JP2010077379A - ポリカーボネート樹脂組成物、成形体の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】耐衝撃性及び剛性のバランスに優れ、しかも耐加水分解性に優れるポリカーボネート樹脂組成物を提供する。
【解決手段】本発明のポリカーボネート樹脂組成物は、ポリカーボネート樹脂(A)50〜99質量%及び無機充填剤(B)1〜50質量%からなるマトリクス樹脂成分100質量部に対して、グラフト共重合体(C)0.5〜30質量部を含有し、グラフト共重合体(C)は、ポリオルガノシロキサン及びポリアルキル(メタ)アクリレートを含有する質量平均粒子径が120nm以下の複合ゴム(r)の存在下で、芳香族ビニル単量体(a)、シアン化ビニル単量体(b)及びアルキル(メタ)アクリレート(c)のいずれか1種以上を含む単量体成分(g)を重合して得られるものである。
【選択図】なし

Description

本発明は、耐衝撃性、剛性、耐加水分解性に優れたポリカーボネート樹脂組成物に関する。また、その樹脂組成物を成形して成形体を得る成形体の製造方法に関する。
近年、OA機器、IT機器、あるいは家電機器等のハウジング用途においては、各機器の軽量化、コンパクト化が進み、これによりハウジング部材の薄肉化が求められている。そのため、ハウジング部材用の樹脂材料には高い剛性が求められている。また、電気電子機器の集積密度が高くなっているため、機器内部の温度は高くなる傾向にあり、ハウジング部材用の樹脂材料に耐熱性が求められている。
このようなことから、ハウジング部材用の樹脂材料としてはポリカーボネート樹脂が広く使用されているが、より高い剛性及び耐熱性が求められている。
ポリカーボネート樹脂を高剛性化及び高耐熱化する方法として、無機充填剤を添加する方法が知られている。しかしながら、無機充填剤を添加すると、耐衝撃性が低下する傾向にあるため、耐衝撃強度改質剤を併用することが多い。
例えば、特許文献1では、ポリカーボネート樹脂とそのオリゴマー、ガラス繊維、耐衝撃強度改質剤からなる樹脂組成物が提案されている。また、特許文献2では、ポリカーボネート樹脂、耐衝撃強度改質剤、PTFE含有粉体、充填剤からなる樹脂組成物が提案されている。しかしながら、特許文献1及び2で提案されている樹脂組成物では、耐衝撃性は改善されるものの剛性が不足するため、成形体の薄肉化に充分に対応できないという問題を有していた。
また、ポリカーボネート樹脂は加水分解を起こしやすいという欠点を有しており、その対策が求められているが、いずれの特許文献でも、そのことについては言及されていない。
特開平9−12858号公報 特開2004−10823号公報
本発明は、耐衝撃性及び剛性のバランスに優れ、しかも耐加水分解性に優れるポリカーボネート樹脂組成物、成形体の製造方法を提供することを目的とする。
本発明は、以下の構成を有する。
[1] ポリカーボネート樹脂(A)50〜99質量%及び無機充填剤(B)1〜50質量%からなるマトリクス樹脂成分100質量部に対して、グラフト共重合体(C)0.5〜30質量部を含有し、
グラフト共重合体(C)は、ポリオルガノシロキサン及びポリアルキル(メタ)アクリレートを含有する質量平均粒子径が120nm以下の複合ゴム(r)の存在下で、芳香族ビニル単量体(a)、シアン化ビニル単量体(b)及びアルキル(メタ)アクリレート(c)のいずれか1種以上を含む単量体成分(g)を重合して得られるものであるポリカーボネート樹脂組成物。
[2] 前記複合ゴム(r)と前記単量体成分(g)との質量比(r/g)が10〜60/40〜90(但し、(r)と(g)の合計を100とする)である、[1]に記載のポリカーボネート樹脂組成物。
[3] [1]または[2]に記載のポリカーボネート樹脂組成物を成形して、成形体を製造する方法。
本発明のポリカーボネート樹脂組成物及び成形体の製造方法によれば、耐衝撃性及び剛性のバランスに優れ、しかも耐加水分解性に優れる成形体を得ることができる。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明のポリカーボネート樹脂組成物は、ポリカーボネート樹脂(A)及び無機充填剤(B)からなるマトリクス樹脂成分と、グラフト共重合体(C)とを含有する。
ポリカーボネート樹脂(A)としては、耐衝撃性及び剛性が高いことから、芳香族ポリカーボネート樹脂が好ましい。
芳香族ポリカーボネート樹脂は、通常、2価フェノールとカーボネート前駆体とを溶液法又は溶融法で反応させて得られるものである。
2価フェノールとしては、例えば、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(ビスフェノールA)、ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)プロパン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルフォンが挙げられる。これらの中では、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(ビスフェノールA)が好ましい。2価フェノールは1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
カーボネート前駆体としては、カルボニルハイドライド、炭酸ジエステル、ハロホルメート等が挙げられ、具体的には、ホスゲン、ジフェニルカーボネート、2価フェノールのジハロホルメートや、これらの混合物が使用できる。
カーボネート前駆体としてホスゲンを使用する場合には、通常、酸結合剤及び溶媒の存在下で反応を行なう。
酸結合剤としては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属水酸化物又はピリジン等のアミン化合物が用いられる。
溶媒としては、例えば、塩化メチレン、クロロベンゼン等のハロゲン化炭化水素が用いられる。
また、反応促進のために、例えば、第三級アミン又は第四級アンモニウム塩等の触媒を用いることもできる。この場合、反応温度は0〜40℃で、反応時間は数分〜5時間であることが好ましい。
カーボネート前駆体として炭酸ジエステルを用い、エステル交換反応で芳香族ポリカーボネート樹脂を製造する場合には、不活性ガス雰囲気下で所定割合の芳香族ジヒドロキシ成分と炭酸ジエステルとを加熱しながら攪拌し、生成するアルコール又はフェノール類を留出させる方法が採られる。
