JP2010031702A - エンジンの制御装置 - Google Patents

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知由 小郷
Akitoshi Tomota
晃利 友田
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忍 石山
Tomoyuki Ono
智幸 小野
Koichiro Nakatani
好一郎 中谷
Katsuhiro Ito
勝広 伊藤
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Abstract

【課題】吸気弁や排気弁の最大作用角又は最小作用角に基づいて作用角位置学習をする可変動弁機構を備えるエンジンにおいて、始動性の悪化や失火、ポンプ損失及びエンジン振動の増大を抑制することを課題とする。
【解決手段】エンジンの制御装置1は、吸気弁12及び/又は排気弁13の動作状態を可変とする作用角可変装置10及び開弁位相可変機構58と、この作用角可変装置10の吸気弁12及び/又は排気弁13の最大作用角または最小作用角に基づく作用角位置学習を行うECU50と、を備えている。ECU50がイグニションオン後、エンジン始動前に作用角位置学習を実行することにより、始動性の悪化や失火、ポンプ損失及びエンジン振動の増大を抑制する。
【選択図】図4

Description

本発明は、エンジンの制御装置に関し、特に、吸気弁及び/または排気弁の動作状態を可変とする可変動弁機構を備えるエンジンの制御装置に関する。
エンジンの吸気弁あるいは排気弁の開弁開始時期やリフト量を可変とする可変動弁装置が知られている。このような可変動弁装置を改良したものが特許文献1に開示されている。
特許文献1に開示された可変動弁機構は、カムシャフトの軸方向の位置に応じてノーズの高さ、及びノーズのピーク点の位相が連続的に変化するような三次元カムが備えられたカムシャフトを軸方向に移動させて、吸気弁または排気弁のリフト量を変更する。
この特許文献1の可変動弁機構の制御装置は、可変動弁機構におけるカム位置センサの出力特性のばらつき、或いは、その取り付け位置のばらつき、温度変化等に起因するセンサ特性の変化などの影響によるセンサ出力のオフセット量、及びゲインのずれ量を学習用出力として検知し、補正することにより、吸気弁の動作状態や排気弁の動作状態を適切に制御する。特に、このような学習用出力を検出する基準位置として、アクチュエータの機構的なストッパ位置である最大側変位端位置、或いは、最小側変位端位置を選択することにより、バルブ位置が一義的に特定され、学習用出力値を容易かつ確実に取得する。
特開2003−41977号公報
ところで、このようなセンサ出力の学習において最大側変位端位置、或いは、最小側変位端位置を選択する場合、バルブ作用角が最大、最小のいずれかであるため、バルブ開閉期間が極端に長くなるか極端に短くなる。このようにバルブ開閉期間が極端となる場合、バルブの開閉タイミングによっては、運転状態に適したバルブの動作状態から乖離することがある。特に、ディーゼルエンジンにおいてこのような学習を行う場合、ディーゼルエンジンは混合気を圧縮して着火するため、点火のタイミングで燃焼を制御できるガソリンエンジンでは問題とならない課題が生じる。すなわち、ディーゼルエンジンでは、センサ出力の学習におけるバルブタイミングの取り方次第で、混合気の実圧縮比の低下に起因する始動性の悪化や失火、筒内に残留する排気ガスに起因する始動性の悪化、ポンプ損失、エンジン振動の増大が考えられる。
例えば、このような学習時のバルブタイミングの一例を図15、図16、図17を用いて説明する。図15(a)は、吸気弁において、最大側変位端位置、すなわち、最大作用角に基づいて学習を実施する場合のバルブ開弁期間を示し、図15(b)は、その場合の筒内圧とシリンダ容積の関係を示している。図15(a)、(b)に示すように、吸気弁において、最大作用角に基づいて学習を実施する場合、圧縮行程の途中までバルブが開弁しているため筒内圧が上昇せず、実圧縮比が低下し、失火につながることが想定される。
また、図16(a)は、吸気弁において、最小側変位端位置、すなわち、最小作用角に基づいて学習を実施する場合のバルブ開弁期間を示し、図16(b)は、その場合の筒内圧とシリンダ容積との関係を示している。図16(a)、(b)に示すように、吸気弁において、最小作用角に基づいて学習を実施する場合、吸気行程途中でバルブを閉弁するため筒内圧が低下し、実圧縮比が低下する。これにより、失火につながることが想定される。
また、図17(a)は、排気弁において、最小側変位端位置、すなわち、最小作用角に基づいて学習を実施する場合のバルブ開弁期間を示し、図17(b)は、その場合の筒内圧とシリンダ容積との関係を示している。図17(a)、(b)に示すように、排気弁において、最小作用角に基づいて学習を実施する場合、排気行程途中までバルブを閉弁するため筒内に排気が残り、排気ガスが再圧縮されることにより、ポンプ損失が増加し、エンジン振動が増大することが想定される。このように、ディーゼルエンジンでは、センサ出力の学習に起因する始動性の悪化や失火、ポンプ損失、エンジン振動の増大が考えられる。
そこで、本発明は、吸気弁や排気弁の作用角位置学習をする可変動弁機構を備えるエンジンにおいて、始動性の悪化や失火、ポンプ損失及びエンジン振動の増大を抑制することを課題とする。
かかる課題を解決する本発明のエンジンの制御装置は、吸気弁及び/又は排気弁の動作状態を可変とする可変動弁機構と、当該可変動弁機構の吸気弁及び/又は排気弁の作用角位置学習を行う制御手段と、を備え、当該制御手段は、イグニションオン後、エンジン始動前に作用角位置学習を実行することを特徴とする(請求項1)。このような構成とすることにより、作用角位置学習が燃料の燃焼に関与しないで行われるため、始動性の悪化、失火、ポンプ損失及びエンジン振動の増大を抑制することができる。このようなエンジン始動の判断基準として、例えば、クランキングの開始、または燃料噴射の開始を選択することができる。
作用角位置学習は、最大作用角、または、最小作用角とした状態で実行することができる。しかしながら、このような最大作用角、または、最小作用角とした状態で作用角位置学習を実行した後のバルブ開弁状態は、燃料の着火を開始するのに適した状態ではないことがある。そこで、このようなエンジンの制御装置において、前記制御手段は、作用角位置学習実行後、前記可変動弁機構の吸気弁の作用角を実圧縮比が所定値以上となる目標作用角に設定した後に、燃料噴射を開始することができる(請求項2)。これにより、燃料の着火性が良好となり、高い始動性を確保することができる。燃料は、所定値以上の実圧縮比であれば着火する。この所定値は、シリンダ容積及び燃焼室容積に基づく機械的圧縮比、及び燃料を噴射するインジェクタや燃温を上昇させるグローの性能などのエンジン仕様に基づいて決定される値である。また、このように、燃焼が正常に行われるため、失火によるTHC(Total HydroCarbons)排出、白煙の排出を回避することができる。
