JP2010257567A - 垂直磁気記録媒体およびその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 非磁性層と軟磁性層の境界面の粗さを低減することで結晶配向性を向上し、かつ非磁性層と下地層の原子間隔のマッチングを向上させることにより、SNRを向上し、ひいては更なる高記録密度化の達成が可能な垂直磁気記録媒体を提供することを目的とする。
【解決手段】 本発明にかかる垂直磁気記録媒体の構成は、基体上に、磁気記録層と、磁気記録層より下に設けられRuまたはRu化合物からなる下地層と、下地層の下に設けられ非磁性材料からなり下地層の結晶配向性を制御するための非磁性層と、軟磁性層とを備える垂直磁気記録媒体において、非磁性層は、軟磁性層の上に設けられる第1非磁性層116aと、第1非磁性層の上に設けられる第2非磁性層116bとから構成され、第1非磁性層は非晶質のNi化合物からなり、第2非磁性層は結晶質のNiまたはNi化合物からなることを特徴とする。
【選択図】図1

Description

本発明は、垂直磁気記録方式のHDD(ハードディスクドライブ)などに搭載される垂直磁気記録媒体およびその製造方法に関するものである。
近年の情報処理の大容量化に伴い、各種の情報記録技術が開発されている。特に磁気記録技術を用いたHDDの面記録密度は年率100%程度の割合で増加し続けている。最近では、HDD等に用いられる2.5インチ径の磁気記録媒体にして、1枚あたり200GBを超える情報記録容量が求められるようになってきており、このような要請にこたえるためには1平方インチあたり400GBを超える情報記録密度を実現することが求められる。
HDD等に用いられる磁気記録媒体において高記録密度を達成するために、近年、垂直磁気記録方式が提案されている。垂直磁気記録方式に用いられる垂直磁気記録媒体は、磁気記録層の磁化容易軸が基板面に対して垂直方向に配向するよう調整されている。垂直磁気記録方式は従来の面内記録方式に比べて、超常磁性現象により記録信号の熱的安定性が損なわれ、記録信号が消失してしまう、いわゆる熱揺らぎ現象を抑制することができるので、高記録密度化に対して好適である。
垂直磁気記録方式に用いる磁気記録媒体としては、高い熱安定性と良好な記録特性を示すことから、CoCrPt−SiO垂直磁気記録媒体(非特許文献1参照)が提案されている。これは磁気記録層において、Coのhcp構造(六方最密結晶格子)の結晶が柱状に連続して成長した磁性粒子の間に、SiOが偏析した非磁性の粒界部を形成したグラニュラ構造を構成し、磁性粒子の微細化と保磁力Hcの向上をあわせて図るものである。非磁性の粒界(磁性粒子間の非磁性部分)には酸化物を用いることが知られており、例えばSiO、Cr、TiO、TiO、Taのいずれか1つを用いることが提案されている(特許文献1)。
ところで、高記録密度化のために重要な要素としては、上記の保磁力Hcや逆磁区核形成磁界Hnなどの静磁気特性の向上と、オーバーライト特性(OW特性)やSNR(Signal Noise Ratio)、トラック幅の狭小化などの電磁変換特性の向上がある。その中でも保磁力Hcの向上とSNRの向上は、面積の小さな記録ビットにおいても正確に且つ高速に読み書きするために重要である。
SNRの向上は、主に磁気記録層の磁化遷移領域ノイズの低減により行われる。ノイズ低減のために有効な要素としては、磁気記録層の結晶配向性の向上、磁性粒子の粒径の微細化、および磁性粒子の孤立化が挙げられる。これらのうち、特に磁気記録層の結晶配向性を向上するために、垂直磁気記録媒体には下地層が設けられる。これにより、下地層の結晶粒子の上に磁気記録層の結晶粒子が成長するため、磁気記録層の結晶配向性を向上することができる。したがって、下地層の結晶配向性が磁気記録層の結晶配向性に影響を及ぼすため、下地層の下に結晶性のシード層(非磁性層)を設け、下地層の結晶配向性を向上している。
シード層(非磁性層)は、従来は単層で構成されるのが主流であったが、近年では2層で構成されるシード層を有する垂直磁気記録媒体も開発されている(特許文献2)。特許文献2では、シード層を、Crを含む非晶質合金とNiを主成分とする結晶質合金とから構成することにより、良好なSNRを確保しつつ、耐食性に優れた垂直磁気記録媒体が得られるとしている。
特開2006−024346号公報 特開2007−184019号公報
T. Oikawa et. al.、 IEEE Trans. Magn、 vol.38、 1976-1978(2002)
上記の如く高記録密度化している磁気記録媒体であるが、今後記録密度の更なる向上が要請されている。このため、磁気記録媒体の更なる高記録密度化の達成には、SNRを更に向上させることが可能な新たな手法を確立する必要があった。
したがって、SNRを更に向上させるために発明者らが検討したところ、非磁性層とこれより上に成膜される複数の層における各境界面の状態が課題として挙げられた。すなわち、各境界面が粗くなると磁気記録層の結晶性が乱れ、各境界面の粗さを低減すればSNRが向上すると考えられた。
そして、磁気記録媒体の各境界面を精査したところ、境界面が粗くなり始めるのは、非磁性層とその直下に存在する軟磁性層との境界面であった。このことから、かかる境界面が粗い(粗さが大きい)ため、これらの上に成膜される層がその状態(粗い状態)を継承して成長し、非磁性層より上に成膜される複数の層の各境界面が粗くなっていると考えられた。
そこで非磁性層を複数層にすることにより、境界面の粗さを低減することが考えられる。ただし上記したように、非磁性層の役割としては、Ruからなる下地層の結晶配向性を向上させることが主である。特許文献2に記載の垂直磁気記録媒体でも複数の非磁性層(シード層)が形成されているが、耐食性を目的として異なる材料で構成されているため、各非磁性層における結晶の原子間隔に差が生じ、結晶粒子の連続的な成長が阻害されてしまう。したがって、かかる技術を用いて下地層の結晶配向性の更なる向上、ひいてはSNRの飛躍的な向上の達成は困難である。換言すれば、非磁性層を単に複数の層にすればよいわけではなく、確かな目的の下に所定の条件の層とする必要がある。
本発明は、このような課題に鑑み、非磁性層と軟磁性層の境界面の粗さを低減することで結晶配向性を向上させ、かつ非磁性層と下地層の原子間隔のマッチングを向上させることにより、SNRを向上させ、ひいては更なる高記録密度化の達成が可能な垂直磁気記録媒体およびその製造方法を提供することを目的とする。
上記課題を解決するために発明者は鋭意検討し、非磁性層を構成する材料に着目した。そして、研究を重ねた結果、非磁性層に結晶質材料、特に結晶質のNi化合物を用いると、非磁性層と軟磁性層との境界面が粗くなる傾向があることがわかった。そこで、発明者は、結晶質のNi化合物以外の材料を用いて非磁性層を構成することも検討した。しかし、結晶質のNi化合物は軟磁性層からのコロージョンの析出防止および磁気特性の確保のために用いられており、かかる性能を維持するためには非磁性層にそれを用いざるを得なかった。
そこで、更に研究を重ね、非磁性層とその下の軟磁性層との間に所定条件の層を介在させることにより、結晶質のNi化合物からなる非磁性層を用いつつ、かかる非磁性層による軟磁性層への悪影響を排除し、上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに到った。
すなわち、上記課題を解決するために本発明にかかる垂直磁気記録媒体の代表的な構成は、基体上に、信号を記録する磁気記録層と、磁気記録層より下に設けられRuまたはRu化合物からなる下地層と、下地層の下に設けられ非磁性材料からなり下地層の結晶配向性を制御するための非磁性層と、非磁性層より下に設けられる軟磁性層とを備える垂直磁気記録媒体において、非磁性層は、軟磁性層の上に設けられる第1非磁性層と、第1非磁性層の上に設けられる第2非磁性層とから構成され、第1非磁性層は非晶質のNi化合物からなり、第2非磁性層は結晶質のNiまたはNi化合物からなることを特徴とする。
上記構成によれば、第2非磁性層、すなわち従来の結晶質の非磁性層と軟磁性層の間に非晶質のNi化合物からなる第1非磁性層が介在する。これにより、軟磁性層を第1非磁性層により防護し、結晶質の非磁性層(第2非磁性層)による軟磁性層への悪影響を排除することができ、軟磁性層の表面粗さを低減することが可能となる。したがって、軟磁性層とこの上に成膜される層における各境界面の粗さが改善され、これらの層の結晶配向性を向上することが可能となる。その結果、SNRの向上、ひいては更なる高記録密度化の達成を図ることができる。
また第1非磁性層をNi化合物、第2非磁性層とNiまたはNi化合物から構成したことで、第1非磁性層および第2非磁性層はともにNiを含むこととなる。したがって、第1非磁性層の原子間隔と、第2非磁性層の原子間隔を近似させることができる。これにより、第2非磁性層の結晶性が向上し、下地層の結晶性および結晶配向性も向上するため、さらなるSNRの向上を図ることができる。
上記の第1非磁性層は、Ta、Ti、Hf、Re、Os、Ir、Mo、Nb、Zr、Vの群から選択される1または複数の元素、もしくは元素の化合物を、40at%〜60at%含むとよい。これらの元素を含有させることで、第1非磁性層のNi化合物を好適に非晶質化することが可能となる。
また第1非磁性層に上記の元素またはその化合物を40at%〜60at%含ませることで、第1非磁性層のNi化合物を確実に非晶質化することが可能となる。なお含有量が40at%未満であると、Ni化合物が十分に非晶質化されないため好ましくない。また含有量が60at%を超えると、第1非磁性層上に成膜される第2非磁性層の結晶粒子の成長の礎となるNiの量が不足するため好ましくない。
