、従動軸部材4や渦ディスク13などの回転に伴って大きな遠心力が作用して各先端部8c側が各径方向窓孔7の外側(遅角方向)に回転モーメントによるトルクTDが発生するが、リンク部材8全体の重心G位置が前記付加重量部25によって、常にほぼ基端部8bの軸心P位置にあるため、位相角全域で前記トルクをほぼ0とすることができるため、前記リンク部材8の進角側への作動応答性の低下を低減することができる。
すなわち、図9は本実施例のような付加重量部25を有しない従来のリンク部材8に作用する遠心力の影響を表したベクトルを示す図であって、図中、TDは渦ディスク13を時計方向に回転させるモーメントで、カムシャフト1の回転位相を遅角側へ変換させるトルクとして作用する。Gはリンク部材8の重心位置、F1は渦ディスク13の中心から径方向に作用する遠心力、F2は遠心力によって渦ディスク13に入る反力、mはリンク部材8全体の重量、Rは渦ディスク13の回転中心と前記重心Gまでの距離、rは渦ディスク13の回転中心からF2までの法線距離、r1はリンク部材8の基端部側のピン9の軸心と前記渦ディスク13の回転中心と重心Gとを結ぶ線(F1)までの法線距離、r2はリンク部材8の基端部側のピン9の軸心と前記F2までの法線距離、ωはカムシャフトの角速度である。
F2=F1・(r1/r2) F1=m・R・ω2 であり、
そして、TD=2・F2・rの式から回転モーメントによるトルクTDを求めると、前記付加重量部25を有しない従来技術では、リンク部材8に作用するトルクTDが、図10の太い実線で示すように、大きく変化して0にすることができない。特に機関の低中回転域から高回転域に移行した際におけるリンク部材8の倒れ方向、つまり各係合ピン11が各径方向窓孔7の内周側への移動応答性が低下してしまう。この結果、タイミングスプロケット2とカムシャフト1の相対回転位相の遅角側から進角側への変換角θの変更速度が緩慢になって、機関運転状態の変化に応じた機関出力トルクを速やかに得られない。
これに対して、本実施例では、前述のように、付加重量部25の特異な形状及び質量に設定することよって、リンク部材8の重心G位置が常に前記ピン9のほぼ軸心位置となっていることから、TDが図10の細い実線で示すように、TD≒0の状態とすることができるため、係合ピン11の径方向窓孔7の内側への移動速度、つまり前記両者1,2の相対回転位相の進角側への変換角θの変更速度を十分に高めることが可能になる。
この結果、機関高回転域での機関出力トルクを速やかに立ち上げることが可能になる。
なお、低回転域から中回転域への移行時における前記両者1,2の相対回転位相の変換時の作動応答性も向上する。また、進角側から遅角側への変換時には、遠心力の僅かながらも影響を受けてその作動応答性が高くなっている。
また、この実施例では、前記リンク部材8のいずれの傾斜位置においても、前記付加重量部25の外周面25cが拡径部4bの外周面4eや渦ディスク13の外周面から外方へ突出することがないため、該付加重量部25が例えばタイミングスプロケット2の内周面などの他の構成部材に干渉することがない。したがって、付加重量部25や他の構成部材の破損や干渉打音などの発生を回避できる。
また、第2突部25bの円弧状の上面25dによって、図5に示すように、前記係合ピン11が最大外側の位置に移動した際に、従動軸部材4の軸部4aの外周面との干渉が回避できる。
また、前記付加重量部25は、図8の一点鎖線で示すように、その材質をリンク本体8aとは異ならせて、さらに高い質量とすることによってその大きさを小さくすることも可能である。
さらに、前記付加重量部25は、リンク本体8aと一体に形成されていることから、例えば型成形によって成形できるので、その製造作業が容易になりコストの点でも有利である。
〔第2実施例〕
図11及び図12は前記付加重量部25のさらに異なる形状を示し、全体形状がほぼ三日月状に形成されて、第1突部25a側の形状が小さな突起状に形成され、第2突部25b側が比較的幅広の円弧状に形成されている。このように、バルブタイミング制御装置の仕様や大きさなどによって付加重量部25の形状や肉厚などを自由に変更することが可能になる。そして、かかる付加重量部25によってリンク部材8の重心Gを、常時、基端部8b側のピン9のほぼ軸心位置に設定することができるので、機関低回転あるいは中回転域から高回転域への移行時のリンク部材8の作動応答性を高めることが可能になる。
本発明は、前記各実施例の構成、特に付加重量部25の形状や質量を自由に変更することによっていずれのバルブタイミング制御装置にも適用することが可能になる。また、前記付加重量部25をリンク本体8aとは別体に形成することも可能である。
本発明の第1実施例の内燃機関のバルブタイミング制御装置を示す縦断面図である。 本実施例のバルブタイミング制御装置を分解して一方向からみた斜視図である。 本実施例のバルブタイミング制御装置を分解して他方向からみた斜視図である。 図1のA−A線断面図である。 本実施例の機関始動時における回転位相制御時の作動状態を示す図1のB−B線断面図である。 本実施例の機関高回転時における回転位相制御時の作動状態を示す図1のB−B線断面図である。 本実施例に供される付加重量部の斜視図である。 本実施例に供される付加重量部の正面図である。 付加重量部を有しない従来のバルブタイミング制御装置のリンク部材に作用する遠心力の説明図である。 前記本実施例と従来のバルブタイミング制御装置におけるリンク部材に対する回転モーメントのトルクTD特性図である。 第2実施例に供されるリンク部材の斜視図である。 本実施例のリンク部材の正面図である。
符号の説明
1…カムシャフト
2…タイミングスプロケット(駆動回転体)
3…位相変更機構
4…従動軸部材(従動回転体)
7…径方向窓孔
8…リンク部材
8a…リンク本体
8b…基端部
8c…先端部
9…ピン
11…係合ピン(係合部)
13…渦ディスク(中間回転体)
15…渦巻き溝(ガイド)
16…トーションスプリング
17…ヒステリシスブレーキ(アクチュエータ)
25…付加重量部(ウエイト)
25a、25b…第1、第2突部
G…リンク部材の重心

