JP2010228228A - 流体噴射装置、及び、画素データの補正方法 - Google Patents

流体噴射装置、及び、画素データの補正方法 Download PDF

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Abstract

【課題】濃度むらを抑制することを目的とする。
【解決手段】(1)媒体に流体を噴射するノズルが所定方向に並ぶノズル列と、(2)前記ノズル列と媒体とを前記所定方向と交差する方向に相対移動させる移動機構と、(3)前記ノズルから噴射される流体によって形成可能なドットの種類に応じた所定の階調数の画素データに基づいて、前記移動機構によって前記ノズル列と媒体とを前記交差する方向に相対移動させながら前記ノズル列から流体を噴射する制御部であって、前記画素データ上において前記交差する方向と対応する方向に並ぶ複数の前記画素データである画素列データごとに設定された補正値によって、前記所定の階調数の画素データを補正する制御部と、(4)を有することを特徴とする流体噴射装置である。
【選択図】図11

Description

本発明は、流体噴射装置、及び、画素データの補正方法
流体噴射装置の1つとして、紙や布、フィルムなどの各種媒体にノズルからインクを噴射して印刷を行うインクジェットプリンター(以下、プリンター)がある。ユーザーが形成した画像データは高い階調数で表現される。そのため、プリンタードライバーによって、高い階調数のデータをプリンターが形成可能な低い階調数のデータにハーフトーン処理する。そして、ハーフトーン処理されたデータに基づいてプリンターが印刷を行う。
また、このようなプリンターでは、ノズルの加工精度等の問題により、媒体上の正しい位置にインク滴が着弾しなかったり、インク噴射量にばらつきが生じたりしてしまい、濃度むらが発生する場合がある。例えば、あるノズルからのインク滴が飛行曲がりする場合に、そのノズルによって形成される画像片だけでなく、その画像片と隣接する画像片の濃度にも影響を及ぼす。また、印刷方法によっては、あるノズルに形成される画像片と隣接する画像片を形成するノズルが毎回同じノズルとは限らない。そのため、単にノズルに対応付けた補正値では濃度むらを抑制することができない。
そこで、画像片が形成される媒体上の領域(以下、列領域)ごとに補正値を算出する方法が提案されている(例えば、特許文献1を参照)。この補正値は、ハーフトーン処理前の高い階調数のデータに対して濃度補正処理を行うための補正値である。
特開2007−1141号公報
プリンタードライバーによって濃度補正処理とハーフトーン処理がなされたデータがプリンターに送信されるに限らず、他のアプリケーションプログラムによって、濃度補正処理はなされていないが、ハーフトーン処理はなされたデータが、プリンターに送信される場合がある。他のアプリケーションプログラムから送信されたそのままの印刷データに基づいて印刷を行うと、印刷画像に濃度むらが発生してしまう。
そこで、本発明は濃度むらを抑制することを目的とする。
前記課題を解決する為の主たる発明は、(1)媒体に流体を噴射するノズルが所定方向に並ぶノズル列と、(2)前記ノズル列と媒体とを前記所定方向と交差する方向に相対移動させる移動機構と、(3)前記ノズルから噴射される流体によって形成可能なドットの種類に応じた所定の階調数の画素データに基づいて、前記移動機構によって前記ノズル列と媒体とを前記交差する方向に相対移動させながら前記ノズル列から流体を噴射する制御部であって、前記画素データ上において前記交差する方向と対応する方向に並ぶ複数の前記画素データである画素列データごとに設定された補正値によって、前記所定の階調数の画素データを補正する制御部と、(4)を有することを特徴とする流体噴射装置である。
本発明の他の特徴は、本明細書、及び添付図面の記載により、明らかにする。
図1Aはプリンターの全体構成ブロック図であり、図1Bはプリンターの一部の斜視図である。 ヘッドの下面におけるノズル配列を示す図である。 図3A及び図3Bは、通常印刷の説明図である。 先端印刷及び後端印刷の説明図である。 図5Aは理想的にドットが形成されたときの説明図であり、図5Bは濃度むらが発生したときの説明図であり、図5Cは補正値によってドットが形成されたときの様子の説明図である。 図6Aはテストパターンを示す図であり、図6Bは補正用パターンを示す図である。 シアンの補正用パターンをスキャナーで読み取った結果である。 図8A及び図8Bは濃度むら補正値の算出方法を示す図である。 補正値テーブルを示す図である。 各階調値に対応した補正値を算出する様子を示す図である。 図11Aは比較例の濃度補正処理(印刷処理)のフローであり、図11Bは本実施形態の濃度補正処理(印刷処理)のフローである。 図12Aはドット生成率テーブルの説明図であり、図12Bはディザ法によるドットのオン・オフ判定の様子を示す図であり、図12Cは誤差拡散法の様子を示す図である。 識別部の処理フローである。 図14Aは実施例1の補正値を示し、図14B及び図14Cは4階調の画素データを補正する様子を示す図である。 図15Aは実施例2の補正値を示し、図15B及び図15Cは4階調の画素データを補正する様子を示す図である。 図16Aは実施例3の補正値を示し、図16Bは4階調の画素データを補正する様子を示す図である。
===開示の概要===
本明細書の記載、及び添付図面の記載により、少なくとも次のことが明らかとなる。
即ち、(1)媒体に流体を噴射するノズルが所定方向に並ぶノズル列と、(2)前記ノズル列と媒体とを前記所定方向と交差する方向に相対移動させる移動機構と、(3)前記ノズルから噴射される流体によって形成可能なドットの種類に応じた所定の階調数の画素データに基づいて、前記移動機構によって前記ノズル列と媒体とを前記交差する方向に相対移動させながら前記ノズル列から流体を噴射する制御部であって、前記画素データ上において前記交差する方向と対応する方向に並ぶ複数の前記画素データである画素列データごとに設定された補正値によって、前記所定の階調数の画素データを補正する制御部と、(4)を有することを特徴とする流体噴射装置である。
このような流体噴射装置によれば、ハーフトーン処理後のデータに対して、例えば濃度むら補正を行うことができる。
かかる流体噴射装置であって、受信した前記所定の階調数の画素データが、前記所定の階調数よりも高い階調数に対応する補正値によって前記高い階調数の画素データが補正された後に前記所定の階調数の画素データに変換された補正済みデータであるのか、それとも、前記高い階調数に対応する補正値によって補正されていない補正前データであるのか、を識別し、受信した前記所定の階調数の画素データが前記補正前データであれば、前記補正値によって前記補正前データを補正すること。
このような流体噴射装置によれば、確実に補正が行われた画素データに基づいてノズル列から流体を噴射させることができる。
かかる流体噴射装置であって、ある前記画素列データに属する複数の前記画素データのうち、その前記画素列データに対応する前記補正値に基づく数の前記画素データを補正すること。
このような流体噴射装置によれば、補正値に応じて画素データを補正することができる。
かかる流体噴射装置であって、前記所定の階調数の画素データを補正する前記補正値は、前記高い階調数に対応する補正値であること。
このような流体噴射装置によれば、高い階調数に対応する補正値を有効利用することができ、補正値を記憶するメモリーなどの容量を少なくできる。
かかる流体噴射装置であって、前記高い階調数に対応する補正値は複数の階調値に対して設定され、前記複数の階調値の中の第1の階調値に対応する補正値を、前記形成可能なドットの中の第1のドットに対応する第1補正値とし、前記複数の階調値の中の第2の階調値に対応する補正値を、前記形成可能なドットの中の第2のドットに対応する第2補正値とし、ある前記画素列データに属する複数の前記画素データの中で前記第1のドットが形成される画素データのうち、その前記画素列データに対応する前記第1補正値に基づく数の前記画素データを補正し、ある前記画素列データに属する複数の前記画素データの中で前記第2のドットが形成される画素データのうち、その前記画素列データに対応する前記第2補正値に基づく数の前記画素データを補正すること。
このような流体噴射装置によれば、階調値に応じた補正値によって画素データを補正することができる。
かかる流体噴射装置であって、前記所定の階調数の所定数の前記画素データの組み合わせに応じた前記補正値を記憶し、前記画素列データに属する複数の前記画素データを、前記対応する方向の一方側から順に、前記所定数の前記画素データごとに、前記所定数の前記画素データの組み合わせに応じた前記補正値を決定し、決定した前記補正値を積算して積算値を算出し、前記積算値が閾値に達した時に、前記画素データを補正すること。
このような流体噴射装置によれば、補正値に応じて画素データを補正することができる。