上記の第2非磁性層は、W、Cr、Mo、Re、Al、Cu、Mnの群から選択される1または複数の元素、もしくは、元素の化合物を、3at%〜8at%含むとよい。これらの元素を含有させることで、第2非磁性層のNi化合物を好適に結晶化することが可能となる。特に、WはNiよりも原子間隔が大きく、Ruの原子間隔に近い。このため、第2非磁性層にWを含ませることにより、Ni化合物の原子間隔を、Ruからなる下地層の原子間隔に近づけることができ、第2非磁性層から下地層における連続的な結晶粒子の成長を促進することができる。
また第2非磁性層に上記の元素またはその化合物を3at%〜8at%含ませることで、第2非磁性層を構成するNi化合物を確実に結晶化させることができ、耐コロージョン特性および磁気特性を確保することが可能となる。なお含有量が3at%未満であると、Ni化合物が強磁性を有してしまうため好ましくない。また含有量が8at%を超えると、Niの配向が悪化してしまうため好ましくない。
本発明にかかる垂直磁気記録媒体の他の代表的な構成は、基体上に、信号を記録する磁気記録層と、磁気記録層より下に設けられRuまたはRu化合物からなる下地層と、下地層の結晶配向性を制御するための非磁性層と、非磁性層より下に設けられる軟磁性層とを備える垂直磁気記録媒体において、非磁性層は、軟磁性層の上に設けられ、非晶質材料からなる第1非磁性層と、第1非磁性層の上に設けられ、fcc構造を有する結晶質材料からなる第2非磁性層とから構成され、磁気記録層は、柱状に成長して磁性の結晶粒子を形成するCo系合金と、結晶粒子の間に非磁性の粒界部を形成する複数の酸化物とからなることを特徴とする。
上記構成では、結晶質材料からなる第2非磁性層、すなわち従来の非磁性層と軟磁性層との間に、非晶質材料からなる第1非磁性層が介在する。非晶質材料は結晶質材料よりも高い硬度を有する。このため、硬い皮膜である第1非磁性層を用いて第2非磁性層(従来の非磁性層)成膜時の衝撃から軟磁性層を好適に防護し、かかる軟磁性層への悪影響を排除することができる。これにより、軟磁性層の表面粗さを低減することが可能となる。したがって、非磁性層と軟磁性層の境界面の粗さが低減され、軟磁性層とこの上に成膜される層における各境界面の粗さが改善されるため、これらの層の結晶配向性を向上させることができ、SNRの向上が図れる。そして、結晶質材料からなる第2非磁性層により、軟磁性層からのコロージョンの析出を抑制し、且つ良好な磁気特性を確保することが可能となる。また第2非磁性層がfcc構造を有する結晶質材料からなることで、第2非磁性層のfcc構造の(111)面上に、下地層のhcp構造の結晶粒子が成長するため、下地層の磁化容易軸を垂直方向に配向させることができる。したがって、ノイズが低減され、SNRを更に向上させることが可能となる。
また磁気記録層の粒界部を複数の酸化物から形成することで複数の酸化物の特性を得ることができるため、磁気記録層の結晶粒子(磁性粒子)の微細化および孤立化が、粒界部を1種類の酸化物から構成する場合よりも促進される。これにより、上述した第1非磁性層を介在させることによる結晶配向性の向上に伴う、磁気記録層の結晶粒子の粗大化が抑制されるため、結晶配向性が著しく向上しても、SNRの低下が生じることがない。したがって、SNRの飛躍的な向上を図ることができ、垂直磁気記録媒体の更なる高記録密度化を達成することが可能となる。
上記の第1非磁性層は、Ni、Fe、Co、Cu、Zn、Pd、Ptの群から選択される1または複数の元素、もしくは元素の化合物と、Ta、Ti、Hf、Re、Os、Ir、Mo、Nb、Zr、Vの群から選択される1または複数の元素、もしくは元素の化合物と、を含むとよい。
上記構成のように、第1非磁性層に、Ni、Fe、Co、Cu、Zn、Pd、Ptの群から選択される1または複数の元素、もしくはその化合物を含むことで、かかる第1非磁性層は軟磁性層をより好適に防護することができ、軟磁性層の表面粗さがより低減される。また第1非磁性層に、Ta、Ti、Hf、Re、Os、Ir、Mo、Nb、Zr、Vの群から選択される1または複数の元素、もしくはその化合物を含むことで、第1非磁性層を好適に非晶質化することが可能となる。
上記の第2非磁性層は、Ni、Co、Cu、Cr、Y、Agの群から選択される1または複数の元素、もしくは元素の化合物と、W、Cr、Mo、Re、Al、Cu、Mnの群から選択される1または複数の元素、もしくは元素の化合物と、を含むとよい。
上記構成のように、第2非磁性層に、Ni、Co、Cu、Cr、Y、Agの群から選択される1または複数の元素、もしくはその化合物を含むことで、第2非磁性層の耐コロージョン特性および磁気特性をより向上させることが可能となる。また第2非磁性層に、W、Cr、Mo、Re、Al、Cu、Mnの群から選択される1または複数の元素、もしくはその化合物を含むことで、第2非磁性層を、非磁性化し且つ好適に結晶化することが可能となる。特に、Wは、原子間隔がNiよりも大きく、Ruの原子間隔に近い。このため、第2非磁性層にNiを用いる場合にWを更に含ませることにより、Ni化合物の原子間隔を、Ruからなる下地層の原子間隔に近づけることができ、第2非磁性層から下地層における連続的な結晶粒子の成長を促進することができる。
上記の酸化物は、Si、Ti、Cr、Co、Ta、Ru、Cuの群から選択される元素の酸化物であるとよい。これにより、磁気記録層の結晶粒子の微細化および孤立化をより促進することが可能となる。特に、Siの酸化物であるSiOは磁性粒子の微細化および孤立化を最も促進することができ、Tiの酸化物であるTiOは電磁変換特性(特にSNR)を向上させる特性がある。
本発明にかかる垂直磁気記録媒体の製造方法の代表的な構成は、基体上に軟磁性層を成膜し、軟磁性層上に、基体にバイアス電圧を印加せずに非晶質のNi化合物からなる第1非磁性層を成膜し、第1非磁性層上に、基体にバイアス電圧を印加しながら結晶質のNi化合物からなる第2非磁性層を成膜し、第2非磁性層上に、RuまたはRu化合物からなる下地層を成膜し、下地層より上に、信号を記録する磁気記録層を成膜することを特徴とする。
上記構成によれば、軟磁性層と、第2非磁性層、すなわち基体にバイアス電圧を印加しながら成膜される従来の非磁性層との間に、第1非磁性層が介在することとなる。かかる第1非磁性層は、基体にバイアス電圧を印加せずに成膜するので、第1非磁性層成膜時に軟磁性層が損傷を受けることがなく、軟磁性層の表面粗さの増大を回避することができる。このため、軟磁性層と第1非磁性層との境界面の粗さが増大することがない。そして、軟磁性層上に成膜された第1非磁性層上に従来の非磁性層である第2非磁性層を成膜することにより、軟磁性層は第1非磁性層により防護されるため、第2非磁性層成膜時に基体にバイアス電圧を印加しても、軟磁性層の表面粗さの増大を招くことがない。また第2非磁性層を基体にバイアス電圧を印加しながら成膜できることで、軟磁性層からのコロージョンの析出を抑制し、且つ高い磁気特性を確保することができる。したがって、バイアス電圧を印加しながら非磁性層(第2非磁性層)を成膜しつつ、これによる軟磁性層への悪影響を排除し、結晶配向性の向上、ひいてはSNRの向上を図り、更なる高記録密度化の達成が可能となる。
また上記構成では、第1非磁性層を非晶質のNi化合物により構成する。非晶質材料は結晶質材料よりも高い硬度を有する。したがって、非晶質材料からなる硬い皮膜(第1非磁性層)により、従来の非磁性層(第2非磁性層)成膜時の衝撃から軟磁性層をより好適に防護することが可能となる。また第1非磁性層の硬度が高いことから、第2非磁性層成膜時に基体にバイアス電圧を印加しても、第1非磁性層と第2非磁性層の境界面の粗さの増大を招くことがない。これにより、結晶性である非磁性層とその直下の層の境界面の粗さが低減されるため、非磁性層(初期成長層)の結晶配向性が向上し、下地層、磁気記録層の結晶配向性が向上する。また非晶質材料の粒子は結晶構造を有さないため、非晶質材料からなる層は軟磁性層上に不規則に成膜する。したがって、非晶質の第1非磁性層により、微結晶により生じた軟磁性層の表面の微細な凹凸を平滑化し、軟磁性層の表面粗さ、ひいては軟磁性層上に成膜される層の界面粗さ(界面ラフネス)を低減することが可能となる。
更に、上記構成のように、第1非磁性層および第2非磁性層が共にNiを含有することにより、第1非磁性層の結晶の原子間隔と、第2非磁性層の結晶の原子間隔を近似させることができる。したがって、第2非磁性層の結晶性が向上し、下地層の結晶性および結晶配向性も向上するため、さらなるSNRの向上を図ることができる。
上記の第1非磁性層は、Niと、Ta、Ti、Hf、Re、Os、Ir、Mo、Nb、Zr、Vの群から選択される1または複数の元素の化合物からなるとよい。これにより、第1非磁性層を好適に非晶質化することが可能となる。
上記の第2非磁性層は、Niと、W、Cr、Mo、Re、Al、Cu、Mnの群から選択される1または複数の元素の化合物からなるとよい。これにより、第2非磁性層を、非磁性化し且つ好適に結晶化することが可能となる。特に、Wは、原子間隔がNiよりも大きく、Ruの原子間隔に近い。このため、第2非磁性層にNiを用いる場合にWを更に含ませることにより、Ni化合物の原子間隔を、Ruからなる下地層の原子間隔に近づけることができ、第2非磁性層から下地層における連続的な結晶粒子の成長を促進することができる。
本発明の他の代表的な構成は、基体上に、信号を記録する磁気記録層と、磁気記録層より下に設けられRuまたはRu化合物からなる下地層と、下地層の下に設けられ非磁性の結晶質材料からなり下地層の結晶配向性を制御するための第2非磁性層と、第2非磁性層より下に設けられ非晶質材料からなる第1非磁性層と、第1非磁性層より下に設けられる軟磁性層とを備える垂直磁気記録媒体の製造方法において、ビッカース硬さA(HV)の材料からなるターゲットを用いて軟磁性層を成膜し、ビッカース硬さB(HV)の材料からなるターゲットを用いて軟磁性層上に第1非磁性層を成膜し、基体にバイアス電圧を印加しながら第1非磁性層上に第2非磁性層を成膜し、ビッカース硬さAとビッカース硬さBの関係式は、A<Bを満たすことを特徴とする。
