JP2009276209A - 濃度測定システム及び濃度測定方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】簡易な構成で、検出対象物質の濃度が未知であっても適切な検出濃度範囲で当該検出対象物質を検出して、当該検出対象物質の濃度を測定することができる濃度測定システム及び濃度測定方法を提供する。
【解決手段】濃度測定システムにおいて、検出対象物質を含有する流体試料が供給される供給層L1や、供給層L1と隣接するように配置された検出層L2、供給層L1と検出層L2とを隔てるように配置され、少なくとも検出対象物質が透過する透過膜400、検出層L2に透過膜400と対向して配置された電極240などを有する酵素センサ10と、透過膜400にかかる圧力を調整するバルブ駆動装置40及び供給側流量調整バルブ42と、を備え、酵素センサ10による検出結果に関する検出結果データと、調整された透過膜400にかかる圧力と、に基づいて、検出対象物質の濃度を測定するよう構成した。
【選択図】図1

Description

本発明は、濃度測定システム及び濃度測定方法に関する。
従来、気体試料中や液体試料中の特定物質の濃度を検出するバイオセンサ等のセンサの研究・開発が盛んに行われている(例えば、特許文献1〜3参照)。
ところで、センサでは、気体試料中や液体試料中における検出対象物質の濃度が未知である場合が多いため、広範な検出濃度範囲を有することが望まれている。
そこで、例えば、酵素電極において、測定電極群配置部に予め設定された配置高さで酸素透過膜を配置形成して検体を充填する空間を形成し、かつ当該空間内に検体を充填して検体の空気界面と測定電極群との高さを小さくすることによって、高濃度の検体を検出可能となるように構成した酸素反応律速による反応制限の解決を目的とした酵素電極が提案されている(例えば、特許文献4参照)。
また、例えば、電気化学センサにおいて、作用電極を覆う半透膜の層数を増加させることによって、高濃度の検体を検出可能となるように構成した電気化学センサが提案されている(例えば、特許文献5参照)。
また、例えば、少なくともトランスデューサ、機能性膜及び制限透過膜の順に設けられた化学センサにおいて、制限透過膜における機能性膜と対向する側の面に形成された凹凸形状を適宜設定することによって、検出濃度範囲を設定できる化学センサが提案されている(例えば、特許文献6参照)。
特表2007−511744号公報 特開2005−265672号公報 特開平08−193969号公報 特許第2536780号公報(図7) 特開平08−193969号公報(図25、図26) 特許第3683150号公報
しかしながら、特許文献4及び5記載の発明では、検体の空気界面と測定電極群との高さを小さくしたり、半透膜の層数を増加させたりすることによって、検出濃度範囲が拡大されているが、検出濃度範囲が広範になるほど、その広範な検出濃度範囲を部分的に見た場合には精度が悪く、検出誤差が大きくなる傾向がある。
また、特許文献6記載の発明では、目的とする検出対象物質の濃度に合わせて、制限透過膜の凹凸形状を設定するようになっているが、目的とする検出対象物質の濃度が未知である場合、凹凸形状がそれぞれ異なる複数の制限透過膜を用意しなければならないという問題がある。
本発明の課題は、簡易な構成で、検出対象物質の濃度が未知であっても適切な検出濃度範囲で当該検出対象物質を検出して、当該検出対象物質の濃度を測定することができる濃度測定システム及び濃度測定方法を提供することにある。
上記課題を解決するために、請求項1に記載の発明は、
濃度測定システムにおいて、
検出対象物質を含有する流体試料が供給される供給層と、前記供給層と隣接するように配置された検出層と、前記供給層と前記検出層とを隔てるように配置され、少なくとも前記検出対象物質が透過する透過膜と、前記検出層に前記透過膜と対向して配置された電極と、を有するセンサと、
前記透過膜にかかる圧力を調整する調整手段と、
前記センサによる検出結果に関する検出結果データと、前記調整手段により調整された前記透過膜にかかる圧力と、に基づいて、前記検出対象物質の濃度を測定する測定手段と、
を備えることを特徴とする。
請求項2に記載の発明は、
請求項1に記載の濃度測定システムにおいて、
前記測定手段は、
前記透過膜にかかる圧力が所定の大きさとなるよう、前記調整手段に調整させる調整制御手段と、
前記センサの応答出力に関する応答データを取得する取得手段と、
前記取得手段により取得された応答データに基づく値が、前記透過膜にかかる圧力に対応する所定の閾値を超えたか否かを判断する判断手段と、
前記判断手段により前記応答データに基づく値が前記閾値を超えたと判断された場合に、当該応答データを、前記検出結果データとして決定する決定手段と、を備え、
前記調整制御手段は、前記判断手段により前記応答データに基づく値が前記閾値を超えていないと判断された場合に、前記透過膜にかかる圧力が前回よりも大きくなるよう、前記調整手段に調整させることを特徴とする。
請求項3に記載の発明は、
請求項1又は2に記載の濃度測定システムにおいて、
前記調整手段は、前記供給層に供給する流体試料の流量を調整することによって、前記透過膜にかかる圧力を調整することを特徴とする濃度測定システム。
請求項4に記載の発明は、
請求項1〜3の何れか一項に記載の濃度測定システムにおいて、
前記調整手段は、前記供給層内の圧力を調整することによって、前記透過膜にかかる圧力を調整することを特徴とする。
請求項5に記載の発明は、
請求項1〜4の何れか一項に記載の濃度測定システムにおいて、
前記センサは、
前記透過膜の少なくとも一面に配置され、当該透過膜の変形を防止する変形防止部材を備えることを特徴とする。
請求項6に記載の発明は、
請求項1〜5の何れか一項に記載の濃度測定システムにおいて、
前記センサは、
前記透過膜と前記電極との間に配置され、当該透過膜が変形しないように当該透過膜を支持するスペーサを備えることを特徴とする。
請求項7に記載の発明は、
検出対象物質を含有する流体試料が供給される供給層と、前記供給層と隣接するように配置された検出層と、前記供給層と前記検出層とを隔てるように配置され、少なくとも前記検出対象物質が透過する透過膜と、前記検出層に前記透過膜と対向して配置された電極と、を有するセンサを用いた、前記検出対象物質の濃度測定方法において、
前記透過膜にかかる圧力が所定の大きさとなるよう調整する調整ステップと、
次いで、前記センサの応答出力に関する応答データを取得する取得ステップと、
次いで、前記取得された応答データに基づく値が、前記透過膜にかかる圧力に対応する所定の閾値を超えたか否かを判断する判断ステップと、
前記判断ステップで前記応答データに基づく値が前記閾値を超えたと判断された場合に、当該応答データを、前記センサによる検出結果に関する検出結果データとして決定する決定ステップと、
前記決定された検出結果データと、前記調整手段により調整された前記透過膜にかかる圧力と、に基づいて、前記検出対象物質の濃度を算出する算出ステップと、
前記判断ステップで前記応答データに基づく値が前記閾値を超えていないと判断された場合に、前記透過膜にかかる圧力を前回よりも大きくして、前記調整ステップと、前記取得ステップと、前記判断ステップと、を行う繰り返しステップと、
を有することを特徴とする。
請求項8に記載の発明は、
濃度測定システムにおいて、
検出対象物質を含有する気体試料が供給される供給層と、前記供給層と隣接するように配置され、前記検出対象物質と選択的に反応するレセプタを含有する検出層と、前記供給層と前記検出層とを隔てるように配置され、少なくとも前記検出対象物質が透過する透過膜と、前記検出層に前記透過膜と対向して配置された電極と、を有するバイオセンサと、
前記供給層に供給する気体試料の流量を調整することによって、前記透過膜にかかる圧力を調整する調整手段と、
前記バイオセンサによる検出結果に関する検出結果データと、前記調整手段により調整された前記気体試料の流量と、に基づいて、前記検出対象物質の濃度を測定する測定手段と、を備え、
前記測定手段は、
前記供給層に供給する気体試料の流量が所定の大きさとなるよう、前記調整手段に調整させる調整制御手段と、
前記バイオセンサの応答出力に関する応答データを取得する取得手段と、
前記取得手段により取得された応答データに基づく値が、前記供給層に供給する気体試料の流量に対応する所定の閾値を超えたか否かを判断する判断手段と、
前記判断手段により前記応答データに基づく値が前記閾値を超えたと判断された場合に、当該応答データを、前記検出結果データとして決定する決定手段と、を備え、
前記調整制御手段は、前記判断手段により前記応答データに基づく値が前記閾値を超えていないと判断された場合に、前記供給層に供給する気体試料の流量が前回よりも大きくなるよう、前記調整手段に調整させることを特徴とする。
請求項9に記載の発明は、
濃度測定システムにおいて、
検出対象物質を含有する気体試料が供給される供給層と、前記供給層と隣接するように配置され、前記検出対象物質と選択的に反応するレセプタを含有する検出層と、前記供給層と前記検出層とを隔てるように配置され、少なくとも前記検出対象物質が透過する透過膜と、前記検出層に前記透過膜と対向して配置された電極と、を有するバイオセンサと、
前記供給層内の圧力を調整することによって、前記透過膜にかかる圧力を調整する調整手段と、
前記バイオセンサによる検出結果に関する検出結果データと、前記調整手段により調整された前記供給層内の圧力と、に基づいて、前記検出対象物質の濃度を測定する測定手段と、を備え、
前記測定手段は、
前記供給層内の圧力が所定の大きさとなるよう、前記調整手段に調整させる調整制御手段と、
前記バイオセンサの応答出力に関する応答データを取得する取得手段と、
前記取得手段により取得された応答データに基づく値が、前記供給層内の圧力に対応する所定の閾値を超えたか否かを判断する判断手段と、
前記判断手段により前記応答データに基づく値が前記閾値を超えたと判断された場合に、当該応答データを、前記検出結果データとして決定する決定手段と、を備え、
前記調整制御手段は、前記判断手段により前記応答データに基づく値が前記閾値を超えていないと判断された場合に、前記供給層内の圧力が前回よりも大きくなるよう、前記調整手段に調整させることを特徴とする。
本発明によれば、濃度測定システムにおいて、検出対象物質を含有する流体試料が供給される供給層、供給層と隣接するように配置された検出層、供給層と検出層とを隔てるように配置され、少なくとも検出対象物質が透過する透過膜及び検出層に透過膜と対向して配置された電極を有するセンサと、透過膜にかかる圧力を調整する調整手段と、センサによる検出結果に関する検出結果データと、調整手段により調整された透過膜にかかる圧力と、に基づいて、検出対象物質の濃度を測定する測定手段と、を備えている。
ここで、検出対象物質の膜透過率は透過膜にかかる圧力に依存するため、調整手段により透過膜にかかる圧力を調整することで、センサの検出濃度範囲を変えることができる。したがって、透過膜にかかる圧力を調整するという簡易な構成で、センサを、広範な検出濃度範囲を有するセンサとして使用できるとともに、検出対象物質の濃度が未知であっても、透過膜にかかる圧力の可変範囲のうちの適切な圧力(適切な検出濃度範囲となる圧力)で当該検出対象物質を検出して、当該検出対象物質の濃度を測定することができる。
また、本発明によれば、検出対象物質を含有する流体試料が供給される供給層と、供給層と隣接するように配置された検出層と、供給層と検出層とを隔てるように配置され、少なくとも検出対象物質が透過する透過膜と、検出層に透過膜と対向して配置された電極と、を有するセンサを用いた、検出対象物質の濃度測定方法において、透過膜にかかる圧力が所定の大きさとなるよう調整する調整ステップと、次いで、センサの応答出力に関する応答データを取得する取得ステップと、次いで、取得された応答データに基づく値が、透過膜にかかる圧力に対応する所定の閾値を超えたか否かを判断する判断ステップと、判断ステップで応答データに基づく値が閾値を超えたと判断された場合に、当該応答データを、センサによる検出結果に関する検出結果データとして決定する決定ステップと、判断ステップで応答データに基づく値が閾値を超えていないと判断された場合に、透過膜にかかる圧力を前回よりも大きくして、調整ステップと、取得ステップと、判断ステップと、を行う繰り返しステップと、を有している。
ここで、検出対象物質の膜透過率は透過膜にかかる圧力に依存するため、透過膜にかかる圧力を調整することで、センサの検出濃度範囲を変えることができる。したがって、透過膜にかかる圧力を調整して、所定の閾値に基づいて当該調整された圧力が適切な検出濃度範囲となる圧力であるか否かを判断するという簡易な構成で、検出対象物質の濃度が未知であっても当該検出対象物質を検出して、当該検出対象物質の濃度を測定することができる。
以下、図を参照して、本発明を実施するための最良の形態を詳細に説明する。なお、発明の範囲は、図示例に限定されない。
本実施の形態では、センサ(バイオセンサ)として酵素センサを例示して、説明することとする。
[第1の実施の形態]
まず、第1の実施の形態における濃度測定システム1000及び濃度測定方法について説明する。
<濃度測定システム>
図1は、濃度測定システム1000の構成を示す図であり、図2は、濃度測定システム1000の機能的構成を示す図である。また、図3は、酵素センサ10の平面斜視図であり、図4は、図3のIV−IV線における断面を模式的に示す図であり、図5は、酵素センサ10の分解図である。
ここで、酵素センサ10における供給層L1側を上側、検出層L2側を下側とし、パッド250が配置された側を前側、それに対向する側を後側とし、上下方向と前後方向の双方に直交する方向を左右方向とする。
濃度測定システム1000は、例えば、酵素センサ10を用いて、検出対象物質を検出して、検出対象物質の濃度を測定するシステムである。
具体的には、濃度測定システム1000は、例えば、図1及び図2に示すように、酵素センサ10と、計測回路21と、データ処理装置22と、データ表示装置23と、標準ガス生成装置31と、吸気ポンプ32と、バルブ駆動装置40と、流量計51と、制御装置60と、などを備えて構成される。
<酵素センサ>