この場合の反応温度は、生成するアルコール又はフェノール類の沸点等により異なるが、通常120〜300℃の範囲である。また、反応時に生成するアルコールやフェノール類の留出するためには、反応器を反応の初期段階から減圧することが好ましい。
反応を促進するためには、エステル交換反応に通常使用される触媒を使用してもよい。
炭酸ジエステルとしては、例えば、ジフェニルカーボネート、ジナフチルカーボネート、ビス(ジフェニル)カーボネート、ジメチルカーボネート 、ジエチルカーボネート、ジブチルカーボネートが挙げられるが、反応性が高いことから、ジフェニルカーボネートが好ましい。
また、芳香族ポリカーボネート樹脂を製造する際には、分子量調整剤等を適宜使用してもよい。
このようにして得られた芳香族ポリカーボネート樹脂は1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
ポリカーボネート樹脂(A)の粘度平均分子量は10,000〜60,000であることが好ましく、15,000〜30,000であることがより好ましい。ポリカーボネート樹脂(A)の粘度平均分子量は10,000以上であれば、耐衝撃性及び剛性をより高くでき、60,000以下であれば、流動性を大きく損なわない。
無機充填剤(B)には、繊維状、粒子状、粉体状、板状、針状等、種々の形状のものを用いることができる。無機充填剤(B)としては、例えば、ガラス繊維(金属を被覆したものを含む)、炭素繊維(金属を被覆したものを含む)、チタン酸カリウム、アスベスト、炭化珪素、窒化珪素、セラミック繊維、金属繊維、アラミド繊維、硫酸バリウム、硫酸カルシウム、珪酸カルシウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、三酸化アンチモン、酸化亜鉛、酸化チタン、酸化マグネシウム、酸化鉄、二硫化モリブデン、マイカ、タルク、カオリン、パイロフィライト、ベントナイト、セリサイト、ゼオライト、ウォラストナイト、アルミナ、クレー、フェライト、黒鉛、石膏、ガラスビ−ズ、ガラスバル−ン及び石英が挙げられる。これら無機充填剤は1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
無機充填剤(B)の中では、グラフト共重合体(C)の配合による耐衝撃性、剛性の向上効果が顕著に発現することから、板状の無機充填剤が好ましい。板状の無機充填剤としては、例えば、タルク、マイカ、板状アルミナが挙げられる。
無機充填剤(B)の含有率は、マトリクス樹脂成分を100質量%とした際の1〜50質量%であり、3〜30質量%であることが好ましい。無機充填剤(B)の含有率が1質量%以上であれば、剛性が高く、しかも耐熱性、疲労特性等に優れた成形体が得られる。また、無機充填剤(B)の含有率が50質量%以下であれば、耐衝撃性に優れた成形体が得られる。
グラフト共重合体(C)は、ポリオルガノシロキサン及びポリアルキル(メタ)アクリレートを含有する質量平均粒子径が120nm以下の複合ゴム(r)の存在下に、芳香族ビニル単量体(a)、シアン化ビニル単量体(b)及びアルキル(メタ)アクリレート(c)のいずれか1種以上を含む単量体成分(g)を重合して得られるものである。
ポリオルガノシロキサンは、オルガノシロキサンが、ポリオルガノシロキサン用グラフト交叉剤(以下、「シロキサン交叉剤」という。)及び必要に応じてポリオルガノシロキサン用架橋剤(以下、「シロキサン架橋剤」という。)を介して重合されたものである。
オルガノシロキサンとしては3員環以上の環状オルガノシロキサンが好ましく、3〜6員環のものがより好ましい。
環状オルガノシロキサンとしては、例えば、ヘキサメチルシクロトリシロキサン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、ドデカメチルシクロヘキサシロキサン、トリメチルトリフェニルシクロトリシロキサン、テトラメチルテトラフェニルシクロテトラシロキサン及びオクタフェニルシクロテトラシロキサンが挙げられる。これら環状オルガノシロキサンは1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
オルガノシロキサンの含有率は、オルガノシロキサン、シロキサン交叉剤及びシロキサン架橋剤の混合物(以下、「オルガノシロキサン混合物」という。)を100質量%とした際の60〜99.9質量%であることが好ましく、70〜99.9質量%がより好ましい。オルガノシロキサンの含有率が60質量%以上であれば、低温時の耐衝撃性に優れた成形体が得られる。また、オルガノシロキサンの含有率が99.9質量%以下であれば、耐衝撃性の安定した成形体が得られる。
シロキサン交叉剤としては、オルガノシロキサンとシロキサン結合を介して結合し、複合ゴム中のポリアルキル(メタ)アクリレートと結合を形成し得るものが挙げられ、オルガノシロキサンとの反応性を考慮すると、ビニル基と反応し得る官能基を有するアルコキシシラン化合物が好ましい。
シロキサン交叉剤としては、例えば、β−(メタ)アクリロイルオキシエチルジメトキシメチルシラン、γ−(メタ)アクリロイルオキシプロピルジメトキシメチルシラン、γ−(メタ)アクリロイルオキシプロピルメトキシジメチルシラン、γ−(メタ)アクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、γ−(メタ)アクリロイルオキシプロピルエトキシジエチルシラン、γ−(メタ)アクリロイルオキシプロピルジエトキシメチルシラン、δ−(メタ)アクリロイルオキシブチルジエトキシメチルシラン等の(メタ)アクリロイルオキシシラン;テトラメチルテトラビニルシクロテトラシロキサン等のビニルシロキサン;p−ビニルフェニルジメトキシメチルシラン等のビニルフェニルシラン;及びγ−メルカプトプロピルジメトキシメチルシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン等のメルカプトシランが挙げられる。これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
