しかしながら、特許文献1に記載のサーマルプリントヘッドでは、保護層の前駆体であるガラスペーストが流動性を有しており、個別電極パターン(上述の「制御配線」に相当)が当該ガラスペーストに覆われてしまい、駆動IC(上述の「制御素子)に相当)と電気的に接続することができなくなってしまう場合がある。一方、個別電極パターンが覆われる可能性を小さくすべく、ガラスペーストの量を減らすと、個別電極パターンが露出し、個別電極パターンを良好に保護できなくなってしまう場合がある。そこで、ガラスペーストの量を所定の範囲に調節する必要がある。
このような技術課題を有する中で、印画像の画素密度を高めるべくサーマルヘッドの発熱素子の離間距離を小さくすると、これに応じて制御配線間の離間距離も小さくなることとなり、制御配線間で生じる毛細管現象により保護材の前駆体が制御素子側に延びやすくなってしまう。そのため、保護材の前駆体の塗布量の調整範囲が狭くなってきており、制御配線を保護材で良好に被覆するのが難しくなってきている。このような調整範囲の狭まりは、発熱素子の高密度化に限るものではなく、発熱素子と制御素子との離間距離が短くなることによっても生じうる。
本発明は、このような事情のもとで考え出されたものであって、制御配線を保護材によって良好に被覆することが可能な記録ヘッドおよびこれを備える記録装置を提供することを目的とする。
本発明の第1の形態に係る記録ヘッドは、基板と、該基板上に主走査方向に沿って配列されている複数の発熱素子と、副走査方向において前記複数の発熱素子と離間して前記基板上に配置されている制御素子と、前記複数の発熱素子と前記制御素子に設けられた複数の端子とを電気的に接続する複数の制御配線とを有しており、前記複数の制御配線が、前記複数の発熱素子側に位置する第1の配線領域と、該第1の配線領域より前記制御素子側に位置する第2の配線領域とを有し、前記第1の配線領域における前記複数の制御配線間の前記主走査方向に沿う離間距離が、前記発熱素子側から前記制御素子側に向かって短くなっており、前記第2の配線領域における前記複数の制御配線間の前記主走査方向に沿う離間距離が、前記発熱素子側から前記制御素子側に向かって長くなっており、前記第1の配線領域と前記第2の配線領域との境界における前記複数の制御配線間の前記主走査方向に沿う離間距離が、前記複数の発熱素子間の前記主走査方向に沿う離間距離および前記制御素子の前記複数の端子間の離間距離に比べて短く、少なくとも前記第1の配線領域における前記複数の制御配線および当該複数の制御配線間の間隙が、流動性を有する前駆体を固めて形成された保護材により覆われていることを特徴としている。
本発明の第2の形態に係る記録ヘッドは、基板と、該基板上に主走査方向に沿って配列されている複数の発熱素子と、副走査方向において前記複数の発熱素子と離間して前記基板上に配置されている制御素子と、前記複数の発熱素子と前記制御素子に設けられた複数の端子とを電気的に接続する複数の制御配線とを有しており、前記複数の制御配線が、前記複数の発熱素子側に位置する第1の配線領域と、該第1の配線領域より前記制御素子側に位置する第2の配線領域と、前記第1の配線領域および前記第2の配線領域の間に位置する第3の配線領域とを有し、前記第1の配線領域における前記複数の制御配線間の前記主走査方向に沿う離間距離が、前記発熱素子側から前記制御素子側に向かって短くなっており、前記第2の配線領域における前記複数の制御配線間の前記主走査方向に沿う離間距離が、前記発熱素子側から前記制御素子側に向かって長くなっており、前記第3の配線領域における前記複数の制御配線間の前記主走査方向に沿う離間距離が、前記複数の発熱素子間の前記主走査方向に沿う離間距離および前記制御素子の前記複数の端子間の離間距離に比べて短く、かつ前記第1の配線領域側から前記第2の配線領域側に渡って略同一であり、少なくとも前記第1の配線領域における前記複数の制御配線および当該複数の制御配線間の間隙が、流動性を有する前駆体を固めて形成された保護材により覆われていることを特徴としている。
本発明の記録ヘッドにおいて、前記第1の配線領域における前記複数の制御配線のうち最も外側に位置する制御配線間の前記主走査方向に沿う幅は、前記発熱素子側から前記制御素子側に向かって短くなっているのが好ましい。この記録ヘッドにおいて、前記第1の配線領域における前記複数の制御配線の各々の前記主走査方向に沿う幅は、前記発熱素子側から前記制御素子側に向かって短くなっているのがより好ましい。
