JP2009302203A - 磁気シールド板 - Google Patents

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雅晴 茨木
Hiroshi Jodai
洋 上代
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直樹 高尾
Yasunori Senoo
恭憲 妹尾
Masanao Orihara
正直 折原
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Abstract

【課題】打ち抜き等の加工性に優れて高精度の加工ができ、大きな温度変化による変形が少ない磁気シールド板にでき、小型、薄型化、高集積化が進んだハードディスクドライブにも実装可能な磁気シールド板を提供する。
【解決手段】ポリエステル樹脂フィルムを積層したハードディスクドライブ磁気シールド板であって、前記ポリエステル樹脂フィルムの結晶化度が、20%以上であり、前記ポリエステル樹脂フィルムの線膨張係数αaが、−10℃〜70℃の範囲で、50ppm/K以下であり、前記ステンレス箔の線膨張係数αbとの差αa−αbで、0ppm/K≦αa−αb≦40ppm/Kであり、前記ステンレス箔が、フェライト系ステンレス箔、又は、マルテンサイト系ステンレス箔である磁気シールド板である。
【選択図】なし

Description

本発明は、ハードディスクドライブ装置に有用な磁気シールド板に関するものである。
ハードディスクドライブ(以下、「HDD」ともいう。)は、情報社会の現代では欠かせない情報記録デバイスの一つであり、その基本構成は磁気ディスク、磁気ディスクを回転させるモーター(スピンドルモーター)、回路基板、及び筐体からなる。近年、電子機器の小型化や薄型化に伴ってハードディスクドライブも小型化が進んだ結果、スピンドルモーターと回路基板とが狭いスペースに収納され、これらが隣接して設置されるようになってきた。この場合、前記スピンドルモーターと前記回路基板とが至近距離に設置、又は隣接するため、スピンドルモーターから発生する磁場で回路基板に実装されている集積回路(IC)の誤作動を誘発するという問題が発生する。
この問題を防止するため、特許文献1のように、スピンドルモーターに直接磁気シールドラベルを貼り付けて磁気の漏洩を防ぐ(磁気シールド)対策がなされている。前記磁気シールドラベルは、磁気シールド層、プラスチック層、及び接着剤層からなるものである。貼り付ける前(使用する前)には、接着剤層の表面は剥離層を施した樹脂基材で保護されている。前記磁気シールド層には、透磁率の高い材質が用いられ、鉄箔やステンレス箔などの金属箔が例示され、実施例では、亜鉛メッキ処理した電解鉄箔が使用されている。
また、特許文献2には、ロータ(モーター)のマグネットからの磁束が磁気ディスク側に漏れ、磁気ディスクに記録されたデータの消失や、データの書き込み或いは読み込み時の誤動作が発生するといった問題について記載されている。この問題を防止するために、特許文献2では、SUS430等が磁気シールド板として配置されている。前記磁気シールド板は、接着剤でステータの巻き線上に直接固着されているものであり、更に、前記磁気シールド板には、樹脂がコーティングされて電気的に絶縁されている。前記コーティングされる絶縁性の樹脂として、エポキシ系、ポリエステル系、PES系、或いはアクリル系の樹脂が例示されている。
上述のように、ハードディスクドライブの内部において、モーターからの漏れ磁束によるICや磁気ディスクへの悪影響を防止するために、種々の磁気シールド板が使用されている。
最近の技術では、モバイル用途を中心に精密電子機器のさらなる小型化、薄型化、集積化が進み、それに伴ってハードディスクドライブも小型化、薄型化、高集積化が更に進んだ結果、磁気シールド板の薄さや加工性に対する要求がより厳しくなり、また、モバイル等による使用環境の大きな変化、特に温度の大きな変化でも反り等が起こらない精度の高い寸法安定性も求められている。即ち、使用環境の温度変化による磁気シールド板の変化や歪みは、わずかであっても、磁気ディスクの回転や情報ピックアップに悪影響を及ぼすようになった。したがって、従来の磁気シールド板では、使用中の温度変化による変形及び該変形の繰り返しが、小型、薄型化、高集積化が更に進んだハードディスクドライブの誤動作をまねいたり、耐久性の低下を導いたりするという課題がある。
一方、前記磁気シールド板と類似の構成、即ち、金属箔に有機樹脂層を積層した構成としては、特許文献3〜6にあるように、電子回路などを搭載するフレキシブル配線基板に使用することを目的とした、有機樹脂絶縁層を施した金属箔が知られている。前記フレキシブル配線基板として、銅箔にポリイミド樹脂を積層したものが主に使用されている。フレキシブル配線基板では、絶縁性とともに、集積回路(IC)チップ等をハンダで前記配線基板に接続して実装するためにリフロー炉でハンダを溶融させるので、優れた耐熱性が要求されることから、ポリイミド樹脂が使用されている。また、金属箔として銅箔が使用されているのは、効率のよい配線基板とするためであり、電気伝導度の高い銅箔が使用されている。
ところが、前記フレキシブル配線基板では、リフロー炉で処理される際の温度上昇により、銅箔とポリイミド樹脂との熱膨張の違いによって反りや剥離が生じる。これに対し特許文献3〜6では、200〜300℃でのポリイミド樹脂の線膨張係数を低くしたり、銅の線膨張係数(17ppm/K)にポリイミド樹脂の線膨張係数を近づけたりすることがなされている。