シロキサン交叉剤の含有率はオルガノシロキサン混合物を100質量%とした際の0.1〜10質量%であることが好ましい。シロキサン交叉剤の含有率が0.1質量%以上であれば、複合ゴム(r)に対する単量体成分(g)のグラフト重合が可能となる。また、シロキサン交叉剤の含有率が10質量%以下であれば、グラフト部の重合体の分子量と数のバランスが良好となる。
シロキサン架橋剤としては、オルガノシロキサンと結合し得る官能基を3つ又は4つ有するものが挙げられる。
シロキサン架橋剤としては、例えば、トリメトキシメチルシラン等のトリアルコキシアルキルシラン;トリエトキシフェニルシラン等のトリアルコキシアリールシラン;及びテトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラn−プロポキシシラン、テトラブトキシシラン等のテトラアルコキシシランが挙げられる。これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
これらの中でも、テトラアルコキシシランが好ましく、テトラエトキシシランがより好ましい。
シロキサン架橋剤の含有率はオルガノシロキサン混合物を100質量%とした際の30質量%以下であることが好ましい。シロキサン架橋剤の含有率が30質量%以下であれば、耐衝撃性に優れた成形体が得られる。
ポリオルガノシロキサンの製造方法としては、例えば、オルガノシロキサン混合物の乳化重合による方法が挙げられる。オルガノシロキサン混合物を乳化重合する方法の一例を以下に示す。
まず、オルガノシロキサン混合物に乳化剤と水とを添加してオルガノシロキサン混合物のラテックスを得る。次いで、後述する方法によりオルガノシロキサン混合物のラテックスの微粒子化を行なった後、微粒子化したラテックスに酸触媒を混合して乳化重合する。
また、別の方法として、オルガノシロキサン混合物に乳化剤、水及び酸触媒を添加してラテックスとし、そのラテックスを微粒子化した後に乳化重合する方法が挙げられる。
上記の乳化重合で使用する乳化剤としては、例えば、アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム、アルキルスルホン酸ナトリウム、ポリオキシエチレンアルキル硫酸ナトリウム等のアニオン系乳化剤が挙げられる。これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
これらの中でも、容易に乳化重合できる点で、アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム、アルキルスルホン酸ナトリウム等のスルホン酸系の乳化剤が好ましい。
乳化剤の使用量は、ラテックスの安定した分散状態が得られるため、オルガノシロキサン混合物100質量部に対して0.05質量部以上が好ましい。また、乳化剤の使用量は、乳化剤の色によるポリカーボネート樹脂組成物の着色を抑制する点から、オルガノシロキサン混合物100質量部に対して15質量部以下が好ましい。
ラテックスの微粒子化の方法としては、例えば、ラテックス中の疎水性物質を高速回転による剪断力で微粒子化するホモミキサや、高圧発生機による噴出力で微粒子化するホモジナイザを使用する方法が挙げられる。これらの中でも、粒子径分布の幅が小さいラテックスが得られる点で、ホモジナイザ等の高圧乳化装置を使用する方法が好ましい。
ラテックスの微粒子化前に酸触媒を混合する場合には、酸触媒を水溶液として又は固体のまま、オルガノシロキサン混合物、乳化剤及び水に添加し、混合することができる。
また、ラテックスの微粒子化後に酸触媒を混合する場合には、得られるポリオルガノシロキサンの粒子径を制御し易い点で、酸触媒を水溶液とし、高温の酸触媒水溶液中に微粒子化後のラテックスを一定速度で滴下して重合する方法が好ましい。
酸触媒としては、例えば、脂肪族スルホン酸、脂肪族置換ベンゼンスルホン酸、脂肪族置換ナフタレンスルホン酸等のスルホン酸類及び硫酸、塩酸、硝酸等の鉱酸類が挙げられる。これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
これらの中で、ポリオルガノシロキサンのラテックスの安定化に優れている点で脂肪族置換ベンゼンスルホン酸が好ましく、n−ドデシルベンゼンスルホン酸がより好ましい。
酸触媒の使用量はオルガノシロキサン混合物100質量部に対して0.1〜15質量部が好ましい。
重合時間は、高温の酸触媒水溶液中に微粒子化後のオルガノシロキサン混合物のラテックスを一定速度で滴下する方法では、ラテックスの滴下終了後1時間程度が好ましい。酸触媒添加後にラテックスを微粒子化する方法では、重合時間は2時間以上が好ましく、5時間以上がより好ましい。また、重合温度は50℃以上が好ましく、80℃以上がより好ましい。
重合の停止は、反応液を冷却し、更に水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム等のアルカリ性物質で中和することにより行なうことができる。
ポリアルキル(メタ)アクリレートは、アルキル(メタ)アクリレート、ポリアルキル(メタ)アクリレート用グラフト交叉剤(以下、「アクリル交叉剤」という。)、及び必要に応じてポリアルキル(メタ)アクリレート用架橋剤(以下、「アクリル架橋剤」という。)の共重合体である。
アルキル(メタ)アクリレートとしては、例えば、メチルアクリレート、エチルアクリレート、n−プロピルアクリレート、n−ブチルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート等のアルキルアクリレート及びヘキシルメタクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、ドデシルメタクリレート、トリデシルメタクリレート等のアルキル基の炭素数が6以上のアルキルメタクリレートが挙げられる。これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
これらの中で、耐衝撃性をより向上できることから、n−ブチルアクリレート及び2−エチルヘキシルアクリレートが好ましい。