上記構成によれば、軟磁性層上に成膜される第1非磁性層は、かかる軟磁性層よりも高いビッカース硬さを有することとなる。したがって、軟磁性層は第1非磁性層により防護されるため、従来のようにバイアス電圧を印加して第2非磁性層を成膜したとしても、軟磁性層の表面粗さの増大を招くことがない。これにより、第2非磁性層と軟磁性層の境界面の粗さを低減されるため、結晶配向性が向上し、SNRの向上、ひいては更なる高記録密度化の達成が可能となる。
上記の第2非磁性層はNiWからなるとよい。これにより、軟磁性層からのコロージョンの析出防止および磁気特性の確保を図ることができる。また第1非磁性層もNiを含む場合、かかる構成によれば第1非磁性層および第2非磁性層はともにNiを含むこととなる。したがって、第1非磁性層の結晶の原子間隔と、第2非磁性層の結晶の原子間隔を近似させることができる。その結果、第2非磁性層の結晶性が向上し、下地層の結晶性および結晶配向性も向上するため、さらなるSNRの向上を図ることができる。更に、WはNiよりも原子間隔が大きく、Ruの原子間隔に近いため、第2非磁性層にWを含ませることにより、Ni化合物の原子間隔を、Ruからなる下地層の原子間隔に近づけることができる。これにより、第2非磁性層から下地層における連続的な結晶粒子の成長を促進することができる。
上記の第1非磁性層は、NiTaまたはNiTiからなるとよい。これにより、かかる第1非磁性層を用いて、軟磁性層を第2非磁性層成膜時の影響から好適に防護することが可能となる。
上記の第1非磁性層のTaの含有量は、40at%〜85at%であるとよい。これにより、第1非磁性層のビッカース硬さを軟磁性層よりも高くすることができ、軟磁性層を好適に防護することが可能となる。
上記のビッカース硬さBは、800HV以上であるとよい。現状において用いられている軟磁性層のビッカース硬度は、おおよそ700HV以上750HV未満である。したがって、かかる構成によれば、第1非磁性層のビッカース硬さが軟磁性層のそれを上回るため、第1非磁性層により軟磁性層を好適に防護することが可能となる。
上記の第1非磁性層の膜厚は、1nm〜3nmであるとよい。第1非磁性層の厚みが1nmよりも薄い場合、軟磁性層を十分に防護できなくなるおそれがある。また第1非磁性層の厚みが3nmよりも厚い場合、当該垂直磁気記録媒体への信号の書き込み時における、磁気ヘッドからの磁束の軟磁性層への通過を妨げるおそれがある。したがって、第1非磁性層の厚みはかかる範囲内が好適である。
本発明の他の代表的な構成は、基体上に、信号を記録する磁気記録層と、磁気記録層より下に設けられRuまたはRu化合物からなる下地層と、下地層の下に設けられ非磁性の結晶質材料からなり下地層の結晶配向性を制御するための第2非磁性層と、第2非磁性層より下に設けられる軟磁性層とを備える垂直磁気記録媒体において、第2非磁性層と軟磁性層との間に、非晶質材料からなり、第2非磁性層をスパッタ成膜する際の衝撃から軟磁性層を防護するための第1非磁性層を設けたことを特徴とする。
本発明によれば、非磁性層と軟磁性層の境界面の粗さを低減することで結晶配向性を向上し、かつ非磁性層と下地層の原子間隔のマッチングを向上させることにより、SNRを向上し、ひいては更なる高記録密度化の達成が可能な垂直磁気記録媒体およびその製造方法を提供することができる。
実施形態にかかる垂直磁気記録媒体の構成を説明する図である。 材質による特性の変化を示す図である。 第1前下地層の組成比による特性の変化を示す図である。 第2前下地層の組成比による特性の変化を示す図である。 第1前下地層と下記録層の材質による特性の変化を示す図である。 バイアス電圧によるSNRの変化を示すグラフである。 組成比による第1前下地層のビッカース硬さの変化を示す図である。 第1前下地層の膜厚によるSNRの変化を示す図である。
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。かかる実施形態に示す寸法、材料、その他具体的な数値などは、発明の理解を容易とするための例示に過ぎず、特に断る場合を除き、本発明を限定するものではない。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能、構成を有する要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略し、また本発明に直接関係のない要素は図示を省略する。
(第1実施形態)
[垂直磁気記録媒体]
図1は、第1実施形態にかかる垂直磁気記録媒体100の構成を説明する図である。図1に示す垂直磁気記録媒体100は、ディスク基体110、付着層112、第1軟磁性層114a、スペーサ層114b、第2軟磁性層114c、第1前下地層116a(第1非磁性層)、第2前下地層116b(第2非磁性層)、第1下地層118a、第2下地層118b、下記録層122a、介在層122b、第1主記録層122c、第2主記録層122d、分断層124、補助記録層126、媒体保護層128、潤滑層130で構成されている。なお第1軟磁性層114a、スペーサ層114b、第2軟磁性層114cはあわせて軟磁性層114を構成する。第1前下地層116aと第2前下地層116bはあわせて前下地層116を構成する。第1下地層118aと第2下地層118bはあわせて下地層118を構成する。下記録層122aと介在層122b、第1主記録層122c、第2主記録層122dはあわせて磁気記録層122を構成する。
ディスク基体110は、アモルファスのアルミノシリケートガラスをダイレクトプレスで円板状に成型したガラスディスクを用いることができる。なおガラスディスクの種類、サイズ、厚さ等は特に制限されない。ガラスディスクの材質としては、例えば、アルミノシリケートガラス、ソーダライムガラス、ソーダアルミノケイ酸ガラス、アルミノボロシリケートガラス、ボロシリケートガラス、石英ガラス、チェーンシリケートガラス、又は、結晶化ガラス等のガラスセラミックなどが挙げられる。このガラスディスクに研削、研磨、化学強化を順次施し、化学強化ガラスディスクからなる平滑な非磁性のディスク基体110を得ることができる。
ディスク基体110上に、DCマグネトロンスパッタリング法にて付着層112から補助記録層126まで順次成膜を行い、媒体保護層128はCVD法により成膜することができる。この後、潤滑層130をディップコート法により形成することができる。なお、生産性が高いという点で、インライン型成膜方法を用いることも好ましい。以下、各層の構成について説明する。
付着層112はディスク基体110に接して形成され、この上に成膜される軟磁性層114とディスク基体110との剥離強度を高める機能と、軟磁性層114上に成膜される各層の結晶グレインを微細化及び均一化させる機能を備えている。付着層112は、ディスク基体110がアモルファスガラスからなる場合、そのアモルファスガラス表面に対応させる為にアモルファス(非晶質)の合金膜とすることが好ましい。
付着層112としては、例えばCrTi系非晶質層、CoW系非晶質層、CrW系非晶質層、CrTa系非晶質層、CrNb系非晶質層から選択することができる。付着層112は単一材料からなる単層でも良いが、複数層を積層して形成してもよい。例えばCrTi層の上にCoW層またはCrW層を形成してもよい。
軟磁性層114は、垂直磁気記録方式において記録層に垂直方向に磁束を通過させるために、記録時に一時的に磁路を形成する層である。軟磁性層114は第1軟磁性層114aと第2軟磁性層114cの間に非磁性のスペーサ層114bを介在させることによって、AFC(AntiFerromagnetic exchange Coupling)を備えるように構成することができる。これにより軟磁性層114の磁化方向を高い精度で磁路(磁気回路)に沿って整列させることができ、磁化方向の垂直成分が極めて少なくなるため、軟磁性層114から生じるノイズを低減することができる。第1軟磁性層114a、第2軟磁性層114cの組成としては、CoTaZrなどのコバルト系合金、CoCrFeB、CoFeTaZrなどのCo−Fe系合金、[Ni−Fe/Sn]n多層構造のようなNi−Fe系合金などを用いることができる。
前下地層116は、非磁性層すなわち非磁性の合金層であり、本実施形態においては2層の非磁性層である第1前下地層116aおよび第2前下地層116bから構成される。
第1前下地層116aは非晶質のNi化合物(Ni合金)から構成され、軟磁性層114を第2前下地層のスパッタ成膜から防護する作用を備える。すなわち、第2前下地層116bと軟磁性層114の間に第1前下地層116aを設けることにより、第2前下地層116bを構成する結晶質材料による軟磁性層114への悪影響を排除することができ、軟磁性層114の表面粗さが低減される。これにより、軟磁性層114上に成膜される複数の層における各境界面の粗さが改善され、これらの層の結晶配向性を向上することが可能となる。したがって、SNRの向上および高記録密度化の達成を図ることができる。
また第1前下地層116aは、Ta、Ti、Hf、Re、Os、Ir、Mo、Nb、Zr、Vの群から選択される1または複数の元素、もしくは元素の化合物を更に含むとよい。これにより、第1前下地層116aのNi化合物を好適に非晶質化することができる。
なお、第1前下地層116aのNi化合物を確実に非晶質化するためには、上記の元素または元素の化合物の含有量は、40at%〜60at%以下であることが好ましい。かかる含有量が40at%未満であるとNi化合物の非晶質化が不十分となり、含有量が60at%を超えると、第1前下地層116a上に成膜される第2前下地層116bの結晶粒子の成長の礎となるNiの量が不足してしまうため好ましくない。
第2前下地層116bは結晶質のNi化合物から構成され、この上に成膜される下地層118に含まれる六方最密充填構造(hcp構造)の磁化容易軸をディスク垂直方向に配向させる機能を備える。第2前下地層116bは面心立方構造(fcc構造)の(111)面がディスク基体110の主表面と平行となっていることが好ましい。