また、特許文献7では、太陽電池セルや有機EL(エレクトロルミネセンス)のフロントパネルに使用される積層体として、金属箔を使用した基材ではないが、合成樹脂からなる透明板を基材として延伸変性PET(ポリエチレンテレフタレート)フィルムを積層し、30〜60℃での平均線膨張係数に関して、前記樹脂基板と前記PETフィルムとの差を3×10-5/℃(30ppm/K)することが開示されている。これによって、環境温度の変化による前記積層体の反りを抑制するとされている。
特開2004-71070号公報 特開2007-68399号公報 特開2001-323078号公報 特開2005-288811号公報 特開2006-51800号公報 特開2007-245393号公報 特開2007-152847号公報
上述のように、モバイル用途で、小型、薄型化、高集積化が更に進んだハードディスクドライブに使用される従来の磁気シールド板は、金属箔と絶縁性樹脂層との設計が不十分であるので、モバイル等の使用中での大きな温度変化による変形及び該変形の繰り返しが、ハードディスクドライブの誤動作をまねいたり、耐久性の低下を導いたりするという課題がある。
また、ハードディスクドライブの小型化に伴って、磁気シールド板も微細になり、その結果、磁気シールド板の打ち抜き等の加工において更に精密な加工が必要となってくるが、従来の磁気シールド板では、加工面の樹脂層の微細な割れや伸びが問題となってくる。したがって、前記ハードディスクドライブには、特に、金属箔に積層する樹脂層の高度な設計が必要とされる。
特許文献3〜6にある銅箔にポリイミド樹脂を積層したフレキシブル配線基板は、熱膨張率を考慮して、温度変化による反りを低減するように設計されているが、非磁性の銅箔であるので、上記したような磁気シールド板には直接使用できない。すなわち、銅箔の替わりに、磁気シールド性を有するSUS430等のステンレス箔に置き換え、ポリイミド樹脂を積層し、前記ポリイミド樹脂の線膨張係数を制御することも考えられるが、前記線膨張係数の制御はリフロー温度である200〜300℃の高温であって、ハードディスクドライブの使用温度域での線膨張係数の制御とは異なること、及び金属箔基材が異なること等により、適用できない。また、ポリイミド樹脂をステンレス箔に積層したとしても、ポリイミド樹脂層が硬いので、打ち抜き加工の加工断面でポリイミド樹脂の小さな剥離や割れが生じ、磁気シールド板として精密な加工ができない。
特許文献7にあるPETフィルムも、ポリカーボネートやアクリル等の樹脂基板に積層して、基板との線膨張係数差を小さくして反りを抑制するものであるが、樹脂基板の線膨張係数が60〜80ppm/Kであるため、PETフィルムの線膨張係数も60〜80ppm/Kとするものであり、線膨張係数が小さい金属を基板とした磁気シールド板には適用できない(例えば、SUS430ステンレスの0℃〜100℃の線膨張係数は、10.4ppm/Kである。)。
本発明は、打ち抜き等の加工性に優れて高精度の加工ができ、大きな温度変化による変形が少ない磁気シールド板にでき、小型、薄型化、高集積化が進んだハードディスクドライブにも実装可能な磁気シールド板を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記課題を解決するため鋭意検討した結果、絶縁性樹脂層として表面に被覆される樹脂フィルムの線膨張係数を低減して、ステンレス箔の線膨張係数との差をある特定の範囲に調節することで、大きな温度変化による変形、及び該変形の繰り返しを抑え、また樹脂フィルムの結晶化度を、ポリエステル樹脂では20%以上にすることで打ち抜き等の加工性に優れることを見出し、本発明を完成した。
すなわち、本発明の要旨とするところは以下のとおりである。
本発明の請求項1に係る磁気シールド板は、ステンレス箔と、前記ステンレス箔の表面に積層したポリエステル樹脂フィルムとを有する磁気シールド板であって、前記ポリエステル樹脂フィルムは、結晶化度が20%以上、線膨張係数αaが−10℃〜70℃の範囲で50ppm/K以下、前記ステンレス箔の線膨張係数αbとの差αa−αbが0ppm/K≦αa−αb≦40ppm/Kであり、前記ステンレス箔は、フェライト系ステンレス箔、又は、マルテンサイト系ステンレス箔であることを特徴とする。
本発明の請求項2に係る磁気シールド板は、請求項1において、前記ポリエステル樹脂フィルムが、延伸ポリエステル系樹脂フィルムであることを特徴とする。
本発明の請求項3に係る磁気シールド板は、請求項1又は2において、前記ポリエステル樹脂フィルムに、フィラーが含有されていることを特徴とする。
本発明の請求項4に係る磁気シールド板は、請求項1〜3のいずれか1項において、前記ポリエステル樹脂フィルムと前記ステンレス箔との間に、接着成分層を形成したことを特徴とする。
本発明の請求項5に係る磁気シールド板は、請求項4において、前記接着成分層に、フィラーが分散していることを特徴とする。
本発明の請求項6に係る磁気シールド板は、請求項4又は5において、前記接着成分層に、顔料が分散していることを特徴とする。
本発明によれば、打ち抜き等の加工性に優れて高精度の加工ができ、大きな温度変化による変形が少ない磁気シールド板にでき、小型、薄型化、高集積化が進んだハードディスクドライブにも実装可能な磁気シールド板を提供するという効果が得られる。
