JP2010141942A - 積層コア、積層コアの製造方法、ロータ、ステータおよびコア部材シート - Google Patents

積層コア、積層コアの製造方法、ロータ、ステータおよびコア部材シート Download PDF

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Abstract

【課題】磁気性能が優れ、生産性のよい積層コアを得ることを目的とする。
【解決手段】積層コア1は、磁性板材101であるコア部材2を複数枚積層することによって構成されている。コア部材2の輪郭を形成する面は、エッチング処理にて形成されるエッチング加工面5と、輪郭を形成する面の複数箇所に点在するせん断切り口面6とから成る。そして、せん断切り口面6は、板厚方向の厚みが磁性板材101の板厚より薄くなるように形成されている。
【選択図】図1

Description

この発明は、モータ、発電機等に使用される磁性板材であるコア部材を積層した積層コア、積層コアの製造方法、ロータ、ステータおよび、磁性板材にコア部材を備えたコア部材シートに関するものである。
従来の積層鉄心の製造方法では、打ち抜く鉄心用薄板部にかしめ用突起およびかしめ用凹溝などの所望の型抜き加工を施した後、外径打抜きパンチによって鉄心用薄板部が打ち抜かれて金型内へ順次抜き込まれることにより、先に抜き込まれた鉄心のかしめ用凹溝へ後から抜き込まれた鉄心のかしめ用突起が圧入状態で嵌合されてかしめ結合される(例えば、特許文献1参照)。
また、コア部材に接着剤を塗布して積層する製造装置が示されており、薄肉鋼板の上下面の所定位置に接着剤をスポット状に塗布する接着剤塗布機構と、プレス成形機によって所定形状に打ち抜かれた接着剤付きの各コア材を順次積み重ね収容しながら接着固定する収容保持機構とを備えている(例えば、特許文献2参照)。
また、エッチング技術を利用した非晶質金属薄板の加工法が示されており、連続して供給される複数の非晶質金属帯板に並行してエッチング処理により同一の加工パターンの加工を施し、エッチング加工した帯板に接着液を塗着し位置合わせをした後接着して積層し、結合片で帯板に結合されている鉄心部をパンチで切り離している(例えば、特許文献3参照)。
特許第3294348号(段落番号[0006]〜[0010]、図5等) 特開2001−321850号(段落番号[0009]、図1等) 特公平7−63211号(第2〜3頁、図2、図3等)
近年、モータ機器への省エネルギー化・高効率化のニーズが高まり、これを背景として、上記従来の積層コアの製造方法の課題が指摘されている。
例えば従来から積層コアの製造方法として用いられている抜きかしめ工法は、コア部材の表裏面にプレス成形で凹凸部を設け、加圧しながらかしめるので、コア部材の凹凸付近に加工歪が生じるとともに、電磁鋼板に予めコーティングされている絶縁皮膜が破れて積層間が短絡するなどの問題があった。これにより積層コアの磁気特性が劣化し、モータ機器の高効率化を妨げるという問題が以前から指摘されている。
また、コア部材を接着剤で固定する方法があり、これによりコア部材の凹凸付近の加工歪や絶縁皮膜の破れなどをある程度抑制することができる。しかし、コア部材の輪郭の形成方法そのものがプレス打抜きであるため、プレスによるせん断切り口面近傍には加工歪が生じるとともに、カエリが面外に発生して積層間が短絡するという問題がある。また、プレス時の加工歪による反りやカエリは、積層コアの組立精度悪化や積層隙間拡大の要因となり、モータ駆動時に騒音や振動が発生するなどの問題もある。
また、プレス時の加工歪やカエリの発生を抑制するコア部材の輪郭の形成方法として、エッチング加工法がある。しかし、従来のエッチング加工法のように、コア部材の輪郭に部分的にエッチングを施し、残り部分をプレスで打ち抜き加工する場合には、打ち抜き部分についてはカエリが面外に発生するとともに、各加工部片の積層時の位置合わせが複雑であり、また、コア部材以外の不要な部分が多く生産性が低いという問題があった。
また、コア部材の輪郭全体をエッチング加工する場合には、エッチング加工工程で各コア部材がばらばらに分離されるため、エッチング加工工程から積層工程への複数のコア部材の搬送や、その際の位置決めなどが複雑になり、生産性が低いという問題点がある。
また、その他の輪郭の形成方法として、レーザ加工、ワイヤカット放電加工も考えられるが、レーザ加工では切り口面近傍の加工劣化が発生し、ワイヤカット放電加工では生産性が低く試作にしか適用できないとういう課題がある。
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたもので、コア部材の切り口面近傍の加工劣化がなく磁気性能が優れた積層コア、ロータ、ステータ、および生産性を向上させる積層コアの製造方法、コア部材シートを提供することを目的とする。
