JP2010146846A - 有機エレクトロルミネッセンス素子の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】発光する光のピーク波長が長い発光層ほど陽極寄りに配置されるように、各発光層を構成する材料を含む塗布液を順次塗布し固化することによって、各発光層を順次成膜し、複数の発光層が積層された発光部を形成する発光部形成工程と、第1電極部および第2電極部が、それぞれ1又は複数の層で構成され、第1電極部および第2電極部を構成する層のうち、発光部が形成された後に積層される層の少なくとも一層を、下記式(1)および(2):
加速電圧(kV)×エミッション電流(mA)÷蒸着速度(nm/sec)<20000(W・sec/nm) ・・・式(1)
加速電圧(kV)>4 ・・・式(2)
の条件を満たす電子ビーム蒸着により形成する電子ビーム蒸着工程を経て、有機エレクトロルミネッセンス素子を製造する。
【選択図】 図1
Description
〔1〕陽極を含む第1電極部と、陰極を含む第2電極部と、前記第1電極部および前記第2電極部の間に配置される、3層以上の発光層を含む発光部とを積層して有機エレクトロルミネッセンス素子を製造する方法であって、
放射する光のピーク波長が長い発光層ほど陽極寄りに配置されるように各発光層を順次成膜して前記発光部を形成する発光部形成工程と、
前記第1電極部および第2電極部が、それぞれ1又は複数の層で構成され、前記第1電極部および第2電極部を構成する層のうち、前記発光部が形成された後に積層される層の少なくとも一層を、下記式(1)および(2):
加速電圧(kV)×エミッション電流(mA)÷蒸着速度(nm/sec)<20000(W・sec/nm) ・・・式(1)
加速電圧(kV)>4 ・・・式(2)
の条件を満たす電子ビーム蒸着により形成する電子ビーム蒸着工程と、
を含む、有機エレクトロルミネッセンス素子の製造方法。
〔2〕前記発光部形成工程が、前記第1電極部が形成された後に行われる、上記〔1〕に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子の製造方法。
〔3〕前記発光部形成工程が、前記第1電極部または第2電極部が形成された後に、各発光層を構成する材料を含む塗布液を順次塗布し固化することによって各発光層を順次成膜することにより行われ、
前記発光部形成工程は、
前記第1電極部および第2電極部のうちの既に形成された一方の電極部上に、第1発光層を形成する材料を含む第1塗布液を塗布する第1塗布工程と、
塗布された前記第1塗布液を、第2発光層を形成する材料を含む第2塗布液に対して不溶化させ第1発光層を形成する第1固化工程と、
前記第2塗布液を、前記第1発光層上に塗布する第2塗布工程と、
塗布された前記第2塗布液を、第3発光層を形成する材料を含む第3塗布液に対して不溶化させ第2発光層を形成する第2固化工程と、
前記第3塗布液を、前記第2発光層上に塗布する第3塗布工程と、
塗布された前記第3塗布液を固化し第3発光層を形成する第3固化工程と、
を含む、上記〔1〕に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子の製造方法。
〔4〕前記第1塗布液および前記第2塗布液には、それぞれ架橋基を有する化合物が含まれており、
前記第1固化工程および前記第2固化工程の各固化工程において、塗布された各塗布液にエネルギーを加えて架橋させ、各発光層を形成する、上記〔3〕に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子の製造方法。
〔5〕前記第1塗布液および前記第2塗布液のうち少なくとも1つの塗布液が、架橋基を有する発光性高分子有機化合物を含む塗布液である、上記〔4〕に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子の製造方法。
〔6〕前記第1塗布液および前記第2塗布液のうち少なくとも1つの塗布液が、架橋基を有する材料と、発光材料とを含む塗布液である、上記〔4〕に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子の製造方法。
〔7〕前記発光部形成工程において、陽極側から順に、赤色の光を発する第1発光層、緑色の光を発する第2発光層、および青色の光を発する第3発光層を積層して設ける、上記〔1〕から〔6〕のいずれか一項に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子の製造方法。