本発明の記録ヘッドにおいて、前記第2の配線領域における前記複数の制御配線のうち最も外側に位置する制御配線間の前記主走査方向に沿う幅は、前記発熱素子側から前記制御素子側に向かって長くなっているのが好ましい。
本発明の記録ヘッドにおいて、前記制御素子の前記主走査方向に沿った長さは、当該制御素子が制御する前記複数の発熱素子の配置領域の前記主走査方向に沿った幅に比べて長いのが好ましい。
本発明の記録ヘッドにおいて、前記制御素子は、流動性を有する前駆体を固めて形成された第2の保護材により覆われており、該第2の保護材の周端部は、前記保護材上に位置しているのが好ましい。
本発明の記録装置は、本発明の記録ヘッドと、記録媒体を搬送する搬送機構とを備えることを特徴としている。
本発明の記録装置は、前記制御素子が流動性を有する前駆体を固めて形成された第2の保護材により覆われている本発明の記録ヘッドと、記録媒体を搬送する搬送機構とを備えており、前記搬送機構が、前記記録媒体を前記第2の保護材に摺動させて搬送するように構成されていることを特徴としている。
本発明の第1の形態に係る記録ヘッドは、基板と、該基板上に主走査方向に沿って配列されている複数の発熱素子と、副走査方向において複数の発熱素子と離間して基板上に配置されている制御素子と、複数の発熱素子と制御素子に設けられた複数の端子とを電気的に接続する複数の制御配線とを有しており、複数の制御配線が、複数の発熱素子側に位置する第1の配線領域を有し、第1の配線領域における複数の制御配線間の主走査方向に沿う離間距離が、発熱素子側から制御素子側に向かって短くなっている。そのため、本発明の第1の形態に係る記録ヘッドでは、流動性を有する保護材の前駆体を第1の配線領域に塗布した場合に、第1の配線領域において各制御配線間の主走査方向に沿った離間距離が発熱素子側から制御素子側に向かって短くなっているのに起因して、毛細管現象を生じさせて、保護材の前駆体を第1の配線領域に行き渡らせることができ、第1の配線領域を保護材によって良好に被覆することができる。これにより、本発明の第1の形態に係る記録ヘッドでは、例えば保護材の前駆体の塗布量が所望の量より少なくなった場合でも、第1の配線領域に保護材を良好に被覆することができる。
また、本発明の第1の形態に係る記録ヘッドでは、複数の制御配線が、第1の配線領域より制御素子側に位置する第2の配線領域を有しており、第2の配線領域における複数の制御配線間の主走査方向に沿う離間距離が、発熱素子側から制御素子側に向かって長くなっており、第1の配線領域と第2の配線領域との境界における複数の制御配線間の主走査方向に沿う離間距離が、複数の発熱素子間の主走査方向に沿う離間距離および制御素子の複数の端子間の離間距離に比べて短い。そのため、本発明の第1の形態に係る記録ヘッドでは、第2の配線領域における各制御配線間の主走査方向に沿った離間距離が発熱素子側から制御素子側に向かって長くなっているのに起因して、第1の配線領域から第2の配線領域に伸びようとする保護材の前駆体に表面張力が良好に作用し、当該前駆体が第2の配線領域における制御素子側の端部まで延びようとするのを低減することができる。これにより、本発明の第1の形態に係る記録ヘッドでは、例えば保護材の前駆体の塗布量が所望の量より多くなった場合でも、第2の配線領域における制御素子側の端部まで当該前駆体によって被覆されるのを良好に低減することができる。
したがって、本発明の第1の形態に係る記録ヘッドでは、制御配線を保護材によって良好に被覆することができる。
本発明の第2の形態に係る記録ヘッドは、基板と、該基板上に主走査方向に沿って配列されている複数の発熱素子と、副走査方向において複数の発熱素子と離間して基板上に配置されている制御素子と、複数の発熱素子と制御素子に設けられた複数の端子とを電気的に接続する複数の制御配線とを有しており、複数の制御配線が、複数の発熱素子側に位置する第1の配線領域を有し、第1の配線領域における複数の制御配線間の主走査方向に沿う離間距離が、発熱素子側から制御素子側に向かって短くなっている。そのため、本発明の第2の形態に係る記録ヘッドでは、流動性を有する保護材の前駆体を第1の配線領域に塗布した場合に、第1の配線領域において各制御配線間の主走査方向に沿った離間距離が発熱素子側から制御素子側に向かって短くなっているのに起因して、毛細管現象を生じさせて、保護材の前駆体を第1の配線領域に行き渡らせることができ、第1の配線領域を保護材によって良好に被覆することができる。これにより、本発明の第2の形態に係る記録ヘッドでは、例えば保護材の前駆体の塗布量が所望の量より少なくなった場合でも、第1の配線領域に保護材を良好に被覆することができる。