線膨張係数の異なる材料を積層した場合、温度変化に伴う熱膨張、熱収縮の差が大きくなるため、図1に示すように積層材料に反りが生じる。一般的に、各材料の線膨張係数を近づけることでこの反りを抑えることが可能であるが、その範囲は材料や用途によって異なる。-10℃〜70℃の実使用温度範囲において、磁気シールド板の温度変化に伴う反りの大きさの許容範囲は、小型薄型のHDDに使用される3cm程度の大きさの部品では2mm以下であるが、前述の一般論から具体事例の定量的な範囲を類推することは困難である。
本発明に係る、ポリエステル樹脂フィルムと、フェライト系もしくはマルテンサイト系ステンレス箔との組み合わせでも、これらの線膨張係数の差を小さくすることで、温度変化に伴う樹脂フィルムと金属材料との熱膨張差、及び熱収縮差を小さくすることはできる。さらに、本発明者らは、前記小型薄型HDDの磁気シールド板として、実使用環境において故障や誤動作を起さない2mm以下の反りにするには、前記ポリエステル樹脂フィルムの線膨張係数αaを50ppm/K以下で、かつ、フェライト系もしくはマルテンサイト系ステンレス箔の線膨張係数αbとの差を0ppm/K≦αa-αb≦40ppm/Kの範囲にすることで可能となることを見い出した。
前記ポリエステル樹脂フィルムの線膨張係数αaが、50ppm/Kを越えると、前記反りが2mmを越えてしまう。αa-αbが、0ppm/K未満となるような、当該用途に使用可能な樹脂フィルムは実質上製造出来ず、αa-αbが、40ppm/Kを超えると、3cm程度の大きさの部品における温度変化に伴う反りの大きさが2mmを超えるため、不適切である。前記磁気シールド板の反り量は2mm以下であることが必要であるが、より好ましくは1mm以下であり、その為には、前記範囲の中で、αa-αbを15ppm/K以下(0ppm/K≦αa-αb≦15ppm/K)にする必要がある。
ここで、フェライト系もしくはマルテンサイト系ステンレス箔の線膨張係数は、10〜12ppm/Kの狭い範囲であり、組成、加工率、熱処理条件等で多少は変えることができる。前記αa-αbを本発明の範囲に調節するには、前記範囲内で特定の線膨張係数を有するステンレス箔を選択し、ポリエステル樹脂フィルムの線膨張係数を低くする方が行い易い。ポリエステル樹脂フィルムの線膨張係数を低減するためには、どの様な方法でも良いが、例えば、ポリエステル樹脂フィルムの延伸倍率を高くする方法、延伸工程のヒートセット温度を結晶化速度が最も高くなる100℃〜220℃の温度範囲で長時間セットする方法や、線膨張係数の小さい無機フィラーを添加する方法などがあり、複数の方法を組み合わせてもよい。
さらに、磁気シールド板は、ポリエステル樹脂フィルムで被覆したステンレス箔を打ち抜きプレス加工することにより成型されるが、ハードディスクドライブの小型、薄型化、集積化が進んで各部品の微細化が顕著になっており、より精密な打ち抜きプレス加工が出来ることも必須要件である。しかし、前述の特許文献1では、打ち抜きプレス加工されると、感圧接着層や剥離層が不要に伸長して変形し、微細な形状の打ち抜きプレス加工を高精度で行うことが困難であるという課題がある。従って、従来の樹脂フィルムの中から適当な線膨張係数を有する樹脂フィルムを選んだとしても、前記のような高精度の打ち抜きプレス加工性が満足されない。
これに対し、本発明は、ポリエステル樹脂フィルムの結晶化度を、20%以上に調節することで、プレス加工時に前記樹脂フィルムが不要に伸長するなどの変形を防ぎ、精密な加工であっても高精度で好適に打ち抜きプレス加工できる。ポリエステル樹脂フィルムの結晶化度を調節するには、ポリエステル樹脂フィルムを、適切な結晶化温度、例えば100℃〜220℃の温度範囲に保持したり、無機物のフィラーや結晶性低分子成分などの結晶化核剤を添加するなどの方法がある。前記複数の方法を組み合わせて結晶化度を本発明の範囲内に調節してもよい。ポリエステル樹脂フィルムの結晶化度は、より高い方が、本発明の効果を容易に得ることができる。よって、本発明における結晶化度の上限は、100%であるが、ポリエステル樹脂の結晶化度を上げる工業的な方法の制約から、結晶化度の上限は60%〜70%とすることができる。
本発明に係る結晶化度は、X線回折法、赤外線分光法、DSC法(示差走査熱量測定法)など既存の方法で測定でき、いずれか1つの方法で得られた値が本発明の範囲内であれば、本発明の効果が得られるものである。
例えば、X線回折法を用いてポリエステル樹脂フィルムの結晶化度を求めるには、つぎのように行う。ポリエステル樹脂の非晶質部分と結晶質部分の両方の回折ピークが現れる、2θ=10.0〜40.0°の回折角度におけるピークの積分強度から、下記の式を用いて結晶化度を算出する。
結晶化度=(結晶質部分(2θ=17、21、23.5、26°の付近のピーク)の積分強度/非晶質と結晶質とを含む部分(2θ=10.0〜40.0°)の積分強度)×100[%]