この発明の積層コアは、磁性板材であるコア部材を複数枚積み重ねて形成する積層コアである。コア部材の輪郭を形成する面は、エッチング処理にて形成されるエッチング加工面と、輪郭を形成する面の複数箇所に点在するせん断切り口面とから成る。そして、せん断切り口面の板厚方向の厚みは、磁性板材の板厚より薄いものである。
また、この発明の積層コアの製造方法は、磁性板材であるコア部材を複数枚積み重ねて形成する積層コアの製造方法である。そして、磁性板材に複数個のコア部材を各コア部材を支持する支持部材を介して複数列に連結させた形状にエッチングするエッチング加工工程と、各コア部材を支持部材にて磁性板材から切断するせん断加工工程と、切断された各コア部材を積層・固定する積層固定工程とを備えている。
また、この発明のコア部材シートは、磁性板材にエッチング加工を施して形成されるコア部材シートである。コア部材シートは複数個のコア部材と各コア部材を支持する支持部材とを備えており、各コア部材が支持部材を介して複数列に連結されている。
この発明の積層コアによれば、せん断切り口面の板厚方向の厚みが磁性板材の板厚より薄いため、せん断切り口面近傍に板厚外にはみ出るカエリが発生せず、積層間の短絡を防止するとともに、積層隙間を低減することができる。
また、この発明の積層コアの製造方法によれば、磁性板材に複数個のコア部材を各コア部材を支持する支持部材を介して複数列に連結させた形状にエッチングするため、各コア部材が切断、積層される工程まで効率よく搬送され、積層コアを生産性よく製造することができる。また、製造時の無駄な捨て材料がなく材料歩留まり率が向上する。
また、この発明のコア部材シートによれば、各コア部材が支持部材を介して複数列に連結されているため、各コア部材が、切断・積層される直前までコア部材シートに連結された状態で効率よく搬送され、積層コアを生産性よく製造することができる。また、製造時の無駄な捨て材料がなく材料歩留まり率が向上する。
実施の形態1.
図1はこの発明の実施の形態1における積層コアの構造図である。図1(a)はこの発明の実施の形態1における積層コアの構造を示す斜視図、図1(b)は図1(a)に示すA部分の拡大図、図1(c)は図1(a)および(b)の平面図である。
図に示すように、積層コア1は厚さが約1mm以下の鉄板や電磁鋼板等の磁性板材であるコア部材2を複数枚積層することにより構成される。コア部材2は、中央に1個の円形穴3が設けられ、またこのコア部材2の外周側には、後述する磁石収納用の穴4が周方向等間隔に4個形成されている。コア部材2の輪郭を形成する面は、後述するエッチング処理にて形成されるエッチング加工面5と、輪郭を形成する面の複数箇所に点在するせん断切り口面6とから成る。エッチング加工面5は、コア部材2の輪郭を形成する面の大半を占めており、せん断切り口面6以外の部分はエッチング加工面5である。せん断切り口面6は隣り合う穴4間の中心線上の最外周面に配置され、本実施の形態1では全部で4箇所に設けられている。そして、せん断切り口面6の輪郭方向(周方向)両側には切欠き60が形成されている。また、せん断切り口面6の板厚方向の厚みは磁性板材の板厚より薄く、本実施の形態ではその厚みを磁性板材の80%以下と設定している。さらに図1(c)に示すように、せん断切り口面6は輪郭方向に隣接する両隣のエッチング加工面5より内側に形成されている(図1(c)紙面下側の拡大図参照)。
なお、本実施の形態1ではせん断切り口面6の位置を隣り合う穴4間の中心線上の最外周面に4箇所均等に配置して、より磁気特性等に影響を与えない設計としたが、せん断切り口面6の位置や場所は必ずしもこれに限られるものではなく、必要に応じて適宜変更してもよい。
次に、積層コア1の製造方法の例について説明する。まずコア部材2の輪郭を形成するまでのエッチング加工工程を説明する。図2はエッチング加工工程を簡易的に示す工程図、図3はエッチング加工工程で得られるコア部材シート7の平面図、図4はコア部材シート7からコア部材2が切断される様子を示す概念図である。