また、本発明の第2の形態に係る記録ヘッドでは、複数の制御配線が、第1の配線領域より制御素子側に位置する第2の配線領域を有しており、第2の配線領域における複数の制御配線間の主走査方向に沿う離間距離が、発熱素子側から制御素子側に向かって長くなっている。そのため、本発明の第2の形態に係る記録ヘッドでは、第2の配線領域における各制御配線間の主走査方向に沿った離間距離が発熱素子側から制御素子側に向かって長くなっているのに起因して、第1の配線領域から第2の配線領域に伸びようとする保護材の前駆体に表面張力が良好に作用し、当該前駆体が第2の配線領域における制御素子側の端部まで延びようとするのを低減することができる。これにより、本発明の第1の形態に係る記録ヘッドでは、例えば保護材の前駆体の塗布量が所望の量より多くなった場合でも、第2の配線領域における制御素子側の端部まで当該前駆体によって被覆されるのを良好に低減することができる。
さらに、本発明の第2の形態に係る記録ヘッドでは、第3の配線領域における複数の制御配線間の主走査方向に沿う離間距離が、複数の発熱素子間の主走査方向に沿う離間距離および制御素子の複数の端子の離間距離に比べて短く、かつ第1の配線領域側から第2の配線領域側に渡って略同一であるのに起因して、第1の配線領域から第2の配線領域に伸びようとする保護材の前駆体に表面張力が良好に作用し、当該前駆体が第2の配線領域に延びるのを低減することができる。
したがって、本発明の第2の形態に係る記録ヘッドでは、制御配線を保護材によって良好に被覆することができる。
本発明の記録ヘッドにおいて、第1の配線領域における複数の制御配線のうち最も外側に位置する制御配線間の主走査方向に沿う幅が、発熱素子側から制御素子側に向かって短くなっている場合、保護材の前駆体の量が少ない場合でも、当該前駆体が被覆する面積を小さくすることで、当該前駆体を第2の配線領域側に導き、第1の配線領域を良好に被覆することができる。この記録ヘッドにおいて、第1の配線領域における複数の制御配線の各々の主走査方向に沿う幅が、発熱素子側から制御素子側に向かって短くなっている場合、各制御配線間に位置する複数の保護材の前駆体間の離間距離を小さくすることができる。そのため、この記録ヘッドでは、複数の制御配線が長く延びる場合でも制御配線の上面を保護材によって良好に被覆することができる。
本発明の記録ヘッドにおいて、第2の配線領域における複数の制御配線のうち最も外側に位置する制御配線間の主走査方向に沿う幅が、発熱素子側から制御素子側に向かって長くなっている場合、保護材の前駆体の量が多い場合でも、当該前駆体が被覆する面積を大きくすることで、当該前駆体に対して表面張力を良好に作用させ、第2の配線領域に当該前駆体が被覆されるのを低減することができる。
本発明の記録ヘッドでは、制御素子の主走査方向に沿った長さが当該制御素子の制御する複数の発熱素子の配置領域の主走査方向に沿った幅に比べて長い場合でも、第1の配線領域における各制御配線間の主走査方向に沿った離間距離が制御素子側から発熱素子側に向かって長くなっているのに起因して、保護材の前駆体に対して表面張力を良好に作用させ、発熱素子に当該前駆体が被覆されるのをより低減することができる。
本発明の記録ヘッドにおいて、制御素子が、流動性を有する前駆体を固めて形成された第2の保護材により覆われており、該第2の保護材の周端部が、保護材上に位置している場合、流動性を有する第2の保護材の前駆体が第2の配線領域に塗布された場合に、第2の配線領域における各制御配線間の主走査方向に沿った離間距離が制御素子側から発熱素子側に向かって短くなっているのに起因して、毛細管現象を生じさせ、第2の保護材の前駆体を第1の配線領域に良好に伸ばすことができ、第2の配線領域に当該第2の保護材を良好に被覆することができる。
本発明の記録装置は、本発明の記録ヘッドと、記録媒体を搬送する搬送機構とを備える。そのため、本発明の記録装置では、上述した記録ヘッドの有する効果を享受することができる。したがって、本発明の記録装置では、記録ヘッドの制御配線が保護材によって良好に被覆されることにより、外雰囲気中による影響を低減し、長期に渡り安定的に駆動することができる。
本発明の記録装置は、制御素子が流動性を有する前駆体を固めて形成された保護材により覆われている上述した記録ヘッドと、記録媒体を搬送する搬送機構とを備えており、搬送機構が、記録媒体を第2の保護材に摺動させて搬送するように構成されている。そのため、本発明の記録装置では、第2の保護膜で被覆される領域を良好に調整し、記録媒体のガイドとして良好に機能させることができる。
