ハイブリッド車両、とりわけ外部電源により適宜バッテリ等の蓄電手段を充電可能に構成されたPHV(Plug-in Hybrid Vehicle:プラグインハイブリッド車両)等においては、内燃機関のみを動力源として備える車両と較べて、内燃機関の始動頻度は極端に低くなるため、内燃機関は高い確率で冷間始動を余儀なくされる。この際、単なる排気浄化の観点から言えば、上記特許文献2乃至4に開示されるように、内燃機関の始動要求と相前後してEHCに通電を行っておけば問題は生じない。
一方、燃焼済みガスは、水をその一成分として含んでおり、長期間冷間状態に置かれた内燃機関では、とりわけその排気通路において、凝縮による結露を生じ易い傾向にある。従って、このような比較的長期の非稼動期間を経て内燃機関が始動する際には、EHCを含む排気通路が湿潤な状態に置かれることが珍しくない。このため、好適な一形態としてPHVを含むハイブリッド車両においては、始動時における内燃機関の排気浄化性能を担保すべくEHCへの通電を行った場合に、EHCと、車両本体や排気通路等が、例えばこの凝縮水等を介して導通状態となり、漏電を生じる可能性がある。或いは、EHCが漏電を生じる程度の被水状態になくても、少なくとも乾燥していない状態から通電を行った場合には、EHCにクラックが生じる可能性がある。
EHCへの通電に際して漏電が生じた場合、或いは漏電が生じる状態であるにもかかわらずEHCへの通電を行った場合、先ず第1には、EHCへの通電に際して電力資源が無駄に消費される可能性がある。また第2に、車両本体(ボディやシャシ)或いは排気通路が帯電し得ることに起因して、何らの対策も講じられることがなければ、例えばドライバが運転中にボディに接触した場合等に、程度の差はあれ一種の感電が発生する可能性がある。一方、EHCにクラックが生じた場合、EHCの物理的耐久性が低下しかねないといった耐久性に係る問題のみならず、EHCが本来期待される触媒暖機効果を発揮し難くなることに起因して、内燃機関の始動時におけるエミッションの悪化が回避され難いといった環境負荷増大に係る問題をも招来しかねない。このため、EHCをハイブリッド車両に搭載するにあたっては、排気中の水分が凝縮して結露が生じる場合を想定した的確な対策が必要となる。
ところが、上記特許文献2乃至4には、係る漏電についての示唆すらなく、この種の漏電を防止することは先ずもって不可能と言わざるを得ない。一方、特許文献1に開示された装置によれば、漏電の可能性を考慮して、電極の設置位置に工夫がなされているものの、排気通路に生じる凝縮水を主たる要因とする漏電或いはクラックの発生を、この種のハードウェア上の対策のみにより防止することには限界がある。また、特許文献1に開示される装置は、特にハイブリッド車両を想定したものではないから、より結露が生じ易いハイブリッド車両においては、その傾向がより顕著となる。このように、上記各種従来の技術には、ハイブリッド車両の如き内燃機関の始動頻度が低い車両にEHCを搭載するにあたっての漏電対策及びクラック対策が必ずしも十分ではないことに起因して、EHC通電時における漏電及びクラックの発生を十分に防止することが困難であるという技術的な問題点がある。
本発明は、上述した問題点に鑑みてなされたものであり、EHC通電時の漏電及びクラックの発生を効率的且つ効果的に防止可能なハイブリッド車両の制御装置を提供することを課題とする。
上述した課題を解決するため、本発明に係る第1のハイブリッド車両の制御装置は、内燃機関と、前記内燃機関と共に動力源として機能する少なくとも一つの電動機と、前記電動機の電源として機能する充電可能な蓄電手段と、前記内燃機関の排気通路に設置され、該排気通路に導かれた排気を浄化可能且つ前記蓄電手段からの通電により暖機可能なEHCと、前記通電を行うための通電手段とを備えたハイブリッド車両の制御装置であって、前記ハイブリッド車両の非稼動期間において、前記排気における結露の発生状態を規定する前記ハイブリッド車両の環境条件を特定する第1特定手段と、前記非稼動期間において前記特定された環境条件に応じて前記通電が行われるように前記通電手段を制御する第1制御手段とを具備することを特徴とする。
本発明における「内燃機関」とは、少なくとも一の気筒を有し、該気筒の各々における燃焼室においてガソリン、軽油或いはアルコール等の各種燃料が燃焼した際に発生する爆発力たる動力の少なくとも一部を、例えばピストン及びコネクティングロッド等の機械的な伝達経路を経て、例えばクランク軸等の出力軸を介してハイブリッド車両の車軸に出力可能な機関等を指し、例えば2サイクル或いは4サイクルレシプロエンジン等を指す。
また、本発明に係るハイブリッド車両には、内燃機関とは異なる動力源としての、例えば、モータ或いはモータジェネレータ等の形態を採り得る電動機が備わり、例えばインバータや各種のPCU(Power Control Unit)等を介した、電流制御、電圧制御又は電力制御等各種の動力制御により、車軸に対し直接的に又は間接的に、バッテリ等各種蓄電手段からの放電電力に応じた動力を出力可能に構成される。尚、この内燃機関における、例えばクランクシャフト等の機関出力軸には、例えば直接的に又は間接的に、ジェネレータ或いはモータジェネレータ等の形態を採り得る発電機が接続され、内燃機関の動力により適宜発電可能に構成されていてもよい。
本発明に係るハイブリッド車両には、この電動機の電源として機能し得るように構成された、例えばハイブリッドバッテリ等の蓄電手段が備わる。この蓄電手段は、好適な一形態として、例えば本発明に係る電動機が電力回生手段として機能する場合等にはその回生電力により、また例えばハイブリッド車両が発電機を備える場合にはその発電電力により適宜に充電され得る。
本発明に係る「EHC」とは、内燃機関の排気を浄化する触媒装置としての機能と、通電に伴う発熱作用により当該触媒装置を暖機するヒータとしての機能とを少なくとも有する排気浄化装置の包括概念であり、例えば触媒担体が電気抵抗の比較的高い電気抵抗体で構成されること等により触媒装置自体がヒータ機能を併有する構成を有していてもよいし、ヒータが触媒担体の外周部或いは上下流部に近接配置され、伝導熱又は輻射熱により触媒担体を暖機する構成を有していてもよい趣旨である。