かかる流体噴射装置であって、前記画素列データに対応する媒体上の領域を淡く補正する場合には、補正する前記画素データに基づいて前記ノズルから噴射させる流体量を減らし、前記画素列データに対応する媒体上の領域を濃く補正する場合には、補正する前記画素データに基づいて前記ノズルから噴射させる流体量を増やすこと。
このような流体噴射装置によれば、画像の濃度むらを補正することができる。
また、媒体に流体を噴射するノズルが所定方向に並ぶノズル列と媒体とを前記所定方向と交差する方向に相対移動させる流体噴射装置であって、前記流体噴射装置が形成可能なドットの種類に応じた所定の階調数の画素データに基づいて、前記ノズル列と媒体とを前記交差する方向に相対移動させながら前記ノズル列から流体を噴射する流体噴射装置において、前記画素データ上において前記交差する方向と対応する方向に並ぶ複数の前記画素データである画素列データごとに設定された補正値によって、前記所定の階調数の画素データを補正することを特徴とする画素データの補正方法である。
このような画素データの補正方法によれば、ハーフトーン処理後のデータに対して、例えば濃度むら補正を行うことができる。
===印刷システムについて===
以下、流体噴射装置としてインクジェットプリンター(以下、プリンター1)を例に挙げ、プリンター1とコンピューター60が接続された印刷システムについて説明する。
図1Aは、本実施形態のプリンター1の全体構成ブロック図であり、図1Bは、プリンター1の一部の斜視図である。外部装置であるコンピューター60から印刷データを受信したプリンター1は、コントローラー10により、各ユニット(搬送ユニット20、キャリッジユニット30、ヘッドユニット40)を制御し、用紙S(媒体)に画像を形成する。また、プリンター1内の状況を検出器群50が監視し、その検出結果に基づいて、コントローラー10は各ユニットを制御する。
コントローラー10は、プリンター1の制御を行うための制御ユニットである。インターフェース部11は、外部装置であるコンピューター60とプリンター1との間でデータの送受信を行うためのものである。CPU12は、プリンター1全体の制御を行うための演算処理装置である。メモリー13は、CPU12のプログラムを格納する領域や作業領域等を確保するためのものである。CPU12は、ユニット制御回路14により各ユニットを制御する。
搬送ユニット20は、用紙Sを印刷可能な位置に送り込み、印刷時に搬送方向(所定方向に相当)に所定の搬送量で用紙Sを搬送させるためのものである。
キャリッジユニット30(移動機構に相当)は、ヘッド41を搬送方向と交差する方向(以下、移動方向という、交差する方向に相当)に移動させるためのものである。
ヘッドユニット40は、用紙Sにインクを噴射するためのものであり、ヘッド41有する。ヘッド41の下面にはインク噴射部であるノズルが複数設けられている。また、各ノズルに対応付けられたピエゾ素子を駆動することによって、ノズルからインクが噴射される。
図2は、ヘッド41の下面におけるノズル配列を示す図である。180個のノズル(#1〜#180)が所定のノズルピッチk・Dにて搬送方向に並んだノズル列が形成されている。ヘッド41には4つのノズル列が形成され、それぞれ異なる色のインクを噴射する。本実施形態のヘッド41では、イエローインクを噴射するイエローノズル列Yと、マゼンタインクを噴射するマゼンタノズル列Mと、シアンインクを噴射するシアンノズル列Cと、ブラックインクを噴射するブラックノズル列Kと、を有する。
このような構成のシリアル式のプリンター1では、印刷データに基づいて、キャリッジユニット30によって移動方向に移動するヘッド41からインクを断続的に噴射させて用紙S上に移動方向に沿うドット列(ラスタライン)を形成するドット形成動作と、搬送ユニット20によって用紙Sを搬送方向に搬送する搬送動作と、を交互に繰り返す。その結果、先のドット形成動作により形成されたドットの位置とは異なる位置にドットを形成することができ、用紙上に2次元の画像を形成することが出来る。
<印刷データについて>
コンピューター60からプリンター1に送信される印刷データは、コンピューター60のメモリーに記憶されているプリンタードライバーに従って作成される。以下、印刷データの作成処理の概要について説明する。
まず、解像度変換処理にて、各種アプリケーションプログラムから出力された画像データを用紙Sに印刷する際の解像度に変換する。解像度変換処理後の画像データはRGB色空間により表される256階調のRGBデータである。なお、複数の画素データが集まって画像データを構成している。
次に色変換処理にて、RGBデータをプリンター1のインクに対応したCMYKデータに変換する。
その後、ハーフトーン処理にて、高い階調数の256階調のデータをプリンター1が形成可能な低い階調数のデータに変換する。本実施形態のプリンター1は3種類のドットを形成可能とするため4階調のデータに変換する。
最後に、ラスタライズ処理にて、マトリクス状の画像データをプリンター1に転送すべき順にデータごとに並べ替える。
これらの処理を経たデータは、印刷方式に応じたコマンドデータ(搬送量など)と共に、印刷データとしてプリンタードライバーによりプリンター1に送信される。
===インターレース印刷について===
本実施形態のプリンター1は、通常、インターレース印刷を行うとする。インターレース印刷では、1回のパスで記録されるラスタライン間に、他のパスのラスタラインが形成される。インターレース印刷では、印刷の始めと終わりの印刷方法が通常と異なるため、通常印刷と先端印刷及び後端印刷とに分けて説明する。
図3A及び図3Bは、通常印刷の説明図である。図3Aはパスn〜パスn+3の様子を示し、図3Bはパスn〜パスn+4の様子を示す。説明の便宜上、ノズル列のノズル数を少なくし、また、ノズル列と用紙Sとの相対位置を示すためにヘッド41(ノズル列)が用紙Sに対して移動しているように描く。同図において、黒丸で示されたノズルはインク噴射ノズルであり、白丸で示されたノズルはインク非噴射ノズルである。また、同図において、黒丸で示されたドットは、最後のパスで形成されたドットであり、白丸で示されたドットは、それ以前のパスで形成されたドットである。
インターレース印刷の通常印刷では、用紙Sが搬送方向に一定の搬送量Fで搬送されるごとに、各ノズルが、その直前のパスで記録されたラスタラインの直ぐ上(先端側)のラスタラインを記録する。このように搬送量を一定にして記録を行うためには、(1)インクを吐出可能なノズル数N(整数)はk(ノズルピッチk・D)と互いに素の関係にあること、(2)搬送量FはN・Dに設定されること、が条件となる。ここでは、N=7、k=4で、F=7・Dである。しかし、これでは、印刷の始めと終わりに、ラスタラインを形成されない箇所がある。その為、先端印刷及び後端印刷では、通常印刷とは異なる印刷方法を行う。
図4は、先端印刷及び後端印刷の説明図である。最初の5回のパスが先端印刷であり、最後の5回のパスが後端印刷である。先端印刷では、通常印刷時の搬送量(7・D)よりも少ない搬送量(1・D又は2・D)にて、用紙Sが搬送される。そして、先端印刷と後端印刷では、インクを噴射するノズルが一定していない。これにより、印刷の初めと終わりにも、搬送方向に連続して並ぶ複数のラスタラインを形成することができる。また、先端印刷では30本のラスタラインが形成され、後端印刷でも30本のラスタラインが形成される。これに対し、通常印刷では、用紙Sの大きさにもよるが、およそ数千本のラスタラインが形成される。
通常印刷により印刷される領域(以下、通常印刷領域)のラスタラインの並び方には、インク噴射可能なノズル数(ここではN=7個)と同じ数のラスタラインごとに規則性がある。通常印刷で最初に形成されたラスタラインから7番目までのラスタラインは、それぞれ、ノズル♯3、♯5、♯7、♯2、♯4、♯6、♯8、により形成され、次の8番目以降の7本のラスタラインも、これと同じ順序の各ノズルで形成されている。一方、先端印刷により印刷される領域(以下、先端印刷領域)及び後端印刷により印刷される領域(以下、後端印刷領域)のラスタラインの並びには、通常印刷領域のラスタラインと比べると、規則性を見出し難い。
===濃度むらについて===
以下の説明のため、「画素領域」と「列領域」を設定する。「画素領域」とは用紙S上に仮想的に定められた矩形状の領域を指し、印刷解像度に応じて大きさが決定する。用紙S上の1つの「画素領域」と画像データ上の1つの「画素データ」が対応する。また、「列領域」とは移動方向に並ぶ複数の画素領域によって構成される領域である。「列領域」は、画像データ上の複数の画素データが移動方向に対応する方向に沿って並ぶ「画素列データ」と対応する。
図5Aは、理想的にドットが形成されたときの説明図である。理想的にドットが形成されるとは、画素領域の中心に規定量のインク滴が着弾し、ドットが形成されることである。
