JP2010194591A - 摩擦攪拌接合用工具および摩擦攪拌接合装置 - Google Patents

摩擦攪拌接合用工具および摩擦攪拌接合装置 Download PDF

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Abstract

【課題】ピンの作製に微小なクラックがピンの表面に存在せず、長寿命化が可能となる摩擦攪拌用接合工具用ピンとそれを用いた摩擦撹拌接合装置を提供する。
【解決手段】支持体2の先端に被接合部材に押圧させるピン1を備えたものであり、ピン1は表面に被覆層3を有するセラミックスからなる。
【選択図】図1

Description

本発明は、例えばアルミニウム材、鋼材、それらの合金材およびMMC(Metal Matrix Composites:金属基複合材)等の金属を主体とする部材どうしを接合するための摩擦攪拌接合用工具、およびこの工具を用いた摩擦攪拌接合装置に関する。
被接合部材から発生する摩擦熱を利用して接合する方法として、近年、摩擦攪拌接合(Friction Stir Welding)が利用されるようになっている。
この摩擦攪拌接合は、例えば図8に示す工程(a)〜(d)の順番で行われる。まず、工程(a)では、摩擦攪拌用接合工具50が被接合部材60の表面に対して垂直になるように位置決めされ、摩擦攪拌用接合工具50を所定回転数で回転させる。次の工程(b)では、摩擦攪拌用接合工具50を回転させながら、所定圧力で被接合部材60の表面に押圧する。被接合部材60と摩擦攪拌用接合工具50との間に摩擦熱が発生し、被接合部材60が軟化して摩擦攪拌用接合工具50の先端部にあるピン51が被接合部材60中に圧入される。次の工程(c)では、ピン51が被接合部材60中に埋め込まれ、摩擦攪拌用接合工具50の本体表面が被接合部材60に接触する。この間もピン51の被接合部材60への押圧は維持される。この際、ピン51の周辺部分にある被接合部材60の一部は組成流動現象を起こし、積層された被接合部材60は接合される。そして、工程(d)において、摩擦攪拌用接合工具50を後退させることにより、ピン51を被接合部材60から離して、接合を終了させる。
現在、これら工程で用いられる摩擦攪拌用接合工具50は、破損しにくいこと、磨耗しにいくいこと等、長寿命化に対する要求が厳しくなりつつある。特許文献1ではこのような要求に応える摩擦攪拌による接合方法が提案されている。
国際公開WO2005/105360号パンフレット
しかしながら、摩擦攪拌用接合工具のピンの作製の際に生じた微小なクラックがピンの表面に存在したままの状態となる場合、さらなる長寿命化が困難となる。
本発明の目的は、さらなる長寿命化を図ることができ、信頼性の高い摩擦攪拌用接合工具および摩擦攪拌接合装置を提供することにある。
本発明の一形態に係る摩擦攪拌接合用工具は、支持体の先端に被接合部材に押圧させるピンを備えたものであり、ピンは表面に被覆層を有するセラミックスからなることを特徴とする。
また、本発明の一形態に係る摩擦攪拌接合装置は、上記摩擦攪拌接合用工具と、この摩擦攪拌接合用工具の作動を制御する制御装置とを備えていることを特徴とする。
本発明の一形態に係る摩擦攪拌接合用工具によれば、窒化珪素質焼結体を加工した際に表面に残る微小なクラックを内在化させることができるので、機械的な特性が高くなり、摩擦攪拌接合用工具の寿命を延ばすことができ、信頼性の高いものを提供できる。
また、本発明の一形態に係る摩擦攪拌接合装置によれば、工具の交換頻度を少なくすることができ、長期信頼性の高い摩擦攪拌接合装置を提供できる。
本発明の一形態に係る摩擦攪拌接合用工具の一例を模式的に示す図であり、(a)は斜視図、(b)は断面図、(c)はA部拡大図である。 本発明の一形態に係る摩擦攪拌接合用工具の一例を模式的に示す図であり、(a)は斜視図、(b)は断面図、(c)はB部拡大図である。 (a)、(b)はそれぞれ本発明の一形態に係る摩擦攪拌接合用工具の一例を模式的に示すを示す斜視図である。 本発明の一形態に係る摩擦攪拌接合用工具の一例を模式的に示す斜視図である。 (a)、(b)はそれぞれ本発明の一形態に係る摩擦攪拌接合用工具の一例を模式的に示す斜視図である。 (a)、(b)はそれぞれ部材どうしを接合した様子を示す斜視図である。 本発明の一形態に係る摩擦攪拌接合用工具を用いて作製した放熱基体を示し図であり、(a)は平面図、(b)は(a)のA−A線における断面図、(c)は底面図である。 (a)〜(d)はそれぞれ摩擦攪拌接合の工程を模式的に説明する断面図である。