本発明に係るハイブリッド車両には、EHCに対する通電に適用可能な(蓄電手段に対する充電に適用可能であることを否定しない趣旨である)、例えば電流制御回路、電圧制御回路、電力制御回路、スイッチング回路又は整流回路等の各種電気回路並びに、電極端子及びワイヤハネス等の各種電気配線等の各種要素を適宜に含む通電手段が備わる。尚、蓄電手段が、外部電源により充電可能である場合、通電手段の構成は、例えば外部電源、蓄電手段及びEHC相互間の物理的、機械的又は電気的接続態様に応じて各種の態様を採り、例えば、外部電力の供給経路が、蓄電手段を介する経路と蓄電手段を介さない経路との二系統存在する場合には、好適な一形態として、これらを選択的に切り替え可能な切り替え手段等を備えていてもよいし、例えば、外部電源が直接EHCに接続されない場合等には、外部電力を蓄電手段に導く電気系統と蓄電手段からEHCへ電力供給を行う電気系統とに分割されていてもよい。
本発明に係る第1のハイブリッド車両の制御装置によれば、例えばECU(Electronic Control Unit:電子制御ユニット)等の各種処理ユニット、各種コントローラ或いはマイコン装置等各種コンピュータシステム等の形態を採り得る第1特定手段により特定されたハイブリッド車両の環境条件に応じてEHCに対する通電が行われるように、例えばECU等の各種処理ユニット、各種コントローラ或いはマイコン装置等各種コンピュータシステム等の形態を採り得る第1制御手段により通電手段が制御される。尚、本発明に係る「特定」とは、検出、推定、算出、同定或いは取得等を包括する概念であり、その実践的態様は何ら限定されない趣旨である。
ここで、「ハイブリッド車両の環境条件」とは、ハイブリッド車両の周辺環境を規定する数多の条件のうち、例えば、外気温、湿度及び大気圧等各種の物理量、制御量或いは指標値等によって表され得る、排気における結露の発生状態(発生し易さや発生速度等を含む)を規定する条件を包括する概念であり、この種の環境条件に応じて、或いはこの種の環境条件に基づいて判別される通電の要否に応じて通電が行われることによって、例えば、排気通路或いはEHC周辺空間において排気中の水分が凝縮して付着する結露が生じたと推定される場合に、又はこの種の結露における凝縮水の生成量が所定量に達したと推定される場合に、或いは未だこの種の結露が生じていない段階であっても近未来的にはこの種の結露が生じ易いと判断される場合等において、EHCに対する積極的な通電を行って、EHCに付着した又は付着しかねない凝縮水の、或いはEHC周辺に滞留する湿潤な雰囲気の蒸発を促進することが可能となる。即ち、通電に要する電力資源を可及的に効率的に使用して効率的且つ確実に漏電を防止することが可能となる。
一方、本発明において、第1特定手段及び第1制御手段に係る動作は、夫々ハイブリッド車両の非稼動期間においてなされる構成となっている。ここで、「非稼動期間」とは、少なくとも車両の始動要求(内燃機関の始動要求とは異なる)が生じていない所謂キーオフ期間に相当し、別言すれば、ハイブリッド車両が、内燃機関及び電動機のいずれもが停止してなるソーク状態にある期間等を指す。即ち、本発明によれば、結露し得る程度に湿潤な雰囲気の、或いは既に結露が生じた結果EHC周辺部に付着或いは滞留する凝縮水の蒸発を夫々促すにあたって、車内は高い確率で無人となる。従って、漏電を防止するための通電によって感電等の二次的被害が生じる可能性は極めて低いものとなる。また、このような非稼動期間において通電がなされた場合、このような非稼動期間を経たハイブリッド車両の稼動期間(ハイブリッド車両が、走行準備が整った所謂レディ・オン状態にある期間)において内燃機関の始動要求に相前後して通電がなされる場合と較べれば、EHCが凝縮水に被水している、或いは湿潤な雰囲気中に放置される時間は短いから、通電時のクラックの発生はその分抑制され得る。即ち、本発明に係るハイブリッド車両の制御装置によれば、クラックの発生の可能性についても好適に減じることが可能であり極めて効果的であると言える。
尚、この種の非稼動期間なる概念をより限定的すれば、例えば、第1制御手段は、ハイブリッド車両の車内が無人であることを判断した上で、排気通路に各種状態で存在し得る水分の蒸発を促してもよい。この場合、上記感電の可能性は実質的にゼロに限りなく近くなり、より高い安全性が担保され得る。この際、車内が無人であるか否かは、車内を撮像可能な撮像手段により定期的又は非定期に車内を撮像して得られる画像データを各種画像認識処理により解析することによって判断されてもよいし、より簡易な手法としては、ハイブリッド車両がこの種の非稼動期間に移行してからの経過時間に基づいて判断されてもよい。
本発明に係るハイブリッド車両の制御装置の一の態様では、前記第1制御手段は、前記特定された環境条件が所定の結露回避領域に該当する場合に前記通電が行われるように前記通電手段を制御する。
この態様によれば、特定された環境条件が、例えば予め実験的に、経験的に、理論的に又はシミュレーション等に基づいて、結露により排気中の水分が実践上無視し得ない程度に凝縮し得るものとして定められ得る結露回避領域に該当する場合に、EHCに対する通電が行われる。このため、EHCにおいて漏電及びクラックの発生を回避する旨の利益が比較的簡便にして享受され得る。
本発明に係るハイブリッド車両の制御装置の他の態様では、前記第1特定手段は、前記環境条件として少なくとも外気温、湿度及び大気圧のうち少なくとも一つを特定する。
外気温、湿度及び大気圧は、排気中の水分が凝縮する条件を好適に規定し得るため、それらの少なくとも一部、望ましくは全てが特定され、第1制御手段に係る制御に提供された場合には、漏電及びクラックの発生が高精度に防止され得る。
上述した課題を解決するため、本発明に係る第2のハイブリッド車両の制御装置は、内燃機関と、前記内燃機関と共に動力源として機能する少なくとも一つの電動機と、前記電動機の電源として機能する充電可能な蓄電手段と、前記内燃機関の排気通路に設置され、該排気通路に導かれた排気を浄化可能且つ前記蓄電手段からの通電により暖機可能なEHCと、前記通電を行うための通電手段とを備えたハイブリッド車両の制御装置であって、前記ハイブリッド車両の稼動期間における前記EHCの温度を特定する第2特定手段と、前記特定された温度が所定値を超えなかった場合に前記稼動期間に連なる前記ハイブリッド車両の非稼動期間において前記通電が行われるように前記通電手段を制御する第2制御手段とを具備することを特徴とする。
