JP2009252574A - El装置 - Google Patents

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秀高 林
Toshihisa Shimo
俊久 下
Kazuhito Kawasumi
一仁 川澄
Atsushi Kidokoro
敦 城所
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Abstract

【課題】高い封止性を有し、且つ、割れにくい封止膜を設けることで厚さを薄くしたEL装置を提供する。
【解決手段】有機EL素子2は、ガラス基板1の表面上に形成された陽極3と、陽極3の上に形成された有機発光層4と、有機発光層4の上に形成された陰極5とを有している。そして、有機EL素子2を覆うように有機EL素子2の表面上に第1の封止膜6が形成され、さらに第1の封止膜6を覆うように第1の封止膜6の表面上に第2の封止膜7が形成されている。第1の封止膜6は、乾式法により形成される無機材料膜が用いられる。第2の封止膜7は、塗料組成物を用いた湿式法により形成される。塗料組成物は、水酸基またはシリル基を有する高分子及びポリシラザンを含む原料高分子と、原料高分子を溶解する乾燥溶媒との混合物からなり、第2の封止膜は、高分子からなる有機部と、シリカからなる無機部とをもつ有機−無機ナノコンポジット膜として構成される。
【選択図】図1

Description

この発明は、EL装置に係り、特に、EL装置の封止膜に関する。
薄型発光素子である有機EL素子は、発光層を構成する有機材料が水分や腐食性ガスにより劣化してしまうことが知られており、発光層の劣化を防ぐ対策が必須である。特許文献1に記載のEL装置では、発光層の水分や腐食性ガスなどによる劣化を防ぐために、ガラス基板上に形成された有機EL素子の上に、乾式法で形成される第1の保護膜を設け、その第1の保護膜上にポリシラザン単体を用いた湿式法により形成される第2の保護膜を設けている。
特開2005−56587号公報
しかしながら、特許文献1に記載される、ポリシラザン単体を用いた湿式法により形成される保護膜は、高い封止性を有するが、傷つきやすく割れやすいといった問題点があった。このため、EL装置を使用する際には、第2の保護膜の上にさらに第2の保護膜の割れを防ぐための保護フィルムを設ける必要があった。ところが、保護フィルムの厚さは、第1の保護膜及び第2の保護膜の厚さよりもかなり大きいため、保護フィルムを有することによりEL装置全体が厚くなってしまうといった問題点もあった。
この発明はこのような問題点を解決するためになされたもので、高い封止性を有し、且つ、割れにくい封止膜を設けることで厚さを薄くしたEL装置を提供することを目的とする。
前記目的を達成するため、請求項1に記載の発明は、基板上に少なくとも第1の電極層と発光層と第2の電極層とを有する有機EL素子が形成されたEL装置において、前記有機EL素子を覆うように該有機EL素子の表面上に乾式法により形成された無機材料からなる第1の封止膜と、該第1の封止膜の表面上に塗料組成物を用いた湿式法により形成された第2の封止膜とを備え、前記塗料組成物は、水酸基を有する高分子及びポリシラザンを含む原料高分子と、該原料高分子を溶解する乾燥溶媒との混合物からなることを特徴とする。また、請求項2に記載の発明は、基板上に少なくとも第1の電極層と発光層と第2の電極層とを有する有機EL素子が形成されたEL装置において、前記有機EL素子を覆うように該有機EL素子の表面上に乾式法により形成された無機材料からなる第1の封止膜と、該第1の封止膜の表面上に塗料組成物を用いた湿式法により形成された第2の封止膜とを備え、前記塗料組成物は、シリル基を有する高分子及びポリシラザンを含む原料高分子と、該原料高分子を溶解する乾燥溶媒との混合物からなることを特徴とする。
