JP2010241908A - リビングカチオン重合体の連続製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】リビングカチオン重合反応を連続的に行なうにあたり、副反応を抑制し、かつ分子量分散度を制御することで、本来の設計通りの構造を有する分散度が小さいリビングカチオン重合体を得ることができる連続製造方法を提供する。
【解決手段】重合開始剤、重合性単量体、および重合溶媒を含む溶液(A)と、触媒、および重合溶媒を含む溶液(B)とを、連続的にスタティックミキサーにより混合して、管型反応器に供給して重合を行うことによって達成される。
【選択図】なし

Description

本発明は、リビングカチオン重合反応の連続式製造方法に関する。
リビング重合とは、開始反応と成長反応からなり、停止反応や連鎖移動反応など副反応を伴わない連鎖重合のことをいい、狭義においては、重合成長末端が常に活性を保ち続けて分子鎖が成長していく重合のことを言うが、一般には、重合成長末端が不活性化されたものと活性化されたものが平衡状態にありながら分子鎖が成長していく擬リビング重合も含まれる。このようなリビング重合では、重合反応が同時に開始すれば分散度の小さい重合体が得られ、また、特定の官能基を重合体の活性末端に導入することや、2種以上のモノマーを用いることにより共重合体を合成することができる。
工業的に実施されるリビング重合として、例えば、特許文献1や特許文献2に記載のイソブチレンのリビングカチオン重合が挙げられる。これらのように、リビング重合反応の操作形式は、撹拌槽型反応器を用い、反応原料を重合槽に仕込んで回分式で行なわれる報告例が多い。
回分式の重合では、いずれの方式においても、生産性を高めるためには反応装置が大型化し、内部蛇管冷却方式、リフラックスコンデンサー方式などにより除熱面積を増大させる工夫や、モノマーの逐次追加などセミバッチ方式による重合方法が用いられてきた。しかし、この場合、除熱設備の大型化、複雑化により設備コストが高騰してしまう。設備コストを抑えようとすると内温制御が困難になり、副反応が増加し、リビング重合の特徴である分散度の小さい重合体が得られにくくなるといった問題が生じる。
一方、生産性向上を目指し、原料を連続的に反応器に供給する連続重合方式についても試みられている。例えば、特許文献3は重合開始剤およびルイス酸触媒およびイソブチレンを1基の撹拌槽型反応器に連続的に供給することによりリビングカチオン重合を行なう方法を試みている。
また、特許文献4ではシェルアンドチューブ型熱交換器を用いてイソブチレンの連続リビングカチオン重合を行なった後に、引き続き、管型反応器内で重合体末端にビニル基を導入する方法を提案している。特許文献5、6、7ではイソブチレンのリビングカチオン重合を連続的に流通式撹拌槽型反応器に供給して反応を開始させ、引き続き、流通管型反応器に連続的に供給してリビング重合を進行させている。特許文献8では管型反応器で連続式のリビングアニオン重合を行なうことを試みている。
しかしながら、連続重合を行なう際にも、いくつかの問題点が残されている。すなわち、1基の撹拌槽型反応器で連続重合を行なった結果、特許文献3では、得られた重合体の分子量分散度(重量平均分子量Mw/数平均分子量Mn)が1.4〜1.8となり、回分式重合におけるよりも分散度が大きくなっている。このような傾向は、1基の撹拌槽で連続式の反応を行なうと、反応液の滞留時間が広く分布を持つ(すなわち槽内での滞留時間が重合体分子ごとに異なる)ので、その間にリビング重合によって成長する分子鎖の長さも揃いにくくなることが影響していると考えられる。