〔8〕前記電子ビーム蒸着の条件が、さらに下記式(3)を満たすことを特徴とする、上記〔1〕から〔7〕のいずれか一項に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子の製造方法。
エミッション電流(mA)>100 ・・・・式(3)
〔9〕前記電子ビーム蒸着の条件が、さらに下記式(4)を満たすことを特徴とする、上記〔1〕から〔8〕のいずれか一項に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子の製造方法。
蒸着速度(nm/sec)≧1 ・・・式(4)
〔10〕前記電子ビーム蒸着により形成される層が、Al、Zn、In、Ga、Sn、Ni、Cr、Mn、Ti、Mo、Ta、W、Ag、Au、これらの酸化物、これらの窒化物、アルカリ土類金属、アルカリ土類金属の酸化物、アルカリ土類金属のフッ化物、アルカリ金属の酸化物、およびアルカリ金属のフッ化物からなる群より選ばれる1種または2種以上の複合材料で形成される、上記〔1〕から〔9〕のいずれか一項に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子の製造方法。
〔11〕上記〔1〕から〔10〕のいずれか一項に記載の製造方法により製造された有機EL素子。
〔12〕上記〔11〕に記載の有機EL素子が実装された面状光源。
〔13〕上記〔11〕に記載の有機EL素子が実装された照明装置。
〔14〕上記〔11〕に記載の有機EL素子が実装された表示装置。
本発明の有機EL素子の製造方法(以下、本発明の製造方法という場合がある)では、電極部および複数の発光層を有する発光部を有する有機EL素子を製造する方法において、所定の位置に配置されるように3層以上の各発光層を積層して発光部を形成すると共に、所定の条件下において電子ビーム蒸着法により所定の層を形成するものである。
(工程1)発光する光のピーク波長が長い発光層ほど陽極寄りに配置されるように、各発光層を順次成膜して前記発光部を形成する発光部形成工程
(工程2)1又は複数の層で構成される第1電極部および第2電極部を構成する層のうち、発光部が形成された後に積層される層の少なくとも一層を、
下記式(1)および(2):
加速電圧(kV)×エミッション電流(mA)÷蒸着速度(nm/sec)<20000(W・sec/nm) ・・・式(1)
加速電圧(kV)>4 ・・・式(2)
の条件を満たす電子ビーム蒸着により形成する電子ビーム蒸着工程
また(工程2)のように、電子ビーム蒸着装置の操作において、加速電圧とエミッション電流と蒸着速度という3つの要素から導かれる所定のパラメータを一定の範囲に調整するという極めて簡便な手法によって、電子ビーム蒸着によるダメージを大幅に軽減し得る。(工程2)によって特定される条件設定は、従来の研究開発志向とは大きく異なり、意外にも、加速電圧を所定の閾値より高く設定し、高速蒸着速度で蒸着を行うというものである。このような二つの工程を経ることにより、電圧変化に伴う色味変化の少ない構造を有する発光部をダメージなく作製でき、色味の変化の少なく、発光特性に優れた有機EL素子を容易に作製することができる。
まず、発光部を形成する上記(工程1)について説明する。工程1では、発光する光のピーク波長が長い発光層ほど陽極寄り配置されるように、各発光層を順次成膜する。発光層を形成する方法としては蒸着法および塗布法などが挙げられるが、製造工程の簡易さから塗布法を利用して各発光層を形成することが好ましく、具体的には各発光層を構成する材料を含む塗布液を順次塗布し固化することによって各発光層を順次成膜することが好ましい。発光部は、第1電極部および第2電極部のうち、発光部より先に形成された一方の電極上に積層されて設けられる。
第1塗布工程:第1発光層を形成する材料を含む第1塗布液を、第1電極部または第2電極部のうちの既に形成された一方の電極部(本実施の形態では第1電極部)上に塗布する。
第1固化工程:第1塗布工程によって塗布された第1塗布液を、第2発光層を形成する材料を含む第2塗布液に対して不溶化させ第1発光層を形成する。
第2塗布工程:第2発光層を形成する材料を含む第2塗布液を、第1発光層上に塗布する。
第2固化工程:第2塗布工程によって塗布された第2塗布液を、第3発光層を形成する材料を含む第3塗布液に対して不溶化させ第2発光層を形成する。
