JP2009299569A - 筒内・ポート噴射式内燃機関 - Google Patents

筒内・ポート噴射式内燃機関 Download PDF

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Abstract

【課題】効率良く成層燃焼を行うために燃焼室内での火炎伝播を促進させるようにした筒内・ポート噴射式内燃機関を提供する。
【解決手段】筒内・ポート噴射式内燃機関は、機関燃焼室2内に燃料を噴射する筒内噴射用インジェクタ3aと、機関吸気通路内に燃料を噴射する吸気通路内噴射用インジェクタ3bとを具備する。成層燃焼運転時には、吸気行程中に筒内噴射用インジェクタから燃料噴射を行うと共に、筒内噴射用インジェクタからの燃料噴射開始後であって吸気弁19の閉弁までに吸気通路内噴射用インジェクタから燃料噴射を行う。
【選択図】図5

Description

本発明は、筒内噴射用インジェクタと吸気通路内噴射用インジェクタとを備えた筒内・ポート噴射式内燃機関に関する。
機関燃焼室内に燃料を噴射する筒内噴射用インジェクタと機関吸気通路内に燃料噴射を行う吸気通路内噴射用インジェクタとを具備する内燃機関において、機関高負荷運転時には均質燃焼を行うべくポート噴射用インジェクタから燃料噴射を行い、機関低負荷運転時には成層燃焼を行うべく筒内噴射用インジェクタから燃料噴射を行うようにすることが知られている(例えば、特許文献1、2)。
特に、特許文献1に記載の噴射制御装置では、均質燃焼を行う場合には筒内噴射用インジェクタのみから又は筒内噴射用インジェクタ及びポート噴射用インジェクタの両方から燃料噴射を行い、成層燃焼を行う場合には筒内噴射用インジェクタのみから燃料噴射を行うようにしている。いずれにせよ、筒内噴射用インジェクタ及び吸気通路内噴射用インジェクタの二つのインジェクタを具備する内燃機関では、成層燃焼を行う場合、筒内噴射用インジェクタのみから燃料噴射が行われる。
特開2007−32355号公報 特開2002−364409号公報 実開平3−129726号公報 特開2005−90258号公報 特開2004−353464号公報
ところで、特許文献3には吸気通路内噴射用インジェクタから燃焼噴射を行って成層燃焼を行わせようとする内燃機関が開示されている。この内燃機関は、三つの吸気ポートと、各吸気ポートに対応する三つの吸気弁と、三つの吸気ポートのうち中央に設けられたものに燃料を噴射するインジェクタとを有している。この内燃機関では、インジェクタから中央の吸気ポートを介して流れる空気中に燃料が噴射されて比較的リッチな混合気が生成され、この混合気は燃焼室の中央部に流入し、その後点火プラグにより点火が行われる。これにより、特許文献3に記載された内燃機関では、いわゆる成層燃焼が実現される。
しかしながら、特許文献3に記載された内燃機関のように吸気通路内噴射用インジェクタから燃料噴射を噴射して成層燃焼を行おうとする場合、より効率的に燃焼室内での燃焼を行うために燃焼室内での火炎伝播を促進させる必要がある。
そこで、本発明の目的は、効率良く成層燃焼を行うために燃焼室内での火炎伝播を促進させるようにした筒内・ポート噴射式内燃機関を提供することにある。
上記課題を解決するために、第1の発明では、機関燃焼室内に燃料を噴射する筒内噴射用インジェクタと、機関吸気通路内に燃料を噴射する吸気通路内噴射用インジェクタとを具備する筒内・ポート噴射式内燃機関において、成層燃焼運転時には、吸気行程中に筒内噴射用インジェクタから燃料噴射を行うと共に、筒内噴射用インジェクタからの燃料噴射開始後であって吸気弁の閉弁までに吸気通路内噴射用インジェクタから燃料噴射を行う。
第1の発明によれば、先に筒内噴射用インジェクタから燃料噴射を行うことにより、タンブル流を強化させることができると共に燃焼室内の空気全体に燃料を供給することができ、その結果点火後の火炎伝播を促進させることができる。また、吸気通路内噴射用インジェクタから吸気弁の閉弁直前に燃料噴射を行うことにより、吸気通路内噴射用インジェクタから噴射された燃料をより確実に点火プラグ近傍に偏在させることができる。
第2の発明では、第1の発明において、成層燃焼運転時には、吸気弁のリフト量が最大となった時期以降に筒内噴射用インジェクタ及びポート噴射用インジェクタからの燃料噴射を行う。
