JP2010247227A - 厚鋼板の製造設備及び製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】加熱炉2から抽出されたスラブは、熱間圧延機3を複数回通板し所定板厚の厚鋼板1に圧延され、熱間圧延機3、デスケーリング装置4、形状矯正装置5及び冷却装置6をこの順序で搬送方向上流側から配置し、デスケーリング装置が厚鋼板1の表面に向けて噴射する冷却水の衝突圧力P[MPa]を1.8以上とした。
【選択図】図1
Description
そこで、特許文献1では、仕上げ圧延の最終パスの直前および直後の少なくとも一方でデスケーリングを行い、続いて熱間矯正を行い、その後にデスケーリングを行い、強制冷却を開始する方法が開示されている。
また、特許文献2では、仕上げ圧延、熱間矯正を行い、制御冷却の直前にデスケーリングを行い、制御冷却を行う方法が開示されている。
さらに、上記特許文献1,2の方法によると、熱間矯正までに2次スケールが少なからず生成してしまい、熱間矯正によるスケール押込みでスケールが発生し、表面性状不良となってしまう。加えて、スケール疵が発生した部分は他の部分と表面性状が異なるため、制御冷却時に均一な冷却を行なえないという問題点もある。
本願発明者等は、高圧水によりスケール剥離を起こす力について鋭意検討したところ、図5に示すように、デスケーリング装置から厚鋼板に噴射する冷却水の衝突圧力P[MPa]が1.8以上であれば、製品のスケール厚みが減少し、均一化することを明らかにした。高衝突圧のデスケーリングにより一旦スケールが均一に完全剥離し、その後、スケールが薄く均一に再生成したためである。したがって、この発明によると、冷却装置を通過する前の厚鋼板のスケール厚みが薄く均一になるので、冷却装置を通過するときに、厚鋼板の幅方向位置の表面温度のバラツキが殆ど無く均一に冷却することができ、鋼板形状、機械特性に優れた厚鋼板となる。
また、本発明に係る厚鋼板の製造設備は、前記デスケーリング装置から前記冷却装置までの距離Lが12m以下となるように各装置を配置することが好ましい。この発明によると、冷却装置による厚鋼板の冷却が非常に安定する。
この発明によると、冷却水噴射ノズルから給水口を介して供給された冷却水が、厚鋼板の上面を冷却して高温の排水となって排水口から隔壁の上方に流れていき、冷却後の排水が厚鋼板から速やかに排除されるようになっているので、冷却装置の十分且つ幅方向均一な冷却能力を得ることができる。
この発明によると、冷却工程を行なう前の厚鋼板のスケール厚みが薄く均一になるので、冷却工程を行なう際に、厚鋼板の幅方向位置の表面温度のバラツキが殆ど無く均一に冷却することができ、鋼板形状、機械特性に優れた厚鋼板を製造することができる。
さらに、本発明に係る厚鋼板の製造方法は、冷却前の厚鋼板温度をT[K]とすると、前記デスケーリング工程の完了から前記冷却工程の開始までの時間t[s]は、t ≦ 5×10−9 × exp(25000/T)の式を満たしていることが好ましい。この発明によると、冷却工程による厚鋼板の冷却を安定させることが可能となる。
本実施形態に係る熱間圧延設備は、図1に示すように、厚鋼板1の搬送方向上流側から順に、加熱炉2、熱間圧延機3、デスケーリング装置4、第1の形状矯正装置5、冷却装置6、第2の形状矯正装置7が設置されている。
加熱炉2から抽出されたスラブは、熱間圧延機3を複数回通板することで所定板厚の厚鋼板1に圧延され、熱間圧延成形された厚鋼板1はテーブルローラ(不図示)上を上流側から下流側に向けて搬送され、デスケーリング装置4で表面処理される。熱間圧延機3は1機のみ図示しているが、粗圧延機、仕上圧延機で構成してもよい。
冷却装置6は、熱間圧延後の高温の厚鋼板1を所定の温度条件で制御冷却することにより、厚鋼板1の組織を制御し、所望の材質を得るための装置である。所望の冷却条件が得られるものであれば、どのような冷却装置を用いてもよいが、厚鋼板1の上下面、長手方向及び幅方向に均一な冷却を行なうことができる冷却装置が好ましい。そこで、本実施形態では、図2に示す、冷却能力が高く、特に幅方向の冷却均一性に優れた冷却装置6を用いる。