これらの発明では、第2の封止膜の形成材料である塗料組成物において、ポリシラザン分子は、高分子の水酸基に化学的に結合し、または高分子のシリル基に物理的に結合する。従って、これらの塗料組成物を用いた湿式法により形成した第2の封止膜は、水酸基に化学的に結合したポリシラザンの分子、または高分子のシリル基に物理的に結合したポリシラザンの分子が、それぞれシリカに転化することで、高分子からなる有機部と、水酸基またはシリル基の周囲に位置するシリカからなる無機部とをもつ有機−無機ナノコンポジットとして構成される。すなわち、有機EL素子の表面を覆うように形成された第1の封止膜の上に形成される第2の封止膜は、有機物と無機物の両方の性質を合わせもつため、高い封止性と高い硬度と優れた耐傷つき性とを有しており、第2の封止膜が傷つくことや割れることを防ぐための保護フィルムが不要になる。
前記乾燥溶媒は、前記高分子及び前記ポリシラザンに対して良溶媒である第1乾燥溶媒と、少なくとも前記高分子に対して貧溶媒である第2乾燥溶媒とを含んでいるとしてもよい。
前記第1乾燥溶媒は酢酸エチルであり、前記第2乾燥溶媒はシクロヘキサンであるとしてもよい。
前記原料高分子は、10〜95重量%のポリシラザンを含むとしてもよい。
前記第1の保護膜は、プラズマCVD法により形成されたSiN膜であるとしてもよい。
この発明によれば、このEL装置は、有機EL素子の表面上に乾式法により形成された無機材料からなる第1の封止膜と、第1の封止膜の表面上に塗料組成物を用いた湿式法で形成された第2の封止膜とを備え、塗料組成物は、水酸基またはシリル基を有する高分子及びポリシラザンを含む原料高分子と、その原料高分子を溶解する乾燥溶媒との混合物からなる。第2の封止膜は、高分子の水酸基に化学的に結合したポリシラザン分子、またはシリル基に物理的に結合したポリシラザン分子が、シリカに転化することで、有機物と無機物との性質を合わせもつようになり、高い封止性と高い硬度と優れた耐傷つき性とを有しているため、第2の封止膜を保護するための保護フィルムを設ける必要がなくなる。即ち、EL装置の厚さを薄くすることができる。
以下、この発明の実施の形態を添付図面に基づいて説明する。
この実施の形態に係るEL装置の断面を図1に示す。基板として透明なガラス基板1が用いられ、そのガラス基板1の上に有機EL素子2が形成されている。有機EL素子2は、ガラス基板1の表面上に形成された第1の電極層となる陽極3と、陽極3の上に形成された発光層である有機発光層4と、有機発光層4の上に形成された第2の電極層となる陰極5とを有している。そして、このような有機EL素子2全体を覆うように、該有機EL素子2の表面上には第1の封止膜6が形成され、さらに第1の封止膜6を覆うように該第1の封止膜6の表面上に第2の封止膜7が形成されている。
基板は、可視光に対して透明または半透明の材料から形成されればよく、ガラス基板1の他、このような条件を満たす樹脂基板を用いることもできる。ガラス基板1の上に形成された有機EL素子2の陽極3は、電極としての機能を有し且つ少なくとも可視光に対して透明または半透明であればよく、例えばITOがその材料として採用される。有機発光層4の材料としては、例えば、AlqやDCMなどの公知の有機発光材料が含有される。また、電極間には、電子輸送層、電子注入層、ホール輸送層、ホール注入層等の公知の有機EL装置に採用される一または複数の層も適宜形成でき、各層は公知の材料から適宜形成される。有機発光層4を挟んで陽極3と反対側に形成される陰極5は、電極としての機能を有しておればよく、例えばAl、Cr、Mo、Al合金、Al/Mo積層体等の光反射性電極やITO等の透明電極が採用される。なお、各層は、真空蒸着法などの公知の薄膜形成法によって形成される。