図2に示すように板材ロール100は厚みが1mm以下の鉄板や電磁鋼板等からなる帯状の磁性板材101をロール状に巻いたものであり、絶縁コーティングされていない状態で材料メーカから入手したものである。板材ロール100から送り出された磁性板材101は、まず洗浄工程102にて洗浄される。洗浄された磁性板材101はレジスト感光膜塗布工程103に送られ、磁性板材101の金属面の両面にレジスト感光膜が塗布される。その後磁性板材101は露光工程104に送られて、あらかじめ作成されているエッチング描画パターンマスクを用いて露光され、磁性板材101の感光膜上に上記パターンが転写される。次に磁性板材101が現像工程105へ送られると、パターンが転写された磁性板材101の感光膜は未露光の不要部分が現像処理により除去される。この磁性板材101がエッチング処理工程106へ送られ、エッチング液が当てられると、感光膜がない金属が露出した部分が溶解して除去され、磁性板材101上にコア部材2を含む必要な部分が残る。次に磁性板材101は剥離工程107へ送られ、磁性板材101上の必要な部分に残ったレジスト感光膜が除去される。その後磁性板材101は絶縁処理工程108へ送られ、絶縁被膜でコーティング処理される。最後に、帯状の磁性板材101は送り機構109で送られ、切断機110により所定位置で切断され、コア部材シート7が形成される。このような工程でコア部材シート7が複数枚蓄積される。
図3に示すように、エッチング加工工程で得られたコア部材シート7には複数のコア部材2が形成されている。コア部材2はコア部材2を支持する薄肉の支持部材8を介して枠部材9または隣接するコア部材2とマトリクス的に複数列連結されている。コア部材シート7上の各コア部材2は、図4の概念図に示すように、後述するせん断加工工程にて切断されていく。
ここで、上記エッチング加工工程で使用されたエッチング描画パターンマスクは図3に示すコア部材シート7を形成するようなパターンマスクである。従って上述した磁性板材101上に残った必要な部分とは、コア部材シート7のコア部材2、支持部材8および枠部材9である。
エッチング加工では板厚以下の隙間を打ち抜いたり、板厚以下の幅を残すように打ち抜いたりする加工が可能であるため、本実施の形態1では支持部材8の長さを板厚以下に設定している。これにより磁性板材101の材料歩留まり率を向上させることができる。また、後述のとおり、支持部材8は、板厚が磁性板材101の板厚より薄くなるように、段付きのエッチング加工(ハーフエッチング加工)が施されている(図6参照)。
なお、コア部材シート7上でのコア部材2、支持部材8の配置は本実施の形態1の配置に限られるものではなく、複数のコア部材2を支持部材8で効率よく連結するような構成であれば配置場所や個数を変更してもよい。
次に、コア部材シート7からコア部材2を切断するせん断加工工程および切断したコア部材2を積層して積層コア1を形成する積層固定工程について説明する。図5はコア部材シート7からコア部材2を切断・積層する装置を示す図である。図6は一般的なせん断加工における加工後の非加工材10の状態を説明する説明図であり、本実施の形態1のせん断加工と比較するためのもである。また図7は本実施の形態1におけるせん断加工工程を説明する斜視図およびその要部断面図である。
図5に示すように、装置200の直交ロボット201は、エッチング加工工程で複数蓄積されたコア部材シート7を1枚取り出して把持し、把持したコア部材シート7をXY2軸方向自在に所定位置まで移動させる。コア部材シート7の位置が決定すると、接着剤塗布ディスペンサ202により、所定のコア部材2の下面に接着剤が塗布される。続いて、直交ロボット201により、接着剤が塗布されたコア部材2がパンチ203の直下になるようにコア部材シート7が位置決めされる。そして、パンチ203が下降してコア部材2をコア部材シート7から切断する。コア部材シート7から切り離されたコア部材2はダイを含む積層ユニット204内に積層されながら接着固定されて積層コア1が形成される。なお、図中矢印は直交ロボット等各部分の移動方向を示している。
パンチ203は、小型の簡易プレス等から構成されており、コア部材シート7からコア部材2を切断する際はせん断加工が行われる。以下、せん断加工工程の一例を詳しく説明する。
まず、本実施の形態1と比較するために、一般的なせん断加工による加工後の非加工材10の状態について図6を参照して説明する。図6(a)は非加工材10のせん断切り口面11の断面図、図6(b)は図6(a)に対応するせん断切り口面11の正面図である。図中矢印の向きは、非加工材10を切断するパンチ等(図示せず)の進行方向である。図6に示すように、一般的なせん断切り口面11は主にせん断面11Aと破断面11Bとからなる。そして、パンチの進入側(図中上側)にはダレ11Cが、パンチの逃げ側(図中下側)には非加工材10の板厚からはみ出るような形状のカエリ11Dが生じる。
次に、図7に基づき本実施の形態1におけるせん断加工工程について詳述する。図7(a)は2個のコア部材2A、2Bが薄肉の支持部材8でつながった状態、図7(b)は一方のコア部材2Aがパンチ203の下降により切断された状態、図7(c)は下降したパンチ203が上昇することにより他方のコア部材2Bに残っていた薄肉の支持部材8が切断された状態を示し、図中矢印の向きはパンチ203の進行方向である。