アルキル(メタ)アクリレートの含有率は、アルキル(メタ)アクリレート、アクリル交叉剤、及び必要に応じてアクリル架橋剤の混合物(以下、「アルキル(メタ)アクリレート混合物」という。)を100質量%とした際の80〜99.99質量%が好ましく、90〜99.99質量%がより好ましい。アルキル(メタ)アクリレートの含有率が80質量%以上であれば、耐衝撃性に優れた成形体が得られる。また、アルキル(メタ)アクリレートの含有率が99.99質量%以下であれば、耐衝撃性の安定した成形体が得られる。
アクリル交叉剤としては、アルキル(メタ)アクリレートと反応する重合性不飽和基を2つ以上有するものであって、(メタ)アクリロイル基と反応性が異なるアリル基等の重合性不飽和基を有する単量体が挙げられる。このような反応性が異なる重合性不飽和基を有することにより、得られたポリアルキル(メタ)アクリレート中のアクリル交叉剤単位に存在する重合性不飽和基にビニル単量体がグラフト結合され、グラフト部が形成される。
アクリル交叉剤の具体例としては、アリルメタクリレート、トリアリルシアヌレート及びトリアリルイソシアネートが挙げられる。これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
アクリル交叉剤の含有率はアルキル(メタ)アクリレート混合物を100質量%とした際の0.01〜10質量%が好ましい。アクリル交叉剤の含有率が0.01質量%以上であれば、ポリアルキル(メタ)アクリレート中に充分な数のグラフト重合起点を形成することができる。また、アクリル交叉剤の含有率が10質量%以下であれば、ポリアルキル(メタ)アクリレートの弾性を維持することができる。
アクリル架橋剤は、アルキル(メタ)アクリレートと反応する官能基を2つ以上有し、ポリアルキル(メタ)アクリレートに架橋構造を形成するものである。
アクリル架橋剤の具体例としては、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、テトラメチロールテトラ(メタ)アクリレート及びジビニルベンゼンが挙げられる。これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
アクリル架橋剤の含有率はアルキル(メタ)アクリレート混合物を100質量%とした際の10質量%以下が好ましい。アクリル架橋剤の含有率が10質量%以下であれば、ポリアルキル(メタ)アクリレートの弾性を維持することができる。
ポリアルキル(メタ)アクリレートの製造方法としては、例えば、ポリオルガノシロキサンの存在下で、アルキル(メタ)アクリレート混合物を乳化重合する方法が挙げられる。
ポリオルガノシロキサンにアルキル(メタ)アクリレート混合物を添加する方法としては、アルキル(メタ)アクリレート混合物の全量を一括して添加する方法、分割して添加する方法が挙げられる。分割添加する場合には、連続的に添加してもよいし、断続的に添加してもよい。
この製造方法では、アルキル(メタ)アクリレート混合物の重合が進むに従って、シロキサン交叉剤やアクリル交叉剤の存在により、ポリアルキル(メタ)アクリレートがポリオルガノシロキサンにグラフト重合したグラフト共重合体や、ポリオルガノシロキサンとポリアルキル(メタ)アクリレートの界面において互いに絡み合った架橋網目構造が形成されて、互いに分離できない複合ゴムが得られる。また、ポリアルキル(メタ)アクリレートの単独重合体も得られる。
アルキル(メタ)アクリレート混合物を重合する際には、必要に応じて、水、ラジカル重合開始剤、ポリアルキル(メタ)アクリレートの分子量を制御する連鎖移動剤、乳化剤等を添加することができる。
アルキル(メタ)アクリレート混合物の添加に際しては、アルキル(メタ)アクリレート混合物をラテックスとし、このラテックスを、上述したオルガノシロキサン混合物のラテックスの微粒子化の方法と同様の方法により微粒子化してポリオルガノシロキサンのラテックスに添加することができる。
ラジカル重合開始剤としては、例えば、過酸化物、アゾ系重合開始剤並びに酸化剤及び還元剤を組み合わせたレドックス系重合開始剤が挙げられる。これらの中で、レドックス系重合開始剤が好ましく、硫酸第一鉄・ピロリン酸ナトリウム・ブドウ糖・ハイドロパーオキサイドの組み合わせのレドックス系重合開始剤及び硫酸第一鉄・エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム塩・ロンガリット・ハイドロパーオキサイドの組み合わせのレドックス系重合開始剤が特に好ましい。
連鎖移動剤としては、例えば、メルカプタン系化合物、テルペン系化合物及びα−メチルスチレン二量体が挙げられる。
乳化剤としては、例えば、サルコシン酸ナトリウム、脂肪酸カリウム、脂肪酸ナトリウム、アルケニルコハク酸ジカリウム、ロジン酸石鹸等の各種カルボン酸塩及びアルキル硫酸エステル、アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム、アルキルスルホン酸ナトリウム、ポリオキシエチレンアルキル硫酸ナトリウム等のアニオン系乳化剤が挙げられる。これらは乳化重合時のラテックスを安定に保持し、重合率を高めることができ、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
アルキル(メタ)アクリレート混合物の乳化重合に際して、新たな乳化剤を添加せずにポリオルガノシロキサンのラテックス中に存在する乳化剤を流用して乳化重合させてもよい。
ポリオルガノシロキサンとポリアルキル(メタ)アクリレートとの複合ゴム(100質量%)におけるポリアルキル(メタ)アクリレートの含有率は5〜99質量%(ポリオルガノシロキサンの含有率は1〜95質量%)が好ましく、10〜95質量%(ポリオルガノシロキサンの含有率は5〜90質量%)がより好ましい。ポリアルキル(メタ)アクリレートの含有率が5質量%以上であれば、広い成形領域において耐衝撃性の安定した成形体が得られる。また、ポリアルキル(メタ)アクリレートの含有率が99質量%以下であれば、低温時の耐衝撃性、難燃性、離型性、絶縁性に優れた成形体が得られる。
複合ゴム(r)の質量平均粒子径(d)は120nm以下であり、100nm以下が好ましい。質量平均粒子径(d)が120nm以下であれば、成形体の剛性を低下させることなく耐衝撃性を向上させることができる。
複合ゴム(r)の質量平均粒子径(d)は20nm以上であることが好ましく、50nm以上であることがより好ましい。質量平均粒子径(d)が20nm以上であれば、成形品中の分散性を損なうことなく耐衝撃性を向上させることができる。