酵素センサ10は、電極240を備えており、酵素の特性を利用して気体試料中の検出対象物質を電気化学的計測法によって検出するセンサである。酵素センサ10は、検出対象物質を含有するガス(気体試料や標準ガス)が供給される供給層L1と、所定の電解液が導入される検出層L2と、を有しており、電極240は検出層L2に配置されており、酵素は検出層L2に含有される。
酵素センサ10において、酵素は、遊離酵素の状態で検出層L2に含有されている。すなわち、例えば、検出層L2に導入する電解液として酵素が含有された電解液を使用することによって、酵素を検出層L2に含有させることとする。
具体的には、酵素センサ10は、例えば、図3〜図5に示すように、検出対象物質を含有する流体試料としての気体試料や標準ガスが供給される供給層L1と、供給層L1と隣接するように配置され、検出対象物質と選択的に反応するレセプタとしての酵素を含有する検出層L2と、供給層L1と検出層L2とを隔てるように配置され、少なくとも検出対象物質が透過する透過膜400と、検出層L2に透過膜400と対向して配置された電極240と、透過膜400の上面に配置され、透過膜400の変形を防止する変形防止部材500と、などを備えて構成される。
より具体的には、酵素センサ10は、例えば、ケース体100と、ケース体100に収容された電極基板部200、パッキン300、透過膜400及び変形防止部材500と、などを備えて構成される。
ケース体100は、例えば、略円柱体を上下方向略中央の位置で上下方向に直交する方向(水平方向)に分割して形成された下側ケース体110及び上側ケース体120と、下側ケース体110と上側ケース体120とを連結するための複数の連結部材130と、などを備えて構成される。
ケース体100を構成する材料としては、電解液や試料などに対する耐腐食性が高い材料(例えば、疎水性の絶縁性材料、表面を疎水処理した絶縁性材料など)が好ましく、具体的には、例えば、セラミックス、ガラス、プラスチック、テフロン(登録商標)、ピーク材などを用いることができる。
下側ケース体110には、例えば、酵素センサ10に導入された電解液を貯めるための液貯め部111と、酵素センサ10の外部から液貯め部111に向けて電解液を導入するための電解液導入口112と、液貯め部111と電解液導入口112とを連通する電解液導入路113と、液貯め部111から酵素センサ10の外部に向けて電解液を排出するための電解液排出口114と、液貯め部111と電解液排出口114とを連通する電解液排出路115と、電極基板部200を載置するための載置部116と、連結部材130が挿入可能な複数の凹部117と、などが設けられている。
ここで、特に、下側ケース体110の表面や、液貯め部111、電解液導入口112、電解液導入路113、電解液排出口114、電解液排出路115などは、電解液や試料などに対する耐腐食性が高い材料(例えば、疎水性の絶縁性材料、表面を疎水処理した絶縁性材料など)で形成されるのが好ましい。
液貯め部111は、例えば、下側ケース体110の水平方向略中央の位置に形成された、上面が開口した平面視略円形状の凹陥部である。
また、電解液導入路113は、例えば、液貯め部111から左方向に後側に向かって形成されている。
また、電解液排出路115は、例えば、液貯め部111から右方向に後側に向かって形成されている。
また、載置部116は、例えば、下側ケース体110の水平方向略中央の位置から前側に向かって形成された、上面が開口した凹陥部である。
また、凹部117は、例えば、下側ケース体110の上面縁部に形成された、上面が開口した平面視略円状の凹陥部である。
また、液貯め部111と載置部116の深さは、例えば、電極基板部200の厚みと略同一となるよう設定されている。
上側ケース体120には、例えば、酵素センサ10の外部から気体試料や標準ガスが供給されるガス供給口121と、連結部材130が貫通可能な複数の孔部122と、などが設けられている。
ここで、特に、上側ケース体120の表面やガス供給口121などは、電解液や試料などに対する耐腐食性が高い材料(例えば、疎水性の絶縁性材料、表面を疎水処理した絶縁性材料など)で形成されるのが好ましい。
ガス供給口121は、例えば、上側ケース体120における、下側ケース体110の液貯め部111に対応する位置に形成された、上下方向に貫通した平面視略円形状の貫通孔である。
孔部122は、例えば、上側ケース体120における、下側ケース体110の凹部117に対応する位置に形成された、上下方向に貫通した平面視略円形状の貫通孔である。
連結部材130は、例えば、孔部122に貫通可能であるとともに、凹部117に挿入可能であり、下側ケース体110と上側ケース体120とで電極基板部200、パッキン300、透過膜400及び変形防止部材500を挟んだ状態で、連結部材130を、孔部122の上側から下側に向けて貫通させて、凹部117に挿入することによって、下側ケース体110と上側ケース体120とを連結するようになっている。これにより、電極基板部200、パッキン300、透過膜400及び変形防止部材500が、ケース体100に収容されることとなる。
ここで、ケース体100に電極基板部200、パッキン300、透過膜400及び変形防止部材500が収容された状態において、上側ケース体120の供給口121内が供給層L1となり、下側ケース体110の液貯め部111内及びパッキン300の開口部310内が検出層L2となる。
電極基板部200は、例えば、図5に示すように、基板210と、基板210の上面に設けられた、開口部(分析部220)を有する疎水性絶縁膜230と、基板210の上面における分析部220の内部に配置された電極240(作用電極241、対電極242及び参照電極243)と、電極240に対応して設けられたパッド250と、電極240とパッド250とを接続する配線260と、などを備えて構成される。
電極基板部200は、例えば、パッド250がケース体100の外部に配置されるようにして、下側ケース体110の載置部116に載置されている。
なお、電極基板部200は、開口部(分析部220)を有する疎水性絶縁膜230を備えていなくても良い。
パッキン300は、例えば、検出層L2を密閉して、検出層L2に導入された電解液が漏れるのを防ぐためのものである。
パッキン300を構成する材料としては、電解液や試料などに対する耐腐食性が高い材料が好ましく、具体的には、例えば、シリコンゴムシート等の弾性部材などが挙げられる。
具体的には、パッキン300は、例えば、開口部310を有する平面視略リング形状に形成されており、パッキン300の縁部には、連結部材130が貫通可能な複数の孔部320が設けられている。
開口部310は、例えば、パッキン300における、下側ケース体110の液貯め部111に対応する位置に形成された、上下方向に貫通した平面視略円形状の貫通孔である。
孔部320は、例えば、パッキン300における、下側ケース体110の凹部117に対応する位置に形成された、上下方向に貫通した平面視略円形状の貫通孔である。
パッキン300は、例えば、孔部320が下側ケース体110の凹部117に対応するように、下側ケース体110の上面に配置されており、ケース体100にパッキン300等を収容する際、孔部320に連結部材130が貫通されるようになっている。
透過膜400は、例えば、開口部310を覆うように、パッキン300の上面に配置されている。すなわち、透過膜400によって、供給層L1と検出層L2とは隔てられている。
供給層L1に供給された検出対象物質は、透過膜400を透過して検出層L2に移行し、そして、検出層L2に含有された酵素と反応するようになっている。したがって、透過膜400は、少なくとも検出対象物質が透過する膜であれば任意であり、検出対象物質の種類によって適宜変更可能である。
特に、濃度測定システム1000においては、供給層L1に気体試料や標準ガスを供給するため、透過膜400としては、検出対象物質(検出対象ガス)は透過するが、検出層L2を満たす電解液は透過しないガス透過膜が好ましい。
変形防止部材500は、例えば、パッキン300の開口部310を覆うように、透過膜400の上面に配置されている。
変形防止部材500は、酵素センサ10の使用中に透過膜400の変形を防止するためのものである。具体的には、透過膜400の強度を向上させて変形を防止するために、例えば、透過膜400と変形防止部材500とを重ね合わせて、透過膜400及び変形防止部材500における、電極基板部200の分析部220に対応する部分以外の部分を接着し、透過膜400と変形防止部材500とを一体化した。これによって、電極240と透過膜400との間の距離を一定に保つことができることになる。
変形防止部材500を構成する材料は、変形防止部材500によって透過膜400の変形を防止できるのであれば任意であり、具体的には、例えば、ステンレスメッシュ等のメッシュ体などが挙げられる。
ここで、変形防止部材500は、変形防止部材500によって透過膜400の変形を防止することができるのであれば、透過膜400の下面に配置されていても良いし、透過膜400を挟むように透過膜400の上面及び下面に配置されていても良い。
検出層L2に含有される酵素は、検出対象物質と選択的に反応する酵素であれば任意であり、検出対象物質の種類によって適宜変更可能である。
具体的には、酵素は、例えば、酸化還元酵素や、加水分解酵素、転移酵素、異性化酵素などの酵素(酵素タンパク質)である。
また、酵素は、例えば、生来の酵素分子であっても、活性部位を含む酵素の断片であっても良い。当該酵素分子又は当該活性部位を含む酵素の断片は、例えば、動植物や微生物から抽出したものであっても、所望によりそれを切断したものであっても、遺伝子工学的に又は化学的に合成したものであっても良い。
酸化還元酵素としては、例えば、グルコースオキシダーゼ、乳酸オキシダーゼ、コレステロールオキシダーゼ、アルコールオキシダーゼ、ホルムアルデヒドオキシダーゼ、ソルビトールオキシダーゼ、フルクトースオキシダーゼ、ザルコシンオキシダーゼ、フルクトシルアミンオキシダーゼ、ピルビン酸オキシダーゼ、キサンチンオキシダーゼ、アスコルビン酸オキシダーゼ、サルコシンオキシダーゼ、コリンオキシダーゼ、アミンオキシダーゼ、グルコースデヒドロゲナーゼ、乳酸デヒドロゲナーゼ、コレステロールデヒドロゲナーゼ、アルコールデヒドロゲナーゼ、ホルムアルデヒドデヒドロゲナーゼ、ソルビトールデヒドロゲナーゼ、フルクトースデヒドロゲナーゼ、ヒドロキシ酪酸デヒドロゲナーゼ、グリセロールデヒドロゲナーゼ、グルタメートデヒドロゲナーゼ、ピルビン酸デヒドロゲナーゼ、リンゴ酸デヒドロゲナーゼ、グルタミン酸デヒドロゲナーゼ、カタラーゼ、ペルオキシダーゼ、ウリカーゼ等を用いることができる。この他に、コレステロールエステラーゼ、クレアチニナーゼ、クレアチナーゼ、DNAポリメラーゼ、さらにこれら酵素のミュータント等を用いることができる。
加水分解酵素としては、例えば、プロテアーゼ、リパーゼ、アミラーゼ、インベルターゼ、マルターゼ、β−ガラクトシダーゼ、リゾチーム、ウレアーゼ、エステラーゼ、ヌクレアーゼ群、ホスファターゼ群等を用いることができる。
転移酵素としては、例えば、各種アシル転移酵素、キナーゼ群、アミノトランスフェラーゼ群等を用いることができる。
異性化酵素としては、例えば、ラセマーゼ群、ホスホグリセリン酸ホスホムターゼ、グルコース6−リン酸イソメラーゼ等を用いることができる。
検出層L2に含有される酵素は、1種類の酵素であっても、2種類以上の酵素であっても良い。
具体的には、検出層L2に含有される酵素は、例えば、1種類の酵素であっても、分子量及び/又はサイズ(径)が略同一の2種類以上の酵素であっても、分子量及び/又はサイズが異なる2種類以上の酵素であっても良い。また、検出層L2に含有される酵素が2種類以上である場合、酵素は、例えば、同種の検出対象物質(基質)に作用する2種類以上の酵素であっても、異種の検出対象物質に作用する2種類以上の酵素であっても、同種及び/又は異種の検出対象物質に作用する2種類以上の酵素であっても良い。
ここで、特に、検出層L2に含有された酵素が2種類以上であって、その2種類以上の酵素が異種の検出対象物質に作用する場合、例えば、検出電位を変えたり、電極基板部200の分析部220内に電極240(作用電極241)を複数配置したりする等によって、酵素センサ10は、その異種の検出対象物質(2種類以上の検出対象物質)を同時に検出できることとなる。
<計測回路>
計測回路21は、例えば、制御装置60から入力される制御信号に従って、酵素センサ10に対して電圧を印加し、酵素センサ10からの応答電流(酵素センサ10の応答出力)を計測して応答データを作成する。
<データ処理装置>
データ処理装置22は、例えば、制御装置60から入力される制御信号に従って、計測回路21により作成された応答データを処理し、当該応答データに基づく数値データを作成する。
ここで、数値データは、例えば、応答電流や濃度(応答電流と予め作成された検量線とから算出された検出対象物質の濃度)などの数値に関するデータであれば任意であり、例えば、応答電流や濃度などの数値そのものに関するデータであっても良いし、数値の変化に関するデータであっても良い。
<データ表示装置>
データ表示装置23は、例えば、制御装置60から入力される制御信号に従って、データ処理装置22により作成された数値データに基づく数値情報を表示する。
ここで、数値情報は、例えば、応答電流や濃度などの数値そのものであっても良いし、数値の変化をグラフ化したもの(例えば、検量線を示すグラフや数値の経時変化を示すグラフなど)であっても良い。
<標準ガス生成装置>
標準ガス生成装置31は、例えば、制御装置60から入力される制御信号に従って、制御装置60から指定された基質濃度の標準ガスを生成する。
ここで、標準ガス(基質(検出対象物質)を含有するガス)は、例えば、検量線を作成する際などに使用される。
<吸気ポンプ>
吸気ポンプ32は、例えば、制御装置60から入力される制御信号に従って、外部大気等の気体試料や標準ガス生成装置31により生成された標準ガスなどを吸気して、酵素センサ10の供給層L1に供給する。