図7(a)に示すように支持部材8は、その板厚があらかじめコア部材2の板厚(磁性板材101の板厚)より薄くなるように段付きのエッチング加工が施された薄肉の支持部材8である。この段付きのエッチング加工であるハーフエッチング加工は、例えば両面からのエッチング加工において薄肉の支持部材8の部分は片面だけエッチングすることにより施したり、エッチング加工の条件を変えてエッチング量を制御すること等により施されたものである。また、支持部材8の輪郭方向(周方向)両側には切欠き60(図1(b)参照)もエッチング加工により施されている。
図7(b)に示すようにパンチ203が下降し、一方のコア部材2Aがコア部材2Bから切断される。その際、薄肉の支持部材8のパンチ203の逃げ側にはカエリ8Aが生じる。しかしコア部材2A側は、支持部材8の板厚がコア部材2Aの板厚より薄いため、コア部材2Aの板厚の中央部でカエリが吸収され、板厚外へはみ出るようなカエリは生じない。
なお、切断時に支持部材8の切断を、輪郭方向に隣接するエッチング加工面5より内側で切断することにより、せん断切り口面6を輪郭方向に隣接するエッチング加工面5より内側に形成する(図1(c)参照)。この時、せん断切り口面6の積層方向側に形成されているエッチング加工面5Aは(図1(b)参照)、支持部材8の輪郭方向に隣接するエッチング加工面5より内側になるようエッチング加工されている。
次に図7(c)に示すようにパンチ203が上昇し、他方のコア部材2Bに残っていた薄肉の支持部材8が切断される。その際、薄肉の支持部材8のパンチの進入側にはカエリ8Bが生じる。しかしコア部材2B側は、支持部材8の板厚がコア部材2Bの板厚より薄いため、コア部材2Bの板厚の中央部でカエリが吸収され、板厚外へはみ出るようなカエリは生じない。
結果として、切断されたコア部材2の輪郭を形成する面の大半はエッチング加工面5で占められ、薄肉の支持部材8と連結していたわずかな部分にのみ、カエリのないせん断切り口面6が存する。
なお、本実施の形態1では、支持部材8の板厚方向の厚みは磁性板材101の板厚の80%以下程度にエッチング加工されている。一般的に、簡易プレス等のパンチとダイとのクリアランス(隙間)は被加工材の板厚の数%であり、カエリの量はこの割合と同等程度また、この割合を少し超える程度生じるとされている。従って、支持部材8の板厚方向の厚みを磁性板材101の板厚の80%以下にすることにより、コア部材2の板厚外へのカエリの発生をより確実に防止することができる。
上述のようにして製造された積層コア1の使用例を図8に示す。図8は積層コア1を用いたロータを示す斜視図である。
図に示すように、積層コア1の各穴4には磁石12が挿入されており、磁石内蔵型のロータ13が形成される。
以上のように、本実施の形態1では、コア部材の輪郭を形成する面の内、薄肉の支持部材と連結していたわずかな部分に存在するせん断切り口面の板厚方向の厚みが磁性板材の板厚より薄いため、このせん断切り口面には、板厚外へはみ出るようなカエリが生じない。これにより、カエリによる積層間の短絡を防止するとともに、積層隙間を低減し、組立精度の高い積層コア、ロータを得ることができる。そして、これにより騒音や振動の少ないモータを実現することができ、モータのエネルギー消費量を削減することができる。また、せん断切り口面の厚みが薄いことによりせん断による磁性板材の磁気的劣化も防止することがきる。さらに、せん断切り口面の厚みを薄くすることで、よりエッチング加工面の割合が増加し、コア部材の形成時の加工歪が少ない積層コア、ロータを得ることができる。
また、支持部材により複数のコア部材をマトリクス的に複数列に連結するようにエッチング加工して形成したコア部材シートを使用することで、各コア部材が切断、積層される直前まで、コア部材シートに連結された状態で効率よく搬送されるとともに、各コア部材が簡易プレス等でせん断加工されることにより容易に積層されるため、積層コアおよびロータを生産性よく製造することができる。
また、支持部材は板厚が薄く、その輪郭方向両側に切欠きを設けているため、パンチ等によるせん断加工時に、応力が切欠き部分に集中して切断が容易に行える。さらに、せん断切り口面が輪郭方向に隣接するエッチング加工面より内側となるように切断されるため、ロータとステータとの間のエアギャップにカエリが飛び出すことを確実に防止することができる。従って、ロータとステータとの接触を防止できるとともに、部分的にエアギャップが縮まることがないため、磁気的不均一から発生する回転振動を抑制することができる。
また、エッチング加工では板厚以下の幅の部材を残すように打ち抜いたりする細かい加工が可能であるため、支持部材の長さを短くしコア部材間の隙間を小さくすることにより、製造時の無駄な捨て材料がなく材料歩留まり率が向上する。また、エッチング加工により細い幅の形状部位も加工歪なく形成することができるため、強度の高い積層コア、ロータを製造することができる。
実施の形態2.
