JP2010097721A - 水素発生装置、水素発生方法、及び給電装置 - Google Patents

水素発生装置、水素発生方法、及び給電装置 Download PDF

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Abstract

【課題】水素発生剤に水蒸気を供給して水素を発生させる場合に、水蒸気の発生を促進することで発生量を制御することができる水素発生装置、水素発生方法、及び水素発生装置を備える給電装置を提供する。
【解決手段】燃料電池に供給するための水素を発生する水素発生装置30であって、水を収容する水収容部31と、この水が気化した水蒸気と反応して水素を発生する水素発生剤32と、水蒸気を流動させるファン33と、を備える。
【選択図】図1

Description

本発明は、燃料電池に供給するための水素を発生する水素発生装置、水素発生方法、及び水素発生装置を備える給電装置に関する。
従来、水を供給して水素を発生させる水素発生剤としては、鉄、アルミニウム等の金属を主成分とするものや、水素化マグネシウムや水素化カルシウム等の水素化金属を主成分とするものが知られている(例えば、特許文献1参照)。なかでも、水素化カルシウムを主成分とする水素発生剤を用いる場合、水分との反応速度が急峻であるため、水分を液体(水)で供給すると水素が初期に爆発的に発生するという問題があった。
例えば1gの水素化カルシウムと水とを完全に反応させると、1.16L(理論量)の水素が発生し、0.89g(理論量)の水が必要になり、1L/hの水発生速度の場合、1mL/h(0.28μL/秒)程度で水を供給する必要がある。しかし、シリンジポンプ等を用いて、このような微量の流量で水を供給しようとしても、供給量の制御が精密に行なえないため流量が不均一になり、また、液滴の大きさの影響を受けるなど、特に水が最初に供給される際に供給量が多くなる。これが水素化カルシウムと急激に反応し、水素が初期に爆発的に発生していた。
そこで、特許文献1〜2には、水素化カルシウムと水分との反応速度を適度にコントロールする目的で、発生した水蒸気を疎水性の多孔体を介して水素化カルシウムに供給する水素発生方法が開示されている。
特許文献1〜2に開示された方法では、水蒸気の水素発生剤への供給量は、疎水性多孔体の平均孔径、気孔率、表面積などにより制御されている。さらに、特許文献1に開示された方法では、疎水性多孔体と水との接触面積や疎水性の多孔体に作用する水圧等を調整することにより、疎水性多孔体を透過してくる水蒸気の量を制御している。
しかしながら、特許文献1〜2の方法では、水蒸気の発生自体は、自然な蒸発により行なっているため、水蒸気の発生量は、温度に依存する飽和水蒸気量によって主に決定され、水蒸気の発生量を能動的に制御することが困難であった。
特開2003−313001号公報 特開2004−269323号公報
そこで、本発明の目的は、水素発生剤に水蒸気を供給して水素を発生させる場合に、水蒸気の発生を促進することで発生量を制御することができる水素発生装置、水素発生方法、及び水素発生装置を備える給電装置を提供することである。
上記課題を解決するため本発明に係る水素発生装置は、燃料電池に供給するための水素を発生する水素発生装置であって、水を収容する水収容部と、この水が気化した水蒸気と反応して水素を発生する水素発生剤と、前記水蒸気を流動させる送風手段と、を備えることを特徴とする。
本発明の水素発生装置によれば、水収容部に収容された水が気化した水蒸気を、送風手段によって流動させることができる。水蒸気を流動させることで、水収容部の水の蒸発を促進させ、水蒸気の発生量を制御することができる。すなわち、通常、水蒸気の発生量は飽和水蒸気量によって決まるが、気化した水蒸気を流動させることで、水収容部の近傍(特に、水の表面近傍)の水蒸気量が減少し、さらなる水の蒸発を促すことができる。
本発明の水素発生装置において、前記送風手段は、送風量によって前記水蒸気の発生量を制御する蒸発量制御機能を有することが好ましい。
自然な蒸発により水蒸気を発生させる場合に比べ、本発明の水素発生装置によれば、送風手段に設けた蒸発量制御機能が、送風量を変化させることで水蒸気の発生量を制御することができる。送風量を大きくすることで、水蒸気の発生量を多くすることも、送風量を小さくすることで、水蒸気の発生量を少なくすることもできる。水蒸気の発生量を制御することにより、水素発生剤への水蒸気の供給量も制御することができ、結果として水素発生剤からの水素の発生量も制御することができる。
本発明の水素発生装置において、前記水収容部には、収容された水に一部が接する吸水性のシート状部材が設けられ、前記送風手段は、前記シート状部材に送風することが好ましい。
吸水性のシート状部材を、水収容部に収容された水に一部が接するように設け、送風手段によってシート状部材に送風する。この構成によれば、シート状部材は、吸水性を有するので、その一部が水収容部の水に接することで毛細管現象により吸水し、全面に水が浸透する。このシート状部材に送風手段で送風することで、シート状部材からの水の蒸発が促進される。また、送風手段の電源をオンオフしたり、オンオフの時間を調節したりすることにより、水の蒸発量、すなわち水蒸気の発生量を容易かつ確実に制御することができる。
本発明の水素発生装置において、前記シート状部材は、筒状部を有し、前記送風手段は、前記筒状部内に送風することが好ましい。
筒状部を有することでシート状部材の表面積が増えるので、この筒状部内に送風手段で送風することで、シート状部材からの水の蒸発がより一層促進される。
本発明の水素発生装置において、前記水素発生剤に前記水蒸気を供給する水蒸気供給路に逆止弁を設けていることが好ましい。
上記のように、水素発生剤に供給される水蒸気の量を制御することで、水素発生剤からの水素の発生量を制御することができる。この際、水蒸気は水蒸気供給路を介して水素発生剤に供給されるが、水蒸気が水蒸気供給路を逆流して水収容部に戻ると水素の発生量を正確に制御できなくなってしまう。水蒸気供給路に逆止弁を設けることで、水蒸気の逆流を防止することができ、水素発生剤に供給される水蒸気の量を制御し、水素の発生量を正確に制御することができる。
上記課題を解決するため本発明に係る給電装置は、本発明に係る水素発生装置と、この水素発生装置により発生した水素が供給されて発電を行なう燃料電池と、この燃料電池による発電初期に前記送風手段に電力を供給する補助電池と、を備えるものである。
本発明に係る給電装置によれば、補助電池が、燃料電池による発電初期に送風手段に電力を供給するので、燃料電池による発電の開始時などの発電初期においても送風手段を作動させることができ、水素発生剤への水蒸気の供給を安定して行なうことができる。
上記課題を解決するため本発明に係る水素発生方法は、燃料電池に供給するための水素を発生させる水素発生方法であって、送風により水からの水蒸気の発生を促進しながら、水素発生剤と前記水蒸気とを反応させて水素を発生させることを特徴とする。