また第2前下地層116bは、W、Cr、Mo、Re、Al、Cu、Mnの群から選択される1または複数の元素、もしくは、元素の化合物を更に含むとよい。これにより、第2前下地層116bのNi化合物を好適に結晶化することができる。中でも、Wは、原子間隔がNiよりもRuに近いため、Wを含ませることにより、第2前下地層116bのNi化合物の原子間隔を、Ruからなる下地層118の原子間隔に近づけることが可能となる。これにより、第2前下地層116bから下地層118に続く連続的な結晶粒子の成長が促進される。
なお、第2前下地層116bのNi化合物を確実に結晶化するためには、上記の元素または元素の化合物の含有量は、3at%〜8at%以下であることが好ましい。かかる含有量が3at%未満であるとNi化合物が強磁性を有してしまい、含有量が8at%を超えると、Ni化合物の結晶化が不十分となり、耐コロージョン特性および磁気特性が著しく低下してしまうため好ましくない。
また第2前下地層116bは、下地層118との原子間隔のマッチングを図るために、ディスク基体110にバイアスを印加した状態でスパッタ成膜してもよい。これにより下地層118の結晶配向性を向上させることができる。また、第2前下地層116bの下に第1前下地層116aと設けていることにより、第2前下地層116bの成膜時にバイアスを印加しても、軟磁性層114の表層が粗くなることがない。
そして上記説明したように、本実施形態では、第1前下地層116aおよび第2前下地層116b共にNiを含有するように構成している。これにより、第1前下地層116aの原子間隔と、第2前下地層116bの原子間隔とを近似させることが可能となる。したがって、第1前下地層116aから第2前下地層116bにかけて結晶粒子が連続的に成長し、更なる結晶配向性の向上を図ることができる。
なお、本実施形態においては第2前下地層116bを合金層とした、すなわちNi化合物から構成したが、これに限定するものではなく、かかる第2前下地層116bはNiを含む結晶性材料であればよい。したがって、Ni単体で構成することも可能である。
下地層118はhcp構造であって、磁気記録層122のCoのhcp構造の結晶をグラニュラ構造として成長させる作用を有している。したがって、下地層118の結晶配向性が高いほど、すなわち下地層118の結晶の(0001)面がディスク基体110の主表面と平行になっているほど、磁気記録層122の配向性を向上させることができる。下地層118の材質としてはRuが代表的であるが、その他に、RuCr、RuCo等のRu化合物から選択することができる。Ruはhcp構造をとり、また結晶の原子間隔がCoと近いため、Coを主成分とする磁気記録層122を良好に配向させることができる。
下地層118をRuとした場合において、スパッタ時のガス圧を変更することによりRuからなる2層構造とすることができる。具体的には、下層側の第1下地層118aを形成する際にはArのガス圧を所定圧力、すなわち低圧にし、上層側の第2下地層118bを形成する際には、下層側の第1下地層118aを形成するときよりもArのガス圧を高くする、すなわち高圧にする。これにより、第1下地層118aによる磁気記録層122の結晶配向性の向上、および第2下地層118bによる磁気記録層122の磁性粒子の粒径の微細化が可能となる。
また、ガス圧を高くするとスパッタリングされるプラズマイオンの平均自由行程が短くなるため、成膜速度が遅くなり、皮膜が粗になるため、Ruの結晶粒子の分離微細化を促進することができ、Coの結晶粒子の微細化も可能となる。
さらに、下地層118のRuに酸素を微少量含有させてもよい。これによりさらにRuの結晶粒子の分離微細化を促進することができ、磁気記録層122のさらなる孤立化と微細化を図ることができる。したがって、本実施形態では、2層で構成される下地層118のうち、磁気記録層122の直下に成膜される第2下地層118bに酸素を含ませる。すなわち第2下地層118bをRuOにより構成する。これにより、上記の利点を最も効果的に得ることができる。なお酸素はリアクティブスパッタによって含有させてもよいが、スパッタリング成膜する際に酸素を含有するターゲットを用いることが好ましい。
磁気記録層122は、Co系合金、Fe系合金、Ni系合金から選択される硬磁性体の磁性粒子(結晶粒子)の周囲に非磁性物質を偏析させて粒界を形成した柱状のグラニュラ構造を有している。磁気記録層122は、本実施形態では下記録層122a、介在層122b、第1主記録層122c、第2主記録層122dから構成されている。これにより、下記録層122aの結晶粒子(磁性粒子)から継続して第1主記録層122c、第2主記録層122dの小さな結晶粒子が成長し、主記録層の微細化を図ることができ、SNRの向上が可能となる。
本実施形態では、下記録層122aにCoCrPt−Cr用いる。CoCrPt−Crは、CoCrPtからなる磁性粒子(グレイン)の周囲に、非磁性物質であるCr(酸化物)が偏析して粒界を形成し、磁性粒子が柱状に成長したグラニュラ構造を形成する。
介在層122bは非磁性の薄膜であって、下記録層122aと第1主記録層122cの間に介在させることにより、これらの間の磁気的な連続性は分断される。このとき介在層122bの膜厚を所定の膜厚(0.7〜0.9nm)とすることにより、下記録層122aと第1主記録層122cとの間には反強磁性交換結合(AFC)が発生する。これにより介在層122bの上下の層の間では磁化が引き合い、相互に磁化方向を固定するように作用するため、磁化軸の揺らぎが低減し、ノイズを低減することができる。
介在層122bは、Ru又はRu化合物で構成されるとよい。Ruは磁性粒子を構成するCoと原子間隔が近いため、磁気記録層122の間に介在させてもCoの結晶粒子のエピタキシャル成長を阻害しにくいからである。また介在層122bが極めて薄いことによっても、エピタキシャル成長を阻害しにくいものとなっている。
ここで下記録層122aは、介在層122bがなければ第1主記録層122cおよび第2主記録層122dと連続した磁石であったところ、介在層122bによって分断されるために個別の短い磁石となる。そして、さらに下記録層122aの膜厚を薄くすることにより、グラニュラ磁性粒子の縦横比が短くなることから(垂直磁気記録媒体においては、膜厚方向が磁化容易軸の縦方向にあたる)、磁石の内部に発生する反磁界が強くなる。このため下記録層122aは硬磁性であるにもかかわらず、外部に出す磁界が小さくなり、磁気ヘッドによって拾われにくくなる。すなわち、下記録層122aの膜厚を調節することによって、磁気ヘッドまで磁束が到達しにくく、かつ第1主記録層122cに対しては磁気的相互作用を有する程度に磁気モーメント(磁石の強さ)を設定することにより、高い保磁力を発揮しながらもノイズの少ない磁気記録層とすることができる。
本実施形態において第1主記録層122cはCoCrPt−SiO−TiOを用いる。これにより、第1主記録層122cにおいても、CoCrPtからなる磁性粒(グレイン)の周囲に非磁性物質であるSiO、TiO(複合酸化物)が偏析して粒界を形成し、磁性粒が柱状に成長したグラニュラ構造を形成した。
また本実施形態において第2主記録層122dは第1主記録層122cと連続しているが、組成および膜厚が異なっている。第2主記録層122dはCoCrPt−SiO−TiO−Coを用いる。これにより、第2主記録層122dにおいても、CoCrPtからなる磁性粒(グレイン)の周囲に非磁性物質であるSiO、TiO、Co(複合酸化物)が偏析して粒界を形成し、磁性粒が柱状に成長したグラニュラ構造を形成した。
上記のように、本実施形態では第2主記録層122dが第1主記録層122cよりも多くの酸化物を含む構成としている。これにより、第1主記録層122cから第2主記録層122dにかけて、結晶粒子の分離を段階的に促進することができる。
また上記のように、第2主記録層122dにCo酸化物を含有させている。SiOやTiOを酸化物として混入すると、酸素欠損が生じる事実があり、SiイオンやTiイオンが磁性粒子に混入して結晶配向性が乱れ、保磁力Hcが低下してしまう。そこでCo酸化物を含有させることにより、この酸素欠損を補うための酸素担持体として機能させることができる。Co酸化物としてはCoを例示するが、CoOでもよい。
Co酸化物はSiOやTiOよりもギブスの自由化エネルギーΔGが大きく、Coイオンと酸素イオンが分離しやすい。したがってCo酸化物から優先的に酸素が分離し、SiOやTiOにおいて生じた酸素欠損を補って、SiやTiのイオンを酸化物として完成させ、粒界に析出させることができる。これにより、SiやTiなどの異物が磁性粒子に混入することを防止し、その混入によって磁性粒子の結晶性を乱すことを防止することができる。このとき余剰となったCoイオンは磁性粒子に混入すると考えられるが、そもそも磁性粒子がCo合金であるために、磁気特性を損なうことはない。したがって磁性粒子の結晶性および結晶配向性が向上し、保磁力Hcを増大させることが可能となる。また、飽和磁化Msが向上することから、オーバーライト特性も向上するという利点を有している。
ただし、全ての磁気記録層にCo酸化物を混入すると、SNRが低下するという問題がある。そこで、上記のようにCo酸化物を混入しない第1主記録層122cを設けることにより、第1主記録層122cで高いSNRを確保しつつ、第2主記録層122dで高い保磁力Hcおよびオーバーライト特性を得ることが可能となる。なお第1主記録層122cの膜厚よりも第2主記録層122dの膜厚が厚いことが好ましく、好適な一例として第1主記録層122cを2nm、第2主記録層122dを8nmとすることができる。
なお、上記に示した下記録層122aおよび第1主記録層122c、第2主記録層122dに用いた物質は一例であり、これに限定するものではない。粒界を形成するための非磁性物質としては、例えば酸化珪素(SiOx)、クロム(Cr)、酸化クロム(CrXOY)、酸化チタン(TiO)、酸化ジルコン(ZrO)、酸化タンタル(Ta)、酸化鉄(Fe)、酸化ボロン(B)等の酸化物を例示できる。また、BN等の窒化物、B等の炭化物も好適に用いることができる。