本発明に係る第2のハイブリッド車両の制御装置によれば、その動作時には、例えばECU等の各種処理ユニット、各種コントローラ或いはマイコン装置等各種コンピュータシステム等の形態を採り得る第2特定手段により特定される、ハイブリッド車両の稼動期間におけるEHCの温度が、所定値を超えない場合に、該稼動期間に連なる非稼動期間においてEHCへの通電がなされる。
ハイブリッド車両の稼動期間においてEHCの温度が十分に上昇しなかった場合、EHCに凝縮水が付着しても、付着した凝縮水が蒸発し難い。その点、本発明に係る第2のハイブリッド車両の制御装置によれば、このようなEHCの温度上昇が不十分だった稼動期間に連なる非稼動期間において、EHCへの通電が開始されるため、効率的にEHCにおける漏電及びクラックの発生を防止することが可能となる。
尚、本発明に係る第1及び第2のハイブリッド車両の制御装置のいずれにおいても、非稼動期間において通電の要否を判断するタイミングは自由であるが、好適には、非稼動期間に入ってから一定又は不定の待機時間を経た後に通電の要否が判別されるのが望ましい。こうすれば、本来排気が結露し易い状況であるにもかかわらず未だ結露が生じないうちに通電を行うこと等による電力資源の無駄な消費が防止され、より効率的である。
本発明に係る第1及び第2のハイブリッド車両の制御装置の他の態様では、前記第1又は第2制御手段は、前記非稼動期間において前記通電を行うに際して、前記ハイブリッド車両の稼動期間において前記EHCに備わる触媒の暖機を目的として行われる通電に要する電力よりも消費電力が減少するように前記通電手段を制御する。
この態様によれば、第1又は第2制御手段は、第1又は第2特定手段の作用を経て非稼動期間においてEHCに対し通電を行うにあたって、その通電量(好適には、単位時間当たりの通電量である)を抑制する。より具体的には、EHCに備わる触媒の暖機を目的とする通常の通電に係る通電量よりも通電量を抑制する。従って、通電時に漏電が生じたとしても、その漏電電力は小さくて済み、より安全性が担保される。また、EHCの急激な昇温が防止されるため、クラックの発生を抑制するにあたっても極めて効果的である。
尚、このような第1又は第2制御手段の作用は、触媒を早期にその触媒活性温度領域まで昇温するのに要する通電量と較べて、EHCにおいて凝縮水に被水している、或いは湿潤な雰囲気に晒されている部位における水分の蒸発を促すのに要する通電量の方が十分に低くて済むことに着眼したものである。また、非稼動期間において水分の蒸発を促進するための通電を行うに際しての時間的制約が、可及的に短時間に触媒を昇温させるのが望ましい触媒暖機目的の通電を行うに際してのそれと較べて少ない点に鑑み、例え必要な電力量の総量が同程度であったとしても、蒸発促進に要する単位時間当たりの電力が小さくて済む点に着眼したものである。
本発明に係る第1及び第2のハイブリッド車両の制御装置の他の態様では、前記蓄電手段は、所定種類の外部電源から供給される外部電力により充電可能に構成される。
本発明に係る「外部電源」とは、例えば家庭に設置された設置型の又は可搬性を有する各種電源(好適な一形態として、例えば家庭用コンセント及び専用又は汎用の充電プラグ等を適宜含む)、或いは市街地又は郊外地に、専用又は汎用のインフラ設備等として設置された(好適な一形態として、例えばガソリンスタンドやそれに類するインフラ施設等に付設されていてもよい)各種電源等を指す。即ち、この態様が想定するハイブリッド車両とは、蓄電手段の充電状態をドライバの意思等に基づいて比較的自由に制御することが可能に構成されたPHVである。
PHVは、蓄電手段の充電機会を飛躍的に高め得るため、通常のハイブリッド車両よりも蓄電手段のSOC(State Of Charge:充電状態)の減少に寛容であり、電動機のみを動力源とするEV走行モードが主たる走行モードとされ得る。このため、内燃機関の稼動頻度は著しく低下し易く、EHCの必要性が高くなる。そのようなPHV特有の事情に鑑みれば、本発明に係るハイブリッド車両の制御装置は、PHVに適用された場合には最大限にその効果を発揮し得る。
本発明のこのような作用及び他の利得は次に説明する実施形態から明らかにされる。
<発明の実施形態>
以下、図面を参照して、本発明の各種実施形態について説明する。
<1:第1実施形態>
<1-1:実施形態の構成>
始めに、図1を参照して、本発明の第1実施形態に係るハイブリッド車両10の構成について説明する。ここに、図1は、ハイブリッド車両10の構成を概念的に表してなる模式的なブロック図である。
図1において、ハイブリッド車両10は、減速機構11及び車輪12、並びにECU100、エンジン200、モータジェネレータMG1(以下、適宜「MG1」と略称する)、モータジェネレータMG2(以下、適宜「MG2」と略称する)、動力分割機構300、EHC400、PCU500、バッテリ600、充電プラグ700、リレー回路800、センサ群900を備えた、本発明に係る「ハイブリッド車両」の一例である。
減速機構11は、エンジン200及びモータジェネレータMG2から出力された動力に応じて回転可能に構成された、デファレンシャルギア(不図示)等を含んでなるギア機構であり、これら動力源の回転速度を所定の減速比に従って減速可能に構成されている。減速機構11の出力軸は、ハイブリッド車両10の車軸(符号省略)に連結されており、これら動力源の動力は、回転速度が減速された状態で当該車軸及び当該車軸に連結された、駆動輪としての車輪12に伝達されるように構成されている。
尚、減速機構11の構成は、エンジン200及びモータジェネレータMG2から供給される動力を、その動力に基づいた軸体の回転速度を減速しつつ車軸に伝達可能である限りにおいて何ら限定されず、単にデファレンシャルギア等を含んでなる構成を有していてもよいし、複数のクラッチ及びブレーキ並びに遊星歯車機構により構成される所謂リダクション機構として複数の変速比を得ることが可能に構成されていてもよい。
ECU100は、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)及びRAM(Random Access Memory)等を備え、ハイブリッド車両10の動作全体を制御することが可能に構成された電子制御ユニットであり、本発明に係る「ハイブリッド車両の制御装置」の一例である。ECU100は、ROMに格納された制御プログラムに従って、後述する蒸発促進制御を実行可能に構成されている。