かかる構成による水素発生方法の作用・効果については、すでに述べた通りであり、本発明の水素発生方法によれば、送風により水蒸気の発生を促進することで、水蒸気の発生量を制御することができる。
本発明に係る給電装置の好適な実施形態について、図面を用いて説明する。図1は、本発明の水素発生装置の一例を示す図であり、(a)平面図、(b)は(a)のI−I断面図である。
<水素発生装置>
本発明の水素発生装置30は、図1に示すように、水を収容する水収容部31と、水蒸気と反応して水素を発生する水素発生剤32と、水蒸気を流動させるファン(送風手段に相当)33と、を備える。
水収容部31には、水が収容される。水は、単に容器状の水収容ケース31aに収容されるように構成してもよいが、本発明では、使用する姿勢が変化しても一定の場所に水が留まるように、水収容ケース31a内に配置された保水材31bにより水を保持する構成であることが好ましい。
保水材としては、水が含浸可能なものであれば何れでもよいが、スポンジ、吸水性樹脂、脱脂綿、吸水性不織布、吸水紙などが好ましい。
水収容部31には、収容された水に端部34aが接し、筒状部34bを有する吸水シート(シート状部材に相当)34が設けられる。端部34aは、水収容部31に設けられたスリット31cを通って保水材31bの水に接する。吸水シート34は、吸水性を有しており、端部34aが保水材31bの水に接することで毛細管現象により吸水し、筒状部34bの全面に水が浸透する。吸水シート34の筒状部34bに浸透することで、水は蒸発しやすくなる。
吸水シート34としては、水を含浸可能なものであれば何れでもよいが、吸水性樹脂、脱脂綿、吸水性不織布、吸水紙などが好ましい。
吸水シート34の周囲は、コの字状の断面をした整風カバー37で覆われている。整風カバー37は、水収容ケース31aに接合されている。また、整風カバー37は、ファン33と隣接する部分はファン33と接合され、ファン33と反対側の面は開放されており、ファン33から送られた風が整風カバー37の内部を通り抜ける構造となっている。
ファン33は、整風カバー37とほぼ同じ幅となっており、図に破線で示す矢印のように、ファン33の羽根部から取り込んだ風を整風カバー37内に送り込むことができる。すなわち、ファン33は、整風カバー37内の吸水シート34(筒状部34b)に対して風を送ることができる。これにより、吸水シート34の表面から蒸発した水蒸気を流動させることができ、水の蒸発を促すことができる。
また、ファン33は、送風量を調節可能であることが好ましい。送風量を調節することで、整風カバー37内に送る風の量を調節することができる。すなわち、ファン33は、整風カバー37内の吸水シート34への送風量を調節可能であることが好ましい。吸水シート34への送風量を大きくすることで、水蒸気の発生量を多くすることができ、反対に送風量を小さくすることで、水蒸気の発生量を少なくすることもできる。
吸水シート34から発生した水蒸気は、整風カバー37の端部37aから放出され、水蒸気供給路38を介して水素発生剤32へ供給される。水素発生剤32は、内部空間形成部36によって形成された内部空間S内に配置される。
<水素発生剤>
本発明における水素発生剤32は、水蒸気と反応して水素(以下、水素ガスと称することもある)を発生するものであれば何れでもよく、金属、水素化金属化合物、両者の混合物などが挙げられる。これらの水素発生剤32は、その単独粒子で使用してもよく、必要に応じて、触媒成分、アルカリ性無機化合物、凝集抑制粒子を更に含有したものを使用することができる。本発明では、水素化金属化合物を樹脂で包埋したシート状物や粉砕物が好ましい。樹脂で包埋する場合、水蒸気との反応性の観点から、多孔質体であることが好ましい。
なお、金属としては、アルミニウム粒子、鉄粒子、マグネシウム粒子などが挙げられる。また、金属触媒としては、ニッケル、バナジウム、マンガン、チタン、銅、銀、亜鉛、ジルコニウム、コバルト、クロム、カルシウム、これらの合金等が挙げられる。
水素化金属化合物としては、水素化カルシウム、水素化リチウム、水素化カリウム、水素化ホウ素ナトリウム、水素化ホウ素カリウム、水素化リチウムアルミニウム、水素化アルミニウムナトリウム、又は水素化マグネシウムなどが挙げられる。これらの化合物等は、いずれも水と急激に又は爆発的に反応して水素ガスを発生することが知られており、いずれも水素化マグネシウム以上の水との反応性を示す。
また、上記化合物以外の水素発生剤として、アルミニウム、鉄、マグネシウム、カルシウム等の金属、上記以外の金属水素錯化合物などを含有してもよい。水素化金属化合物、金属、金属水素錯化合物は、何れかを複数組み合わせて使用することもでき、また、それぞれを組み合わせて使用することも可能である。化合物を併用する場合、気泡による多孔質化を促進し易い化合物を含むことが好ましい。このような化合物としては、水素化カルシウムが特に好ましい。
粒状の水素発生剤の平均粒径は、多孔体中への分散性や反応性を制御する観点から、1〜100μmが好ましく、6〜30μmがより好ましく、8〜10μmが更に好ましい。
樹脂で包埋する場合の水素発生剤の含有量は、適度な反応性とある程度の水素発生量を確保する観点から、多孔体中、10〜60重量%が好ましく、30〜50重量%が好ましい。
用いられる樹脂としては、熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂、耐熱性樹脂などが挙げられるが、熱硬化性樹脂が好ましい。なお、熱可塑性樹脂としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、アクリル樹脂、フッ素樹脂、ポリエステル、ポリアミドなどが挙げられる。また、耐熱性樹脂としては、芳香族系のポリイミド、ポリアミド、ポリエステルなどが挙げられる。
熱硬化性樹脂としては、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、フェノール樹脂、アミノ樹脂、ポリウレタン樹脂、シリコーン樹脂、または熱硬化性ポリイミド樹脂等が挙げられる。なかでも、水素発生反応中に多孔質構造を適度に維持できる観点から、エポキシ樹脂が好ましい。
樹脂が非多孔質又は開孔率の小さい多孔質である場合、水溶性樹脂や吸水性樹脂を主に使用するのが好ましい。水溶性樹脂としては、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ポリビニルアルコール、ポリエチレンオキシド等が挙げられる。吸水性樹脂としては、アクリル酸塩重合体の架橋物、ビニルアルコール−アクリル酸塩共重合体の架橋物、無水マレイン酸グラフトポリビニルアルコールの架橋物、アクリル酸塩−メタアクリル酸塩共重合体の架橋物、アクリル酸メチル−酢酸ビニル重合体のケン化物の架橋物、デンプン−アクリル酸塩グラフト共重合体の架橋物、デンプン−アクリロニトリル共重合体の加水分解物の架橋物、デンプン−アクリル酸エチルグラフト共重合体のケン化物の架橋物、カルボキシメチルセルロース架橋物等を挙げることができる。