グラフト共重合体(C)は、複合ゴム(r)に、芳香族ビニル単量体(a)、シアン化ビニル単量体(b)及びアルキル(メタ)アクリレート(c)のいずれか1種以上を含む単量体成分(g)及び必要に応じて水、乳化剤、ラジカル重合開始剤、連鎖移動剤等を添加し、グラフト重合することにより得られる。
グラフト共重合体のグラフト重合に用いる乳化剤、ラジカル重合開始剤、連鎖移動剤等は、ポリアルキル(メタ)アクリレートの製造の際に使用されるものと同様のものが使用できる。
グラフト共重合体(C)を得る工程における、複合ゴム(r)と単量体成分(g)との質量比(r/g)は、10〜60/40〜90の範囲である(但し、(r)と(g)の合計を100とする)ことが好ましい。複合ゴム(r)の比率が10質量%以上(単量体成分(g)の比率が90質量%以下)であれば、耐衝撃性に優れた成形体が得られる。また、複合ゴム(r)の比率が60質量%以下(単量体成分(g)の比率が40質量%以上)であれば、耐衝撃性及び剛性のバランスに優れた成形体が得られる。
尚、このグラフト重合では、複合ゴム(r)にグラフト結合しなかった単量体成分(g)単独のフリーポリマーが副生される。したがって、グラフト共重合体(C)は、単量体成分(g)が複合ゴム(r)にグラフト重合したグラフト成分と、単量体成分(g)が複合ゴム(r)にグラフトしないで重合した非グラフト成分との混合物である。
芳香族ビニル単量体(a)としては、例えば、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエンが挙げられる。これらの中では、特にスチレンが好ましい。また、これらの芳香族ビニル単量体は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
シアン化ビニル単量体(b)としては、例えば、アクリロニトリル、メタアクリロニトリル、α−クロロアクリロニトリル、α−エチルアクリロニトリルが挙げられる。これらの中では、特にアクリロニトリルが好ましい。また、これらのシアン化ビニル単量体は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
アルキル(メタ)アクリレート(c)としては、例えば、メチルアクリレート、エチルアクリレート、n−ブチルアクリレート、プロピルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、グリシジルアクリレート、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、n−ブチルメタクリレート、プロピルメタクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、グリシジルメタクリレートが挙げられる。これらの中ではメチルメタクリレートが好ましい。
アルキル(メタ)アクリレートは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
単量体成分(g)におけるグラフト重合に用いる芳香族ビニル単量体(a)、シアン化ビニル単量体(b)及びアルキル(メタ)アクリレート(c)の割合は特に限定されるものではないが、単量体成分(g)が芳香族ビニル単量体(a)とシアン化ビニル単量体(b)を含む場合には、耐熱性・耐薬品性の観点からは、芳香族ビニル単量体(a)とシアン化ビニル単量体(b)の合計量100質量%中、シアン化ビニル単量体(b)の含有率が10〜50質量%であることが好ましい。
また、単量体成分(g)がアルキルメタアクリレート(c)とアルキルアクリレート(c)を含む場合には、グラフト共重合体(C)の相溶性・分散性の観点からは、アルキルメタアクリレート(c)とアルキルアクリレート(c)の合計量100質量%中、アルキルアクリレート(c)の含有率が0.1〜20質量%であることが好ましい。
単量体成分(g)には、(a)〜(c)の単量体に共重合可能な単量体(d)として、例えば、エチレン系不飽和カルボン酸単量体、ハロゲン化ビニル単量体、マレイミド単量体が含まれてもよい。
エチレン系不飽和カルボン酸単量体としては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、イタコン酸等のモノカルボン酸及びジカルボン酸が挙げられる。これらのエチレン系不飽和カルボン酸単量体は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
ハロゲン化ビニル単量体としては、例えば、塩化ビニル、塩化ビニリデンが挙げられる。これらのハロゲン化ビニル単量体は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
マレイミド単量体としては、例えば、マレイミド、N−フェニルマレイミド、N−シクロヘキシルマレイミド、N−メチルマレイミドが挙げられる。これらのマレイミド単量体は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
また、上記の単量体以外に、エチレン、プロピレン、酢酸ビニル、ビニルピリジン等の乳化重合可能な単量体を使用することもできる。
さらには、ジビニルベンゼン、1,3−ブチレンジメタクリレート、アリルメタクリレート等の架橋剤、メルカプタン類といった連鎖移動剤を併用してもよい。
上記グラフト重合によれば、グラフト共重合体(C)のラテックスが得られる。グラフト共重合体(C)のラテックスより、凝固及び乾燥する方法又は噴霧乾燥する方法によりグラフト共重合体(C)を粉体として回収することができる。
凝固及び乾燥による方法としては、例えば、凝析剤として塩化カルシウム、酢酸カルシウム、硫酸マグネシウム等の塩又は硫酸等の酸を適宜使用してラテックスを凝析し、次いで熱処理して凝固した後、濾過、洗浄、脱水を経て、粉体として回収する方法が挙げられる。
噴霧乾燥する方法としては、例えば、ラテックスを、加熱・減圧した容器内に噴霧する方法が挙げられる。噴霧乾燥する方法は、粉体として回収する際の取扱いが容易である点で好ましい。
グラフト共重合体(C)の質量平均粒子径としては80〜1000nmが好ましい。グラフト共重合体(C)の質量平均粒子径が80nm以上であれば、耐衝撃性に優れた成形体が得られる。また、グラフト共重合体(C)の質量平均粒子径が1000nm以下であれば、グラフト共重合体(C)の生産性が良好となる。