第1の封止膜6としては、乾式法により形成される無機材料膜が用いられる。無機材料としては、例えば、SiN、SiON及びSiO等のSi化合物が用いられる。乾式法としては、例えば、プラズマCVD法やスパッタ法が用いられ、第1の封止膜6は、有機発光層4のガラス転移点以下の温度で形成される。また、第1の封止膜6は、膜厚が0.1〜5μmに形成される。
第2の封止膜7は、塗料組成物を用いた湿式法により形成される。塗布法やディッピング法等の公知の湿式法により形成される第2の封止膜7は、第1の封止膜6の欠陥部分を穴埋めするように、第1の封止膜6の表面上に形成される。第2の封止膜7は、膜厚が、0.1〜30μmに形成される。ここで、塗料組成物は、水酸基またはシリル基を有する高分子及びポリシラザンを含む原料高分子と、原料高分子を溶解する乾燥溶媒との混合物からなる。したがって、第2の封止膜7は、高分子からなる有機部と、シリカからなる無機部とをもつ有機−無機ナノコンポジット膜として構成される。
水酸基を有する高分子は、例えば、水酸基を有するスチレン類や水酸基を有するアクリル樹脂などが使用できる。また、水酸基を有する高分子は、水酸基をもつ単量体を導入した重合体であってもよい。この場合、高分子の有する水酸基の量や導入位置が調整可能となる。尚、水酸基を有する単量体としては、3−ビニルフェノール、ヒドロキシメチルスチレン、4−ビニルベンジル−4−ヒドロキシブチルエーテル、4−(ヒドロキシメチルシリルフェニル)スチレン、などの水酸基を有するスチレン類や、ヒドロキシエチルメタクリレートなどの水酸基を有するアクリル樹脂や、N−(4−(4−ヒドロキシフェニルスルホニル)フェノキシカルボニル)メタクリルアミドなどの水酸基を有するアクリルアミド樹脂などが使用できる。これらの水酸基を有する単量体は、2種類以上を混合して用いてもよい。
シリル基を有する高分子は、例えば、シリル基を有するスチレン類、シリル基を有するアクリル系樹脂などが使用できる。また、シリル基を有する高分子は、シリル基をもつ単量体を導入した重合体であってもよい。この場合、高分子の有するシリル基の量や導入位置が調整可能となる。尚、シリル基を有する単量体としては、トリメチルシリル−4−ビニルベンゾエート、1−トリメチルシリルオキシ−4−ビニルベンゼン、1−フェニルビニルトリメチルシリルエーテルなどのシリル基を有するスチレン類、2−トリメチルシリルオキシエチルメタクリレート、トリメチルシリルアクリレートなどのシリル基を有するアクリル樹脂、N(トリメチルシリルオキシ)メチルアクリルアミド、N(トリメチルシリル)メタクリルアミドなどのシリル基を有するアクリルアミド樹脂、イソプロペニルオキシトリメチルシラン、ジメチルエトキシビニルシランなどのシリル基を有するポリビニルアルコール樹脂等が使用できる。尚、シリル基を有する単量体は、これらのうちの1種類または2種類以上を併用してもよい。
水酸基またはシリル基をもつ単量体を導入した重合体は、その重合方法に特に限定はなく、それらの種類に合った重合方法を適宜選択すればよい。通常は、ラジカル重合や、アニオン重合、カチオン重合、メタセシス重合、リビングカチオン重合などの方法で重合される。
ポリシラザンは、(−Si−N−)で表される重合体からなり、通常、Si(珪素原子:4価)の2つの結合手およびN(窒素原子:3価)の1つの結合手には、水素原子や有機基が結合している。また、珪素原子や窒素原子の結合手には、他の珪素原子や窒素原子が結合してもよく、その場合は、環状構造や架橋構造を有するポリシラザンとなる。そして、ポリシラザンは、水及び酸素の存在下で分解し、窒素原子と酸素原子とが置換する転化反応により硬化し、シリカとなる。
ポリシラザンは、通常、シリカの被膜の形成に用いられているポリシラザンであれば特に限定はない。特に好ましいのは、ペルヒドロポリシラザン(PHPS)である。PHPSは、硬化温度が低いため、本発明に適したポリシラザンである。また、部分メチル化ペルヒドロポリシラザンを用いてもよい。なお、2種類以上のポリシラザンを混合して用いてもよい。