第3の発明では、第1又は第2の発明において、成層燃焼運転と均質燃焼運転とを切替可能であり、均質燃焼運転時にはポート噴射用インジェクタからの燃料噴射開始後に筒内噴射用インジェクタからの燃料噴射を行う。
第4の発明では、第1〜第3のいずれか一つの発明において、各気筒の燃焼室には三つの吸気ポートが連通しており、上記ポート噴射用インジェクタはこれら三つの吸気ポートのうちの中央の吸気ポート内を通過する空気内に燃料噴射を行い、成層燃焼運転時には、中央の吸気ポート内を通過する空気の流量が該中央の吸気ポートの両側にある各吸気ポート内を通過する空気の流量よりも多いときにポート噴射用インジェクタからの燃料噴射を行う。
第5の発明では、第4の発明において、成層燃焼運転時には、上記中央の吸気ポートに対応する吸気弁の閉弁時期が上記両側にある吸気ポートに対応する吸気弁の閉弁時期よりも遅くされる。
第6の発明では、第4又は5の発明において、成層燃焼運転時には、上記中央の吸気ポートに対応する吸気弁のリフト量が上記両側にある吸気ポートに対応する吸気弁のリフト量よりも大きくされる。
第7の発明では、第4〜6のいずれか一つの発明において、成層燃焼運転時には、上記中央の吸気ポートに対応する吸気弁の開弁期間が上記両側にある吸気ポートに対応する吸気弁の開弁期間よりも長くされる。
第8の発明では、第4〜7のいずれか一つの発明において、上記中央の吸気ポートに対応する吸気弁のバルブ径が上記両側にある吸気ポートに対応する吸気弁のバルブ径よりも大きくされる。
本発明によれば、点火後の火炎伝播を促進させることができると共に吸気通路内噴射用インジェクタから噴射された燃料をより確実に点火プラグ近傍に偏在させることができるため、効率良く成層燃焼を行うことができる。
以下、図面を参照して本発明の実施形態について詳細に説明する。以下の説明では、同様な構成要素については同一の参照番号を付す。
図1は、本発明の筒内・ポート噴射式内燃機関の全体を表す概略図である。図1を参照すると、1は機関本体、2は各気筒の燃焼室、3aは各燃焼室2内にそれぞれ燃料を噴射するための筒内噴射用インジェクタ(筒内噴射用燃料噴射弁)、3bは吸気ポート(吸気通路)内に燃料を噴射するためのポート噴射用インジェクタ(ポート噴射用燃料噴射弁)、4は点火プラグ、5は吸気マニホルド、6は排気マニホルドをそれぞれ示す。吸気マニホルド4は吸気管7を介してエアクリーナ8に連結される。吸気管7内にはステップモータにより駆動されるスロットル弁9が配置される。一方、排気マニホルド6は排気管10を介して排気浄化触媒(例えば、三元触媒)11を内蔵したケーシング12に連結される。
各気筒について詳しく示す図2を参照すると、15はシリンダブロック、16はシリンダブロック15上に固定されたシリンダヘッド、17はシリンダブロック15内で往復動するピストン、2はピストン17とシリンダヘッド16との間に形成された燃焼室、18は一組の吸気ポート、19は一組の吸気弁、20は一組の排気ポート、21は一組の排気弁をそれぞれ示している。シリンダヘッド16の内壁面の中央部には筒内噴射用インジェクタ3aが配置され、吸気マニホルド5の吸気枝管5aにはポート噴射用インジェクタ3bが配置される。また、各気筒の吸気弁19及び排気弁21はそれぞれ吸気弁駆動装置22及び排気弁駆動装置23により開閉駆動され、吸気弁駆動装置22及び排気弁駆動装置23はそれぞれ吸気弁19及び排気弁21の位相角及び作用角を変更しつつ吸気弁19及び排気弁21を開閉することができる。
再び図1を参照すると、各筒内噴射用インジェクタ3aは燃料リザーバ25に連結される。この燃料リザーバ25は燃料供給管26を介して燃料タンク27に接続される。燃料供給管26には電子制御式の吐出量可変な燃料ポンプ28が配置され、この燃料ポンプ28によって燃料タンク27内の燃料が燃料リザーバ25に供給される。一方、各ポート噴射用インジェクタ3bは燃料リザーバ29に連結される。この燃料リザーバ29は燃料供給管30を介して燃料タンク27に接続される。燃料供給管30には電子制御式の吐出量可変な燃料ポンプ31が配置され、この燃料ポンプ31によって燃料タンク27内の燃料が燃料リザーバ29に供給される。