また、連続式の重合においては副反応が問題になる場合もあり、滞留時間分布を狭くするのみでは分散度が充分に小さくならない。特許文献4では、管型反応器を用いているので反応液の滞留時間が均一であると考えられるにも関わらず、得られた重合体の分散度が3.1と大きい。特許文献5、6、7では、撹拌槽1基通過後に管型反応器を通すことで分子量分散度が1.2〜1.3と分散度の点では改善されているが、撹拌槽を用いているため、滞留時間分布への懸念が残る。さらに、スケールアップした場合の槽内混合条件の複雑化、副反応制御、除熱効率の観点で大きな課題が残る。特許文献8においては、得られたアクリル系重合体の分散度は1.3〜1.8となり、比較的分散度が大きい。
これら管型反応器を用いた場合には、反応器への原料の供給直後の混合が不充分である、あるいは重合反応熱の除熱が不充分であるなどが原因で、リビング重合の開始反応が適切に起こらずに、副反応が併発したものと推察される。
様々な重合反応のなかでもリビングカチオン重合は触媒や添加剤についても特有の工夫を施して開始反応を制御していたり、比較的低温でなければ重合活性が低下したり副反応を併発するので重合反応熱の除熱が重要となるなど、連続式を適用するのが比較的困難であったと思われる。
以上のように、リビング重合を連続的に行なう場合、滞留時間分布の広がりや副反応により、得られる重合体の分散度が大きくなるという問題がある。分散度が大きくなると重合体の粘度が増大することから、重合体の用途によっては大きな問題となり、その用途開発に支障が生じることになる。なかでも副反応の問題は重合体の分散度が大きくなるだけではなく、重合体の成長末端が制御されないことから、重合体末端への官能基の導入や、ブロック体の合成が本来の設計通りにならないという問題がある。これらは連続式の操作に特有な重要な問題である。
特開平7−292038号公報 特開平8−53514号公報 米国特許第4568732号公報 特開平6−298843号公報 特開2001−55407号公報 特開2001−55408号公報 特開2001−55415号公報 特開平11−286520号公報
本発明は、上記現状に鑑み、分子量分散度が小さい重合体を連続的に得ることができる製造方法を提供することを目的とするものである。また、本発明の目的は、反応器の内温を効果的に制御できるコンパクトな設備により実施可能な、リビングカチオン重合体の連続製造方法を提供することでもある。更に本発明の目的は、末端への官能基の導入や、ブロック体の合成が本来の設計通りにリビングカチオン重合体を得ることができる連続製造方法を提供することでもある。
本発明は、重合開始剤、重合性単量体、および重合溶媒を含む溶液(A)と、触媒、および重合溶媒を含む溶液(B)とを、連続的にスタティックミキサーにより混合して、管型反応器に供給して重合を行うことを特徴とするリビングカチオン重合体の連続製造方法に関する。
好ましくは、溶液(A)に電子供与剤を含有することを特徴とするリビングカチオン重合体の連続製造方法に関する。
好ましくは、管型反応器中において、電子供与剤が重合開始剤に対してモル比で1〜5倍量存在することを特徴とするリビングカチオン重合体の連続製造方法に関する。
好ましくは、管型反応器中において、触媒が重合開始剤に対してモル比で1〜50倍量存在することを特徴とするリビングカチオン重合体の連続製造方法に関する。
好ましくは、管型反応器中を通過する溶液の管内平均流速が0.01〜1m/sであることを特徴とするリビングカチオン重合体の連続製造方法に関する。
好ましくは、管型反応器の長さLと管直径Dの比L/Dが10以上であることを特徴とするリビングカチオン重合体の連続製造方法に関する。
好ましくは、重合性単量体が、少なくともイソブチレンを含むカチオン重合性単量体成分であり、触媒がルイス酸触媒であることを特徴とするリビングカチオン重合体の連続製造方法に関する。
好ましくは、重合開始剤が、(1−クロロ−1−メチルエチル)ベンゼン、1,4−ビス(1−クロロ−1−メチルエチル)ベンゼン、および1,3,5−トリス(1−クロロ−1−メチルエチル)ベンゼンからなる群より選択される少なくとも1種の化合物であることを特徴とするリビングカチオン重合体の連続製造方法に関する。
好ましくは、重合溶媒が、炭素数3〜8の1級および/または2級のモノハロゲン化炭化水素と、脂肪族および/または芳香族系炭化水素を組み合わせた混合溶媒であることを特徴とするリビングカチオン重合体の連続製造方法に関する。