また、最大作用角、または、最小作用角とした状態で作用角位置学習を実行した後のそのままのバルブリフト特性は、ユーザにとって、快適なドライビングを実現する状態に合致しているとは限らない。特に、排気行程において筒内に排気ガスが残存してしまうと、ピストンが圧縮仕事をすることとなり、エンジンの振動が生じる。この際、ユーザは不快と感じる。そこで、このようなエンジンの制御装置において、前記制御手段は、作用角位置学習実行後、前記可変動弁機構の排気弁の作用角を、エンジン振動が所定値以下となる目標作用角に設定した後に、燃料噴射を開始することができる(請求項3)。ここでの所定値は、ユーザが不快に感じないと判断される際のエンジンの振動に基づき、予め決定された閾値である。本発明のような構成とすることにより、エンジンの振動を抑制し、ユーザの不快感を抑制することができる。
また、排気行程において筒内に排気ガスが残存してしまうと、エンジンのポンプ損失が生じる。これにより、クランキング時に筒内の圧力に打ち勝ってクランク軸を回転させることが必要となる。そこで、このようなエンジンの制御装置において、前記制御手段は、作用角位置学習実行後、前記可変動弁機構の排気弁の作用角を、エンジンのポンプ損失が所定値以下となる目標作用角に設定した後に、燃料噴射を開始することができる(請求項4)。ここでの所定値は、スタータの能力を考慮して決定することができる。本発明のような構成とすることにより、エンジンのポンプ損失を抑制することができる。この結果、クランキングに余裕を持たせることができる。
また、本発明のエンジンの制御装置は、吸気弁及び/又は排気弁の動作状態を可変とする可変動弁機構と、当該可変動弁機構の吸気弁及び/又は排気弁の作用角位置学習を行う制御手段と、を備え、当該制御手段は、イグニションオフの信号に基づいて、作用角位置学習を実行する構成とすることもできる(請求項5)。このような構成とすることにより、作用角位置学習が燃料の燃焼に関与しないで行われるため、始動性の悪化や失火、ポンプ損失及びエンジン振動の増大を抑制することができる。
このようなエンジンの制御装置において、前記制御手段は、作用角位置学習実行後、前記可変動弁機構の吸気弁の作用角を実圧縮比が所定値以上となる目標作用角に設定することができる(請求項6)。これにより、次回のエンジン始動時の燃料の着火を可能とし、エンジンの良好な始動性を確保し、始動時間を短縮することができる。この所定値は、シリンダ容積及び燃焼室容積に基づく機械的圧縮比、及び燃料を噴射するインジェクタや燃温を上昇させるグローの性能などのエンジン仕様に基づいて決定される値である。また、このように、燃焼が正常に行われるため、失火によるTHC排出、白煙の排出を回避することができる。
このようなエンジンの制御装置において、前記制御手段は、作用角位置学習実行後、前記可変動弁機構の排気弁の作用角を、エンジン振動が所定値以下となる目標作用角に設定することができる(請求項7)。ここでの所定値は、ユーザが不快に感じないと判断される際のエンジンの振動に基づき、予め決定された閾値である。本発明のような構成とすることにより、次回のエンジン始動時において、エンジンの振動を抑制し、ユーザの不快感を抑制することができる。
このようなエンジンの制御装置において、前記制御手段は、作用角位置学習実行後、前記可変動弁機構の排気弁の作用角を、エンジンのポンプ損失が所定値以下となる目標作用角に設定することができる(請求項8)。ここでの所定値は、スタータの能力に基づき、クランキングが可能なポンプ損失の値である。本発明のような構成とすることにより、次回のエンジン始動時において、エンジンのポンプ損失を抑制し、良好にエンジンを始動することができる。
このようなエンジンの制御装置において、前記制御手段は、吸気弁の最大作用角に基づく作用角位置学習を進角した状態で行うことができる(請求項9)。また、このようなエンジンの制御装置において、前記制御手段は、排気弁の最小作用角に基づく作用角位置学習を進角した状態で行うことができる(請求項10)。このような構成とすることにより、燃料の着火可能な実圧縮比が確保できる。これにより、エンジンの始動性が確保できる。また、失火によるTHC排出や白煙の排出を回避することができる。さらに、エンジンのポンプ損失を抑制し、振動増大を抑制することができる。
さらに、このようなエンジンの制御装置において、車両停止中にエンジンを停止するアイドルストップ制御手段を備え、前記制御手段は、前記アイドルストップ制御手段によりエンジンが停止する際に吸気弁の作用角を最小にすることができる(請求項11)。このような構成とすることにより、アイドルストップのエンジン停止時に、エンジンの圧縮仕事を低減し、振動を極力抑制することができる。
また、このようなアイドルストップ制御手段を備えたエンジンの制御装置において、前記可変動弁機構は、電動駆動手段により駆動され、前記制御手段は、前記アイドルストップ制御手段によりエンジンが停止している間に、吸気弁の最大作用角に基づく作用角位置学習を行うことができる(請求項12)。このような構成とすることにより、エンジン停止中に作用角位置学習が行われるため、始動性の悪化や失火、ポンプ損失及びエンジン振動の増大を抑制することができる。さらに、再びエンジンが始動する場合に、クランキングの圧縮仕事を低減させて、エンジンの回転上昇を円滑にすることができる。
また、このようなアイドルストップ制御手段を備えたエンジンの制御装置において、車両停止中にエンジンを停止するアイドルストップ制御手段を備え、前記可変動弁機構は、電動駆動手段により駆動され、前記制御手段は、前記アイドルストップ制御手段により停止したエンジンが始動するまでに、吸気弁作用角を着火可能な実圧縮比となる作用角に設定することができる(請求項13)。このような構成とすることにより、アイドルストップ状態からのエンジン始動時における噴射燃料の着火を確実に行うことができる。
また、本発明のエンジンの制御装置において、車両停止中にエンジンを停止するアイドルストップ制御手段を備え、前記制御手段は、前記アイドルストップ制御手段によりエンジンが停止している場合に、作用角位置学習を回避することができる(請求項14)。このような構成とすることにより、可変動弁機構が最大作用角又は最小作用角に基づく学習状態から着火可能な作用角に復帰するまでの時間が不要となり、極力短時間での始動が求められるアイドルストップ状態からのエンジン始動に時間がかからない。
本発明は、作用角位置学習の実施する時期を燃料の燃焼に関与しない時期としたことにより、エンジンの始動性の悪化や失火、ポンプ損失及びエンジン振動の増大を抑制することができる。
以下、本発明を実施するための最良の形態を図面と共に詳細に説明する。
本発明の一実施形態である制御装置1は、ディーゼルエンジンにおいて、吸気弁、排気弁それぞれの動作状態を可変とする可変動弁機構と、この可変動弁機構を制御する制御手段を備えている。可変動弁機構は、吸気弁12及び排気弁13の作用角、すなわち、開弁期間を変更する作用角可変装置10と吸気弁12及び排気弁13の開弁タイミングを変更する開弁位相可変機構58とを備えている。