<記録ヘッドの第1の実施形態>
図1は、本発明の記録ヘッドの第1の実施形態の一例であるサーマルヘッドX1の概略構成を示す平面図である。
図2は、図1に示したサーマルヘッドX1の要部を拡大するとともに一部構成を省略した平面図である。
図3は、図1に示したサーマルヘッドX1の要部を拡大した平面図である。
図4は、図3のIV−IV線に沿った断面図である。
サーマルヘッドX1は、基板10と、蓄熱層20と、電気抵抗層30と、導電層40と、保護層50と、制御素子としての制御IC60とを含んで構成されている。
基板10は、蓄熱層20と、電気抵抗層30と、導電層40と、保護層50と、制御IC60とを支持する機能を有するものである。この基板10は、平面視において主走査方向(矢印方向D1,D2)に延びる矩形状に構成されている。この基板10を形成する材料としては、例えばセラミック基板と、ガラス基板と、シリコン基板と、サファイア基板とが挙げられる。これらの材料の中でも、印画の高密度化の観点から、ガラス基板と、シリコン基板と、サファイア基板とが好ましい。さらに、印画の高速化の観点から、サファイア基板が好ましく、印画の低消費電力化の観点からガラス基板がより好ましい。
蓄熱層20は、電気抵抗層30の後述する発熱素子Hにおいて発生する熱の一部を一時的に蓄積する機能を有するものである。すなわち、蓄熱層20は、発熱素子Hの温度を上昇させるのに要する時間を短くして、サーマルヘッドX1の熱応答特性を高める役割を担うものである。この蓄熱層20は、基板10上の全面に渡ってに位置している。また、この蓄熱層20は、主走査方向(矢印方向D1,D2)に直交する副走査方向(矢印方向D3,D4)における断面形状が略半楕円状に構成されている突出部を有している。
電気抵抗層30は、発熱素子Hとして機能する部位を有するものである。この電気抵抗層30は、単位長さ当たりの電気抵抗値が導電層40の単位長さ当たりの電気抵抗値に比べて大きくなるように構成されている。この電気抵抗層30は、一部が蓄熱層20上に位置している。本実施形態では、導電層40から電圧が印加される電気抵抗層30のうち導体層40が上に形成されていない部位が発熱素子Hとして機能している。この電気抵抗層30を主として形成する材料としては、例えばTaN系材料と、TaSiO系材料と、TaSiNO系材料と、TiSiO系材料と、TiSiCO系材料と、NbSiO系材料とが挙げられる。
発熱素子Hは、電圧印加により発熱するものである。この発熱素子Hは、導電層40からの電圧印加による発熱温度が例えば200[℃]以上550[℃]以下の範囲となるように構成されている。この発熱素子Hは、蓄熱層20の上方に位置しており、主走査方向(矢印方向D1,D2)に沿って略同一の離間距離dHで配列されている。また、この発熱素子Hは、各々が平面視矩形状に構成されている。加えて、発熱素子Hは、各々の矢印方向D1,D2に沿う平面視幅WH(矢印方向D1,D2における長さ)の寸法が略同一となるように構成されている。また、発熱素子Hは、各々の矢印方向D3,D4に沿う平面視長LH(矢印方向D3,D4における長さ)の寸法が略同一となるように構成されている。ここで、「略同一」とは、一般的な製造誤差範囲内のものが含まれ、例えば各部位の寸法の平均値に対する誤差が10[%]以内の範囲が挙げられる。ここで、「平面視」とは、矢印D6方向視のことをいう。ここで、一つの発熱素子Hの中心と該発熱素子Hに隣接する他の発熱素子Hの中心との離間距離の値としては、例えば5.2[μm]以上84.7[μm]以下の範囲が挙げられる。
導電層40は、発熱素子Hに対して電圧を印加する機能を有するものである。この導電層40は、電気抵抗層30上に位置している。また、この導電層40は、第1導電層41と、第2導電層42とを含んで構成されている。導電層40を主として形成する材料としては、例えばアルミニウム、金、銀、および銅のいずれか一種の金属、またはこれらの合金が挙げられる。
第1導電層41は、第1配線部411と、第2配線部412と、第3配線部413と、第4配線部414とを含んで構成されている。この第1導電層41は、矢印D6方向に位置する抵抗体層30と併せて制御配線として機能している。
第1配線部411は、その一端部が発熱素子Hの矢印D4方向側の一端部に対して接続されている。第1配線部411は、その矢印方向D1,D2に沿った平面視幅W1の寸法が互いに略同一である。また、第1配線部411は、その矢印方向D1,D2に沿った互いの離間距離d1が発熱素子Hの離間距離dHと略同一に構成されている。
