JP2010143712A - ロールの製造方法 - Google Patents

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克洋 大森
Toki Kudo
晨 工藤
Shigeyoshi Kobayashi
成好 小林
Yuji Sasano
祐史 笹野
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Abstract

【課題】滑り止め加工の長さを定量的に求めることができるロールの製造方法を提供する。
【解決手段】滑り止め加工部分の長さの下限値に関して、ウエブ1の牽引力がロールの軸受けの回転抵抗よりも大きくなるように設定し、上限値に関して、ロール状のウエブ1の座屈応力がウエブ1への幅方向への応力より大きくなるように設定する。
【選択図】 図1

Description

本発明は、ウエブを搬送するためのロールに関するものである。
布帛、フィルム、金属箔、紙などの長尺状の基材であるウエブに塗工液を塗工したりする塗工装置(例えば、特許文献1参照)や、ウエブを加熱して熱処理を行なう熱処理装置(例えば、特許文献2参照)においては、ウエブを安定して搬送させるためにロールを用いている。
このロールの表面仕上げは、通常全幅に渡って平滑にメッキ加工を行なったり、溝加工を行なったり、梨地加工を行なったりして、ウエブを確実に搬送できるようにしている。
しかし、このような全幅に渡って平滑なメッキ加工を行なったガイドロールであると、ウエブの走行速度が速くなるに伴いウエブとガイドロールの間に空気層が発生して、ウエブとロールの間の摩擦力が小さくなる。そのため、ウエブに対しロールが滑り易く、ウエブとロールが滑るとウエブに傷が付くという問題点がある。
また、このように空気層を排除するためにウエブとロールの摩擦力を上げることを目的として、全幅に渡って溝加工や梨地加工を行なっている。すると、ウエブとロールとの間の滑りを少なくすることができる。しかし、ウエブや装置に歪みがある場合に、この梨地加工や溝加工による摩擦力の増大により、ウエブに皺が入るという問題点がある。
そこで、本出願人は先に、ウエブとガイドロールとの間の滑りを防止すると共に、装置やウエブとの相対的な歪みによる皺の発生を防止することができるロールを提供した(特許文献3参照)。
特開2004−141810公報 特開2001−4274公報 特開2008−62238公報
上記特許文献3のロールにおいては、滑り加工をする部分の全幅を20%〜70%におき、その範囲内において滑り止め加工の長さを決定していた。しかしながら、この滑り止め加工の長さを、定量的に求めることができなかった。
そこで、本発明は上記問題点に鑑み、滑り止め加工の長さを定量的に求めることができるロールの製造方法を提供する。
本発明は、走行するウエブによって回転するロールの一部の表面を前記ウエブに対する滑り止め加工し、前記滑り止め加工した部分以外の表面が平滑であるロールの製造方法において、前記滑り止め加工部分の幅方向の長さの下限値に関して、前記ウエブの牽引力Fが、前記ロールの軸受けの回転抵抗Wよりも大きくなるように設定し、前記滑り止め加工部分の幅方向の長さの上限値に関して、前記ロール上の前記ウエブの限界座屈応力σzcrが、前記ウエブへの幅方向への応力σzより大きくなるように設定する、ことを特徴とするロールの製造方法である。
本発明によれば、ロールの滑り止め加工の長さの上限値と下限値を定量的に決定することができる。
以下、本発明の一実施例のガイドロール10について図1と図2に基づいて説明する。
本実施例のガイドロール10は、図1に示すように、紙、布帛、金属箔、フィルム等の長尺状の基材であるウエブ1を搬送するためのロール10であって、ロール10自身は駆動せず、ウエブ1の力により回転する他動式である。
(1)ロール10の構成
図1に示すように、ロール10は、円柱状のロール本体12の両端部から軸14がそれぞれ突出している。このロール本体12の中央部分16には、螺旋状の溝が設けられ、滑り止め加工が行われている。中央部分16以外の両側部18,18には、平滑なメッキ加工が施されている。
ロール10の材質は、樹脂含浸を行ったカーボンファイバー、又は、金属製である。
両端の軸14,14は、軸受け20,20によって回動自在に支持されている。
(2)中央部分16の長さの下限値
次に、滑り止め加工を行った中央部分16の長さの下限値について説明する。
ロール10を安定して回転させるための条件は、軸受け20の回転抵抗Wよりも、ウエブ1による牽引力Fが大きくなる必要がある。そのため、この牽引力Fが少なくとも働く中央部分16の長さA、すなわち、下限値を求める。
上記の条件より、

F×R=>W ・・・(1)

を満たす必要がある。但し、Wは軸受け20の回転抵抗トルクであり、この回転抵抗Wは、実験により得られる。Rはロール10の半径である。
また、

F=T×(eμθ−1) ・・・(2)

の関係がある。但し、Tはウエブ1の張力であり、μはウエブ1とロール10の間の摩擦係数であり、θはロール10の抱き角(図2参照)である。
(1)式と(2)式より、

T×(eμθ−1)×R=>W ・・・(3)

の関係が必要である。
一方、ロール10とウエブ1の間の浮上量hが実験により次の(4)式のように求められる。

h=0.589×R×(6ηU/T)2/3 ・・・(4)