Claims (9)

  1. 機関のクランク軸によって回転駆動される駆動回転体と、
    カムシャフトに固定され、前記駆動回転体から回転力が伝達される従動回転体と、
    前記駆動回転体と従動回転体とに対して相対回転可能に設けられ、円周方向に縮径するガイドを有する中間回転体と、
    前記駆動回転体または従動回転体に揺動自在に支持されて、前記ガイドに係合案内される係合部を介して揺動するリンク部材と、
    前記中間回転体の回転位置に応じて前記ガイドを介して前記係合部を径方向に移動させることにより前記駆動回転体と従動回転体の相対回転位相を変更させる位相変更機構と、
    機関の状態に応じて前記中間回転体に回転力を付与するアクチュエータと、を備え、
    前記リンク部材は、揺動支点となる揺動軸の位置がリンク部材全体の重心位置となるウエイトを有することを特徴とする内燃機関のバルブタイミング制御装置。
  2. 請求項1に記載の内燃機関のバルブタイミング制御装置において、
    前記リンク部材の重心位置は、前記揺動軸の軸心とほぼ一致していることを特徴とする内燃機関のバルブタイミング制御装置。
  3. 請求項1に記載の内燃機関のバルブタイミング制御装置において、
    前記ウエイトは、リンク本体の前記係合部と反対側の端部側から突設されて、該端部を中心に互いに異なる方向へ延出した突部によって前記リンク部材全体の重心位置を調整したことを特徴とする内燃機関のバルブタイミング制御装置。
  4. 機関のクランク軸によって回転駆動される駆動回転体と、
    カムシャフトに固定され、前記駆動回転体から回転力が伝達される従動回転体と、
    前記駆動回転体と従動回転体とに対して相対回転可能に設けられ、円周方向に縮径するガイドを有する中間回転体と、
    前記駆動回転体または従動回転体に揺動自在に支持されて、前記ガイドに係合案内される係合部を介して揺動するリンク部材と、
    前記中間回転体の回転位置に応じて前記ガイドを介して前記係合部を径方向に移動させることにより前記駆動回転体と従動回転体の相対回転位相を変更させる位相変更機構と、
    機関の状態に応じて前記中間回転体に回転力を付与するアクチュエータと、を備え、
    前記リンク部材の揺動支点を中心とした前記係合部と反対側の位置に付加重量部が設けられ、
    該付加重量部は、前記リンク部材が所定の角度で傾斜している場合に、前記揺動支点を中心として前記中間回転体のほぼ周方向の両側に延出した重量部位を有することを特徴とする内燃機関のバルブタイミング制御装置。
  5. 請求項4に記載の内燃機関のバルブタイミング制御装置において、
    前記リンク部材は、前記係合部が前記ガイドを介して中間回転体の最も内周側に位置したときの傾斜角度位置で、前記重量部位の外周縁が前記中間回転体の周方向に沿って位置することを特徴とする内燃機関のバルブタイミング制御装置。
  6. 機関のクランク軸によって回転駆動される駆動回転体と、
    カムシャフトに固定され、前記駆動回転体から回転力が伝達される従動回転体と、
    前記駆動回転体と従動回転体とに対して相対回転可能に設けられ、円周方向に縮径するガイドを有する中間回転体と、
    前記駆動回転体または従動回転体に揺動自在に支持されて、前記ガイドに係合案内される係合部を介して揺動するリンク部材と、
    前記中間回転体の回転位置に応じて前記ガイドを介して前記係合部を径方向に移動させることによって前記駆動回転体と従動回転体の相対回転位相を変更させる位相変更機構と、
    機関の状態に応じて前記中間回転体に回転力を付与するアクチュエータと、を備え、
    前記リンク部材は、揺動支点を中心とした前記係合部とほぼ反対側の位置に付加重量部を有し、
    該付加重量部は、前記リンク部材の揺動支点と係合部の中心点とを結ぶ線を中心として両側に突出した突部を有していることを特徴とする内燃機関のバルブタイミング制御装置。
  7. 請求項6に記載の内燃機関のバルブタイミング制御装置において、
    前記付加重量部は、前記リンク部材のリンク本体の傾斜角度のいずれの位置であっても、前記中間回転体の外側部よりも内側に位置するように形成されていることを特徴とする内燃機関のバルブタイミング制御装置。
  8. 請求項7に記載の内燃機関のバルブタイミング制御装置において、
    前記係合部が前記ガイドを介して中間回転体の最も内周側に位置したときにおける前記リンク部材の傾斜角度位置での前記付加重量部は、外周縁が前記中間回転体外周部よりも内側でかつ中間回転体の周方向に沿った形状に形成されていることを特徴とする内燃機関のバルブタイミング制御装置。
  9. 請求項6に記載の内燃機関のバルブタイミング制御装置において、
    前記リンク部材は、前記中間回転体の周方向のほぼ等間隔位置に複数設けられていることを特徴とする内燃機関のバルブタイミング制御装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JPS61178189A (ja) * 1985-01-31 1986-08-09 川崎重工業株式会社 垂直型5節平行リンク機構
JP2004052729A (ja) * 2002-07-24 2004-02-19 Hitachi Unisia Automotive Ltd 内燃機関のバルブタイミング制御装置

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