好ましくは、重合溶媒が、n−ブチルクロライドとn−ヘキサンの混合溶媒であることを特徴とするリビングカチオン重合体の連続製造方法に関する。
好ましくは、重合温度が、−80〜−10℃であることを特徴とするリビングカチオン重合体の連続製造方法に関する。
本発明による連続製造方法によって、滞留時間を一定とする(滞留時間分布を狭くする)ことができ、かつ、副反応を制御することができるため、得られるリビング重合体の分子量分散度が重合開始後の成長過程から小さく、一定した値を維持することができる点で有効である。
本発明に使用されるリビングカチオン重合体連続製造装置の一例のフローチャートを示す略図である。
(反応装置形式)
スタティックミキサーとは、多数のミキシングエレメントからなる静止型混合器を1個以上組み込んだ管型反応器のことであり、例えば、公知のスタティックミキサー、例えばスルザー式、ケニックス式、東レ式、ノリタケカンパニー式などのものを挙げることができるが、特にミキシングエレメントを4個以上有するものが好ましく、6個から30個を有するものがより好ましいが、この限りではない。
管型反応器としては、液体の供給および排出が同時に可能な管型反応器であれば特に制限を受けるものではない。例えば、直管型、蛇管型、2重管型、シェルアンドチューブ型などを挙げることができるが、この限りではない。
管型反応器の長さと管直径は設定分子量および流速などを考慮して設計することが良い。本発明の連続製造方法において管型反応器の長さL[m]と管直径D[mm]の比L/Dは10以上であることが好ましく、100以上であることがさらに好ましい。
本発明の連続製造方法では、管型反応器から重合反応が充分に進行した反応液を連続的に取り出すことができる。あるいは、管型反応器出口または途中に重合性単量体を連続的に混合していくことで、リビング重合反応を引き続き行なうことができる。あるいは、管型反応器出口または途中に別の重合性単量体を連続的に混合していくことで、共重合体の合成反応を引き続き行なうことができる。さらには、管型反応器出口または途中に別の重合性単量体を連続的に混合していくことで、ブロック共重合体の合成反応を引き続き行なうことができる。
ブロック共重合体を得るには、例えば、上述のように連続式リビング重合を行い、管型反応器出口または途中に、第一重合性単量体成分とは異なる第二重合性単量体成分を別経路から連続的に供給し、スタティックミキサーを通過させることで二液を混合した後、引き続き管型反応器に供給してブロック共重合体を成長させることで、リビング重合を行わせることが好ましいが、この限りではない。第一管型反応器と第二スタティックミキサーは直接連結されていても良いし、1個以上の反応器を介して間接的に連結されていても良い。
取り出された反応液は水やアルコール類などで失活させた後、例えば、二相を分離し、必要により有機相を水で洗浄し、有機溶媒を留去することで重合体を得ることができる。
(重合性単量体成分)
本発明で用いる重合性単量体成分は、重合開始剤と触媒を用いることにより重合体を得ることのできるものであれば良い。ブロック共重合体を得る場合に用いる第二の重合性単量体成分は、第一の重合性単量体成分とは異なる化合物および/または組成を有するものであり、第一の重合性単量体成分から構成される重合体の活性末端に、共重合によって結合し得るものであれば良い。第一の重合性単量体成分および第二の重合性単量体成分としては、それぞれ、以下に述べる各種重合系で適用しうる重合性単量体を特に制限無く使用することができ、それら各種重合性単量体を単独で用いても良いし、二種以上を併用しても良い。
(重合体の分子量)
本発明の方法により製造される重合体の数平均分子量は特に限定されるものではないが、通常500〜300000、より好ましくは3000〜150000である。
(適用できる反応系)