第3塗布工程:第3発光層を形成する材料を含む第3塗布液を、第2発光層上に塗布する。
第3固化工程:第3塗布工程によって塗布された第3塗布液を固化し、第3発光層を形成する。
次に上記(工程2)の電子ビーム蒸着工程についてさらに説明する。(工程2)では、1又は複数の層で構成される第1電極部および第2電極部を構成する層のうち、発光層が形成された後に積層される層の少なくとも一層を、下記式(1)および(2)の条件を満たす電子ビーム蒸着により形成する。
エミッション電流(mA)>100 ・・・・式(3)
上記式(1)を満たす限りにおいて、エミッション電流を100mAより大きくすることにより、蒸着速度を高めつつ、先に形成された層へのダメージを抑制することができる。エミッション電流は、少なくとも100mAより大きく、好ましくは300mA以上、より好ましくは400mA以上に調整される。
第1電極部は1層または複数の層で構成されるが、少なくとも陽極を含む。また、第2電極部も1層または複数の層で構成されるが、少なくとも陰極を含む。陽極および陰極は以下のようにして形成し得る。
有機EL素子の陽極としては、光を透過可能な透明電極を用いることが、陽極を通して発光する素子を構成し得るため好ましい。かかる透明電極としては、電気伝導度の高い金属酸化物、金属硫化物や金属の薄膜を用いることができ、透過率の高いものが好適に利用でき、用いる有機層により適宜、選択して用いる。具体的には、酸化インジウム、酸化亜鉛、酸化スズ、インジウムスズ酸化物(Indium Tin Oxide:略称ITO)、インジウム亜鉛酸化物(Indium Zinc Oxide:略称IZO)から成る薄膜や、金、白金、銀、銅、アルミニウム、またはこれらの金属を少なくとも1種類以上含む合金等が用いられる。光透過率の高さ、パターニングの容易さから、陽極としては、ITO、IZO、酸化スズからなる薄膜が好適に用いられる。なお陽極には、光を反射させる材料を用いてもよく、該材料としては、仕事関数3.0eV以上の金属、金属酸化物、金属硫化物が好ましい。
陰極の材料としては、仕事関数が小さく発光層への電子注入が容易な材料及び/又は電気伝導度が高い材料及び/又は可視光反射率の高い材料が好ましい。金属では、アルカリ金属やアルカリ土類金属、遷移金属や周期表第13族金属を陰極の材料として用いることができる。例えば、リチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウム、セシウム、ベリリウム、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウム、アルミニウム、スカンジウム、バナジウム、亜鉛、イットリウム、インジウム、セリウム、サマリウム、ユーロピウム、テルビウム、イッテルビウム、金、銀、白金、銅、マンガン、チタン、コバルト、ニッケル、タングステン、錫、またはこれら金属を少なくとも1種類以上含む合金、又はグラファイト若しくはグラファイト層間化合物等が用いられる。合金の例としては、マグネシウム−銀合金、マグネシウム−インジウム合金、マグネシウム−アルミニウム合金、インジウム−銀合金、リチウム−アルミニウム合金、リチウム−マグネシウム合金、リチウム−インジウム合金、カルシウム−アルミニウム合金を陰極の材料として用いることができる。また陰極として透明導電性電極を用いることができ、例えば導電性金属酸化物や導電性有機物などを用いることができる。具体的には、導電性金属酸化物として酸化インジウム、酸化亜鉛、酸化スズ、ITO、IZO、導電性有機物としてポリアニリンもしくはその誘導体、ポリチオフェンもしくはその誘導体などの有機の透明導電膜を用いてもよい。なお、陰極を2層以上の積層構造としてもよい。なお、電子注入層が陰極として用いられる場合もある。
有機EL素子で用いられる支持基板は、有機EL素子を形成する際に変化しないものが好ましい。支持基板は、第1電極部、発光部および第2電極部を含む有機EL素子を搭載できる領域を有する平面状の基板である。本明細書では、平板状または薄膜状(フィルム状)の基板が有する2つの主たる平面をそれぞれ主面という。支持基板は、リジッド基板でも、フレキシブル基板でもよい。支持基板を構成する材料としては、例えば、ガラス、プラスチック、高分子フィルム、シリコン板、金属板、これらを積層したものなどが挙げられる。さらに、プラスチック、高分子フィルムなどに低透水化処理を施したものを用いてもよい。また、支持基板は、市販のものを入手してもよく、また上記の材料から公知の方法によって製造することもできる。