ここで、仮に隔壁12がない場合、厚鋼板1の上面に供給された冷却水は、厚鋼板1の上面を幅方向に流れて排水されることとなるため、特に板幅端部付近において、この排水の流れが、上部冷却水噴射ノズル11からの冷却水が厚鋼板1の上面に達するのを阻害し、板幅端部付近の冷却能力が低下し、幅方向に均一な冷却を行なうことができない。それ故、厚鋼板1の幅方向の温度分布は、中央部が低く、板端部が高い凹型となる。これに対し、本実施形態の冷却装置6は、冷却後の排水が厚鋼板1の上面から隔壁12の上方へ速やかに排除されるようになっているので、上部冷却水噴射ノズル11から噴出される冷却水が順次厚鋼板1に接触して十分な冷却能力が得られる。
即ち、ノズル内径は3〜8mmが好適である。3mmより小さいとノズルから噴射する水の束が細くなり勢いが弱くなる。一方ノズル径が8mmを超えると流速が遅くなり、滞留水膜を貫通する力が弱くなるからである。
ここで、本実施形態は、デスケーリング装置4の噴射ノズルから厚鋼板1の表面に噴射する高圧水の衝突圧力P[MPa]を1.8以上に設定し、このデスケーリング装置4で厚鋼板1の表面に発生したスケールを除去し、次いで、第1の矯正装置5で厚鋼板1に発生した歪の形状矯正をし、次いで、冷却装置6で厚鋼板1の冷却を行なうことにより、厚鋼板1の鋼板形状及び機械特性を向上させることができる。
衝突圧力Pは、例えば、実験的に求められた次の(1)式が知られており、この(1)式で計算される衝突圧力Pcを、SI単位系のMPaに変換した値である。
Pc = 0.05757 × (Q/A)1.08 × Ps0.473 ……(1)
ただし、Pc:衝突圧力[kgf/cm2]、Q:噴射流量[L/min]、A:噴射面積[cm2]、Ps:噴射圧力[kgf/cm2]である。
A = B×T =(2Htan(θ/2))×(0.051 H0.78×Q0.09×Ps−0.045) ……(2)
ただし、B:スプレーの噴射幅[cm]、T:スプレーの噴射厚み[cm]、H:噴射距離(デスケーリング装置4の噴射ノズルと厚鋼板1表面との距離)[cm]、θ:ノズル噴射角(ノズルから噴射されるデスケーリング水の拡がりの角度)[°]である。
(1)式に(2)式を代入すると、近似式として、
Pc = 0.6775×Q×H-2 (tan(θ/2))-1.08 ×Ps0.5 ……(3)
が得られる。
なお、衝突圧力Pを求める式の形はこれに限るものではなく、実際に噴射実験を行い、圧力センサーによって測定した着水位置での圧力値を回帰した式などを用いればよい。
H =((0.6775× Q ×(tan(θ/2))-1.08× Ps0.5)/Pc)0.5…(4)
ただし、Pc:衝突圧力[kgf/cm2]、Q:噴射流量[L/min]、Ps:噴射圧力[kgf/cm2]、θ:ノズル噴射角[°]である。
これにより、厚鋼板1の表面に噴射する衝突圧力P[MPa]を1.8以上とするためには、噴射距離Hを、(4)式でPc=1.8/9.8×100=18.4[kgf/cm2]を代入して求められるHの値以下とすればよい。
ξ2 = a × exp(−Q/RT) × t ……(5)
ただし、ξ:スケール厚み、a:定数、Q:活性化エネルギー、R:定数、t:時間である。
t ≦ 5×10−9 × exp(25000/T) ……(6)
ただし、T:冷却前の厚鋼板温度[K]である。
t ≦ 2.2 ×10−9 × exp(25000/T) ……(7)
さらに、デスケーリング装置4による厚鋼板1のスケールを除去終了後から、冷却装置6で厚鋼板1の冷却を開始するまでの時間t[s]が、次の(8)式を満たす場合に、冷却装置6による冷却が非常に安定することが明らかとなった。
t ≦ 5.6 ×10−10 × exp(25000/T) ……(8)
L ≦ V × t …(9)
そして、上記(9)式は、上記(6)式から、次の(10)式を満足することが好ましい。
L ≦ V × 5×10−9 × exp(25000/T) ……(10)
L ≦ V × 2.2×10−9× exp(25000/T) ……(11)
さらに、上記(9)式は、上記(8)式から、次の(12)式を満足することがさらに好ましい。
L ≦ V ×5.6×10−10× exp(25000/T) ……(12)