尚、ECU100は、本発明に係る「第1特定手段」及び「第1制御手段」の夫々一例として機能するように構成された一体の電子制御ユニットであり、これら各手段に係る動作は、全てECU100によって実行されるように構成されている。但し、本発明に係るこれら各手段の物理的、機械的及び電気的な構成はこれに限定されるものではなく、例えばこれら各手段は、複数のECU、各種処理ユニット、各種コントローラ或いはマイコン装置等各種コンピュータシステム等として構成されていてもよい。
エンジン200は、ハイブリッド車両10の一動力源として機能し得る、本発明に係る「内燃機関」の一例たるガソリンエンジンである。ここで、図2を参照し、エンジン200の詳細な構成について説明する。ここに、図2は、エンジン200の一断面構成を概念的に且つ模式的に例示する模式断面図である。尚、同図において、図1と重複する箇所には同一の符号を付してその説明を適宜省略することとする。
図2において、エンジン200は、気筒201内において燃焼室に点火プラグ(符号省略)の一部が露出してなる点火装置202による点火動作を介して混合気を燃焼せしめると共に、係る燃焼による爆発力に応じて生じるピストン203の往復運動を、コネクティングロッド204を介してクランクシャフト205の回転運動に変換することが可能に構成されている。また、クランクシャフト205の近傍には、クランクシャフト205の回転位置(即ち、クランク角)を検出するクランクポジションセンサ206が設置されている。尚、エンジン200は、紙面と垂直な方向に4本の気筒201が直列に配されてなる直列4気筒エンジンであるが、個々の気筒201の構成は相互に等しいため、図2においては一の気筒201についてのみ説明を行うこととする。
尚、本発明に係る「内燃機関」は、燃料種別、燃料の供給態様、燃料の燃焼態様、気筒配列等を問わない各種の態様を採り得る。例えば、本実施形態に例示するガソリンエンジンに限らず、軽油を燃料とするディーゼルエンジン又はアルコールとガソリンとの混合燃料を使用可能なバイフューエルエンジン等の形態を有していてもよい。また、ガソリンエンジンであるにせよ、その気筒配列は、直列型式に限定されない。
エンジン200において、外部から吸入された空気は吸気管207を通過し、吸気ポート210において、インジェクタ212から噴射された燃料と混合されて前述の混合気となる。燃料は、図示せぬ燃料タンクに貯留されており、図示せぬフィードポンプの作用により、図示せぬデリバリパイプを介してインジェクタ212に圧送供給されている。尚、燃料を噴射する噴射手段の形態は、図示するような所謂吸気ポート噴射型インジェクタの構成を採らずともよく、例えば、フィードポンプ或いは他の低圧ポンプにより圧送される燃料の圧力を更に高圧ポンプによって昇圧せしめ、高温高圧の気筒201内部へ燃料を直接噴射することが可能に構成された、所謂直噴インジェクタ等の形態を有していてもよい。
気筒201内部と吸気管207とは、吸気バルブ211の開閉によってその連通状態が制御されている。気筒201内部で燃焼した混合気は排気となり吸気バルブ211の開閉に連動して開閉する排気バルブ213の開弁時に排気ポート214を介して排気管215に導かれる。排気管215は、本発明に係る「排気通路」の一例である。
一方、吸気管207における、吸気ポート210の上流側には、図示せぬクリーナを経て導かれた吸入空気に係る吸入空気量を調節するスロットルバルブ208が配設されている。このスロットルバルブ208は、ECU100と電気的に接続されたスロットルバルブモータ209によってその駆動状態が制御される構成となっている。尚、スロットルバルブモータ209は、基本的には後述するアクセル開度センサ910により検出されるアクセル開度Taに応じたスロットル開度が得られるように、ECU100により駆動制御されるが、その駆動制御に際してドライバの意思が介在する必要はなく(無論、ドライバの意思に反することのない範囲である)、言わば自動的にスロットル開度を調整することも可能である。即ち、スロットルバルブ209は、一種の電子制御式スロットルバルブとして構成されている。
排気管215には、三元触媒216が設置されている。三元触媒215は、アルミナ等の塩基性担体に白金等の貴金属を担持すると共に排気管215の径方向に沿った断面がハニカム状をなし、排気中のNOx(窒素酸化物)の還元反応と、排気中のCO(一酸化炭素)及びHC(炭化水素)の酸化反応とを略同時に進行させることにより排気を浄化可能に構成された排気浄化装置である。
また、排気管215には、エンジン200の排気空燃比を検出することが可能に構成された空燃比センサ217が設置されている。空燃比センサ217は、ECU100と電気的に接続されており、検出された排気空燃比は、ECU100により一定又は不定の周期で参照される構成となっている。更に、気筒201を収容するシリンダブロックに設置されたウォータジャケットには、エンジン200を冷却するために循環供給される冷却水(LLC)に係る冷却水温を検出するための水温センサ218が配設されている。水温センサ218は、ECU100と電気的に接続されており、検出された冷却水温は、ECU100により一定又は不定の周期で参照される構成となっている。
エンジン200は、排気管215における三元触媒216の上流側に、EHC400を備える。ここで、図3を参照し、EHC400について説明する。ここに、図3は、排気管215の伸長方向に沿ったEHC400の一断面構成を概念的に表してなる模式断面図である。尚、同図において、図2と重複する箇所には同一の符号を付してその説明を適宜省略することとする。
図3において、EHC400は、ケース410、断熱部材420、EHC担体430、温度センサ440、正電極450、正電極皮膜部460、負電極470及び負電極皮膜部480を含んで構成された、本発明に係る「EHC」の一例である。
ケース410は、金属材料で構成されたEHC400の筐体であり、その上下流側の夫々の端部において、不図示の連結部材を介して排気管215と接続されている。
断熱部材420は、ケース410の内周面を覆うように設置されており、断熱性と共に電気的絶縁性を有している。
