JP2010200677A - 焼酎粕機能性エキスおよびその製造方法 - Google Patents

焼酎粕機能性エキスおよびその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】これまで海洋投棄されていた焼酎粕の新たな利用法を提供すること。
【解決手段】焼酎粕を水熱処理して得られる懸濁液を、固液分離して得られる焼酎粕機能性エキスおよびこのエキスを含有する抗酸化剤、飲食品、ビフィドバクテリウム属微生物の増殖促進剤。
【選択図】図8

Description

昨今の焼酎ブームにより焼酎の製造数量は飛躍的に伸びてきており、それに伴い廃棄される焼酎粕の量も増えてきている。
日本国内ではロンドン条約96議定書(1996年)への対応から海洋汚染防止法が改正され、平成19年4月以降、焼酎粕の海洋投棄が原則禁止となり、各焼酎メーカーは陸上処理への転換を随行中である。
焼酎粕の陸上処理としては、メタン発酵や濃縮・乾燥による飼肥料化が行われている。また、陸上処理の別の態様としては、焼酎粕に食物繊維、アミノ酸、糖類、有機酸、ビタミン、ミネラル、ポリフェノール等が含まれていることから、栄養面での有用性が再認識され、焼酎粕の新たな機能性を検討して食用にすることも行われてきている(特許文献1〜2および非特許文献2〜3)。
しかしながら、焼酎粕の産出量が多く、上記の陸上処理だけでは処理量が不十分であることから、更なる利用法を検討する必要があった。
特許第3806101号公報 特開2007−236287号公報
古田ら、生物工学会誌、第85巻、第4号、p161−166、2007年 南日本新聞、平成18年4月28日発行
従って本発明は、焼酎粕の新たな利用法の提供をその課題とするものである。
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討を行った結果、焼酎粕を水熱処理することにより原料である焼酎粕の機能が増強されたエキスが得られること見出し、本発明を完成した。
すなわち本発明は、焼酎粕を水熱処理して得られる懸濁液を、固液分離して得られる焼酎粕機能性エキスである。
また本発明は、焼酎粕を水熱処理して得られる懸濁液を、固液分離することを特徴とする焼酎粕機能性エキスの製造方法である。
本発明の焼酎粕機能性エキスは、水熱処理前の焼酎粕と比較して、DPPHラジカル消去能が高く、また、ポリフェノール量、オリゴ糖量、タンパク質量も多く、更に、ビフィドバクテリウム属の微生物の増殖を促進できるという機能を有するものである。
従って、本発明の焼酎粕機能性エキスは、抗酸化剤として利用でき、これを各種飲食品や化粧品、医薬部外品、医薬品等に含有させることができる。また、本発明の焼酎粕機能性エキスはビフィドバクテリウム属の微生物の増殖促進剤としても利用することができる。
各試験区で得られたサツマイモ焼酎粕機能性エキスの外観を示す図面である。 各試験区で得られたサツマイモ焼酎粕機能性エキス中の全糖量、還元糖量およびタンパク質量を示す図面である。 試験区1〜5で得られたサツマイモ焼酎粕機能性エキスのイオンクロマトグラムである。 試験区1〜5で得られたサツマイモ焼酎粕機能性エキスのイオンクロマトグラムの拡大図(リテンションタイム54〜70分)である。 45%培地を用いてBB−12株の増殖試験を行った結果および酸度測定を行った結果を示す図面である。 90%培地を用いてBB−12株の増殖試験を行った結果および酸度測定を行った結果を示す図面である。 各試験区で得られたサツマイモ焼酎粕機能性エキスのポリフェノール含量を示す図面である。 各試験区で得られたサツマイモ焼酎粕機能性エキスのDPPHラジカル消去活性を示す図面である。