本発明で適用されるリビング重合反応としては、特に限定はされないが、例示するならば、リビングアニオン重合、リビングカチオン重合、リビングラジカル重合、リビング配位重合、リビング開環重合などが挙げられる。本発明の製造方法は
特にリビングカチオン重合に有効である。以下、リビングカチオン重合についてその詳細を述べる。
(リビングカチオン重合)
リビングカチオン重合としては、例えばJ.P.Kennedy らの著書(CarbocationicPolymerization, John Wiley & Sons, 1982 )やK.Matyjaszewski らの著書(Cationic Polymerizations, Marcel Dekker, 1996 )に記載されている合成などが適用され得る。
(原料供給方式)
本発明は、リビングカチオン重合体の連続製造方法に関するものであり、重合開始剤、重合性単量体、および重合溶媒を含む溶液(A)と、触媒、および重合溶媒を含む溶液(B)とを、連続的にスタティックミキサーにより混合して、管型反応器に供給して重合を行うことを特徴とする。
重合性単量体成分を含む原料液、および、触媒を含む原料液を、それぞれ別々に耐圧撹拌装置に仕込み、スタティックミキサーに連続的に供給して両原料液を混合しリビングカチオン重合を開始させることが特徴である。カチオン重合性単量体中に予め重合開始剤を混合して原料液を供給することもできる。これにより、滞留時間を一定とする(滞留時間分布を狭くする)ことができ、かつ、副反応を制御することができる。したがって得られるリビング重合体の分子量分散度が重合開始後の成長過程から小さく(例えば1.1〜1.2)、一定した値を維持することができる。
送液方法としては、耐圧撹拌装置内に窒素を充填させ、加圧状態とすることで圧送することができる。しかしながら、送液方法として特に制限を設けるものではなく、例えば、その他の送液方法としてポンプによる供給も考えられるが、この限りではない。
送液速度は、管径、管長さ、圧力、管内滞留時間、重合体分子量、重合体粘度などを考慮し、管内平均流速として0.01〜1m/sの範囲が好ましく、0.02〜0.5m/sの範囲がさらに好ましい。
送液速度が0.01m/s以下の場合、管内平均流速が遅いため、滞留時間分布が広くなり、設計通りの重合体が得られない。また、1m/s以上の場合、管内平均流速が早いため、滞留時間分布は狭くなるが、反応が完了していない状態で管型反応器から出てくることになり、未反応の重合性単量体が多く残存するため、設計通りの重合体が得られない。あるいは、十分な長さの管型反応器を使用することで、未反応単量体の残存は回避されるが、現実的に使用可能な管長さとならない。以上のように、送液速度は、これらの点、さらには、設定分子量、管径、管長さなどを考慮し、現実的に適応できる範囲で設定する必要がある。
(使用する重合開始剤)
リビングカチオン重合の開始反応を効率的に行う方法として、3級炭素に結合した塩素原子を有する化合物やα位に芳香環を有する塩素化合物などの化合物を重合開始剤として用いるイニファー法が開発されており(米国特許4276394号)、この方法を本発明に適用することができる。イニファー法に用いる重合開始剤としてはその機能を発揮するものであれば良く、代表例としては下記の構造を有するものを示すことができる。
(X−CR12n3
(式中、Xはハロゲン原子を表す。R1およびR2は、同一または異なって、炭素数1〜20の1価の炭化水素基を表す。R3は、炭素数1〜20のn価の炭化水素基を表す。nは1〜4の整数である。)
代表的な重合開始剤としては、(1−クロロ−1−メチルエチル)ベンゼン、1,4−ビス(1−クロロ−1−メチルエチル)ベンゼン(以下p−DCC)、および1,3,5−トリス(1−クロロ−1−メチルエチル)ベンゼン(以下TCC)などが挙げられる。これらを単独あるいは混合物として使用することができる。このように芳香環を含んだ開始剤はより好ましい。p−DCCのように二官能開始剤は二官能重合体を必要とするときに選定する事が出来る。その他に一官能、TCCなどの三官能、多官能の開始剤を必要に応じて用いる事が出来る。重合開始剤とモノマーとの仕込み比に応じて、重合体の分子量を自由に設定することができる。