樹脂の含有量は、適度な保形性とある程度の水素発生量を確保する観点から、多孔体中、30〜90重量%が好ましく、50〜70重量%が好ましい。
樹脂中には、上記の成分以外の任意成分として、触媒、充填材、発泡剤などのその他の成分を含有してもよい。触媒としては、水素発生剤用の金属触媒の他、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウムなどのアルカリ化合物も有効である。
発泡剤としては、未硬化の熱硬化性樹脂に相分離・分散して、熱硬化性樹脂の反応温度で気化する液体が挙げられる。また、水素発生剤と反応して水素ガスを発生させる反応液を、未硬化の熱硬化性樹脂に微量添加しておくことも可能である。このような反応液としては、水、酸水溶液、アルカリ水溶液などが挙げられる。
本発明では気泡により多孔質化された構造を有する場合が好ましい。多孔質化のための気泡は、発泡剤により生成するものでもよいが、水素発生剤から発生した水素ガスであることが好ましい。
つまり、多孔質体は、粒状の水素発生剤と未硬化の熱硬化性樹脂とを混合した後、これを吸水性シートに塗布し、前記水素発生剤から水素ガスを発生させつつ熱硬化性樹脂を硬化させる工程を含む製法により製造されることが好ましい。
多孔質体は、密度が0.1〜1.2g/cmであることが好ましく、0.2〜0.9g/cmであることがより好ましく、0.3〜0.5g/cmであることが更に好ましい。この範囲の密度を有することで、反応液の浸透性が適度になり、取扱い性もより良好になる。このような密度は、例えば、水素ガスの発生量でコントロールすることが可能である。
また、水素発生用多孔体の気泡径は、反応液の浸透性を適度に制御する観点から、直径0.1〜2mmが好ましく、直径0.5〜1mmがより好ましい。このような気泡径は、例えば、水素ガスの発生量でコントロールすることが可能である。また、気泡径や密度をコントロールするために、加圧条件下で熱硬化性樹脂の硬化を行ってもよい。
水素発生剤から水素ガスを発生させるには、予め未硬化の熱硬化性樹脂に反応液を微量添加しておく方法や、未硬化の熱硬化性樹脂に含まれる反応液を利用する方法も可能であるが、硬化反応のための加熱により、水素発生剤(水素化金属化合物の場合)から水素ガスを脱離させる方法が好ましい。
水素発生剤から水素ガスを脱離させる際の温度は、水素化金属化合物の種類によっても異なるが、50〜250℃が好ましく、80〜200℃がより好ましい。つまり、未硬化の熱硬化性樹脂の硬化温度として、この範囲の温度を選択することが好ましい。なお、水素ガスの発生温度と硬化温度とを変えることも可能である。
硬化して得られるシート状多孔質体の厚みは、水等を十分かつ均一に浸透させて均一な反応を行う観点から、0.1〜10mmが好ましく、0.5〜2mmがより好ましい。
本発明における水素発生剤32は、少なくとも一部が疎水性多孔質膜35aで形成されている包装材35で包囲されている。この疎水性多孔質膜35aを介して水蒸気が流入することで、水素ガスが発生する。
包装材35(又は水素発生剤32)は、内部空間形成部36に固定しなくてもよいが、接着等によって内部空間形成部36に固定するのが好ましい。
疎水性多孔質膜35aは、水を透過させずに、水蒸気及び水素ガスを透過させることができる。従って、疎水性多孔質膜35aの孔径としては、0.1〜10μmが好ましい。0.5〜5μmがより好ましい。疎水性多孔質膜35aの厚みは、十分な通気性とある程度の強度を付与する観点から、10〜500μmが好ましく、50〜200μmがより好ましい。
疎水性多孔質膜35aの材質としては、フッ素系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、ポリエーテルサルホン、ポリスルホンなどが挙げられる。なかでも、ポリテトラフルオロエチレン等のフッ素系樹脂や、ポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂が好ましい。
包装材35のうち、疎水性多孔質膜35a以外の部分については、上記と同様の材料からなるフィルム、シート、ケース等が使用できる。但し、本発明では、包装材35の全体が疎水性多孔質膜35aで形成されているのが好ましい。
包装材35(又は疎水性多孔質膜35a)は袋状に形成するのが好ましく、内部に水素発生剤32を導入した後、開口が封止される。封止の方法としては、熱融着、接着剤による接着などが挙げられる。図示した例では、2枚の疎水性多孔質膜35aの4辺が熱融着により封止されている。
<発電セルの構成>
本発明の水素発生装置により発生した水素が供給されて発電を行なう燃料電池について、図面を用いて説明する。図2は、燃料電池の一例を示す図であり、(a)は斜視図、(b)は平面図、(c)は金属板の構成を示す斜視図、図3(a)は図2(b)のI−I断面図、図3(b)は同じくII−II断面図である。
燃料電池は、図2に示すように、複数の単位セルC1〜C4(以下、各単位セルを区別する必要がない場合は、単位セルCと表記する。)を備え、いずれかの単位セルCと他の単位セルCの導電層同士を、接続部により電気的に接続している。本実施形態では、例えば、単位セルC1の第1導電層(第1金属層4)と、それに隣接する単位セルC2の第2導電層(第2金属層5)とを電気的に接続(直列接続)する例を示すが、何れかの単位セルCと他の単位セルCとを並列接続することも可能である。その場合、何れかの単位セルCと他の単位セルCの第1導電層同士及び第2導電層同士が電気的に接続される。もちろん、並列接続と直列接続とを組み合わせることも可能である。
なお、接続する単位セルCの数としては、要求される電圧又は電流に応じて、設定することが可能である。本実施形態では4つの単位セルC1〜C4を接続する例を示すが、単位セルCは1つでもよく、5つ以上であってもよい。例えば、8つの単位セルを用いて、2個ずつペアで並列接続して4つのペアを作り、各ペアを直列接続することができる。この場合、4つの単位セルを直列接続する構成に対して、電圧は同じであるが電流量を2倍にすることができる。
本実施形態における各々の単位セルCは、固体高分子電解質層1と、この固体高分子電解質層1の両側に設けられた第1電極層2及び第2電極層3と、これら電極層2,3の更に外側に各々配置された第1導電層及び第2導電層とを有する。本実施形態では、第1導電層及び第2導電層が、第1電極層2及び第2電極層3を部分的に露出させる露出部を有する第1金属層4及び第2金属層5とからなる例を示す。
なお、導電層の材質としては、金属、導電性高分子、導電性ゴム、導電性繊維、導電性ペースト、導電性塗料などが挙げられる。
固体高分子電解質層1としては、従来の固体高分子膜型の燃料電池に用いられるものであれば何れでもよいが、化学的安定性及び導電性の点から、超強酸であるスルホン酸基を有するパーフルオロカーボン重合体からなる陽イオン交換膜が好適に用いられる。このような陽イオン交換膜としては、ナフィオン(登録商標)が好適に用いられる。その他、例えば、ポリテトラフルオロエチレン等のフッ素樹脂からなる多孔質膜に上記ナフィオンや他のイオン伝導性物質を含浸させたものや、ポリエチレンやポリプロピレン等のポリオレフィン樹脂からなる多孔質膜や不織布に上記ナフィオンや他のイオン伝導性物質を担持させたものでもよい。