本発明の焼酎粕機能性エキス(以下、「本発明エキス」という)は、焼酎粕を水熱処理して得られる懸濁液を、固液分離して得られるものである。
本発明エキスの出発原料となる焼酎粕は、特に限定されないが、例えば、米、麦、そば等の穀類、サツマイモ、ジャガイモ等の芋類、紫蘇、胡麻等を原料とし、未分解のデンプン、その他の炭水化物やセルロース、ヘミセルロース、リグニン等を含む焼酎粕が好ましく、特にサツマイモを原料とするサツマイモ焼酎粕が好ましい。
なお、本発明において焼酎粕とは、上記原料を用いた焼酎の製造において、焼酎モロミを蒸留して焼酎を得た後に蒸留釜に残るものをいう。具体的に、サツマイモ焼酎粕であれば、米麹または芋麹に水および酵母を加えて酒母をつくり、これに加熱処理したサツマイモおよび水を加えて発酵させてモロミを得、更にモロミからサツマイモ焼酎を蒸留した残査として得られる。
上記焼酎粕の水熱処理は、特に制限されないが、例えば、一般的な水熱処理用の装置を用い、140℃以上、好ましくは140〜200℃、特に好ましくは160から180℃の温度で、当該温度における飽和水蒸気圧以上の圧力のもと、5分間以上、好ましくは5分間〜1時間、特に好ましくは5〜10分間の条件で反応を行う。この水熱処理により、機能性を有した焼酎粕の懸濁液が得られる。
上記水熱処理で得られる懸濁液の固液分離は、特に制限されないが、例えば、遠心分離機、圧搾機等を用いて行う。この固液分離により、液体部分として本発明エキスが得られる。また、本発明エキスはそのままでもよいが、更に精製、脱色、濃縮等を行ってもよい。
斯くして得られる本発明エキスは、水熱処理前の焼酎粕と比較して、DPPHラジカル消去能が高く、また、ポリフェノール量、オリゴ糖量、タンパク質量も多く、更に、ビフィドバクテリウム属の微生物の増殖を促進できるという機能を有する。
具体的に、本発明エキスのDPPHラジカルの消去能は、文献(「食品機能研究法」、株式会社光琳発行、p.218)記載の方法を一部改変したDPPHラジカル分光測定法で測定した場合に、150μmmol/100ml以上、好ましくは178〜404μmmol/100mlとなる。
ポリフェノール含量は、文献(食品機能研究法、株式会社光琳発行、p.318)に記載の方法(フォリン−デニス比色定量法)で測定した場合に、100mg/100ml以上、好ましくは117〜200mg/100mlである。
全糖量は、フェノール硫酸法で測定した場合に、12.5mg/ml以上、好ましくは13.0〜17.4mg/mlである。
還元糖量は、ソモギーネルソン法で測定した場合に、5.5mg/ml以下、好ましくは4.2〜4.7mg/mlである。
タンパク質量は、ローリー法で測定した場合に9mg/ml以上、好ましくは9.8〜13.9mg/mlである。
ビフィドバクテリウム属の微生物の増殖促進能は、ビフィドバクテリウム・ラクティス(Bifidobacterium lactis)BB−12株(Chr.Hansen社:デンマーク)を用い、これを脱脂粉乳10%を含む培地に、10CFU/ml程度で植菌した後、37℃の条件で8時間嫌気培養した後の菌数が、0.6×10CFU/ml以上、好ましくは0.8×10〜2.4×10CFU/mlとなるものである。
本発明エキスは、このエキスが有する抗酸化能等の機能を利用して抗酸化剤とすることができる。この場合には、本発明エキスを常法に従って化粧品、医薬部外品、医薬品等に含有させればよい。これら化粧品、医薬部外品、医薬品等における本発明エキスの含有量は、特に限定されないが、例えば、5〜90%、好ましくは45〜90%である。