正孔注入層は、陽極と正孔輸送層との間、または陽極と発光層との間に設けることができる。正孔注入層を構成する正孔注入層材料としては、特に制限はないが、公知の材料を適宜用いることができ、例えばフェニルアミン系、スターバースト型アミン系、フタロシアニン系、ヒドラゾン誘導体、カルバゾール誘導体、トリアゾール誘導体、イミダゾール誘導体、アミノ基を有するオキサジアゾール誘導体、酸化バナジウム、酸化タンタル、酸化タングステン、酸化モリブデン、酸化ルテニウム、酸化アルミニウム等の酸化物、アモルファスカーボン、ポリアニリン、ポリチオフェン誘導体等が挙げられる。このような正孔注入層の厚みとしては、5〜300nm程度であることが好ましい。このような厚みが前記下限値未満では、製造が困難になる傾向にあり、他方、前記上限値を超えると駆動電圧、および正孔注入層に印加される電圧が大きくなる傾向にある。
正孔輸送層を構成する正孔輸送層材料としては特に制限はないが、例えばN,N’−ジフェニル−N,N’−ジ(3−メチルフェニル)4,4’−ジアミノビフェニル(TPD)、NPB(4,4’−bis[N−(1−naphthyl)−N−phenylamino]biphenyl)等の芳香族アミン誘導体、ポリビニルカルバゾール若しくはその誘導体、ポリシラン若しくはその誘導体、側鎖若しくは主鎖に芳香族アミンを有するポリシロキサン誘導体、ピラゾリン誘導体、アリールアミン誘導体、スチルベン誘導体、トリフェニルジアミン誘導体、ポリアニリン若しくはその誘導体、ポリチオフェン若しくはその誘導体、ポリアリールアミン若しくはその誘導体、ポリピロール若しくはその誘導体、ポリ(p−フェニレンビニレン)若しくはその誘導体、又はポリ(2,5−チエニレンビニレン)若しくはその誘導体などが例示される。
電子輸送層を構成する電子輸送材料としては、公知のものが使用でき、オキサジアゾール誘導体、アントラキノジメタン若しくはその誘導体、ベンゾキノン若しくはその誘導体、ナフトキノン若しくはその誘導体、アントラキノン若しくはその誘導体、テトラシアノアンスラキノジメタン若しくはその誘導体、フルオレノン誘導体、ジフェニルジシアノエチレン若しくはその誘導体、ジフェノキノン誘導体、又は8−ヒドロキシキノリン若しくはその誘導体の金属錯体、ポリキノリン若しくはその誘導体、ポリキノキサリン若しくはその誘導体、ポリフルオレン若しくはその誘導体等が例示される。
電子注入層は、電子輸送層と陰極との間、または発光層と陰極との間に設けられる。電子注入層としては、発光層の種類に応じて、アルカリ金属やアルカリ土類金属、或いは前記金属を1種類以上含む合金、或いは前記金属の酸化物、ハロゲン化物及び炭酸化物、或いは前記物質の混合物などが挙げられる。アルカリ金属またはその酸化物、ハロゲン化物、炭酸化物の例としては、リチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウム、セシウム、酸化リチウム、フッ化リチウム、酸化ナトリウム、フッ化ナトリウム、酸化カリウム、フッ化カリウム、酸化ルビジウム、フッ化ルビジウム、酸化セシウム、フッ化セシウム、炭酸リチウム等が挙げられる。また、アルカリ土類金属またはその酸化物、ハロゲン化物、炭酸化物の例としては、マグネシウム、カルシウム、バリウム、ストロンチウム、酸化マグネシウム、フッ化マグネシウム、酸化カルシウム、フッ化カルシウム、酸化バリウム、フッ化バリウム、酸化ストロンチウム、フッ化ストロンチウム、炭酸マグネシウム等が挙げられる。さらに、金属、金属酸化物、金属塩をドーピングした有機金属化合物、および有機金属錯体化合物、またはこれらの混合物を電子注入層に用いることもできる。電子注入層は、2層以上を積層したものであってもよい。具体的には、LiF/Caなどが挙げられる。電子注入層は、蒸着法、スパッタリング法、印刷法等により形成される。
本発明の有機EL素子は、陽極を含む第1電極と、陰極を含む第2電極と、第1及び第2電極の間に配置された発光部とを含む。発光部は、少なくとも3層の発光層を有し、それぞれ互いに異なるピーク波長の光を発し、発光する光のピーク波長が長い発光層ほど、陽極に近い位置に配置される。また、発光部が形成された後に発光部上に形成される層のうち少なくとも一層が上記の電子ビーム蒸着法により形成されている。本発明の有機EL素子は、上記本発明の有機EL素子の製造方法により作製し得る。