本実施形態では、両インジェクタ3から噴射される燃料を制御する噴射制御装置として電子制御ユニット(ECU)40が用いられる。ECU40はデジタルコンピュータからなり、双方向性バス41によって互いに接続されたROM(リードオンリメモリ)42、RAM(ランダムアクセスメモリ)43、CPU(マイクロプロセッサ)44、入力ポート45および出力ポート46を具備する。吸気管7には吸気管7内を通過する空気の流量を検出するエアフロメータ49が取り付けられ、また排気管10には排気ガスの空燃比を検出するための空燃比センサ50が取付けられる。これらエアフロメータ49及び空燃比センサ50の出力信号は対応するAD変換器47を介して入力ポート45に入力される。
また、アクセルペダル51にはアクセルペダル51の踏込み量に比例した出力電圧を発生する負荷センサ52が接続され、負荷センサ52の出力電圧は対応するAD変換器47を介して入力ポート45に入力される。さらに入力ポート45にはクランクシャフトが例えば30°回転する毎に出力パルスを発生するクランク角センサ53が接続され、このクランク角センサ53により機関回転数が検出される。一方、出力ポート46は対応する駆動回路48を介してインジェクタ3、スロットル弁9駆動用のステップモータ、及び燃料ポンプ28、31に接続される。
図3は各気筒内の上面を概略的に示した図である。図3から分かるように、各気筒には三つの吸気開口34a、34b、34cと、二つの排気開口35a、35bとが設けられている。各吸気開口34a、34b、34cはそれぞれ対応する吸気ポート18a、18b、18cに連通し、各排気開口35a、35bはそれぞれ対応する排気ポート20に連通する。三つの吸気ポート18a、18b、18cは吸気マニホルド5の一つの吸気枝管5aに連通する。なお、以下では、三つの吸気開口34a、34b、34cのうち、中央に位置する吸気開口34bを中央吸気開口とし、中央吸気開口34bの両側に位置する吸気開口34a、34cを側方吸気開口として説明する。また、中央吸気開口34bに連通する吸気ポート18bを中央吸気ポートとし、側方吸気開口34a、34cに連通する吸気ポート18a、18cを側方吸気ポートとして説明する。
図3に示したように、ポート噴射用インジェクタ3bは、燃料噴射を行う際に、中央吸気ポート18b内のみに燃料が供給されるように、すなわち側方吸気ポート18a、18c内には燃料が供給されることのないように配置される。したがって、ポート噴射用インジェクタ3bは、一つの吸気枝管5aから三つの吸気ポート18への分岐点よりも下流側に配置されるか、或いはこの分岐点よりも上流側であってポート噴射用インジェクタ3bから噴射された燃料が側方吸気ポート18a、18c内に進入しないような位置に配置される。したがって、本実施形態では、ポート噴射用インジェクタ3bから噴射された燃料は、中央吸気ポート18b及び中央吸気開口34bを介して各気筒の燃料室2内に流入することになる。
本実施形態の内燃機関は、機関運転状態に応じて三つの運転モードで運転せしめられる。機関負荷及び機関回転数が低い場合(例えば、機関運転状態が図4の領域Iにある場合)には低燃費モードで運転が行われ、機関負荷及び機関回転数が中程度の場合(例えば、機関運転状態が図4の領域IIにある場合)には低中負荷モードで運転が行われ、機関負荷及び機関回転数が高い場合(例えば、機関運転状態が図4の領域IIIにある場合)には中高負荷モードで運転が行われる。
ここで、低燃費モードは燃費を高めるべく燃焼室2内において成層燃焼が行われる運転モードである。一方、低中負荷モード及び中高負荷運転モードでは均質燃焼が行われる運転モードであり、このうち低中負荷モードでは筒内吸入空気量の比較的少ない状態で、中高負荷モードでは筒内吸入空気量の比較的多い状態で運転が行われる。
なお、均質燃焼とは、燃焼室全体に亘って混合気の空燃比をほぼ均一にしてから混合気に点火することによって行われる燃焼であり、燃焼室2内の混合気全体の空燃比をほぼ理論空燃比にする必要がある一方で、比較的高い出力を得ることができる。一方、成層燃焼とは、点火プラグ4近傍のみに燃料を偏在させた状態で混合気に点火することによって行われる燃焼であり、燃焼室2内の混合気全体としては非常に薄い(リーン)空燃比で燃焼を行うことができる一方、比較的低い出力しか得ることができない。