但し、Uはウエブ1の速度Uwとロール10の速度Urの合計速度、ηは空気の粘度である。
この浮上量hは、固体間の接触、固体と流体の混合接触、流体間の接触の3つに分けられ、この接触状態により、ウエブ1とロールの間の摩擦係数μが変化する。
ロール10の回転のための摩擦係数μは、中央部分16と両側部18の面積比から等価摩擦係数μ0となり、これは(5)式により決定される。

μ0=(μ1×S1+μ2×S2)/(S1+S2) ・・・(5)

ここで、両側部18の摩擦係数は、略0と考えられるため、μ1=0として、下記の(6)式のようになる。

μ0=(μ2×S2)/(S1+S2) ・・・(6)

ここで、等価摩擦係数μ0を上記の(3)式に代入して、

T×((eμ0θ−1)×R=>W ・・・(7)

の関係が得られる。
この等価摩擦係数μ0の値を(7)式より計算し、中央部分16の摩擦係数μ2と突き合わせた上で、(6)式の長さ比を求めることにより、中央部分16の長さの下限値を求めることができる。
但し、実際のロール10を使用するウエブ1の搬送装置や加熱装置の導入に対しては、張力Tの運転条件、ロール10の抱き角θのレイアウトによる変動があるため、μ0の設計は充分な余裕(以下、「安全率」という)を見て設定することが望ましい。
(3)中央部分16の長さの下限値の計算例
中央部分16の長さの下限値の計算例について説明する。
計算例のパラメータとしては、ロール10の幅E=2000mm、ウエブ1の幅1900mm、張力Tの最小値が30N、最大値が300N、ウエブ1の種類がPETフィルム、厚さが16μm、ロール10と1つ前のロール22との間隔でありスパン長aが1500mm(図2参照)、ロール10の直径2R=150mm、抱き角θ=180°=π、W=1050gomm=0.01029N・mとする。
各パラメータを上記各式に代入すると、張力T=300Nのときには、μ0=>0.000146となる。このときの、PETフィルムとロール10の中央部分16の摩擦係数μ2は、実験により計測器で求めてμ2=0.25とする。すると、(6)式を変形した下記の(6’)式は、

S2=(μ0/μ2)×(S1+S2)=(μ0/μ2)×E ・・・(6’)

この(6’)式により、μ0/μ2=0.000146/0.25=0.00058となる。安全率を10倍とした場合、0.58%となる。そのため、中央部分16の幅Aは、E×0.58%=2000×0.58%=11mmとなる。
一方、張力が最も弱い30Nのときは、同様にμ0=>0.00146となり、μ0/μ2=0.0058となる。安全率を10倍として、5.8%となる。そのため、中央部分16の幅A=E×5.8%=110mmとなる。
以上により張力Tが最も緩んだ状態でもウエブ1を搬送できるようにするためには、中央部分16の長さAが5.8%以上、すなわち110mm以上あればよい。
なお、安全率は上記では10倍としたが、2〜20倍の間で設定すればよい。
(4)中央部分16の上限値
次に、中央部分16の上限値について説明する。この上限値は、ロール10の回転によってウエブ1に皺を発生させず、かつ、ウエブ1に対し摩擦力を起こさす中央部分16の幅Aのことである。
ロール10のたわみ形状について

E×I×dy/dx=M ・・・(8)

の関係がある。但し、Eはロール10のヤング率、Iは2次モーメント、Mは曲げモーメントである。
そして、図1の拡大図に示すように、xを幅方向、yをウエブ1の走行方向、zをロール10のたわんだ方向とすると、ロール10上のたわみ角ωは、

dx/dy=tanω ・・・(9)

となる。ロール10のたわみにより、中央部分16でのロール10の表面方向のウエブ1の張力の大きさT
Figure 2010143712
但し、Tはウエブ1の幅上の張力値である。なお、jは、図1に示すように、中央部分をj=0,1,2,・・・,k,・・・nのn+1個に分割して、各位置kでの図1の拡大図における力の総和である。
ウエブ1への幅方向での応力σは、

σ=T/S ・・・(11)

となる。但し、Sはロール10と接触するウエブ1の断面積である。この断面積は、ウエブ1の幅×厚みである。
ロール10上のウエブ1の限界座屈応力σzcrは、(12)式のようになる。

σzcr=L/(i×a){σ(1+ξ/L+ξ/L)−σ

・・・(12)

但し、σ=−T/t
σ=π×DXX/(a×t
ξ=E/E
ξ=4(1−νν)/{1+ν+(1+ν)/ξ〕}+ν+νξ
XX=E /{12×(1−νν)}
ZZ=E /{12×(1−νν)}
であり、また、Eは幅方向でのヤング率、Eは走行方向でのヤング率、Lはウエブ1の幅、Tは単位幅上の張力値、tはウエブ1の厚み、νは走行方向でのポアソン比、νは幅方向でのポアソン比、aはロール10、22のスパン長である。
(12)式中のiは以下の(13)式の条件を満たす整数値である。

σ{1−i(i+1)ξ×a/L}<σ
<σ{1−(i−1)ξ×a/L} ・・・(13)