また、本発明エキスは、常法に従って各種飲食品に含有させることにより、このエキスが有する抗酸化能等の機能を付与した飲食品とすることができる。各種飲食品の例としては、清涼飲料、炭酸飲料、アルコール飲料、果汁飲料等の飲料、サプリメント等の栄養補助食品、せんべい、クッキー、飴等の菓子、ヨーグルト、アイスクリーム、チーズ等の乳製品、パン、麺等の食品が挙げられる。これら飲食品への本発明エキスの含有量は、特に限定されないが、例えば、5〜90%、好ましくは45〜90%である。
更に、本発明エキスは、このエキスが有するビフィドバクテリウム属微生物の増殖促進能等の機能を利用してビフィドバクテリウム属微生物の増殖促進剤とすることができる。本発明エキスで増殖促進が可能なビフィドバクテリウム属微生物としては、特に限定されないが、例えば、ビフィドバクテリウム・ラクティス、ビフィドバクテリウム・ビフィダム、ビフィドバクテリウム・ブレーベ等が挙げられる。本発明エキスをビフィドバクテリウム属微生物の増殖促進剤として用いる場合には、ビフィドバクテリウム属微生物を培養可能な培地や飲食品に、5〜90%、好ましくは45〜90%添加すればよい。
以下、実施例によって本発明を更に具体的に説明するが、この実施例により本発明は何ら制約されるものではない。
参 考 例 1
サツマイモ焼酎粕の製造:
米麹120kgと水144Lをタンクに仕込み、純粋培養した焼酎酵母1Lを加え5日間発酵させた酒母に、蒸したサツマイモ600kgを砕いたものと水324Lを加え8日間発酵させてモロミを得た。このモロミを蒸留してサツマイモ焼酎を留去し、サツマイモ焼酎粕を得た。このサツマイモ焼酎粕は、以下の実施例に使用するまで4℃で冷蔵貯蔵した。
実 施 例 1
サツマイモ焼酎粕機能性エキスの製造および分析:
(1)サツマイモ焼酎粕機能性エキスの製造、エキスの液体部分と固形部分の比率測定お
よび外観観察
参考例1で製造したサツマイモ焼酎粕の80Lを、スラリー型連続方式水熱処理装置を用いて表1の条件で水熱処理し、各条件のサンプルを3L得た。水熱処理後得られた懸濁液は遠心分離機を用いて8,000rpmで10分間遠心分離し、液体部分をサツマイモ焼酎粕機能性エキスとして得た。各試験区で得られた懸濁液を遠心分離した後の液体部分と固形部分の比率を測定した。その結果も表1に示した。また、各試験区で得られたサツマイモ焼酎粕機能性エキスの外観を図1に示した。
サツマイモ焼酎粕機能性エキスの液体部分と固形部分の比率は、試験区1(未処理)の液体部分が75.9%であったのに対し、試験区2〜8の液体部分が何れも80%以上であった。このことから、水熱処理により固形部分の液化が行われたことが示唆された。
また、サツマイモ焼酎粕機能性エキスの外観は、水熱処理の処理温度が高くなるにつれてアミノ−カルボニル反応による褐変着色が見られた。
(2)サツマイモ焼酎粕機能性エキスの官能検査
各試験区で得られたサツマイモ焼酎粕機能性エキスの官能検査(風味の自由評価)を、6名のパネラーを用いて行った。その結果を表2に示した。
サツマイモ焼酎粕機能性エキスの官能検査の結果によれば、水熱処理の温度が高くなるにつれて焼酎粕特有の臭気は弱くなり、コゲ臭が強くなった。そして香りの相対的なバランスは試験区3(160℃、10分間)および4(170℃、10分間)が最も良好であった。
(3)サツマイモ焼酎粕機能性エキスの全糖量、還元糖量およびタンパク質量の定量
各試験区で得られたサツマイモ焼酎粕機能性エキスの全糖量、還元糖量およびタンパク質量を定量した。なお、全糖はフェノール硫酸法、還元糖はソモギーネルソン法、タンパク質はローリー法を用いた。それらの結果を図2に示した。