図1は、制御装置1の構成を示すブロック図である。本実施形態の制御装置1は、作用角可変装置10と、この作用角可変装置10の作動を制御するECU(Electronic Control Unit)50とを有している。このECU50は後述する作用角位置学習を行う。ECU50には、作用角可変装置10の制御軸16を回転駆動するサーボモータ52と、制御軸16の回転角度を検出する制御軸回転角度センサ53と、エンジンのクランク角を検出するクランク角センサ54とが電気的に接続されている。
また、本実施形態のシステムは、作用角可変装置10の駆動カム14が設けられたカム軸56の位相を連続的に可変とする公知の開弁位相可変機構58と、カム軸56の回転位置を検出するカム角センサ60とを備えている。開弁位相可変機構58は、吸気弁12及び排気弁13のバルブタイミングを進角したり遅角したりすることができる。
次に、作用角可変装置10について説明する。図2は本発明の制御装置1に組み込まれる作用角可変装置10を示した説明図である。以下、図2に示す作用角可変装置10は、エンジンの吸気弁12を駆動するものとして説明する。なお、排気弁13を駆動する可変動弁装置10も同様の構成であり、ここでは、吸気弁12を駆動するもののみ説明する。
作用角可変装置10は、エンジンのクランク軸により回転駆動されるカム軸に設けられた駆動カム14と、カム軸と平行に配置された制御軸16とを有している。
また、作用角可変装置10は、制御軸16を所定角度範囲内で回転させることのできる制御軸駆動機構(図示しない)を有している。この制御軸駆動機構の構成は、制御軸16の一端側に固定されたウォームホイール(図示しない)と、このウォームホイールに噛み合うウォームギヤ(図示しない)と、このウォームギヤを回転駆動するサーボモータ(図示しない)とで構成することができる。この場合、そのサーボモータの回転方向および回転量を制御することにより、制御軸16の回転位置(回転角度)を制御することができる。
さらに、作用角可変装置10は、揺動アーム18を有している。揺動アーム18は、制御軸16を中心として揺動可能に設置されている。揺動アーム18には、駆動カム14に対向する側に、スライダー面20が形成されている。
揺動アーム18と駆動カム14との間には、スライダーローラ22が配置されている。スライダーローラ22は、第1ローラ22aと、この第1ローラ22aより小径の第2ローラ22bとを有している。第1ローラ22aは、駆動カム14の周面と接触しており、第2ローラ22bは、揺動アーム18と接触している。第1ローラ22aおよび第2ローラ22bは、同軸上に配置され、互いに独立して回転可能になっている。
スライダーローラ22は、支持アーム24の先端部に支持されている。図2中では隠れていて表れていないが、制御軸16には図2中で下方向に突出した制御アームが設けられており、この制御アームの先端部に支持アーム24の基端部が回動可能に連結されている。これにより、制御軸16を回転させることで、スライダーローラ22を移動させることができる。すなわち、図2に示す状態から制御軸16を時計回りに回転させると、スライダーローラ22は、上記制御アームおよび支持アーム24に引っ張られて、揺動アーム18の揺動中心26、すなわち、制御軸16の中心に近づく。また、スライダーローラ22が揺動中心26に近い位置にある状態から制御軸16を反時計回りに回転させると、スライダーローラ22は、揺動中心26から遠ざかる。図2は、スライダーローラ22の位置
を揺動中心26から最も遠ざけた状態を示している。
さらに、スライダーローラ22の移動範囲を限定するストッパ23a、23bが備えられている。スライダーローラ22は、揺動中心26から最も遠ざかった位置にあるとき、ストッパ23aに接触する。一方、スライダーローラ22は、揺動中心26から最も近づいた位置にあるとき、ストッパ23bに接触する。このようなストッパ23a、23bの配置位置は、吸気弁12のリフト量の変動範囲に応じて決定されている。
スライダー面20は、揺動アーム18の先端側から揺動中心26側に行くほど、駆動カム14の中心との間隔が徐々に狭まるような曲面(例えば円弧面)をなしている。
揺動アーム18の、スライダー面20と反対側には、揺動カム面28が形成されている。揺動カム面28は、揺動アーム18の揺動中心26からの距離が一定となるように形成された非作用面(基礎円部)28aと、この非作用面28aから続いて設けられ、揺動中心26からの距離が次第に大きくなるように形成された作用面28bとで構成されている。本実施形態では、作用面28bは、作用面中心30を中心とする円弧面で構成されているものとするが、作用面28bは円弧面でなくてもよい。
このような揺動アーム18は、ロストモーションスプリング(図示しない)により、図2中の反時計回りに付勢されている。この付勢力により、揺動アーム18はスライダーローラ22に押し当てられており、また、スライダーローラ22は駆動カム14に押し当てられている。
さらに、作用角可変装置10は、吸気弁12の弁軸をリフト方向へ押圧するロッカーアーム32を備えている。ロッカーアーム32は、図2中で揺動アーム18の下方に配置されている。ロッカーアーム32には、揺動カム面28に対向するようにロッカーローラ34が設けられている。ロッカーローラ34は、ロッカーアーム32の中間部に回転自在に取り付けられている。ロッカーアーム32の一端は、吸気弁12の弁軸端に当接されており、ロッカーアーム32の他端は、油圧式ラッシュアジャスタ36に支持されている。吸気弁12は、バルブスプリング(図示しない)によって、閉方向、すなわち、ロッカーアーム32を押し上げる方向に付勢されている。ロッカーローラ34は、この付勢力と油圧式ラッシュアジャスタ36とによって、揺動アーム18の揺動カム面28に押し当てられている。
このような作用角可変装置10では、駆動カム14が回転すると、駆動カム14のカムリフトがスライダーローラ22を介して揺動アーム18に伝達することにより、揺動アーム18が揺動する。
図2に示す状態から、制御軸16を時計回りに回転させると、スライダーローラ22が揺動中心26に近づく方向に移動する。これにより、スライダーローラ22の第2ローラ22bがスライダー面20と接触する状態となる。この状態では、駆動カム14が回転することで揺動アーム18が揺動するのに伴って、吸気弁12が開閉動作する。この状態を以下「弁駆動状態」という。
弁駆動状態において、駆動カム14がリフトしていないとき、すなわち駆動カム14の基礎円部が第1ローラ22aと接触しているときには、ロッカーローラ34は揺動カム面28の非作用面28aと接触している。これにより、吸気弁12は閉じている。そして、駆動カム14がリフトし始め、揺動アーム18が図2中の時計周りに揺動し始めると、ロッカーローラ34と揺動カム面28との接触点(以下、「ロッカーローラ接触点」と称する。)は、非作用面28aから作用面28bへ移行する。ロッカーローラ接触点が作用面28bに移行すると、ロッカーアーム32が押し下げられ、吸気弁12が開弁する。