図5Bは、濃度むらが発生したときの説明図である。2番目の列領域に形成されたラスタラインは、ノズルから吐出されたインク滴の飛行曲がりにより、3番目の列領域側に寄って形成される。その結果、2番目の列領域は淡くなり、3番目の列領域は濃くなる。一方、5番目の列領域に吐出されたインク滴のインク量は規定量よりも少なく、5番目の列領域に形成されるドットが小さくなっている。その結果、5番目の列領域は淡くなる。このように濃淡の違う列領域からなる画像を巨視的に見ると、キャリッジの移動方向に沿う縞状の濃度むらが視認される。
図5Cは、本実施形態で使用する補正値(後述)によってドットが形成されたときの様子の説明図である。濃く視認されやすい列領域に対しては、淡く画像片が形成されるように、その列領域に対応する画素データの示す階調値を補正する。また、淡く視認されやすい列領域に対しては、濃く画像片が形成されるように、その列領域に対応する画素データの示す階調値を補正する。例えば、淡く視認される2番目と5番目の列領域のドット発生率を高くし、濃く視認される3番目の列領域のドット発生率が低くする。そうすることで、画像の濃度むらを抑制できる。
ここで、図5Bにおいて、3番目の列領域に形成される画像片の濃度が濃くなる理由は、3番目の列領域にラスタラインを形成するノズルの影響によるものではなく、隣接する2番目の列領域にラスタラインを形成するノズルの影響によるものである。このため、3番目の列領域にラスタラインを形成するノズルが別の列領域にラスタラインを形成する場合、その列領域に形成される画像片が濃くなるとは限らない。図3及び図4に示すインターレース印刷においても、あるノズルに割り当てられる列領域に隣接する列領域が毎回同じノズルとは限らない。
つまり、同じノズルにより形成された画像片であっても、隣接する画像片を形成するノズルが異なれば、濃度が異なる場合がある。このような場合、単にノズルに対応付けた補正値では、濃度むらを抑制することができない。そこで、本実施形態では、列領域ごと(画素列データごと)に濃度むら補正値Hを設定する。
===濃度むら補正値Hについて===
濃度むらはノズルの加工精度等の問題により発生するため、列領域ごと(画素列データごと)の補正値Hは、プリンター1の製造工程などにおいて、プリンター1ごとに算出する。補正値Hを算出するプリンター1には、スキャナーとコンピューターが接続される。そして、コンピューターには、テストパターン(後述)をプリンター1に印刷させるためのプリンタードライバーと、スキャナーが読み取った読取データに基づいて補正値Hを算出するための補正値取得プログラムがインストールされている。以下、補正値Hの取得方法について説明する。
<テストパターンの印刷>
図6Aは、テストパターンを示す図であり、図6Bは、補正用パターンを示す図である。テストパターンは、異なる色のノズル列ごと(シアン・マゼンタ・イエロー・ブラック)に形成された4つの補正用パターンによって構成される。各補正用パターンは3種類の濃度の帯状パターンから構成される。帯状パターンはそれぞれ一定の階調値の画像データから生成されたものである。帯状パターンを形成するための階調値を指令階調値と呼び、濃度30%の帯状パターンの指令階調値をSa(76)、濃度50%の帯状パターンの指令階調値をSb(128)、濃度70%の帯状パターンの指令階調値をSc(179)と表す。なお、高い階調値が濃い濃度を示し、低い階調値が淡い濃度を示すとする。
また、各帯状パターンは、前述のインターレース印刷において、先端印刷による30個のラスタラインと、通常印刷による56個のラスタラインと、後端印刷による30個のラスタラインから構成される。即ち、合計116個の列領域から帯状パターンは構成される。
<読取階調値の取得>
次に、テストパターンをスキャナーで読み取らせ、色ごと、濃度ごとの読取階調値を取得する。また、スキャナーの読取データにおいて、1つの画素列データ(移動方向に対応する方向に並ぶ複数の画素データ)と、補正用パターンにおける1つの列領域(1つのラスタライン)とを対応付ける。
図7は、シアンの補正用パターンをスキャナーで読み取った結果である。以下、シアンの読取データを例に説明する。画素列データと列領域(ラスタライン)を一対一で対応させた後、帯状パターンごとに、各列領域の濃度を算出する。ある列領域に対応する画素列データに属する各画素データの読取階調値の平均値を、その列領域の読取階調値とする。図7のグラフでは、横軸を列領域番号とし、縦軸を各列領域の読取階調値とする。
各帯状パターンは、それぞれの指令階調値で一様に形成されたにも関わらず、図7に示すように列領域ごとに読取階調値にばらつきが生じる。例えば、図7のグラフにおいて、i列領域の読取階調値Cbiは他の列領域の読取階調値よりも低く、j列領域の読取階調値Cbjは他の列領域の読取階調値よりも高い。即ち、i列領域は淡く視認され、j列領域は濃く視認される。このような各列領域の読取階調値のばらつきが、印刷画像の濃度むらである。
<濃度むら補正値Hの算出>
濃度むらを改善するために、列領域ごとの読取階調値のばらつきを低減したい。即ち、各列領域の読取階調値を一定の値に近づけたい。そこで、同一の指令階調値(例えばSb・濃度50%)において、全列領域の読取階調値(Cb1〜Cb116)の平均値Cbtを、「目標値Cbt」として設定する。そして、指令階調値Sbにおける各列領域の読取階調値を目標値Cbtに近づけるように、各列領域に対応する画素列データの示す階調値を補正する。
具体的には、図7において目標値Cbtよりも読取階調値の低い列領域iに対応する画素列データの示す階調値を、指令階調値Sbよりも濃い階調値を補正する。一方、目標値Cbtよりも読取階調値の高い列領域jに対応する画素列データの示す階調値を、指令階調値Sbよりも淡い階調値に補正する。このように、同一の階調値に対して、全列領域の濃度を一定の値に近づけるために、各列領域に対応する画素列データの階調値を補正する補正値Hを算出する。
図8A及び図8Bは、濃度むら補正値Hの具体的な算出方法を示す図である。まず、図8Aは目標値Cbtよりも読取階調値の低いi列領域において、指令階調値(例Sb)における目標指令階調値(例Sbt)を算出する様子を示す。横軸が階調値を示し、縦軸がテストパターン結果における読取階調値を示す。グラフ上には、指令階調値(Sa,Sb,Sc)に対する読取階調値(Cai,Cbi,Cci)がプロットされている。例えば指令階調値Sbに対してi列領域が目標値Cbtにて表されるための目標指令階調値Sbtは次式(直線BCに基づく線形補間)により算出される。
Sbt=Sb+{(Sc−Sb)×(Cbt−Cbi)/(Cci−Cbi)}
同様に、図8Bに示すように、目標値Cbtよりも読取階調値の高いj列領域において、指令階調値Sbに対してj列領域が目標値Cbtにて表されるための目標指令階調値Sbtは次式(直線ABに基づく線形補間)により算出される。
Sbt=Sa+{(Sb−Sa)×(Cbt−Caj)/(Cbj−Caj)}
こうして、指令階調値Sbに対する各列領域の目標指令階調値Sbtが算出される。そうして、次式により、各列領域の指令階調値Sbに対するシアンの補正値Hbを算出する。同様にして、他の指令階調値(Sa,Sc)に対する補正値、及び、他の色(イエロー,マゼンタ,ブラック)に対する補正値も算出する。
Hb=(Sbt−Sb)/Sb
図9は、インターレース印刷の通常印刷領域のシアンに関する補正値テーブルを示す図である。前述のように、通常印刷領域では7個のラスタラインごとに規則性があるため、通常印刷領域に関しては指令階調値(Sa,Sb,Sc)ごとに7個の補正値を算出する。例えば規則性のある1番目の列領域の指令階調値Saに対する補正値を「Ha_1」と示す。なお、補正用パターン(図6B)では通常印刷領域の56個のラスタラインを印刷しているので、7個おきの合計8個の列領域の読取階調値の平均値に基づいて補正値Hを算出すればよい。
このような補正値テーブルを、先端印刷領域および後端印刷領域に関しても作成する(不図示)。また、他の色(イエロー・マゼンタ・ブラック)に関しても、先端印刷領域、通常印刷領域、後端印刷領域の各補正値テーブルを作成する。そうして、補正値Hを算出するためにテストパターンを印刷したプリンター1のメモリー13に記憶させる。その後、プリンター1はユーザーのもとへ出荷される。
===比較例の濃度補正処理について===
ユーザーは、プリンター1の使用開始時に、プリンター1に接続するコンピューター60にプリンタードライバーをインストールする。そうすると、プリンタードライバーはプリンター1に対してメモリー13に記憶されている補正値Hをコンピューター60に送信するように要求する。プリンタードライバーは、プリンター1から送信される補正値Hをコンピューター60内のメモリーに記憶する。