以下では、図5〜図10を参照して、これら三つの運転モードについて説明する。まず、図5及び図6を参照して、低燃費モードについて説明する。図5は、吸気弁19のバルブリフト、両インジェクタ3a、3bからの燃料噴射率等のクランク角推移及び点火時期を示す図である。また、図6は、吸気ポート18及び燃焼室2内における吸気ガス及び噴射燃料の流れを示す概略図である。
図5に示したように、低燃費モードでは、吸気行程後半にまず筒内噴射用インジェクタ3aからの燃料噴射(以下、「筒内噴射」という)が行われ、その後、吸気行程後半にポート噴射用インジェクタ3bからの燃料噴射(以下、「ポート噴射」という)が行われる。特に、本実施形態では、吸気弁19のバルブリフトが最大となっている時期から、この時期と吸気弁19の閉弁時期との間の時期pまでの期間(図5中の期間A)内に筒内噴射(DFI)が行われ、上記時期pから吸気弁19の閉弁時期までの期間(図5中の期間B)内にポート噴射(PFI)が行われる。その後、圧縮上死点直前(図5中の機関C)において点火プラグ4により燃焼室2内の混合気に対する点火が行われる。
図6(A)は、図5の期間Aにおける筒内噴射実行時の燃焼室2内の様子を示している。図6中の矢印は吸気ガスの流れを示している。図6(A)に示したように、本実施形態では、筒内噴射用インジェクタ3aからの燃料の噴射方向は、吸気ポート18から燃焼室2内への吸気の流入方向と同様な方向、或いは燃焼室2内に生成されるタンブル流の旋回方向と同様な方向となっている。このため、期間A中に筒内噴射用インジェクタ3aからの燃料噴射によって、燃焼室2内に生成されるタンブル流を強くすることができる。また、吸気行程中に燃焼室2内に直接噴射を行うことによって、空燃比は高いながらも燃料を燃焼室2内全体に拡散させることができる。このように、期間A中に筒内噴射用インジェクタ3aから燃料噴射を行うと、タンブル流を強化すると共に燃料を拡散させることができ、その結果、点火プラグ4による混合気への点火後に燃焼室2内での火炎伝播が促進される。
図6(B)は、図5の期間Bにおけるポート噴射実行時の燃焼室2内の様子を示している。図6(B)に示したように、ポート噴射用インジェクタ3bからの燃料の噴射は、吸気開口34に向けて行われる。このため、吸気弁19の閉弁直前にポート噴射が行われても、ポート噴射された燃料のほとんどは燃焼室2内に流入することになる。そして、吸気弁19の閉弁直前にポート噴射が行われることから、燃焼室2内に比較的強いタンブル流が発生しているとしても、ポート噴射により供給された燃料のほとんどは圧縮上死点直前において図6(C)に示したように点火プラグ4近傍に漂うことになり、燃焼室2内には適切な成層混合気が生成される。
したがって、本実施形態の低燃費モードでは、期間Bにポート噴射を行うことで適切な成層混合気を生成することができると共に、期間Aに筒内噴射を行うことで燃焼室2内での混合気の燃焼時における火炎伝播を促進させることができる。このため、燃焼室2内では効率良く成層燃焼が行われ、その結果、燃費が向上せしめられる。
なお、上記実施形態では、吸気行程後半において筒内噴射が完了してからポート噴射が開始されているが、筒内噴射の開始後であれば筒内噴射の完了前にポート噴射を開始してもよい。すなわち、筒内噴射の開始後にポート噴射を開始すれば筒内噴射及びポート噴射は必ずしも上記期間A及びBに行わなくてもよく、また筒内噴射期間とポート噴射期間とが一時的に重なってもよい。
すなわち、上記期間Aに限らず、吸気弁19の開弁時期以降に筒内噴射を行えば、燃焼室2内のタンブル流を強化することができる。したがって、吸気弁19の開弁時期以降であれば期間Aよりも前に筒内噴射を行ってもよい。ただし、上記機関Aに筒内噴射を行うことでタンブル流をより強くすることができる。また、上記期間Bに限らず、例えば吸気弁19のリフト量が最大となる時期以降にポート噴射を行えば、圧縮上死点直前においてポート噴射された燃料の多くを点火プラグ4近傍に集めることができる。したがって、吸気弁19のリフト量が最大となる時期以降であれば期間Bよりも前にポート噴射を行ってもよい。ただし、上記期間Bにポート噴射を行うことで、ポート噴射された燃料をより確実に点火プラグ4近傍に集めることができる。
また、低燃費モードでは、必ずしも筒内噴射を行う必要はなく、機関運転状態に応じて筒内噴射を停止してもよい。特に、筒内噴射を行わなくても要求負荷に応じた十分なトルクを発生させることができるような場合、例えばアイドル運転中には筒内噴射を停止してもよい。