EHC担体430は、図3と直交する断面がハニカム状をなす導電性の触媒担体である。EHC担体430には、不図示の酸化触媒が担持されており、EHC400を通過する排気を適宜浄化可能に構成されている。尚、EHC担体430に担持される触媒は、三元触媒であってもよい。また、エンジン200は、三元触媒216に加えて或いは代えて、NSR(Nox Storage Reduction:NOx吸蔵還元)触媒等、他の触媒装置を有していてもよい。
温度センサ440は、EHC担体430に付設され、EHC温度Tempehcを検出可能に構成されたセンサである。温度センサ440は、ECU100と電気的に接続されており、検出されたEHC温度Tempehcは、ECU100により一定又は不定の周期で参照される構成となっている。
正電極450は、一端部がEHC担体430の排気上流側の端部近傍に固定された正電圧印加用の電極である。正電極450の他端部は、後述するPCU500に接続されている。尚、正電極450は、一部が電気的絶縁性を有する樹脂製の正電極皮膜部460に覆われており、ケース410と正電極450とが電気的絶縁状態に維持されている。
負電極470は、一端部がEHC担体430の排気下流側の端部近傍に固定された接地用の電極である。負電極470の他端部は、後述するPCU500に接続されている。尚、負電極470は、一部が電気的絶縁性を有する樹脂製の負電極皮膜部480に覆われており、ケース410と負電極470とが電気的絶縁状態に維持されている。
このような構成を有するEHC400では、正電極450に正の印加電圧が印加され、負電極470が電気的に接地された場合に、導電性のEHC担体430に電流が流れ、EHC担体430が発熱する。この発熱によりEHC担体430に担持された酸化触媒の昇温が促され、EHC400は速やかに触媒活性状態に移行する構成となっている。
尚、このようなEHC400の構成は、一例に過ぎず、例えばEHC担体の構成及び各電極の付設態様及び制御態様等は公知の各種態様を採り得る。
ここで、EHC400では、その熱容量を十分に担保する目的から、EHC担体430として、電気抵抗が比較的大きいセラミック素材が使用されている。このヒートマスの大きいEHC担体430を十分に発熱させるためには、必然的に印加電圧は高くなる傾向にあり、EHC400では、後述するバッテリ600を電力源とするPCU500からの電力供給により、200Vの正印加電圧で動作するように構成されている。
図1に戻り、モータジェネレータMG1は、バッテリ600を充電するための或いはモータジェネレータMG2に電力を供給するための発電機として、更にはエンジン200の動力をアシストする電動機として機能するように構成されている。
モータジェネレータMG2は、本発明に係る「電動機」の一例たる電動発電機であり、エンジン200の動力をアシストする電動機として、或いはバッテリ500を充電するための発電機として機能するように構成されている。
尚、これらモータジェネレータMG1及びモータジェネレータMG2は、例えば同期電動発電機として構成され、外周面に複数個の永久磁石を有するロータと、回転磁界を形成する三相コイルが巻回されたステータとを備える。但し、他の形式のモータジェネレータであっても構わない。
動力分割機構300は、エンジン200の動力をMG1及び車軸へ分配することが可能に構成された遊星歯車機構である。尚、動力分割機構300の構成は公知の各種態様を採り得るため、ここではその詳細な説明を省略するが、簡略的に説明すると、動力分割機構300は、中心部に設けられたサンギアと、サンギアの外周に同心円状に設けられたリングギアと、サンギアとリングギアとの間に配置されてサンギアの外周を自転しつつ公転する複数のピニオンギアと、クランクシャフト205の端部に結合され、各ピニオンギアの回転軸を軸支するプラネタリキャリアとを備える。
このサンギアは、サンギア軸を介してMG1のロータ(符合は省略)に結合され、リングギアは、リングギア軸を介してMG2の不図示のロータに結合されている。リングギア軸は、車軸と連結されており、MG2が発する動力は、リングギア軸を介して車軸へと伝達され、同様に車軸を介して伝達される車輪12からの駆動力は、リングギア軸を介してMG2に入力される。係る構成の下、動力分割機構300により、エンジン200が発する動力は、プラネタリキャリアとピニオンギアとによってサンギア及びリングギアに伝達され、エンジン200の動力が2系統に分割される。この際、サンギアに伝達される動力によって、モータジェネレータMG1が正回転側に駆動されると、モータジェネレータMG1により発電が行われる構成となっている。
PCU500は、バッテリ600から取り出した直流電力を交流電力に変換して、モータジェネレータMG1及びモータジェネレータMG2に供給すると共に、モータジェネレータMG1及びモータジェネレータMG2によって発電された交流電力を直流電力に変換してバッテリ600に供給することが可能に構成された不図示のインバータ等を含み、バッテリ600と各モータジェネレータとの間の電力の入出力を、或いは各モータジェネレータ相互間の電力の入出力(即ち、この場合、バッテリ600を介さずに各モータジェネレータ相互間で電力の授受が行われる)を制御することが可能に構成された電力制御ユニットである。PCU500は、ECU100と電気的に接続されており、ECU100によってその動作が制御される構成となっている。
一方、PCU500は、EHC400の正負電極と電気的に接続されており、正電極450に対して、直流駆動電圧Vを供給可能に構成されている。EHC担体430には、この直流駆動電圧Vに応じた駆動電流Iが生じ、この駆動電流IとEHC担体430の電気抵抗Rにより生じる熱エネルギW(W=IR2)に応じて、EHC担体430が発熱する構成となっている。即ち、PCU500は、本発明に係る「通電手段」の一例である。
尚、本実施形態では、PCU500が本発明における「通電手段」の一例とされるが、通電手段の態様は、EHC400への通電(本実施形態では、正電極450及び負電極470を介した通電)を可能とする限りにおいて何ら限定されない趣旨である。例えば、ハイブリッド車両10には、本発明に係る「通電手段」の一例として、バッテリ600或いは他の蓄電手段等から供給される1次電圧を、例えば数百ボルトの高電圧に昇圧させることが可能な、2次電圧供給装置が備わっていてもよい。或いは、EHC400は、PCU500を介することなくバッテリ600と直接、或いはスイッチング回路やリレー回路等を介して間接的に接続されていてもよい。