図10は、シアンのn番目の列領域に関して各階調値に対応した補正値Hを算出する様子を示す図である。横軸を補正前の階調値S_inとし、縦軸を補正前の階調値S_inに対応した補正値H_outとする。図11Aは、比較例の濃度補正処理(印刷処理)のフローを示す図である。前述のように、プリンタードライバーは、ユーザーからの印刷命令を受けると、図11Aのフローに従って印刷データを生成し、印刷データをプリンター1に送信する。
まず、プリンタードライバーは、ユーザーの印刷命令と共に各種アプリケーションソフトから画像データを受信する(S001)。その画像データは、印刷解像度に応じた解像度に変換され(S002)、プリンター1が有するインクの色YMCKに応じて色変換される(S003)。
そして、プリンタードライバーは、YMCKの256階調のデータに対して補正値Hを用いて濃度補正処理を行う(S004)。即ち、画像データを構成する各画素データの256階調の階調値(補正前の階調値S_in)を、色ごと、及び、その画素データが対応する列領域ごとに設定された補正値Hによって、補正する。
補正前の階調値S_inが指令階調値のいずれかSa,Sb,Scと同じであれば、各指令階調値に対応した補正値Hであってコンピューター60のメモリーに記憶されている補正値Ha,Hb,Hcをそのまま用いることができる。例えば、補正前の階調値S_in=Scであれば、補正後の階調値S_outは次式により求められる。
S_out=Sc×(1+Hc)
補正前の階調値S_inが指令階調値と異なる場合、補正前の階調値S_inに応じた補正値H_outを算出する。例えば、図10に示すように補正前の階調値S_inが指令階調値SaとSbの間であるとき、指令階調値Saの補正値Haと指令階調値Sbの補正値Hbの線形補間によって次式により補正値H_outを算出し、補正後の階調値S_outを算出する。
H_out=Ha+{(Hb−Ha)×(S_in−Sa)/(Sb−Sa)}
S_out=S_in×(1+H_out)
なお、補正前の階調値S_inが指令階調値Saよりも小さい場合には、最低階調値0と指令階調値Saの線形補間により補正値H_outを算出し、補正前の階調値S_inが指令階調値Scよりも大きい場合には、最高階調値255と指令階調値Scの線形補間によって補正値H_outを算出する。
こうして、色ごと、画素データが属する列領域ごと、階調値ごとに設定された補正値Hによって、256階調の画素データの示す階調値S_inが補正される。そうすることで、濃度が淡く視認される列領域に対応する画素データの階調値S_inは濃い階調値S_outに補正され、濃度が濃く視認される列領域に対応する画素データの示す階調値S_inは淡い階調値S_outに補正される。その結果、印刷画像に発生する濃度むらを低減することができる。
そして、プリンタードライバーは、補正後の256階調の画素データ(S_out)をハーフトーン処理によって、プリンター1が形成可能なドットの種類に応じた4階調の画素データに変換する(図11AのS005)。本実施形態のプリンター1は3種類のドット(大ドット・中ドット・小ドット)を形成可能とし、256階調の8ビットのデータがハーフトーン処理によって2ビットの4階調(所定の階調数に相当)のデータに変換される。例えば、「大ドット形成」を示す画素データは「11」に変換され、「中ドット形成」を示す画素データは「10」に変換され、「小ドット形成」を示す画素データは「01」に変換され、「ドット無し」を示す画素データは「00」に変換される。以下、ハーフトーン処理の具体的な方法について説明する。
図12Aは、ドット生成率テーブルの説明図である。グラフの横軸は階調値(0〜255)であり、縦軸は左側がドットの生成率(0〜100%)であり、右側がレベルデータである。図12Bは、ディザ法によるドットのオン・オフ判定の様子を示す図である。図12Cは、誤差拡散法の様子を示す図である。
「ドットの生成率」とは、一定の階調値に応じて一様な領域が再現されるときに、その領域内の画素のうちのドットが形成される画素の割合を意味する。例えば16×16画素の全ての画素データの階調値が一定値である場合において、その16×16画素にn個のドットが形成されるとき、その階調値におけるドット生成率は、{n/(16×16)}×100(%)として表される。図中の点線で示されるプロファイルSDが小ドットの生成率を示しており、また、細い実線で示されるプロファイルMDが中ドットの生成率を示しており、太い実線で示されるプロファイルLDが大ドットの生成率を示している。また、「レベルデータ」とは、ドットの生成率を値0〜255の256段階で表したデータをいう。
まず、プリンタードライバーは、ある画素データの階調値に応じて、大ドットレベルデータを設定する。例えば、ある画素データの階調値が図中に示すgrであれば、大ドットレベルデータは、プロファイルLDに基づいて、1dに設定される。その大ドットレベルデータが、図12Bに示すディザマトリクスの各画素に対して設定された閾値より大きいか否かを判定する。閾値は、ディザマトリクスの各画素に対して異なる値が設定されている。本実施形態では、16×16の画素ブロックに、0〜255までの値が示されるマトリックスを用いる。
例えば、図12Bの左上の画素に関して、大ドットレベルデータが「180」に設定されたとする。この画素に対応するディザマトリクス上の閾値は「1」である。プリンタードライバーは大ドットレベルデータ「180」と閾値「1」とを比較する。この場合、大ドットレベルデータが閾値よりも大きいと判定され、左上の画素の画素データを「11(大ドット形成)」に変換し、その画素データの処理を終了する。図12Bではドットが形成される画素を斜線で示す。
一方、大ドットレベルデータが閾値以下である場合、プリンタードライバーは中ドットレベルデータを設定する。階調値がgrの画素データでは、中ドットレベルデータはプロファイルMDに基づいて2dに設定される。そして、その中ドットレベルデータの方が閾値よりも大きい場合、その画素の画素データは「10(中ドット形成)」に変換され、その画素データの処理を終了する。なお、ディザマトリクスの閾値はドットの種類ごとに設定されている。
そして、中ドットレベルデータが閾値以下である場合、小ドットレベルデータが閾値よりも大きいか否かが判定される。小ドットレベルデータが閾値よりも大きい場合、その画素の画素データが「01(小ドット形成)」に変換され、小ドットレベルデータが閾値以下である場合、その画素の画素データが「00(ドット無し)」に変換され、その画素データに対する処理を終了する。こうして、256階調の画素データが4階調の画素データに変換される。なお、図12A中の階調値grでは小ドットのレベルデータが0であるため、小ドットは発生しない。
また、本実施形態では、ハーフトーン処理の際に、図12Cに示すように、誤差拡散法を適用する。誤差拡散法では、ドット形成の有無を判定している画素のレベルデータと、その画素に対応する閾値との差(誤差)を未処理の画素に分配する(拡散する)。そして、誤差が分配された未処理の画素では、自身の画素のレベルデータとその誤差の合計値と、ディザマトリクスの対応する閾値とを比較し、ドット形成の有無が判定される。
例えば、図12Cでは、プリンタードライバーは、左上の画素のレベルデータとディザマトリクスの閾値とを比較し、左上の画素にドットを形成すると判定した後に、レベルデータと閾値との誤差「179(=180−1)」を算出する。その誤差を、左上の画素とX方向に並ぶ画素やY方向に並ぶ画素に分配する。なお、レベルデータよりも閾値の方が大きい場合にはマイナスの誤差を周辺の画素に分配する。そうすることで、局所的な濃度誤差を低減することができ、画像全体の濃度を滑らかにすることが出来る。
特に、補正値Hによって階調値を補正した場合には、誤差拡散法を行うことが好ましい。補正値Hによって各画素データの階調値が増加したり減少したりする補正量は微小である。例えば、列領域を濃くするために、その列領域に属する画素データの階調値を補正値Hによって高くし、レベルデータの値を高くしても、ディザマトリクスの閾値によってはドットの数を増やしたりドットのサイズを大きくしたりすることが出来ない虞がある。そのため、ある画素の階調値を高く補正し、レベルデータの値を高く補正したが、閾値との関係によりその画素にドットが形成されなくとも、レベルデータと閾値との誤差が周辺の画素に分配されることで、誤差が積算されていく過程で未処理の画素の何れかの画素に新たなドットが発生する。そのため、その列領域を濃く印刷することが出来る。逆に、ある画素の階調値を低く補正した場合には、その分だけマイナスの誤差が分配され、何れかの画素のドットを発生しなくすることができる。