そして、σ<σzcrであれば、皺が形成されないと判断する。
(5)中央部分16の長さの上限値の計算例
中央部分16の長さの上限値の計算例について説明する。
上記各式に、ロール10の中央部分16の下限値の条件と同様のパラメータを代入する。但し、ウエブ1のヤング率E=3GPaとする。
まず、(12)式により、ウエブ1の限界座屈応力σzcrを計算する。すると、σzcr=3490.31Paとなる。これがウエブ1の臨界応力となる。
次に、(11)式により、中央部分16の表面積を求める。この場合には、断面積Sからウエブ1の表面積に換算する。すると、100%ではσz=3912.92Pa、85%ではσz=3490.31Pa、70%でσz=2427.27Paとなる。但し、この%は、ロール10の表面積に対する中央部分16の表面積の比率である。
そのため、σzcr=3490.31Paと85%におけるσz=3490.31Paとを比較すると、中央部分16の面積を85%以下、すなわち、幅Aを85%以下にするとウエブ1に皺が発生しない。
(6)効果
本実施例によれば、ロール10の加工を行った中央部分16の幅Aを、用いるロール10の半径、張力T、ウエブ1の種類などによって定量的に求めることができる。すなわち、上記条件においては、中央部分16の幅Aの下限値は5.8%、上限値は85%となる。
(7)変更例
本発明は上記各実施形態に限らず、その主旨を逸脱しない限り種々に変更することができる。
上記実施形態では滑り止め加工を行った部分を、中央部分にしたが、これに限らず、ウエブ1が接触する部分であれば中央部分に限らず、一方に片寄った位置に設けてもよい。
また、上記実施例では滑り止め加工として、螺旋状の溝を設けたが、図3に示すように平行な溝や、図4に示すような中央部を対象にした螺旋状の溝や、図5に示すような格子状の溝、図6に示すような梨地状に加工を行ってもよい。
本発明の一実施例におけるロールを用いてウエブを搬送するロールの平面図である。 同じくロールの側面図である。 変更例1のガイドロールの平面図である。 変更例2のロールの平面図である。 変更例3のロールの平面図である。 変更例4のガイドロールの平面図である。
符号の説明
10 ガイドロール
12 ロール本体
14 軸
16 中央部
18 両側部
20 軸受け

Claims (8)

  1. 走行するウエブによって回転するロールの一部の表面を前記ウエブに対する滑り止め加工し、前記滑り止め加工した部分以外の表面が平滑であるロールの製造方法において、
    前記滑り止め加工部分の幅方向の長さの下限値に関して、前記ウエブの牽引力Fが、前記ロールの軸受けの回転抵抗Wよりも大きくなるように設定し、
    前記滑り止め加工部分の幅方向の長さの上限値に関して、前記ロール上の前記ウエブの限界座屈応力σzcrが、前記ウエブへの幅方向への応力σzより大きくなるように設定する、
    ことを特徴とするロールの製造方法。
  2. 走行するウエブによって回転するロールの一部の表面を前記ウエブに対する滑り止め加工し、前記滑り止め加工した部分以外の表面が平滑であるロールの製造方法において、
    前記滑り止め加工部分の幅方向の長さの下限値に関して、前記ウエブの牽引力Fが、前記ロールの軸受けの回転抵抗Wよりも大きくなるように設定する、
    ことを特徴とするロールの製造方法。
  3. 前記滑り止め加工していない部分の面積S1と前記滑り止め加工部分の面積S2との比率と、前記滑り止め加工部分の摩擦係数μ2から等価摩擦係数μ0を求め、
    前記牽引力Fは、前記等価摩擦係数μ0、前記ウエブの前記ロールに対する抱き角θ、前記ロールの半径R、前記ウエブの張力Tから求める、
    ことを特徴とする請求項1又は2記載のロールの製造方法。
  4. 走行するウエブによって回転するロールの一部の表面を前記ウエブに対する滑り止め加工し、前記滑り止め加工した部分以外の表面が平滑であるロールの製造方法において、
    前記滑り止め加工部分の幅方向の長さの上限値に関して、前記ロール上の前記ウエブの限界座屈応力σzcrが、前記ウエブへの幅方向への応力σzより大きくなるように設定する、
    ことを特徴とするロールの製造方法。
  5. 前記ウエブへの幅方向への応力σzが、前記滑り止め加工部分の幅方向の長さによって求められるロール表面方向の前記ウエブの張力の大きさTzと、前記ロールと接触する前記ウエブの断面積Sとから求める、
    ことを特徴とする請求項1又は4記載のロールの製造方法。
  6. 前記滑り止め加工が、梨地状、又は、溝加工である、
    ことを特徴とする請求項1から5のいずれか一項に記載のロールの製造方法。
  7. 前記両側部の表面は、平滑なメッキ加工を施している、
    ことを特徴とする請求項1から5のいずれか一項に記載のロールの製造方法。
  8. 前記ロールの材質が、金属製、又は、樹脂を含浸させたカーボンファイバーである、
    ことを特徴とする請求項1から5のいずれか一項に記載のロールの製造方法。
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