固体高分子電解質層1の厚みは、薄くするほど全体の薄型化に有効であるが、イオン伝導機能、強度、ハンドリング性などを考慮すると、10〜300μmが使用可能であるが、25〜50μmが好ましい。
電極層2,3は、固体高分子電解質層1の表面付近でアノード側およびカソード側の電極反応を生じさせるものであれば何れでもよい。なかでも、ガス拡散層としての機能を発揮して、燃料ガス、燃料液、酸化ガス及び水蒸気の供給・排出を行なうと同時に、集電の機能を発揮するものが好適に使用できる。電極層2,3としては、同一又は異なるものが使用でき、その基材には電極触媒作用を有する触媒を担持させることが好ましい。触媒は、固体高分子電解質層1と接する内面側に少なくとも担持させるのが好ましい。
電極層2,3の電極基材としては、例えば、カーボンペーパー、カーボン繊維不織布などの繊維質カーボン、導電性高分子繊維の集合体などの電導性多孔質材が使用できる。また、固体高分子電解質層1に触媒を直接付着させたり、カーボンブラックなどの導電性粒子に担持させて固体高分子電解質層1に付着させた電極層2,3を用いることも可能である。
一般に、電極層2,3は、このような電導性多孔質材にフッ素樹脂等の撥水性物質を添加して作製されるものであって、触媒を担持させる場合、白金微粒子などの触媒とフッ素樹脂等の撥水性物質とを混合し、これに溶媒を混合して、ペースト状或いはインク状とした後、これを固体高分子電解質膜と対向すべき電極基材の片面に塗布して形成される。
一般に、電極層2,3や固体高分子電解質層1は、燃料電池に供給される還元ガスと酸化ガスに応じた設計がなされる。本発明では、酸化ガスとして空気が用いられると共に、還元ガスとして水素ガスを用いるのが好ましい。なお、還元ガスの代わりにメタノール等の燃料液を使用することも可能である。
例えば、水素ガスと空気を使用する場合、空気が自然供給される側のカソード側の第2電極層3(本明細書では、アノード側を第1電極層、カソード側を第2電極層と仮定する)では、酸素と水素イオンの反応が生じて水が生成するため、かかる電極反応に応じた設計をするのが好ましい。特に、低作動温度、高電流密度及び高ガス利用率の運転条件では、特に水が生成する空気極において水蒸気の凝縮による電極多孔体の閉塞(フラッディング)現象が起こりやすい。したがって、長期にわたって燃料電池の安定な特性を得るためには、フラッディング現象が起こらないように電極の撥水性を確保することが有効である。
触媒としては、白金、パラジウム、ルテニウム、ロジウム、銀、ニッケル、鉄、銅、コバルト及びモリブデンから選ばれる少なくとも1種の金属か、又はその酸化物が使用でき、これらの触媒をカーボンブラック等に予め担持させたものも使用できる。
電極層2,3の厚みは、薄くするほど全体の薄型化に有効であるが、電極反応、強度、ハンドリング性などを考慮すると、1〜500μmが好ましく、100〜300μmがより好ましい。電極層2,3と固体高分子電解質層1とは、予め接着、融着、又は塗布形成等を行って積層一体化しておいてもよいが、単に積層配置されているだけでもよい。このような積層体は、膜/電極接合体(Membrane Electrode Assembly:MEA)として入手することもでき、これを使用してもよい。
本発明では、第1電極層2及び第2電極層3の外形が固体高分子電解質層1の外形より小さいものでもよいが、第1電極層2及び第2電極層3の外形と固体高分子電解質層1の外形とが同じであることが好ましい。電極層の外形と固体高分子電解質層の外形とが同じであると、電極板と固体高分子電解質の積層体を打ち抜いて、固体高分子電解質・電極・接合体を製造することができ、量産効果により当該接合体のコストを低減することができる。また、電極層の外周より金属層の外周が内側に形成されていることで、電極層の外周及び固体高分子電解質層の外周をより確実に封止することができる。
アノード側電極層2の表面にはアノード側の第1金属層4が配置され、カソード側電極層3の表面にはカソード側の第2金属層5が配置される(本明細書では、アノード側を第1金属層、カソード側を第2金属層と仮定する)。第1金属層4は、第1電極層2を部分的に露出させる露出部を有するが、本実施形態では、アノード側金属層4には燃料ガス等を供給するための開孔4aが設けられている例を示す。
第1金属層4の露出部は、アノード側電極層2が露出可能であれば、その個数、形状、大きさ、形成位置などは何れでもよい。アノード側金属層4の開孔4aは、例えば、規則的又はランダムに複数の円孔やスリット等を設けたり、または金属メッシュによって開孔4aを設けたり、第1金属層4を櫛形電極のような形状にしてアノード側電極層2を露出させてもよい。開孔4a部分の面積が締める割合(開孔率)は、電極との接触面積とガスの供給面積のバランスなどの観点から、10〜50%が好ましく、15〜30%がより好ましい。
また、カソード側の第2金属層5は、第2電極層3を部分的に露出させる露出部を有するが、本実施形態では、カソード側金属層5には、空気中の酸素を供給(自然吸気)するための多数の開孔5aが設けられている例を示す。開孔5aは、カソード側電極層3が露出可能であれば、その個数、形状、大きさ、形成位置などは何れでもよい。カソード側金属層5の開孔5aは、例えば、規則的又はランダムに複数の円孔やスリット等を設けたり、または金属メッシュによって開孔5aを設けたり、第2金属層5を櫛形電極のような形状にしてカソード側電極層3を露出させてもよい。開孔5a部分の面積が締める割合(開孔率)は、電極との接触面積とガスの供給面積のバランスなどの観点から、10〜50%が好ましく、15〜30%がより好ましい。
金属層4,5としては、電極反応に悪影響がないものであれば何れの金属も使用でき、例えばステンレス板、ニッケル、銅、銅合金などが挙げられる。但し、導電性、コスト、形状付与性、加圧のための強度などの観点から、銅、銅合金、ステンレス板などが好ましい。また、上記の金属に金メッキなどの金属メッキを施したものでもよい。
なお、金属層4,5の厚みは、薄くするほど全体の薄型化に有効であるが、導電性、コスト、重量、形状付与性、加圧のための強度などを考慮すると、10〜1000μmが好ましく、50〜200μmがより好ましい。
本発明では、電極層2,3と金属層4,5とを良好に樹脂で一体化する観点から、第1電極層2の外周より、第1金属層4の外周が内側に形成されていることが好ましく、第2電極層3の外周より、第2金属層5の外周が内側に形成されていることが好ましい。なお、第1電極層2の外周より、第1金属層4の外周が外側に形成されていてもよく、第2電極層3の外周より、第2金属層5の外周が外側に形成されていてもよい。