本発明のポリカーボネート樹脂組成物におけるグラフト共重合体(C)の配合量は、得られる成形体の衝撃強度が優れることから、マトリクス樹脂成分100質量部に対して0.5〜30質量部であり、3〜20質量部であることが好ましい。グラフト共重合体(C)の配合量が0.5質量部以上であれば、得られる成形体の耐衝撃性が向上する。また、グラフト共重合体(C)の配合量が30質量部以下であれば、無機充填剤(B)が有する剛性・耐熱性の向上効果が充分に発揮される。
本発明のポリカーボネート樹脂組成物には、必要に応じて、各種添加剤を配合することができる。
添加剤としては、例えば、トリフェニルフォスファイト、トリス(ノニルフェニル)フォスファイト、ジステアリルペンタエリスリトールジフォスファイト、ジフェニルハイドロジジェンフォスファイト、イルガノックス1076〔ステアリル−β−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、チバ・ジャパン(株)製〕等の酸化防止剤;2−(2’−ヒドロキシ−5’−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−t−アミルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−4’−オクトキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2−ヒドロキシ−4−オクトキシベンゾフェノン等の耐候性改良剤;テトラブロモビスフェノールA(TBA)、TBAポリカーボネートオリゴマー、TBAトリブロモフェノール、TBAエポキシオリゴマー、臭素化ポリスチレン、塩素化パラフィン、デクロランプラス等のハロゲン系難燃剤;トリフェニルフォスフェート、トリクレジルフォスフェート、含ハロゲンリン酸エステル、縮合型リン酸エステル等のリン酸エステル、リン酸アミド、赤燐、ポリリン酸アンモニウム、ホスファゼン化合物等のリン系難燃剤;トリアジン系化合物等の窒素系難燃剤;ホウ酸亜鉛等の金属塩、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシム等の金属水酸化物、三酸化アンチモン等の金属酸化物等の無機系難燃剤;シリコーン系難燃剤;可塑剤;帯電防止剤;離型剤;染顔料;耐熱性向上剤;結晶核剤;流動性改良剤;導電性付与剤;界面活性剤;相溶化剤;防曇剤;発泡剤及び抗菌剤が挙げられる。
本発明のポリカーボネート樹脂組成物は、例えば、グラフト共重合体(C)を得る工程と、ポリカーボネート樹脂(A)及び無機充填剤(B)からなるマトリクス樹脂成分にグラフト共重合体(C)を配合する工程とを有して製造される。
グラフト共重合体を得る工程は、上記グラフト共重合体(C)の製造方法の通りである。グラフト共重合体(C)のマトリクス樹脂成分への配合量は、上述したように、マトリクス樹脂成分100質量部に対して0.5〜30質量部である。
ポリカーボネート組成物の製造方法の具体例としては、上記製造方法により得たグラフト共重合体(C)と、ポリカーボネート樹脂(A)、無機充填剤(B)、及び必要に応じて添加剤とをヘンシェルミキサー、タンブラーミキサー等で配合した後に、得られた混合物を押出し機、ニーダー、ミキサー等で溶融混合する方法、あらかじめ溶融させた(A)又は(C)成分に他成分を逐次混合していく方法が挙げられる。また、ポリカーボネート樹脂(A)、無機充填剤(B)、グラフト共重合体(C)及び必要に応じて各種添加剤の混合物を射出成形機に直接投入して成形してもよい。
従来、ポリカーボネート樹脂(A)に無機充填剤(B)を配合した場合には、その界面にてポリカーボネート樹脂(A)の加水分解が起こり、物性が低下しやすい傾向にあった。しかし、本発明のポリカーボネート樹脂組成物では、ポリカーボネート樹脂(A)及び無機充填剤(B)に添加されたグラフト共重合体(C)が無機充填剤(B)の周囲に存在するため、ポリカーボネート樹脂(A)に無機充填材(B)が直接的に接触しにくくなる。そのため、耐加水分解性が改善される。
また、グラフト共重合体(C)によれば、剛性を低下させずに耐衝撃性を向上させることができる。
本発明の成形体の製造方法は、上記ポリカーボネート樹脂組成物を各種成形法により成形して成形体を得る方法である。
成形法としては、例えば、射出成形、押出成形、真空成形、圧縮成形、ブロー成形が挙げられる。
本発明により得られる成形体は、耐衝撃性と剛性のバランスに優れ、耐加水分解性に優れていることから、例えば、コピー機、ファクシミリ送受信機、プリンタ、デスクトップ型/ノート型/タワー型/サーバー型コンピュータ、携帯情報端末(PDA)、携帯電話/PHS、テレビ、ビデオデッキ、オーディオ機器等の各種OA/情報/家電機器のハウジング及びシャーシ部品、PHS交換機、電話交換機等のハウジング、エアコン/クーラーの室内外機のハウジング、家電機器のハウジング、食器用途、表示部品及び各種建材部材等の用途に特に好適に用いられる。
以下、実施例により本発明を具体的に説明する。以下の記載において、「部」は「質量部」、「%」は「質量%」を意味する。
また、以下の例においてラテックスの質量平均粒子径は下記(1)に示す方法により測定した。また、ポリカーボネート樹脂組成物については、(2)〜(4)に示す方法によりアイゾット衝撃強度、曲げ特性、耐加水分解性を評価した。
(1)質量平均粒子径(d
ラテックスを蒸留水で希釈したものを試料として、米国マテック社製CHDF2000型粒度分布計を用いて質量平均粒子径を以下の条件で測定した。
米国マテック社製CHDF2000型粒度分布計専用の粒子分離用キャピラリー式カートリッジ及びキャリア液を用い、液性を中性、流速を1.4mL/分、圧力を28MPa及び温度を35℃に保った状態で、濃度3%の希釈ラテックス試料0.1mLを測定に供した。尚、標準粒子径物質として、米国デューク社製の粒子径既知の単分散ポリスチレンを用い、30から800nmの範囲内で合計12点のサンプルを用いた。
(2)アイゾット衝撃強度
幅63.5mm×高さ12.7mm×厚み3.2mmのアイゾット衝撃強度測定用試験片(1/8インチ、ノッチ付き)を作製し、その試験片を用いてASTM D256の方法により、23℃にてアイゾット衝撃強度を測定した。