(使用する触媒)
リビングカチオン重合に用いる触媒はルイス酸触媒であり、その具体例としては、TiCl4、AlCl4、BCl3、ZnCl2、SnCl4、エチルアルミニウムクロライド、SnBr4などが挙げられる。ルイス酸触媒の使用量は重合開始剤に対してモル比で1〜50倍量とすることが好ましい。すなわち本発明においては、スタティックミキサーにより混合された溶液の管型反応器中において、触媒が重合開始剤に対してモル比で1〜50倍量存在することが好ましい。
(電子供与剤)
前述したイニファー法を用いる際、連鎖移動反応やプロトン開始反応などの副反応を抑制して良好な重合体を得るためには、電子供与剤を用いることが効果的である(特開平2−245004号公報、特開平1−318014号公報、特開平3−174403号公報)。
電子供与剤としては特に限定されないが、例えば、ピリジン類、アミン類、アミド類、スルホキシド類、エステル類、または、金属原子に結合した酸素原子を有する金属化合物等を挙げることができる。具体的には、ピリジン、2−メチルピリジン(ピコリンまたはα−ピコリンと略記)、トリメチルアミン、ジメチルアセトアミド(DMAcと略記)、ジメチルスルホキシド(DMSO)、酢酸エチル(EtOAc)、Ti(OiPr)4などが好適に使用される。
電子供与剤は、反応系内に、重合開始剤に対してモル比で1〜10倍量存在させるのが好ましい。電子供与剤の量が少なすぎると副反応が多くなる傾向があり、プロトン開始反応や連鎖移動反応が起こることによって分散度が大きくなる。逆に電子供与剤が多すぎると重合反応速度が著しく抑制され、カチオン重合反応に長時間を要することとなり、生産性が低下する。したがって、更に好ましい電子供与剤の量は、重合開始剤に対してモル比で1〜5倍量の範囲である。すなわち本発明においては、スタティックミキサーにより混合された溶液の管型反応器中において、電子供与剤が重合開始剤に対してモル比で1〜5倍量存在することが好ましい。
本発明では、重合開始剤、重合性単量体、および重合溶媒を含む溶液(A)と、触媒、および重合溶媒を含む溶液(B)とを、連続的にスタティックミキサーにより混合して、管型反応器に供給して重合を行うことを特徴とするが、電子供与剤は溶液(A)に含有されることが好ましい。
(重合性単量体)
カチオン重合に用いられる重合性単量体としては、炭素数3〜12のオレフィン類、共役ジエン類、ビニルエーテル類、芳香族ビニル化合物類などが挙げられる。これらの中で、炭素数3〜12のオレフィン類および共役ジエン類が好ましい。具体例としては、例えば、イソブチレン、プロピレン、1−ブテン、2−ブテン、2−メチル−1−ブテン、3−メチル−2−ブテン、ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、ヘキセン、5−エチリデンノルボルネン、ビニルシクロヘキサン、ブタジエン、イソプレン、シクロペンタジエン、メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、イソブチルビニルエーテル、スチレン、α−メチルスチレン、p−メチルスチレン、ジメチルスチレン、モノクロロスチレン、ジクロロスチレン、β−ピネン、インデン等が挙げられる。これらの中で、イソブチレン、プロピレン、1−ブテン、2−ブテン、スチレン、p−メチルスチレン、α−メチルスチレン、インデン、イソプレン、シクロペンタジエンなどが好適である。本発明の連続製造方法では、これらの重合性単量体を一種単独で用いても良いし、二種以上併用しても良い。特に、イソブチレンが好ましいが、この場合、イソブチレン以外の他のカチオン重合性単量体と組み合わせてなるカチオン重合性単量体成分であってもよい。
(反応温度)