尚、ポリシラザンの分子量については特に限定はないが、ポリシラザンの乾燥溶媒への溶解のしやすさや成膜性の観点から、その数平均分子量が50〜10,000、さらには、500〜2,000であるのが好ましい。
水酸基またはシリル基を有する高分子とポリシラザンとの割合については特に限定はないが、ポリシラザンの割合が多いほど、形成される第2の封止膜7の硬度は高くなる。具体的には、ポリシラザンは、原料高分子に対して10重量%以上であるのが好ましい。ポリシラザンンが10重量%以上であれば、十分な硬度を有する第2の封止膜7を得ることができる。また、ポリシラザンは95重量%以下であるのが好ましく、これにより、第2の封止膜7に生じる割れや剥離が抑制される。したがって、ポリシラザンは、10〜95重量%であるのが好ましく、さらに好ましくは15〜95重量%である。
乾燥溶媒は、原料高分子を溶解し、ポリシラザンが加水分解されてゲル化しない程度まで脱水された溶媒である。溶媒に水が含まれると、水との反応により塗料組成物のゲル化が進み好ましくないため、乾燥材を用いるなどの方法により溶媒から水分を除去する。また、ポリシラザンは水酸基及びシリル基と反応しやすいため、水酸基及びシリル基を含まない溶媒を用いるのがよい。具体的には、芳香族炭化水素としては、ベンゼン、トルエン、キシレンなど、エステルとしては、酢酸エチル、酢酸n−ブチルなど、ケトン類としては、アセトン、メチルエチルケトンなど、エーテル類としては、ジエチルエーテル、ジオキサン、テトラヒドロフランなど、また、クロロホルムやピリジン等が挙げられる。特に好ましいのは、酢酸エチルであり、上記溶媒のうちの1種類または2種類以上を混合して乾燥溶媒として用いればよい。
ところが、水酸基またはシリル基を有する高分子に対して良溶媒である乾燥溶媒は、耐薬品性の低い材料に対しても良溶媒であるため、例えば、樹脂基板に塗料組成物を塗布すると塗料組成物との接触面で溶解して劣化するおそれがある。そこで、乾燥溶媒として、水酸基またはシリル基を有する高分子及びポリシラザンに対して良溶媒である第1乾燥溶媒と、少なくとも水酸基またはシリル基を有する高分子に対して貧溶媒である第2乾燥溶媒とからなる混合乾燥溶媒を用いてもよい。つまり、第2乾燥溶媒は、水酸基またはシリル基を有する高分子に対して貧溶媒であるがポリシラザンに対しては良溶媒であってもよい。
第1乾燥溶媒及び第2乾燥溶媒としては、互いに混和し、混合乾燥溶媒としたときに原料高分子を分散可能な溶媒を選択して用いるのが好ましい。第1乾燥溶媒は、具体的には、乾燥溶媒の具体例として上述した溶媒と同じである。従って、第1乾燥溶媒として特に好ましいのは、酢酸エチルであり、それらのうちの1種類または2種類以上を併用してもよい。一方、第2乾燥溶媒は、シクロヘキサン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、デカリン、灯油、石油などを用いることができる。特に好ましいのは、シクロヘキサンであり、これらのうちの1種類または2種類以上を併用してもよい。尚、第1乾燥溶媒と第2乾燥溶媒との組み合わせに特に限定はなく、用いる原料高分子の種類や量、成膜時の揮発条件等に応じて、上記の第1乾燥溶媒の1種類以上と上記の第2乾燥溶媒の1種類以上とを適宜選択して混合すればよい。
第2乾燥溶媒の割合は、塗料組成物の調製方法、用いる原料高分子の種類や量、溶媒の種類にもよるが、混合乾燥溶媒に対して10〜90体積%であるのが好ましい。第2乾燥溶媒が10体積%以上であれば、塗料組成物を塗装する基板の劣化を良好に抑制することができる。第2乾燥溶媒が90体積%以下であれば、原料高分子のうち特に、水酸基またはシリル基を有する高分子を高濃度で用いることができる。また、当該高分子の濃度が高いと、塗料組成物の粘度が高くなるため、一度の塗装により膜厚の厚い塗装を形成することができる。第2乾燥溶媒は、さらに好ましくは、20〜80体積%であり、基板の劣化をさらに抑制できると共に、当該高分子をさらに高濃度で用いることができる。