本発明に係るフェライト系もしくはマルテンサイト系ステンレス箔としては、磁気シールド板として使用されるので、磁性を有するフェライト又はマルテンサイト組織を有するステンレス箔である。即ち、ステンレス箔は、18Crのフェライト系ステンレス箔、13Crのマルテンサイト系ステンレス箔である。具体的には、ステンレス箔は、SUS430、SUS410等であり、中でも安価で流通量の多いSUS430が好ましい。また、ステンレス箔の表面は、鏡面仕上げ、つや消し仕上げ、ヘアライン仕上げ、印刷、塗装、電解クロメート、塗布クロメート、亜鉛メッキ、Niメッキ、着色メッキ等の表面処理が施されていてもよい。また、ステンレス箔の熱処理として、光輝焼鈍、テンションアニール等の焼鈍や急冷がされていてもよい。一般に、ステンレス鋼材の中で、200μm以下の厚みの薄板がステンレス箔の範疇に入り、ハードディスクドライブ磁気シールド板に用いられる部材は薄いことが要求され、本発明のステンレス箔は20μm〜200μmの範囲の厚みであることがより好ましい。前記厚みが20μm未満では、薄すぎるので磁気シールド効果が不十分な場合がある。一方、前記厚みが200μmを超えると、小型薄型HDDに使用するには厚すぎて、前記HDDの設計に制約がでる場合がある。
本発明に係るポリエステル樹脂フィルムは、本発明の範囲内であるポリエステル樹脂フィルムであれば、特に限定されるものではないが、具体的には、以下のようなポリエステル樹脂をフィルムにしたものである。
ヒドロキシカルボン酸化合物残基のみ、ジカルボン酸残基とジオール化合物残基と、及び、ヒドロキシカルボン酸化合物残基とジカルボン酸残基とジオール化合物残基と、をそれぞれ構成ユニットとする熱可塑性ポリエステル樹脂である。また、前記熱可塑性ポリエステル樹脂の混合物であっても良い。
ヒドロキシカルボン酸化合物残基の原料となるヒドロキシカルボン酸化合物を例示すると、p-ヒドロキシ安息香酸、p-ヒドロキシエチル安息香酸、2-(4-ヒドロキシフェニル)-2-(4'-カルボキシフェニル)プロパン等が挙げられ、これらは単独で使用しても、また、2種類以上を混合して使用しても良い。
また、ジカルボン酸残基を形成するジカルボン酸化合物を例示すると、テレフタル酸、イソフタル酸、オルソフタル酸、1,4-ナフタレンジカルボン酸、2,3-ナフタレンジカルボン酸、2,6-ナフタレンジカルボン酸、2,7-ナフタレンジカルボン酸、ジフェン酸、ジフェニルジカルボン酸、ジフェノキシエタンジカルボン酸等の芳香族ジカルボン酸及びアジピン酸、ピメリン酸、セバシン酸、アゼライン酸、デカンジカルボン酸、マロン酸、コハク酸、リンゴ酸、クエン酸等の脂肪族ジカルボン酸、シクロヘキサンジカルボン酸等の脂環式ジカルボン酸等が挙げられ、これらは単独で使用しても、また、2種類以上を混合して使用しても良い。
次に、ジオール残基を形成するジオール化合物を例示すると、2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)プロパン(以下、「ビスフェノールA」と略称する)、ビス(4-ヒドロキシフェニル)メタン、ビス(2-ヒドロキシフェニル)メタン、o-ヒドロキシフェニル-p-ヒドロキシフェニルメタン、ビス(4-ヒドロキシフェニル)エーテル、ビス(4-ヒドロキシフェニル)スルホン、ビス(4-ヒドロキシフェニル)スルフィド、ビス(4-ヒドロキシフェニル)スルホン、ビス(4-ヒドロキシフェニル)ケトン、ビス(4-ヒドロキシフェニル)ジフェニルメタン、ビス(4-ヒドロキシフェニル)-p-ジイソプロピルベンゼン、ビス(3,5-ジメチル-4-ヒドロキシフェニル)メタン、ビス(3-メチル-4-ヒドロキシフェニル)メタン、ビス(3,5-ジメチル-4-ヒドロキシフェニル)エーテル、ビス(3,5-ジメチル-4-ヒドロキシフェニル)スルホン、ビス(3,5-ジメチル-4-ヒドロキシフェニル)スルフィド、1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)エタン、1,1-ビス(3,5-ジメチル-4-ヒドロキシフェニル)エタン、1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)-3,3,5-トリメチルシクロヘキサン、1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)-1-フェニルエタン、ビス(4-ヒドロキシフェニル)フェニルメタン、2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)ブタン、2,2-ビス(3,5-ジメチル-4-ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2-ビス(3,5-ジクロロ-4-ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2-ビス(3,5-ジブロモ-4-ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2-ビス(3-メチル-4-ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2-ビス(3-クロロ-4-ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2-ビス(3-ブロモ-4-ヒドロキシフェニル)プロパン、1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロ-2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)プロパン、4,4'-ビフェノール、3,3',5,5'-テトラメチル-4,4'-ジヒドロキシビフェニル、4,4'-ジヒドロキシベンゾフェノン等の芳香族ジオール及びエチレングリコール、トリメチレングリコール、プロピレングリコール、テトラメチレングリコール、1,4-ブタンジオール、ペンタメチレングリコール、ネオペンチルグリコール、ヘキサメチレングリコール、ドデカメチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ポリエチレングリコール、水添ビスフェノールA等の脂肪族ジオール、シクロヘキサンジメタノール等の脂環族ジオール等が挙げられ、これらは単独で使用することも、また、2種類以上を混合して使用することもできる。また、これらから得られるポリエステル樹脂を単独で使用しても、2種類以上混合して使用しても良い。