金属層4及び金属層5は、少なくとも一部が樹脂から露出することにより、その部分を電極として電気を外部に取り出すことができる。このため、樹脂成形体6に対して、金属層4及び金属層5を一部露出させた端子部を設けてもよいが、本発明では、直列接続の場合には、その両端の単位セルCの金属層4又は金属層5が、単位セルCの電極となる突出部4b,5bを備え、これが樹脂成形体6から外部に出ていることが好ましい。この突出部4b,5bは、インサート成形を行う際に、金属層4,5等(積層物L)を成形型内に保持するためにも利用できる。
金属層4及び金属層5の形成や開孔5a、4aの形成は、プレス加工(プレス打ち抜き加工)を利用して行うことができる。また、金属層4及び金属層5の突出部4b,5bには、樹脂の流動や密着性を良好にする目的で、インサート成形される部分に貫通孔を設けてもよい。更に、接続や固定を良好に行うために、突出部4b,5bの露出した部分に貫通孔を設けてもよい。
本発明の燃料電池は、図2に示すように、何れかの単位セルCと他の単位セルCの導電層同士を電気的に接続する接続部Jを備えているが、直列接続の場合、何れかの単位セルCの第1導電層と他の単位セルCの第2導電層とが電気的に接続される。本実施形態では、隣り合う前記単位セルCの一方の第1導電層(金属層4)と、他方の第2導電層(金属層5)と、接続部Jとが、連続する金属板(一体化した単一の金属部品)からなる金属層で形成されている例を示す。
この実施形態では、各単位セルC1〜C4が直列に接続されているため、金属層の突出部4b,5bは、それぞれ単位セルC1と単位セルC4とにだけ設けられている。
第1金属層4及び第2金属層5を接続部Jを介して一体化した金属板は、隣り合う単位セルC同士を直列に接続するための部材である。第1金属層4及び第2金属層5を独立して配置する代わりに、この一体化した金属板を用いることにより、これを成形型10内に配置するだけで、単位セルC1〜C4が直列に接続された燃料電池を製造することができる(図5参照)。
金属板は、図2(c)に示すように、相互に平行な面内に隣接して配置された第1金属層4及び第2金属層5が、同じ面内で外側に各々延設された延出部4j,5jを有しており、延出部4j,5jを段差部4sによって連結一体化してある。このような段差部は、金属板を板金加工することで作製することができる。なお、並列接続を行う場合、例えば、同じ面内に隣接して配置された第1金属層4同士(又は第2金属層5同士)が、延設された延出部により連結一体化した金属板を使用することができる。また、接続部Jは、部分的に樹脂成形体6の外部に突出した形状となっている。
突出部4b,5bは、不図示の回路部に接続されて出力電圧として取り出すことができる。また、接続部Jについては、上記回路部に接続することで、中間的な電位のモニターを行うことができる。
この実施形態では、接続部Jが部分的に樹脂成形体6の外部に突出する形状となっているが、接続部Jが中央に段差部を有する長方形となっていてもよい。後述のように、インサート形成する際には、積層物を成形型内に位置固定する必要があり、位置固定の際には接続部Jが部分的に樹脂成形体6の外部に突出する形状であることが好ましい。
接続部Jは、隣り合う単位セルC同士を直列に接続するものであり、第1金属層4及び第2金属層5と一体化した金属板になっている。第1金属層4及び第2金属層5を独立して配置する代わりに、この金属板を用いることにより、これを成形型内に配置するだけで、単位セルCが直列に接続された燃料電池を製造することができる。
<樹脂成形体>
本発明の燃料電池は、図2に示すように、以上のような単位セルC及び接続部Jをインサート成形により一体化した樹脂成形体6を備えている。樹脂成形体6は、第1電極層2及び第2電極層3に気体又は液体を供給するための供給部を有することが好ましく、この供給部は、第1金属層4又は第2金属層5の露出部に対応する位置に設けられた開孔6aであることが好ましい。
本実施形態では、前記第1電極層2及び第2電極層3が開孔6aから露出するように、前記第1金属層4及び第2金属層5を両側から加圧した状態で、樹脂成形体6によりインサート成形して一体化してある例を示す。
本発明では、金属層4,5の露出部に相当する開孔4a,5aの大きさが、樹脂成形体6の開孔6aの大きさより、大きくてもよく、同じ大きさでもよく、小さくてもよい。但し、第1金属層4及び/又は第2金属層5の露出部の大きさと、開孔6aの大きさとがほぼ等しくなるように、樹脂成形体6を成形してあることが好ましい。具体的には、各々の開孔6aの面積は、各々の露出部の面積の60〜150%が好ましく、80〜130%がより好ましい。
本実施形態では、金属層4,5の露出部に相当する開孔4a,5aの大きさが、樹脂成形体6の開孔6aの大きさより小さい場合の例を示す。これにより金属層4,5の開孔4a,5aの周囲に対して、樹脂成形体6の開孔6aに相当する部分を利用して、成型時に加圧することができる(図5(c)参照)。
樹脂成形体6の材質としては、熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂、耐熱性樹脂などが挙げられるが、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂が好ましい。なお、熱可塑性樹脂としては、ポリカーボネート樹脂、ABS樹脂、液晶ポリマー、ポリプロピレン、ポリスチレン、アクリル樹脂、フッ素樹脂、ポリエステル、ポリアミドなどが挙げられる。熱硬化性樹脂としては、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、フェノール樹脂、アミノ樹脂、ポリウレタン樹脂、シリコーン樹脂、または熱硬化性ポリイミド樹脂等が挙げられる。なかでも、成形型内での樹脂の流動性、強度、溶融温度などの観点から、ポリエステル、ポリプロピレン、アクリル樹脂が好ましく、これらはアプリケーションによって選択することが可能である。
樹脂成形体6としては、熱可塑性エラストマーやゴム等の樹脂エラストマーを用いることも可能である。その場合、他の材料にも可とう性の有るものを使用することで、燃料電池全体を可とう性にすることが可能である。
樹脂成形体6の全体の厚みとしては、樹脂による一体化の強度や、金属層を加圧する圧力、薄型化などの観点から、0.3〜4mmが好ましく0.5〜2mmがより好ましい。特に、金属層を覆う部分の樹脂成形体6の厚みとしては、金属層を加圧する圧力の観点から、0.2〜1.5mmが好ましく、0.3〜1.0mmがより好ましい。
樹脂成形体6の外形の面積としては、樹脂による一体化の強度や、金属層を加圧する圧力の観点から、固体高分子電解質層1の外形の面積の101〜200%が好ましく、150〜180%がより好ましい。
樹脂成形体6の形状の一例を図4に示す。樹脂成形体6は、図4に示すように、開孔6aが形成される正面壁6b、この正面壁6bの左右両側に一体形成される側壁6c、底壁6dにより構成される。側壁6cと底壁6dが形成される後側に樹脂平板60を連結することで、扁平な函体とすることができる。樹脂平板60の材質は樹脂成形体6と同じとすることができ、両者の連結は接着やねじ等による機械的連結により行うことができる。