そのため、補正値Hによって増減させた階調値による誤差(レベルデータと閾値の誤差)が同じ列領域に属する画素に反映されるように、ある画素データの誤差を、その画素データとY方向(搬送方向に対応)に並ぶ画素データよりも、その画素データとX方向(移動方向に対応)に並ぶ画素データ、即ち、同じ列領域に属する画素データに多く分配してもよい。例えば、図12Cでは、左上の画素の誤差「179」を、同じ列領域に属する3つの画素データと、Y方向に並ぶ1つの画素データと、に分配している。また、未処理の画素に誤差を分配する際に、均等に分配してもよいし、重み付けを変えて、誤差が発生した画素に近い画素ほど多く分配してもよい。このように、誤差拡散法によるハーフトーン処理によって、補正値Hに応じて確実にドット発生率を変動させることができ、濃度むらを解消することができる。
こうしてハーフトーン処理された低階調数の画素データは、図11Aに示すように、ラスタライズ処理され(S006)、コマンドデータなどと共に印刷データとしてプリンター1に送信される。プリンター1は印刷データを受信すると(S007)、その印刷データに基づいて印刷を行う(S008)。
以上をまとめると、比較例の濃度補正処理では、プリンタードライバーがインストールされたコンピューター60とプリンター1が接続された印刷システムにおいて、プリンタードライバーが、ハーフトーン処理前の高階調数(256階調)の画素データ(階調値)を補正値Hによって補正し、その後、ハーフトーン処理が行われ、補正された高階調数の画素データが低階調数(4階調)の画素データに変換される。プリンター1はその低階調数の画素データに基づいて印刷を行う。そうすることで、印刷画像の濃度むらを低減することができる。
===本実施形態の濃度補正処理について===
図11Bは、本実施形態の濃度補正処理(印刷処理)のフローを示す図である。比較例の濃度補正処理では、プリンタードライバーが、ハーフトーン処理前の画素データを補正値Hによって補正する。しかし、プリンター1に対応したプリンタードライバーによって印刷データがプリンター1に送信されるに限らず、プリンタードライバーとは異なるアプリケーションプログラム(例えば他社製品のプログラム、以下、他のプログラムと呼ぶ)によってハーフトーン処理された印刷データがプリンター1に送信される場合がある。
プリンタードライバーと同様に、他のプログラムにおいても、図11BのS101(斜線のブロック部)において、ユーザーが形成した画像データは、印刷解像度に合わせて解像度変換され、色変換され、ハーフトーン処理される。ただし、プリンタードライバーは、プリンター1のメモリー13から補正値Hを取得し、その補正値Hによって256階調の画素データを補正した後にハーフトーン処理を行うのに対して、他のプログラムでは256階調の画素データが補正されずにハーフトーン処理が行われてしまう。即ち、プリンタードライバーとは異なる他のプログラムからプリンター1に送信される印刷データは、濃度補正処理が行われていない4階調の画素データである。仮に、プリンター1が、他のプログラムから送信された印刷データをそのまま用いて印刷を行うと、印刷画像に濃度むらが発生してしまう。
そのため、本実施形態では、プリンタードライバーとは異なる他のプログラムから送信された4階調の画素データ(所定の階調数の画素データに相当)に対して濃度補正処理を行い、印刷画像の濃度むらを抑制することを目的とする。
図13は、識別部16がプリンター1に送信される印刷データを処理するフローである。プリンター1のコントローラー10内の識別部16(図1)によって、プリンター1に送信される印刷データが、補正済みデータ(補正値Hによって濃度補正処理がなされた印刷データ)であるのか、それとも、補正前データ(補正値Hによって濃度補正処理がなされていない印刷データ)であるのかが識別される。そして、送信された印刷データが補正済みデータであると識別部16が判断した場合(S201→YES)、プリンター1はその印刷データに基づいて印刷を行う(図11AのS008)。
一方、送信された印刷データが補正前データであると識別部16が判断した場合(S201→NO)、その印刷データを濃度補正処理した後に(図11BのS103)、印刷を行う(S104)。なお、プリンター1のコントローラー10内部の濃度補正処理部15によって、補正前データに対する濃度補正処理が行われる。また、補正済みデータであるか否かで判断するに限らず、プリンター1に対応するプリンタードライバーから送信されたデータであるのか、それとも、他のプログラムから送信されたデータであるのかを識別し、プリンタードライバーからのデータはそのまま印刷に使用し、他のプログラムから送信されたデータに対しては濃度補正処理を行うようにしてもよい。以下、ハーフトーン処理済みの4階調の画素データに対する濃度補正処理方法について説明する。
<濃度補正処理:実施例1>
実施例1では、他のプログラムによってハーフトーン処理された4階調の画素データを、プリンター1のメモリー13に記憶されている補正値Hを利用して濃度補正処理を行う。しかし、この補正値H(以下、高階調補正値H・高い階調数に対応する補正値に相当)は、プリンタードライバーが濃度補正処理する際に(図11AのS004)、256階調の画素データに対して使用する補正値Hである。ただし、256階調の画素データを補正するための補正値Hであっても、その画素データに対応する列領域の濃淡を補正する補正値に変わりはない。
例えば、高階調補正値Hによって、ある列領域に対応する256階調の画素列データ(データ上で移動方向に対応する方向に並ぶ複数の画素データ)を濃い階調値に補正する場合、ある列領域に対応する4階調の画素列データをある列領域が濃く視認されるように補正すればよい。逆に、高階調補正値Hによって、ある列領域に対応する256階調の画素列データを淡い階調値に補正する場合、ある列領域に対応する4階調の画素列データをある列領域が淡く視認されるように補正すればよい。即ち、ある列領域に対応する高階調補正値Hによって、ある列領域に対応する4階調の画素データを、濃く補正するのか、それとも、淡く補正するのかを判断できる。なお、高階調補正値Hは次式により表される。Stは目標の読取階調値であり、Sは実際の読取階調値である。
H=(St−S)/S
そのため、ある列領域の高階調補正値Hがプラスの値を示す場合にはその列領域を濃く補正し、ある列領域の高階調補正値Hがマイナスの値を示す場合にはその列領域を淡く補正する。
4階調の画素データはドット発生の有無やドットの大きさを示す。また、高階調補正値Hは、実際の濃度Sに対する、目標の濃度Stと実際の濃度Sの差の割合を示している。そのため、実施例1では、4階調の画素列データを高階調補正値Hによって補正する場合、ある列領域に対応する4階調の画素列データに属する画素データのうち、高階調補正値Hの割合に相当する数の画素データの補正を行う。具体的には、生成するドット数を変えたり、ドットサイズを変えたりする。そうすることで、各列領域の補正値Hに応じて、各列領域の濃度を補正する度合いを変えることが出来る。
例えば、同じ濃度を濃くする列領域であっても、一方の列領域に対応する補正値Hの方が他方の列領域に対応する補正値Hよりも大きい場合、一方の列領域の方が他方の列領域よりも、濃度を濃くする度合いが大きくなる。そのため、高階調補正値Hの割合に相当する数の画素データを補正することで、一方の列領域に対応する画素列データの補正数の方が他方の列領域に対応する画素列データの補正数よりも多くなり、新たに発生したドット数やサイズが大きくなったドット数を増やすことができ、濃度を濃くする度合いを大きくすることが出来る。
図14Aは、実施例1において、プリンター1のメモリー13に記憶される補正値テーブルを示す図である。プリンター1のメモリー13には図9に示すように、色ごと、列領域ごと、指令階調値(Sa,Sb,Sc)ごとの高階調補正値Hが記憶される。また、指令階調値の線形補間によって、256階調の各階調値(0〜255)に対応した補正値Hを算出することが出来る。
4階調の画素データに対して、色ごと、列領域ごとに分かれた高階調補正値Hを使用することが出来る。しかし、4階調の画素データに対して、256階調の各階調値に応じた補正値Hを使い分けることは難しい。そこで、実施例1では、プリンター1のメモリー13に、図14Aに示すように、3つの指令階調値(Sa,Sb,Sc)の各補正値(Ha,Hb,Hb)の平均値Haveも記憶させておく。そして、この平均の高階調補正値Haveに基づいて、4階調の画素データを補正する。なお、平均の高階調補正値Haveをメモリー13に記憶させるに限らず、濃度補正処理部15が濃度補正を行う際に3つの補正値から算出してもよい。
図14Bおよび図14Cは、1つの列領域に対応する画素列データを高階調補正値Hによって補正する様子を示す図である。以下、平均の高階調補正値Haveによる4階調の画素データの具体的な補正方法について説明する。図14Bおよび図14Cに描かれるマス目の1つが画素に相当する。そして、大ドットを形成する画素には「大」と示し、中ドットを形成する画素には「中」を示し、小ドットを形成する画素には「小」と示し、ドットを形成しない画素には「×」を示す。