次に、図7及び図8を参照して、低中負荷モードについて説明する。図7及び図8はそれぞれ図5及び図6と同様な図である。図7に示したように、低中負荷モードでは、吸気行程開始前までにポート噴射が行われ、その後吸気行程後半から圧縮行程前半までに筒内噴射が行われる。特に、本実施形態では、吸気弁19の開弁前(リフト開始前)までの期間(図7中の期間A’)内にポート噴射が行われ、吸気弁19のバルブリフトが最大となっている時期から吸気弁19の閉弁時期よりも遅い時期qまでの期間(図7中の期間B’)内に筒内噴射が行われる。その後、圧縮上死点直前(図7中の期間C)において点火プラグ4により燃焼室2内の混合気への点火が行われる。
図8(A)は、図7の期間A’におけるポート噴射実行時の燃焼室2及び吸気ポート18の様子を示している。図8(A)に示したように、本実施形態では、吸気弁19の開弁前にポート噴射用インジェクタ3bからの燃料噴射が行われるため、噴射された燃料が吸気ポート18内で空気と混合せしめられることから、燃料と空気とが均質に混合し易くなる。その後、吸気弁19が開弁せしめられると、吸気ポート18内で十分に混合された混合気が燃焼室2内に流入せしめられる。
図8(B)は、図7の期間B’における筒内噴射実行時の燃焼室2内の様子を示している。上述したように、筒内噴射用インジェクタ3aから燃料噴射が行われると、燃焼室2内に生成されるタンブル流を強くすることができる。特に、本実施形態では、筒内噴射用インジェクタ3aからの燃料噴射が吸気行程後半から圧縮工程前半に、すなわち比較的遅くに行われるため、筒内噴射用インジェクタ3aからの燃料噴射により強化されたタンブル流が弱まる前に点火プラグ4による点火が行われることになる。すなわち、点火時期まで強いタンブル流が持続する。
したがって、本実施形態の低中負荷モードでは、上記期間A’内にポート噴射を行うことで燃料が均質に分布した均質混合気が生成されると共に、上記期間B’内に筒内噴射を行うことで燃焼室2内において点火時期まで強いタンブル流を持続させることができる。このため、図8(C)に示したように、点火プラグ4による点火時には燃焼室2内に均質な混合気が分散されると共に強いタンブル流が生じており、よって燃焼室2内では効率良く均質燃焼が行われ、その結果、出力が増大せしめられる。
なお、上記実施形態では、筒内噴射を期間B’内に行っているが、必ずしも期間B’内に行わなくてもよく、例えば吸気弁19のバルブリフトが最大となる時期よりも前や、吸気弁19の閉弁後に筒内噴射を行ってもよい。ただし、上記期間B’内に筒内噴射を行うと、燃焼室2内への吸気ガスの流れと筒内噴射用インジェクタ3aから噴射された燃料の噴流とが互いに打ち消し合うことがないため、タンブル流をより強くすることができる点で効果的である。
最後に、図9及び図10を参照して、中高負荷モードについて説明する。図9及び図10はそれぞれ図7及び図8と同様な図である。図9に示したように、中高負荷モードでは、吸気行程前半にポート噴射が行われ、その後、吸気行程後半から圧縮行程前半までに筒内噴射が行われる。特に、本実施形態では、吸気弁19が開弁時期から吸気弁19のバルブリフトが最大となっている時期までの期間(図9中の期間A’’)内にポート噴射が行われ、吸気弁19のバルブリフトが最大となっている時期から吸気弁19の閉弁時期よりも遅い時期qまでの期間(図9中の期間B’’)内に筒内噴射が行われる。その後、圧縮上死点直前(図9中の期間C)において点火プラグ4により燃焼室2内の混合気への点火が行われる。
図10(A)は、図9中の期間A’’におけるポート噴射実行時の燃焼室2及び吸気ポート18の様子を示している。図10(A)に示したように、本実施形態では、吸気行程前半にポート噴射用インジェクタ3bからの燃料噴射が行われるため、燃料と空気が均質に混合し易くなる。また、燃焼室2内に流入した空気はポート噴射された燃料に気化潜熱を奪われることによりその体積が減少し、よって筒内へ流入する空気の流量が増大する。このため、燃焼室2内には強いタンブル流が発生する。
図10(B)は、図9中の期間B’’における筒内噴射実行時の燃焼室2内の様子を示している。期間B’’は図7に示した期間B’と同様な期間であるため、期間B’’に筒内噴射を行うことで図8(B)に示した場合と同様に点火時期まで強いタンブル流を持続させることができる。