以下、本発明を実施するための形態について、模式的に示した図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、図面において共通の部位を表す場合は同一符号を用いる。
図1に示すように、摩擦攪拌接合用工具100は、その軸心回りに回転させる円柱状の支持体2と、この支持体2の先端に被接合部材へ押圧させる円柱状のピン1とを有してなる。ここで、ピン1は支持体2より小さな円柱状であり、支持体2とピン1とは一体に構成されている。
摩擦攪拌接合用工具100は、ピン1が窒化珪素質焼結体からなり、ピン1の表面に修復機能を有する被覆層3を有するものである。なお、窒化珪素質焼結体とは窒化珪素を50質量%以上からなるものをいい、例えばサイアロン質焼結体も含む。また、修復機能とは、窒化珪素質焼結体に幅が1μm以下の微小なクラックが複数生じても大気中の酸素と窒化珪素質焼結体を構成する珪素とを熱処理によって反応させることにより、このようなクラックを無くすことができることをいう。
図1(c)に示すように、被覆層3は窒化珪素質焼結体を加工したときに表面に残る微小なクラック4を被覆している。このような被覆層3の主成分は、例えば、二酸化珪素,炭化珪素窒化チタン,炭窒化チタンおよびこれらの複合物のいずれかであることが好適であり、これら主成分の組成は化学量論組成または非化学量論組成のいずれでもよい。なお、ここでいう「主成分」とは、被覆層3を構成する全成分100質量%に対して50質量%以上を占める成分であり、以下の「主成分」の意味も同様とする。
また、被覆層3の主成分は、非晶質硬質炭素であってもよい。この場合、ピン1の表面から順にチタンおよび珪素を介して、被覆層3を形成してもよく、このような構成にすることによって、ピン1の表面に対する被覆層3の密着力を高めることができる。
被覆層3の主成分が非晶質硬質炭素である場合、ラマン分光分析法を用いて同定すると、ダイヤモンドのピーク位置である1333cm−1の近傍と、グラファイトのピーク位置である1550cm−1の近傍とに、それぞれピークを有することがわかる。
このような非晶質硬質炭素はビッカース硬度で20GPa以上50GPa以下であり、高い硬度を有しているため、摩擦攪拌接合に用いているときでも殆ど摩耗することはない。
なお、非晶質硬質炭素は、ピークがダイヤモンドあるいはグラファイトのいずれか一方に偏っていてもよいが、ダイヤモンドのピーク位置に偏っている方が好適である。
また、被覆層3の主成分が非晶質硬質炭素である場合、被覆層3中にジルコニウム、タングステンおよびチタンのうち少なくとも1種以上の金属と珪素を含有したものであってもよい。
このようにジルコニウム、タングステン、チタンのうち少なくとも1種以上の金属と珪素を含有させることにより、被覆層3の内部における残留応力を低減して被覆層3の密着力を高めることができる。
なお、ジルコニウム、タングステン、チタンのうち少なくとも1種以上の金属と珪素を含有させた非晶質硬質炭素は、前述した非晶質硬質炭素とは異なり、ラマン分光分析法による同定では1480cm−1の近傍に1つのピークを有するものである。
このような被覆層3を有することで、窒化珪素質焼結体を加工したときに表面に残る微小なクラック4を内在化させられるため、機械的な特性が高くなり、摩擦攪拌接合用工具10の寿命を延ばすことができる。
図2に示す摩擦攪拌接合用工具100は、図1に示す摩擦攪拌接合用工具100と同様に、その軸心回りに回転させる円柱状の支持体2と、支持体2の先端に被接合部材へ押圧させる円柱状のピン1を有してなる。
ピン1は窒化珪素質焼結体の支持体2に設けられており、支持体2におけるピン1の周囲の表面、特に支持体2の被接合部材と対向する表面に、被覆層3を構成する主成分と同一材料を有する保護層5で覆われている。なお、この場合、被覆層3と保護層5とは主成分以外の成分が異なっていても何等差し支えない。