具体的には、吸気ポンプ32の吸気側は、例えば、所定の領域(外部大気等の気体試料が存在する領域)及び標準ガス生成装置31と、切替バルブ41を介してチューブで接続されており、排気側は、例えば、供給側流量調整バルブ42と、チューブを介して接続されている。吸気ポンプ32は、例えば、吸気したガスを、供給側流量調整バルブ42及び流量計51を介して、酵素センサ10の透過膜400に吹き付けるようにして、供給口121(供給層L1)に供給するようになっている。
なお、透過膜400に対するガス(気体試料や標準ガス)の吹き付け角度は、0度以上90度以下であれば任意であるが、透過膜400にかかる圧力を高くして、検出対象物質を透過しやすくするという観点等から、45度以上が好ましい。
<バルブ駆動装置>
バルブ駆動装置40は、例えば、制御装置60から入力される制御信号に従って、濃度測定システム1000が備える各バルブ(切替バルブ41や供給側流量調整バルブ42など)を駆動する。
切替バルブ41は、例えば、酵素センサ10の供給層L1に供給するガス(すなわち、吸気ポンプ32に吸気されるガス)を、外部大気等の気体試料と、標準ガス生成装置31により生成された標準ガスと、に切り替えるためのバルブであり、例えば、所定の領域(外部大気等の気体試料が存在する領域)及び標準ガス生成装置31と、吸気ポンプ32の吸気側と、の間に配置されている。
供給側流量調整バルブ42は、例えば、ニードルバルブ等の、酵素センサ10の供給層L1に供給するガスの流量を調整するためのバルブであり、例えば、吸気ポンプ32の排気側と、流量計51と、の間に配置されている。
ここで、供給層L1に供給する気体試料の流量を調整することによって、透過膜400にかかる圧力を調整する調整手段は、例えば、バルブ駆動装置40及び供給側流量調整バルブ42によって構成される。
<流量計>
流量計51は、例えば、酵素センサ10の供給層L1に供給されるガスの流量を測定する。
<制御装置>
制御装置60は、例えば、濃度測定システム1000を構成する各装置を制御するための装置である。
具体的には、制御装置60は、例えば、図2に示すように、CPU(Central Processing Unit)61と、RAM(Random Access Memory)62と、記憶部63と、などを備えている。
CPU61は、例えば、記憶部63に記憶された制御装置60用の各種処理プログラムに従って各種の制御動作を行う。
RAM62は、例えば、CPU61によって実行される処理プログラムなどを展開するためのプログラム格納領域や、入力データや上記処理プログラムが実行される際に生じる処理結果などを格納するデータ格納領域などを備える。
記憶部63は、例えば、制御装置60で実行可能なシステムプログラム、当該システムプログラムで実行可能な各種処理プログラム、これら各種処理プログラムを実行する際に使用されるデータ、CPU61によって演算処理された処理結果のデータなどを記憶する。なお、プログラムは、コンピュータが読み取り可能なプログラムコードの形で記憶部63に記憶されている。
具体的には、記憶部63には、例えば、検量線作成プログラム63aと、閾値決定プログラム63bと、測定プログラム63cと、などを記憶している。
検量線作成プログラム63aは、例えば、検出対象物質の濃度を測定する際に使用される検量線を作成する機能を、CPU61に実現させる。
具体的には、CPU61は、例えば、バルブ駆動装置40に制御信号を入力して、標準ガス生成装置31により生成された標準ガスが酵素センサ10に供給されるように、切替バルブ41を切り替えさせる。
次いで、CPU61は、例えば、流量計51により測定された流量に基づいてバルブ駆動装置40に制御信号を入力し、一定流量で標準ガスが酵素センサ10に供給されるように供給側流量調整バルブ42を調整させながら、標準ガス生成装置41や吸気ポンプ32に制御信号を入力して、基質濃度が異なる標準ガスを順次生成させて酵素センサ10に順次供給させ、計測回路21やデータ処理装置22に制御信号を入力して、検量線を作成させる。
そして、CPU61は、この一連の処理を、例えば、複数の流量(例えば、「流量Fa」、「流量Fb」、…)それぞれに対して行う。すなわち、CPU61は、例えば、複数の流量それぞれに対応する検量線(「流量Fa」に対応する検量線、「流量Fb」に対応する検量線、…)を作成する。
この作成された検量線は、例えば、RAM62や記憶部63などに記憶されるようになっている。
閾値決定プログラム63bは、例えば、検出対象物質の濃度を測定する際に使用される所定の閾値を決定する機能を、CPU61に実現させる。
具体的には、CPU61は、例えば、検量線作成プログラム63aを実行したCPU61により作成された検量線に基づいて検出濃度範囲を判断し、当該判断した検出濃度範囲内の一の濃度に対応する応答電流を、透過膜400にかかる圧力に対応する所定の閾値(すなわち、供給層L1に供給する気体試料の流量に対応する所定の閾値)として決定する。
ここで、検出濃度範囲とは、検量線における濃度範囲のうちの、検出対象物質の濃度を算出する際に使用する濃度範囲のことであり、例えば、線形の検出域を有する濃度範囲などである。
より具体的には、例えば、「流量Fa」に対応する検量線として、図6に示すような検量線が作成された場合、検出濃度範囲をC1〜C3と判断し、当該判断した検出濃度範囲内の一の濃度C2に対応する「応答電流I2」を、「流量Fa」に対応する閾値として決定する。
なお、図6において、一の濃度C2は、検出濃度範囲C1〜C3内の濃度であれば任意である。
測定プログラム63cは、例えば、酵素センサ10を用いて検出対象物質の濃度を測定する機能を、CPU61に実現させる。
すなわち、CPU61は、例えば、酵素センサ10による検出結果に関する検出結果データと、調整された透過膜400にかかる圧力(すなわち、調整された供給層L1に供給される気体試料の流量)と、に基づいて、検出対象物質の濃度を測定する。
具体的には、CPU61は、例えば、バルブ駆動装置40に制御信号を入力して、外部大気等の気体試料が酵素センサ10に供給されるように、切替バルブ41を切り替えさせる。
次いで、CPU61は、例えば、流量計51により測定された流量に基づいてバルブ駆動装置40に制御信号を入力し、透過膜400にかかる圧力が所定の大きさとなるように(すなわち、供給層L1に供給される気体試料の流量が所定の大きさとなるように)供給側流量調整バルブ42を調整させながら、吸気ポンプ32に制御信号を入力して、気体試料を酵素センサ10に供給させる。
より具体的には、例えば、供給層L1に供給する気体試料の流量が、検量線作成プログラム63aを実行したCPU61により作成された検量線に対応する流量(例えば、「流量Fa」、「流量Fb」、…(Fa<Fb<…))のうちの、最も小さい流量(「流量Fa」)と同一となるように調整する。
次いで、CPU61は、例えば、計測回路21に制御信号を入力して、酵素センサ10からの応答電流(酵素センサ10の応答出力)を計測させることによって、酵素センサ10の応答出力に関する応答データを取得する。
次いで、CPU61は、例えば、取得した応答データに基づく値(応答電流値)が、閾値決定プログラム63bを実行したCPU61により決定された所定の閾値のうちの、透過膜400にかかる圧力に対応する所定の閾値(すなわち、供給層L1に供給する気体試料の流量に対応する所定の閾値)を超えたか否かを判断する。
より具体的には、例えば、「流量Fa」に対応する検量線として図6に示すような検量線が作成され、供給層L1に供給する気体試料の流量が「流量Fa」に調整された場合、取得した応答データに基づく値が、供給層L1に供給する気体試料の流量「流量Fa」に対応する所定の閾値「応答電流I2」を超えたか否かを判断する。
そして、応答データに基づく値が所定の閾値を超えたと判断した場合、CPU61は、例えば、当該応答データを、酵素センサ10による検出結果に関する検出結果データとして決定する。
次いで、CPU61は、例えば、データ処理装置22に制御信号を入力して、当該応答データに基づく数値データ(すなわち、当該応答データに基づく値(応答電流値)と、供給層L1に供給する気体試料の流量に対応する検量線と、から算出される検出対象物質の濃度に関するデータ)を作成させ、データ表示装置23に制御信号を入力して、当該数値データに基づく数値情報(すなわち、検出対象物質の濃度)を表示させる。
一方、応答データに基づく値が所定の閾値を超えていないと判断した場合、CPU61は、例えば、透過膜400にかかる圧力(すなわち、供給層L1に供給する気体試料の流量)を前回よりも大きくして、上記一連の処理(調整−取得−判断)を、酵素センサ10による検出結果に関する検出結果データを決定するまで繰り返し行う。
より具体的には、例えば、供給層L1に供給する気体試料の流量が、検量線作成プログラム63aを実行したCPU61により作成された検量線に対応する流量(例えば、「流量Fa」、「流量Fb」、…(Fa<Fb<…))のうちの、前回の流量(例えば、「流量Fa」)の次に大きい流量(「流量Fb」)と同一となるよう調整する。
CPU61は、かかる測定プログラム63cを実行することによって、測定手段、調整制御手段、取得手段、判断手段及び決定手段として機能する。
<濃度測定方法>
濃度測定システム1000による、酵素センサ10を用いた検出対象物質の濃度測定方法の一例を、図7のフローチャートを参照して説明する。
まず、CPU61は、検量線作成プログラム63aを実行して、供給層L1に供給する標準ガスの流量が第1流量となるよう調整しながら、標準ガスを酵素センサ10に供給して、第1流量に対応する検量線を作成する(ステップS11)。
次いで、CPU61は、供給層L1に供給する標準ガスの流量が第1流量よりも大きい第2流量となるよう調整しながら、標準ガスを酵素センサ10に供給して、第2流量に対応する検量線を作成する(ステップS12)。
次いで、CPU61は、供給層L1に供給する標準ガスの流量が第2流量よりも大きい第3流量となるよう調整しながら、標準ガスを酵素センサ10に供給して、第3流量に対応する検量線を作成する(ステップS13)。
次いで、CPU61は、閾値決定プログラム63bを実行して、作成された検量線に基づいて、第1流量に対応する第1閾値と、第2流量に対応する第2閾値と、を決定する(ステップS14)。
ここで、作成された検量線に対応する流量のうちの、最も大きい流量(第3流量)に対応する所定の閾値(第3閾値)も決定するようにしても良い。
次いで、CPU61は、測定プログラム63cを実行して、供給層L1に供給する気体試料の流量が第1流量となるよう調整しながら、気体試料を酵素センサ10に供給して(ステップS15)、応答データを取得し(ステップS16)、当該取得した応答データに基づく値が、第1閾値を超えたか否かを判断する(ステップS17)。
ステップS17で、当該取得した応答データに基づく値が、第1閾値を超えたと判断すると(ステップS17;Yes)、CPU61は、ステップS23の処理に移行する。
一方、ステップS17で、当該取得した応答データに基づく値が、第1閾値を超えていないと判断すると(ステップS17;No)、CPU61は、供給層L1に供給する気体試料の流量が第2流量となるよう調整しながら、気体試料を酵素センサ10に供給して(ステップS18)、応答データを取得し(ステップS19)、当該取得した応答データに基づく値が、第2閾値を超えたか否かを判断する(ステップS20)。
ステップS20で、当該取得した応答データに基づく値が、第2閾値を超えたと判断すると(ステップS20;Yes)、CPU61は、ステップS23の処理に移行する。
一方、ステップS20で、当該取得した応答データに基づく値が、第2閾値を超えていないと判断すると(ステップS20;No)、CPU61は、供給層L1に供給する気体試料の流量が第3流量となるよう調整しながら、気体試料を酵素センサ10に供給して(ステップS21)、応答データを取得する(ステップS22)。
次いで、CPU61は、取得した応答データを、酵素センサ10による検出結果に関する検出結果データとして決定し(ステップS23)、検出対象物質の濃度を算出して表示し(ステップS24)、本処理を終了する。
具体的には、気体試料の流量が第1流量である際に取得された応答データを、検出結果データとして決定した場合には、当該応答データに基づく値と、第1流量に対応する検量線と、から検出対象物質の濃度を算出する。
また、気体試料の流量が第2流量である際に取得された応答データを、検出結果データとして決定した場合には、当該応答データに基づく値と、第2流量に対応する検量線と、から検出対象物質の濃度を算出する。
また、気体試料の流量が第3流量である際に取得された応答データを、検出結果データとして決定した場合には、当該応答データに基づく値と、第3流量に対応する検量線と、から検出対象物質の濃度を算出する。
ここで、透過膜400にかかる圧力が所定の大きさとなるよう調整する調整ステップは、ステップS15に対応し、酵素センサ10の応答出力に関する応答データを取得する取得ステップは、ステップS16に対応し、取得された応答データに基づく値が、透過膜400にかかる圧力に対応する所定の閾値を超えたか否かを判断する判断ステップは、ステップS17に対応し、判断ステップで応答データに基づく値が所定の閾値を超えたと判断された場合に、当該応答データを、酵素センサ10による検出結果に関する検出結果データとして決定する決定ステップは、ステップS23に対応し、決定された検出結果データと、調整された透過膜400にかかる圧力と、に基づいて、検出対象物質の濃度を算出する算出ステップは、ステップS24に対応し、判断ステップで応答データに基づく値が所定の閾値を超えていないと判断された場合に、透過膜400にかかる圧力を前回よりも大きくして、調整ステップ(ステップS18、ステップS21)と、取得ステップ(ステップS19、ステップS22)と、判断ステップ(ステップS20)と、を行う繰り返しステップは、ステップS18〜ステップS22に対応する。
以下、具体的な実施例によって本発明を説明するが、発明はこれらに限定されるものではない。
酵素センサ10を作成して、濃度測定システム1000の評価を行った。
<1>酵素センサ10の作成
本実施例では、ホルムアルデヒドガスを検出するための酵素センサ10を作成した。酵素としては、補酵素(NAD)依存型酵素であるホルムアルデヒドデヒドロゲナーゼ(ホルムアルデヒド脱水素酵素)を用いた。
<1−1>電極基板部200の作成