反応温度は−100〜0℃の範囲とすることができる。比較的高い温度条件では反応速度が遅く、連鎖移動反応などの副反応が起こるので、−10℃よりも低い温度を選定することが好ましい。しかし反応温度が−100℃より低いと反応に関与する物質(原料又は重合体)が析出する場合がある。したがって、より好ましい反応温度は−80〜−10℃である。
反応温度管理としては、原料混合用の耐圧撹拌装置、スタティックミキサー、管型反応器をそれぞれ独立に、または同時に冷却することが望ましい。例えば、冷媒浴槽中に耐圧撹拌装置、スタティックミキサー、管型反応器を浸しておくことなどを挙げることができるが、この限りではない。
(重合溶媒)
本発明の方法では、重合溶媒を用いてもよく、ハロゲン化炭化水素、脂肪族炭化水素、および芳香族炭化水素からなる群から選ばれる単独溶媒またはそれらの混合溶媒を用いることができる(特開平8−53514)。ハロゲン化炭化水素としては、クロロホルム、塩化メチレン、1,1−ジクロロエタン、1,2−ジクロロエタン、n−プロピルクロライド、n−ブチルクロライド、1−クロロプロパン、1−クロロ−2−メチルプロパン、1−クロロブタン、1−クロロ−2−メチルブタン、1−クロロ−3−メチルブタン、1−クロロ−2,2−ジメチルブタン、1−クロロ−3,3−ジメチルブタン、1−クロロ−2,3−ジメチルブタン、1−クロロペンタン、1−クロロ−2−メチルペンタン、1−クロロ−3−メチルペンタン、1−クロロ−4−メチルペンタン、1−クロロヘキサン、1−クロロ−2−メチルヘキサン、1−クロロ−3−メチルヘキサン、1−クロロ−4−メチルヘキサン、1−クロロ−5−メチルヘキサン、1−クロロヘプタン、1−クロロオクタン、2−クロロプロパン、2−クロロブタン、2−クロロペンタン、2−クロロヘキサン、2−クロロヘプタン、2−クロロオクタン、クロロベンゼン等が使用でき、これらの中から選ばれる溶剤は単独であっても、二種以上の成分からなるものであっても良い。
脂肪族炭化水素としては、ブタン、ペンタン、ネオペンタン、n−ヘキサン、ヘプタン、オクタン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、エチルシクロヘキサンが好ましく、これらの中から選ばれる溶剤は単独であっても、二種以上の成分からなるものであっても良い。また、芳香族炭化水素としてはベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼンが好ましく、これらの中から選ばれる溶剤は単独であっても、二種以上の成分からなるものであっても良い。
とりわけハロゲン化炭化水素と脂肪族炭化水素の混合溶媒、ハロゲン化炭化水素と芳香族炭化水素の混合溶媒は、反応制御および溶解度の観点からより好適に使用される。
本発明においては、重合溶媒が、炭素数3〜8の1級および/または2級のモノハロゲン化炭化水素と、脂肪族および/または芳香族系炭化水素を組み合わせた混合溶媒であることが好ましい。さらにn−ブチルクロライドとn−ヘキサンの混合溶媒であることが好ましい。
例えば、n−ブチルクロライドとn−ヘキサンを混合して溶媒とする場合は、混合溶剤中のn−ブチルクロライドの含有量は特に限定されるものではないが、一般的には10〜100重量%の範囲、より好ましくは50〜100重量%の範囲とすることができる。本発明の実施形態として混合溶媒を使用する場合には、得られる重合体の溶解度、溶液の粘度や除熱の容易さを考慮し、重合体の濃度が5〜90重量%となるよう溶媒を使用するのが好適であり、生産効率および操作性の観点からは10〜70重量%となるよう使用するのが有利である。
以下、実施例により本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。
本実施例に示す重合体の各物性は以下に示す方法で測定した。
(分子量及び分子量分布)
Waters社製GPCシステム(カラム:昭和電工(株)製Shodex K−804(ポリスチレンゲル)、移動相:クロロホルム)。数平均分子量はポリスチレン換算で表記した。
(実施例1)