図2(c)に示すように、保護層5は被覆層3と同様、窒化珪素質焼結体を加工したときに表面に残る微小なクラック4を被覆している。
このような保護層5を有することで、窒化珪素質焼結体を加工したときに表面に残る微小なクラック4を内在化させられるため、機械的な特性が高くなり、摩擦攪拌接合用工具100の寿命を延ばすことができる。
なお、図1,2に示すピン1は円柱状のピンを示しているが、ピン1の周囲の表面には、
溝が形成されていてもよく、このような溝を形成することで撹拌効率を高くすることができ、被接合部材同士をより強固に接合することができる。
図3に示す摩擦攪拌接合用工具100は、(a)に示すようにピン1の表面に複数の三角形状の平面部6aを有する。また、(b)に示すように複数の四角形状の平面部6bを有し、各平面部5には略直角の角度を成して軸に離間する方向に連続する側面部7を有しており、各平面部6bを含む表面に被覆層3が形成されているものでもよい。また、(b)において、側面部7は四角形状の平面部6bの1辺のみに連続するように形成されている。
図4に示す摩擦攪拌接合用工具100は、側面部7が四角形状の平面部6の2辺にわたり連続するように形成されたものである。
ピン1および支持体2を形成する窒化珪素質焼結体は、周期表第3族元素の酸化物および二酸化珪素を含有することが好適である。特に、周期表第3族元素の酸化物の含有量は、1質量%以上30質量%以下であって、二酸化珪素の含有量の0.3倍以上15倍以下であることが好適である。
周期表第3族元素の酸化物および二酸化珪素は、焼結助剤として作用し、周期表第3族元素の酸化物は、窒化珪素質焼結体の破壊靱性も高くすることができる。
周期表第3族元素の酸化物の含有量を1質量%以上とすることで、より低温で窒化珪素質焼結体を緻密化させることができ、30質量%以下とすることで、より機械的特性を向上させることができる。また、周期表第3族元素の酸化物の含有量は、二酸化珪素の含有量の0.3倍以上とすることで、粒界相が二酸化珪素を多く含む部分を分離しにくくなる。このため、この部分の脱落が抑制され、見栄えを損ねる白色状模様が表出しにくくなる。一方、周期表第3族元素の酸化物の含有量は、二酸化珪素の含有量の15倍以下とすることで、周期表第3族元素の酸化物と二酸化珪素との反応が進みやすくなる。このため、液相が容易に生成し、機械的特性をさらに高くすることができる。
なお、周期表第3族元素としては、イットリウム(Y),エルビウム(Er),イッテルビウム(Yb)およびルテチウム(Lu)が好ましい。特に、白色状模様が表出しにくくさせるという観点から、エルビウム(Er)およびイッテルビウム(Yb)がより好適である。
窒化珪素質焼結体における周期表第3族元素の各含有量は、ICP(Inductivity Coupled Plasma)発光分析法により求めることができる。各酸化物の含有量は、これら各元素を酸化物に換算して求めればよい。また、二酸化珪素の含有量は、酸素分析法で窒化珪素質焼結体における酸素の含有量を求め、この含有量から前記各酸化物および酸化アルミニウムを構成する酸素の含有量の合計を引いた含有量がすべて二酸化珪素を構成するのに用いられるとみなし、二酸化珪素に換算することで求められる。
なお、組成式がSiO2−x(ただし、xは0<x<2である。)示される不定比の酸化珪素が窒化珪素質焼結体に含まれていても何等差し支えない。
また、ピン1および支持体2を形成する窒化珪素質焼結体は硼素を0.002質量%以上1質量%以下含有することが好適である。
硼素は、粒界相中に溶解して、粒界相の非晶質化を促進するため、粒界相の結晶化に伴って発生する体積収縮が発生しにくくなる。これにより、粒界相中に隙間が生じにくくなり、機械的特性がさらに高くなる。窒化珪素質焼結体は硼素を0.002質量%以上含有することで、機械的特性の向上が明確に表れ、硼素を1質量%以下にすることで、焼結を促進することができる。
窒化珪素質焼結体における硼素の含有量は、ICP発光分析法により求めることができる。