したがって、本実施形態の中高負荷モードでは、期間A’’にポート噴射を行うことで、燃焼室2への混合気の流入開始時から燃焼室2内に強いタンブル流を発生させることができると共に、期間B’’に筒内噴射を行うことで燃焼室2内において点火時期まで強いタンブル流を持続させることができる。このため、図10(C)に示したように、点火プラグ4による点火時には燃焼室2内には極めて強いタンブル流が生じており、よって混合気への点火後に火炎が伝播し易く、その結果、効率良く燃焼が行われる。
ところで、筒内噴射用インジェクタを有する内燃機関では、成層燃焼を行う際に、成層混合気が適切に形成されるような噴霧形態で筒内噴射用インジェクタから燃料噴射を行うことが考えられる。しかしながら、本実施形態の筒内噴射用インジェクタでは、上述したように燃焼室2内に生成されるタンブル流が強くなるように燃料噴射が行われており、筒内噴射用インジェクタによっては適切に成層燃焼を行わせることができない。すなわち、本実施形態のように燃焼室2内に生成されるタンブル流が強くなるような噴霧形態で筒内噴射用インジェクタから燃料噴射を行う場合、成層燃焼を行う際に筒内噴射用インジェクタから燃料噴射を行っても適切な成層混合気を形成させることが困難である。
これに対して、本実施形態では、成層燃焼を行う際に筒内噴射用インジェクタからではなくポート噴射用インジェクタから燃料噴射を行っているため、上述したような問題が発生せず、よって適切に成層燃焼を行わせることができる。
また、成層燃焼を行う際に筒内噴射用インジェクタから燃料噴射を行う内燃機関では、成層燃焼運転時に筒内噴射用インジェクタから噴射された燃料が燃焼室内全体に拡散してしまうことのないように、ピストンの上面にキャビティが設けられる。このようにピストンの上面にキャビティを設けると、このキャビティが機関高負荷運転時に燃焼室2内で旋回する空気流に対する抵抗となってしまう。一方、本実施形態のように、成層燃焼を行う際にポート噴射用インジェクタから燃料噴射を行う場合には、吸気行程後半にポート噴射用インジェクタから燃料噴射を行うことによって燃料を点火プラグ近傍に偏在させるようにしている。したがって、成層混合気が適切に形成されるような噴霧形態で筒内噴射用インジェクタから燃料噴射を行う内燃機関と異なり、ピストンの上面にキャビティを設ける必要がなく、よって機関高負荷運転時における燃焼室2内で旋回する空気流に対する抵抗を低減することができると共に、ピストンの設計・加工コストを低減することができる。
次に、図11を参照して本発明の第二実施形態の内燃機関について説明する。第二実施形態の内燃機関の構成は基本的に第一実施形態の内燃機関の構成と同様である。ただし、第二実施形態の内燃機関では、低燃費モードにおいて、中央吸気開口34bに対応する吸気弁(以下、「中央吸気弁」という)19の開閉弁特性(すなわち、吸気弁の開弁時期、閉弁時期、リフト量、位相角、作用角等)が、側方吸気開口34a、34cに対応する吸気弁(以下、「側方吸気弁」という)19の開閉弁特性とは異なるものとされる。
図11に示したように、第二実施形態の内燃機関では、中央吸気弁19の開弁時期は側方吸気弁19の開弁時期よりも遅角側とされ、中央吸気弁19の閉弁時期は側方吸気弁19の閉弁時期よりも遅角側とされる。さらに、本実施形態では、中央吸気弁19の開弁期間は側方吸気弁19の開弁期間とほぼ同一とされる。
また、本実施形態においても、上記実施形態と同様に、吸気行程後半に筒内噴射が行われ、その後、吸気行程後半にポート噴射が行われる。特に、本実施形態では、中央吸気弁19のバルブリフトが最大となっている時期から、この時期と中央吸気弁19の閉弁時期との間の時期pまでの期間(図11中の期間A)内に筒内噴射が行われ、上記時期pから中央吸気弁19の閉弁時期までの期間(図11中の期間B)内にポート噴射が行われる。その後、圧縮上死点直前(図11中の期間C)において点火プラグ4により燃焼室2内の混合気に対する点火が行われる。