これより、デスケーリング装置4から冷却装置6までの距離Lを12m以下とすると、厚鋼板1の搬送速度Vが遅い(例えばV=0.28m/s)場合でも冷却は安定し、逆に、厚鋼板1の搬送速度Vが早い(例えばV=2.50m/s)場合には冷却が非常に安定するので、好ましい。なお、より好ましいのは、デスケーリング装置4から冷却装置6までの距離Lが5m以下である。
また、デスケーリング装置4の噴射ノズルから厚鋼板1の表面に噴射する衝突圧力P[MPa]を1.8以上に設定することで厚鋼板1に発生しているスケールの均一化を図り、冷却装置6で均一な冷却を図ることにより、形状及び機械特性に優れた厚鋼板1を製造することができる。
また、デスケーリング装置4による厚鋼板1のスケールを除去終了後から冷却装置6で厚鋼板1の冷却を開始するまでの時間t[s]を、t ≦ 5×10−9 × exp(25000/T)を満たすようにすると、冷却装置6による厚鋼板1の冷却を安定させることができる。
冷却設備6は、図2に示すように鋼板上面に供給した冷却水を隔壁の上方に流し、さらに図4に示すように鋼板幅方向側方から排水できるような流路を設けた設備とした。隔壁には、直径12mmの孔を碁盤の目のようにあけ、図3に示すように、千鳥格子状に配列した給水口に上部冷却水噴射ノズルを内挿し、残りの孔を排水口として用いた。上ヘッダ下面と隔壁上面の距離は100mmとした。
なお、下面冷却設備については、図2に示すような、隔壁を備えないこと以外は上面冷却設備と同様の冷却設備を用い、棒状冷却水の噴射速度および水量密度を上面の1.5倍とした。
特に、デスケーリング装置4から冷却装置6までの距離を11mとした本発明例1〜3は、デスケーリング装置4による厚鋼板1のスケールを除去終了後から、冷却装置6で厚鋼板1の冷却を開始するまでの時間tが、鋼板の搬送速度Vによらず、前述した(6)式から冷却装置6による冷却が安定する条件である42S以下であり、再矯正率が10%以下と良好であった。
また、デスケーリング装置4による設定条件を、水圧10MPa、ノズル1本あたりの噴射流量が10L/min/本、厚鋼板1とノズルの距離が180mm、ノズル噴射角度が37°、ノズル迎え角が15°とし、衝突圧力を0.09MPaの比較例2は、スケールが部分剥離することで鋼板幅方向の温度分布が悪化し、再矯正率が70%となった。
Claims (6)
- 熱間圧延機、デスケーリング装置、形状矯正装置及び冷却装置をこの順序で搬送方向上流側から配置し、前記デスケーリング装置が厚鋼板の表面に向けて噴射する冷却水の衝突圧力P[MPa]を1.8以上としたことを特徴とする厚鋼板の製造設備。
- 前記デスケーリング装置から前記冷却装置までの搬送速度をV[m/s]、冷却前の厚鋼板温度をT[K]とすると、前記デスケーリング装置から前記冷却装置までの距離L[m]は、L ≦ V×5×10−9 × exp(25000/T)の式を満たしていることを特徴とする請求項1記載の厚鋼板の製造設備。
- 前記デスケーリング装置から前記冷却装置までの距離Lが12m以下となるように各装置を配置したことを特徴とする請求項1に記載の厚鋼板の製造設備。
- 前記冷却装置が、前記厚鋼板の上面に冷却水を供給するヘッダと、該ヘッダから懸垂した棒状冷却水を噴射する冷却水噴射ノズルと、前記厚鋼板と前記ヘッダとの間に設置される隔壁とを備えるとともに、前記隔壁には、前記冷却水噴射ノズルの下端部を内挿する給水口と、前記厚鋼板の上面に供給された冷却水を前記隔壁上へ排水する排水口とが、多数設けられていることを特徴とする請求項1乃至3の何れか1項記載の厚鋼板の製造設備。
- 熱間圧延工程、熱間矯正工程及び冷却工程の順番で厚鋼板を製造する方法において、前記熱間圧延工程及び前記熱間矯正工程の間に、厚鋼板の表面に衝突圧力1.8MPa以上の冷却水を噴射するデスケーリング工程を行なうことを特徴とする厚鋼板の製造方法。
- 冷却前の厚鋼板温度をT[K]とすると、前記デスケーリング工程の完了から前記冷却工程の開始までの時間t[s]は、t ≦ 5×10−9 × exp(25000/T)の式を満たしていることを特徴とする請求項5記載の厚鋼板の製造方法。
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