また、ピン1および支持体2を形成する窒化珪素質焼結体は、酸化アルミニウムおよび周期表第3族元素の酸化物を含有する。酸化アルミニウムの含有量は、周期表第3族元素の酸化物の含有量の0.1倍以上2倍以下であることが好適である。
酸化アルミニウムも周期表第3族元素の酸化物と同様、焼結助剤として作用する。酸化アルミニウムの含有量は、周期表第3族元素の酸化物の含有量の0.1倍以上とすることで、焼結性がより高くなる。これにより、窒化珪素質焼結体の強度を高くすることができる。また、酸化アルミニウムの含有量は、周期表第3族元素の酸化物の含有量の2.0倍以下とすることで、窒化珪素質焼結体の破壊靱性を高くすることができる。
窒化珪素質焼結体におけるアルミニウムの含有量は、ICP発光分析法により求めることができる。酸化アルミニウムの含有量は、アルミニウムを酸化物に換算して求めればよい。
また、ピン1および支持体2を形成する窒化珪素質焼結体は粒界相中に珪化タングステンを含有するとよい。この場合、珪化タングステンの平均結晶粒径は0.3μm以上3μm以下であることが好適である。もともと窒化珪素粉末中には微量のFeが不純物として含まれることがあり、焼成後にFeが偏在して破壊源となり、強度が低下するおそれがあるが、珪化タングステンはFeを固溶する性質を有するため、焼成後のFeの偏在を抑制する。また、珪化タングステンはFeの偏在を抑制する効果に加え、残留応力を緩和したり、焼結を促進させたりする効果がある。
珪化タングステンの平均結晶粒径を0.3μm以上とすることで、Feの偏在を減少させることができる。また、珪化タングステンの平均結晶粒径を3μm以下とすることで、珪化タングステンは粒界相中で分散しやすくなる。このため、窒化珪素質焼結体の残留応力を緩和したり、焼結を促進させたりする効果が高くなる。
このような珪化タングステンは、例えば、組成がW3Si,W5Si3,W3Si2およびWSi2等で表され、X線回折法を用いて同定することができる。特に、W5Si3/WSi2の比率が0.1以上であることが好適であり、この比率が0.1以上であると、窒化珪素質焼結体の耐熱性が高くなる。
珪化タングステンの平均結晶粒径は、JIS R 1670−2006に準拠して求めればよい。その前処理としては、表面または断面を平均粒径が1μmのダイヤモンド砥粒が含まれるペーストで研磨し鏡面を得ればよい。そして、走査型電子顕微鏡を用いて、この鏡面における珪化タングステンの結晶粒子が20個以上になるように倍率を設定した後、反射電子像を撮影して珪化タングステンの平均結晶粒径を求める。
また、W5Si3/WSi2の比率は、X線回折法を用いて、W5Si3の(411)面および(321)面におけるピーク強度I(W5Si3)とWSi2の(101)面および(103)面におけるピーク強度I(WSi2)とを求め、その比率I(W5Si3)/I(WSi2)を求めればよい。
上述したように、本実施形態の摩擦攪拌接合用工具は、機械的な特性が高くなり、寿命が長いので、複数の被接合部材が接合されてなる本実施形態の複合部材は、接合部の信頼性が高くなる。このような複合部材には、例えば、図6(a)に示すように板状の金属部材8a,8bが積層されて接合されたもの、または図6(b)に示すように板状の金属部材8c,8dが平面状に並べられて接合されたものがある。
複合部材として、例えば、絶縁性の支持基板と、支持基板の上側に位置する回路部材と、支持基板の下側に放熱部材を介して冷却部材とを備えており、放熱部材および冷却部材は、摩擦攪拌接合用工具によって接合された構成とすることも可能である。
図7に示す複合部材200は、絶縁性の支持基板9と、支持基板9の上側にチタン,ジルコニウム,ハフニウム、バナジウムおよびニオブの少なくともいずれか1種を主成分とする第1金属層10aおよび銅を主成分とする第2金属層11aを順次介して位置する回路部材12と、支持基板9の下側に第1金属層10b,第2金属層11bおよび放熱部材13を介して位置する冷却部材14とを備えており、放熱部材13および冷却部材14は、摩擦攪拌接合用工具100によって接合されてなるものである。この複合部材200は、寿命の長い摩擦攪拌接合用工具が用いられているので、接合部の信頼性が高い複合部材とすることができる。