以下に説明するように、この作用角可変装置10では、弁駆動状態において、制御軸16を回転させてスライダーローラ22を移動させることにより、吸気弁12の作用角及び最大リフト量(以下、両者を単に「作用角」と称する。)を連続的に変化させることができる。
初めに、スライダーローラ22が揺動中心26に最も近い位置、すなわち、ストッパ23bに接触しているとする。このときには、駆動カム14のカムリフトが揺動中心26に近い位置において揺動アーム18に伝達されることになるので、揺動アーム18の揺動範囲(振れ幅)が大きくなる。このため、吸気弁12の作用角は、大きくなる。また、前述したように、揺動中心26に近いほど、スライダー面20と駆動カム14の中心との距離は小さい。よって、駆動カム14がリフトしていないときの揺動アーム18の位置は、スライダーローラ22が揺動中心26に近づくほど、図2中の時計回り側に移動する。このようなことから、揺動アーム18が揺動開始した後、ロッカーローラ接触点が非作用面28bに移行するまで、つまり吸気弁12がリフトし始めるまでに要する揺動アーム18の回転量は、スライダーローラ22が揺動中心26に近いほど小さくなる。このことからも、吸気弁12の作用角は大きくなる。このようにスライダーローラ22が揺動中心26に最も近い位置、すなわち、ストッパ23bに接触している場合、吸気弁12のリフト量が最大となり、最大作用角となる。
逆に、スライダーローラ22が揺動中心26から遠い位置、すなわち、ストッパ23aに接触しているとすると、駆動カム14のカムリフトは、揺動中心26から遠い位置において揺動アーム18に伝達されることになる。このため、揺動アーム18の揺動範囲(振れ幅)が小さくなる。また、揺動アーム18が揺動開始した後、ロッカーローラ接触点が非作用面28bに移行するまでに要する揺動アーム18の回転量は、スライダーローラ22が揺動中心26から遠いほど、大きくなる。これらにより、スライダーローラ22が揺動中心26から遠いほど、吸気弁12の作用角は小さくなる。このようにスライダーローラ22が揺動中心26に最も遠い位置、すなわち、ストッパ23aに接触している場合、吸気弁12のリフト量が最小となり、最小作用角となる。
ECU50は、所定のマップに従い、エンジンの運転状態(機関回転速度および機関負荷)に応じて、制御軸16の回転位置を制御することにより、吸気弁12の作用角を制御する。例えば、機関負荷が大きいほど、作用角を大きくし、機関負荷が小さいほど、作用角を小さくする。
図3は、作用角可変装置10の動作により変動する吸気弁12と排気弁13との開弁時間とバルブリフト量の関係を示した説明図である。図3中の実線で示した山が吸気弁12の開弁時間とバルブリフト量を示し、図3中の破線で示した山が排気弁13の開弁時間とバルブリフト量を示している。また、リフトカーブの山が大きくなるほど、バルブリフト量が大きくなり、開弁時間が長くなる。図3中に示すように、吸気弁12は開弁開始時期を一定にし、バルブリフト量を変更する。これにより、閉弁時期を変更し、バルブの開弁時間、すなわち、作用角を変更する。一方、排気弁13は、閉弁時期を一定にするように開弁開始時期とバルブリフト量とを変更し、バルブの開弁時間、作用角を変更する。なお、本実施形態では、開弁位相可変機構58を用いて、吸気弁12の開弁時期を変動させることができ、また、排気弁13の閉弁時期を変更することができるため、図3中の各リフトカーブは、左右に移動しうる。
以下、このような実施の形態における可変動弁機構を備える制御装置1の作用角学習について説明する。作用角位置学習とは、本実施形態の可変動弁機構におけるセンサの出力特性のばらつき、或いは、その取り付け位置のばらつき、温度変化等に起因するセンサ特性の変化などの影響によるセンサ出力のオフセット量、及びゲインのずれ量を学習用出力として検知し、補正する処理のこと、いわゆる、キャリブレーションである。本発明では、機構上の最大作用角、及び最小作用角における制御軸16の位置に基づき作用角位置学習が行われる。また、本発明の制御装置1における作用角及び位相の変動幅は、エミッション、燃費、出力の観点から決定される。
次に、本実施例においてECU50の行う制御フローについて説明する。本実施例の作用角位置学習は、エンジン始動直前に行われる。
まず、吸気弁12の作用角位置学習について説明する。図4は、本実施例においてECU50が処理する制御のフローチャートである。本制御は、エンジン始動前に行われる。まず、ECU50は、ステップS11でイグニションをオンとする。次に、ECU50は、ステップS12で作用角位置学習を開始する。このステップS12の作用角位置学習の処理では、ECU50は、サーボモータ52を駆動し、図2中における揺動アーム18を時計回りに回転させて、スライダーローラ22がストッパ23bに接触する位置へ移動させる。すなわち、吸気弁12が最大作用角となる位置へ制御軸16を回転させる。さらに、ECU50はこのときの制御軸回転角度センサ53により計測される制御軸回転角度を最大作用角時の角度として取得する。ECU50は、この処理後に行われる吸気弁12の作用角の制御を、ここで取得した最大作用角時の角度を基準として行う。ECU50は、ステップS12の処理を終えると、ステップS13へ進む。ECU50は、ステップS13で、燃料噴射を許可する。これにより、エンジンが始動する。ECU50は、ステップS13を処理するとリターンする。
このように作用角位置学習は、燃料噴射の前に行われる。このため、作用角位置学習における吸気弁12の開閉タイミングの変動が燃料の燃焼に影響を与えることはない。従って、始動性の悪化、失火によるTHC、白煙の排出の問題が生じない。
また、本実施例では、吸気弁12の作用角を最大として作用角位置学習を行っているが、吸気弁12の作用角を最小として作用角位置学習を行うこともできる。この場合、ECU50は、サーボモータ52を駆動し、図2中における揺動アーム18を反時計回りに回転させて、スライダーローラ22がストッパ23aに接触する位置へ移動させる。すなわち、吸気弁12が最小作用角となる位置へ制御軸16を回転させる。そして、ECU50は、このときの制御軸回転角度センサ53により計測される制御軸回転角度を最小作用角時の角度として取得する。ECU50は、この処理後に行われる吸気弁12の作用角の制御を、ここで取得した最小作用角時の角度を基準として行う。
さらに、排気弁13の作用角位置学習について説明する。排気弁13の作用角位置学習も図4のフローチャートに従って行われる。排気弁13の作用角位置学習も燃料噴射の前に行われる。このため、筒内に排気ガスが残存することがないので、排気ガスの圧縮によるエンジンのポンプ損失及びエンジン振動の問題は生じない。
次に、本発明のその他の実施例を説明する。本実施例の制御装置のシステム構成は、実施例1と同様であり、その詳細な説明は省略する。以下、本発明の作用角位置学習について説明する。本実施例では、噴射を終了し、エンジン回転数が0となるエンジン停止直前の期間に作用角位置学習が行われる。