上記実施の形態1では、コア部材が略円形状の場合について説明したが、例えば略T字形状のコア部材においても本発明を適用することができる。
図9はこの発明の実施の形態2における積層コア20の構造を示す斜視図である。図において積層コア20は磁性板材であるコア部材21を複数枚積層して形成され、コア部材21は、ヨーク部22と、ヨーク部22から略直交方向に突出したティース部23と、ティース部23の先端に位置するティース先端部23Aを有する略T字形状を成している。コア部材21の輪郭を形成する面は、その大半を占めるエッチング加工面24と、複数箇所に点在するせん断切り口面25とから成る。本実施の形態2では、ヨーク部22においてティース部23と反対側の面にせん断切り口面25A、ティース部23の側面にせん断切り口面25Bを形成している。
せん断切り口面25A、25Bの形状は実施の形態1と同様であるため省略する(図1(b)、図1(c)参照)。
積層コア20の製造方法も実施の形態1と同様であるが、本実施の形態2では、略T字形状のコア部材を含むコア部材シートを形成するようなエッチング描画パターンマスクが使用される。図10は本実施の形態2におけるエッチング加工工程で得られるコア部材シート26の平面図である。
図に示すように、コア部材シート26には複数の略T字形状のコア部材21が形成されている。コア部材21は薄肉の支持部材27を介して枠部材28および隣接するコア部材21とマトリクス的に連結されている。本実施の形態2では、コア部材21はほぼ一直線上のクシ歯状に複数列配置され、各列のクシ歯が噛み合うように向きを交互にして配置されている。薄肉の支持部材27Aは各コア部材21のティース部23側面に形成され、隣接するコア部材21のティース部23同士を連結している。薄肉の支持部材27Bは各コア部材21のヨーク部22においてティース部23と反対側の面に形成され、隣接するコア部材21のヨーク部同士、および枠部材28とコア部材21とを連結している。また、薄肉の支持部材27Cは各列の端に配置されるコア部材21のヨーク部22端面に形成され、枠部材28とコア部材21とを連結している。
なお、本実施の形態2でも、上記実施の形態1と同様、磁性板材の材料歩留まりを高くするため、支持部材27(27A〜27C)の長さをできるだけ短く設定している。コア部材21の配置により支持部材27の長さを板厚以下に設定することもでき、コア部材シート26上でのコア部材21、支持部材27の配置は本実施の形態2の配置に限られるものではない。
このコア部材シート26上に薄肉の支持部材27A〜27Cで連結されて形成されるコア部材21は、裏面に接着剤を塗布されながら、薄肉の支持部材27A〜27Cにて小型の簡易プレス等で切断され、さらに積層、固定されることにより積層コア20が得られる。
次に、この積層コア20の使用例を図11に示す。図11は積層コア20を用いたステータ29を示す平面図である。図に示すように、ステータ29は複数個の積層コア20のヨーク部22の両端部を合わせて環状に配列し、溶接、接着、または金属フレームへの焼きばめ等で各積層コアを固定することにより形成されている。各積層コア20のティース部23にはインシュレータ30が装着され、インシュレータ30を介してティース部23にコイル31(図中省略)が巻回されている。なお、本実施の形態2では略T字形状のコア部材21を9個使用してステータ29を形成したがこれに限られるものではない。
以上のように、本実施の形態2では、コア部材の輪郭を形成する面の内、薄肉の支持部材と連結していたわずかな部分に存在するせん断切り口面の板厚方向の厚みが磁性板材の板厚より薄いため、このせん断切り口面には、板厚外へはみ出るようなカエリが生じない。これにより、カエリによる積層間の短絡を防止するとともに、積層隙間を低減し、組立精度の高い積層コア、ステータを得ることができる。そして、これにより騒音や振動の少ないモータを実現することができ、モータのエネルギー消費量を削減することができる。また、せん断切り口面の厚みが薄いことによりせん断による磁性板材の磁気的劣化も防止することがきる。さらに、せん断切り口面の厚みを薄くすることで、よりエッチング加工面の割合が増加し、コア部材の形成時の加工歪が少ない積層コア、ステータを得ることができる。
また、支持部材により複数のコア部材をマトリクス的に複数列に連結するようにエッチング加工して形成したコア部材シートを使用することで、各コア部材が切断、積層される直前まで、コア部材シートに連結された状態で効率よく搬送されるとともに、各コア部材が簡易プレス等でせん断加工されることにより容易に積層されるため、積層コアおよびステータを生産性よく製造することができる。