さらに本実施形態では、下記録層122aおよび第1主記録層122cにおいて2種類、第2主記録層122dにおいて3種類の非磁性物質(酸化物)を用いているが、これに限定するものではない。例えば、下記録層122aから第2主記録層122dのいずれかまたはすべてにおいて、1種類の非磁性物質を用いてもよいし、2種類以上の非磁性物質を複合して用いることも可能である。このとき含有する非磁性物質の種類には限定がないが、本実施形態の如く特にSiOおよびTiOを含むことが好ましい。したがって、本実施形態とは異なり、下記録層122aから第2主記録層122dが1層のみで構成される場合(介在層122bを設けない場合)、かかる磁気記録層はCoCrPt−SiO−TiOからなることが好ましい。
分断層124は、磁気記録層122(第2主記録層122d)と補助記録層126との間に設けられた非磁性の層である。ただし分断層124は、介在層122bよりも厚く形成する。これにより、磁気記録層122と補助記録層126の間には磁気的効果として反強磁性交換結合ではなく、強磁性交換結合が発生する。これにより磁気記録層122が補助記録層126に対するピン層(磁化方向固定層)として作用し、補助記録層126に起因するノイズを低減させてSNRを向上させることができる。
また本実施形態において分断層124は、Ru、Ru化合物、Ruと酸素、またはRuと酸化物を含む薄膜によって構成することができる。これによっても、補助記録層126に起因するノイズを低減させることができる。分断層124を成膜する際に、分断層124に含有される酸素が磁気記録層122の酸化物の上に偏析し、磁性粒子の上にRuが偏析することにより、磁気記録層122のCoの結晶構造を補助記録層126のCoまで継承させられるためと考えられる。
分断層124のRuに含有させる酸化物としては様々なものが考えられるが、特にW、Ti、Ruの酸化物を用いることにより、電磁変換特性(SNR)を向上させることができる。例えば分断層124は、RuO、RuWO3、またはRuTiOであってもよい。中でも、WO3は高い効果を得ることができる。
これは、Ruに含有させた酸素がスパッタ中に解離され、解離された酸素が、酸素添加の効果も示すためと考えられる。つまり、WO3を使うことにより、酸素添加の効果と酸化物添加の効果を併せ持つことができるので、好適である。酸化物の他の例としては、酸化珪素(SiOx)、クロム(Cr)、酸化クロム(Cr)、酸化チタン(TiO)、酸化ジルコン(ZrO)、酸化タンタル(Ta)、酸化鉄(Fe)、酸化ボロン(B)等の酸化物を例示できる。また、BN等の窒化物、B等の炭化物も好適に用いることができる。
補助記録層126は基体主表面の面内方向に磁気的にほぼ連続した磁性層である。補助記録層126は磁気記録層122に対して磁気的相互作用を有するように、隣接または近接している必要がある。補助記録層126の材質としては、例えばCoCrPt、CoCrPtB、またはこれらに微少量の酸化物を含有させて構成することができる。補助記録層126は逆磁区核形成磁界Hnの調整、保磁力Hcの調整を行い、これにより耐熱揺らぎ特性、OW特性、およびSNRの改善を図ることを目的としている。この目的を達成するために、補助記録層126は垂直磁気異方性Kuおよび飽和磁化Msが高いことが望ましい。なお本実施形態において補助記録層126は磁気記録層122の上方に設けているが、下方に設けてもよい。
なお、「磁気的に連続している」とは磁性が連続していることを意味している。「ほぼ連続している」とは、補助記録層126全体で観察すれば一つの磁石ではなく、結晶粒子の粒界などによって磁性が不連続となっていてもよいことを意味している。粒界は結晶の不連続のみではなく、Crが偏析していてもよく、さらに微少量の酸化物を含有させて偏析させても良い。ただし補助記録層126に酸化物を含有する粒界を形成した場合であっても、磁気記録層122の粒界よりも面積が小さい(酸化物の含有量が少ない)ことが好ましい。補助記録層126の機能と作用については必ずしも明確ではないが、磁気記録層122のグラニュラ磁性粒子と磁気的相互作用を有する(交換結合を行う)ことによってHnおよびHcを調整することができ、耐熱揺らぎ特性およびSNRを向上させていると考えられる。またグラニュラ磁性粒子と接続する結晶粒子(磁気的相互作用を有する結晶粒子)がグラニュラ磁性粒子の断面よりも広面積となるため磁気ヘッドから多くの磁束を受けて磁化反転しやすくなり、全体のOW特性を向上させるものと考えられる。
媒体保護層128は、真空を保ったままカーボンをCVD法により成膜して形成することができる。媒体保護層128は、磁気ヘッドの衝撃から垂直磁気記録媒体100を防護するための層である。一般にCVD法によって成膜されたカーボンはスパッタ法によって成膜したものと比べて膜硬度が向上するので、磁気ヘッドからの衝撃に対してより有効に垂直磁気記録媒体100を防護することができる。
潤滑層130は、PFPE(パーフロロポリエーテル)をディップコート法により成膜することができる。PFPEは長い鎖状の分子構造を有し、媒体保護層128表面のN原子と高い親和性をもって結合する。この潤滑層130の作用により、垂直磁気記録媒体100の表面に磁気ヘッドが接触しても、媒体保護層128の損傷や欠損を防止することができる。
以上の製造工程により、垂直磁気記録媒体100を得ることができた。次に、本実施形態の実施例を説明する。
(実施例)
ディスク基体110上に、真空引きを行った成膜装置を用いて、DCマグネトロンスパッタリング法にてAr雰囲気中で、付着層112から補助記録層126まで順次成膜を行った。付着層112は、Cr−50Tiを10nm成膜した。軟磁性層114は、0.7nmのスペーサ層114bを挟んで、第1軟磁性層114a、第2軟磁性層114cをそれぞれ92(40Fe−60Co)−3Ta−5Zrで20nm成膜した。前下地層116(第1前下地層および第2前下地層)の組成については後述する。第1下地層118aは0.6PaのAr雰囲気下でRu膜を10nm成膜した。第2下地層118bは、酸素が含まれているターゲットを用いて5PaのAr雰囲気下で、酸素を含有するRu(RuO)膜を10nm成膜した。下記録層122aは3Paで90(70Co−10Cr−20Pt)−10(Cr)を2nm成膜した。介在層122bはRuを0.4〜0.5nm成膜した。第1主記録層122cは3Paで90(72Co−10Cr−18Pt)−5(SiO)−5(TiO)を12nm成膜した。第2主記録層122dは3Paで90(72Co−12Cr―16Pt)−4.5(SiO)−4.5(TiO)−1(Co)を12nm成膜した。分断層124はRuWO3を0.3nm成膜した。補助記録層126は62Co−18Cr−15Pt−5Bを6nm成膜した。媒体保護層128はCVD法によりC2H4およびCNを用いて4nm成膜し、潤滑層130はディップコート法によりPFPEを用いて形成した。
図2は、材質による特性の変化を示す図である。なお、第1前下地層116a、第2前下地層116b、第1下地層118aに用いた材質については図2に示す通りであり、それらの組成比については元素記号に付記した数値の通りである。詳しくは、実施例1〜3は第2前下地層116bを97Ni−3Wとし、第1前下地層116aを実施例1は45Ni−Ta55、実施例2は50Ni−Ti50としている。実施例3は第1前下地層116aを45Ni−Ta55とし、第1下地層118aをRuに代えて90Ru−Cr10としている。比較例1は、第1前下地層116aを45Ni−Ta55とし、第2前下地層116bを設けていない例である。比較例2は、第1前下地層116aを設けずに、第2前下地層116bを97Ni−3Wとした例である。なおNi化合物において添加物の比率が約40at%以上になると非晶質化するため、これら実施例1〜3および比較例1、2はいずれも第1前下地層116aが非晶質である。
また、図2中、Raとは、原子間力顕微鏡(AFM)を用いて測定した、軟磁性層114の表面粗さ、すなわち軟磁性層114と第1前下地層116aとの境界面の粗さを表している。この値が大きいほど、境界面がより荒れた状態であることを示す。Δθ50とは、X線回折装置を用いたロッキングカーブ法により測定した、結晶粒子の結晶配向性である。この値は、結晶粒子の配向のバラつきの大きさを表す配向分散(c軸分散角)であり、小さいほど配向性に優れていることを示す。Hcとは保磁力であり、静磁気特性の一種である。磁気記録層122のHcが上昇するにつれ、磁気記録層122の磁化が反転しにくくなり、垂直磁気記録媒体100の信号保持性能が向上する。また、Hcは、高記録密度化に伴って狭隘化するトラック幅でもデータ保持を可能とするために必要である。Hnとは逆磁区核形成磁界であり、Hnの絶対値が大きいほど、熱揺らぎ現象に対する耐性が高い。SNRとはシグナルノイズ比であり、電磁変換特性の一種である。SNRは信号とノイズの強度比を表しており、面積の小さな記録ビットにおいても正確に且つ高速に読み書きするために重要である。
図2に示すように、実施例と比較例とを比較すると、すべての実施例において、比較例よりも結晶粒子の結晶配向性(Δθ50)が優れ、高いSNRを得られることが理解できる。実施例について詳述すると、実施例1および2に示すように、第1前下地層116aにTaやTiを含有させることにより、高記録密度化に必要とされる18.0dB以上のSNRを得ることが可能となる。また実施例3から、第1下地層118aにはRuだけでなく、Ru化合物も好適であることが理解できる。