ここで、本実施例においてECU50の行う制御フローについて説明する。図5は、本実施例においてECU50が処理する制御のフローチャートである。
本制御は、エンジンが停止するタイミングで行われる。まず、ECU50は、ステップS21でイグニションをオフとする。次に、ECU50は、ステップS22で燃料の噴射を停止する。次に、ECU50は、ステップS23で作用角位置学習を開始する。このステップS23の作用角位置学習の処理では、ECU50は、サーボモータ52を駆動し、図2中における揺動アーム18を時計回りに回転させて、スライダーローラ22がストッパ23bに接触する位置へ移動させる。すなわち、吸気弁12が最大作用角となる位置へ制御軸16を回転させる。さらに、ECU50はこのときの制御軸回転角度センサ53により計測される制御軸回転角度を最大作用角時の角度として取得する。ECU50は、この処理後の次回の運転の際に行われる吸気弁12の作用角の制御を、ここで取得した最大作用角時の角度を基準として行う。ECU50は、ステップS23の処理を終えると、ステップS24へ進む。ECU50は、ステップS24で、エンジンを停止する。ECU50は、ステップS24を処理するとリターンする。
このように作用角位置学習は、燃料噴射を停止した後に行われる。このため、作用角位置学習における吸気弁12の開閉タイミングの変動が燃料の燃焼に影響を与えることはない。したがって、始動性の悪化、失火が問題とならない。また、本実施例において、実施例1同様、最小作用角に基づいて作用角位置学習を行うこともできる。
また、本実施例において、排気弁13の作用角を最大、または、最小として作用角位置学習を行うこともできる。この場合、ECU50は、図5のフローチャートに従って処理を行う。排気弁13の作用角位置学習も燃料噴射の停止後に行われる。したがって、作用角位置学習中に筒内にエンジンのポンプ損失や振動を引き起こすほどの排気ガスが残存していないため、排気ガスの圧縮によるポンプ損失及びエンジン振動の増大が抑制される。
次に、本発明のその他の実施例を説明する。本実施例の制御装置のシステム構成は、実施例1と同様であり、その詳細な説明は省略する。以下、本発明の作用角位置学習について説明する。本実施例では、エンジン始動直前に吸気弁12の作用角位置学習を実行後、吸気弁12の作用角を実圧縮比が所定値以上となる目標作用角とした後に、燃料噴射を開始する。
ここで、本実施例においてECU50の行う制御フローについて説明する。図6は、本実施例においてECU50が処理する制御のフローチャートである。図6中のステップS11、ステップS12の処理は、図4中で示したステップS11、ステップS12と同一の処理であるため、ここでの詳細な説明は省略する。ECU50は、ステップS12の処理を終えると、ステップS1aの処理へ進む。ECU50は、ステップS1aで、吸気弁12の作用角を目標作用角へ変更する。ここで、目標作用角は、実圧縮比が所定値ε0以上となる時の作用角である。この所定値ε0は、燃料の着火を可能とする実圧縮比の値である。この所定値ε0は、シリンダ容積及び燃焼室容積に基づく機械的圧縮比、及び燃料を噴射するインジェクタや燃温を上昇させるグローの性能などのエンジン仕様に基づいて決定される。
図7は、実圧縮比と吸気弁12の閉弁時期との関係を示した説明図である。図7に示すように、実圧縮比は、吸気弁12の閉弁時期がBDCの時点を頂点とする上に凸の放物線を描く。この実圧縮比が所定値ε0以上となるときの吸気バルブの閉弁時期が目標作用角である。
ECU50がステップS1aの処理を終えると、ステップS1bへ進む。ECU50はステップS1bで噴射許可フラグをオンにする。ECU50は、ステップS1bの処理を終えると、ステップS13へ進む。ステップS13の処理は、図4中で示したステップS13と同一の処理であるので、ここでの詳細な説明は省略する。なお、エンジンのクランキングは、ステップS12終了時にステップS1aと並行して行っても良い。
このように吸気弁12の作用角位置学習は、燃料噴射の前に行われる。このため、作用角位置学習における吸気弁12の開閉タイミングの変動が燃料の燃焼に影響を与えることはない。従って、始動性の悪化、失火によるTHC、白煙の排出の問題が生じない。さらに、作用角位置学習終了後に、吸気弁12の作用角を目標作用角へ変更するため、噴射開始後エンジンの良好な始動性を確保し、失火によるTHC、白煙の排出を抑制することができる。
次に、本発明のその他の実施例を説明する。本実施例の制御装置のシステム構成は、実施例1と同様であり、その詳細な説明は省略する。以下、本発明の作用角位置学習について説明する。本実施例では、エンジン始動直前に排気弁13の作用角位置学習を実行後、排気弁13の作用角をエンジン振動が所定値以下となる目標作用角に設定した後に、燃料噴射を開始する。
本実施例においてECU50の行う制御は、実施例3で説明した図6のフローチャートに示した制御フローを用いて行うことができる。但し、吸気弁12と排気弁13との違いから、ステップS1aにおける目標作用角が異なる点で相違する。本実施例の目標作用角は、エンジン振動が所定値ε1以下となる時の作用角である。この所定値ε1は、ユーザが不快に感じないと判断されるエンジンの振動に基づき、予め決定された閾値である。
図8は、エンジンの振動と排気バルブの開弁時期との関係を示した説明図である。図8に示すように、エンジンの振動は、排気バルブの開弁時期がBDCよりも進角側で緩やかに変化し、BDCよりも遅角側で急激に上昇する。このエンジン振動が所定値ε1以下となるときの排気バルブの開弁時期が目標作用角である。
このように作用角位置学習は、燃料噴射の前に行われる。このため、筒内に排気ガスが残存することがないので、排気ガスの圧縮によるエンジンのポンプ損失及びエンジン振動の問題は生じない。さらに、作用角位置学習終了後に、吸気弁12の作用角を目標作用角へ変更するため、燃焼開始後のエンジンのポンプ損失や振動を抑制し、エンジンの始動性を確保するとともに、ユーザへ快適な運転状態を提供することができる。
次に、本発明のその他の実施例を説明する。本実施例の制御装置のシステム構成は、実施例1と同様であり、その詳細な説明は省略する。以下、本発明の作用角位置学習について説明する。本実施例では、エンジン始動直前に排気弁13の作用角位置学習を実行後、排気弁13の作用角を、エンジンのポンプ損失が所定値以下となる目標作用角に設定した後に、燃料噴射を開始する。
本実施例においてECU50の行う制御は、実施例3で説明した図6のフローチャートに示した制御フローを用いて行うことができる。但し、吸気弁12と排気弁13との違いから、ステップS1aにおける目標作用角が異なる点で相違する。本実施例の目標作用角は、ユーザの不快指数が所定値ε2以下となる時の作用角である。この所定値ε2は、スタータの能力を考慮してクランキングが可能なポンプ損失の値である。