また、支持部材は板厚が薄く、その輪郭方向両側に切欠きを設けているため、パンチ等によるせん断加工時に、応力が切欠き部分に集中して切断が容易に行える。さらに、せん断切り口面が輪郭方向に隣接するエッチング加工面より内側となるように切断されるため、環状に配置した積層コアを金属フレームへ焼きばめ等することにより固定する場合や、ティース部にインシュレータを装着する際に、精度よく組み立てることができる。
また、エッチング加工では板厚以下の幅の部材を残すように打ち抜いたりする細かい加工が可能であるため、支持部材の長さを短くしコア部材間の隙間を小さくすることにより、製造時の無駄な捨て材料がなく材料歩留まり率が向上する。また、エッチング加工により細い幅の形状部位も加工歪なく形成することができるため、強度の高い積層コア、ステータを製造することができる。
実施の形態3.
上記実施の形態2では、コア部材が略T字形状のコア部材の場合について説明したが、例えば、略T字形状をほぼ一直線上に複数連結したクシ歯形状のコア部材においても本発明を適用することができる。
図12はこの発明の実施の形態3における積層コア40の構造を示す斜視図である。図において積層コア40は磁性板材であるコア部材41を複数枚積層して形成され、コア部材41は、ヨーク部42と、ヨーク部42から略直交方向に突出したティース部43と、ティース部43の先端に位置するティース先端部43Aとを有する略T字形状をほぼ一直線上に複数連結したクシ歯形状を成している。コア部材41の輪郭を形成する面は、その大半を占めるエッチング加工面44と、複数箇所に点在するせん断切り口面45とから成る。本実施の形態3では、ヨーク部42においてティース部43と反対側の面にせん断切り口面45A、ティース部43の側面にせん断切り口面45Bを形成している。せん断切り口面45A、45B以外の輪郭を形成する面はエッチング加工面44である。
せん断切り口面45A、45Bの形状は実施の形態1と同様であるため省略する(図1(b)、図1(c)参照)。
積層コア40の製造方法も実施の形態1と同様であるが、本実施の形態3では、略T字形状をほぼ一直線上に複数連結したクシ歯形状のコア部材を含むコア部材シートを形成するようなエッチング描画パターンマスクが使用される。図13は本実施の形態3におけるエッチング加工工程で得られるコア部材シート46の平面図である。
図に示すように、コア部材シート46には略T字形状をほぼ一直線上に複数連結したクシ歯形状のコア部材41が複数列形成されている。各コア部材41は薄肉の支持部材47を介して枠部材48および隣接するコア部材41と連結されている。本実施の形態3では、各コア部材41のクシ歯が噛み合うように、向きを交互にして配列されている。薄肉の支持部材47Aはコア部材41の所定のティース部43の側面に形成され、隣接するコア部材41のティース部43同士を連結している。薄肉の支持部材47Bは所定のヨーク部42においてティース部43と反対側の面に形成され、隣接するコア部材41のヨーク部同士、および枠部材48とコア部材41とを連結している。また、薄肉の支持部材47Cはコア部材41の端に位置するヨーク部42の端面に形成され、枠部材48とコア部材41とを連結している。
なお、本実施の形態3でも、上記実施の形態1、2と同様、磁性板材の材料歩留まりを高くするため、支持部材47(47A〜47C)の長さをできるだけ短く設定している。コア部材41の配置により支持部材47の長さを板厚以下に設定することもでき、コア部材シート46上でのコア部材41、支持部材47の配置は本実施の形態3の配置に限られるものではなく、配置場所や個数を変更してもよい。
このコア部材シート46上に薄肉の支持部材47A〜47Cで連結されて形成されるコア部材41は、裏面に接着剤を塗布されながら、薄肉の支持部材47A〜47Cにて小型の簡易プレス等で切断され、さらに積層、固定されることにより積層コア40が得られる。
次に、この積層コア40の使用例を図14に示す。図14は積層コア40を用いたステータ49を示す平面図である。図に示すように、ステータ49は積層コア40の複数の略T字形状を環状に折り曲げ、両端に配置されるヨーク部42の端面を合わせて、溶接、接着、または金属フレームへの焼きばめ等で各積層コアを固定することにより形成されている。図14中では記載を省略しているが、実施の形態2と同様に、積層コア40の各ティース部43にはそれぞれインシュレータ50が装着され、インシュレータ50を介して各ティース部43にコイル51が巻回されている。なお、本実施の形態3では略T字形状を9個連結したクシ歯形状のコア部材41を使用してステータを形成したが連結するT字形状の個数はこれに限られるものではない。