サツマイモ焼酎粕機能性エキスの全糖量は、水熱処理の温度が高くなる毎に増加し、特に試験区5(180℃、10分間)は試験区1(未処理)の約1.5倍となった。また、還元糖量は、全糖量とは逆に、試験区2〜8は試験区1(未処理)よりも減少し、水熱処理の条件による差異は認められなかった。なお、試験区2〜8の処理条件は、ヘミセルロースあるいは難消化性澱粉の加水分解が起こる処理温度帯であるので、芋焼酎粕の固形部分から液体部分へのオリゴ糖の遊離、可溶化がおこなわれたことが示唆された。更に、タンパク質量は、水熱処理温度が高くなる毎に増加し、全糖量と同様の傾向が見られた。また、全糖量、還元糖量およびタンパク質量の傾向は処理時間が短くなっても同様であり、5分間処理(試験区6〜8)の値は処理温度が10℃低い10分間処理の値と近似することがわかった。
(4)サツマイモ焼酎粕機能性エキスの糖分析
サツマイモ焼酎粕機能性エキスの全糖量が処理温度により異なったことから、陰イオン交換カラム(DIONEX:CarbopacPA−1)を備えた糖分析装置(DIONEX:DX500)を用いてサツマイモ焼酎粕機能性エキス中の成分を以下の条件で測定した。サツマイモ焼酎粕機能性エキスのイオンクロマトグラムを図3および4に示した。
<糖分析条件>
流速:1.0ml/min
カラム温度:40℃
溶離液:水、水酸化ナトリウム水溶液および酢酸ナトリウム水溶液
溶離液のグラジェント:表3の条件
図3のイオンクロマトグラムより、クロマト前半および中盤部は水熱処理による影響がほとんど見られないことが分かる。クロマトグラムを詳細にみると、試験区1(未処理)のサツマイモ焼酎粕機能性エキスに存在したグルコースのピークが、試験区1(150℃、10分間)の条件で水熱処理を行うことにより98%が消失し、更に、処理温度が高くなるにつれ再び微増することが分かった。この挙動は水熱処理によるグルコース自体の解裂、他成分への重合あるいはサツマイモ焼酎粕が麹菌により生産されたクエン酸と糖アルコールを含むため、水熱処理によりグルコースからポリデキストロース類が生成した等の可能性も考えられる。また、アラビノースおよびガラクトースは水熱処理による変化は見られないが、キシロースは処理温度が高くなるに従い微増していることが分かる。これはサツマイモ焼酎粕中のヘミセルロースが加水分解され、構成糖のキシロースが遊離したものと考えられる。
また、クロマトグラム後半部は、オリゴ糖画分であり、水熱処理による影響が見られる(図3の四角で囲った後半(リテンションタイム54〜70分)部分を拡大して図4に示す)。リテンションタイム58〜62分にかけてのノコギリ状のピークは、処理温度が高くなるに従い増加していることが分かる。この結果は、上記した糖分析の結果と一致しており、サツマイモ焼酎粕の水熱処理により固形部分にあるオリゴ糖の可溶化が明確となった。
試 験 例 1
ビフィドバクテリウム属微生物の増殖試験:
(1)菌株
ビフィドバクテリウム属微生物にはフランス産ヨーグルトから分離され、酸素耐性を有し、ヒト腸管への付着性も強いビフィドバクテリウム・ラクティス(Bifidobacterium lactis)BB−12株(Chr.Hansen社:デンマーク)を使用した。
(2)培地
脱脂粉乳10g、実施例1で製造した各試験区のサツマイモ焼酎粕機能性エキスを30%−水酸化カリウム溶液でpH6.7に調整したもの45gおよび水45gを200ml三角フラスコに入れ、アルミホイルで蓋をし、90℃で10分間殺菌した。これを37℃まで冷却したものを培地(以下、この培地を「45%培地」ということもある)とした。
(3)前培養液
脱脂粉乳10gと、酵母エキス(Difco製)1gと、水89gを30%−水酸化カリウム溶液でpH6.7に調整したものを200ml三角フラスコに入れ、アルミホイルで蓋をし、90℃で10分間殺菌した。これを37℃まで冷却したものに、BB−12株をスパーテル1杯分植菌し、37℃で8時間培養し、前培養液を得た。