摩擦攪拌接合装置(不図示)は、本実施形態の摩擦攪拌接合用工具と、摩擦攪拌接合用工具の作動を制御する制御装置(不図示)とを備えたものとすることができる。これによれば、寿命の長い摩擦攪拌接合用工具が用いられているので、工具の交換頻度を少なくすることができる。
以下に、本実施形態の摩擦攪拌接合用工具の製造方法の一例について説明する。
まず、窒化珪素質焼結体からなる円柱状体を準備する。この円柱状体の先端側の外周面を研削加工することでピン2が作製される。これにより、ピン2以外の残部が支持体1である摩擦攪拌接合用工具を得ることができる。
次に、この摩擦攪拌接合用工具を600℃以上1500℃以下の大気雰囲気で例えば、1時間以上2時間以下で熱処理することにより窒化珪素質焼結体の表面に二酸化珪素を主成分とする被覆層3を形成すればよい。
また、上記熱処理により、支持体2の被接合部材と対向する表面に、被覆層3と同一材質の保護層4を被覆することができる。
非晶質硬質炭素をピン1および支持体2の表面に形成するには、CVD(Chemical Vapor Deposition)法またはスパッタリング法やイオンプレーティング法などのPVD(Physical Vapor Deposition)法のいずれかの薄膜形成手段を用いればよい。
例えば、低温で被覆層4や保護層5をプラズマCVD法により形成するには、まず、プラズマCVD装置におけるチャンバー室内に被覆層4や保護層5を形成するためのソースガスとキャリアガスを供給し、摩擦攪拌接合用工具を配置したカソード(陽極)とアノード(陽極)との間に電圧を印加することで、カソード(陽極)から引き出された電子をソースガスおよびキャリアガスと衝突させてプラズマを発生させ、このプラズマ中のソースガス成分をピン1や支持体2の各表面に堆積させればよい。
そして、チャンバー室に供給するソースガスとキャリアガスを置き換えてピン1や支持体2の各表面側から順にチタン、珪素を介して、非晶質硬質炭素を被着することにより形成することができる。
なお、各材料を被着するためにチャンバー室に供給するソースガスおよびキャリアガスとしては表1に示すものを用いればよい。
Figure 2010194591
次に、本実施形態の摩擦攪拌接合用工具を構成する窒化珪素質焼結体の製造方法の一例について説明する。
窒化珪素の粉末に焼結助剤となる周期表第3族元素の酸化物の粉末および二酸化珪素の粉末を所定量添加し、2−プロパノール,メタノールおよび水のいずれかを溶媒として、例えば回転ミル,振動ミル,ビーズミルおよびバレルミルのいずれかで湿式混合する。この際、場合によっては溶媒を使用しない乾式混合でも構わない。
ここで、窒化珪素質焼結体における周期表第3族元素の酸化物の含有量が1質量%以上30質量%以下であって、二酸化珪素の含有量の0.3倍以上15倍以下であるようにするには、窒化珪素の粉末に対して、周期表第3族元素の酸化物の粉末の含有量が1質量%以上30質量%以下であって、二酸化珪素の粉末の含有量および窒化珪素の粉末中に不可避的に存在する酸素が窒化珪素質焼結体ではすべて二酸化珪素になるとみなして算出した含有量との合計の0.3倍以上15倍以下とすればよい。
窒化珪素粉末中に不可避的に存在する酸素の含有量は、JIS R 1603−2007に準拠して求めればよい。
また、上記焼結助剤に加えて硼素を添加しても好適で、窒化珪素質焼結体における硼素の含有量が0.002質量%以上1質量%以下とするには、窒化珪素の粉末に対して、硼素を0.002質量%以上1質量%以下添加すればよい。
また、窒化珪素質焼結体における酸化アルミニウムの含有量が周期表第3族元素の酸化物の含有量の0.1倍以上2倍以下とするには、窒化珪素の粉末に対して、酸化アルミニウムの含有量が周期表第3族元素の酸化物の含有量の0.1倍以上2倍以下とすればよい。
また、窒化珪素質焼結体が粒界相中に珪化タングステンを含有し、珪化タングステンの平均結晶粒径が0.3μm以上3μm以下とするには、平均粒径が0.3μm3μm以下タングステンの珪化物,炭化物,酸化物および窒化物の少なくとも1種を窒化珪素の粉末に対して、0.1質量%以上10質量%以下添加すればよい。タングステンの珪化物は、後述する加熱処理後にそのまま平均結晶粒径が0.3μm以上3μm以下の珪化タングステンとして粒界相中に存在する。また、タングステンの炭化物,酸化物および窒化物は加熱処理中に窒化珪素と反応し、平均結晶粒径が0.3μm以上3μm以下の珪化タングステンとして粒界相中に存在する。