本発明に使用するポリエステル樹脂は、中でも芳香族ジカルボン酸残基とジオール残基より構成される芳香族ポリエステル樹脂であることが、加工性、熱的安定性の観点から好ましい。また、本発明に使用するポリエステル樹脂は、トリメシン酸、ピロメリット酸、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、トリメチロールメタン、ペンタエリスリトール等の多官能化合物から誘導される構成単位を少量、例えば2mol%以下の量を含んでいても良い。耐熱性や加工性の面から、これらのジカルボン酸化合物、ジオール化合物の組合せの中で最も好ましい組合せは、テレフタル酸50〜100mol%、イソフタル酸及び/又はオルソフタル酸0〜50mol%のジカルボン酸化合物と、炭素数2〜5のグリコールのジオール化合物との組合せである。
本発明で使用する好ましいポリエステル樹脂を例示すると、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリヘキサメチレンテレフタレート、ポリシクロヘキシレンジメチレンテレフタレート、ポリエチレン-2,6-ナフタレート、ポリブチレン-2,6-ナフタレートなどが挙げられるが、中でもポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレン-2,6-ナフタレート、ポリブチレン-2,6-ナフタレートである。
更に、本発明に係るポリエステル樹脂フィルムは、延伸ポリエステル樹脂フィルムが好ましい。前記延伸ポリエステル樹脂フィルムの具体的な例としては、1軸もしくは2軸方向に延伸した延伸ポリエステル樹脂フィルムであり、中でもポリエチレンテレフタレート、及びポリエチレン-2,6-ナフタレートでは、延伸フィルムが好ましく、2軸延伸フィルムが更に好ましい。これらが好ましい理由として、無延伸フィルムと比較して強度が高く、かつ塑性変形が小さいために部材として安定であることが挙げられる。
また、本発明に係るポリエステル樹脂フィルムの厚さに関し、上述したように、小型・薄型のハードディスクドライブに用いられる磁気シールド板は、薄いことが要求されるため、ポリエステル樹脂フィルムは、ステンレス箔の厚さの1/3を超えない範囲の厚さであることが好ましい。例えば、ポリエステル樹脂フィルムの厚さは、5μm以上35μm以下が好ましい。
また、本発明のポリエステル樹脂フィルムは単層でも複層でも構わない。例えば、本発明の作用効果を奏する範囲において、最表面層に硬質樹脂組成物を積層あるいはコーティングして表面硬度を向上したり、印刷層を設けて情報を表示したり、難燃、可塑、帯電防止、抗菌抗カビ層を積層あるいはコーティングすることもできる。
また、本発明のポリエステル樹脂には、安定化剤、酸化防止剤、ブロッキング防止剤を添加しても良い。また、本発明のポリエステル樹脂フィルムは、光沢でも梨地や曇りガラス状でもよい。
また、本発明のポリエステル樹脂フィルムに、無機物のフィラーを添加することで、線膨張係数を低減したり、結晶化度を向上させることが可能なので好ましい。前記フィラーの例としては、シリカ、チタニア、アルミナ、ジルコニア等の金属酸化物、また、モンモリロナイト、バイデライト、ノントロナイト、ボルコンスコアイト、サポナイト、鉄サポナイト、ソーコライト、ヘクトライト、スティブンライト、ハイドロタルサイト、雲母、カオリナイト、緑泥石、バーミキュライト、パイロフィライト、ブルサイト等の粘土鉱物が挙げられる。無機物のフィラーを添加するとポリエステル樹脂フィルムの絶縁性が低下する場合があるが、ニトロセルロースなどの塗料用樹脂と顔料の混合物を添加することで絶縁性の低下を抑制しつつ、線膨張係数を低減できるので更に好ましい。本発明において、絶縁性が低下するとは、絶縁破壊電圧が低下することである。前記顔料の例としては、フタロシアニン顔料、ジオキサン顔料、アゾ顔料をレーキ化したレーキ顔料等の有機顔料、白色チタニア、黄鉛、クロムバーミリオン、紺青、群青、酸化鉄、ブロンズ粉、カーボンブラック等の無機顔料がある。