まず、作用電極241、対電極242及び参照電極243の三極構造のパターンを有する電極基板部200を作成した。
具体的には、基板210として略矩形状に形成されたガラス基板を用意し、スクリーン印刷により、基板210にカーボンを塗布し、ホットプレートを用いて、120℃で15分間ポストベークした。さらに、スクリーン印刷により、基板210における分析部220に対応する領域及びパッド250以外の部分に紫外線硬化型絶縁皮膜を塗布し、紫外線露光装置を用いて、紫外線硬化型絶縁皮膜を硬化することによって、疎水性絶縁膜230を作成した。
その後、一晩、暗室にて乾燥させ、参照電極243のパターン上に銀/塩化銀インクを塗布して120℃で焼結し、銀/塩化銀電極である参照電極243を作成した。
<1−2>酵素センサ10の作成
まず、ケース体100(下側ケース体110及び上側ケース体120)を、旋盤やフライス盤などを用いて、絶縁体であるピーク材を加工することによって作成した。
液貯め部111及び載置部116の深さは、電極基板部200の厚み(0.8mm)と略同一となるよう設定した。
次いで、前記作成した電極基板部200を、分析部220が液貯め部111内に配置されるとともに、パッド250が酵素センサ10の外側に配置されるように、前記作成した下側ケース体110の載置部116に載置して、下側ケース体110に固定した。
なお、下側ケース体110に対する電極基板部200の固定方法は、テフロンテープ等のテープ部材を用いてシール及び固定する方法であっても良いし、接着剤等を用いて接着固定する方法であっても良い。
次いで、下側ケース体110をステージT1に設置した。
具体的には、例えば、図8に示すように、ステージT1上に、電極基板部200が装着された下側ケース体110を、ネジ等(図示省略)を用いて固定した。
次いで、パッキン300として、平面視略リング形状に形成された、孔部320を有するシリコンゴムシート(厚み:50μm)を用意し、そのパッキン300を、孔部320が下側ケース体110の凹部117に対応するようにして、下側ケース体110上に設置した。
次いで、透過膜400として、平面視略円形状に形成されたガス透過膜(ゴアテックス製)を用意するとともに、変形防止部材500として、平面視略円形状に形成されたステンレスメッシュを用意し、その透過膜400及び変形防止部材500で、パッキン300の開口部310を覆った。
ここで、透過膜400の強度を向上させるために、透過膜400と変形防止部材500とを重ね合わせて、透過膜400及び変形防止部材500における、電極基板部200の分析部220に対応する部分以外の部分を接着し、透過膜400と変形防止部材500とを一体化した。そして、この透過膜400と変形防止部材500とを一体化したもので、パッキン300の開口部310を覆った。
次いで、前記作成した上側ケース体120を、孔部122が下側ケース体110の凹部117に対応するようにして、パッキン300上に設置し、連結部材130を用いて、下側ケース体110に連結させた。そして、例えば、図8に示すように、ホルダーT2で、上側ケース体120の位置を固定した。
次いで、検出層L2に電解液を導入した。
具体的には、1.0Uのホルムアルデヒド脱水素酵素、0.5μmolのNAD、20μmolのナフサキノンを、2000μLのリン酸緩衝液(pH7.5)へ溶解して、酵素溶液を作成した。その酵素溶液を、シリンジを用いて電解液導入口112から酵素センサ10内へと導入し、電解液排出口114から漏れ出すまで導入し続けることによって、検出層L2を酵素溶液で満たした。このとき、約1000μLの酵素溶液が酵素センサ10内に導入された。
<2>濃度測定システム1000の評価
本実施例では、室温(25℃)で、参照電極243に対して作用電極241に+350mVの電圧を印加し、アンペロメトリー法による電流計測によって、酵素センサ10からの応答電流(酵素センサ10の応答出力)を計測した。
<2−1>応答電流の流量依存性
上記作成した酵素センサ10からの応答電流の流量依存性を評価するための実験を行った。
具体的には、ホルムアルデヒド濃度が10ppbの標準ガスを生成して、流量を変化させながら順次供給し、応答電流を計測した。その結果を図9に示す。
図9においては、横軸に流量(sccm:standard cc/min(1×10-63/min))、縦軸に平衡状態での応答電流(nA)を示す。
図9によれば、供給層L1に供給するガスの流量が大きくなると、酵素センサ10からの応答電流が増加することが分かった。
図9の結果から、供給層L1に供給するガスの流量を大きくすることで、酵素センサ10の感度が上がることが分かった。
<2−2>検量線の作成
上記作成した酵素センサ10を用いて、検量線を作成するための実験を行った。
具体的には、ホルムアルデヒド濃度が異なる標準ガスを順次生成して、一定流量で供給し、応答電流を計測した。この一連の処理を、複数の流量(100sccm、300sccm、500sccm)のそれぞれに対して行った。その結果を、図10に示す。
図10においては、横軸にホルムアルデヒド濃度(ppb)、縦軸に平衡状態での応答電流(nA)を示し、菱形(◆)プロットで流量が100sccmの場合の結果、四角(■)プロットで流量が300sccmの場合の結果、三角(▲)プロットで流量が500sccmの場合の結果を示す。
図10によれば、流量が100sccmの場合、検出濃度範囲は、10ppb〜10000ppbであることが分かった。
また、流量が300sccmの場合、検出濃度範囲は、1ppb〜100ppbであることが分かった。
また、流量が500sccmの場合、検出濃度範囲は、0.1ppb〜10ppbであることが分かった。
図10の結果から、供給層L1に供給するガスの流量が一定の場合、検出濃度範囲は狭いが、供給層L1に供給するガスの流量を変えることで、酵素センサ10の検出濃度範囲が変化することが分かった。したがって、供給層L1に供給するガスの流量を変えることによって、酵素センサ10を、広範な検出濃度範囲を有するセンサとして使用できるとともに、供給層L1に供給するガスの流量の可変範囲のうちの適切な流量(適切な検出濃度範囲となる流量)で検出対象物質を検出して、当該検出対象物質の濃度を測定できることが分かった。
供給層L1に供給されたホルムアルデヒドガス中のホルムアルデヒドは、透過膜400を透過して供給層L1から検出層L2に移行して電解液に溶け込み、酵素と反応する。そして、最終的に、電子伝達体が作用電極241上で酸化される。検出対象物質の膜透過率は、透過膜400にかかる圧力(すなわち、供給層L1に供給する気体試料の流量)に依存するため、酵素センサ10の感度は、透過膜400にかかる圧力(すなわち、供給層L1に供給する気体試料の流量)によって変化すると考えられる。
ここで、図10に示す検量線に基づいて、供給層L1に供給する気体試料の流量に対応する所定の閾値を決定することとすると、例えば、100sccm(第1流量)に対応する検量線から判断された検出濃度範囲10ppb〜10000ppbのうちの一の濃度(例えば、200ppb)に対応する応答電流(90nA)を、100sccmに対応する閾値(第1閾値)として決定すれば良く、例えば、300sccm(第2流量)に対応する検量線から判断された検出濃度範囲1ppb〜100ppbのうちの一の濃度(例えば、10ppb)に対応する応答電流(40nA)を、300sccmに対応する閾値(第2閾値)として決定すれば良い。
以上説明した第1の実施の形態における濃度測定システム1000によれば、透過膜400にかかる圧力(すなわち、供給層L1に供給する気体試料の流量)が所定の大きさとなるよう調整させ、酵素センサ10の応答出力に関する応答データを取得し、取得された応答データに基づく値が、透過膜400にかかる圧力(すなわち、供給層L1に供給する気体試料の流量)に対応する所定の閾値を超えたか否かを判断し、取得された応答データに基づく値が当該所定の閾値を超えたと判断された場合に、当該応答データを検出結果データとして決定し、取得された応答データに基づく値が当該所定の閾値を超えていないと判断された場合に、透過膜400にかかる圧力(すなわち、供給層L1に供給する気体試料の流量)を前回よりも大きくして上記一連の処理(調整−取得−判断)を酵素センサ10による検出結果に関する検出結果データを決定するまで繰り返し行うことによって、検出対象物質の濃度を測定するようになっている。
ここで、検出対象物質の膜透過率は透過膜400にかかる圧力(すなわち、供給層L1に供給する気体試料の流量)に依存するため、供給層L1に供給する気体試料の流量を調整することで、酵素センサ10の検出濃度範囲を変えることができる。したがって、供給層L1に供給する気体試料の流量を調整するという簡易な構成で、酵素センサ10を、広範な検出濃度範囲を有するセンサとして使用できるとともに、検出対象物質の濃度が未知であっても、供給層L1に供給する気体試料の流量の可変範囲のうちの適切な流量(適切な検出濃度範囲となる流量)で当該検出対象物質を検出して、当該検出対象物質の濃度を測定することができる。
また、以上説明した第1の実施の形態における濃度測定システム1000によれば、酵素センサ10は、透過膜400の少なくとも一面(上面及び/又は下面)に配置され、透過膜400の変形を防止する変形防止部材500を備えている。
したがって、変形防止部材500によって、透過膜400の変形を防止して、電極240(電極基板部200)と透過膜400との間の距離を一定に保つことができるため、検出対象物質の検出を安定して行うことができる。
以上説明した第1の実施の形態における濃度測定方法によれば、透過膜400にかかる圧力(すなわち、供給層L1に供給する気体試料の流量)が所定の大きさとなるよう調整する調整ステップと、酵素センサ10の応答出力に関する応答データを取得する取得ステップと、取得された応答データに基づく値が、透過膜400にかかる圧力(すなわち、供給層L1に供給する気体試料の流量)に対応する所定の閾値を超えたか否かを判断する判断ステップと、判断ステップで応答データに基づく値が所定の閾値を超えたと判断された場合に、当該応答データを、酵素センサ10による検出結果に関する検出結果データとして決定する決定ステップと、決定された検出結果データと、調整手段により調整された透過膜400にかかる圧力(すなわち、調整された供給層L1に供給する気体試料の流量)と、に基づいて、検出対象物質の濃度を算出する算出ステップと、判断ステップで応答データに基づく値が所定の閾値を超えていないと判断された場合に、透過膜400にかかる圧力(すなわち、供給層L1に供給する気体試料の流量)を前回よりも大きくして、調整ステップと、取得ステップと、判断ステップと、を行う繰り返しステップと、を有している。
したがって、透過膜400にかかる圧力を調整して、所定の閾値に基づいて当該調整された圧力が適切な検出濃度範囲となる圧力であるか否かを判断するという簡易な構成で、検出対象物質の濃度が未知であっても当該検出対象物質を検出して、当該検出対象物質の濃度を測定することができる。
[第2の実施の形態]
次に、第2の実施の形態における濃度測定システム1000A及び濃度測定方法について説明する。
なお、第2の実施の形態の濃度測定システム1000Aは、酵素センサ10Aの構成が、第1の実施の形態の濃度測定システム1000が備える酵素センサ10と異なる。したがって、異なる箇所のみについて説明し、その他の共通する部分は同一符号を付して詳細な説明は省略する。
<濃度測定システム>
図11は、濃度測定システム1000Aの構成を示す図であり、図12は、濃度測定システム1000Aの機能的構成を示す図である。また、図13は、酵素センサ10Aの平面斜視図であり、図14は、図13におけるXIV−XIV線における断面を模式的に示す図であり、図15は、図13におけるXV−XV線における断面を模式的に示す図である。図16(a)は、透過膜400が取り付けられた状態の上側支持体820の底面図であり、図16(b)は、電極基板部200Aが取り付けられた状態の下側支持体810の平面図である。
濃度測定システム1000Aは、例えば、酵素センサ10Aを用いて、検出対象物質を検出して、検出対象物質の濃度を測定するシステムである。
具体的には、濃度測定システム1000Aは、例えば、図11及び図12に示すように、酵素センサ10Aと、計測回路21と、データ処理装置22と、データ表示装置23と、標準ガス生成装置31と、吸気ポンプ32と、バルブ駆動装置40と、流量計51と、制御装置60と、などを備えて構成される。
<酵素センサ>
酵素センサ10Aは、電極240Aを有する電極基板部200Aを着脱自在に備えており、酵素の特性を利用して気体試料中の検出対象物質を電気化学的計測法によって検出するセンサである。酵素センサ10Aは、検出対象物質を含有するガス(気体試料や標準ガス)が供給される供給層L1と、所定の電解液が導入される検出層L2と、を有しており、電極240Aは検出層L2に配置されており、酵素は検出層L2に含有される。
酵素センサ10Aにおいて、酵素は、遊離酵素の状態で検出層L2に含有されている。すなわち、例えば、検出層L2に導入する電解液として酵素が含有された電解液を使用することによって、酵素を検出層L2に含有させることとする。
具体的には、酵素センサ10Aは、例えば、図13〜図16に示すように、下側支持体810や上側支持体820などから成る支持体800と、検出対象物質を含有する気体試料や標準ガスが供給される供給層L1と、供給層L1と隣接するように配置され、検出対象物質と選択的に反応する酵素を含有する検出層L2と、供給層L1と検出層L2とを隔てるように配置され、少なくとも検出対象物質が透過する透過膜400と、透過膜400を上側支持体820に固定するための第1Oリング610と、検出層L2の大きさ(径)を規定するための第2Oリング620と、検出層L2に透過膜400と対向して配置された電極240Aを有する電極基板部200Aと、透過膜400と電極基板部200A(電極240A)との間に配置され、透過膜400が変形しないように透過膜400を支持するスペーサ700と、などを備えて構成される。
支持体800は、例えば、略円柱体を、平面視略D字形状となるように側面の一部を上下方向に沿って切り欠いて、上下方向略中央よりも下側の位置で上下方向に直交する方向(水平方向)に分割して形成された下側支持体810及び上側支持体820と、上側支持体820を下側支持体810に固定するための複数のネジ830と、などを備えて構成される。