3L耐圧撹拌装置を二槽用意し、二槽ならびにスタティックミキサーおよび管型反応器を窒素置換した後、一方の耐圧撹拌装置には、重合溶媒(n−ブチルクロライド、n−ヘキサンを体積比にして9:1で混合)を300ml仕込み、重合開始剤としてp−DCC2.0g、電子供与体として2−メチルピリジン2.014g(混合後の重合開始剤に対するモル比=2.5)をそれぞれ重合溶媒2mlに溶解後耐圧撹拌装置に投入し、重合性単量体としてイソブチレンを800ml投入した。もう一方の耐圧撹拌装置には、重合溶媒(n−ブチルクロライド、n−ヘキサンを体積比にして9:1で混合)を1080ml仕込み、触媒としてTiCl4を23.8ml(混合後の重合開始剤に対するモル比=25)投入した。アルコール溶液をドライアイスにて冷却した冷媒浴槽中に各装置を設置し、二槽とも−70℃になるまで冷却した。スタティックミキサーと管型反応器も冷媒浴槽中に設置し、−70℃まで冷却した。耐圧撹拌装置に窒素を流し込み、それぞれを0.25MPaまで加圧し、送液は圧送にて行なった。スタティックミキサーは管径3.4mm、管長155mm、エレメント数27のノリタケカンパニー社製(型式T3−27R−1PT)を使用した。管型反応器は内径4mm、管長10m(蛇管状)を使用した。管内平均流速は0.027m/s(平均滞留時間は約6分)とした。管型反応器出口より取り出した重合体を触媒失活、水洗操作後、溶媒を除去して重合体を得た。
得られた重合体のピーク分子量(Mp)、数平均分子量(Mn)、分子量分散度(Mw/Mn)をGPC法により測定した。下記表1に結果を示す。
(実施例2)
3L耐圧撹拌装置を二槽用意し、二槽ならびにスタティックミキサーおよび管型反応器を窒素置換した後、一方の耐圧撹拌装置には、重合溶媒(n−ブチルクロライド、n−ヘキサンを体積比にして9:1で混合)を300ml仕込み、重合開始剤としてp−DCC3.0g、電子供与体として2−メチルピリジン3.021g(混合後の重合開始剤に対するモル比=2.5)をそれぞれ重合溶媒2mlに溶解後耐圧撹拌装置に投入し、重合性単量体としてイソブチレンを300ml投入した。もう一方の耐圧撹拌装置には、重合溶媒(n−ブチルクロライド、n−ヘキサンを体積比にして9:1で混合)を570ml仕込み、触媒としてTiCl4を35.7ml(混合後の重合開始剤に対するモル比=25)投入した。アルコール溶液をドライアイスにて冷却した冷媒浴槽中に各装置を設置し、二槽とも−60℃になるまで冷却した。スタティックミキサーと管型反応器も冷媒浴槽中に設置し、−60℃まで冷却した。耐圧撹拌装置に窒素を流し込み、それぞれを0.20MPaまで加圧し、送液は圧送にて行なった。スタティックミキサーは管径3.4mm、管長155mm、エレメント数27のノリタケカンパニー社製(型式T3−27R−1PT)を使用した。管型反応器は内径4mm、管長10m(蛇管状)を使用した。管内平均流速は0.27m/s(平均滞留時間は約40秒)とした。管型反応器出口より取り出した重合体を触媒失活、水洗操作後、溶媒を除去して重合体を得た。
得られた重合体のピーク分子量(Mp)、数平均分子量(Mn)、分子量分散度(Mw/Mn)をGPC法により測定した。下記表1に結果を示す。
(比較例1)
2Lセパラブルフラスコの重合容器内を窒素置換した後、注射器を用いて、重合溶媒(n−ブチルクロライド、n−ヘキサンを体積比にして9:1で混合)1110mlを加えた。アルコール溶液をドライアイスにて冷却した冷媒浴槽中に重合容器を設置し、−70℃になるまで冷却した。冷却後、重合開始剤としてp−DCCを0.65g、電子供与体として2−メチルピリジンを0.288g(重合開始剤に対するモル比=1.1)、重合性単量体としてイソブチレンを300ml加えた。最後に、触媒としてTiCl4を3.4ml(重合開始剤に対するモル比=11)添加することによって反応を開始する。重合反応は回分式にて行い、重合反応中の撹拌回転数は500rpmとした。