また、水酸基またはシリル基を有する高分子は、塗料組成物に対して10〜90重量%、さらに好ましくは30〜65重量%含むのがよい。当該高分子の配合量がこの範囲にあれば、分子量にもよるが、塗料組成物は基板に塗布しやすく、成膜性にも優れる。
尚、この塗料組成物は、上記の実施形態に限定されるものではなく、他の機能を追加するために、必要に応じて、乾燥促進剤や紫外線吸収剤、帯電防止剤などの別の物質を混合してもよい。
次に、この実施の形態に係るEL装置の製造方法について説明する。
まず、ガラス基板1の表面上に真空蒸着法等の公知の薄膜形成法により陽極3、有機発光層4及び陰極5を順次積層して有機EL素子2を形成する。その後、ガラス基板1を真空中あるいは不活性雰囲気中でプラズマCVD装置のチャンバ内まで搬送し、プラズマCVD法により陰極5の表面上に第1の封止膜6を形成する。このとき、有機EL素子2に悪影響を与えないために、ガラス基板1がEL素子2を構成する各材料のガラス転移温度以下の温度域、例えば、50〜110℃で第1の封止膜6の形成を行うことが好ましい。また、ガラス基板1がEL素子2を構成する各材料のガラス転移温度のうち最も低い温度より20K低い温度域となるような条件で第1の封止膜6を形成することがさらに好ましい。
第1の封止膜6の形成終了後、大気開放して、調製した塗料組成物を第1の封止膜6の表面上に塗布する。塗布方法としては、スピン法、ディップ法、フロー法、ロールコート法、スクリーン印刷法等の各種の方法を用いることができる。また、大気開放せずに、第1の封止膜6を形成したときの雰囲気中あるいは不活性雰囲気中で塗布することもできる。
その後、塗布した塗料組成物を硬化させる硬化工程へと移行する。硬化工程では、水と酸素の存在下において、乾燥溶媒を揮発させると共にポリシラザンの分子をシリカへと転化させる。これにより、第2の封止膜7が形成される。
さらに、塗料組成物中の高分子や基材、有機EL素子の形成材料を劣化させない程度の温度であれば、硬化工程においてオーブン、ホットプレート等の加熱装置を用いてベーキング処理することによりポリシラザンのシリカへの転化を促進させることも可能であり、より短時間で塗料組成物を硬化させることができる。
これにより、EL装置が製造される。
図2に示されるように、例えば有機EL素子2の表面上に埃等の極微小な異物8が存在した場合、乾式法で有機EL素子2の表面に第1の封止膜6を形成したとても、乾式法は膜の付け回り性が良好でないため、その異物を完全に覆いきることができずに、有機EL素子2の表面に第1の封止膜6の未付着部分9が生じるおそれがある。しかし、本発明では、第1の封止膜6の上に膜の付け回り性の良好な湿式法により第2の封止膜7を形成するため、この第2の封止膜7が第1の封止膜6の未付着部分9を穴埋めすることとなる。従って、外部から有機EL素子2への水分の浸入を防止することができる。
このように、この実施の形態に係るEL装置は、水酸基またはシリル基を有する高分子及びポリシラザンを含む原料高分子と乾燥溶媒とからなる塗料組成物を第1の封止膜6の表面上に塗布し、ポリシラザンをシリカに転化させて塗料組成物を硬化させることにより、第1の封止膜6を覆うように第2の封止膜7が形成されている。第2の封止膜7は、水酸基またはシリル基を有する高分子からなる有機部と、水酸基またはシリル基の周囲に位置するシリカからなる無機部とをもつ有機−無機ナノコンポジットとなる。すなわち、第2の封止膜7は、有機物及び無機物の性質を合わせもつことになり、高い封止性と高い硬度とを有しながら、割れや剥がれが生じにくくなる。これにより、第1の封止膜6及び第2の封止膜7の他に保護フィルムを設ける必要がなくなるので、EL装置の厚さを薄くすることができる。