本実施形態のように、中央吸気弁19の開弁期間を側方吸気弁19の開弁期間よりも遅角側にシフトさせると、時期r以降においては中央吸気弁19のリフト量の方が、側方吸気弁19のリフト量よりも大きくなる。このため、時期rから全ての吸気弁が閉弁するまでの間は、側方吸気開口34a、34cを通って燃焼室2内に流入する吸気ガスの流量よりも、中央吸気開口34bを通って燃焼室2内に流入する吸気ガスの流量の方が多くなる。このように、中央吸気開口34bを通って燃焼室2内に流入する吸気ガスの流量が多いと、中央吸気開口34bを通って燃焼室2内に流入する吸気ガスは、側方吸気開口34a、34cを通って燃焼室2内に流入する吸気ガスの影響を受けにくくなり、比較的安定して燃焼室2内の中央領域に流入することになる。これにより、中央吸気開口34bを通って燃焼室2内に流入する吸気ガス中に噴射された燃料が燃焼室2内に分散してしまうことが抑制され、よって良好な成層混合気を生成することができるようになる。
なお、上述した実施形態では、中央吸気弁19のリフト量が最大となっている時期から時期pまでの期間A内に筒内噴射を行い、時期pから中央吸気弁19の閉弁時期までの期間B内にポート噴射を行うこととしている。しかしながら、期間Aよりも前に筒内噴射を行ってもよい(例えば、図11中の期間a)。また、中央吸気弁19のリフト量が両側方吸気弁19のリフト量よりも大きくなった時期r以降にポート噴射を行えば、圧縮上死点直前においてポート噴射された燃料の多くを点火プラグ4近傍に集めることができるため、中央吸気弁19のリフト量が両側方吸気弁19のリフト量よりも大きくなった時期r以降であれば期間Bよりも前にポート噴射を行ってもよい(例えば、図11中の期間b)。
次に、図12を参照して上記第二実施形態の変更例について説明する。本変更例では、低燃費モードにおいて、中央吸気弁19の開弁期間を側方吸気弁19の開弁期間よりも遅角側にシフトさせる代わりに、中央吸気弁19のリフト量を側方吸気弁19のリフト量よりも大きくしている。図12に示したように、本変更例では、中央吸気弁19と側方吸気弁19とはその開弁期間が同一(すなわち、開弁時期及び閉弁時期が同一)であるが、開弁期間全体に亘って中央吸気弁19のリフト量が側方吸気弁19のリフト量よりも大きいものとされる。
本変更例のように、吸気弁19の開弁期間全体に亘って中央吸気弁19のリフト量を側方吸気弁19のリフト量よりも大きくさせると、吸気弁19の開弁期間全体に亘って側方吸気開口34a、34cを通って燃焼室2内に流入する吸気ガスの流量よりも中央吸気開口34bを通って燃焼室2内に流入する吸気ガスの流量の方が多くなる。したがって、上述した第二実施形態と同様に、中央吸気開口34bを通って燃焼室2内に流入する吸気ガスは比較的安定して燃焼室2内の中央領域に流入することになる。
次に、図13を参照して上記第二実施形態の別の変更例について説明する。本変更例では、低燃費モードにおいて、中央吸気弁19の開弁期間を側方吸気弁19の開弁期間よりも遅角側にシフトさせる代わりに、中央吸気弁19の開弁時間を側方吸気弁19の開弁時間よりも長くしている。図13に示したように、本変更例では、中央吸気弁19の開弁時期は側方吸気弁19の開弁時期とほぼ同一の時期とされるが、中央吸気弁19の閉弁時期は側方吸気弁19の閉弁時期よりも遅角側とされる。
本変更例のように、中央吸気弁19の開弁時間を側方吸気弁19の開弁時間よりも長くすると、中央吸気弁19のリフト量が両側方吸気弁19のリフト量よりも大きくなった時期r以降においては中央吸気弁19のリフト量の方が、側方吸気弁19のリフト量よりも大きくなる。このため、時期rから全ての吸気弁19が閉弁するまでの間は、側方吸気開口34a、34cを通って燃焼室2内に流入する吸気ガスの流量よりも、中央吸気開口34bを通って燃焼室2内に流入する吸気ガスの流量の方が多くなる。これにより、上述したように燃焼室2内に流入した燃料が燃焼室2内に分散してしまうことが抑制され、よって良好な成層混合気を生成することができるようになる。
次に、図14を参照して、上記第二実施形態の更なる別の変更例について説明する。本変更例では、中央吸気開口34b’の直径が側方吸気開口34a’、34c’の直径よりも大きいものとされる。このため、燃焼室2内に吸気ガスが流入する際には、側方吸気開口34a’、34c’を通って流れる吸気ガスの流量よりも中央吸気開口34b’を通って流れる吸気ガスの流量の方が多くなる。これにより、低燃費モードにおいては、上述したように燃焼室2内に流入した燃料が燃焼室2内に分散してしまうことが抑制され、よって良好な成層混合気を生成することができるようになる。