図9は、エンジンのポンプ損失と排気バルブの開弁時期との関係を示した説明図である。図9に示すように、エンジンの振動は、排気バルブの開弁時期がBDCよりも進角側で緩やかに変化し、BDCよりも遅角側で急激に上昇する。このエンジンのポンプ損失が所定値ε2以下となるときの排気バルブの開弁時期が目標作用角である。
このように作用角位置学習は、燃料噴射の前に行われる。このため、筒内に排気ガスが残存することがないので、排気ガスの圧縮によるエンジンのポンプ損失及びエンジン振動の問題は生じない。さらに、作用角位置学習終了後に、吸気弁12の作用角を目標作用角へ変更するため、燃焼開始後のエンジンのポンプ損失や振動を抑制し、エンジンの始動性を確保するとともに、ユーザへ快適な運転状態を提供することができる。
さらに、本発明のその他の実施例を説明する。本実施例の制御装置のシステム構成は、実施例1と同様であり、その詳細な説明は省略する。以下、本発明の作用角位置学習について説明する。本実施例では、エンジン停止直前に吸気弁12の作用角位置学習を実行後、吸気弁12の作用角を実圧縮比が所定値以上となる目標作用角とした後に、エンジンの電源をオフとする。
ここで、本実施例においてECU50の行う制御フローについて説明する。図10は、本実施例においてECU50が処理する制御のフローチャートである。図10中のステップS21、ステップS22、ステップS23の処理は、図5中で示したステップS21、ステップS22、ステップS23と同一の処理であるため、ここでの詳細な説明は省略する。
ECU50は、ステップS23の処理を終えると、ステップS2aの処理へ進む。ECU50は、ステップS2aで、吸気弁12の作用角を目標作用角へ変更する。ここで、目標作用角は、実圧縮比が所定値ε0以上となる時の作用角である。この所定値ε0は、実施例3で説明したものと同様であり、ここではその詳細な説明は省略する。
ECU50はステップS2aの処理を終えると、ステップS2bへ進む。ECU50は、ステップS2bでエンジンの電源系をオフとする。この際、次回の運転開始まで、ステップS2aで設定した吸気弁12の作用角を維持するように、揺動アーム18の位置を固定する。
このように、吸気弁12の作用角位置学習は、燃料噴射の停止後に行われる。このため、作用角位置学習における吸気弁12の開閉タイミングの変動が燃料の燃焼に影響を与えることはない。従って、始動性の悪化や失火が問題とならない。さらに、次回の運転開始時に適した作用角でエンジンが始動するため、エンジンの始動性を確保するとともに、失火によるTHC、白煙の排出を抑制することができる。また、本実施例のような構成であれば、吸気弁12の作用角を目標作用角へ変更する間にエンジンが先に停止しても、作用角の変更は電動駆動により可能である。
さらに、本発明のその他の実施例を説明する。本実施例の制御装置のシステム構成は、実施例1と同様であり、その詳細な説明は省略する。以下、本発明の作用角位置学習について説明する。本実施例では、エンジン停止直前に排気弁13の作用角位置学習を実行後、排気弁13の作用角をエンジン振動が所定値以下となる目標作用角に設定した後に、エンジンの電源をオフとする。
本実施例においてECU50の行う制御は、実施例6で説明した図10のフローチャートに示した制御フローを用いて行うことができる。但し、吸気弁12と排気弁13との違いから、ステップS2aにおける目標作用角が異なる点で相違する。本実施例の目標作用角は、エンジン振動が所定値ε1以下となる時の作用角である。この所定値ε1は、ユーザが不快に感じないと判断されるエンジンの振動に基づき、予め決定された閾値である。この所定値ε1は、実施例4で説明したものと同様である。また、次回の運転開始までステップS2aで設定した排気弁13の作用角を維持するように、揺動アーム18の位置を固定している。
このように、排気弁13の作用角位置学習は、燃料噴射の停止後に行われる。したがって、作用角位置学習中に筒内にエンジンのポンプ損失や振動を引き起こすほどの排気ガスが残存していないため、排気ガスの圧縮によるポンプ損失及びエンジン振動の増大が抑制される。さらに、次回の運転開始時に適した作用角でエンジンが始動するため、エンジンの始動性を確保し、ユーザに快適な運転状態を提供することができる。また、本実施例のような構成であれば、排気弁13の作用角を目標作用角へ変更する間にエンジンが先に停止しても、作用角の変更は電動駆動により可能である。
また、本実施例では、目標作用角をエンジン振動が所定値以下となる値に設定することとしたが、目標作用角をエンジンのポンプ損失が所定値以下となる値に設定することもできる。この所定値ε2は、スタータの能力を考慮してクランキングが可能なポンプ損失の値であり、目標作用角は、エンジンのポンプ損失が所定値ε2以下となる時の作用角である。なお、この所定値ε2は、実施例5で説明したものと同様である。
次に、本発明のその他の実施例を説明する。本実施例の制御装置のシステム構成は、実施例1と同様であり、その詳細な説明は省略する。以下、本発明の作用角位置学習について説明する。本実施例では、吸気弁12の作用角位置学習をする場合、ECU50は、吸気弁12の開弁時期を最進角の状態とし、最大作用角に基づく作用角位置学習を実行する。
ECU50は、開弁位相可変機構58により、カム軸56を回転させて、吸気弁12の開弁時期を許容される最も早いタイミング、すなわち、最進角の状態とする。図11(a)は、このような最進角の状態で、吸気弁12の最大作用角に基づいて作用角位置学習を行う場合の吸気弁開弁期間を示した説明図である。一方、図11(b)は、比較例として、進角しない状態で、吸気弁12の最大作用角に基づいて作用角位置学習を行う場合の吸気弁開弁期間を示した説明図である。図11(a)に示すように、本実施例では、吸気カム12の開弁時期をα°進角している。このα°は制御装置1における最大進角度である。このような最大進角度α°はエミッション、燃費、出力の観点から決定された値である。吸気弁12の開弁時期を進角した状態では、進角しない場合と比較して、吸気弁12の閉弁時期が早まり、圧縮行程中の空気流出量が減少し、筒内圧力の低下が抑制されるため、実圧縮比の低下が抑制される。このため、始動性の悪化、失火が抑制される。このような効果は進角することにより得ることができるが、最進角にした場合にその効果が最も現れる。なお、このように最進角の状態であれば、エンジン始動後、燃料噴射が行われている最中に、吸気弁12の最大作用角に基づいて作用角位置学習を行うことができる。但し、燃料噴射停止時に作用角位置学習を行う場合、始動性の悪化や失火を抑制する効果がより有効である。
また、吸気弁12の作用角位置学習をする場合、吸気弁12の開弁時期を遅角した状態で、最大作用角に基づく作用角位置学習をすることを想定すると、吸気弁12の閉弁時期が遅くなり、圧縮行程中の空気流出量が増加するため、筒内圧力が低下し、実圧縮比が低下する。これにより、失火のおそれがある。従って、吸気弁12の開弁時期を遅角した状態で、最大作用角に基づく作用角位置学習は実行しない。