なお、扁平な函体を形成するための樹脂成形体6や樹脂平板60の形状については、単位セルの個数や大きさ等に応じて、適宜変更することができる。例えば、単位セルCがインサート成形される樹脂成形体6を平板形状とし、樹脂平板60の側を側壁および底壁付きの形状としてもよい。
本発明の燃料電池は、次のようにして燃料等を供給して発電させることができる。例えばカソード側は、そのまま大気開放にしておき、アノード側に設けた空間内で水素ガス等の燃料を発生させることで発電を行うことができる。また、アノード側及び/又はカソード側に対して、流路を形成するための流路形成部材を取り付けて、その流路に酸素含有ガスや燃料を供給することも可能である。流路形成部材としては、例えば流路溝と供給口と排出口を設けた板状体や、スタック型燃料電池のセパレータと類似の構造のものが使用できる。後者を使用するとスタック型燃料電池を構成することができる。
<燃料電池の製造方法(インサート成形)>
以上のような燃料電池は、例えば以下に示す製造方法により製造することができる。即ち、本実施形態の燃料電池の製造方法は、図5(a)〜(d)に示すように、固体高分子電解質層1、その両側に配される第1電極層2及び第2電極層3、並びにそれらの外側に配される第1導電層及び第2導電層を含む積層物Lの複数を、何れかの積層物Lと他の積層物Lの導電層同士を接続部Jにより電気的に接続した状態で成形型10内に配置する工程を含む。直列接続の場合、隣り合う積層物Lの一方の第1導電層と他方の第2導電層とが接続され、並列接続の場合、隣り合う積層物Lの一方の第1導電層と他方の第1導電層とが接続されると共に、一方の第2導電層と他方の第2導電層とが接続される。
本実施形態では、第1導電層及び第2導電層が第1電極層2及び第2電極層3を部分的に露出させる露出部(例えば開孔4a,5a)を有する第1金属層4及び第2金属層5であり、その露出部が成形型10の凸部11a,12aにより閉塞した状態で成形型10内に配置する例を示す。
単位セルCを構成する積層物Lは、その複数を同じ面内に並設してもよく、またL字型の2辺、正方形又は長方形の2辺〜4辺、三角形の2辺〜3辺などの各辺に配置してもよい。本実施形態では、2つの積層物Lを同じ面内に並設する例を示す。
また、本実施形態の燃料電池の製造方法は、上記の成形型10内に樹脂を注入することで、積層物L及び前記接続部Jを一体化する樹脂成形体6を成形する工程を含む。本実施形態では、第1金属層4及び第2金属層5を両側から加圧した状態で、その成形型10内に樹脂を注入することで、第1電極層2及び第2電極層3に気体又は液体を供給するための供給部を有し、積層物Lを一体化する樹脂成形体6を成形する工程を含む例を示す。つまり、前記供給部に相当する開孔6aを除いて、積層物Lのほぼ全体を樹脂成形体6で覆う例を示す。
まず、例えば、図5(a)に示すように、各々の単位セルCの形成領域の底面に、凸部11aを有する下金型11を準備する。本実施形態では、成形型10を分割構造にして分割した型部材の内面に凸部11a,12aを設け、その凸部11a,12aを第1金属層4及び第2金属層5圧接させる場合の例を示す。凸部11aは、積層物Lの下側の第1金属層4の開孔4aを閉塞させる大きさの上面を有し、各々の開孔4aに対向する位置に設けている。下金型11は、底面の周囲に側壁を有しており、側壁の内面に沿って上金型12が挿入できる。
下金型11(又は上金型12)には、樹脂の注入口11bが設けられているが、注入口11bは複数設けてもよい。また、成型時の樹脂の流れを良好にするために、樹脂の小排出口を1箇所以上に設けてもよい。
更に、第1金属層4及び第2金属層5の突出部4b,5bを、成形後に樹脂成形体6から露出させるために、下金型11の側壁は分割構造になっている(図示省略)。積層物Lを成形型10内に配置する際に、下金型11の側壁に設けた矩形の切欠き部に、第1金属層4及び第2金属層5の突出部4b,5bが位置決めされ、その突出部4b,5bを型部材が押さえる構造になっている。これにより、突出部4b,5bを樹脂成形体6から露出させることができる。
次に、例えば、図5(b)に示すように、積層物Lの複数を下金型11の底面に配置する。その際、各々の単位セルCの形成領域の底面に形成された凸部11aの上面が、各々の積層物Lの第1金属層4の開孔4aを閉塞可能な位置に配置する。
本実施形態では、隣り合う積層物Lの一方の第1導電層と他方の第2導電層とを接続部Jにより電気的に接続した状態で成形型10内に配置する。本実施形態では、隣り合う積層物Lの一方の第1導電層(金属層4)と、他方の第2導電層(金属層5)と、接続部Jとが、連続する金属板からなる金属層で形成されている例を示す。
積層物Lを配置する際には、各層の一部又は全部が一体化されていてもよく、一体化されていなくてもよい。また、一部が一体化されていない場合、各層を別々に配置しても、同時に配置してもよい。配置する積層物Lの構成は、前述の通りであるが、配置を行う際に、最終的な樹脂成形体6の形状の一部を予め成形した予備成形体を用いて、この予備成形体を積層物Lと共に成形型10内に配置することも可能である。
次に、例えば、図5(c)に示すように、下金型11の側壁の内面に沿って上金型12を挿入するが、上金型12の各々の単位セルCを形成する領域の下面には、凸部12aが設けてある。この凸部12aは、積層物Lの上側の第2金属層5の開孔5aを閉塞させる大きさの上面を有し、各々の開孔5aに対向する位置に設けている。そして、下金型11の凸部11aと上金型12凸部12aとで、金属層4,5を加圧した状態で、積層物Lを成形型10内に配置する。その際、第1金属層4及び第2金属層5の突出部4b,5bが成形型10の内部空間から外側に配置されるようにしてもよい。
その状態で、成形型10内に樹脂(「樹脂」には樹脂の原料液や未硬化物を含む)を注入するが、露出部(例えば開孔4a,5a)が凸部11aと凸部12aによって閉塞されているため、図5(d)に示すように、得られた成形体では第1電極層2及び第2電極層3が開孔6aから露出する。また、樹脂の注入により、固体高分子電解質層1、電極層2,3、第1金属層4及び第2金属層5を含む積層物Lの複数を、インサート成形により一体化することができる。
<燃料電池の全体構成例>
図6は、燃料電池の全体構成を示す斜視図である。単位セルC1〜C4の数は4つであり、その構成は図2で説明したものと同じである。樹脂成形体6と樹脂平板60により扁平な函体であるセル保持体Aが構成される。単位セルC1〜C4は、インサート成形により、樹脂成形体6に保持されている。このセル保持体Aの下部には水素発生装置30の水収容ケース31aが着脱自在に取り付けられる。
図7は、燃料電池の主要な構成要素を示す分解斜視図である。セル保持体Aを構成する樹脂成形体6及び樹脂平板60には、溝6eが形成される。すなわち、セル保持体Aと水収容ケース31aの装着部分に、溝6eが形成される。溝6eは、装着部分の全周にわたって形成される。この溝6eには、防水シールが設けられる。この防水シールとしては、例えば、液体状のゴムを塗布して乾燥させるなどの構成が例として挙げられる。