この実施の形態では、ガラス基板1上に透明性の陽極3、有機発光層4及び反射性の陰極5が順次積層され、有機発光層4で発した光が陽極3及びガラス基板1を透過して出射されるボトムエミッション型の有機EL装置について説明したが、これに限るものではなく、この発明は、基板上に反射性電極、有機発光層及び透明性電極を順次積層して有機発光層で発した光が基板とは反対側の透明性電極を透過して出射されるトップエミッション型の有機EL装置にも適用される。この場合、透明性電極の上に第1の封止膜及び第2の封止膜が順次形成されるが、これら第1の封止膜及び第2の封止膜は、可視光に対して透明または半透明の材料から形成する必要がある。
以下に、この発明の実施例を、表を用いて説明する。
[有機EL素子の製造]
透明なガラス基板上に反応性スパッタにより厚さ190nmの陽極ITOを形成した。その後、発光層の蒸着に先立つ基板洗浄として、ガラス基板をアルカリ洗浄し、次いで純水洗浄し、乾燥させて紫外線オゾン洗浄を行った。ガラス基板を真空蒸着装置へ移し、陽極の表面上にホール注入領域として銅フタロシアニンをカーボンるつぼで蒸着速度0.1nm/s、真空度約5.0×10−5Paで厚さ10nm蒸着した。
次に、ホール注入領域の上にホール輸送領域としてトリフェニルアミンの4量体をカーボンるつぼで蒸着速度0.1nm/s、真空度約5.0×10−5Paで厚さ30nm蒸着した。さらに、ホール輸送領域の上に発光領域としてDPVBi(発光色:青)を蒸着速度0.1nm/s、真空度約5.0×10−5Paで厚さ30nm蒸着した。
発光領域の上に電子輸送領域としてキノリノラト系金属錯体であるAlqをカーボンるつぼで蒸着速度0.01nm/s、真空度約5.0×10−5Paで厚さ20nm蒸着した。その後、電子輸送領域の上に陰極界面領域としてLiFをカーボンるつぼで蒸着速度0.03nm/s、真空度約5.0×10−5Paで厚さ0.5nm蒸着し、さらに陰極界面領域の上に陰極としてアルミニウムをタングステンボートで蒸着速度1nm/s、真空度約5.0×10−5Paで厚さ100nm蒸着した。
[第1の封止膜の形成]
このようにしてガラス基板上に有機EL素子を形成した後、陰極の表面上にプラズマCVD装置により第1の保護膜としてSiN膜を形成した。すなわち、ガラス基板をプラズマCVD装置のチャンバ内に入れて圧力1×10−3Paまで排気し、SiHを100ml、NHを50ml、Nを1000ml流し、圧力を75Paに調整した。次に、ギャップ20mmの一対の電極に13.56MHz、600Wの高周波電力を供給し、ガスを放電させることにより陰極の表面上に厚さ1μmのSiN膜を堆積させた。なお、このときガラス基板の温度が100℃以下となるように設定し、成膜速度は約3nm/sであった。
[第2の封止膜の形成]
[塗料組成物の調製]
[塗料組成物1]
シリル基を有する高分子として、ポリ(メチルメタクリレート−co−2−(トリメチルシリルオキシ)エチルメタクリレート)を原子移動ラジカル重合により合成した。各成分は、メチルメタクリレート:94.3mol%、(トリメチルシリルオキシ)エチルメタクリレート:5.7mol%、数平均分子量は1.45×10であった。尚、高分子の各成分のモル分率は、H原子を用いた核磁気共鳴吸収法(NMR)により、また、数平均分子量は、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)により測定した。