例えば、図14Bに示すように、列領域1の平均の高階調補正値Have_1が「+10%」であったとする。この場合、濃度補正処理部15は、列領域1に対応する画素列データをX方向(データ上で移動方向に対応する方向)の左側の画素データから順に、10個の画素データごとに1つの画素データを「大ドット形成」に補正する。
具体的には、濃度補正処理部15は、列領域1に対応する4階調の画素データを補正する際に、プリンター1のメモリー13に記憶されている補正値テーブル(図14A)を参照し、列領域1に対応する平均の高階調補正値「+10%」を取得する。その後、列領域1に対応する画素列データのうち、X方向の最も左側の画素データを「小ドット形成」から「大ドット形成」に変換する。同様に、濃度補正処理部15は、X方向の左から11個目の画素データ、21個目の画素データ…と、10個おきの画素データを「大ドット形成」に変換する。そうすることで、列領域1に対応する平均の高階調補正値Have_1(+10%)が示す通りに、列領域1の濃度を濃く印刷できる。
このとき、濃度補正処理部15は10個おきの補正前の画素データが何を示すのかに関わらず、画素データを「大ドット形成」に変換する。そのため、X方向の左側から11個目の画素データのように、元々「大ドット形成」を示していると、ドットサイズが大きくならない場合がある。ただし、ある10個おきの画素データのドットサイズが大きくなるように変更されなくとも、他の10個おきの画素データでは、元々ドットが形成されなかったのに、大ドットが形成されるように変更される場合もあり、列領域1を濃く印刷することが出来る。このように、濃度補正処理部15は、10個おきの画素データが何を示すかに関係なく、10個おきの画素データを「大ドット形成」に変換することで、濃度補正処理時間を短縮できる。
また、図14Cに示すように、列領域2の平均の高階調補正値Have_1が「−10%」であったとする。この場合、濃度補正処理部15は、列領域2に対応する画素列データをX方向の左側の画素データから順に、10個の画素データごとに1つの画素データを「ドット無し」に補正する。このときも、10個おきの画素データが何を示すかに関係なく、その画素データを「ドット無し」に変換する。図示するように、濃度補正処理部15は、列領域2の一番左端の画素データを「中ドット形成」から「ドット無し」に変更し、列領域2の左から11番目の画素データを「小ドット形成」から「ドット無し」に変更する。そうすることで、列領域2に対応する平均の高階調補正値Have_2(−10%)が示す通りに、列領域2の濃度を淡く印刷できる。
このように、濃度補正処理部15は、他のプログラムから受信した印刷データを受信すると、各画素列データに対応する平均の高階調補正値Haveに基づいて、Y方向(データ上で搬送方向に対応する方向)に並ぶ複数の画素列データを順に、図14Bや図14Cに示すように補正する。
図14D及び図14Eは、平均の高階調補正値Haveによって4階調の画素列データを補正する変形例を示す図である。前述の図14B及び図14Cでは、平均の高階調補正値Haveに応じて補正する画素データの補正前のデータに関係なく、濃く補正する場合には「大ドット形成」に画素データを変更し、淡く補正する場合には「ドット無し」に画素データを変更している。ただし、これに限らず、補正対象の画素データが補正前に示すデータに応じて、変更するデータを異ならせてもよい。例えば、濃度を濃くする場合には、補正前の画素データが示すドットサイズよりも1つ大きいサイズのドットが形成されるように画素データを補正し、逆に、濃度を淡くする場合には、補正前の画素データが示すドットサイズよりも小さいサイズのドットが形成されるように画素データを補正してもよい。
図14Dでは、列領域3に対応する平均の高階調補正値Haveは「+20%」であるため、列領域3に対応する画素列データのうち、5個おきの画素データを補正する。列領域3に対応する画素列データに属する複数の画素データのうち、X方向における一番左の画素データは、補正前に「中ドット形成」を示すため、濃度補正処理部15は、その画素データを「大ドット形成」に変更する。同様に、左から6個目の補正前の画素データは「ドット無し」を示すため、濃度補正処理部15はその画素データを「小ドット形成」に補正する。このように、濃度補正処理部15は、補正前の画素データが「ドット無し」を示す場合には、「小ドット形成」に変更し、補正前の画素データが「小ドット形成」を示す場合には、「中ドット形成」に変更し、補正前の画素データが「中ドット形成」を示す場合には、「大ドット形成」に変更する。そうすることで、列領域に対応する高階調補正値H(濃くする補正値)が示す通りに、列領域の濃度を濃く印刷できる。
ただし、補正前の画素データが「大ドット形成」を示す場合には、それ以上ドットを大きくすることは出来ない。前述の図14B及び図14Cでは、補正対象の画素データが補正前に示すデータに関係なく、その画素データを「大ドット形成」に変更するため、補正前の画素データが「大ドット形成」を示す場合には、ドットサイズは大きく補正されなかった。
しかし、これに限らず、補正対象の画素データが「大ドット形成」を示す場合には、その補正対象の画素データの近傍の他の画素データを補正してもよい。図14Dでは、左から11番目の画素データは「大ドット形成」を示すため、濃度補正処理部15は、12番目の「小ドット形成」を示す画素データを「中ドット形成」に変更する。こうすることで、確実に列領域の濃度を濃く印刷できる。また、補正対象の画素データの隣の画素データに限らず、補正対象の画素データが「大ドット形成」を示す場合には、5個おきの画素データ群(例えば11番目から15番目の画素データ)の中の何れかの画素データを補正してもよい。
同様に、図14Eに示す列領域4では、対応する平均の高階調補正値Haveが「−20%」であるため、列領域4に対応する画素列データのうち、5個おきの画素データを補正する。例えば、列領域4に対応する画素列データのうちのX方向の一番左の画素データは補正前に「中ドット形成」を示すため、その画素データを「小ドット形成」に変更する。同様に、左から6個目の補正前の画素データは「大ドット形成」を示すため、その画素データを「中ドット形成」に補正する。
このように、濃度補正処理部15は、列領域を淡く補正する場合に、補正前の画素データが「大ドット形成」を示す場合には、「中ドット形成」に変更し、補正前の画素データが「中ドット形成」を示す場合には、「小ドット形成」に変更し、補正前の画素データが「小ドット形成」を示す場合には、「ドット無し」に変更する。そうすることで、列領域に対応する高階調補正値H(淡くする補正値)が示す通りに、列領域の濃度を淡く印刷できる。また、補正対象の画素データが補正前に「ドット無し」を示す場合には、近傍の他の画素データを補正するとよい。例えば、図14Eの11番目の画素データは「ドット無し」を示すため、隣の12番目の画素データを「小ドット形成」から「ドット無し」に補正してもよい。
以上をまとめると、実施例1では、プリンター1のメモリー13に記憶されている高階調補正値Hを、ハーフトーン処理済みの4階調の画素データに使用するために、ある列領域に対応する画素列データに属する複数の画素データのうち、その列領域の高階調補正値Hに対応する数の画素データを補正する。列領域の濃度を濃く補正する場合には、補正対象の画素データに新たにドットを形成したり、形成するドットサイズを大きくしたりし、逆に、列領域の濃度を淡く補正する場合には、補正対象の画素データに形成されるはずであったドットを形成しなくしたり、形成するドットサイズを小さくしたりする。そうすることで、他のプログラムから受信したハーフトーン処理済みの4階調の画素データに対しても、濃度補正処理を行うことができ、印刷画像の濃度むらを低減できる。
なお、図14D及び図14Eでは、補正前の画素データの示すドットよりも1段階ドットを大きくしたり小さくしたりしているが、これに限らない。例えば、「小ドット形成」を示す画素データを「大ドット形成」に補正するように、ドットサイズを2段階補正してもよい。また、1つの列領域に対応する画素列データのうち、高階調補正値Hに対応する数の画素データを補正するに限らず、1つの列領域に対応する画素データであって、ドットを形成する画素データのうち、高階調補正値Hに対応する数の画素データを補正してもよい。また、プリンター1のメモリー13に記憶されている高階調の補正値Hを使用するに限らず、高階調補正値Hとは異なる4階調用の補正値を別に設定し、プリンター1のメモリー13に記憶させてもよい。例えば、1つの列領域に対応する画素列データに属する複数の画素データのうち、4階調用の補正値に対応する数の画素データを補正するとよい。