第2配線部412は、その一端が第1配線部411の他端に接続されている。この第2配線部412は、その矢印方向D1,D2に沿った平面視幅W2の寸法が発熱素子H側から制御IC60側に(矢印D4方向に)向かうにつれて短くなるように構成されており、第1配線部411の平面視幅W1の寸法より短い。また、第2配線部412は、その矢印方向D1,D2に沿った互いの離間距離d2が矢印D4方向に向かうにつれて短くなるように構成されている。さらに、この複数の第2配線部412うち、一つの制御IC60に電気的に接続される第2配線部412の第2形成領域f2は、矢印方向D1,D2に沿った長さWf2が矢印D4方向に向かうにつれて短くなるように構成されており、当該第2配線部412に接続される第1配線部411の第1形成領域f1の矢印方向D1,D2に沿った長さWf1に比べて短い。
第3配線部413は、その一端が第2配線部412の他端に接続されている。この第3配線部413は、その矢印方向D1,D2に沿った平面視幅W3の寸法が矢印D4方向に向かうにつれて長くなるように構成されている。また、第3配線部413は、その矢印方向D1,D2に沿った互いの離間距離d3が矢印D4方向に向かうにつれて長くなるように構成されている。さらに、この複数の第3配線部413うち、一つの制御IC60に電気的に接続される第3配線部413の形成領域f3は、矢印方向D1,D2に沿った長さWf3が矢印D4方向に向かうにつれて長くなるように構成されており、一部の長さWf3が第1形成領域f1の長さWf1に比べて短くなるように構成されている。
第4配線部414は、その一端が第3配線部413の他端に対して接続されており、発熱素子Hに電気的に接続されている。また、第4配線部414は、その他端部が制御IC60に対して接続されている。本実施形態の第4配線部414は、矢印方向D1,D2に沿った平面視幅W4の寸法が第1配線部411の平面視幅W1の寸法に比べて短い。また、第4配線部414は、その矢印方向D1,D2に沿った互いの離間距離d4が制御IC60の後述する接続端子60aの離間距離と略同一である。さらに、この複数の第4配線部414うち、一つの制御IC60に電気的に接続される第4配線部414の第4形成領域f4は、矢印方向D1,D2に沿った長さWf4が第3配線部413の第3形成領域f3の長さWf3に比べて長くなるように構成されており、一部の長さWf4が第2形成領域f2の長さWf2に比べて長くなるように構成されている。
第2導電層42は、その端部が複数の発熱素子Hの他端、および図示しない電源に対して接続されている。この第2導電層42は、発熱素子Hの矢印D3方向側に位置している。
保護層50は、第1保護層51と、第2保護層52と、第3保護層53とを含んで構成されている。なお、図2において、保護層50は省略されている。
第1保護層51は、発熱素子Hと、導電層40の一部とを保護する機能を有するものである。第1保護層51は、発熱素子Hと、導電層40の一部とを覆うように構成されている。第1保護層51を主として形成する材料としては、例えばダイヤモンドライクカーボン材料と、SiC系材料と、SiN系材料と、SiCN系材料と、SiON系材料と、SiONC系材料と、SiAlON系材料と、SiO2系材料と、Ta2O5系材料と、TaSiO系材料と、TiC系材料と、TiN系材料と、TiO2系材料と、TiB2系材料と、AlC系材料と、AlN系材料と、Al2O3系材料と、ZnO系材料と、B4C系材料と、BN系材料とが挙げられる。ここで「ダイヤモンドライクカーボン材料」とは、sp3混成軌道をとる炭素原子(C原子)の割合が1[原子%]以上100[原子%]未満の範囲である膜をいう。また、ここで「〜系材料を主とする材料」とは、主とする材料が全体に対して50[wt%]以上であるものをいい、例えば添加物を含んでいてもよい。
第2保護層52は、第2配線部412の一部を保護する機能を有するものである。第2保護層52は、第1配線部411の一部と、第2配線部412とを覆うように構成されている。第2保護層52を形成する材料としては、例えばエポキシ系樹脂、シリコーン系樹脂、およびフッ素系樹脂などの熱硬化型または紫外線硬化型などの樹脂が挙げられる。本実施形態における第2保護層52は、第1保護層51の形成後に、第1配線部411上に流動性を有する第2保護層52の前駆体を塗布し、当該前駆体を硬化することによって形成される。この第2保護層52は、第3配線部413の矢印D4方向側の端部を含む領域を覆っておらず、第3配線部413の一部が露出している。この第2保護層52を形成する際に、発熱素子の中央間の離間距離dHの値が21.2[μm]以下になると、複数の第1導電層41の間隙上に延びている当該第2保護層52の前駆体に作用する毛細管現象による力が、離間距離dHに反して大きくなるのに起因して、当該前駆体を良好に伸ばすことができる。反面、毛細管現象による作用力が大きくなることで、第2保護層52の前駆体の塗布量の調整範囲が小さくなる。本発明は、このように毛細管現象による作用力が大きくなる場合において、より顕著な効果が生じる。