支持体800を構成する材料としては、電解液や試料などに対する耐腐食性が高い材料(例えば、疎水性の絶縁性材料、表面を疎水処理した絶縁性材料など)が好ましく、具体的には、例えば、セラミックス、ガラス、プラスチック、テフロン、ピーク材などを用いることができる。
下側支持体810には、例えば、電極基板部200Aを着脱自在に取り付けるための取付部811などが設けられている。
ここで、特に、下側支持体810の表面や取付部811などは、電解液や試料などに対する耐腐食性が高い材料(例えば、疎水性の絶縁性材料、表面を疎水処理した絶縁性材料など)で形成されるのが好ましい。
取付部811は、例えば、下側支持体810の水平方向略中央の位置から前側に向かって形成された、上面が開口した凹陥部である。
取付部811の深さは、例えば、電極基板部200Aの厚みと略同一となるよう設定されている。
上側支持体820は、例えば、上方向に膨出したドーム型となるように形成されており、上側支持体820の水平方向略中央の位置には、下面が開口した凹部821が設けられている。
凹部821は、例えば、隔壁821aによって隔てられた、底面(開口面に対向する面)の位置が上側支持体820の上下方向略中央よりも上側にある、平面視略円形状の第1凹部821bと、底面(開口面に対向する面)の位置が上側支持体820の上下方向略中央よりも下側にある、平面視略リング形状の第2凹部821cと、から成る。
第1凹部821bは、例えば、上側支持体820に透過膜400が取り付けられると、上下方向に分離されるようになっており、分離された状態における、第1凹部821bの上側の領域が気相室(供給層L1)となり、第1凹部821bの下側の領域及び第2凹部821cが液相室(検出層L2)となる。したがって、電極240A(電極基板部200A)と透過膜400との間の距離は、隔壁821aの高さ(上下方向の長さ)によって規定されることとなる。
具体的には、上側支持体820には、例えば、凹部821と、凹部821の周囲に配置され、下面が開口した平面視略リング形状のOリング収容部822と、酵素センサ10Aの外部から気相室(供給層L1)に向けてガス(気体試料や標準ガス)を導入するためのガス導入口831と、気相室とガス導入口831とを連通するガス導入路832と、気相室から酵素センサ10Aの外部に向けてガスを排出するためのガス排出口833と、気相室とガス排出口833とを連通するガス排出路834と、酵素センサ10Aの外部から液相室(検出層L2)に向けて電解液を導入するための電解液導入口841と、液相室と電解液導入口841とを連通する電解液導入路842と、液相室から酵素センサ10Aの外部に向けて電解液を排出するための電解液排出口843と、液相室と電解液排出口843とを連通する電解液排出路844と、などが設けられている。
ここで、特に、上側支持体820の表面や、凹部821、ガス導入口831、ガス導入路832、ガス排出口833、ガス排出路834、電解液導入口841、電解液導入路842、電解液排出口843、電解液排出路844などは、電解液や試料などに対する耐腐食性が高い材料(例えば、疎水性の絶縁性材料、表面を疎水処理した絶縁性材料など)で形成されるのが好ましい。
ガス導入路832は、例えば、第1凹部821bから左方向に上側に向かって形成されている。なお、透過膜400に対するガス導入路832の角度は、0度以上90度以下であれば任意であるが、透過膜400にかかる圧力を高くして、検出対象物質を透過しやすくするという観点から、45度以上が好ましい。
また、ガス排出路834は、例えば、第1凹部821bから右方向に上側に向かって形成されている。
また、電解液導入路842は、例えば、第1凹部821bの後方における第2凹部821cの上面から上側支持体820の上下方向略中央の位置までの領域に上下方向に沿って形成された第1電解液導入路842aと、第1電解液導入路842aから後方向に上側に向かって形成された第2電解液導入路842bと、から成る。
また、電解液排出路844は、例えば、第1凹部821bの前方における第2凹部821cの上面から上側支持体820の上下方向略中央の位置までの領域に上下方向に沿って形成された第1電解液排出路844aと、第1電解液排出路844aから前方向に上側に向けって形成された第2電解液排出路844bと、から成る。
電極基板部200Aは、例えば、図16に示すように、基板210と、基板210の上面に配置された電極240A(作用電極241A、対電極242A及び参照電極243A)と、電極240Aに対応して設けられたパッド250と、電極240Aとパッド250とを接続する配線260と、などを備えて構成される。
電極基板部200Aは、例えば、酵素センサ10Aの前方から取付部811に挿入することによって、取付部811に取り付けられるようになっている。
なお、電極基板部200Aは、開口部(分析部220)を有する疎水性絶縁膜230を備えていても良い。
透過膜400は、例えば、透過膜400で上側支持体820の下面側から第1凹部821bを覆い、そして、第1Oリング610を透過膜400の下面側に配して上方向に移動させ隔壁821aの周囲に取り付けることによって、上側支持体820に取り付けられるようになっている。
第1Oリング610は、例えば、上側支持体820に透過膜400を取り付けるためのものである。
また、第2Oリング620は、例えば、液相室(検出層L2)の水平方向の大きさ(径)を規定するためのものであるとともに、検出層L2を密閉して、検出層L2に導入された電解液が漏れるのを防ぐためのものであり、Oリング収容部822に収容されるようになっている。したがって、第2Oリング620としては、例えば、Oリング収容部822の高さ(上下方向の長さ)と同等又はそれ以上の厚みを有するものが好ましい。
第1Oリング610及び第2Oリング620を構成する材料としては、電解液や試料などに対する耐腐食性が高い材料が好ましい。
スペーサ700は、例えば、電極240Aを略覆うように、電極基板部200Aの上面に配置されている。
スペーサ700は、酵素センサ10Aの使用中に透過膜400が変形しないように、透過膜400を支持するためのものである。したがって、スペーサ700としては、例えば、電極240A(電極基板部200A)と透過膜400との間の距離と同等の厚みを有するものが好ましい。これによって、電極240Aと透過膜400との間の距離を一定に保つことができることになる。
スペーサ700を構成する材料は、スペーサ700によって透過膜400を変形しないように支持することができ、かつ、基質(検出対象物質)透過性の良好なものであれば任意であり、具体的には、例えば、電極240Aに対して略垂直方向の貫通する貫通孔を複数有する陽極酸化膜等の多孔体、親水性テフロン膜等の親水性膜、ナイロンメッシュ等のメッシュ体などが挙げられる。
ここで、第1の実施の形態においては、吸気ポンプ32により吸気されたガス(気体試料や標準ガス)を、酵素センサ10の透過膜400に吹き付けるようにして、供給口121(供給層L1)に供給するようになっていたが、第2の実施の形態では、例えば、図11に示すように、吸気ポンプ32の排気側と酵素センサ10A(酵素センサ10Aのガス導入口831)とを、供給側流量調整バルブ42及び流量計51を介してチューブで接続し、吸気ポンプ32により吸気されたガスを、ガス導入口831から導入することによって、気相室(供給層L1)に供給するようになっている。
<濃度測定方法>
濃度測定システム1000Aによる、酵素センサ10Aを用いた検出対象物質の濃度測定方法の一例は、第1の実施の形態の、濃度測定システム1000による、酵素センサ10を用いた検出対象物質の濃度測定方法(図7)と、略同一であるため詳細な説明は省略する。
以下、具体的な実施例によって本発明を説明するが、発明はこれらに限定されるものではない。
酵素センサ10Aを作成して、濃度測定システム1000Aの評価を行った。
<1>酵素センサ10Aの作成
本実施例では、ホルムアルデヒドガスを検出するための酵素センサ10Aを作成した。酵素としては、補酵素(NAD)依存型酵素であるホルムアルデヒドデヒドロゲナーゼ(ホルムアルデヒド脱水素酵素)を用いた。
<1−1>電極基板部200の作成
まず、作用電極241A、対電極242A及び参照電極243Aの三極構造のパターンを有する電極基板部200Aを作成した。
具体的には、基板210として略矩形状に形成されたガラス基板を用意し、スクリーン印刷により、基板210にカーボンを塗布し、ホットプレートを用いて、120℃で15分間ポストベークした。
その後、一晩、暗室にて乾燥させ、参照電極243Aのパターン上に銀/塩化銀インクを塗布して120℃で焼結し、銀/塩化銀電極である参照電極243Aを作成した。
なお、電極基板部200Aには、第1の実施の形態の実施例1のように、スクリーン印刷により、基板210における分析部220に対応する領域及びパッド250以外の部分に紫外線硬化型絶縁皮膜を塗布し、紫外線露光装置を用いて、紫外線硬化型絶縁皮膜を硬化することによって、疎水性絶縁膜230を作成しても良い。
<1−2>酵素センサ10Aの作成
まず、支持体800(下側支持体810及び上側支持体820)を、旋盤やフライス盤などを用いて、絶縁体であるピーク材を加工することによって作成した。
取付部811の深さは、電極基板部200Aの厚み(0.8mm)と略同一となるよう設定した。また、透過膜400と電極240Aとの間の距離が50μmとなるよう隔壁821aの高さを調整した。
次いで、透過膜400として、PTFEからなる疎水性多孔質テフロン膜を用意し、この透過膜400を、第1Oリング610を用いて上側支持体820に固定した。また、第2Oリング620をOリング収容部822に収容した。
次いで、スペーサ700として、透過膜400と電極240Aとの間の距離(50μm)と略同一の厚みの親水性テフロン膜(厚み:50μm、ミリポア製)を用意し、液相室(検出層L2)内に配置した。
次いで、下側支持体810上に上側支持体820を配置して、ネジ830を用いて上側支持体820を下側支持体820に固定し、上記作成した電極基板部200Aを取付部811に取り付けた。
次いで、検出層L2に電解液を導入した。
具体的には、まず、酵素センサ10Aの電解液導入口841を、電解液タンクと、送液ポンプを介してチューブで接続するとともに、電解液排出口843を、当該電解液タンク及び/又は廃液タンクとチューブで接続した。
次いで、20mgのホルムアルデヒド脱水素酵素を、1mMのNAD及び1mMのキノンを含むリン酸緩衝液(pH7.41)に溶解することによって、酵素溶液を作成し、その酵素溶液を当該電解液タンクに入れた。
次いで、当該送液ポンプを用いて、当該電解液タンク中の電解液を電解液導入口841から酵素センサ10A内へと導入し、電解液排出口843とタンク(当該電解液タンク及び/又は廃液タンク)とを接続するチューブが電解液で満たされるまで導入し続けることによって、検出層L2を酵素溶液で満たした。
<2>濃度測定システム1000Aの評価
本実施例では、室温(25℃)で、参照電極243Aに対して作用電極241Aに+350mVの電圧を印加し、アンペロメトリー法による電流計測によって、酵素センサ10Aからの応答電流(酵素センサ10Aの応答出力)を計測した。
<2−1>応答電流の流量依存性
上記作成した酵素センサ10Aからの応答電流の流量依存性を評価するための実験を行った。
具体的には、ホルムアルデヒド濃度が10ppbの標準ガスを生成して、流量を変化させながら順次供給し、応答電流を計測した。その結果を図17に示す。
図17においては、横軸に流量(sccm)、縦軸に平衡状態での応答電流(nA)を示す。
図17によれば、供給層L1に供給するガスの流量が大きくなると、酵素センサ10Aからの応答電流が増加することが分かった。
図17の結果から、供給層L1に供給するガスの流量を大きくすることで、酵素センサ10Aの感度が上がることが分かった。
<2−2>検量線の作成
上記作成した酵素センサ10Aを用いて、検量線を作成するための実験を行った。
具体的には、ホルムアルデヒド濃度が異なる標準ガスを順次生成して、一定流量で供給し、応答電流を計測した。この一連の処理を、複数の流量(100sccm、300sccm、500sccm)のそれぞれに対して行った。その結果を、図18に示す。
図18においては、横軸にホルムアルデヒド濃度(ppb)、縦軸に平衡状態での応答電流(nA)を示し、菱形(◆)プロットで流量が100sccmの場合の結果、四角(■)プロットで流量が300sccmの場合の結果、三角(▲)プロットで流量が500sccmの場合の結果を示す。
図18によれば、流量が100sccmの場合、検出濃度範囲は、10ppb〜10000ppbであることが分かった。
また、流量が300sccmの場合、検出濃度範囲は、1ppb〜100ppbであることが分かった。
また、流量が500sccmの場合、検出濃度範囲は、0.1ppb〜10ppbであることが分かった。
図18の結果から、供給層L1に供給するガスの流量が一定の場合、検出濃度範囲は狭いが、検出層L1に供給するガスの流量を変えることで、酵素センサ10Aの検出濃度範囲が変化することが分かった。したがって、供給層L1に供給するガスの流量を変えることによって、酵素センサ10Aを、広範な検出濃度範囲を有するセンサとして使用できるとともに、供給層L1に供給するガスの流量の可変範囲のうちの適切な流量(適切な検出濃度範囲となる流量)で検出対象物質を検出して、当該検出対象物質の濃度を測定できることが分かった。
供給層L1に供給されたホルムアルデヒドガス中のホルムアルデヒドは、透過膜400を透過して供給層L1から検出層L2に移行して電解液に溶け込み、酵素と反応する。そして、最終的に、電子伝達体が作用電極241A上で酸化される。検出対象物質の膜透過率は、透過膜400にかかる圧力(すなわち、供給層L1に供給する気体試料の流量)に依存するため、酵素センサ10Aの感度は、透過膜400にかかる圧力(すなわち、供給層L1に供給する気体試料の流量)によって変化すると考えられる。
以上説明した第2の実施の形態における濃度測定システム1000Aによれば、酵素センサ10Aは、透過膜400と電極240Aとの間に配置され、透過膜400が変形しないように透過膜400を支持するスペーサ700を備えている。