また、ポリエステル樹脂フィルムとステンレス箔との密着性を向上させ、部材の耐久性を向上させる観点から、前記ポリエステル樹脂フィルムと前記ステンレス箔との間に、接着成分層を有するのが好ましい。前記接着成分層としては、接着剤、又は接着性樹脂が使用できる。前記接着剤、及び接着性樹脂としては、公知の材料を使用することができ、特に限定しないが、具体的にはエポキシ系、イソシアネートなどのウレタン系、シアノアクリレートなどのアクリル系などの接着剤、ホットメルト型のポリエステル樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、酢酸ビニル樹脂、及びその共重合体などの接着性樹脂である。前記接着成分層に、フィラーが分散されているのが、接着成分層の線膨張係数を低減したり、不要な流動を防ぐ理由で更に好ましい。前記フィラーの例としては、シリカ、チタニア、アルミナ、ジルコニア等の金属酸化物、また、モンモリロナイト、バイデライト、ノントロナイト、ボルコンスコアイト、サポナイト、鉄サポナイト、ソーコライト、ヘクトライト、スティブンライト、ハイドロタルサイト、雲母、カオリナイト、緑泥石、バーミキュライト、パイロフィライト、ブルサイト等の粘土鉱物が挙げられる。フィラーを添加すると前記接着成分層の絶縁性が低下する場合があるが、ニトロセルロースなどの塗料用樹脂と顔料の混合物を添加することで絶縁性の低下を抑制しつつ、線膨張係数を低減できるので更に好ましい。前記顔料の例としては、フタロシアニン顔料、ジオキサン顔料、アゾ顔料をレーキ化したレーキ顔料等の有機顔料、白色チタニア、黄鉛、クロムバーミリオン、紺青、群青、酸化鉄、ブロンズ粉、カーボンブラック等の無機顔料がある。
また、ポリエステル樹脂フィルムとステンレス箔との密着性、ポリエステル樹脂フィルムと接着剤、又は接着性樹脂との密着性を向上させる観点から、ポリエステル樹脂フィルムにコロナ処理をかけるのが好ましい。
本発明の磁気シールド板の製造方法における、ポリエステル樹脂フィルムのフェライト系もしくはマルテンサイト系ステンレス箔へのラミネートの方法は、特に限定しないが、例えば、(1)ポリエステル樹脂組成物をTダイス付きの押し出し機で溶融混練してフィルム状にし、押し出し直後にステンレス箔に熱圧着する方法がある。この場合、複数層の同時押出しでも構わない。この他にも、(2)事前に押し出しもしくは成形したシート又はフィルムを熱圧着、もしくは接着剤等を使用して圧着する方法、(3)ポリエステル樹脂組成物を溶融してバーコーターやロールでコーティングする方法、(4)溶融したポリエステル樹脂組成物にステンレス箔を漬ける方法、及び(5)ポリエステル樹脂組成物を溶媒に溶解してスピンコートする方法等により、ステンレス箔に被覆することが可能である。中でも、作業能率からステンレス箔への被覆方法として好ましいのは、上記(1)及び(2)の方法である。さらに好ましくは、脱脂洗浄したステンレス箔の表面に、ポリエステル樹脂フィルムを100℃〜290℃で0.1MPa〜5MPaの圧力で連続熱圧着する製造方法である。前記ステンレス箔の脱脂洗浄は、アルカリ電解脱脂であるとより好ましい。例えば、ステンレス箔を陽極にして、5質量%水酸化ナトリウム水溶液、浴温60℃、5A/dm2×20秒でアルカリ電解脱脂を行うことができる。前記連続熱圧着の温度は、100℃〜290℃が好ましい。100℃未満では、十分な密着性が得られない場合がある。一方、290℃を越えるとポリエステル樹脂フィルムが熱により劣化する場合がある。より好ましくは100℃〜250℃である。前記連続熱圧着の圧力は、0.1MPa〜5MPaが好ましい。0.1MPa未満では、十分な密着性が得られない場合がある。一方、5MPaを越えると連続熱圧着装置の加圧機構が複雑になり、製造コストが見合わない場合がある。また、連続熱圧着の場合、通常、圧着時間は1秒以下である。ポリエステル樹脂フィルムのラミネートはステンレス箔の片面のみでも両面でもよい。
前記ポリエステル樹脂フィルムは、Tダイ押出し、コーティング、熱プレス等の方法でフィルム成形した後に、例えば100℃〜220℃の温度範囲内で5秒以上熱処理することで結晶化度を20%以上にすることができる。
前記ポリエステル樹脂フィルムは、例えばポリエチレンテレフタレートやポリエチレンナフタレートをTダイスを装着した押出し成形機からシート形状に押出し、70℃〜150℃の温度範囲に保持しながら、押出し方向、及び幅方向に2〜5倍延伸して100℃〜220℃の温度範囲内で5秒以上熱処理したり、フィルム中に無機物などのフィラーを添加することで、線膨張係数を50ppm/K以下にすることができる。
ポリエステル樹脂フィルムへの前記フィラー、及び前記顔料を添加する方法としては、ポリエステル樹脂と、フィラー及び顔料とをドライブレンドして原料とし、押出し成形機にて150℃〜300℃の温度範囲内で1分以上混練して練り込む方法や、ポリエステル樹脂原料モノマーとフィラーとをドライブレンド、もしくは溶媒中で攪拌して混合物とし、ポリエステル樹脂を重合反応させて樹脂マトリックス中に分散させる方法等がある。
接着成分層のポリエステル樹脂への被覆、積層の方法は、特に限定しないが、例えば、(1)接着成分層をTダイス付きの押し出し機で溶融混練してフィルム状にし、押し出し直後にポリエステル樹脂フィルムに熱圧着する方法がある。この場合、複数層の同時押出しでも構わない。この他にも、(2)事前に押し出しもしくは成形した接着成分層のシート又はフィルムをポリエステル樹脂フィルムに熱圧着する方法、(3)接着成分層を溶融、もしくは溶媒に溶解してバーコーターやロールでコーティングする方法、(4)溶融した接着成分層にポリエステル樹脂フィルムを漬ける方法や、(5)接着成分層を溶媒に溶解してスピンコートする方法等により、ポリエステル樹脂フィルムに被覆することが可能である。中でも、作業能率からポリエステル樹脂フィルムへの被覆方法として好ましいのは、上記(1)、(2)及び(3)の方法である。