バッテリ600は、モータジェネレータMG1及びモータジェネレータMG2を力行するための電力に係る電力供給源として機能することが可能に構成された充電可能な蓄電池であり、本発明に係る「蓄電手段」の一例である。ここで、バッテリ600は、ハイブリッド車両10の車外に設置される外部電源20(即ち、本発明に係る「外部電源」の一例)により、適宜充電可能に構成されている。即ち、バッテリ600は、各モータジェネレータの発電作用により生じる電力の他に、外部電源20からの電力供給によっても充電される構成となっており、ハイブリッド車両10は、所謂PHVとして構成されている。
バッテリ600にはSOCセンサ610が付設されている。SOCセンサ610は、バッテリ600のSOC(本実施形態においてはバッテリ600の蓄電状態を規定する指標値を意味し、ここでは完全放電状態に相当する値を0(%)、且つ満充電状態に相当する値を100(%)として規格化されてなる値である)を検出可能なセンサである。SOCセンサ610は、ECU100と電気的に接続されており、検出されたSOCは、ECU100により、一定又は不定の周期で参照される構成となっている。
充電プラグ700は、リレー回路800の入力端子と電気的に接続されており、且つ外部電源20との電気的な接続を可能とする金属製のプラグである。尚、外部電源20は、例えば家庭用の100V電源であってもよいし、市街地や郊外の然るべきインフラ施設(例えば、ガソリンスタンドやサービスステーション)等にインフラ設備として設置されるものであってもよく、その物理的、機械的、機構的、電気的又は化学的態様は何ら限定されない趣旨である。
リレー回路800は、充電プラグ700側の入力端子と、バッテリ600側の出力端子との間の電気的な接続状態を二値的に且つ選択的に切り替え可能なスイッチング回路である(図1では接続されていない状態が示されている)。リレー回路800は、ECU100と電気的に接続されており、当該接続状態は、ECU100により制御される構成となっている。尚、入力端子と出力端子とが電気的に接続された状態(以下、適宜「オン状態」と称する)において、バッテリ600は充電プラグ700と電気的に接続された状態となり、充電プラグ700が外部電源20と接続されている場合には、半ば自動的にバッテリ600への通電がなされ、充電が開始される構成となっており、入力端子と出力端子とが接続されていない状態(以下、適宜「オフ状態」と称する)において、バッテリ600は充電プラグ700から解放され、充電プラグ700が外部電源20と接続されている又はいないに関係なく、バッテリ600への通電が停止される構成となっている。
センサ群900は、ハイブリッド車両10の動作制御上必要となる各種のセンサの集合体であり、アクセル開度センサ910、車速センサ920、外気温センサ930、湿度センサ940及び大気圧センサ950を備える。
アクセル開度センサ910は、ハイブリッド車両10における不図示のアクセルペダルの操作量たるアクセル開度Taを検出可能なセンサである。アクセル開度センサ910は、ECU100と電気的に接続されており、検出されたアクセル開度Taは、ECU100により一定又は不定の周期で参照される構成となっている。
車速センサ920は、ハイブリッド車両10の車速Vを検出可能に構成されたセンサである。車速センサ920は、ECU100と電気的に接続されており、検出された車速Vは、ECU100により一定又は不定の周期で参照される構成となっている。
外気温センサ930は、ハイブリッド車両10の車外空間の温度たる外気温Tmpoutを検出可能なセンサである。外気温センサ930は、ECU100と電気的に接続されており、検出された外気温Tmpoutは、ECU100により一定又は不定の周期で参照される構成となっている。
湿度センサ940は、ハイブリッド車両10の車外空間の湿度たる湿度Mを検出可能なセンサである。湿度センサ940は、ECU100と電気的に接続されており、検出された湿度Mは、ECU100により一定又は不定の周期で参照される構成となっている。
大気圧センサ950は、ハイブリッド車両10の車外空間の大気圧たる大気圧Pを検出可能なセンサである。大気圧センサ950は、ECU100と電気的に接続されており、検出された大気圧Pは、ECU100により一定又は不定の周期で参照される構成となっている。
尚、外気温センサ930、湿度センサ940及び大気圧センサ950により夫々検出される外気温Tmpout、湿度M及び大気圧Pは、夫々本発明に係る「環境条件」の一例である。
<1-2:実施形態の動作>
ハイブリッド車両10は、モータジェネレータMG2の動力のみを使用したEV走行が可能であり、特に、バッテリ600が外部電源20からの充電を可能とする構成を有することにより、日常的な走行条件は、概ねこのEV走行で賄える構成となっている。このため、必然的にエンジン200の稼動頻度は低下する傾向にある。ハイブリッド車両10の長期的なエミッション性能から言えば、エンジン200の使用頻度は無論少ない方が望ましいことは言うまでもないが、このようにエンジン200の始動頻度が低いと、エンジン200は、絶えず冷間状態での始動を余儀なくされる。このため、ハイブリッド車両10では、エンジン200の始動が要求された場合には、殆ど毎回EHC400への通電が必要とされる。即ち、EHC400下流側に設置された三元触媒216が排気の熱負荷により触媒活性温度領域まで温度上昇する暫時の期間については、主としてEHC400により排気の浄化が図られるのである。
一方、排気中には、一成分として水分が含まれている。この水分は、排気管215の温度が低いと、排気管215の管壁に熱を奪われ、排気管215内で凝縮することがある。この凝縮水は、排気管215の管壁に付着し、排気管215の結露を招来する。一方、排気管215には、EHC400が設置されており、この凝縮水は、無論EHC400にも等しく付着する。即ち、EHC400もまた結露し得る。ハイブリッド車両10は、PHVであるため、このような結露が生じ易い傾向にある。