さらに、本発明のその他の実施例を説明する。本実施例の制御装置のシステム構成は、実施例1と同様であり、その詳細な説明は省略する。以下、本発明の作用角位置学習について説明する。本実施例では、排気弁13の作用角位置学習をする場合、ECU50は、排気弁13の開弁時期を最進角の状態とし、最小作用角に基づく作用角位置学習を実行する。
ECU50は、開弁位相可変機構58により、カム軸56を回転させて、排気弁13の開弁時期を許容される最も早いタイミング、すなわち、最進角の状態とすることができる。図12(a)は、このような最進角の状態で、排気弁13の最小作用角に基づいて作用角位置学習を行う場合の排気弁開弁期間を示した説明図である。一方、図12(b)は、進角しない状態で、排気弁13の最小作用角に基づいて作用角位置学習を行う場合の排気弁開弁期間を示した説明図である。図12(a)に示すように、本実施例では、排気カム13の閉弁時期をγ°進角している。なお、閉弁時期をγ°進角させると開弁時期もγ°進角することになる。このγ°は制御装置1における最大進角度である。このような最大進角度γ°はエミッション、燃費、出力の観点から決定された値である。排気弁13の開弁時期を進角した状態では、進角しない場合と比較して、筒内の排気の排出が早期におこなわれるため、筒内の排気の再圧縮が抑制される。これにより、ポンプ損失、エンジン振動が抑制される。このような効果は進角することにより得ることができるが、最進角にした場合にその効果が最も現れる。なお、このように、最進角の状態であれば、エンジン始動後、燃料噴射が行われている最中に、排気弁13の最小作用角に基づいて作用角位置学習を行うこともできる。但し、エンジンのポンプ損失や振動を抑制する効果を得るためには、噴射停止時に作用角学習を行うことが有効である。
さらに、本発明のその他の実施例を説明する。本実施例では、ECU50が車両停止中にエンジンを停止するアイドルストップ制御を行う。さらに、ECU50は、アイドルストップ制御を実行中に作用角位置学習の実行を回避する。本実施例の制御装置のシステム構成は、実施例1と同様である。
ここで、本実施例においてECU50の行う制御フローについて説明する。図13は、本実施例においてECU50が処理する制御のフローチャートである。ECU50はステップS31でアイドルストップ制御実行中であるか否かを判断する。ECU50は、ステップS31でYESと判断する場合、すなわち、アイドルストップ制御実行中と判断する場合、作用角位置学習を行わず、リターンする。
一方、ECU50はステップS31でNOと判断する場合、ステップS12へ進む。ステップS12及び、ステップS12の次の処理であるステップS1aは、上記の実施例において説明したステップS12及びステップS1aと同一の処理である。すなわち、吸気弁12及び/または排気弁13の作用角位置学習を実行し、目標作用角へ変更する。ECU50は、ステップS1aの処理を終えると、ステップS32へ進む。ECU50は、ステップS32でエンジンを始動する。ECU50は、ステップS32の処理を終えると、リターンする。
以上のように、ECU50は、アイドルストップ制御実行中に、作用角位置学習を停止する。作用角位置学習を実行すると、学習完了まで適切な運転ができず、作用角を最適な状態へ復帰させるまでに時間を要する。本実施例では、アイドルストップ制御時に、エンジン停止前と同様の状態で作用角を維持するため、始動の悪化や、復帰までの時間がかからない。これにより、アイドルストップ制御時においても、極力早い始動を実現する。特に、ディーゼルエンジンでは、その燃焼形態の違いにより、ガソリンエンジンよりも始動性の悪化が顕著に現れるため、アイドルストップ制御時の早期始動が有効である。
さらに、本発明のその他の実施例を説明する。本実施例では、ECU50が車両停止中にエンジンを停止するアイドルストップ制御を行う。さらに、ECU50は、アイドルストップ制御の実行時に吸気弁12の作用角位置学習を実行する。本実施例の制御装置のシステム構成は、実施例1と同様である。以下、本実施例の制御フローについて説明する。図14は、本実施例においてECU50が処理する制御のフローチャートである。
ECU50は、ステップS41でアイドルストップ制御の要求により燃料の噴射を停止する。次に、ECU50は、ステップS42で吸気弁12の作用角を最小化する。ステップS42で吸気弁12の作用角を最小化した後、ECU50は、ステップS43でエンジンを停止する。ステップS42で吸気弁12の作用角を最小化したことにより、筒内圧力が低下し、エンジンの圧縮仕事が低下する。このため、エンジンの振動が小さくなる。また、この処理の際、燃料の噴射は停止されているので、THC、白煙は発生しない。ECU50は、ステップS43の処理を終えると、ステップS44へ進む。
ECU50は、ステップS44で吸気弁12の作用角を最大化し、作用角位置学習を実行する。このような処理により、吸気弁12の開弁時間が長く、筒内の密閉時間が減少するため、次回の始動時における筒内の圧縮仕事を低下することができる。ECU50は、ステップS44の処理を終えると、ステップS45へ進む。ECU50はステップS45でクランキングを行い、エンジンを始動する。ステップS44で吸気弁12の作用角が最大化しているため、ステップS45におけるクランキング時の仕事量を小さくすることができる。ECU50はステップS45の処理を終えると、ステップS46へ進む。
ECU50はステップS46で吸気弁12の作用角を目標作用角へ変更する。この処理により、吸気弁12の作用角が、燃料の着火の可能な実圧縮比となる作用角へ変更される。これにより、燃料の着火が可能となる。ECU50はステップS46の処理を終えるとステップS47へ進む。ECU50は、ステップS47で燃料の噴射を開始する。これによりエンジンが再始動する。
このような処理により、アイドルストップ制御実行時に、エンジンが停止する際の振動が抑制され、再始動時のスタータの仕事を低下することができるとともに、作用角位置学習が行われる。また、始動性の悪化を抑制することができる。
上記実施例は本発明を実施するための例にすぎず、本発明はこれらに限定されるものではなく、これらの実施例を種々変形することは本発明の範囲内であり、さらに本発明の範囲内において、他の様々な実施例が可能であることは上記記載から自明である。
例えば、本発明の実施の形態では、作用角可変装置10によりバルブのリフト量を変更していたが、この作用角可変装置10に代えて、カムシャフトの軸方向の位置に応じてノーズの高さ、及びノーズのピーク点の位相が連続的に変化するような三次元カムが備えられたカムシャフトを軸方向に移動させて、吸気弁または排気弁のリフト量を変更する可変動弁機構としても良い。図18は、このような可変動弁機構を示した説明図である。この場合、カムシャフトの軸方向の機構上の移動可能範囲に基づいて、最大作用角及び最小作用角の位置学習を行うことができる。また、可変動弁機構は、実施可能な範囲で機械的な制御により駆動されることもできる。