また、4階調の画素データに対する濃度補正処理を、プリンター1のコントローラー10内部の濃度補正処理部15が行う場合には、コントローラー10が制御部に相当し、プリンター1が流体噴射装置に相当する。ただしこれに限らず、これらの処理を、プリンタードライバーに行わせてもよい。即ち、プリンター1が他のプログラムから印刷データを受信した場合には、プリンター1は印刷データをプリンタードライバーに送信して、プリンタードライバーが濃度補正処理を行った印刷データを、プリンター1に戻してもよい。この場合、プリンタードライバーがインストールされたコンピューター60とプリンター1のコントローラー10が制御部に相当し、プリンター1とコンピューター60の接続された印刷システムが流体噴射装置に相当する。
<濃度補正処理:実施例2>
図15Aは、実施例2において使用する高階調補正値Hを示す図であり、図15Bおよび図15Cは、実施例2における4階調の画素データを補正する様子を示す図である。ところで、図12Aのドット生成率テーブルから分かるように、濃度が低い画像(階調値の低い画像)を構成するドットは小ドットが多く、中間の濃度の画像を構成するドットは中ドットが多く、濃度が高い画像(階調値の高い画像)を構成するドットは大ドットが多くなる。
特に、本実施形態のドット生成率テーブルによると、指令階調値Sa(第1の階調値)によって形成された濃度30%の帯状パターン(図6B)は小ドット(第1のドット)のみから構成され、指令階調値Sb(第2の階調値)によって形成された濃度50%の帯状パターンは中ドット(第2のドット)のみから構成され、指令階調値Scによって形成された濃度70%の帯状パターンは大ドットのみから構成される。そのため、指令階調値Saに対応する補正値Haは、多くの小ドットから構成される画像の濃度を補正するために適した補正値であり、指令階調値Sbに対応する補正値Hbは、多くの中ドットから構成される画像の濃度を補正するために適した補正値であり、指令階調値Scに対応する補正値Hcは、多くの大ドットから構成される画像の濃度を補正するために適した補正値となる。
そこで、実施例2では、濃度の低い指令階調値Sa(76)に対応する補正値Haを「小ドット用の補正値Hs(例えば第1補正値に相当)」に設定し、中間の濃度の指令階調値Sb(128)に対応する補正値Hbを「中ドット用の補正値Hm(例えば第2補正値に相当)」に設定し、高い濃度の指令階調値Sc(179)に対応する補正値Hcを「大ドット用の補正値Hl」に設定する。そして、1つの列領域に対応する画素列データに属する画素データにおいて、各サイズのドットを形成する画素データのうち、各サイズのドットの補正値Hs,Hm,Hlに対応する数の画素データを補正する。以下、濃度補正処理部15の具体的な処理について説明する。
図15Bは列領域1に対応する画素列データの補正の様子を示す。列領域1に対応する補正値は列領域1を濃くするための補正値であるとし、具体的に、小ドット用の補正値Hsを「+5%」、中ドット用の補正値Hmを「+10%」、大ドット用の補正値Hlを「+15%」とする。濃度補正処理部15は、列領域1に対応する画素列データの中で、小ドットが形成される画素の数(N1個)と、中ドットが形成される画素の数(N2個)と、大ドットが形成される画素の数(N3個)を算出する。
そして、濃度補正処理部15は、小ドットが形成される画素データのうち、小ドット用補正値Hsに対応する数の画素データ(N1個×0.05)を、「中ドット形成」に変換し、中ドットが形成される画素データのうち、中ドット用補正値Hmに対応する数の画素データ(N2個×0.1)を、「大ドット形成」に変換する。そして、大ドットが形成される画素データでは、形成するドットを大ドットよりも大きく変更することができないため、ドットが形成されない画素に新たに大ドットを発生させる。なお、大ドットに限らず、小ドットや中ドットを発生させてもよい。即ち、濃度補正処理部15は、大ドットが形成される画素データのうち、大ドット用補正値Hlに対応する数の画素データ(N3個×0.15)を、「大ドット形成」に変換する。なお、補正対象の画素データは、X方向にバランスよく並ぶ画素データとする。
また、図15Bでは、説明のため、列領域1に属する画素データは、「ドット無し画素」から「大ドット形成画素」まで存在しているが、実際には、図12Aのドットの生成率テーブルから分かるように、階調値(濃度)によって発生するドットの種類が異なる。そのため、濃度の淡い列領域では小ドットが多く発生し、中間の濃度の列領域では中ドットが多く発生し、濃度の濃い列領域では大ドットが多く発生する。
また、本実施形態のプリンター1の高階調補正値H(図10)では、濃度が濃くなるほど、補正値Hの値が大きく(Hs<Hm<Hl)、多くの画素データのドットサイズを大きくしたり、新たに大ドットを発生させたりする必要がある。つまり、濃度の淡い列領域ほど補正量は小さくてよく、濃度の濃い列領域ほど補正量は大きくする必要がある。そして、実施例2の濃度補正処理によれば、濃度の淡い列領域に対応する画素列データでは小ドット形成の画素が多いため、小さい補正値Hsにより、補正対象の画素データの数は少なく、補正量を小さく出来る。逆に、濃度の濃い列領域に対応する画素列データでは大ドット形成の画素が多いため、大きい補正値Hlにより、補正対象の画素データの数を多く出来る。
同様に、図15Cは列領域2を淡く補正する様子を示す。淡く補正する場合も同様に、濃度補正処理部15は、小ドットを形成する画素数「N4個」と、中ドットを形成する画素数「N5個」と、大ドットを形成する画素数「N6個」を算出する。そして、小ドットを形成する画素のうち、小ドット用補正値「−5%」に対応する数の画素データ(N4個×0.05)を「ドット無し」に変換し、中ドットを形成する画素のうち、中ドット用補正値「−10%」に対応する数の画素データ(N5個×0.1)を「小ドット形成」に変換し、大ドットを形成する画素のうち、大ドット用補正値「−15%」に対応する数の画素データ(N6個×0.15)を「中ドット形成」に変換する。そうすることで、列領域2を淡く補正することができる。
このように実施例2では、淡い指令階調値Saの補正値Haを小ドット用の補正値Hsに設定し、列領域の濃度が淡く小ドットを形成する画素データを多く含む場合には、淡い濃度用の補正値Ha(=Hs)に基づく数の画素データを補正することができ、中間の指令階調値Sbの補正値Hbを中ドット用の補正値Hmに設定し、列領域が中間の濃度で中ドットを形成する画素データを多く含む場合には、中間濃度用の補正値Hb(=Hm)に基づく数の画素データを補正することができ、濃い指令階調値Scの補正値Hcを大ドット用の補正値Hlに設定し、列領域の濃度が濃く大ドットを形成する画素データを多く含む場合には、濃い濃度用の補正値Hc(=Hl)に基づく数の画素データを補正することができる。そのため、濃度に応じた補正を行うことができ、より濃度むらを解消することが出来る。なお、プリンター1のメモリー13に記憶されている高階調補正値Hを使用するに限らず、高階調補正値Hとは異なる各ドット用補正値Hs,Hm,Hlを別に設定し、プリンター1のメモリー13に記憶させてもよい。
<濃度補正処理:実施例3>
図16Aは、実施例3にて使用する4階調画素データに対する補正値を示す図であり、図16Bは、実施例3における画素列データの補正の様子を示す図である。前述の実施例では、プリンター1のメモリー13に記憶された高階調補正値H(図9)を用いて、他のプログラムからの4階調の画素データを補正しているが、これに限らない。新たに4階調用の補正値Hを設定してもよい。この4階調用の補正値も、列領域ごと(画素列データごと)に設定する。また、4階調用の補正値を色ごとに設定してもよい。そして、淡く視認される列領域は、濃く印刷されるような補正値Hを設定し、濃く視認される列領域は淡く印刷されるような補正値Hを設定することで、濃度むらをより解消することが出来る。
この実施例3では、図16Aに示すように、2つの画素データごと(所定数の画素データごと)に補正値Hを決定する。1つの画素データは4階調にて表現されるため、2つの画素データの組み合わせは10通りとなる。そのため、4階調用の補正値Hも10個設定する。なお、2つの画素データの並び順は関係ないとする。例えば、列領域1の補正値テーブル(図16A)によると、2つの画素データが共に「ドット無し」を示す場合の補正値は「H1_1」に設定され、一方の画素データが「ドット無し」を示し、他方の画素データが「小ドット形成」を示す場合の補正値は「H2_1」に設定される。
また、本実施形態のプリンター1では、図10に示すように、階調値が高くなるにつれて、高階調補正値Hが大きく、濃度の補正量が大きくなる。そのため、2つの画素データが共に、ドット無しであったり、小ドット形成であったりする場合、その画素データに対応する列領域は、比較的に濃度が淡い列領域と想定される。そのため、ドットが形成されなかったり、小ドットが形成されたりする画素データの組み合わせでは、補正値Hを比較的に小さい値に設定するとよい。逆に、大ドットが形成される画素データの組み合わせでは、補正値Hを比較的に大きく設定するとよい。こうすることで、列領域の濃度に応じて濃度補正を行うことが出来る。