上記のように、本発明の有機EL素子は、その実施形態として、様々な層構成を採用し得る。層構成の具体的な例を以下に示す。
(a)陽極/発光部/陰極
(b)陽極/正孔注入層/発光部/陰極
(c)陽極/発光部/電子注入層/陰極
(d)陽極/正孔注入層/発光部/電子注入層/陰極
(e)陽極/正孔注入層/正孔輸送層/発光部/陰極
(f)陽極/発光部/電子輸送層/電子注入層/陰極
(g)陽極/正孔注入層/正孔輸送層/発光部/電子注入層/陰極
(h)陽極/正孔注入層/発光部/電子輸送層/電子注入層/陰極
(i)陽極/正孔注入層/正孔輸送層/発光部/電子輸送層/電荷注入層/陰極
(ここで、記号「/」は、この記号「/」を挟む2つの層が隣接して積層されることを示す。以下同じ。)
なお、電子注入層および正孔注入層を総称して電荷注入層ということがある。電子輸送層および正孔輸送層を総称して電荷輸送層ということがある。また、正孔ブロック層および電子ブロック層を総称して、電荷ブロック層という場合がある。
(j)陽極/(繰り返し単位A)/電荷発生層/(繰り返し単位A)/陰極
(k)陽極/(繰り返し単位B)n/(繰り返し単位A)/陰極
上記層構成(j)および(k)において、陽極、電極、陰極、発光層以外の各層は必要に応じて省いてもよい。
上記本発明の有機EL素子は、面状光源、照明装置、および表示装置などに用いられる。有機EL素子を備える表示装置としては、セグメント表示装置、ドットマトリックス表示装置、および液晶表示装置などを挙げることができる。ドットマトリックス表示装置、および液晶表示装置において、有機EL素子はバックライトとして用いることができる。
<作製例1>
(1)素子作製
スパッタリング法にて膜厚約150nmのITO薄膜が形成され、さらにこのITO薄膜が所定の形状にパターニングされて、陽極に相当するITOが形成されたガラス基板にUV−O3処理を10分行った。次に、ITOがパターニングされたガラス基板上に、キシレンに約1.2重量%溶解させた発光性高分子有機化合物(BP361 サメイション社製)を、スピンコート法により回転数1600回転で30秒間回転させて、成膜(膜厚70nm)した。次いで真空チャンバーに基板を導入し加熱室に移した。次に、加熱室に窒素を導入し大気圧、不活性ガス下で基板温度約130℃で、40分間加熱した。その後、蒸着チャンバーに基板を移し、基板に対して陰極用マスクをアライメントし、両者の相対位置を保った状態でマスクと基板とを回転させながら電極を蒸着して形成し、ダメージ評価用の素子を作製した。素子構造は、ガラス基板/ITO/発光性高分子有機化合物から成る層/Alであった。
上記のようにして作製した有機EL素子に、ガラス基板側からピーク波長375nmの励起光を照射し、ガラス基板側から放出される高分子有機発光材料の蛍光スペクトル(PL)を測定した。測定波長領域は380〜780nmとした。測定されたPLスペクトルはピーク波長465nmを持つ青色発光を示した。次に、波長405〜665nmの領域において5nm間隔でPL強度を足し合わせ、高分子有機発光材料から成る層から正面に放出されたPL積分強度を見積もった。その値は約0.0446W/(m2・sr(ステラジアン))であった。なお、測定装置は、東京システム開発社製OLED TEST SYSTEMを用いた。
(1)素子作製
電子ビーム蒸着法にて、加速電圧10kV、蒸着速度0.5nm/sec、膜厚100nm、エミッション電流420mAの設定条件で、電極としてAlを蒸着させた。この設定条件による成膜電力量値は、8400W・sec/nmである。これらの点以外は上記作製例1と同様にしてダメージ評価用の素子を作製した。
作製例1と同様にして作製例2の相対PL積分強度比(百分率)を求めたところ、95.4%であった。また、PL積分強度は約0.0431W/(m2・sr)であった。
(1)素子作製
電子ビーム蒸着法にて、加速電圧10kV、蒸着速度0.2nm/sec、膜厚100nm、エミッション電流370mAの設定条件で、電極としてAlを蒸着させた。この設定条件による成膜電力量値は、18500W・sec/nmである。これらの点以外は上記作製例1と同様にしてダメージ評価用の素子を作製した。
作製例1と同様にして作製例3の素子の相対PL積分強度比(百分率)を求めたところ、92.8%であった。また、PL積分強度は約0.0408W/(m2・sr)であった。
(1)素子作製