したがって、スペーサ700によって、透過膜400の変形を防止して、電極240A(電極基板部200A)と透過膜400との間の距離を一定に保つことができるため、検出対象物質の検出を安定して行うことができる。
[第3の実施の形態]
次に、第3の実施の形態における濃度測定システム1000B及び濃度測定方法について説明する。
なお、第3の実施の形態の濃度測定システム1000Bは、透過膜400にかかる圧力の調整の仕方が、第2の実施の形態の濃度測定システム1000Aと異なる。したがって、異なる箇所のみについて説明し、その他の共通する部分は同一符号を付して詳細な説明は省略する。
<濃度測定システム>
図19は、濃度測定システム1000Bの構成を示す図であり、図20は、濃度測定システム1000Bの機能的構成を示す図である。
濃度測定システム1000Bは、例えば、酵素センサ10Aを用いて、検出対象物質を測定して、検出対象物質の濃度を測定するシステムである。
具体的には、濃度測定システム1000Bは、例えば、図19及び図20に示すように、酵素センサ10Aと、計測回路21と、データ処理装置22と、データ表示装置23と、標準ガス生成装置31と、吸気ポンプ32と、バルブ駆動装置40Bと、圧力計52と、制御装置60Bと、などを備えて構成される。
<バルブ駆動装置>
バルブ駆動装置40Bは、例えば、制御装置60Bから入力される制御信号に従って、濃度測定システム1000Bが備える各バルブ(切替バルブ41や、供給側流量調整バルブ42、排出側流量調整バルブ43など)を駆動する。
排出側流量調整バルブ43は、例えば、ニードルバルブ等の、酵素センサ10Aの供給層L1から排出されるガスの流量を調整するためのバルブであり、例えば、酵素センサ10Aのガス排出口833と、チューブで接続されている。
したがって、第2の実施の形態においては、酵素センサ10Aに供給されたガス(気体試料や標準ガス)は、ガス排出口833から外部に直接排出されるようになっていたが、第3の実施の形態では、ガス排出口833から排出側流量調整バルブ43を介して外部に排出するようになっている。
ここで、供給層L1に供給する気体試料の流量を調整して、供給層L1内の圧力を調整することによって、透過膜にかかる圧力を調整する調整手段は、例えば、バルブ駆動装置40B、供給側流量調整バルブ42及び排出側流量調整バルブ43によって構成される。
<圧力計>
圧力計52は、例えば、酵素センサ10Aの供給層L1内の圧力を測定する。
<制御装置>
制御装置60Bは、例えば、濃度測定システム1000Bを構成する各装置を制御するための装置である。
具体的には、制御装置60Bは、例えば、図20に示すように、CPU61と、RAM62と、記憶部63Bと、などを備えている。
検量線作成プログラム63aBは、例えば、検出対象物質の濃度を測定する際に使用される検量線を作成する機能を、CPU61に実現させる。
具体的には、CPU61は、例えば、バルブ駆動装置40Bに制御信号を入力して、標準ガス生成装置31により生成された標準ガスが酵素センサ10Aに供給されるように、切替バルブ41を切り替えさせる。
次いで、CPU61は、例えば、圧力計52により測定された圧力に基づいてバルブ駆動装置40Bに制御信号を入力し、供給層L2内が一定圧力となるように供給側流量調整バルブ42及び排出側流量調整バルブ43を調整させながら、標準ガス生成装置41や吸気ポンプ32に制御信号を入力して、基質濃度が異なる標準ガスを順次生成させて酵素センサ10Aに順次供給させ、計測回路21やデータ処理装置22に制御信号を入力して、検量線を作成させる。
そして、CPU61は、この一連の処理を、例えば、複数の圧力(例えば、「圧力Pa」、「圧力Pb」、…)それぞれに対して行う。すなわち、CPU61は、例えば、複数の圧力それぞれに対応する検量線(「圧力Pa」に対応する検量線、「圧力Pb」に対応する検量線、…)を作成する。
この作成された検量線は、例えば、RAM62や記憶部63Bなどに記憶されるようになっている。
閾値決定プログラム63bBは、例えば、検出対象物質の濃度を測定する際に使用される所定の閾値を決定する機能を、CPU61に実現させる。
具体的には、CPU61は、例えば、検量線作成プログラム63aBを実行したCPU61により作成された検量線に基づいて検出濃度範囲を判断し、当該判断した検出濃度範囲内の一の濃度に対応する応答電流を、透過膜400にかかる圧力に対応する所定の閾値(すなわち、供給層L1内の圧力に対応する所定の閾値)として決定する。
より具体的には、例えば、「圧力Pa」に対応する検量線として、図6に示すような検量線が作成された場合、検出濃度範囲をC1〜C3と判断し、当該判断した検出濃度範囲内の一の濃度C2に対応する「応答電流I2」を、「圧力Pa」に対応する閾値として決定する。
なお、図6において、一の濃度C2は、検出濃度範囲C1〜C3内の濃度であれば任意である。
測定プログラム63cBは、例えば、酵素センサ10Aを用いて検出対象物質の濃度を測定する機能を、CPU61に実現させる。
すなわち、CPU61は、例えば、酵素センサ10Aによる検出結果に関する検出結果データと、調整された透過膜400にかかる圧力(すなわち、調整された供給層L1内の圧力)と、に基づいて、検出対象物質の濃度を測定する。
具体的には、CPU61は、例えば、バルブ駆動装置40Bに制御信号を入力して、外部大気等の気体試料が酵素センサ10Aに供給されるように、切替バルブ41を切り替えさせる。
次いで、CPU61は、例えば、圧力計52により測定された圧力に基づいてバルブ駆動装置40Bに制御信号を入力し、透過膜400にかかる圧力が所定の大きさとなるように(すなわち、供給層L1内の圧力が所定の大きさとなるように)供給側流量調整バルブ42及び排出側流量調整バルブ43を調整させながら、吸気ポンプ32に制御信号を入力して、気体試料を酵素センサ10Aに供給させる。
より具体的には、例えば、供給層L1内の圧力が、検量線作成プログラム63aBを実行したCPU61により作成された検量線に対応する圧力(例えば、「圧力Pa」、「圧力Pb」、…(Pa<Pb<…))のうちの、最も小さい圧力(「圧力Pa」)と同一となるように調整する。
次いで、CPU61は、例えば、計測回路21に制御信号を入力して、酵素センサ10Aからの応答電流(酵素センサ10Aの応答出力)を計測させることによって、酵素センサ10Aの応答出力に関する応答データを取得する。
次いで、CPU61は、例えば、取得した応答データに基づく値(応答電流値)が、閾値決定プログラム63bBを実行したCPU61により決定された所定の閾値のうちの、透過膜400にかかる圧力に対応する所定の閾値(すなわち、供給層L1内の圧力に対応する所定の閾値)を超えたか否かを判断する。
より具体的には、例えば、「圧力Pa」に対応する検量線として図6に示すような検量線が作成され、供給層L1内の圧力が「圧力Pa」に調整された場合、取得した応答データに基づく値が、供給層L1内の圧力「圧力Pa」に対応する所定の閾値「応答電流I2」を超えたか否かを判断する。
そして、応答データに基づく値が所定の閾値を超えたと判断した場合、CPU61は、例えば、当該応答データを、酵素センサ10Aによる検出結果に関する検出結果データとして決定する。
次いで、CPU61は、例えば、データ処理装置22に制御信号を入力して、当該応答データに基づく数値データ(すなわち、当該応答データに基づく値(応答電流値)と、供給層L1内の圧力に対応する検量線と、から算出される検出対象物質の濃度に関するデータ)を作成させ、データ表示装置23に制御信号を入力して、当該数値データに基づく数値情報(すなわち、検出対象物質の濃度)を表示させる。
一方、応答データに基づく値が所定の閾値を超えていないと判断した場合、CPU61は、例えば、透過膜400にかかる圧力(すなわち、供給層L1内の圧力)を前回よりも大きくして、上記一連の処理(調整−取得−判断)を、酵素センサ10Aによる検出結果に関する検出結果データを決定するまで繰り返し行う。
より具体的には、例えば、供給層L1内の圧力が、検量線作成プログラム63aBを実行したCPU61により作成された検量線に対応する圧力(例えば、「圧力Pa」、「圧力Pb」、…(Pa<Pb<…))のうちの、前回の圧力(例えば、「圧力Pa」)の次に大きい圧力(「圧力Pb」)と同一となるよう調整する。
CPU61は、かかる測定プログラム63cBを実行することによって、測定手段、調整制御手段、取得手段、判断手段及び決定手段として機能する。
<濃度測定方法>
濃度測定システム1000Bによる、酵素センサ10Aを用いた検出対象物質の濃度測定方法の一例を、図21のフローチャートを参照して説明する。
まず、CPU61は、検量線作成プログラム63aBを実行して、供給層L1内の圧力が第1圧力となるよう調整しながら、標準ガスを酵素センサ10Aに供給して、第1圧力に対応する検量線を作成する(ステップS31)。
次いで、CPU61は、供給層L1内の圧力が第1圧力よりも大きい第2圧力となるよう調整しながら、標準ガスを酵素センサ10に供給して、第2圧力に対応する検量線を作成する(ステップS32)。
次いで、CPU61は、供給層L1内の圧力が第2圧力よりも大きい第3圧力となるよう調整しながら、標準ガスを酵素センサ10に供給して、第3圧力に対応する検量線を作成する(ステップS33)。
次いで、CPU61は、閾値決定プログラム63bBを実行して、作成された検量線に基づいて、第1圧力に対応する第1閾値と、第2圧力に対応する第2閾値と、を決定する(ステップS34)。
ここで、作成された検量線に対応する圧力のうちの、最も大きい圧力(第3圧力)に対応する所定の閾値(第3閾値)も決定するようにしても良い。
次いで、CPU61は、測定プログラム63cBを実行して、供給層L1内の圧力が第1圧力となるよう調整しながら、気体試料を酵素センサ10Aに供給して(ステップS35)、応答データを取得し(ステップS36)、当該取得した応答データに基づく値が、第1閾値を超えたか否かを判断する(ステップS37)。
ステップS37で、当該取得した応答データに基づく値が、第1閾値を超えたと判断すると(ステップS37;Yes)、CPU61は、ステップS43の処理に移行する。
一方、ステップS37で、当該取得した応答データに基づく値が、第1閾値を超えていないと判断すると(ステップS37;No)、CPU61は、供給層L1内の圧力が第2圧力となるよう調整しながら、気体試料を酵素センサ10Aに供給して(ステップS38)、応答データを取得し(ステップS39)、当該取得した応答データに基づく値が、第2閾値を超えたか否かを判断する(ステップS40)。
ステップS40で、当該取得した応答データに基づく値が、第2閾値を超えたと判断すると(ステップS40;Yes)、CPU61は、ステップS43の処理に移行する。
一方、ステップS40で、当該取得した応答データに基づく値が、第2閾値を超えていないと判断すると(ステップS40;No)、CPU61は、供給層L1内の圧力が第3圧力となるよう調整しながら、気体試料を酵素センサ10Aに供給して(ステップS41)、応答データを取得する(ステップS44)。
次いで、CPU61は、取得した応答データを、酵素センサ10Aによる検出結果に関する検出結果データとして決定し(ステップS43)、検出対象物質の濃度を算出して表示し(ステップS44)、本処理を終了する。
具体的には、供給層L1内の圧力が第1圧力である際に取得された応答データを、検出結果データとして決定した場合には、当該応答データに基づく値と、第1圧力に対応する検量線と、から検出対象物質の濃度を算出する。
また、供給層L1内の圧力が第2圧力である際に取得された応答データを、検出結果データとして決定した場合には、当該応答データに基づく値と、第2圧力に対応する検量線と、から検出対象物質の濃度を算出する。
また、供給層L1内の圧力が第3圧力である際に取得された応答データを、検出結果データとして決定した場合には、当該応答データに基づく値と、第3圧力に対応する検量線と、から検出対象物質の濃度を算出する。
ここで、透過膜400にかかる圧力が所定の大きさとなるよう調整する調整ステップは、ステップS35に対応し、酵素センサ10Aの応答出力に関する応答データを取得する取得ステップは、ステップS36に対応し、取得された応答データに基づく値が、透過膜400にかかる圧力に対応する所定の閾値を超えたか否かを判断する判断ステップは、ステップS37に対応し、判断ステップで応答データに基づく値が所定の閾値を超えたと判断された場合に、当該応答データを、酵素センサ10Aによる検出結果に関する検出結果データとして決定する決定ステップは、ステップS43に対応し、決定された検出結果データと、調整された透過膜400にかかる圧力と、に基づいて、検出対象物質の濃度を算出する算出ステップは、ステップS44に対応し、判断ステップで応答データに基づく値が所定の閾値を超えていないと判断された場合に、透過膜400にかかる圧力を前回よりも大きくして、調整ステップ(ステップS38、ステップS41)と、取得ステップ(ステップS39、ステップS42)と、判断ステップ(ステップS40)と、を行う繰り返しステップは、ステップS38〜ステップS42に対応する。
以上説明した第3の実施の形態における濃度測定システム1000Bによれば、透過膜400にかかる圧力(すなわち、供給層L1内の圧力)が所定の大きさとなるよう調整させ、酵素センサ10Aの応答出力に関する応答データを取得し、取得された応答データに基づく値が、透過膜400にかかる圧力(すなわち、供給層L1内の圧力)に対応する所定の閾値を超えたか否かを判断し、取得された応答データに基づく値が当該所定の閾値を超えたと判断された場合に、当該応答データを検出結果データとして決定し、取得された応答データに基づく値が当該所定の閾値を超えていないと判断された場合に、透過膜400にかかる圧力(すなわち、供給層L1内の圧力)を前回よりも大きくして上記一連の処理(調整−取得−判断)を酵素センサ10Aによる検出結果に関する検出結果データを決定するまで繰り返し行うことによって、検出対象物質の濃度を測定するようになっている。