なお、上述した第二実施形態及びその変更例又は変更例同士を互いに組み合わせて用いることも可能である。例えば、中央吸気開口の直径を側方吸気開口の直径よりも大きくすると共に、低燃費モードにおいて中央吸気弁19の開弁期間が側方吸気弁19の開弁期間よりも遅角側にシフトさせるようにしてもよい。
筒内・ポート噴射式内燃機関の全体を表す概略図である。 筒内・ポート噴射式内燃機関の概略断面図である。 各気筒内の上面を概略的に示した図である。 各運転モードでの運転領域を示す図である。 低燃費モードにおける両インジェクタからの燃料噴射率の推移等を示す図である。 低燃費モードにおける吸気ポート及び燃焼室内における吸気ガス及び噴射燃料の流れを示す概略図である。 低中負荷モードにおける両インジェクタからの燃料噴射率の推移等を示す図である。 低中負荷モードにおける吸気ポート及び燃焼室内における吸気ガス及び噴射燃料の流れを示す概略図である。 中高負荷モードにおける両インジェクタからの燃料噴射率の推移等を示す図である。 中高負荷モードにおける吸気ポート及び燃焼室内における吸気ガス及び噴射燃料の流れを示す概略図である。 第二実施形態における低燃費モードでの両インジェクタからの燃料噴射率の推移等を示す図である。 第二実施形態の変更例における低燃費モードでの両インジェクタからの燃料噴射率の推移等を示す図である。 第二実施形態の別の変更例における低燃費モードでの両インジェクタからの燃料噴射率の推移等を示す図である。 第二実施形態の更なる別の変更例における各気筒内の上面を概略的に示した図である。
符号の説明
1 機関本体
2 燃焼室
3a 筒内噴射用インジェクタ
3b ポート噴射用インジェクタ
4 点火プラグ
5 吸気マニホルド
5a 吸気枝管
18 吸気ポート
19 吸気弁
20 排気ポート
21 排気弁
34 吸気開口
35 排気開口
40 ECU

Claims (8)

  1. 機関燃焼室内に燃料を噴射する筒内噴射用インジェクタと、機関吸気通路内に燃料を噴射する吸気通路内噴射用インジェクタとを具備する筒内・ポート噴射式内燃機関において、
    成層燃焼運転時には、吸気行程中に筒内噴射用インジェクタから燃料噴射を行うと共に、筒内噴射用インジェクタからの燃料噴射開始後であって吸気弁の閉弁までに吸気通路内噴射用インジェクタから燃料噴射を行う、筒内・ポート噴射式内燃機関。
  2. 成層燃焼運転時には、吸気弁のリフト量が最大となった時期以降に筒内噴射用インジェクタ及びポート噴射用インジェクタからの燃料噴射を行う、請求項1に記載の筒内・ポート噴射式内燃機関。
  3. 成層燃焼運転と均質燃焼運転とを切替可能であり、
    均質燃焼運転時にはポート噴射用インジェクタからの燃料噴射開始後に筒内噴射用インジェクタからの燃料噴射を行う、請求項1又は2に記載の筒内・ポート噴射式内燃機関。
  4. 各気筒の燃焼室には三つの吸気ポートが連通しており、上記ポート噴射用インジェクタはこれら三つの吸気ポートのうちの中央の吸気ポート内を通過する空気内に燃料噴射を行い、
    成層燃焼運転時には、中央の吸気ポート内を通過する空気の流量が該中央の吸気ポートの両側にある各吸気ポート内を通過する空気の流量よりも多いときにポート噴射用インジェクタからの燃料噴射を行う、請求項1〜3のいずれか1項に記載の筒内・ポート噴射式内燃機関。
  5. 成層燃焼運転時には、上記中央の吸気ポートに対応する吸気弁の閉弁時期が上記両側にある吸気ポートに対応する吸気弁の閉弁時期よりも遅くされる、請求項4に記載の筒内・ポート噴射式内燃機関。
  6. 成層燃焼運転時には、上記中央の吸気ポートに対応する吸気弁のリフト量が上記両側にある吸気ポートに対応する吸気弁のリフト量よりも大きくされる、請求項4又は5に記載の筒内・ポート噴射式内燃機関。
  7. 成層燃焼運転時には、上記中央の吸気ポートに対応する吸気弁の開弁期間が上記両側にある吸気ポートに対応する吸気弁の開弁期間よりも長くされる、請求項4〜6のいずれか1項に記載の筒内・ポート噴射式内燃機関。
  8. 上記中央の吸気ポートに対応する吸気弁のバルブ径が上記両側にある吸気ポートに対応する吸気弁のバルブ径よりも大きくされる、請求項4〜7のいずれか1項に記載の筒内・ポート噴射式内燃機関。
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