接着成分層への前記フィラー、及び前記顔料を添加する方法としては、接着成分層と、フィラー及び顔料とをドライブレンド、もしくは溶液に攪拌して混合する方法が挙げられ、前記フィラー、及び前記顔料が添加された接着成分層のポリエステル樹脂フィルムへの被覆、積層方法としては前記の方法が使用できる。
このようにして作製された磁気シールド板は、ハードディスクドライブに甚大な被害を与えうるガスの発生を極限まで少なくして、小型化、薄型化、高集積化が進んだ最近のハードディスクドライブにも実装可能なレベル、すなわちハードディスクドライブを構成する金属材料と同程度の線膨張係数の絶対値である10〜50ppm/Kのレベルで反りを抑え、高度な寸法精度での打ち抜き等の加工を達成できる。
次に、実施例及び比較例に基づいて、本発明をより具体的に説明するが、本発明は下記実施例にのみ限定されるものではない。
本実施例及び比較例に使用するステンレス箔は、厚み100μmのSUS430Hを使用した。後述するポリエステル樹脂フィルムと同様の方法で線膨張係数を測定したところ、10ppm/Kであった。
実施例1では、東洋紡(株)製二軸延伸フィルムの商品名「E5100#12」を樹脂フィルムとして使用し、270℃、1MPaでステンレス箔に熱圧着して磁気シールド板を作製した。
実施例2では、ユニチカ(株)製ポリエチレンテレフタレート樹脂の商品名「SA1206」と日本アエロジル(株)製シリカフィラーの商品名「RX200」をドライブレンドした原料をTダイスを装着した押出し成形機のホッパーから投入し、280℃で押出してシート形状(幅100mm、厚み100μm)に成形し、これを(株)東洋精機製作所製二軸延伸試験装置を用いて、80℃に加熱してシート押出し方向に3.0倍、その後95℃に加熱して幅方向に3.0倍延伸し、3%のリラックスをかけながら、210℃で15秒間熱処理を施した二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムを樹脂フィルムとして使用し、270℃、1MPaでステンレス箔に熱圧着して磁気シールド板を作製した。
実施例3では、東レ(株)製ポリブチレンテレフタレート樹脂の商品名「トレコン1200S」と日本アエロジル(株)製シリカフィラーの商品名「RX200」をドライブレンドした原料をTダイスを装着した押出し成形機のホッパーから投入し、280℃で押出してフィルム形状(幅300mm、厚み15μm)に成形し、これを無延伸樹脂フィルムとして使用し、240℃、1MPaでステンレス箔に熱圧着して磁気シールド板を作製した。
実施例4では、東洋紡(株)製二軸延伸フィルムの商品名「E5100#12」に、東亞合成(株)製ポリエステル樹脂接着剤の商品名「アロンPES2353A25」とナガセ化成工業(株)製硬化剤の商品名「デナコールEX-614B」の混合液を、ロールコーターを用いて厚さ1μmに塗布し、150℃、1分で乾燥したものを樹脂フィルムとして使用し、150℃、1MPaでステンレス箔に熱圧着し、25℃で24時間保管して、磁気シールド板を作製した。
実施例5では、東洋紡(株)製二軸延伸フィルムの商品名「E5100#12」に、東亞合成(株)製ポリエステル樹脂接着剤の商品名「アロンPES2353A25」とナガセ化成工業(株)製硬化剤の商品名「デナコールEX-614B」と日本アエロジル(株)製シリカフィラーの商品名「RX200」の混合液を、ロールコーターを用いて厚さ1μmに塗布し、150℃、1分で乾燥したものを樹脂フィルムとして使用し、150℃、1MPaでステンレス箔に熱圧着し、25℃で24時間保管して、磁気シールド板を作製した。
実施例6では、東洋紡(株)製二軸延伸フィルムの商品名「E5100#12」に、東亞合成(株)製ポリエステル樹脂接着剤の商品名「アロンPES2353A25」とナガセ化成工業(株)製硬化剤の商品名「デナコールEX-614B」と顔料の混合液を、ロールコーターを用いて厚さ1μmに塗布し、150℃、1分で乾燥したものを樹脂フィルムとして使用し、150℃、1MPaでステンレス箔に熱圧着し、25℃で24時間保管して、磁気シールド板を作製した。顔料は、ニトロセルロース10gを50gのトルエン中で攪拌して溶解し、この溶液に東洋インキ製造(株)製の顔料の商品名「LIONOL BLUE 7185-PM」を3g添加して攪拌し、この溶液を室温で静置してトルエンを完全に蒸発させ、残った固形分を粉砕したものを顔料とした。
比較例1では、ユニチカ(株)製ポリエチレンテレフタレート樹脂の商品名「SA1206」をTダイスを装着した押出し成形機のホッパーから投入し、280℃で押出してフィルム形状(幅300mm、厚み15μm)に成形したものを樹脂フィルムとして使用し、270℃、1MPaでステンレス箔に熱圧着して磁気シールド板を作製した。
比較例2では、三菱エンジニアリングプラスチックス(株)製66ナイロンの商品名「ノバミッド3010N5-SL4」を使用し、300℃、5MPaでホットプレスして、厚み12μmに成形したものを樹脂フィルムとして使用し、300℃、1MPaでステンレス箔に熱圧着して磁気シールド板を作製した。
比較例3では、日本ポリプロ(株)製ポリプロピレン樹脂の商品名「ノバテックEA7A」と三井化学(株)製の商品名「アドマーQE060」を250℃の押出し温度でTダイスを装着した共押出し成形機にて2層フィルム形状(幅300mm、ノバテックEA7A厚み10μm、アドマーQE060厚み5μm)に成形したものを樹脂フィルムとして使用し、200℃、1MPaでステンレス箔に熱圧着して磁気シールド板を作製した。