電子ビーム蒸着法にて、加速電圧10kV、蒸着速度約0.1nm/sec、エミッション電流340mA、膜厚100nmの設定条件で、電極としてAlを蒸着させた。この設定条件による成膜電力量値は、34000W・sec/nmである。これらの点以外は作製例1と同様にしてダメージ評価用の素子を作製した。
作製例1の評価と同様にして、PL積分強度を見積もった。その値は約0.0342W/(m2・sr)であった。作製例1と同様にして比較例1の素子の相対PL積分強度比(百分率)を求めたところ、76.7%であった。このことから、PL積分強度の減少が見られ、高分子有機発光材料がダメージを受けていることがわかった。
(1)素子作製
電極蒸着に抵抗加熱法を用いた。蒸着ボートにタングステンボートを用いて約80Aの電流を通電しボート上のAlを加熱し蒸着した。Al膜厚は100nmとした。Alの蒸着速度はAl蒸着膜厚が10nmまでは0.1nm/sec、30nmまで0.2nm/sec、100nmまで0.4nm/secであった。蒸着機はトッキ社製 try−ELVESSを用いている。上記以外は作製例1と同様にして素子を作製した。
作製例1の評価と同様にPL積分強度を見積もった。その値は約0.045W/(m2・sr)であった。参考例1の蒸着方法によれば、電子ビーム蒸着法の場合に生じ得るダメージは生じないものと推定し、相対PL積分強度比を表す場合、この参考例1での値0.045W/(m2・sr)を100%とした。
上記電子ブロック層となる高分子化合物1を合成した。まず攪拌翼、バッフル、長さ調整可能な窒素導入管、冷却管、および温度計を備えるセパラブルフラスコに2,7−ビス(1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)−9,9−ジオクチルフルオレン158.29重量部と、ビス−(4−ブロモフェニル)−4−(1−メチルプロピル)−ベンゼンアミン136.11重量部と、トリカプリルメチルアンモニウムクロリド(ヘンケル社製 Aliquat 336)27重量部と、トルエン1800重量部とを仕込み、窒素導入管から窒素を導入しながら、攪拌下90℃まで昇温した。酢酸パラジウム(II)0.066重量部と、トリ(o−トルイル)ホスフィン0.45重量部とを加えた後、17.5%炭酸ナトリウム水溶液573重量部を1時間かけて滴下した。滴下終了後、窒素導入管を液面より引き上げ、還流下7時間保温した後、フェニルホウ酸3.6重量部を加え、14時間還流下保温し、室温まで冷却した。反応液水層を除いた後、反応液油層をトルエンで希釈し、3%酢酸水溶液、イオン交換水で洗浄した。分液油層にN,N−ジエチルジチオカルバミド酸ナトリウム三水和物13重量部を加え4時間攪拌した後、活性アルミナとシリカゲルとの混合カラムに通液し、トルエンを通液してカラムを洗浄した。濾液および洗液を混合した後、メタノールに滴下して、ポリマーを沈殿させた。得られたポリマー沈殿を濾別し、メタノールで沈殿を洗浄した後、真空乾燥機でポリマーを乾燥させ、ポリマー192重量部を得た。得られたポリマーを高分子化合物1とよぶ。高分子化合物1のポリスチレン換算重量平均分子量は、3.7×105であり、数平均分子量は8.9×104であった。
ポリスチレン換算重量平均分子量および数平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により求めた。GPCの検量線の作成にはポリマーラボラトリーズ社製標準ポリスチレンを使用した。測定する重合体は、約0.02重量%の濃度になるようテトラヒドロフランに溶解させ、GPCに10μL注入した。
(有機EL素子の作製)
基板としてITO薄膜が表面にパターニングされて、ITO薄膜からなる電極が形成されたガラス基板を用い、このITO薄膜上に、正孔注入層を形成した。具体的には、ポリ(3,4)エチレンジオキシチオフェン/ポリスチレンスルフォン酸(HCスタルクビーテック社製、Bytron P TP AI 4083)の懸濁液を0.5μm径のフィルターでろ過し、この懸濁液を、基板のITOが形成された側からスピンコート法により65nmの厚みで成膜し、正孔注入層を形成した。さらに、取り出し電極部分及び封止エリアなどの塗布の不要な領域に成膜された正孔注入層を除去し、大気中においてホットプレート上で200℃、10分間乾燥した。
これ以降の封止までのプロセスは、真空中あるいは窒素中で行い、プロセス中において素子が大気に曝されないようにした。