(4)BB−12株の菌数測定
上記(3)で調製した前培養液の10gを、上記(2)で調製した培地に投入し、37℃で8時間培養した。その後、培養液1mlを滅菌生理食塩水で順次10倍段階希釈し、希釈液の1mlをTOSプロピオン酸寒天培地で混釈後、更に、37℃で72時間嫌気培養した。この培養後のBB−12株の菌数を測定した。これらの結果を図5および図6に示した。なお、上記の8時間という培養時間は、対数増殖期を経て安定期に入る直前である。
(5)酸度測定
上記(3)で調製した前培養液10gを、上記(2)で調製した培地に加えた直後のものおよびそれを37℃で8時間培養したものについて、蒸留水で希釈後、0.1%フェノールフタレイン溶液を指示薬として、0.1N水酸化ナトリウム溶液で滴定し、その測定値から酸度を乳酸(%)として算出した。また、培養前後の乳酸酸度の差を算出し、それを酸度増加量とした。これらの測定の結果も図5および図6に示した。
また、実施例1で製造した各試験区のサツマイモ焼酎粕機能性エキスを30%−水酸化カリウム溶液でpH6.7に調整したもの90gとし、水を添加しない培地(以下、この培地を「90%培地」ということもある)で同様の試験を行った。更に、それぞれの比較対照として、実施例1で製造したサツマイモ焼酎粕機能性エキスを蒸留水に代えた培地(以下、この培地を「水ブランク」という)で同様の試験を行った。これらの結果も図5および図6に示した。
(6)結果
45%培地を用いてBB−12株の増殖試験を行った結果(図5)、水ブランクに対し、試験区1(未処理)のサツマイモ焼酎粕機能性エキスを用いた場合でも2.7倍の効果が認められたが、水熱処理を行った試験区2〜8では、処理温度が高くなるに従いBB−12株の菌数も増加した。特に、試験区5(180℃、10分間)では試験区1(未処理)の2.6倍および水ブランクの7倍となり、水熱処理がBB−12株の菌数を増加させる効果が明確に示された。
一般的に、ビフィドバクテリウム属微生物の菌数は酸度に比例することから、酸度の値を調べることにより菌数を推定することができる。ところが、45%培地および90%培地の何れも、これらの培地に用いた試験区の処理温度が高くなるに従いBB−12株の菌数が増加するにも係わらず、酸度増加量が減少する傾向が見られた。このことはサツマイモ焼酎粕機能性エキスが酸を分解する、酸に緩衝作用のある成分を含有する、あるいはBB−12株の生酸活動を抑制する可能性を示唆している。また、これらの現象は水熱処理の時間が短くなっても同様の傾向が確認され、5分間処理(試験区6〜8)の値は水熱処理の温度が10℃低い10分間処理の値と近似することが分かった。
また、90%培地を用いてBB−12株の増殖試験を行った結果(図6)、試験区3(160℃、10分間)が最もBB−12株の菌数が多くなり、これより水熱処理の温度が上がると、BB−12株の菌数は減少した。この現象は水熱処理時間が短い場合も同様の傾向となり、試験区7(170℃、5分間)よりも試験区8(180℃、5分間)処理の方がBB−12株の菌数が低くなった。従って、処理温度が高くなるに従い、BB−12株に対する何らかの増殖阻害成分が副次的に生成していることが示唆された。
また、酸度増加量は45%培地を用いた場合と同様の傾向であったが、処理温度が高くなるに従い、90%培地の方がより強く影響することが確認された。
これらの結果から、サツマイモ焼酎粕を水熱処理することにより得られるサツマイモ焼酎粕機能性エキスは、固形部分由来のオリゴ糖やペプチド等が液体部分に可溶化するためBB−12株の増殖因子となることが分かった。
以上の結果を総合すると、サツマイモ焼酎粕の水熱処理条件としては、その利用方法にもよるが、160〜180℃で5〜10分間が最適であった。