なお、図7に示す実施形態では、水収容ケース31aの方をセル保持体Aの外周面にはめ込むような構成を採用しているが、これに限定されるものではない。すなわち、水収容ケース31aをセル保持体Aの内周面側にはめ込むような構成を採用してもよい。この場合も、同様に防水シールを用いたシール構造を採用することが好ましい。
セル保持体Aに水素発生装置30を装着した状態において、セル保持体Aの内部空間には、水素発生装置30のうち水収容ケース31a以外の部分、すなわち、包装材35(又は水素発生剤32)、ファン33、整風カバー37等が配置される。
<燃料電池の作用>
水素発生装置30により水素を発生させて単位セルCに供給する場合、水素発生装置30をセル保持体Aの下側から装着する。装着完了したときの断面図は図8に示される。
図8に示すように、水素発生装置30をセル保持体Aに装着した状態では、セル保持体Aに保持された単位セルCと、水素発生装置30の水素発生剤32とが対向する。水素発生剤32は、内部空間形成部36及びセル保持体A(樹脂成形体6)によって形成された内部空間S内に配置されている。内部空間Sは密閉されていてもよいが、過剰に発生した水素をリークさせるための開孔や隙間等を有していてもよい。
保水材31bに保持された水は、吸水シート34に吸水され、吸水シート34の全面に浸透する。吸水シート34から水が蒸発して発生した水蒸気は、水蒸気供給路38を介して内部空間Sの全体に拡散して行き、疎水性多孔質膜35aを介して水素発生剤32に水蒸気が供給される。
本発明の水素発生装置30は、ファン33を備えており、吸水シート34から発生した水蒸気を流動させることができる。水蒸気を流動させることで、吸水シート34からの水の蒸発を促進させることができる。また、このファン33は、送風量を調節することで、水蒸気の発生量を多くしたり少なくしたりすることができる。水蒸気の発生量を制御することにより、水素発生剤32への水蒸気の供給量も制御することができる。なお、水蒸気の発生量は、吸水シート34の材質、サイズ、厚みなどによっても変化するので、これらも適宜設定する必要がある。
水素発生剤32は、供給された水蒸気との反応により水素を発生し、その水素が疎水性多孔質膜35aを介して内部空間Sに放出される。この水素が、単位セルCの一方の表面から供給され、他方の表面から空気中の酸素が供給されるため、各々の電極で電極反応が生じて発電を行うことができる。発電は、水蒸気の発生が終了するか、水素発生剤が消費されるまで継続して終了する。
なお、ファン33は、燃料電池で発電された電力によって作動するが、燃料電池による発電の開始時には、電力が供給されず作動することができない。ファン33が作動されないと、吸水シート34から発生した水蒸気は、内部空間Sの全体に徐々に拡散して行き、水素発生剤32に供給される。この構成であれば、燃料電池による発電はゆっくりと開始され、立ち上がりが良くない。
そこで、本発明に係る給電装置は、燃料電池による発電初期にファン33に電力を供給する補助電池(不図示)を備えることが好ましい。補助電池の電力によってファン33を作動させることで、燃料電池による発電の開始時に強制的に水蒸気を水素発生剤32に供給し、速やかに発電を開始することができる。ただし、補助電池は、必ずしも必要ではない。
また、本発明の水素発生装置30において、水蒸気供給路38に逆止弁(不図示)を設けていることが好ましい。水蒸気供給路38に逆止弁を設けることで、水蒸気が水蒸気供給路38を逆流して水収容部31に戻ることを防止することができる。水蒸気の逆流を防止することで、水素発生剤32に供給される水蒸気の量を制御し、水素の発生量を正確に制御することができる。
<水素発生装置の別実施形態>
前述の実施形態では、ファン33が吸水シート34に対して直接送風し、水蒸気を流動させる例を示したが、ファン33は、吸水シート34に対して直接送風しなくてもよい。具体的には、図9のようにファン33を配置してもよい。この例では、ファン33は、吸水シート34から自然に発生した水蒸気を空間内で流動させるのみで、吸水シート34に直接風を当てることはない。このような構成であっても、水蒸気を流動させることで、吸水シート34からの水の蒸発を促進させ、水蒸気の発生量を制御することができる。
また、前述の実施形態では、吸水シート34が筒状部34bを有する例を示したが、給水シート34はこの形状に限定されるものではない。すなわち、給水シート34の形状およびファン33の配置を図10に示すようにしてもよい。図10は水素発生装置の別実施形態を示しており、(a)は斜視図、(b)は(a)のI−I断面図である。なお、図10では、水素発生剤32は省略しており、図示していない。この例では、ファン33は水収容部31内の中央に配置され、その周囲を取り囲むように保水材31bが配置される。図10に示すように、メッシュ状をした吸水シート34は、ファン33の上部を覆い、その4辺の端部34aが保水材31bに接するように構成される。吸水シート34は、吸水性を有しており、端部34aが保水材31bの水に接することで吸水し、メッシュ状の吸水シート34の全面に水が浸透する。この構成によれば、ファン33は、メッシュ状の吸水シート34の下方から送風するので、吸水シート34からの水の蒸発を促進することができる。
また、前述の実施形態では、吸水シート34から発生した水蒸気をファン33で流動させることで水蒸気の発生量を制御する構成する例を示したが、本発明では、例えば、超音波発振子などを利用して水収容部31から発生した霧をファンで流動させ、霧が気化した水蒸気の量を制御する構成でもよい。
<発電セルの別実施形態>
(1)前述の実施形態では、直列接続した複数の単位セルにより発電セルを構成する例を示したが、本発明では、単数の単位セルにより発電セルを構成してもよい。また、複数の単位セルを並列に接続してもよい。
(2)前述の実施形態では、固体高分子電解質層1、電極層2,3、第1金属層4及び第2金属層5をインサート形成により一体化して単位セルCを形成する例を示したが、第1金属層4と第2金属層5とをより面積の広いものにして、絶縁材を介在させつつ両者の周囲部分をカシメにより封止した構造の単位セルCを用いてもよい。このようなカシメ構造の単位セルCについては、例えば、国際公開公報WO2005/050766号公報に開示されており、カシメ封止を行うための製造方法及び製造設備については、例えば、特開2006−86041号公報に開示される技術を用いることができる。
このようなカシメ構造の単位セルCは、必要によりその複数を電気的に接続した後に、インサート形成等により、セル保持体と一体化されて、板状の発電セルを形成することができる。板状の発電セルは、図2に示すものと同様にして本発明に使用することができる。
<アンモニア除去剤について>
本発明では、水素発生剤32より発生した水素から、不純物であるアンモニアを除去するために、内部空間Sにアンモニア除去剤を設けてもよい。具体的には、シート状のアンモニア除去剤を包装された水素発生剤32と重ねて配置することができる。このようなアンモニア除去剤は、シート状に形成されたものが市販されているが、粒状の吸着剤等を通気性の袋に収容したものを使用することも可能である。