作製した有機EL素子に電圧を印加して、電流―電圧―輝度特性を測定したところ、印加電圧が6.83Vにおいて、電流密度が1.7×10-2A/cm2、正面輝度が1000cd/m2を示した。また、最大電力効率は3.02(lm/W)を示した。また作製例1と同様にしてPL積分強度を測定した。PL積分強度は0.0238W/(m2・sr)であった。本作製例4の有機EL素子と、作製例1のダメージ評価用の素子とは層構成が異なるが、本作製例4におけるAlから成る電極の形成条件は、前述の作製例1におけるAlから成る電極の形成条件と同じなので、本作製例4の電極を形成するときに発光層が受けるダメージを、作製例1と同等であると想定して、作製例4で作製した有機EL素子の相対PL積分強度比を、作製例1の相対PL積分強度比と同じ99%に設定し、後述する作製例5の有機EL素子の相対PL積分強度比を見積もった。すなわち、作製例4で作製した有機EL素子の相対PL積分強度比が99%になるように、基準となるPL積分強度を算出して、算出したPL積分強度を用いて、後述する作製例5の有機EL素子の相対PL積分強度比を算出した。
(有機EL素子の作製)
作製例4と同様に有機EL素子を作製した。但し、第2電極部として、まずBaを抵抗加熱法を用いて加熱し、蒸着速度約0.1nm/sec、膜厚5nmにて蒸着し、その上に電子ビーム蒸着法にて、加速電圧10kV、蒸着速度2nm/sec、エミッション電流570mA、膜厚100nmの設定条件で、電極(陰極)としてAlを蒸着させた。この設定条件による成膜電力量値は、2850W・sec/nmである。
作製例4と同様に作製した有機EL素子に電圧を印加して、電流―電圧―輝度特性を測定した。印加電圧が6.51Vにおいて、電流密度が1.8×10-2A/cm2、正面輝度が1000cd/m2を示した。また、最大電力効率は3.06(lm/W)を示した。さらに、作製例1と同様にしてPL積分強度を測定した。PL積分強度は0.0235W/(m2・sr)であり、相対PL積分強度比は96.1%であった。
<作製例6>3層の発光層を有する発光部を備えた有機EL素子の作製
以下のようにして有機EL素子を作製した。基板としては、ガラス基板を用い、このガラス基板上にスパッタリング法によって成膜され、所定の形状にパターニングされたITO膜を陽極として用いた。陽極としては、厚みが150nmのものを用いた。陽極が形成された基板を、アルカリ洗剤および超純水で洗浄し、乾燥させた後に、UV−O3装置(テクノビジョン株式会社製、商品名「モデル312 UV−O3クリーニングシステム」)を用いてUV−O3処理を行った。
比較例2として、白色の波長領域で発光する一層の発光層(以下、白色発光層という場合がある)のみから成る発光部を備える有機EL素子を作製した。白色発光層以外の製造工程は、作製例6の有機EL素子の製造工程と同じなので、重複する説明を省略して、白色発光層の製造工程についてのみ説明する。
比較例3として、赤色発光層、緑色発光層、および青色発光層の3層の積層順のみが、作製例の有機EL素子とは異なる有機EL素子を作製した。陽極に最も近い層に、青色発光層を配置し、真中の層に、緑色発光層を配置し、陰極に最も近い層に赤色発光層を配置した。赤色発光層、緑色発光層、および青色発光層以外の製造工程は、作製例の有機EL素子の製造工程と同じなので、赤色発光層、緑色発光層、および青色発光層の製造工程についてのみ説明する。
また、作製例6の有機EL素子は、3層の発光層を所定の配置にすることによって、比較例3の有機EL素子よりも電流効率の最大値が向上した。
20 第1電極部
21 陽極
22 正孔注入層
23 正孔輸送層
30 発光部
31 第1発光層(赤色発光層)
32 第2発光層(緑色発光層)
33 第3発光層(青色発光層)
40 第2電極部
41 電子輸送層
42 電子注入層
43 陰極
Claims (14)
- 陽極を含む第1電極部と、陰極を含む第2電極部と、前記第1電極部および前記第2電極部の間に配置される、3層以上の発光層を含む発光部とを積層して有機エレクトロルミネッセンス素子を製造する方法であって、
放射する光のピーク波長が長い発光層ほど陽極寄りに配置されるように各発光層を順次成膜して前記発光部を形成する発光部形成工程と、
前記第1電極部および第2電極部が、それぞれ1又は複数の層で構成され、前記第1電極部および第2電極部を構成する層のうち、前記発光部が形成された後に積層される層の少なくとも一層を、下記式(1)および(2):
加速電圧(kV)×エミッション電流(mA)÷蒸着速度(nm/sec)<20000(W・sec/nm) ・・・式(1)