第3保護層53は、第1導電層41の第3配線部413および第4配線部414と、制御IC60とを保護する機能を有するものである。第3保護層53は、第3配線部413と、第4配線部414と、制御IC60とを覆うように構成されている。第3保護層53を形成する材料としては、例えばエポキシ系樹脂やシリコーン系樹脂などの熱硬化型または紫外線硬化型などの樹脂が挙げられる。本実施形態における第3保護層53は、第2保護層52の形成後に、制御IC60上に流動性を有する第3保護層53の前駆体を塗布し、当該前駆体を硬化することによって形成される。
制御IC60は、複数の発熱素子Hの発熱を制御する機能を有するものである。この制御IC60は、副走査方向(矢印方向D3,D4)において、発熱素子Hと離間している。この制御IC60は、接続端子60aを有しており、この接続端子60aを介して、複数の第1導電層41の第4配線部414の他端部と、第3導電層61の一端部とに接続されている。このような構成とすることにより、発熱素子Hを選択的に発熱させることができる。また、この制御IC60には、第3導電層61と外部接続用部材62とが電気的に接続されている。なお、図2および図3において、制御ICは省略されている。
第3導電層61は、その一端において制御IC60に接続されている。この第3導電層61は、第1導電層41と離間して配置されている。第3導電層61を主として形成する材料としては、例えばアルミニウム、金、銀、および銅のいずれか一種の金属、またはこれらの合金が挙げられる。
外部接続用部材62は、発熱素子Hを駆動するための電気信号を供給する機能を有するものである。この外部接続用部材62としては、例えばフレキシブルケーブルおよびコネクタの組み合わせが挙げられる。この外部接続用部材62は、第3導電層61を介して制御IC60に対して電気的に接続されている。
サーマルヘッドX1は、基板10と、基板10上に主走査方向(矢印方向D1,D2)に沿って配列される複数の発熱素子Hと、副走査方向(矢印方向D3,D4)において複数の発熱素子Hと離間して基板10上に配置される制御IC60と、複数の発熱素子Hと制御IC60に設けられた複数の端子60aとを電気的に接続する複数の第1導電層41とを有しており、複数の第1導電層41が、複数の発熱素子H側に位置する第2形成領域f2を有し、第2形成領域f2における複数の第2配線部412間の矢印方向D1,D2に沿う離間距離d2が、発熱素子H側から制御IC60側(矢印D4方向)に向かって短くなっている。そのため、サーマルヘッドX1では、流動性を有する第2保護層52の前駆体を第2形成領域f2に塗布した場合に、第2形成領域f2において各第2配線部412間の矢印方向D1,D2に沿った離間距離d2が矢印D4方向に向かって短くなっているのに起因して、毛細管現象が生じさせて、第2保護層52の前駆体を第2形成領域f2に行き渡らせることができ、第2形成領域f2を第2保護層52によって良好に被覆することができる。これにより、サーマルヘッドX1では、例えば第2保護層52の前駆体の塗布量が所望の量より少なくなった場合でも、第2形成領域f2に第2保護層5を良好に被覆することができる。
また、サーマルヘッドX1では、複数の第1導電層41が、第2形成領域f2より制御IC60側(矢印D4方向)に位置する第3形成領域f3を有しており、第3形成領域f3における複数の第3配線部413間の主走査方向(矢印方向D1,D2)に沿う離間距離d4が、発熱素子H側から制御IC60側(矢印D4方向)に向かって長くなっており、第2形成領域f2と第3形成領域f3との境界における複数の第1導電層41間の矢印方向D1,D2に沿う離間距離が、複数の発熱素子H間の矢印方向D1,D2に沿う離間距離dHおよび制御IC60の複数の端子60a間の離間距離に比べて短い。そのため、サーマルヘッドX1では、第3形成領域f3における各第3配線部413間の矢印方向D1,D2に沿った離間距離d3が矢印D4方向に向かって長くなっているのに起因して、第2形成領域f2から第3形成領域f3に伸びようとする第2保護層52の前駆体に表面張力が良好に作用し、当該前駆体が第3形成領域f3における制御素子側の端部まで延びようとするのを低減することができる。これにより、サーマルヘッドX1では、例えば第2保護層52の前駆体の塗布量が所望の量より多くなった場合でも、第3形成領域f3における制御IC60側の端部まで当該前駆体によって被覆されるのを良好に低減することができる。