アンモニア除去剤としては、例えば、水素中のアンモニアを吸着除去する吸着剤(吸着・分解や反応吸着などの化学吸着を含む)、アンモニアを溶解除去する吸収剤、アンモニアを反応により除去する反応剤、アンモニアを分解(加熱分解・触媒反応分解等)により除去する分解手段、などが挙げられるが、アンモニアを物理吸着又は化学吸着により除去する吸着剤を備えることが好ましい。
<回路構成など>
本発明の燃料電池は、更に昇圧や電流制御のための電子回路を設けてもよい。例えば、各単位セルCによる出力電圧は、DC−DCコンバータ(昇圧回路に相当)により所定の電圧にまで昇圧するのが好ましい。回路部には、安定化回路などが備えられており、適切な出力電圧や出力電流を供給できるように制御がなされる。更に、コンバータの下流側に付加される回路部を介して、電源供給端子から外部機器、携帯電話などに電源供給がされる。
以下、本発明の水素発生装置の構成と効果を具体的に示す実施例等について説明する。
(実施例1)
上記の実施形態で説明した、吸水シート34の筒状部34bに送風することのできるファン33を備える水素発生装置30を用いて、水蒸気の発生量(蒸発量)を調べた。また、発生した水蒸気を水素発生剤32に供給し、水素の発生量を調べた。
水素発生剤32としては、水素化カルシウムを樹脂で包埋した粉砕物1.2gを用いた。なお、以下の比較例においても、同様の水素発生剤32を用いた。
(比較例1)
比較例1では、上記の実施例1と同様の水素発生装置30を用いて、水蒸気の発生量を調べた。ただし、比較例1では、ファン33を作動させず、吸水シート34から自然に水蒸気を発生させた。
(実施例2)
実施例2の水素発生装置は、実施例1と同様のファン33を備えるが、ファン33の配置を変化させた。具体的には、図9で示した水素発生装置を用い、ファン33は、吸水シート34に対して直接送風することなく、吸水シート34から自然に発生した水蒸気を空間内で流動させる役割のみを果たすようにした。このときの水素の発生量を調べた。
実施例1と比較例1における時間経過に伴う水蒸気発生量の結果を図11に示す。図11(a)は、縦軸が蒸発量(cc)、横軸が時間(分)であり、図11(b)では、縦軸が総蒸発量(cc)、横軸が時間(分)である。実施例1では、ファンを連続的に作動させ、比較例1では、ファンを停止させたままとした。この結果から、ファンを作動させることで水蒸気の発生量は大きく増加し、ファンは水の蒸発を促進させる効果があることが分かる。
実施例1における水素発生量の結果を図12に示す。実施例2における水素発生量の結果を図13に示す。なお、図12,図13では、水素発生量を流速(cc/min)として表しており、縦軸が流速、横軸が時間(分)である。実施例1および実施例2では、図12および図13に示すように、ファンのオンオフを繰り返し行なった。これらの結果から、実施例1、実施例2ともに、ファンをオンにすることで水素発生量が増加することが分かる。すなわち、ファンで水蒸気を流動させることで、水の蒸発を促進させ、水蒸気の発生量を制御し、その結果、水素発生量を制御することができることが分かる。また、実施例1の水素発生装置は、実施例2の水素発生装置に比べ、水素発生量が多いことが分かる。
本発明の水素発生装置の一例を示す図であり、(a)平面図、(b)は(a)のI−I断面図である。 燃料電池の一例を示す図であり、(a)は斜視図、(b)は平面図、(c)は金属板の構成を示す斜視図である。 燃料電池の一例を示す図であり、(a)は図2(b)のI−I断面図、図3(b)は同じくII−II断面図である。 樹脂成形体と樹脂平板の構成を示す図である。 本発明の燃料電池の製造方法の一例を示す正面視断面図である。 燃料電池の全体構成を示す斜視図である。 図6に示す燃料電池の構成要素を示す分解斜視図である。 本発明の燃料電池の内部構造を示す縦断面図である。 別実施形態の水素発生装置の一例を示す図であり、a)は平面図、(b)は(a)のI−I断面図である。 別実施形態の水素発生装置の一例を示す図であり、a)は斜視図、(b)は(a)のI−I断面図である。 実施例1と比較例1における水蒸気発生量の結果を示す図である。 実施例1における水素発生量の結果を示す図である。 実施例2における水素発生量の結果を示す図である。
符号の説明
1 固体高分子電解質層
2 アノード側電極層
3 カソード側電極層
4 アノード側金属層
5 カソード側金属層
6 樹脂成形体
30 水素発生装置
31 水収容部
31a 水収容ケース
31b 保水材
32 水素発生剤
33 ファン
34 吸水シート
34a 端部
34b 筒状部
37 整風カバー
38 水蒸気供給路
60 樹脂平板
C 単位セル

Claims (7)

  1. 燃料電池に供給するための水素を発生する水素発生装置であって、
    水を収容する水収容部と、
    この水が気化した水蒸気と反応して水素を発生する水素発生剤と、
    前記水蒸気を流動させる送風手段と、を備える水素発生装置。
  2. 前記送風手段は、送風量によって前記水蒸気の発生量を制御する蒸発量制御機能を有する請求項1に記載の水素発生装置。
  3. 前記水収容部には、収容された水に一部が接する吸水性のシート状部材が設けられ、
    前記送風手段は、前記シート状部材に送風する請求項1又は2に記載の水素発生装置。
  4. 前記シート状部材は、筒状部を有し、
    前記送風手段は、前記筒状部内に送風する請求項3に記載の水素発生装置。
  5. 前記水素発生剤に前記水蒸気を供給する水蒸気供給路に逆止弁を設けている請求項1〜4のいずれかに記載の水素発生装置。
  6. 請求項1〜5のいずれかに記載の水素発生装置と、
    この水素発生装置により発生した水素が供給されて発電を行なう燃料電池と、
    この燃料電池による発電初期に前記送風手段に電力を供給する補助電池と、を備える給電装置。
  7. 燃料電池に供給するための水素を発生させる水素発生方法であって、
    送風により水からの水蒸気の発生を促進しながら、水素発生剤と前記水蒸気とを反応させて水素を発生させる水素発生方法。
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JP2013120639A (ja) * 2011-12-06 2013-06-17 Konica Minolta Inc 燃料電池システム
JP2013254744A (ja) * 2009-12-14 2013-12-19 Industrial Technology Research Institute 電源装置
JP2015086129A (ja) * 2013-10-30 2015-05-07 中強光電股▲ふん▼有限公司 燃料処理装置及びその水素ガス高純度化装置
JP2021512836A (ja) * 2018-02-13 2021-05-20 “アポロン ソラー” 水素を生産するための携帯型装置とそれの使用

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