ここで、検出対象物質の膜透過率は透過膜400にかかる圧力(すなわち、供給層L1内の圧力)に依存するため、供給層L1内の圧力を調整することで、酵素センサ10Aの検出濃度範囲を変えることができる。したがって、供給層L1内の圧力を調整するという簡易な構成で、酵素センサ10Aを、広範な検出濃度範囲を有するセンサとして使用できるとともに、検出対象物質の濃度が未知であっても、供給層L1内の圧力の可変範囲のうちの適切な圧力(適切な検出濃度範囲となる圧力)で当該検出対象物質を検出して、当該検出対象物質の濃度を測定することができる。
また、以上説明した第3の実施の形態における濃度測定システム1000Bによれば、供給層L1に供給するガスの流量と、供給層L1から排出されるガスの流量と、を調整することによって、供給層L1内の圧力を調整するようになっているため、簡易な構成で、確実に供給層L1内の圧力を調整することができる。
以上説明した第3の実施の形態における濃度測定方法によれば、透過膜400にかかる圧力(すなわち、供給層L1内の圧力)が所定の大きさとなるよう調整する調整ステップと、酵素センサ10Aの応答出力に関する応答データを取得する取得ステップと、取得された応答データに基づく値が、透過膜400にかかる圧力(すなわち、供給層L1内の圧力)に対応する所定の閾値を超えたか否かを判断する判断ステップと、判断ステップで応答データに基づく値が所定の閾値を超えたと判断された場合に、当該応答データを、酵素センサ10Aによる検出結果に関する検出結果データとして決定する決定ステップと、決定された検出結果データと、調整手段により調整された透過膜400にかかる圧力(すなわち、供給層L1内の圧力)と、に基づいて、検出対象物質の濃度を算出する算出ステップと、判断ステップで応答データに基づく値が所定の閾値を超えていないと判断された場合に、透過膜400にかかる圧力(すなわち、供給層L1内の圧力)を前回よりも大きくして、調整ステップと、取得ステップと、判断ステップと、を行う繰り返しステップと、を有している。
したがって、透過膜400にかかる圧力を調整して、所定の閾値に基づいて当該調整された圧力が適切な検出濃度範囲となる圧力であるか否かを判断するという簡易な構成で、検出対象物質の濃度が未知であっても当該検出対象物質を検出して、当該検出対象物質の濃度を測定することができる。
[第4の実施の形態]
次に、第4の実施の形態における濃度測定システム1000C及び濃度測定方法について説明する。
なお、第4の実施の形態の濃度測定システム1000Cは、供給層L1内の圧力の調整の仕方が、第3の実施の形態の濃度測定システム1000Bと異なる。したがって、異なる箇所のみについて説明し、その他の共通する部分は同一符号を付して詳細な説明は省略する。
<濃度測定システム>
図22は、濃度測定システム1000Cの構成を示す図であり、図23は、濃度測定システム1000Cの機能的構成を示す図である。
濃度測定システム1000Cは、例えば、酵素センサ10Aを用いて、検出対象物質を測定して、検出対象物質の濃度を測定するシステムである。
具体的には、濃度測定システム1000Cは、例えば、図22及び図23に示すように、酵素センサ10Aと、計測回路21と、データ処理装置22と、データ表示装置23と、標準ガス生成装置31と、加圧ポンプ33と、リザーバタンク34と、圧力調整装置35と、バルブ駆動装置40Cと、圧力計52と、制御装置60Cと、などを備えて構成される。
<加圧ポンプ>
加圧ポンプ33は、例えば、制御装置60Cから入力される制御信号に従って、外部大気等の気体試料や標準ガス生成装置31により生成された標準ガスなどを吸気して加圧し、酵素センサ10Aの供給層L1に供給する。
具体的には、加圧ポンプ33の吸気側は、例えば、所定の領域(外部大気等の気体試料が存在する領域)及び標準ガス生成装置31と、切替バルブ41を介してチューブで接続されており、排気側は、例えば、加圧ポンプ33により加圧されたガス(気体試料や標準ガス)を貯めておくためのリザーバタンク34と、チューブを介して接続されている。加圧ポンプ33は、例えば、吸気したガスを加圧し、その加圧されたガス(加圧ガス)を、リザーバタンク34及び圧力調整装置35を介して、酵素センサ10Aのガス導入口831から導入して、気相室(供給層L1)に供給するようになっている。
<圧力調整装置>
圧力調整装置35は、例えば、制御装置60Cから入力される制御信号に従って、酵素センサ10Aの供給層L1に供給するガスの圧力を調整する。
具体的には、圧力調整装置35の吸気側は、例えば、リザーバタンク34と、チューブで接続されており、排気側は、例えば、酵素センサ10Aのガス導入口831と、チューブを介して接続されている。圧力調整装置35は、例えば、リザーバタンク34中の加圧ガスの圧力を調整し、その圧力が調整された加圧ガスを、酵素センサ10Aのガス導入口831から導入して、気相室(供給層L1)に供給するようになっている。
<バルブ駆動装置>
バルブ駆動装置40Cは、例えば、制御装置60Cから入力される制御信号に従って、濃度測定システム1000Cが備える各バルブ(切替バルブ41や排出側流量調整バルブ43など)を駆動する。
ここで、供給層L1内の圧力を調整することによって、透過膜にかかる圧力を調整する調整手段は、例えば、圧力調整装置35、バルブ駆動装置40C及び排出側流量調整バルブ43によって構成される。
<制御装置>
制御装置60Cは、例えば、濃度測定システム1000Cを構成する各装置を制御するための装置である。
具体的には、制御装置60Cは、例えば、図22に示すように、CPU61と、RAM62と、記憶部63Cと、などを備えている。
検量線作成プログラム63aCは、例えば、検出対象物質の濃度を測定する際に使用される検量線を作成する機能を、CPU61に実現させる。
具体的には、CPU61は、例えば、バルブ駆動装置40Cに制御信号を入力して、標準ガス生成装置31により生成された標準ガスが酵素センサ10Aに供給されるように、切替バルブ41を切り替えさせる。
次いで、CPU61は、例えば、圧力計52により測定された圧力に基づいて圧力調整装置35やバルブ駆動装置40Cに制御信号を入力し、供給層L2内が一定圧力となるように供給層L1に供給する標準ガス(加圧ガス)の圧力や排出側流量調整バルブ43を調整させながら、標準ガス生成装置31や加圧ポンプ33に制御信号を入力して、基質濃度が異なる標準ガスを順次生成させて酵素センサ10Aに順次供給させ、計測回路21やデータ処理装置22に制御信号を入力して、検量線を作成させる。
そして、CPU61は、この一連の処理を、例えば、複数の圧力(例えば、「圧力Pa」、「圧力Pb」、…)それぞれに対して行う。すなわち、CPU61は、例えば、複数の圧力それぞれに対応する検量線(「圧力Pa」に対応する検量線、「圧力Pb」に対応する検量線、…)を作成する。
この作成された検量線は、例えば、RAM62や記憶部63Cなどに記憶されるようになっている。
閾値決定プログラム63bCは、例えば、検出対象物質の濃度を測定する際に使用される所定の閾値を決定する機能を、CPU61に実現させる。
具体的には、CPU61は、例えば、検量線作成プログラム63aCを実行したCPU61により作成された検量線に基づいて検出濃度範囲を判断し、当該判断した検出濃度範囲内の一の濃度に対応する応答電流を、透過膜400にかかる圧力に対応する所定の閾値(すなわち、供給層L1内の圧力に対応する所定の閾値)として決定する。
より具体的には、例えば、「圧力Pa」に対応する検量線として、図6に示すような検量線が作成された場合、検出濃度範囲をC1〜C3と判断し、当該判断した検出濃度範囲内の一の濃度C2に対応する「応答電流I2」を、「圧力Pa」に対応する閾値として決定する。
なお、図6において、一の濃度C2は、検出濃度範囲C1〜C3内の濃度であれば任意である。
測定プログラム63cCは、例えば、酵素センサ10Aを用いて検出対象物質の濃度を測定する機能を、CPU61に実現させる。
すなわち、CPU61は、例えば、酵素センサ10Aによる検出結果に関する検出結果データと、調整された透過膜400にかかる圧力(すなわち、調整された供給層L1内の圧力)と、に基づいて、検出対象物質の濃度を測定する。
具体的には、CPU61は、例えば、バルブ駆動装置40Cに制御信号を入力して、外部大気等の気体試料が酵素センサ10Aに供給されるように、切替バルブ41を切り替えさせる。
次いで、CPU61は、例えば、圧力計52により測定された圧力に基づいて圧力調整装置35やバルブ駆動装置40Cに制御信号を入力し、透過膜400にかかる圧力が所定の大きさとなるように(すなわち、供給層L1内の圧力が所定の大きさとなるように)供給層L1に供給する気体試料(加圧ガス)の圧力や排出側流量調整バルブ43を調整させながら、加圧ポンプ33に制御信号を入力して、気体試料を酵素センサ10Aに供給させる。
より具体的には、例えば、供給層L1内の圧力が、検量線作成プログラム63aCを実行したCPU61により作成された検量線に対応する圧力(例えば、「圧力Pa」、「圧力Pb」、…(Pa<Pb<…))のうちの、最も小さい圧力(「圧力Pa」)と同一となるように調整する。
次いで、CPU61は、例えば、計測回路21に制御信号を入力して、酵素センサ10Aからの応答電流(酵素センサ10Aの応答出力)を計測させることによって、酵素センサ10Aの応答出力に関する応答データを取得する。
次いで、CPU61は、例えば、取得した応答データに基づく値(応答電流値)が、閾値決定プログラム63bCを実行したCPU61により決定された所定の閾値のうちの、透過膜400にかかる圧力に対応する所定の閾値(すなわち、供給層L1内の圧力に対応する所定の閾値)を超えたか否かを判断する。
より具体的には、例えば、「圧力Pa」に対応する検量線として図6に示すような検量線が作成され、供給層L1内の圧力が「圧力Pa」に調整された場合、取得した応答データに基づく値が、供給層L1内の圧力「圧力Pa」に対応する所定の閾値「応答電流I2」を超えたか否かを判断する。
そして、応答データに基づく値が所定の閾値を超えたと判断した場合、CPU61は、例えば、当該応答データを、酵素センサ10Aによる検出結果に関する検出結果データとして決定する。
次いで、CPU61は、例えば、データ処理装置22に制御信号を入力して、当該応答データに基づく数値データ(すなわち、当該応答データに基づく値(応答電流値)と、供給層L1内の圧力に対応する検量線と、から算出される検出対象物質の濃度に関するデータ)を作成させ、データ表示装置23に制御信号を入力して、当該数値データに基づく数値情報(すなわち、検出対象物質の濃度)を表示させる。
一方、応答データに基づく値が所定の閾値を超えていないと判断した場合、CPU61は、例えば、透過膜400にかかる圧力(すなわち、供給層L1内の圧力)を前回よりも大きくして、上記一連の処理(調整−取得−判断)を、酵素センサ10Aによる検出結果に関する検出結果データを決定するまで繰り返し行う。
より具体的には、例えば、供給層L1内の圧力が、検量線作成プログラム63aCを実行したCPU61により作成された検量線に対応する圧力(例えば、「圧力Pa」、「圧力Pb」、…(Pa<Pb<…))のうちの、前回の圧力(例えば、「圧力Pa」)の次に大きい圧力(「圧力Pb」)と同一となるよう調整する。
CPU61は、かかる測定プログラム63cCを実行することによって、測定手段、調整制御手段、取得手段、判断手段及び決定手段として機能する。
<濃度測定方法>
濃度測定システム1000Cによる、酵素センサ10Aを用いた検出対象物質の濃度測定方法の一例は、第3の実施の形態の、濃度測定システム1000Bによる、酵素センサ10Aを用いた検出対象物質の濃度測定方法(図21)と、略同一であるため詳細な説明は省略する。
以上説明した第4の実施の形態における濃度測定システム1000Cによれば、供給層L1に供給するガス(加圧ガス)の圧力と、供給層L1から排出されるガスの流量と、を調整することによって、供給層L1内の圧力を調整するようになっているため、簡易な構成で、確実に供給層L1内の圧力を調整することができる。
なお、本発明は、上記した実施の形態のものに限るものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
透過膜400にかかる圧力の調整の仕方は、第1〜第4の実施の形態のものに限ることはなく、透過膜400にかかる圧力を調整して、検出対象物質の膜透過率を調整することができるのであれば任意である。
第1の実施の形態において、酵素センサ10に、透過膜400と電極240との間に配置され、透過膜400が変形しないように透過膜400を支持するスペーサ700を備えていても良い。
また、第2〜第4の実施の形態において、酵素センサ10Aに、透過膜400の少なくとも一面に配置され、透過膜400の変形を防止する変形防止部材500を備えていても良い。
第1〜第4の実施の形態において、検出層L2に導入する電解液として酵素が含有された電解液を使用することによって、酵素を検出層L2に含有させることとしたが、酵素を検出層L2に含有させる方法は、これに限定されるものではなく、公知の固定化方法で電極240,240A(作用電極241,241A)上に直接固定する方法であっても良いし、公知の固定化方法で酵素が固定された所定の担体を検出層L1内に配置する方法であっても良い。
ここで、酵素が固定された所定の担体を検出層L1内に配置する場合、その酵素が固定された所定の担体をスペーサ700として用いてもよい。
第1〜第4の実施の形態の実施例において、供給層L2に気体試料を供給するようにしたが、供給層L2に供給する試料は流体試料であれば任意であり、例えば、液体試料を供給するようにしても良い。
第1〜第4の実施の形態において、レセプタは、酵素に限定されるものではなく、検出対象物質と選択的に反応する生体物質(生体由来の分子識別素子)であれば任意であり、具体的には、例えば、抗体や微生物などであっても良い。
第1〜第4の実施の形態において、センサを、検出層L1に検出対象物質と選択的に反応する生体触媒(レセプタ)を含有するバイオセンサとしたが、本発明のセンサは、必ずしも検出層L1に生体触媒を含有するセンサでなくても良い。
具体的には、例えば、検出層L1に金属触媒を含有させたセンサであっても良い。