一定時間経過後、重合体をサンプリングし、重合体のピーク分子量(Mp)、数平均分子量(Mn)、分子量分散度(Mw/Mn)をGPC法により測定した。下記表1に結果を示す。
Figure 2010241908
上記実施例1および2、比較例1より明らかなように、従来法(回分式)では1.2以上であるのに対し、本製造方法(連続式)では分子量分散度が1.2未満である点で優れている。また、実施例1、比較例1より明らかなように、従来法では1200秒必要であった反応時間が、本製造方法では300秒で同等の重合体が得られ、かつその後も安定して生産できている点で優れている。
さらに、実施例2に示した通り、本製造方法では重合開始直後(60秒)でも分子量分散度1.1であるのに対し、比較例1では2.0であり、本製造方法では重合開始直後から反応を制御できる点でも優れている。
1.窒素供給ライン
2.原料混合用耐圧撹拌装置(重合溶媒、重合開始剤、重合性単量体、電子供与剤)
3.触媒混合用耐圧撹拌装置(重合溶媒、触媒)
4.原料供給ライン
5.触媒供給ライン
6.スタティックミキサー
7.管型反応器

Claims (11)

  1. 重合開始剤、重合性単量体、および重合溶媒を含む溶液(A)と、触媒、および重合溶媒を含む溶液(B)とを、連続的にスタティックミキサーにより混合して、管型反応器に供給して重合を行うことを特徴とするリビングカチオン重合体の連続製造方法。
  2. 溶液(A)に電子供与剤を含有することを特徴とする請求項1に記載のリビングカチオン重合体の連続製造方法。
  3. 管型反応器中において、電子供与剤が重合開始剤に対してモル比で1〜5倍量存在することを特徴とする請求項2に記載のリビングカチオン重合体の連続製造方法。
  4. 管型反応器中において、触媒が重合開始剤に対してモル比で1〜50倍量存在することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のリビングカチオン重合体の連続製造方法。
  5. 管型反応器中を通過する溶液の管内平均流速が0.01〜1m/sであることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のリビングカチオン重合体の連続製造方法。
  6. 管型反応器の長さLと管直径Dの比L/Dが10以上であることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載のリビングカチオン重合体の連続製造方法。
  7. 重合性単量体が、少なくともイソブチレンを含むカチオン重合性単量体成分であり、触媒がルイス酸触媒であることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載のリビングカチオン重合体の連続製造方法。
  8. 重合開始剤が、(1−クロロ−1−メチルエチル)ベンゼン、1,4−ビス(1−クロロ−1−メチルエチル)ベンゼン、および1,3,5−トリス(1−クロロ−1−メチルエチル)ベンゼンからなる群より選択される少なくとも1種の化合物であることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載のリビングカチオン重合体の連続製造方法。
  9. 重合溶媒が、炭素数3〜8の1級および/または2級のモノハロゲン化炭化水素と、脂肪族および/または芳香族系炭化水素を組み合わせた混合溶媒であることを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載のリビングカチオン重合体の連続製造方法。
  10. 重合溶媒が、n−ブチルクロライドとn−ヘキサンの混合溶媒であることを特徴とする請求項1〜9のいずれかに記載のリビングカチオン重合体の連続製造方法。
  11. 重合温度が、−80〜−10℃であることを特徴とする請求項1〜10のいずれかに記載のリビングカチオン重合体の連続製造方法。
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