混合粉末を所望の成形手段、例えば、乾式加圧成形,冷間等方圧プレス成形,押出し成形,射出成形,鋳込み成形等のいずれかの生計手段により任意の形状にする。
成形手段によっては、噴霧乾燥法等による造粒や、粘性の高い杯土の作製等の準備が必要であるが、通常のセラッミクスの成形手順に従えばよい。
成形後、乾燥および脱脂が必要な場合、窒素,大気および真空のいずれかの雰囲気中で、50℃以上1400℃以下で加熱処理すればよい。
焼成については、窒素雰囲気中で1600℃以上2000℃以下の条件で加熱処理すればよい。
なお、1800℃以上で焼成する場合は、窒化珪素の分解が生じるおそれがあるので、1気圧以上の窒素分圧下で焼成すればよい。
特に、窒化珪素の結晶粒子の異常な粒成長を抑制するには、1650℃以上1850℃以下で加熱処理することが好ましい。
さらに、上述のような加熱処理後、熱間等方圧焼結(HIP)等の手段を用いて加熱処理することで、より緻密な焼結体を得ることができる。この熱間等方圧焼結(HIP)を用いる場合、その温度は1500℃以上1750℃以下であることが好適である。
上述した通り、本実施形態の摩擦攪拌接合用工具は、先端にピンを備え、このピンは優れた機械的特性を有する窒化珪素質焼結体からなり、ピンの表面に修復機能を備えた被覆層を有していることから、窒化珪素質焼結体を加工したときに表面に残る微小なクラックを内在化させられるため、機械的な特性が高くなり、摩擦攪拌接合用工具の寿命を延ばすことができる。
まず、図6(b)に示すように板状の金属部材8c、8dを平面状に互いにつき合わせて並べ、摩擦攪拌接合用工具を用いて複合部材を作製した。
板状の金属部材8c,8dの各材料はいずれもAl−Mg−Si系合金とした。また、金属部材8c,8dの各厚みは4mmであり、接合部の長さは200mmである。
図2における被覆層3および保護層5の各主成分は、表2に示す通りであり、被覆層および/または保護層の欄に横線を施したものは被覆層および/または保護層がないことを示す。
なお、ピンおよび支持体を形成する窒化珪素質焼結体に含まれる材料(周期表第3族元素の酸化物,二酸化珪素,酸化アルミニウムおよび硼素)の各含有量は、表2に示す通りであり、これら各成分の欄に横線を施したものは、該当する成分が含まれていないことを示す。
窒化珪素質焼結体中における周期表第3族元素の酸化物および酸化アルミニウムの各含有量はICP発光分析法により求める。なお、各酸化物の含有量は、これら各元素を酸化物に換算して求めた。
また、二酸化珪素の含有量は、酸素分析法で窒化珪素質焼結体における酸素の含有量を求め、この含有量から前記各酸化物および酸化アルミニウムを構成する酸素の含有量の合計を引いた含有量がすべて二酸化珪素を構成するのに用いられるとみなし、二酸化珪素に換算することで求めた。
また、窒化珪素質焼結体における硼素の含有量は、ICP発光分析法により求めた。
また、粒界相中に含まれる珪化タングステンの平均結晶粒径は、表2に示す通りであり、珪化タングステンの欄に横線を施したものは、粒界相中に珪化タングステンが含まれていないことを示す。
この珪化タングステンの平均結晶粒径は、JIS R 1670−2006に準拠して求めた。なお、前処理としては窒化珪素質焼結体の断面を平均粒径が1μmのダイヤモンド砥粒が含まれるペーストで研磨して鏡面を得た。そして、走査型電子顕微鏡を用いて、倍率を4000倍に設定した後、反射電子像を撮影して珪化タングステンの結晶粒子20個の平均結晶粒径を求めた。
表2に示す摩擦撹拌接合用工具を用いて、ピンの挿入深さを4mm、ピンの回転速度を1600rpm、ピンの移動速度を0.6m/分として、板状の金属部材6c,6dを接合した。
上述した方法で複数の複合部材を作製し、接合されていない部分が発生するまでの接合部の累積した長さ(総長さ)を測定し、摩擦撹拌接合用工具の寿命を評価した。