更に比較例について詳述すると、比較例1から、非晶質のNi化合物(NiTa)を用いれば境界面の粗さ(表面粗さ)を低下させられることがわかる。しかし、この場合、結晶質のNi化合物からなる第2前下地層116bを備えていないため、磁気特性(Hc、Hn、SNR)を確保することができない。また比較例2では、結晶質のNi化合物からなる第2前下地層116bを備えているため、SNR以外の磁気特性はある程度確保できている。しかし、この場合、非晶質からなる第1前下地層116aを備えていないため、境界面の粗さ(表面粗さRa)が増大し、結晶粒子の結晶配向性が低下し、高記録密度化を達成可能なSNR(18.0dB以上)を得ることができない。
上記の結果から、垂直磁気記録媒体100に、非晶質のNi化合物からなる第1前下地層116a、および結晶質のNi化合物からなる第2前下地層116bを設け、第1前下地層116aを構成する材料を最適化することにより、境界面の粗さを低下させ、結晶配向性の向上、ひいてはSNRの向上が可能であることが理解できる。
図3は、第1前下地層116aの組成比による特性の変化を示す図である。図3(a)は、図2の実施例1をベースにして第1前下地層116aの組成比を変化させた場合の特性の変化を示す表であり、図3(b)は、かかる組成比とSNRとの関係を示すグラフである。なお第1前下地層116a、第2前下地層116b、第1下地層118aに用いた材質およびそれらの組成比の表記については図2と同様である。また各パラメータの説明については重複記載となるため説明を省略する。
図3(a)に示すように、第1前下地層116aのNiおよびTaの組成比を、実施例1をベースにして前後に振る。詳しくは、実施例1、4、5、6はいずれも第2前下地層116bを97Ni−3Wとし、第1前下地層116aを、実施例4は65Ni−Ta35、実施例5は55Ni−45Ta、実施例1は45Ni−Ta55、実施例6は35Ni−65Taとしている。
図3(a)を参照すると、第1前下地層116aのTaの含有量が35at%を超えると(実施例4)、境界面の表面粗さが低下し、結晶配向性も向上する。その結果、各種磁気特性も向上する。そして、Taの含有量を更に増加させていく(実施例5および1)と、Taの含有量が55at%(実施例1)となったあたりで磁気的特性はピークに達する。その後、Taの含有量を更に増加させると、磁気特性は低下する(実施例6)。このことから、第1前下地層116aにおけるTaの含有量を適切な範囲とすることで、高い磁気特性を好適に確保できることが理解できる。
そして、図3(b)を参照すると、高記録密度化に必要とされるSNR18.0dB以上という条件を満たすためには、第1前下地層116aにおけるTaの含有量は、約40at%〜約60at%であることがわかる。なお、含有量が40at%未満(実施例4)の場合、第1前下地層116aの非晶質化が不十分となり、軟磁性層114を第2前下地層116bから十分に防護できず、境界面の粗さ(表面粗さRa)が増大してしまい、高記録密度化に必要とされるだけの磁気特性を確保できなかったと考えられる。また、含有量が60at%を超えた場合(実施例6)、第1前下地層116aに含まれるNiの量が不足し、その上に成膜される第2前下地層116bのNiの結晶粒子の連続的な成長が阻害され、磁気特性が低下したと推測される。
図4は、第2前下地層116bの組成比による特性の変化を示す図である。図4(a)は、図2の実施例1をベースにして第2前下地層116bの組成比を変化させた場合の特性の変化を示す表であり、図4(b)は、かかる組成比とSNRとの関係を示すグラフである。なお第1前下地層116a、第2前下地層116b、第1下地層118aに用いた材質およびそれらの組成比の表記については図2と同様である。また各パラメータの説明については重複記載となるため説明を省略する。
図4(a)に示すように、第2前下地層116bのNiおよびWの組成比を、実施例1をベースにして変化させる。詳しくは、実施例1、7、8、9において第1前下地層116aはいずれも45Ni−55Taであり、第2前下地層116bは、実施例1が97Ni−3W、実施例7が95Ni−5W、実施例8が93Ni−7W、実施例9が91Ni−9Wである。
図4(a)を参照すると、第2前下地層116bのWの含有量を3at%(実施例1)から増加させていくと徐々に各磁気特性が低下し始め(実施例7および8)、含有量が9at%を超えるとSNRが所望の値(18.0dB以上)を満たさなくなってしまう。
そして、図4(b)を参照すると、高記録密度化に必要とされるSNR18.0dB以上という条件を満たすためには、第2前下地層116bのWの含有量は、約8at%が上限であることがわかる。このことから、第2前下地層116bにおけるWの含有量は、約3at%〜約8at%の範囲が適切であり、これにより、第2前下地層116bと第1下地層118aの原子間隔のマッチングが向上し、SNRが向上することが理解できる。なお、含有量が3at%未満であると、第2前下地層116bが強磁性を有してしまうため好ましくない。また含有量が8at%を超えると、第2前下地層116bが非晶質化してしまい、上述したように磁気特性の確保が困難となる。
上記説明した如く、本実施形態によれば、前下地層116(第1前下地層116a)と軟磁性層114(第1軟磁性層114a)の境界面の粗さを低減することで結晶配向性を向上し、かつ前下地層116(第2前下地層116b)と下地層118(第1下地層118a)の原子間隔のマッチングを向上させることにより、SNRを向上し、ひいては更なる高記録密度化の達成が可能となる。
(第2実施形態)
また発明者らが検討したところ、軟磁性層上に非磁性層を成膜する際(スパッタ時)に、基板にバイアス電圧を印加しながら成膜すると、非磁性層と軟磁性層との境界面が粗くなる傾向があることを見出した。そこで、発明者は、バイアス電圧を印加せずに非磁性層を成膜することも検討した。しかし、非磁性層成膜時のバイアス電圧の印加は、静磁気特性(特に保磁力Hc)の向上を目的として行われているため、バイアス電圧を印加しないとかかる特性の著しい低下を招いてしまう。したがって、非磁性層成膜時にはバイアス電圧を印加せざるを得なかった。
そこで、発明者は研究を重ね、非磁性層とその下の軟磁性層との間に、軟磁性層を防護する層を介在させることにより、バイアス電圧を印加しながら非磁性層を成膜しつつ、かかる非磁性層による軟磁性層への悪影響を排除し、結晶配向性の著しい向上を図ることが可能であると考えた。そして、かかる手法を用いて垂直磁気記録媒体を作製し、そのSNRの評価を行った。
しかし、上記の手法を用いた垂直磁気記録媒体のSNRは、結晶配向性の向上に伴って一旦は向上するものの、結晶配向性がある程度に達すると低下しはじめることがわかった。したがって、その原因を突き止めるべく、かかる垂直磁気記録媒体を精査した結果、結晶配向性の向上に伴って磁気記録層の結晶粒子(磁性粒子)が粗大化し始め、結晶粒子が所定の大きさに達すると、磁化遷移領域ノイズの増大によりSNRが低下し始めることが判明した。
したがって、結晶配向性のみを向上するだけではSNRを飛躍的に向上させることは困難であり、上記の手法のみを用いてのSNRの向上には限界があると考え、更に検討を重ねた。その結果、上記の手法と併せて磁気記録層の結晶粒子の微細化を図ることで、結晶配向性を向上させつつ、これに伴う磁気記録層の結晶粒子の粗大化を抑制し、SNRを飛躍的に向上することが可能であることを見出した。
そこで本実施形態は、第2非磁性層をfcc構造を有する結晶質材料で構成したことについて説明する。これは、磁気記録層を、柱状に成長して磁性の結晶粒子を形成するCo系合金と、結晶粒子の間に非磁性の粒界部を形成する複数の酸化物とから構成したことに密接な関係がある。
以下、上記第1実施形態と異なる部分、もしくはさらに詳細に説明すべき部分について記載し、説明の重複する部分については説明を省略する。
第1前下地層116aは非晶質材料から構成され、軟磁性層114を第2前下地層のスパッタ成膜から防護する作用を備える。詳細には、非晶質材料は結晶質材料よりも高い硬度を有するため、非晶質材料から構成される第1前下地層116aを第2前下地層116bと軟磁性層114の間に第1前下地層116aを設けることにより、硬い皮膜(第1前下地層116a)により、従来の非磁性層(第2前下地層116b)成膜時の衝撃から軟磁性層を好適に防護することが可能となる。これにより、第2前下地層116b成膜時の軟磁性層114への悪影響を排除することができ、軟磁性層114の表面粗さが低減される。したがって、軟磁性層114上に成膜される複数の層における各境界面の粗さが改善され、これらの層の結晶配向性を向上することが可能となり、SNRの向上および高記録密度化の達成を図ることができる。
本実施形態において、第1前下地層116aは、Ni、Fe、Co、Cu、Zn、Pd、Ptの群から選択される1または複数の元素、もしくは元素の化合物からなるとよい。これにより、かかる第1前下地層116aが軟磁性層114をより好適に防護することができ、軟磁性層114の表面粗さがより低減される。
また第1前下地層116aは、Ta、Ti、Hf、Re、Os、Ir、Mo、Nb、Zr、Vの群から選択される1または複数の元素、もしくは元素の化合物を更に含むとよい。これにより、第1前下地層116aを好適に非晶質化することができる。なお、第1前下地層116aを確実に非晶質化するためには、これらの元素または元素の化合物の含有量は、40at%〜60at%以下であることが好ましい。かかる含有量が40at%未満であると非晶質化が不十分となり、含有量が60at%を超えると、第1前下地層116a上に成膜される第2前下地層116bの結晶粒子の成長の礎となるNi、Fe、Co、Cu、Zn、Pd、Ptの量が不足してしまうため好ましくない。