以上のように、本実施の形態3では、コア部材の輪郭を形成する面の内、薄肉の支持部材と連結していたわずかな部分に存在するせん断切り口面の板厚方向の厚みが磁性板材の板厚より薄いため、このせん断切り口面には、板厚外へはみ出るようなカエリが生じない。これにより、カエリによる積層間の短絡を防止するとともに、積層隙間を低減し、組立精度の高い積層コア、ステータを得ることができる。そして、これにより騒音や振動の少ないモータを実現することができ、モータのエネルギー消費量を削減することができる。また、せん断切り口面の厚みが薄いことによりせん断による磁性板材の磁気的劣化も防止することがきる。さらに、せん断切り口面の厚みを薄くすることで、よりエッチング加工面の割合が増加し、コア部材の形成時の加工歪が少ない積層コア、ステータを得ることができる。
また、支持部材により複数のコア部材を複数列連結するようにエッチング加工して形成したコア部材シートを使用することで、各コア部材が切断、積層される直前まで、コア部材シートに連結された状態で効率よく搬送されるとともに、各コア部材が簡易プレス等でせん断加工されることにより容易に積層されるため、積層コアおよびステータを生産性よく製造することができる。
また、支持部材は板厚が薄く、その輪郭方向両側に切欠きを設けているため、パンチ等によるせん断加工時に、応力が切欠き部分に集中して切断が容易に行える。さらに、せん断切り口面が輪郭方向に隣接するエッチング加工面より内側となるように切断されるため、環状に折り曲げた積層コアを金属フレームへ焼きばめ等することにより固定する場合や、各ティース部にインシュレータを装着する際に、精度よく組み立てることができる。
また、エッチング加工では板厚以下の幅の部材を残すように打ち抜いたりする細かい加工が可能であるため、支持部材の長さを短くしコア部材間の隙間を小さくすることにより、製造時の無駄な捨て材料がなく材料歩留まり率が向上する。また、エッチング加工により細い幅の形状部位も加工歪なく形成することができるため、強度の高い積層コア、ステータを製造することができる。
なお、上記実施の形態1〜3では、コア部材の切断直前に接着剤を塗布して積層コアを接着固定しているが、積層コアの固定方法はこれに限られるものではなく、例えば、樹脂をはさんで接着機能に供したり、絶縁処理工程で接着剤を合わせてコーティングしてもよい。
また、上記実施の形態1〜3では、エッチング加工工程で帯状の磁性板材をコア部材シート毎に切断しているが、切断せずにロール状に巻き取った状態でせん断加工工程、積層固定工程に供給してもよい。
図1はこの発明の実施の形態1による積層コアの構造図である。 この発明の実施の形態1によるエッチング加工工程を簡易的に示す工程図である。 この発明の実施の形態1によるエッチング加工工程で得られるコア部材シートの平面図である。 この発明の実施の形態1によるコア部材シートからコア部材が切断される様子を示す概念図である。 この発明の実施の形態1によるコア部材シートからコア部材を切断・積層する装置を示す図である。 この発明の実施の形態1の比較例による一般的なせん断加工における加工後の非加工材の状態を説明する説明図である。 この発明の実施の形態1によるせん断加工工程を説明する斜視図およびその要部断面図である。 この発明の実施の形態1による積層コアを用いたロータを示す斜視図である。 この発明の実施の形態2による積層コアの構造を示す斜視図である。 この発明の実施の形態2によるエッチング加工工程で得られるコア部材シートの平面図である。 この発明の実施の形態2による積層コアを用いたステータを示す平面図である。 この発明の実施の形態3による積層コアの構造を示す斜視図である。 この発明の実施の形態3によるエッチング加工工程で得られるコア部材シートの平面図である。 この発明の実施の形態3による積層コアを用いたステータを示す平面図である。
符号の説明
1 積層コア、2,2A,2B コア部材、3 円形穴、4 穴、
5 エッチング加工面、6 せん断切り口面、60 切欠き、7 コア部材シート、
8 支持部材、12 磁石、13 ロータ、20 積層コア、21 コア部材、
22 ヨーク部、23 ティース部、24 エッチング加工面、
25,25A,25B せん断切り口面、26 コア部材シート、