ところで、EHC400は、既に説明したように、正負電極間に駆動電圧を印加することにより通電状態となるが、結露した凝縮水が、正電極450とケース410とを覆った場合、正電極450とケース410とは電気的導通状態となり漏電が生じることがある。EHC400の駆動電圧は、先に述べたように、ヒートマスの大きいEHC担体430の早期昇温を図るため、概ね200V程度の高電圧に設定されており、このような漏電の発生は未然に防がれなければならない。また、このような漏電が生じないまでも、EHC400の一部が結露した状態、或いはEHC400が湿潤な雰囲気中に長時間放置された場合、エンジン200の始動要求時に通電が行われた際に、EHC担体430、或いは各電極皮膜部等にクラックが生じる可能性もある。即ち、EHC400をハイブリッド車両10に搭載するにあたっては、この種の漏電やクラックの発生を未然に防ぐ対策を講じる必要がある。
ハイブリッド車両10では、ECU100により実行される蒸発促進制御により、係る課題が好適に解決される。ここで、図4を参照し、蒸発促進制御の詳細について説明する。ここに、図4は、蒸発促進制御のフローチャートである。
図4において、ECU100は、ハイブリッド車両10がキーオフ状態であるか否かを判別する(ステップS101)。ここで、キーオフ状態とは、ハイブリッド車両10の稼動準備を促すキー操作(例えば、通常の車両におけるイグニッション操作に相当し、例えばプッシュスタートボタン等の操作であってもよい)がなされていない状態を指す。即ち、キーオフ状態において、ハイブリッド車両10は、エンジン200、モータジェネレータMG1及びモータジェネレータMG2のいずれもが停止状態にある。キーオフ状態にない場合(ステップS101:NO)、即ち、ハイブリッド車両10が走行中である、或いはハイブリッド車両10が既に始動準備状態にある場合、処理はステップS101に戻される。
ハイブリッド車両10がキーオフ状態にある場合(ステップS101:YES)、ECU100は更に、予め内蔵タイマにより計測を開始していたキーオフ期間Toffを取り込み、キーオフ期間Toffが所定値Toffthよりも大きいか否かを判別する(ステップS102)。ここで、キーオフ期間Toffとは、ハイブリッド車両10がキーオフ状態に連続して置かれた時間値であり、上記キー操作がなされるか、係るキーオフ期間内にEHC400への通電がなされた際にゼロにリセットされる構成となっている。即ち、このキーオフ期間Toffについて設定される所定値Toffthとは、言わばキーオフ期間内においてEHC400への定期的な通電を可能とするための基準値であり、予め実験的に適合された固定又は可変な値を採る。キーオフ期間Toffが所定値Toffth以下である場合(ステップS102:NO)、処理はステップS101に戻される。
キーオフ期間Toffが所定値Toffthを超えた場合(ステップS102:YES)、ECU100は、環境条件値として、外気温センサ930、湿度センサ940及び大気圧センサ950から夫々外気温Tmpout、湿度M及び大気圧Pを取り込む(ステップS103)と共に、これら取り込んだ環境条件値に基づいてハイブリッド車両10の環境条件が結露発生領域に該当するか否かを判別する(ステップS104)。この際、ECU100は、予めROMに格納された結露マップを参照する。
ここで、図5を参照し、結露マップについて説明する。ここに、図5は、結露マップの構成を概念的に表してなる模式図である。
図5において、結露マップは、縦軸に湿度Mを、また横軸に外気温Tmpoutを配してなる二次元マップである。但し、結露マップは単一のマップではなく、予め複数設定された大気圧Pの各々に対し用意されている。即ち、結露マップは、実体としては一種の三次元マップの体をなしている。図5に例示する結露マップは、大気圧P=P1である場合に対応している。
図5において、結露マップには、図示湿り空気線LP1が表される。この湿り空気線LP1は、予め実験により得られた、排気における結露の発生状態を規定する特性線であり、湿り空気線LP1よりも高湿度側(上側)の領域において結露が発生することを表している。即ち、図5では、湿度Mと外気温Tmpoutとにより規定される一の環境条件が、図示結露発生領域G(ハッチング領域)に該当する場合に、排気管215において結露が発生するものと扱われる。
尚、図示結露マップは、説明を分かり易くするための模式図であり、実際には、図5に例示される関係が数値化された状態でROMに格納されている。
図4に戻り、取り込んだ環境条件値が結露発生領域に該当しない場合(ステップS104:NO)、ECU100は、処理を後述するステップS107へ移行させる。一方、取り込んだ環境条件値が結露発生領域に該当する場合(ステップS104:YES)、ECU100は、EHC400への通電を開始する(ステップS105)。ここで、ECU100は、PCU500を制御して、EHC400の正電極450に印加する駆動電圧を、通常の触媒暖機時に対応する約200Vの高電圧ではなく、50V程度の低電圧に設定する。係る動作は、本発明に係る「EHCに備わる触媒の暖機を目的として行われる通電に要する電力よりも消費電力が減少するように通電手段を制御する」旨の動作の一例である。
EHC400への通電が開始されると、ECU100は、通電開始時点からカウントされる、通電開始からの経過時間である通電時間Tehcを取り込むと共に、取り込んだ通電時間Tehcが基準値Tehcthよりも大きいか否か、即ち、所定時間以上の通電が行われたか否かを判別する(ステップS106)。EHC400への通電は、通電時間Tehcが基準値Tehcth以下である場合(ステップS106:NO)には継続される。一方、通電時間Tehcが基準値Tehcthを超えると(ステップS106:YES)、処理はステップS107に移行され、ECU100は、EHC400への通電をカットする。尚、先に述べたように、取り込んだ環境条件値が結露発生領域に該当しない場合にも、ステップS107が実行される。ステップS107が実行されると、処理はステップS101に戻される。蒸発促進制御は、以上のように実行される。
本実施形態に係る蒸発促進制御によれば、ハイブリッド車両10がキーオフ状態にある場合に、EHC400への通電がなされるため、EHC400及びEHC400を取り巻く雰囲気を乾燥状態に維持することが可能となっており、ハイブリッド車両10が稼動状態に置かれ、エンジン200が冷間始動を余儀なくされた場合であっても、EHC400への通電に伴う漏電及びクラックの発生が好適に防止される。