第2前下地層116bは結晶質材料から構成され、軟磁性層114からのコロージョンの析出を抑制する作用、および良好な磁気特性を確保する作用を備える。また第2前下地層116bは、この上に成膜される下地層118に含まれる六方最密充填構造(hcp構造)の磁化容易軸をディスク垂直方向に配向させる機能も備える。このため、第2前下地層116bを構成する結晶質材料はfcc構造を有するとよい。これにより、第2前下地層116bのfcc構造の(111)面上に、下地層118のhcp構造の結晶粒子が成長し、下地層118の磁化容易軸を垂直方向に配向させることができる。したがって、ノイズが低減され、SNRを更に向上させることが可能となる。なお、第2前下地層116bは面心立方構造(fcc構造)の(111)面がディスク基体110の主表面と平行となっていることが好ましい。
本実施形態では、上記の第2前下地層116bは、Ni、Co、Cu、Cr、Y、Agの群から選択される1または複数の元素、もしくは元素の化合物からなるとよい。これにより、第2前下地層116bの耐コロージョン特性および磁気特性をより向上することが可能となる。
また第2前下地層116bは、W、Cr、Mo、Re、Al、Cu、Mnの群から選択される1または複数の元素、もしくは、元素の化合物を更に含むとよい。これにより、第2前下地層116bを好適に非磁性化および結晶化することができる。中でも、Wは、原子間隔がNiよりもRuに近いため、Wを含ませることにより、第2前下地層116bにNiを用いる場合にその原子間隔を、Ruからなる下地層118の原子間隔に近づけることが可能となる。これにより、第2前下地層116bから下地層118に続く連続的な結晶粒子の成長が促進される。
なお、第2前下地層116bを確実に結晶化するためには、上記の元素または元素の化合物の含有量は、3at%〜8at%以下であることが好ましい。かかる含有量が3at%未満であると第2前下地層が強磁性を有してしまい、含有量が8at%を超えると、第2前下地層の結晶化が不十分となり、耐コロージョン特性および磁気特性が著しく低下してしまうため好ましくない。
また第2前下地層116bは、下地層118との原子間隔のマッチングを図るために、ディスク基体110にバイアスを印加した状態でスパッタ成膜してもよい。これにより下地層118の結晶配向性を向上させることができる。また、第2前下地層116bの下に第1前下地層116aと設けていることにより、第2前下地層116bの成膜時にバイアスを印加しても、軟磁性層114の表層が粗くなることがない。
本実施形態では、磁気記録層122(下記録層122a)を、柱状に成長して磁性の結晶粒子(磁性粒子)を形成するCo系合金と、結晶粒子の間に非磁性の粒界部を形成する複数の酸化物(複合酸化物)とから構成する。これにより、複数の酸化物の特性を得ることができるため、下記録層122a(磁気記録層122)の結晶粒子(磁性粒子)の微細化および孤立化が、粒界部を1種類の酸化物から構成する場合よりも促進される。したがって、上述した第1前下地層116aを介在させることによる結晶配向性の向上に伴う、磁気記録層122(特に下記録層122a)の結晶粒子の粗大化が抑制されるため、結晶配向性が著しく向上しても、SNRの低下が生じることがない。その結果、SNRの飛躍的な向上を図ることができ、垂直磁気記録媒体100の更なる高記録密度化を達成することが可能となる。
上記の酸化物は、Si、Ti、Cr、Co、Ta、Ru、Cuの群から選択される元素の酸化物であるとよい。これにより、下記録層122aの結晶粒子の微細化および孤立化をより促進することが可能となる。特に、Siの酸化物であるSiOは磁性粒子の微細化および孤立化を最も促進することができ、Tiの酸化物であるTiOは電磁変換特性(特にSNR)を向上させる特性がある。故に、下記録層122aの粒界部を構成する複数の酸化物としては、SiOおよびTiOを用いることが最も好ましい。
したがって、複数の酸化物としてSiOおよびTiOを用いた場合、すなわち下記録層122aにCoCrPt−SiO−TiOを用いた場合を例示する。この場合、CoCrPt−SiO−TiOは、Co系合金であるCoCrPtからなる磁性粒子(グレイン)の周囲に、非磁性物質であるSiO、TiO(酸化物)が偏析して粒界を形成し、磁性粒子が柱状に成長したグラニュラ構造を形成する。
(実施例)
本実施形態の実施例および比較例について説明する。第2実施形態において実施例と比較例は、下記に示す実施例または比較例で説明していない部分については上記第1実施形態と同様の組成、膜厚、もしくは成膜条件で製造した。
図5は第1前下地層116aと下記録層122aの材質による特性の変化を示す図である。図5中、実施例21は、第1前下地層116aを50Cr−50Taで構成し、下記録層122aを95(Co−10Cr−18Pt)−2.5(SiO)−2.5(TiO)で構成した。実施例22は、第1前下地層116aを50Ni−50Taで構成し、下記録層122aは実施例21と同様に構成した。比較例21は、第1前下地層116aを設けず、下記録層122aは実施例21と同様に構成した。比較例22は、第1前下地層116aを設けず、下記録層122aを95(72Co−10Cr−18Pt)−5(SiO)で構成した。比較例23は、第1前下地層116aを50Cr−50Taで構成し、下記録層122aは比較例22と同様に構成した。比較例24は、第1前下地層116aを50Ni−50Taで構成し、下記録層122aは比較例22と同様に構成した。なお、すべての実施例および比較例において、第2前下地層116bは95Ni−5Wで構成した。
また図5中、Δθ50(Ru)とは、X線回折装置を用いたロッキングカーブ法(XRD)により測定した、下地層118のRuの結晶粒子の結晶配向性である。この値は、結晶粒子の配向のバラつきの大きさを表す配向分散(c軸分散角)であり、小さいほど配向性に優れていることを示す。粒子径は、平面透過型電子顕微鏡(TEM)を用いて測定した、下記録層122aの結晶粒子の径であり、この値が小さいほど、結晶粒子が小さく、結晶粒子の微細化が促進されていることを示す。SNRは信号とノイズの強度比を表しており、面積の小さな記録ビットにおいても正確に且つ高速に読み書きするために重要である。
図5に示す実施例21、実施例22、比較例21および比較例22を比較すると、実施例21および実施例22は、比較例21および比較例22よりもΔθ50(Ru)が小さく、高いSNRが得られている。このことから、実施例のように軟磁性層114と第2前下地層116bとの間に第1前下地層116aを介在させることにより、第2前下地層116b成膜時の軟磁性層114への悪影響が排除され、軟磁性層114とこの上に成膜される層、特に下地層118の結晶配向性を改善することができるため、SNRの向上が図れることが理解できる。
また、実施例21と比較例23、および実施例22と比較例24を比較すると、下記録層122aにCoCrPt−SiO−TiOを用いた場合(実施例21、実施例22)の方が、CoCrPt−SiOを用いた場合(比較例23、比較例24)よりも下記録層122aの結晶粒子の粒子径が小さい。このことから、磁気記録層122(特に下記録層122a)の粒界部を複数の酸化物から形成することで複数の酸化物の特性を得ることができ、粒界部を1種類の酸化物から構成する場合よりも、磁気記録層122の結晶粒子(磁性粒子)の微細化および孤立化が促進されることがわかる。したがって、第1前下地層116aの介在により結晶配向性が著しく向上しても、磁気記録層122の結晶粒子の粗大化が抑制されるため、SNRの飛躍的な向上が可能であることが理解できる。
上記説明した如く、本実施形態によれば、第2軟磁性層114b(軟磁性層114)と第2前下地層116b(前下地層116)との間に第1前下地層116aを設けることで、軟磁性層114上に成膜される層の結晶配向性を向上し、且つ下記録層122a(磁気記録層122)の粒界部を複数の酸化物から構成することで、結晶配向性の向上に伴う結晶粒子(磁性粒子)の粗大化を抑制し、SNRの飛躍的な向上を図ることができる。これにより、垂直磁気記録媒体100の更なる高記録密度化が可能となる。
なお、本実施形態においては第2前下地層116bをNiW(Ni化合物)の合金層としたが、これに限定するものではなく、かかる第2前下地層116bは結晶性材料であればよい。したがって、第2前下地層116bをNi単体で構成することも可能である。
(第3実施形態)
また発明者らが検討したところ、軟磁性層上に非磁性層を成膜する際(スパッタ時)に、基板にバイアス電圧を印加しながら成膜すると、非磁性層と軟磁性層との境界面が粗くなる傾向があることがわかった。そこで、発明者は、バイアス電圧を印加せずに非磁性層を成膜することも検討した。しかし、非磁性層成膜時のバイアス電圧の印加は、静磁気特性の向上を目的として行われているため、バイアス電圧を印加しないとかかる特性の著しい低下を招いてしまう。したがって、非磁性層成膜時にはバイアス電圧を印加せざるを得なかった。
そこで、更に研究を重ね、非磁性層とその下の軟磁性層との間に所定条件の層を介在させることにより、バイアス電圧を印加しながら非磁性層を成膜しつつ、かかる非磁性層による軟磁性層への悪影響を排除し、上記課題を解決できることを見出した。
そこで本実施形態では、軟磁性層上に、基体にバイアス電圧を印加せずに非晶質のNi化合物からなる第1非磁性層を成膜し、第1非磁性層上に、基体にバイアス電圧を印加しながら結晶質のNi化合物からなる第2非磁性層を成膜し、第2非磁性層上に、RuまたはRu化合物からなる下地層を成膜し、下地層より上に、信号を記録する磁気記録層を成膜した構成について説明する。
以下、上記第1実施形態と異なる部分、もしくはさらに詳細に説明すべき部分について記載し、説明の重複する部分については説明を省略する。
第1前下地層116aは非晶質のNi化合物から構成され、軟磁性層114を第2前下地層116bのスパッタ成膜から防護する作用を備える。詳細には、非晶質材料は結晶質材料よりも高い硬度を有するため、非晶質材料からなる第1前下地層116aを、第2前下地層116bと軟磁性層114の間に設けることで、従来のようにバイアス電圧を印加して第2前下地層116b(第2非磁性層)を成膜したとしても、硬い皮膜(第1前下地層116a)により、第2前下地層116b成膜時の衝撃から軟磁性層114を好適に防護することが可能となる。これにより、第2前下地層116b成膜時の軟磁性層114への悪影響を排除することができ、軟磁性層114の表面粗さが低減される(軟磁性層114の表面粗さの増大を招くことがない)。したがって、軟磁性層114上に成膜される複数の層における各境界面の粗さが改善(低減)され、これらの層の結晶配向性を向上することが可能となり、SNRの向上、ひいては更なる高記録密度化の達成を図ることができる。