したがって、サーマルヘッドX1では、第1導電層41の第2配線部412を第2保護層52によって良好に被覆することができる。
サーマルヘッドX1において、第2形成領域f2における複数の第2配線部412のうち最も外側に位置する第2配線部412間の矢印方向D1,D2に沿う平面視幅Wf2が、矢印D4方向に向かって短くなっているので、第2保護層52の前駆体の量が少ない場合でも、第2保護層52の前駆体が被覆する面積を小さくすることで、第2保護層52の前駆体を第3形成領域f3側に導き、第2形成領域f2を良好に被覆することができる。
サーマルヘッドX1において、第2形成領域f2における複数の第2配線部412の各々の矢印方向D1,D2に沿う平面視幅W2が、矢印D4方向に向かって短くなっているので、各第2配線部412間に位置する複数の第2保護層52の前駆体間の離間距離を小さくすることができる。そのため、サーマルヘッドX1では、複数の第2配線部412が長く延びる場合でも第2配線部412の上面を第2保護層52によって良好に被覆することができる。
サーマルヘッドX1において、第3配置領域f3における複数の第3配線部413のうち最も外側に位置する第3配線部413間の矢印方向D1,D2に沿う平面視幅Wf3が、矢印D4方向に向かって長くなっているので、第2保護層52の前駆体の量が多い場合でも、第2保護層52の前駆体が被覆する面積を大きくすることで、第2保護層52の前駆体に対して表面張力を良好に作用させ、第3配置領域f3に第2保護層52の前駆体が被覆されるのを低減することができる。
サーマルヘッドX1において、制御IC60が、流動性を有する前駆体を固めて形成された第3保護層53により覆われており、該第3保護層53の周端部が、第2保護層52上に位置しているので、流動性を有する第3保護層53の前駆体が第4形成領域f4に塗布された場合に、複数の第4配線部414間の矢印方向D1,D2に沿った離間距離d4が矢印D3方向に向かって短くなっていくのに起因して、毛細管現象を生じさせ、第3形成領域f3に当該第3保護層53を良好に被覆することができる。
<記録ヘッドの第2の実施形態>
図5は、本発明の記録ヘッドの第2の実施形態の一例であるサーマルヘッドX2の概略構成を示す平面図である。
図6は、図1に示したサーマルヘッドX2の保護層50を省略した要部を拡大した平面図である。
サーマルヘッドX2は、第1導電層41に代えて第1導電層41Aとした点において、サーマルヘッドX1と異なる。サーマルヘッドX2の他の構成については、サーマルヘッドX1に関して上述したのと同様である。
第1導電層41Aは、第5配線部415を有する点において、第1導電層41と異なる。第1導電層41Aの他の構成については、第1導電層41に関して上述したのと同様である。
第5配線部415は、その一端が第2配線部412の他端に対して接続され、その他端が第3配線部413の他端に対して接続されている。この第5配線部415は、その矢印方向D1,D2に沿った平面視幅W5の寸法が矢印方向D3,D4に渡って略同一である。また、第5配線部415は、その矢印方向D1,D2に沿った互いの離間距離d5が矢印方向D3,D4に渡って略同一になるように構成されている。さらに、この複数の第5配線部415うち、一つの制御IC60に電気的に接続される第5配線部415の形成領域f5は、矢印方向D3,D4に渡って略同一になるように構成されている。
サーマルヘッドX2は、第1導電層41Aが第2形成領域f2と第3形成領域f3との間に位置する第5形成領域f5を有しており、第5形成領域f5における複数の第5配線部415間の矢印方向D1,D2に沿う離間距離df5が、複数の発熱素子H間の離間距離dHおよび制御ICの複数の端子60aの離間距離に比べて短く、かつ各々の主矢印方向D1,D2に沿う離間距離W5が第2形成領域f2から第3形成領域f3に渡って略同一である。そのため、サーマルヘッドX2では、第2形成領域f2から第3形成領域f3に伸びようとする第2保護層52の前駆体に表面張力を良好に作用させ、当該前駆体が第3形成領域f3に延びるのを低減することができる。これにより、サーマルヘッドX2では、第2保護層52の前駆体の塗布量の調整範囲を大きくすることができる。