比較例4では、東レ・デュポン(株)製ポリイミドフィルムの商品名「カプトン50H」を樹脂フィルムとして使用し、太陽金網(株)製エポキシ接着剤の商品名「EE4525-10」をバーコーターを用いて厚さ5μmに塗布したものを樹脂フィルムとして使用し、直ちにステンレス箔と圧着させ、135℃で5分保管して、磁気シールド板を作製した。
上記で作製した磁気シールド板について、以下に示す各種試験に供した。
(A)線膨張係数の測定
各樹脂フィルムの線膨張係数はTMA(熱機械分析)法を用いて測定した。具体的には、株式会社リガク製Thermo Plus TMA8310にて、微小荷重をかけながら、2℃/分の割合で、-10℃から70℃までの温度範囲で熱膨張量の温度依存性から熱膨張係数を測定した。
(B)結晶化度の測定
結晶化度は上述したX線回折法を用いて測定した。具体的には、株式会社リガク製X線回折装置RINT2500にて、CuKαの特性X線を用い、管電圧40kV、管電流130mAの条件で、得られたX線回折図形からRuland法により結晶化度を算出した。すなわち、X線回折法で得られたX線回折図形から非晶によるハロー強度を見積り、全回折強度から前記ハロー強度を引くことにより、結晶による回折強度を求めた。
(C)反り量の測定
30mm×30mmに切り出した積層板の-10℃〜70℃における端部の高さ変位を、ミツトヨ製レーザー変位計LI-H1001Uを用い、上面から測定し、その測定値の最大値から最小値を引いたものを反り量とした。
(D)プレス加工性の評価
30mm×30mm、コーナー部径4mmの寸法で、潤滑剤はJohnson WAX122とマシン油を1:1に混合したものを用い、プレス速度60mm/分で打ち抜いたサンプルの端部のフィルムの状態を、以下に示す基準で評価した。○がハードディスクドライブ磁気シールドに用いるには適切で、△、及び×は不適切である。
○:フィルム伸び、割れ、剥離の全てが無し
△:1mm以下のフィルム伸び、割れ、剥離のいずれか、もしくは全てがある
×:1mm以上のフィルム伸び、割れ、剥離のいずれか、もしくは全てがある
(E)密着力の評価
樹脂フィルムを被覆したステンレス箔を10mm×120mmに切り出し、樹脂フィルムの密着強度をピール試験(23℃、180°ピール:JIS K6854-2と同形式、引張り速度20mm/min)で測定し、これを密着力の評価とした。引張ったフィルムが切れる程度に強固に密着するか、もしくは密着強度が5N/cm以上であることが好ましく、強度が大きいことがより好ましい。
(F)絶縁破壊電圧の測定
樹脂フィルムを被覆したステンレス箔の、樹脂フィルム面側と裏面側にそれぞれ端子を接触させ、徐々に電圧を上げてかけ、電流が0.1mA流れたときの電圧を絶縁破壊電圧とした。尚、絶縁破壊電圧の測定は、菊水電子工業株式会社製TOS5051Aを用いた。絶縁破壊電圧は、1kV以上であることが好ましく、大きいことがより好ましい。
Figure 2009302203
このように、実施例のみが、反り量2mm以下で寸法安定性に優れ、高集積化が進んだハードディスクドライブに好適に適用できた。さらに、結晶化度20%以上で優れたプレス加工性が得られた。さらに、接着剤、及び接着性樹脂を用いて樹脂フィルムをステンレス箔に被覆することによって、より優れた密着力を達成することができるので、接着剤、及び接着性樹脂を用いて樹脂フィルムをステンレス箔に被覆することが耐久性の観点から好ましい。さらに、フィラーなどを添加することにより、より線膨張係数を低減させると共に、優れた寸法安定性を達成することができる。この場合、塗料用樹脂のニトロセルロースと顔料の混合物を添加することで絶縁性の低下を抑制しつつ、線膨張係数を低減させて、優れた寸法安定との両立を達成することができた。
線膨張係数の異なる材料の温度変化に伴う熱膨張、熱収縮の差による反りの状態を示す図である。

Claims (6)

  1. ステンレス箔と、前記ステンレス箔の表面に積層したポリエステル樹脂フィルムとを有する磁気シールド板であって、
    前記ポリエステル樹脂フィルムは、
    結晶化度が20%以上、
    線膨張係数αaが−10℃〜70℃の範囲で50ppm/K以下、
    前記ステンレス箔の線膨張係数αbとの差αa−αbが0ppm/K≦αa−αb≦40ppm/Kであり、
    前記ステンレス箔は、フェライト系ステンレス箔、又は、マルテンサイト系ステンレス箔であることを特徴とする磁気シールド板。
  2. 前記ポリエステル樹脂フィルムは、延伸ポリエステル系樹脂フィルムであることを特徴とする請求項1記載の磁気シールド板。
  3. 前記ポリエステル樹脂フィルムに、フィラーが含有されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の磁気シールド板。
  4. 前記ポリエステル樹脂フィルムと前記ステンレス箔との間に、接着成分層を形成したことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の磁気シールド板。
  5. 前記接着成分層に、フィラーが分散していることを特徴とする請求項4記載の磁気シールド板。
  6. 前記接着成分層に、顔料が分散していることを特徴とする請求項4又は5に記載の磁気シールド板。
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