次に、高分子227.25mgを、金属ナトリウムにより脱水された11.1mlの酢酸エチル(第1乾燥溶媒)に溶解した。その後、窒素雰囲気下にて、ペルヒドロポリシラザン−ジブチルエーテル溶液(AZエレクトロニックマテリアルズ製NL−120)を2ml加え、10分間攪拌した。攪拌後の混合溶液に、大気下にて、9mlのシクロヘキサン(第2乾燥溶媒)を一度に添加して攪拌し、塗料組成物1を得た。
[塗料組成物2]
塗料組成物1の調製で使用したポリ(メチルメタクリレート−co−2−(トリメチルシリルオキシ)エチルメタクリレート)にかえて、水酸基を有する高分子として各成分が、メチルメタクリレート:86.3mol%、ヒドロキシエチルメタクリレート:13.7mol%、数平均分子量は3.3×104である原子移動ラジカル重合により合成したポリ(メチルメタクリレート−co−2−ヒドロキシエチルメタクリレート)を用いた他は、塗料組成物1と同様にして塗料組成物2を調製した。
[塗料組成物1及び2の塗布及び硬化]
調製された塗料組成物1及び2を、調製後直ちに、製造されたEL素子の第1の封止膜の表面上に、スプレーコート法により塗布した。塗布後、室温で24時間乾燥し、100℃で3時間焼成した。これにより、塗料組成物1によって第2の封止膜が形成されたEL装置1と、塗料組成物2によって第2の封止膜が形成されたEL装置2とを得た。
EL装置1及び2について、封止性能を測定した。EL装置1及び2のそれぞれを、100℃で3時間の焼成後、室温で71時間放置し、次に、温度60℃、相対湿度90%の条件で674時間の高温高湿評価を実施した。その結果、EL装置1及び2の両方とも、484時間まではダークスポットの発生は認められなかった。
この発明の実施の形態に係るEL装置の構成を示す断面図である。 EL素子の表面上に異物が存在する場合のEL装置の要部を示す拡大断面図である。
符号の説明
1 ガラス基板(基板)、2 有機EL素子、3 陽極(第1の電極層)、4 有機発光層(発光層)、5 陰極(第2の電極層)、6 第1の封止膜、7 第2の封止膜。

Claims (6)

  1. 基板上に少なくとも第1の電極層と発光層と第2の電極層とを有する有機EL素子が形成されたEL装置において、
    前記有機EL素子を覆うように該有機EL素子の表面上に乾式法により形成された無機材料からなる第1の封止膜と、
    該第1の封止膜の表面上に塗料組成物を用いた湿式法により形成された第2の封止膜と
    を備え、
    前記塗料組成物は、水酸基を有する高分子及びポリシラザンを含む原料高分子と、該原料高分子を溶解する乾燥溶媒との混合物からなる
    ことを特徴とするEL装置。
  2. 基板上に少なくとも第1の電極層と発光層と第2の電極層とを有する有機EL素子が形成されたEL装置において、
    前記有機EL素子を覆うように該有機EL素子の表面上に乾式法により形成された無機材料からなる第1の封止膜と、
    該第1の封止膜の表面上に塗料組成物を用いた湿式法により形成された第2の封止膜と
    を備え、
    前記塗料組成物は、シリル基を有する高分子及びポリシラザンを含む原料高分子と、該原料高分子を溶解する乾燥溶媒との混合物からなる
    ことを特徴とするEL装置。
  3. 前記乾燥溶媒は、
    前記高分子及び前記ポリシラザンに対して良溶媒である第1乾燥溶媒と、
    少なくとも前記高分子に対して貧溶媒である第2乾燥溶媒と
    を含む、請求項1または2に記載のEL装置。
  4. 前記第1乾燥溶媒は酢酸エチルであり、前記第2乾燥溶媒はシクロヘキサンである、請求項3に記載のEL装置。
  5. 前記原料高分子は、10〜95重量%のポリシラザンを含む、請求項1〜4のいずれか一項に記載のEL装置。
  6. 前記第1の保護膜は、プラズマCVD法により形成されたSiN膜である、請求項1〜5のいずれか一項に記載のEL装置。
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