加速電圧(kV)>4 ・・・式(2)
の条件を満たす電子ビーム蒸着により形成する電子ビーム蒸着工程と、
を含む、有機エレクトロルミネッセンス素子の製造方法。 - 前記発光部形成工程が、前記第1電極部が形成された後に行われる、請求項1に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子の製造方法。
- 前記発光部形成工程が、前記第1電極部または第2電極部が形成された後に、各発光層を構成する材料を含む塗布液を順次塗布し固化することによって各発光層を順次成膜することにより行われ、
前記発光部形成工程は、
前記第1電極部および第2電極部のうちの既に形成された一方の電極部上に、第1発光層を形成する材料を含む第1塗布液を塗布する第1塗布工程と、
塗布された前記第1塗布液を、第2発光層を形成する材料を含む第2塗布液に対して不溶化させ第1発光層を形成する第1固化工程と、
前記第2塗布液を、前記第1発光層上に塗布する第2塗布工程と、
塗布された前記第2塗布液を、第3発光層を形成する材料を含む第3塗布液に対して不溶化させ第2発光層を形成する第2固化工程と、
前記第3塗布液を、前記第2発光層上に塗布する第3塗布工程と、
塗布された前記第3塗布液を固化し第3発光層を形成する第3固化工程と、
を含む、請求項1に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子の製造方法。 - 前記第1塗布液および前記第2塗布液には、それぞれ架橋基を有する化合物が含まれており、
前記第1固化工程および前記第2固化工程の各固化工程において、塗布された各塗布液にエネルギーを加えて架橋させ、各発光層を形成する、請求項3に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子の製造方法。 - 前記第1塗布液および前記第2塗布液のうち少なくとも1つの塗布液が、架橋基を有する発光性高分子有機化合物を含む塗布液である、請求項4に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子の製造方法。
- 前記第1塗布液および前記第2塗布液のうち少なくとも1つの塗布液が、架橋基を有する材料と、発光材料とを含む塗布液である、請求項4に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子の製造方法。
- 前記発光部形成工程において、陽極側から順に、赤色の光を発する第1発光層、緑色の光を発する第2発光層、および青色の光を発する第3発光層を積層して設ける、請求項1から6のいずれか一項に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子の製造方法。
- 前記電子ビーム蒸着の条件が、さらに下記式(3)を満たすことを特徴とする、請求項1から7のいずれか一項に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子の製造方法。
エミッション電流(mA)>100 ・・・・式(3) - 前記電子ビーム蒸着の条件が、さらに下記式(4)を満たすことを特徴とする、請求項1から8のいずれか一項に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子の製造方法。
蒸着速度(nm/sec)≧1 ・・・式(4) - 前記電子ビーム蒸着により形成される層が、Al、Zn、In、Ga、Sn、Ni、Cr、Mn、Ti、Mo、Ta、W、Ag、Au、これらの酸化物、これらの窒化物、アルカリ土類金属、アルカリ土類金属の酸化物、アルカリ土類金属のフッ化物、アルカリ金属の酸化物、およびアルカリ金属のフッ化物からなる群より選ばれる1種または2種以上の複合材料で形成される、請求項1から9のいずれか一項に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子の製造方法。
- 請求項1から10のいずれか一項に記載の製造方法により製造された有機EL素子。
- 請求項11に記載の有機EL素子が実装された面状光源。
- 請求項11に記載の有機EL素子が実装された照明装置。
- 請求項11に記載の有機EL素子が実装された表示装置。
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