27,27A,27B,27C 支持部材、29 ステータ、30 インシュレータ、
31 コイル、40 積層コア、41 コア部材、42 ヨーク部、43 ティース部、
44 エッチング加工面、45,45A,45B せん断切り口面、
46 コア部材シート、47,47A,47B,47C 支持部材、49 ステータ、
50 インシュレータ、51 コイル、101 磁性板材。

Claims (14)

  1. 磁性板材であるコア部材を複数枚積み重ねて形成する積層コアであって、上記コア部材の輪郭を形成する面は、エッチング処理にて形成されるエッチング加工面と、上記輪郭を形成する面の複数箇所に点在するせん断切り口面とから成り、上記せん断切り口面の板厚方向の厚みは、上記磁性板材の板厚より薄いことを特徴とする積層コア。
  2. 上記せん断切り口面の輪郭方向両側に切欠きを備えていることを特徴とする請求項1に記載の積層コア。
  3. 上記コア部材のせん断切り口面は、輪郭方向に隣接する上記エッチング加工面より内側に形成されていることを特徴とする請求項2に記載の積層コア。
  4. 上記せん断切り口面の板厚方向の厚みは、上記磁性板材の板厚の80%以下であることを特徴とする請求項1に記載の積層コア。
  5. 上記コア部材は、中央に配置される略円形穴と外周側に周方向等間隔に配置される複数個の穴とを有する円形状を成し、上記せん断切り口面は隣り合う上記穴間の中心線上最外周面に配置されていることを特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれか1項に記載の積層コア。
  6. 上記コア部材は、ヨーク部と、上記ヨーク部から突出したティース部とを有する略T字形状を成し、上記せん断切り口面は、上記ヨーク部において上記ティース部と反対側の面に配置されていることを特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれか1項に記載の積層コア。
  7. 上記コア部材は、ヨーク部と、上記ヨーク部から突出したティース部とを有する略T字形状を成し、上記せん断切り口面は、上記ティース部の側面に配置されていることを特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれか1項に記載の積層コア。
  8. 上記コア部材は、ヨーク部と、上記ヨーク部から突出したティース部とを有する略T字形状をほぼ一直線状に複数連結したクシ歯形状を成し、上記せん断切り口面は、上記ヨーク部において上記ティース部と反対側の面に配置されていることを特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれか1項に記載の積層コア。
  9. 上記コア部材は、ヨーク部と、上記ヨーク部から突出したティース部とを有する略T字形状をほぼ一直線状に複数連結したクシ歯形状を成し、上記せん断切り口面は、上記ティース部の側面に配置されていることを特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれか1項に記載の積層コア。
  10. 上記複数個の穴に挿入配置される磁石を備えたことを特徴とする請求項5の積層コアで形成されるロータ。
  11. 請求項6又は請求項7に記載の積層コアのティース部にインシュレータを介して装着されるコイルを備え、この積層コアを環状に配列して形成されることを特徴とするステータ。
  12. 請求項8又は請求項9に記載の積層コアの各ティース部にインシュレータを介して装着されるコイルを備え、この積層コアのクシ歯形状に連結された略T字形状部を環状に折り曲げ配置されて形成されることを特徴とするステータ。
  13. 磁性板材であるコア部材を複数枚積み重ねて形成する積層コアの製造方法において、磁性板材に複数個のコア部材を各コア部材を支持する支持部材を介して複数列に連結させた形状にエッチングするエッチング加工工程と、上記各コア部材を支持部材にて上記磁性板材から切断するせん断加工工程と、切断された上記各コア部材を積層・固定する積層固定工程とを備えた積層コアの製造方法。
  14. 磁性板材にエッチング加工を施して形成されるコア部材シートであって、複数個のコア部材と各コア部材を支持する支持部材とを備え、上記各コア部材を上記支持部材を介して複数列に連結させたことを特徴とするコア部材シート。
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