したがって、サーマルヘッドX2では、第1導電層41Aを第2保護層52によってより良好に被覆することができる。
<記録装置>
図7は、本発明の記録媒体の実施形態の一例であるサーマルプリンタYの概略構成を示す図である。
サーマルプリンタYは、サーマルヘッドXと、搬送機構70と、制御機構80とを有している。
搬送機構70は、記録媒体Pを矢印D3方向に搬送しつつ、該記録媒体PをサーマルヘッドXの発熱素子Hに接触させる機能を有するものである。この搬送機構70は、プラテンローラ71と、搬送ローラ72,73,74,75とを含んで構成されている。この搬送機構70は、記録媒体Pを第3保護層53に摺動して搬送するように構成されている。
プラテンローラ71は、記録媒体Pを発熱素子Hに押し付ける機能を有するものである。このプラテンローラ71は、発熱素子H上に位置する保護層50に接触した状態で回転可能に支持されている。このプラテンローラ71は、円柱状の基体の外表面を弾性部材により被覆した構成を有している。この基体は、例えばステンレスなどの金属により形成されており、この弾性部材は、例えば厚みの寸法が3[mm]以上15[mm]以下の範囲ブタジエンゴムにより形成されている。
搬送ローラ72,73,74,75は、記録媒体Pを搬送する機能を有するものである。すなわち、搬送ローラ72,73,74,75は、サーマルヘッドXの発熱素子Hとプラテンローラ71との間に記録媒体Pを供給するとともに、サーマルヘッドXの発熱素子Hとプラテンローラ71との間から記録媒体Pを引き抜く役割を担うものである。これらの搬送ローラ72,73,74,75は、例えば金属製の円柱状部材により形成してもよいし、例えばプラテンローラ71と同様に円柱状の基体の外表面を弾性部材により被覆した構成であってもよい。
制御機構80は、制御IC60に画像情報を供給する機能を有するものである。つまり、制御機構80は、外部接続用部材62を介して発熱素子Hを選択的に駆動する画像情報を制御IC60に供給する役割を担うものである。
サーマルプリンタYは、サーマルヘッドXを備えることを特徴としている。そのため、サーマルプリンタYは、サーマルヘッドXの有する効果を享受することができる。したがって、サーマルプリンタYは、サーマルヘッドXの第1導電層41が第2保護層52によって良好に被覆されることにより、外雰囲気中による影響を低減し、長期に渡り安定的に駆動することができる。
サーマルプリンタYは、制御IC60が流動性を有する前駆体を固めて形成された第3保護層53により覆われているサーマルヘッドXと、記録媒体Pを搬送する搬送機構70とを備えており、搬送機構70が、記録媒体Pを第3保護層53に摺動させて搬送するように構成されている。そのため、サーマルプリンタYでは、第3保護層53で被覆される領域を良好に調整し、記録媒体Pのガイドとして良好に機能させることができる。
以上、本発明の具体的な実施形態を示したが、本発明はこれに限定されるものではなく、発明の要旨から逸脱しない範囲内で種々の変更が可能である。
本実施形態では、記録ヘッドの一例としてサーマルヘッドXを記載したが、本発明はサーマルヘッドに限るものでない。本発明の構成を例えばインクジェットヘッドまたはLEDヘッドに採用した場合でも、同様の効果を奏することができる。
本実施形態の第1導電層41は、図2に示した構成に限られるものではなく、例えば図6に示す構成であってもよい。図8に示したように1つの駆動IC60に接続される複数の発熱素子Hの形成領域fHの矢印方向D1,D2に沿った長さWfHが、駆動IC60の接地領域f60の矢印方向D1,D2に沿った長さW60に比べて小さくなるようなサーマルヘッドX3では、第2保護層52の前駆体に毛細管現象が生じやすなり、第2保護層52の前駆体の塗布量の調整範囲が狭くなる。このサーマルヘッドX3は、このような場合でも第1導電層41を第2保護層52の前駆体で良好に被覆することができる。
本実施形態の第1導電層41は、第1配線部411および第4配線部414を含んで構成されているが、このような構成に限るものでなく、例えば第1導電層41が第2配線部412および第3配線部413のみからなる構成とされていてもよい。
本実施形態の第2導電層42では、3つ以上の発熱素子Hに接続されているが、このような構造に限るものでなく、例えば図9に示したように第2導電層42Bが2つの発熱素子に接続されるように構成されていてもよい。
本実施形態の第1保護層51は、第2保護層52と別体として構成されているが、このような構成に限るものでなく、第1保護層51と第2保護層52とが一体的に構成されていてもよい。