(3)曲げ特性
3.2mm厚み試験片を作製し、その試験片を用いてASTM D790に準拠した方法により曲げ特性(曲げ強度、曲げ弾性率)を測定した。
(4)耐加水分解性
ポリカーボネート樹脂組成物を賦型したペレットを、プレッシャークッカテスト装置を用いて、温度120℃、相対湿度100%の雰囲気下に60時間放置して調湿し、調湿前後のメルトインデックス(MI)をJIS K7210に準拠し、下記の条件で測定した。
温度300℃、荷重21.2N : (タルク1、マイカ)
温度250℃、荷重50.0N : (板状アルミナ、GF、タルク2)
尚、以上の(2)〜(4)の評価は絶乾条件にて行なった。
(参考例1) 複合ゴム(r−1)のラテックスの製造
オクタメチルシクロテトラシロキサン97.5部、γ−メタクリロイルオキシプロピルジメトキシメチルシラン0.5部及びテトラエトキシシラン2部を混合してオルガノシロキサン混合物100部を得た。このオルガノシロキサン混合物100部に、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム1.0部を溶解した脱イオン水200部を添加し、ホモミキサにて10,000rpmで5分間攪拌して混合した。さらに、ホモジナイザに20MPaの圧力で2回通して、微粒子化後のオルガノシロキサン混合物のラテックスを得た。
次いで、温度計、冷却管、攪拌装置を備えたセパラブルフラスコに、ドデシルベンゼンスルホン酸10部及び脱イオン水190部を入れて10%のドデシルベンゼンスルホン酸水溶液を調製した。このドデシルベンゼンスルホン酸水溶液を85℃に加熱した状態で、上記微粒子化後のオルガノシロキサン混合物のラテックス300部を2時間かけて滴下した。滴下終了後3時間温度を維持した後、冷却して反応物を得た。
更に、この反応物を室温で6時間保持した後、水酸化ナトリウム水溶液で中和して、ポリオルガノシロキサンのラテックスを得た。このラテックスの15gを採取し、180℃で30分間乾燥して固形分を求めたところ18.1%であった。また、このラテックスの質量平均粒子径(d)は62nmであった。
温度計、冷却管、窒素導入管、攪拌装置を備えたセパラブルフラスコに、上記ポリオルガノシロキサンのラテックスの54.2部(固形分として9.8部)を投入した。次いで、脱イオン水150部を加えた後、n−ブチルアクリレート90.2部、アリルメタクリレート0.05部及びt−ブチルハイドロパーオキサイド0.4部の混合物を添加した。次いで、窒素を通じることによりフラスコ内の雰囲気を窒素置換し、50℃まで昇温させた。
液温が50℃となった時点で硫酸第一鉄0.001部、エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム塩0.003部及びロンガリット0.3部を脱イオン水10部に溶解させた水溶液を添加し、5時間、ラジカル重合した。その後、セパラブルフラスコ内の温度を65℃で1時間保持して、ポリオルガノシロキサン及びポリアルキル(メタ)アクリレートを含有する複合ゴム(r−1)のラテックスを得た。
複合ゴム(r−1)のラテックスの固形分濃度は29.1%であり、質量平均粒子径(d)は97nmであった。
(参考例2) 複合ゴム(r−2)のラテックスの製造
オクタメチルシクロテトラシロキサン97.5部、γ−メタクリロイルオキシプロピルジメトキシメチルシラン0.5部及びテトラエトキシシラン2部を混合して、オルガノシロキサン混合物100部を得た。このオルガノシロキサン混合物100部に、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム0.67部及びドデシルベンゼンスルホン酸0.67部を溶解した脱イオン水200部を添加し、ホモミキサにより10,000rpmで5分間攪拌して混合した。さらに、ホモジナイザに20MPaの圧力で2回通して、微粒子化後のオルガノシロキサン混合物のラテックスを得た。
次いで、温度計、冷却管、攪拌装置を備えたセパラブルフラスコに、上記微粒子化後のオルガノシロキサン混合物のラテックスを投入し、80℃に加熱した状態で、7時間温度を維持した後に冷却して、反応物を得た。
更に、この反応物を室温で6時間保持した後、水酸化ナトリウム水溶液で中和して、ポリオルガノシロキサンのラテックスを得た。このラテックスの固形分濃度は29.3%であり、質量平均粒子径(d)は214nmであった。
温度計、冷却管、窒素導入管、攪拌装置を備えたセパラブルフラスコに、上記ポリオルガノシロキサンのラテックスの33.4部(固形分として9.8部)を投入した。次いで、脱イオン水171部を加えた後、n−ブチルアクリレート90.2部、アリルメタクリレート0.05部及びt−ブチルハイドロパーオキサイド0.4部の混合物を添加した。次いで、窒素を通じることによりフラスコ内の雰囲気を窒素置換し、50℃まで昇温させた。
液温が50℃となった時点で硫酸第一鉄0.001部、エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム塩0.003部及びロンガリット0.3部を脱イオン水10部に溶解させた水溶液を添加し、5時間、ラジカル重合した。その後、セパラブルフラスコ内の温度を65℃で1時間保持して、ポリオルガノシロキサン及びポリアルキル(メタ)アクリレートを含有する複合ゴム(r−2)のラテックスを得た。
複合ゴム(r−2)のラテックスの固形分濃度は30.6%であり、質量平均粒子径(d)は210nmであった。
(参考例3) 複合ゴム(r−3)のラテックスの製造
オクタメチルシクロテトラシロキサン97.5部、γ−メタクリロイルオキシプロピルジメトキシメチルシラン0.5部及びテトラエトキシシラン2部を混合して、オルガノシロキサン混合物100部を得た。このオルガノシロキサン混合物100部に、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム1.0部を溶解した脱イオン水150部を添加し、ホモミキサにて10,000rpmで5分間攪拌して混合した。さらに、ホモジナイザに20MPaの圧力で2回通して、微粒子化後のオルガノシロキサン混合物のラテックスを得た。