尚、例えこの段階でEHC400が漏電を生じ得る物理的状態にあったとしても、キーオフ期間であるために、漏電した電力によりドライバや搭乗者が誤って感電する可能性は著しく低く、好適なフェールセーフが実現される。
また、ECU100は、結露防止を目的としたこのEHC400への通電を、正規の駆動電圧よりも格段に低い50V以下の低電圧で実行する。このため、万が一キーオフ期間内に漏電による感電が生じたとしても、その影響を微々たるものとすることができる。また、このような低電圧駆動は、クラックの発生を防止する観点から言っても、急激に200Vの高電圧が印加される場合と較べて温度上昇が緩慢となる分、確実にクラックの発生を防止するフェールセーフ側に作用する。補足すると、EHC担体430は、電気抵抗値の高いヒータであり、昇温に要する時間のみを考えた場合、駆動電圧は高い方が望ましい。然るに、元よりキーオフ期間においては、EHC400を早期に昇温させる必要は全くなく、緩慢であれ、排気中の水分或いは結露した凝縮水を蒸発させ得る程度の温度領域に到達すればよいから、駆動電圧は、かえって低い方が、安全性が担保される点においてより望ましいのである。
また、本実施形態に係る蒸発促進制御においては、キーオフ期間において、何らの指針もないままに闇雲にEHC400への通電が行われる訳ではなく、ハイブリッド車両10の環境条件値に基づいた、結露の発生状態に係る判別が実行される。このため、例えば結露の可能性が著しく低い状況等において、バッテリ600から供給される電力を言わば無駄に消費する形で蒸発促進に係るEHC400への通電が行われるといった事態が生じることはなく、極めて効率的な運用が可能となっている。逆に言えば、このような環境条件値に基づいた明確な指針が与えられることによって、凝縮水等の蒸発を目的としたキーオフ期間中のEHC400への通電が実践上有益なる効果を伴って可能となるのである。
また、先に述べた結露マップにおいて、結露発生領域Gを規定する、各大気圧Pに対応する湿り空気線LPは、実験的な適合により定められてよく、EHC400の結露を確実に防止することを目的とする場合には、結露発生領域Gがより拡張される側へ設定又は補正されてもよいし、無駄な電力消費を抑制することを目的とする場合には、結露発生領域Gがより縮小される側で設定又は補正されてもよく、電力消費と漏電防止或いはクラックの発生防止との兼ね合いを自由に選択することができる点において顕著に効果的である。
<2:第2実施形態>
続いて、図6を参照し、本発明の第2実施形態に係る蒸発促進制御について説明する。ここに、図6は、第2実施形態に係る蒸発促進制御のフローチャートである。尚、同図において、図4と重複する箇所には同一の符合を付してその説明を適宜省略することとする。また、第2実施形態に係るシステム構成は、第1実施形態に係るハイブリッド車両10と同等であるとする。尚、本実施形態において、ECU100は、本発明に係る「第2特定手段」及び「第2制御手段」の夫々一例として機能する。
図6において、ハイブリッド車両10がキーオフ状態にない場合(ステップS101:NO)、EHC最大温度Tmpmaxを適宜更新する(ステップS201)。ここで、EHC最大温度Tmpmaxとは、ハイブリッド車両10の稼動期間において温度センサ440により検出されたEHC温度Tmpehcの最高値である。ハイブリッド車両10の稼動期間においては、このEHC最大温度Tmpmaxの適宜の更新のみが行われる。
一方、ハイブリッド車両10がキーオフ状態にある場合(ステップS101:YES)、ECU100は、先ずその時点のEHC温度Tmpehcを取り込み(ステップS202)、取り込んだEHC温度Tmpehcが100℃未満であるか否かを判別する(ステップS203)。既にこの時点でEHC温度Tmpehcが100℃以上である場合(ステップS203:NO)、EHC400周辺の雰囲気は、少なくとも排気の結露を考慮する必要はない程度には十分に高温であり、ECU100は、EHC400への通電の必要がないものとして、EHC400への通電をカットする(ステップS107)。尚、この段階でEHC400への通電が既にカットされていれば、ステップS107は実質的にスキップされる。
ステップS203において、EHC温度Tmpehcが100℃未満である場合(ステップS203:YES)、ECU100は更に、ハイブリッド車両10の稼動期間において適宜更新保存されたEHC最大温度Tmpmaxを取り込み、取り込んだEHC最大温度Tmpmaxが100℃未満であるか否かを判別する(ステップS204)。取り込んだEHC最大温度Tmpmaxが100℃以上である場合(ステップS204:NO)、ECU100は、ステップS203の場合と同様に、EHC400への通電の必要がないものとして、EHC400への通電をカットする(ステップS107)。
一方、ステップS204において、EHC最大温度Tmpmaxが100℃未満である場合(ステップS204:YES)、ECU100は、EHC400への通電を開始する(ステップS105)。ステップS105又はステップS107が実行されると、処理はステップS101に戻され一連の処理が繰り返される。第2実施形態に係る蒸発促進制御は、以上のように実行される。
尚、ステップS105においてEHC400への通電が開始された後、所定時間が経過すると、ECU100は、EHC400への通電をカットする。但し、通電終了の判断に係る実践的態様は、これに限定されない。例えば、ECU100は、温度センサ440により検出されるEHC温度Tmpehcに基づいて係る終了判断を行ってもよい。
第2実施形態に係る蒸発促進制御によれば、ハイブリッド車両10の稼動期間において、EHC400周辺の空間が十分に高温であるか或いは高温であったか否かが判別され、稼動期間においてEHC400周辺の空間が100℃を超えないままキーオフ期間に入った場合に限ってEHC400への通電が実行される。このため、バッテリ600から供給される電力を効率的に使用しつつ、排気管215及びEHC400における排気の結露を防止することが可能となり、EHC400への通電時における漏電又はクラックの発生を効率的に防止することが可能となる。
本発明は、上述した実施形態に限られるものではなく、請求の範囲及び明細書全体から読み取れる発明の要旨或いは思想に反しない範囲で適宜変更可能であり、そのような変更を伴うハイブリッド車両の制御装置もまた本発明の技術的範囲に含まれるものである。