そして、濃度補正処理部15は、1つの列領域に対応する画素列データにおいて、X方向の左側から順に、2つの画素データごとに補正値を決定し、その補正値を積算する。例えば、図16Bでは、列領域1に対応する画素列データにおいて、X方向の最も左側の2つの画素データの組み合わせは、「小ドット形成」と「ドット無し」である。濃度補正処理部15は、この2つの画素データに対応する補正値+5%を、補正値テーブル(図16A)を参照して決定する。次に、濃度補正処理部15は、左から3番目と4番目の2つの画素データの組み合わせ(中ドット形成・小ドット形成)に基づいて、この2つの画素データに対応する補正値「+7%」を決定する。そして、濃度補正処理部15は、その前の2つの画素データの補正値「+5%」と「+7%」を積算し、積算値を算出する。
このように、濃度補正処理部15は、2つの画素列データごとに補正値Hを決定し、その補正値Hを積算して積算値を算出し、その積算値が100%に達した時点で、その2つの画素列データを補正する。図16Bでは、積算値が102%となった2つの画素データにおいて、一方の画素データ「ドット無し」から「大ドット形成」に変更している。なお、2つの画素データの両方のデータを変換してもよく、ドットサイズを1段階だけ大きくしてもよい。また、2つの画素データが共に大ドット形成であった場合には、隣の画素データを変換してもよい。逆に、列領域を淡く印刷する場合には、マイナスの補正値Hが設定されており、積算値が「−100%」に達した時点で、2つの画素データのドットサイズを小さく補正したり、ドットを発生させなくしたりする。
そして、濃度補正処理部15は、積算値が+100%か−100%に達した後は、その積算値から100%分を引いた値を積算値とし、次の2つの画素データの補正値を決定し、再び積算していく。こうすることで、他のプログラムから受信した4階調の画素データに対して、濃度補正処理を行うことが出来る。
===その他の実施の形態===
上記の各実施形態は、主としてインクジェットプリンターを有する印刷システムについて記載されているが、濃度むら補正方法の開示が含まれている。また、上記の実施形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定して解釈するためのものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更、改良され得ると共に、本発明にはその等価物が含まれることはいうまでもない。特に、以下に述べる実施形態であっても、本発明に含まれるものである。
<その他のプリンターについて>
前述の実施形態では、ヘッド41がノズル列と交差する移動方向に移動しながら画像を形成する動作と媒体をノズル列方向に搬送する動作とを交互に繰り返しシリアル式のプリンターを例に挙げているが、これに限らない。例えば、紙幅長さに亘ってノズルが並び、その長いノズル列の下を媒体が停まることなく搬送されるライン式のプリンターでもよい。また、印刷領域に搬送された連続紙に対して、連続紙の搬送方向に沿ってヘッドが移動しながら画像を形成する動作と、搬送方向と交差する紙幅方向に複数のヘッドを移動する動作を繰り返し、画像を形成した後に、連続紙を搬送方向に搬送するプリンターでもよい。
<流体噴射装置について>
前述の実施形態では、流体噴射装置としてインクジェットプリンターを例示していたが、これに限らない。流体噴射装置であれば、プリンター(印刷装置)ではなく、様々な工業用装置に適用可能である。例えば、布地に模様をつけるための捺染装置、カラーフィルター製造装置や有機ELディスプレイ等のディスプレイ製造装置、チップへDNAを溶かした溶液を塗布してDNAチップを製造するDNAチップ製造装置等であっても、本件発明を適用することができる。また、液体を噴射するに限らず、例えば粉体などの流体を噴射する装置であってもよい。
また、流体の噴射方式は、駆動素子(ピエゾ素子)に電圧をかけて、インク室を膨張・収縮させることにより流体を噴射するピエゾ方式でもよいし、発熱素子を用いてノズル内に気泡を発生させ、その気泡によって液体を噴射させるサーマル方式でもよい。
1 プリンター、10 コントローラー、11 インターフェース部、
12 CPU、13 メモリー、14 ユニット制御回路、
15 濃度補正処理部、16 識別部、20 搬送ユニット、
30 キャリッジユニット、31 キャリッジ、
40 ヘッドユニット、41 ヘッド、
50 検出器群、60 コンピューター

Claims (8)

  1. (1)媒体に流体を噴射するノズルが所定方向に並ぶノズル列と、
    (2)前記ノズル列と媒体とを前記所定方向と交差する方向に相対移動させる移動機構と、
    (3)前記ノズルから噴射される流体によって形成可能なドットの種類に応じた所定の階調数の画素データに基づいて、前記移動機構によって前記ノズル列と媒体とを前記交差する方向に相対移動させながら前記ノズル列から流体を噴射する制御部であって、
    前記画素データ上において前記交差する方向と対応する方向に並ぶ複数の前記画素データである画素列データごとに設定された補正値によって、前記所定の階調数の画素データを補正する制御部と、
    (4)を有することを特徴とする流体噴射装置。
  2. 請求項1に記載の流体噴射装置であって、
    受信した前記所定の階調数の画素データが、前記所定の階調数よりも高い階調数に対応する補正値によって前記高い階調数の画素データが補正された後に前記所定の階調数の画素データに変換された補正済みデータであるのか、それとも、前記高い階調数に対応する補正値によって補正されていない補正前データであるのか、を識別し、
    受信した前記所定の階調数の画素データが前記補正前データであれば、前記補正値によって前記補正前データを補正する、
    流体噴射装置。
  3. 請求項2に記載の流体噴射装置であって、
    ある前記画素列データに属する複数の前記画素データのうち、その前記画素列データに対応する前記補正値に基づく数の前記画素データを補正する、
    流体噴射装置。
  4. 請求項2または請求項3に記載の流体噴射装置であって、
    前記所定の階調数の画素データを補正する前記補正値は、前記高い階調数に対応する補正値である、
    流体噴射装置。
  5. 請求項4に記載の流体噴射装置であって、
    前記高い階調数に対応する補正値は複数の階調値に対して設定され、
    前記複数の階調値の中の第1の階調値に対応する補正値を、前記形成可能なドットの中の第1のドットに対応する第1補正値とし、
    前記複数の階調値の中の第2の階調値に対応する補正値を、前記形成可能なドットの中の第2のドットに対応する第2補正値とし、
    ある前記画素列データに属する複数の前記画素データの中で前記第1のドットが形成される画素データのうち、その前記画素列データに対応する前記第1補正値に基づく数の前記画素データを補正し、
    ある前記画素列データに属する複数の前記画素データの中で前記第2のドットが形成される画素データのうち、その前記画素列データに対応する前記第2補正値に基づく数の前記画素データを補正する、
    流体噴射装置。
  6. 請求項1または請求項2に記載の流体噴射装置であって、
    前記所定の階調数の所定数の前記画素データの組み合わせに応じた前記補正値を記憶し、
    前記画素列データに属する複数の前記画素データを、前記対応する方向の一方側から順に、前記所定数の前記画素データごとに、前記所定数の前記画素データの組み合わせに応じた前記補正値を決定し、
    決定した前記補正値を積算して積算値を算出し、
    前記積算値が閾値に達した時に、前記画素データを補正する、
    流体噴射装置。
  7. 請求項1から請求項6のいずれか一項に記載の流体噴射装置であって、
    前記画素列データに対応する媒体上の領域を淡く補正する場合には、補正する前記画素データに基づいて前記ノズルから噴射させる流体量を減らし、
    前記画素列データに対応する媒体上の領域を濃く補正する場合には、補正する前記画素データに基づいて前記ノズルから噴射させる流体量を増やす、
    流体噴射装置。
  8. 媒体に流体を噴射するノズルが所定方向に並ぶノズル列と媒体とを前記所定方向と交差する方向に相対移動させる流体噴射装置であって、前記流体噴射装置が形成可能なドットの種類に応じた所定の階調数の画素データに基づいて、前記ノズル列と媒体とを前記交差する方向に相対移動させながら前記ノズル列から流体を噴射する流体噴射装置において、
    前記画素データ上において前記交差する方向と対応する方向に並ぶ複数の前記画素データである画素列データごとに設定された補正値によって、前記所定の階調数の画素データを補正することを特徴とする画素データの補正方法。
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