接合部の総長さが長いほど、摩擦撹拌接合用工具の寿命は長く、接合部の総長さが短いほど、摩擦撹拌接合用工具の寿命は短いことを示す。
なお、接合されていない部分の発生については、X線透過法により確認した。
Figure 2010194591
試料No.1,61,63,65は、ピンが窒化珪素質焼結体からなり、ピンの表面に修復機能を備えた被覆層を有していることから、被覆層のない試料No.67より寿命が長い。
また、試料No.2〜60は、被覆層と同一材質の保護層が被覆されていることから、保護層のない試料No.1より寿命が長い。試料No.61と62、試料No.63と64、試料No.65と66をそれぞれ比べても被覆層と同一材質の保護層が被覆されていると寿命が長いことがわかった。
また、試料No4,6〜26,28,34,36〜56,58は、窒化珪素質焼結体が周期表第3族元素の酸化物および二酸化珪素を含有する。さらに、周期表第3族元素の酸化物の含有量は、1質量%以上30質量%以下であって、二酸化珪素の含有量の0.3倍以上15倍以下であることから、この範囲外の試料No.3,5,27,29より寿命が長い。
また、試料No.9〜24,39〜54は、窒化珪素質焼結体が酸化アルミニウムおよび周期表第3族元素の酸化物を含有する。さらに、酸化アルミニウムの含有量は、周期表第3族元素の酸化物の含有量の0.1倍以上2倍以下であることから、この範囲外の試料No.4,6〜8,25,26,28より寿命が長い。
また、試料No.12〜22,42〜52は、硼素を0.002質量%以上1質量%以下含有することから、この範囲外の試料No.11,23,41,53より寿命が長い。
また、試料No.16〜19,46〜49は、窒化珪素質焼結体が粒界相中に珪化タングステンを含有し、珪化タングステンの平均結晶粒径が0.3μm以上3μm以下であることから、この範囲外の試料No.15,20,45,50より寿命が長い。
1:ピン
2:支持体
3:被覆層
4:クラック
5:保護層
6:平面部
7:側面部
8:金属部材
9:支持基板
10:第1金属層
11:第2金属層
12:回路部材
13:放熱部材
14:冷却部材
100:摩擦撹拌接合用工具
200:複合部材

Claims (10)

  1. 支持体の先端に被接合部材に押圧させるピンを備えた摩擦攪拌接合用工具であって、前記ピンは表面に被覆層を有するセラミックスからなることを特徴とする摩擦攪拌接合用工具。
  2. 前記支持体における前記ピンの周囲の表面が、前記被覆層を構成する主成分と同一材料を有する保護層で覆われていることを特徴とする請求項1に記載の摩擦攪拌接合用工具。
  3. 前記ピンを構成するセラミックスが窒化珪素を主成分とする窒化珪素質焼結体であることを特徴とする請求項1または2に記載の摩擦攪拌接合用工具。
  4. 前記窒化珪素質焼結体は、周期表第3族元素の酸化物および酸化珪素を含有していることを特徴とする請求項3に記載の摩擦攪拌接合用工具。
  5. 前記周期表第3族元素の酸化物の含有量は、1質量%以上30質量%以下であって、二酸化珪素の含有量の0.3倍以上15倍以下であることを特徴とする請求項4に記載の摩擦攪拌接合用工具。
  6. 前記窒化珪素質焼結体は、硼素を0.002質量%以上1質量%以下含有することを特徴とする請求項3乃至5のいずれかに記載の摩擦攪拌接合用工具。
  7. 前記窒化珪素質焼結体は、さらに酸化アルミニウムを前記周期表第3族元素の酸化物の含有量の0.1倍以上2倍以下含有していることを特徴とする請求項4乃至6のいずれかに記載の摩擦攪拌接合用工具。
  8. 前記窒化珪素質焼結体は、粒界相中に珪化タングステンを含有していることを特徴とする請求項3乃至7のいずれかに記載の摩擦攪拌接合用工具。
  9. 前記珪化タングステンの平均結晶粒径は0.3μm以上3μm以下であることを特徴とする請求項8に記載の摩擦攪拌接合用工具。
  10. 請求項1乃至9のいずれかに記載の摩擦攪拌接合用工具と、該摩擦攪拌接合用工具の作動を制御する制御装置とを備えていることを特徴とする摩擦攪拌接合装置。
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