本発明の実施形態の制御装置のシステム構成を示すブロック図である。 本発明の制御装置に組み込まれる作用角可変装置を示した説明図である。 作用角可変装置の動作により変動する吸気弁と排気弁との開弁時間とバルブリフト量の関係を示した説明図である。 実施例1においてECUが処理する制御のフローチャートである。 実施例2においてECUが処理する制御のフローチャートである。 実施例3においてECUが処理する制御のフローチャートである。 実圧縮比と吸気バルブの閉弁時期との関係を示した説明図である。 エンジン振動と排気バルブの開弁時期との関係を示した説明図である。 エンジンのポンプ損失と排気バルブの開弁時期との関係を示した説明図である。 実施例6においてECUが処理する制御のフローチャートである。 (a)は、最進角の状態で、吸気弁の最大作用角に基づいて作用角位置学習を行う場合のバルブ開閉時期を示し、(b)は、進角しない状態で、吸気弁の最大作用角に基づいて作用角位置学習を行う場合のバルブ開閉時期を示した説明図である。 (a)は、最進角の状態で、排気弁の最小作用角に基づいて作用角位置学習を行う場合のバルブ開閉時期を示し、(b)は、進角しない状態で、排気弁の最小作用角に基づいて作用角位置学習を行う場合のバルブ開閉時期を示した説明図である。 実施例10においてECUが処理する制御のフローチャートである。 実施例11においてECUが処理する制御のフローチャートである。 (a)は、吸気弁において、最大作用角に基づいて学習を実施する場合のバルブ開弁期間を示し、(b)は、その場合の筒内圧とシリンダ容積の関係を示した説明図である。 (a)は、吸気弁において、最小作用角に基づいて学習を実施する場合のバルブ開弁期間を示し、(b)は、その場合の筒内圧とシリンダ容積との関係を示した説明図である。 (a)は、排気弁において、最小作用角に基づいて学習を実施する場合のバルブ開弁期間を示し、(b)は、その場合の筒内圧とシリンダ容積との関係を示した説明図である。 カムシャフトの軸方向の位置を変えて、吸気弁または排気弁のリフト量を変更する可変動弁機構を示した説明図である。
符号の説明
1 制御装置
10 作用角可変装置
12 吸気弁
13 排気弁
14 駆動カム
16 制御軸
18 揺動アーム
20 スライダー面
22 スライダーローラ
22a 第1ローラ
22b 第2ローラ
23a ストッパ
23b ストッパ
24 支持アーム
26 揺動中心
28 揺動カム面
28a 非作用面
28b 作用面
30 作用面中心
32 ロッカーアーム
34 ロッカーローラ
36 油圧式ラッシュアジャスタ
42 ロッカーローラ中心
50 ECU
52 サーボモータ
53 制御軸回転角度センサ
54 クランク角センサ
56 カム軸
58 開弁位相可変機構
60 カム角センサ

Claims (14)

  1. 吸気弁及び/又は排気弁の動作状態を可変とする可変動弁機構と、
    当該可変動弁機構の吸気弁及び/又は排気弁の作用角位置学習を行う制御手段と、
    を備え、
    当該制御手段は、イグニションオン後、エンジン始動前に作用角位置学習を実行することを特徴とするエンジンの制御装置。
  2. 請求項1記載のエンジンの制御装置において、
    前記制御手段は、作用角位置学習実行後、前記可変動弁機構の吸気弁の作用角を実圧縮比が所定値以上となる目標作用角に設定した後に、燃料噴射を開始することを特徴とするエンジンの制御装置。
  3. 請求項1または2記載のエンジンの制御装置において、
    前記制御手段は、作用角位置学習実行後、前記可変動弁機構の排気弁の作用角を、エンジン振動が所定値以下となる目標作用角に設定した後に、燃料噴射を開始することを特徴とするエンジンの制御装置。
  4. 請求項1または2記載のエンジンの制御装置において、
    前記制御手段は、作用角位置学習実行後、前記可変動弁機構の排気弁の作用角を、エンジンのポンプ損失が所定値以下となる目標作用角に設定した後に、燃料噴射を開始することを特徴とするエンジンの制御装置。
  5. 吸気弁及び/又は排気弁の動作状態を可変とする可変動弁機構と、
    当該可変動弁機構の吸気弁及び/又は排気弁の作用角位置学習を行う制御手段と、
    を備え、
    当該制御手段は、イグニションオフの信号に基づいて、作用角位置学習を実行することを特徴とするエンジンの制御装置。
  6. 請求項5記載のエンジンの制御装置において、
    前記制御手段は、作用角位置学習実行後、前記可変動弁機構の吸気弁の作用角を実圧縮比が所定値以上となる目標作用角に設定することを特徴としたエンジンの制御装置。
  7. 請求項5または6記載のエンジンの制御装置において、
    前記制御手段は、作用角位置学習実行後、前記可変動弁機構の排気弁の作用角を、エンジン振動が所定値以下となる目標作用角に設定することを特徴としたエンジンの制御装置。
  8. 請求項5または6記載のエンジンの制御装置において、
    前記制御手段は、作用角位置学習実行後、前記可変動弁機構の排気弁の作用角を、エンジンのポンプ損失が所定値以下となる目標作用角に設定することを特徴としたエンジンの制御装置。
  9. 請求項1乃至8のいずれか一項記載のエンジンの制御装置において、
    前記制御手段は、吸気弁の最大作用角に基づく作用角位置学習を進角した状態で行うことを特徴とするエンジンの制御装置。
  10. 請求項1乃至9のいずれか一項記載のエンジンの制御装置において、
    前記制御手段は、排気弁の最小作用角に基づく作用角位置学習を進角した状態で行うことを特徴とするエンジンの制御装置。
  11. 請求項1乃至10のいずれか一項記載のエンジンの制御装置において、
    車両停止中にエンジンを停止するアイドルストップ制御手段を備え、
    前記制御手段は、前記アイドルストップ制御手段によりエンジンが停止する際に吸気弁の作用角を最小にすることを特徴とするエンジンの制御装置。
  12. 請求項1乃至11のいずれか一項記載のエンジンの制御装置において、
    車両停止中にエンジンを停止するアイドルストップ制御手段を備え、
    前記可変動弁機構は、電動駆動手段により駆動され、
    前記制御手段は、前記アイドルストップ制御手段によりエンジンが停止している間に、吸気弁の最大作用角に基づく作用角位置学習を行うことを特徴とするエンジンの制御装置。
  13. 請求項1乃至12のいずれか一項記載のエンジンの制御装置において、
    車両停止中にエンジンを停止するアイドルストップ制御手段を備え、
    前記可変動弁機構は、電動駆動手段により駆動され、
    前記制御手段は、前記アイドルストップ制御手段により停止したエンジンが始動するまでに、吸気弁作用角を着火可能な実圧縮比となる作用角に設定することを特徴としたエンジンの制御装置。
  14. 請求項1乃至10のいずれか一項記載のエンジンの制御装置において、
    車両停止中にエンジンを停止するアイドルストップ制御手段を備え、
    前記制御手段は、前記アイドルストップ制御手段によりエンジンが停止している場合に、作用角位置学習を停止することを特徴とするエンジンの制御装置。
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