試 験 例 2
ポリフェノール含量の測定:
実施例1で製造した各試験区のサツマイモ焼酎粕機能性エキスのポリフェノール含量は文献(「食品機能研究法」、株式会社光琳発行、p.318)に基づき、フォリン−デニス比色定量法により求めた。具体的には、水3.2mlを入れた試験管に、200μlの実施例1で製造した各試験区のサツマイモ焼酎粕機能性エキスと、200μlのフォリン−デニス試薬を加えて撹拌した後、400μlの飽和炭酸ナトリウム溶液を加えて30分間放置後、700nmにおける吸光度を測定した。なお、ブランクには、フォリン−デニス試薬の代わりに水を加えたものを用いた。測定値からクロロゲン酸で作成した検量線よりポリフェノール含量を求めた。この結果を図7に示した。
サツマイモ焼酎粕機能性エキス中のポリフェノール含量は、水熱処理温度が高くなるに従い、増加した。
試 験 例 3
抗酸化能の測定:
実施例1で製造した各試験区のサツマイモ焼酎粕機能性エキスの抗酸化能は文献(「食品機能研究法」、株式会社光琳発行、p.218)記載の方法を一部改変した、DPPHラジカル分光測定法により求めた。具体的には、試験管に、実施例1で製造した各試験区のサツマイモ焼酎粕機能性エキス900μl、200mM−MES(2-morpholinoethanesulphonic acid)緩衝液900μl、99.5%エタノール900μlの混液を作成し、400μM−DPPH(1,1-diphenyl-2-picrylhydrazyl) 900μlを加え、正確に30分間反応後、520nmにおける吸光度を測定した。本アッセイ系(3.6ml)での試薬最終濃度はDPPHが100μl、エタノールが50%、MES緩衝液が50mMとなる。測定値からトロロックス(Trolox)で作成した検量線よりトロロックス相当量として表した。この結果を図8に示した。
サツマイモ焼酎粕機能性エキスの抗酸化能は、水熱処理温度が高くなるに従い、高くなることが分かった。試験区5(180℃、10分間)のサツマイモ焼酎粕機能性エキスの抗酸化能は、試験区1(未処理)の4倍にも上っている。また、これらの現象は処理時間が短くなっても同様の傾向が確認された。
本発明の焼酎粕機能性エキスは、水熱処理前の焼酎粕と比較して、DPPHラジカル消去能が高く、また、ポリフェノール量、オリゴ糖量、タンパク質量も多く、更に、ビフィドバクテリウム属の微生物の増殖を促進できるという機能を有するものである。
そのため、本発明の焼酎粕機能性エキスは抗酸化剤として利用でき、これを各種飲食品や化粧品、医薬部外品、医薬品等に含有させることができる。また、本発明の焼酎粕機能性エキスはビフィドバクテリウム属の微生物の増殖促進剤としても利用することができる。

以 上

Claims (7)

  1. 焼酎粕を水熱処理して得られる懸濁液を、固液分離して得られる焼酎粕機能性エキス。
  2. 焼酎粕が、サツマイモ焼酎粕である請求項1記載の焼酎粕機能性エキス。
  3. 水熱処理が、160〜180℃で5〜10分間行われるものである請求項1または2に記載の焼酎粕機能性エキス。
  4. 請求項1ないし3の何れかに記載の焼酎粕機能性エキスを含有する抗酸化剤。
  5. 請求項1ないし3の何れかに記載の焼酎粕機能性エキスを含有する飲食品。
  6. 請求項1ないし3の何れかに記載の焼酎粕機能性エキスを含有するビフィドバクテリウム属微生物の増殖促進剤。
  7. 焼酎粕を水熱処理して得られる懸濁液を、固液分離することを特徴とする焼酎粕機能性エキスの製造方法。





























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