次いで、温度計、冷却管、攪拌装置を備えたセパラブルフラスコに、上記微粒子化後のオルガノシロキサン混合物のラテックスを投入し、さらに、硫酸0.2部と脱イオン水49.8部との混合物を3分間かけて添加した。これにより得られた混合物を80℃に加熱した状態で、7時間温度を維持した後に冷却して、反応物を得た。
更に、この反応物を室温で6時間保持した後、水酸化ナトリウム水溶液で中和して、ポリオルガノシロキサンのラテックスを得た。このラテックスの固形分濃度は29.8%であり、質量平均粒子径(d)は338nmであった。
温度計、冷却管、窒素導入管、攪拌装置を備えたセパラブルフラスコに、上記ポリオルガノシロキサンのラテックスの32.8部(固形分として9.8部)を投入した。次いで、脱イオン水196部を加えた後、n−ブチルアクリレート90.2部、アリルメタクリレート0.05部及びt−ブチルハイドロパーオキサイド0.4部の混合物を添加した。次いで、窒素を通じることによりフラスコ内の雰囲気を窒素置換し、50℃まで昇温させた。
液温が50℃となった時点で硫酸第一鉄0.001部、エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム塩0.003部及びロンガリット0.3部を脱イオン水10部に溶解させた水溶液を添加し、5時間、ラジカル重合した。その後、セパラブルフラスコ内の温度を65℃で1時間保持して、ポリオルガノシロキサン及びポリアルキル(メタ)アクリレートを含有する複合ゴム(r−3)のラテックスを得た。
複合ゴム(r−3)のラテックスの固形分濃度は28.8%であり、質量平均粒子径(d)は275nmであった。
(製造例1) グラフト共重合体(C−1)の製造
温度計、冷却管、窒素導入管、攪拌装置を備えたセパラブルフラスコに、参考例1で得られた複合ゴム(r−1)のラテックス90部(固形分換算)を投入した。次いで、単量体成分(g)であるメチルメタクリレート9.5部及びn−ブチルアクリレート0.5と、t−ブチルハイドロパーオキサイド(単量体成分(g)100部に対して0.024部)の混合物を15分かけて滴下し、セパラブルフラスコ内の温度を60℃で2時間保持して、複合ゴム(r−1)へのグラフト重合を行なって、グラフト共重合体(C−1)のラテックスを得た。
得られたラテックスを、グラフト共重合体(C−1)100部に対して5部(固形分換算)の18%酢酸カルシウム水溶液に添加して塩析した後、脱水・乾燥し、粉体状のグラフト共重合体(C−1)を得た。
(製造例2〜11) グラフト共重合体(C−2)〜(C−11)の製造
複合ゴムの種類及び量、単量体成分の組成及び量を表1に示すように変更したこと以外は製造例1と同様にしてグラフト共重合体(C−2)〜(C−11)を得た。
Figure 2010077379
表1中の略号は以下の化合物を示す。
MMA:メチルメタクリレート
BA :n−ブチルアクリレート
AN :アクリロニトリル
St :スチレン
(実施例1)
ポリカーボネート樹脂(A)(三菱エンジニアリングプラスチックス(株)製、商品名:ユーピロンS2000F)90%に、無機充填剤(B)としてタルク1(林化成(株)製、商品名:ミクロンホワイト#5000S)10%及び製造例1で得たグラフト共重合体(C−1)5部((A)と(B)の合計量100部に対して)を配合した。
その配合物を、二軸押出機(池貝鉄工所(株)製PCM−30)を用いて溶融混練し、ポリカーボネート樹脂組成物のペレットを得た。
このペレットを乾燥後、射出成形機(住友重機械工業(株)製SE100DU)を用いて試験片を成形し、上記(2)〜(4)の評価を行なった。評価結果を表2に示す。
尚、押出機及び射出成形機のシリンダー温度は280℃とし、金型温度は80℃とした。
(実施例2〜19及び比較例1〜16)
グラフト共重合体(C−1)の代わりに表2〜5に示すグラフト共重合体を使用し、その他は実施例1と同様にして試験片を成形し、上記(2)〜(4)の評価を行なった。評価結果を表2〜5に示す。
尚、表中の無機充填剤(B)におけるマイカは山口雲母(株)製「A−41S」、板状アルミナはキンセイマテック(株)製「セラフ610」、GF(ガラス繊維)は日本電気硝子(株)製「ECS03 T−187」(繊維径;13μm、サイズ剤;アミノシラン系、繊維長;3mm品)、タルク2は日本タルク(株)製「ミクロエースP−6」を使用した。
尚、実施例で用いた無機充填剤の内、タルク1、タルク2、マイカ、板状アルミナは、いずれも、板状の無機充填剤である。
Figure 2010077379
Figure 2010077379
Figure 2010077379
Figure 2010077379
質量平均粒子径が120nm以下の複合ゴム(r)を含むグラフト共重合体(C−1)〜(C−7)を配合した実施例1〜19のポリカーボネート樹脂組成物は、得られる成形体の耐衝撃性及び剛性のバランスに優れ、しかも耐加水分解性にも優れていた。
質量平均粒子径が120nmを超える複合ゴム(r)を含むグラフト共重合体(C−8)〜(C−11)を配合した比較例1〜3,5,6,8,9,11,12,14,15のポリカーボネート樹脂組成物は、得られる成形体の耐衝撃性及び剛性のバランスに劣っていた。
グラフト共重合体(C)を配合しなかった比較例4,7,10,13,16のポリカーボネート樹脂組成物は、得られる成形体の耐衝撃性が低く、耐加水分解性に劣っていた。

Claims (3)

  1. ポリカーボネート樹脂(A)50〜99質量%及び無機充填剤(B)1〜50質量%からなるマトリクス樹脂成分100質量部に対して、グラフト共重合体(C)0.5〜30質量部を含有し、
    グラフト共重合体(C)は、ポリオルガノシロキサン及びポリアルキル(メタ)アクリレートを含有する質量平均粒子径が120nm以下の複合ゴム(r)の存在下で、芳香族ビニル単量体(a)、シアン化ビニル単量体(b)及びアルキル(メタ)アクリレート(c)のいずれか1種以上を含む単量体成分(g)を重合して得られるものであるポリカーボネート樹脂組成物。
  2. 前記複合ゴム(r)と前記単量体成分(g)との質量比(r/g)が10〜60/40〜90(但し、(r)と(g)の合計を100とする)である、請求項1に記載のポリカーボネート樹脂組成物。
  3. 請求項1または2に記載のポリカーボネート樹脂組成物を成形して、成形体を製造する方法。
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