検出層L1に金属触媒を含有させたセンサとしては、例えば、電極240,240A上に、金や白金などの金属触媒を担持させた電解質型センサ(定電位電解式センサ)等が挙げられる。定電位電解式センサとは、一定の電位に保たれた作用電極241,241A上でガスを電気分解し、そのときに発生する電流をガス濃度として検知するセンサである。
第1〜第4の実施の形態において、電極240,240Aは、実施の形態のものに限ることはなく、スクリーン印刷法、蒸着法、スパッタリング法等によって、白金、金、銀、カーボン等から形成されたものなどであれば任意である。
また、銀/塩化銀電極である参照電極243,243Aは、スクリーン印刷法、蒸着法、スパッタリング法等によって一旦銀電極を形成させた後、一定電流を電解する方法、塩化第2銀水溶液中に浸漬する方法、スクリーン印刷法によって塩化銀を塗布・積層させる方法等によって形成されたものなどであれば任意である。
また、電極240,240Aとして、作用電極241,241A、対電極242,242A及び参照電極243,243Aの三極構造としたが、電極240,240は、参照電極243,243Aを設けない二極構造(作用電極241,241A及び対電極242,242Aの二極構造)であっても良い。
第1及び第2の実施の形態において、濃度測定システム1000,1000Aによる、酵素センサ10,10Aを用いた検出対象物質の濃度測定方法は、実施の形態のものに限るものではない。
例えば、作成された検量線に対応する流量のうちの、最も大きい流量(第3流量)に対応する閾値(第3閾値)も決定して、当該取得した応答データに基づく値が、第3閾値を超えたか否かを判断し、当該取得した応答データに基づく値が、第3閾値を超えていないと判断した場合には、例えば、測定エラーである旨をデータ表示装置23等に表示させる等して、ユーザにエラー報告をするようにしても良い。
また、例えば、供給層L1に供給する標準ガスの流量の種類は、第1流量〜第3流量に限ることはなく、複数であれば任意である。
また、例えば、各流量に対して閾値を2つ設けて、この2つの閾値に挟まれる範囲を許容範囲とし、当該取得した応答データに基づく値が、この許容範囲内にあるか否かを判断するようにしても良い。
第3及び第4の実施の形態において、濃度測定システム1000B,1000Cによる、酵素センサ10Aを用いた検出対象物質の濃度測定方法は、実施の形態のものに限るものではない。
例えば、作成された検量線に対応する圧力のうちの、最も大きい圧力(第3圧力)に対応する閾値(第3閾値)も決定して、当該取得した応答データに基づく値が、第3閾値を超えたか否かを判断し、当該取得した応答データに基づく値が、第3閾値を超えていないと判断した場合には、例えば、測定エラーである旨をデータ表示装置23等に表示させる等して、ユーザにエラー報告をするようにしても良い。
また、例えば、供給層L1内の圧力の種類は、第1圧力〜第3圧力に限ることはなく、複数であれば任意である。
また、例えば、各圧力に対して閾値を2つ設けて、この2つの閾値に挟まれる範囲を許容範囲とし、当該取得した応答データに基づく値が、この許容範囲内にあるか否かを判断するようにしても良い。
第1〜第4の実施の形態において、応答データに基づく値が所定の閾値を超えていないと判断した場合、CPU61は、例えば、透過膜400にかかる圧力を前回よりも大きくして、一連の処理(調整−取得−判断)を、酵素センサ10,10Aによる検出結果に関する検出結果データを決定するまで繰り返し行うようにしたが、これに限ることはなく、例えば、応答データに基づく値が所定の閾値を超えたと判断した場合、CPU61は、例えば、透過膜400にかかる圧力を前回よりも小さくして、一連の処理(調整−取得−判断)を、酵素センサ10,10Aによる検出結果に関する検出結果データを決定するまで繰り返し行うようにしても良いし、応答データに基づく値が所定の許容範囲外であると判断した場合、CPU61は、例えば、透過膜400にかかる圧力を前回よりも大きく又は小さくして、一連の処理(調整−取得−判断)を、酵素センサ10,10Aによる検出結果に関する検出結果データを決定するまで繰り返し行うようにしても良い。
第1〜第3の実施の形態において、吸気ポンプ32を、切替バルブ41と供給側流量調整バルブ42との間に配置するようにしたが、これに限ることはなく、例えば、所定の領域(外部大気等の気体試料が存在する領域)と切替バルブ41との間と、標準ガス生成装置31と切替バルブ41との間と、の双方に吸気ポンプ32を配置するようにしても良い。
第1の実施の形態の濃度測定システムの構成を示す図である。 第1の実施の形態の濃度測定システムの機能的構成を示す図である。 第1の実施の形態の濃度測定システムが備える酵素センサの平面斜視図である。 図3のIV−IV線における断面を模式的に示す図である。 第1の実施の形態の濃度測定システムが備える酵素センサの分解図である。 透過膜にかかる圧力に対応する所定の閾値について説明するための図である。 第1の実施の形態の濃度測定システムによる、酵素センサを用いた検出対象物質の濃度測定方法の一例を示すフローチャートである。 第1の実施の形態の濃度測定システムに組み込まれた状態における、酵素センサの正面図である。 第1の実施の形態の実施例の濃度測定システムの評価結果(酵素センサからの応答電流の流量依存性)を示す図である。 第1の実施の形態の実施例の濃度測定システムの評価結果(検量線の作成)を示す図である。 第2の実施の形態の濃度測定システムの構成を示す図である。 第2の実施の形態の濃度測定システムの機能的構成を示す図である。 第2の実施の形態の濃度測定システムが備える酵素センサの平面斜視図である。 図13におけるXIV−XIV線における断面を模式的に示す図である。 図13におけるXV−XV線における断面を模式的に示す図である。 透過膜が取り付けられた状態の上側支持体の底面図(a)と、電極基板部が取り付けられた状態の下側支持体の平面図(b)と、である。 第2の実施の形態の実施例の濃度測定システムの評価結果(酵素センサからの応答電流の流量依存性)を示す図である。 第2の実施の形態の実施例の濃度測定システムの評価結果(検量線の作成)を示す図である。 第3の実施の形態の濃度測定システムの構成を示す図である。 第3の実施の形態の濃度測定システムの機能的構成を示す図である。 第3の実施の形態の濃度測定システムによる、酵素センサを用いた検出対象物質の濃度測定方法の一例を示すフローチャートである。 第4の実施の形態の濃度測定システムの構成を示す図である。 第4の実施の形態の濃度測定システムの機能的構成を示す図である。
符号の説明
10,10A 酵素センサ(センサ、バイオセンサ)
35 圧力調整装置(調整手段)
40,40B,40C バルブ駆動装置(調整手段)
42 供給側流量調整バルブ(調整手段)
43 排出側流量調整バルブ(調整手段)
61 CPU(測定手段、調整制御手段、取得手段、判断手段、決定手段)
63c,63cB,63cC 測定プログラム(測定手段、調整制御手段、取得手段、判断手段、決定手段)
240,240A 電極
400 透過膜
500 変形防止部材
700 スペーサ
1000,1000A,1000B,1000C 濃度測定システム
L1 供給層
L2 検出層

Claims (9)

  1. 検出対象物質を含有する流体試料が供給される供給層と、前記供給層と隣接するように配置された検出層と、前記供給層と前記検出層とを隔てるように配置され、少なくとも前記検出対象物質が透過する透過膜と、前記検出層に前記透過膜と対向して配置された電極と、を有するセンサと、
    前記透過膜にかかる圧力を調整する調整手段と、
    前記センサによる検出結果に関する検出結果データと、前記調整手段により調整された前記透過膜にかかる圧力と、に基づいて、前記検出対象物質の濃度を測定する測定手段と、
    を備えることを特徴とする濃度測定システム。
  2. 請求項1に記載の濃度測定システムにおいて、
    前記測定手段は、
    前記透過膜にかかる圧力が所定の大きさとなるよう、前記調整手段に調整させる調整制御手段と、
    前記センサの応答出力に関する応答データを取得する取得手段と、
    前記取得手段により取得された応答データに基づく値が、前記透過膜にかかる圧力に対応する所定の閾値を超えたか否かを判断する判断手段と、
    前記判断手段により前記応答データに基づく値が前記閾値を超えたと判断された場合に、当該応答データを、前記検出結果データとして決定する決定手段と、を備え、
    前記調整制御手段は、前記判断手段により前記応答データに基づく値が前記閾値を超えていないと判断された場合に、前記透過膜にかかる圧力が前回よりも大きくなるよう、前記調整手段に調整させることを特徴とする濃度測定システム。
  3. 請求項1又は2に記載の濃度測定システムにおいて、
    前記調整手段は、前記供給層に供給する流体試料の流量を調整することによって、前記透過膜にかかる圧力を調整することを特徴とする濃度測定システム。
  4. 請求項1〜3の何れか一項に記載の濃度測定システムにおいて、
    前記調整手段は、前記供給層内の圧力を調整することによって、前記透過膜にかかる圧力を調整することを特徴とする濃度測定システム。
  5. 請求項1〜4の何れか一項に記載の濃度測定システムにおいて、
    前記センサは、
    前記透過膜の少なくとも一面に配置され、当該透過膜の変形を防止する変形防止部材を備えることを特徴とする濃度測定システム。
  6. 請求項1〜5の何れか一項に記載の濃度測定システムにおいて、
    前記センサは、
    前記透過膜と前記電極との間に配置され、当該透過膜が変形しないように当該透過膜を支持するスペーサを備えることを特徴とする濃度測定システム。
  7. 検出対象物質を含有する流体試料が供給される供給層と、前記供給層と隣接するように配置された検出層と、前記供給層と前記検出層とを隔てるように配置され、少なくとも前記検出対象物質が透過する透過膜と、前記検出層に前記透過膜と対向して配置された電極と、を有するセンサを用いた、前記検出対象物質の濃度測定方法において、
    前記透過膜にかかる圧力が所定の大きさとなるよう調整する調整ステップと、
    次いで、前記センサの応答出力に関する応答データを取得する取得ステップと、
    次いで、前記取得された応答データに基づく値が、前記透過膜にかかる圧力に対応する所定の閾値を超えたか否かを判断する判断ステップと、
    前記判断ステップで前記応答データに基づく値が前記閾値を超えたと判断された場合に、当該応答データを、前記センサによる検出結果に関する検出結果データとして決定する決定ステップと、
    前記決定された検出結果データと、前記調整手段により調整された前記透過膜にかかる圧力と、に基づいて、前記検出対象物質の濃度を算出する算出ステップと、
    前記判断ステップで前記応答データに基づく値が前記閾値を超えていないと判断された場合に、前記透過膜にかかる圧力を前回よりも大きくして、前記調整ステップと、前記取得ステップと、前記判断ステップと、を行う繰り返しステップと、
    を有することを特徴とする濃度測定方法。
  8. 検出対象物質を含有する気体試料が供給される供給層と、前記供給層と隣接するように配置され、前記検出対象物質と選択的に反応するレセプタを含有する検出層と、前記供給層と前記検出層とを隔てるように配置され、少なくとも前記検出対象物質が透過する透過膜と、前記検出層に前記透過膜と対向して配置された電極と、を有するバイオセンサと、
    前記供給層に供給する気体試料の流量を調整することによって、前記透過膜にかかる圧力を調整する調整手段と、
    前記バイオセンサによる検出結果に関する検出結果データと、前記調整手段により調整された前記気体試料の流量と、に基づいて、前記検出対象物質の濃度を測定する測定手段と、を備え、
    前記測定手段は、
    前記供給層に供給する気体試料の流量が所定の大きさとなるよう、前記調整手段に調整させる調整制御手段と、
    前記バイオセンサの応答出力に関する応答データを取得する取得手段と、
    前記取得手段により取得された応答データに基づく値が、前記供給層に供給する気体試料の流量に対応する所定の閾値を超えたか否かを判断する判断手段と、
    前記判断手段により前記応答データに基づく値が前記閾値を超えたと判断された場合に、当該応答データを、前記検出結果データとして決定する決定手段と、を備え、
    前記調整制御手段は、前記判断手段により前記応答データに基づく値が前記閾値を超えていないと判断された場合に、前記供給層に供給する気体試料の流量が前回よりも大きくなるよう、前記調整手段に調整させることを特徴とする濃度測定システム。
  9. 検出対象物質を含有する気体試料が供給される供給層と、前記供給層と隣接するように配置され、前記検出対象物質と選択的に反応するレセプタを含有する検出層と、前記供給層と前記検出層とを隔てるように配置され、少なくとも前記検出対象物質が透過する透過膜と、前記検出層に前記透過膜と対向して配置された電極と、を有するバイオセンサと、
    前記供給層内の圧力を調整することによって、前記透過膜にかかる圧力を調整する調整手段と、
    前記バイオセンサによる検出結果に関する検出結果データと、前記調整手段により調整された前記供給層内の圧力と、に基づいて、前記検出対象物質の濃度を測定する測定手段と、を備え、
    前記測定手段は、
    前記供給層内の圧力が所定の大きさとなるよう、前記調整手段に調整させる調整制御手段と、
    前記バイオセンサの応答出力に関する応答データを取得する取得手段と、
    前記取得手段により取得された応答データに基づく値が、前記供給層内の圧力に対応する所定の閾値を超えたか否かを判断する判断手段と、
    前記判断手段により前記応答データに基づく値が前記閾値を超えたと判断された場合に、当該応答データを、前記検出結果データとして決定する決定手段と、を備え、
    前記調整制御手段は、前記判断手段により前記応答データに基づく値が前記閾値を超えていないと判断された場合に、前記供給層内の圧力が前回よりも大きくなるよう、前記調整手段に調整させることを特徴とする濃度測定システム。
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