また非晶質材料の粒子は結晶構造を有さないため、非晶質材料の粒子は軟磁性層114上に不規則に成膜する。したがって、非晶質の第1非磁性層116aにより、微結晶により生じた軟磁性層114の表面の微細な凹凸を平滑化することができる。これにより、軟磁性層114の表面粗さ、ひいては軟磁性114層上に成膜される層の界面粗さ(界面ラフネス)を低減することが可能となる。
本実施形態では、第1前下地層116aは、ディスク基体110にバイアス電圧を印加せずに成膜される。このため、第1前下地層116a成膜時に軟磁性層114が損傷を受けることがなく、軟磁性層114の表面粗さの増大を回避することができ、軟磁性層114と第1前下地層116aとの境界面の粗さが増大することがない。
また第1前下地層116aは、Ta、Ti、Hf、Re、Os、Ir、Mo、Nb、Zr、Vの群から選択される1または複数の元素、もしくは元素の化合物を更に含むとよい。これにより、第1前下地層116aを好適に非晶質化することができる。なお、第1前下地層116aを確実に非晶質化するためには、これらの元素または元素の化合物の含有量は、40at%〜60at%以下であることが好ましい。かかる含有量が40at%未満であると非晶質化が不十分となり、含有量が60at%を超えると、第1前下地層116a上に成膜される第2前下地層116bの結晶粒子の成長の礎となるNiの量が不足してしまうため好ましくない。
第2前下地層116bは結晶質のNi化合物から構成され、軟磁性層114からのコロージョンの析出を抑制する作用、および良好な磁気特性を確保する作用を備える。また第2前下地層116bは、この上に成膜される下地層118に含まれる六方最密充填構造(hcp構造)の磁化容易軸をディスク垂直方向に配向させる機能も備える。このため、第2前下地層116bを構成する結晶質材料はfcc構造を有するとよい。これにより、第2前下地層116bのfcc構造の(111)面上に、下地層118のhcp構造の結晶粒子が成長し、下地層118の磁化容易軸を垂直方向に配向させることができる。したがって、ノイズが低減され、SNRを更に向上させることが可能となる。なお、第2前下地層116bは面心立方構造(fcc構造)の(111)面がディスク基体110の主表面と平行となっていることが好ましい。
本実施形態では、第2前下地層116bは、ディスク基体110にバイアス電圧を印加しながら成膜される。これにより、第2前下地層116bと下地層118との原子間隔のマッチングを図り、下地層118の結晶配向性を向上させ、当該垂直磁気記録媒体100の高い磁気特性を確保することが可能となる。なお、本実施形態では上述したように軟磁性層114と第2前下地層116bとの間に第1前下地層116aを備えているため、かかる第2前下地層116b成膜時に基体にバイアス電圧を印加しても、軟磁性層114の表面粗さの増大を招くことがない。
また第2前下地層116bは、W、Cr、Mo、Re、Al、Cu、Mnの群から選択される1または複数の元素、もしくは、元素の化合物を更に含むとよい。これにより、第2前下地層116bを好適に非磁性化および結晶化することができる。中でも、Wは、原子間隔がNiよりもRuに近いため、Wを含ませることにより、第2前下地層116bにNiを用いる場合にその原子間隔を、Ruからなる下地層118の原子間隔に近づけることが可能となる。これにより、第2前下地層116bから下地層118に続く連続的な結晶粒子の成長が促進される。したがって、第2前下地層116bはNiWにより構成されることが最も好ましい。
なお、第2前下地層116bを確実に結晶化するためには、上記の元素または元素の化合物の含有量は、3at%〜8at%以下であることが好ましい。かかる含有量が3at%未満であると第2前下地層が強磁性を有してしまい、含有量が8at%を超えると、第2前下地層の結晶化が不十分となり、耐コロージョン特性および磁気特性が著しく低下してしまうため好ましくない。
上述したように、本実施形態では、第1前下地層116aおよび第2前下地層116bを共にNi化合物により構成している。これにより、第1前下地層116aの結晶の原子間隔と、第2前下地層116bの結晶の原子間隔を近似させることができる。したがって、第2前下地層116bの結晶性、ひいては下地層118の結晶性および結晶配向性も向上するため、更なるSNRの向上を図ることができる。
(実施例)
本実施形態の実施例および比較例について説明する。第3実施形態において実施例と比較例は、下記に示す実施例または比較例で説明していない部分については上記第1実施形態と同様の組成、膜厚、もしくは成膜条件で製造した。第1前下地層116aの組成は50Ni−Ta50とし、第2前下地層116bの組成は95Ni−5Wとした。
図6は、バイアス電圧によるSNRの変化を示すグラフである。図6(a)は、第2前下地層116b成膜時のバイアス電圧を−500V一定とし、第1前下地層116a成膜時のバイアス電圧を変化させた場合(系列1)におけるSNRの変化を、図6(b)は、第1前下地層116a成膜時の所定の値で一定とし、第2前下地層116b成膜時のバイアス電圧を変化させた場合におけるSNRの変化を示している。なお、図6(b)中、系列2は、第1前下地層116a成膜時のバイアス電圧を0V一定とした場合のSNRの変化を、系列3は、第1前下地層116a成膜時のバイアス電圧を−300V一定とした場合のSNRの変化を、系列4は、第1前下地層116a成膜時のバイアス電圧を−500V一定とした場合のSNRの変化を示している。
図6(a)に示すように、第1前下地層116a成膜時にディスク基体110に印加するバイアス電圧を増大させる(正確には、バイアス電圧の絶対値を増大させる)と、SNRは著しく低下する。これは、ディスク基体110にバイアス電圧を印加しながら第1前下地層116aを成膜すると、成膜時に軟磁性層に損傷が生じ、結晶配向性の低下を招くためであると考えられる。したがって、第1前下地層116aはディスク基体110にバイアス電圧を印加せずに成膜するべきであることがわかる。
次に、バイアス電圧を印加せずに成膜した第1前下地層116a上に、バイアス電圧を印加しながら第2前下地層116bを成膜すると、図6(b)に示すように、いずれの系列においても、印加するバイアス電圧の増大に伴ってSNRが向上する。これは、第1前下地層116aにより軟磁性層114が防護されることで、第2前下地層116bを成膜する際にバイアス電圧を印加しても軟磁性層114の表面粗さの増大が防止されるため、前下地層116と軟磁性層114の境界面の粗さが低減され、結晶配向性が向上したと考えられる。
また図6(b)において、いずれの系列においても、SNRが、第2前下地層116b成膜時のバイアス電圧が0V(バイアス電圧を印加していない状態)から−200Vの間で最も著しく向上していることから、第2前下地層116bの成膜時にディスク基体110に少しでもバイアス電圧を印加することが、当該垂直磁気記録媒体100の高い磁気特性(特にSNR)を確保するために有効であることが確認できる。
更に、図6(b)を参照すると、系列2は、第2前下地層116b成膜時のバイアス電圧の印加の有無、およびバイアス電圧の増減に拘わらず、系列3および4よりもSNRが高い。このことから、ディスク基体110にバイアス電圧を印加せずに第1前下地層116aを成膜することが、高SNRの確保に極めて有効であることが再確認できる。そして、系列3および4を比較すると、系列3のほうが若干ながらSNRが高い。このことから、第1前下地層116a成膜時にディスク基体110にバイアス電圧を印加せざるを得ない場合には、かかるバイアス電圧をできる限り低くするべきであることがわかる。
上記説明したように、本実施形態によれば、軟磁性層114上に、ディスク基体110にバイアス電圧を印加せずに成膜する第1前下地層116aを設けることで、ディスク基体110にバイアス電圧を印加しながら成膜する第2前下地層116bからの軟磁性層114への悪影響を排除することが可能となる。これにより、軟磁性層114の表面粗さの増大、ひいては軟磁性層114上に成膜される各層の境界面の粗さの増大を防ぐことができる。したがって、バイアス電圧を印加しながら前下地層116(第2前下地層116b)を成膜しつつ、結晶配向性の向上、ひいてはSNRの向上を図り、更なる高記録密度化の達成が可能となる。
(第4実施形態)
また発明者らが検討したところ、軟磁性層上に第2非磁性層を成膜する際(スパッタ時)に、基板にバイアス電圧を印加しながら成膜すると、第2非磁性層と軟磁性層との境界面が粗くなる傾向があることがわかった。そこで、発明者は、バイアス電圧を印加せずに第2非磁性層を成膜することも検討した。しかし、第2非磁性層成膜時のバイアス電圧の印加は、静磁気特性(特に保磁力Hc)の向上を目的として行われているため、バイアス電圧を印加しないとかかる特性の著しい低下を招いてしまう。したがって、第2非磁性層成膜時にはバイアス電圧を印加せざるを得なかった。
そこで、更に研究を重ね、第2非磁性層とその下の軟磁性層との間に所定条件の層を介在させることにより、バイアス電圧を印加しながら第2非磁性層を成膜しつつ、かかる第2非磁性層による軟磁性層への悪影響を排除し、上記課題を解決できることを見出した。
そこで本実施形態では、軟磁性層の硬さよりも硬い第1非磁性層を成膜する垂直磁気記録媒体を製造する製造方法について説明する。以下、上記第1実施形態と異なる部分、もしくはさらに詳細に説明すべき部分について記載し、説明の重複する部分については説明を省略する。
本実施形態において、軟磁性層114、特に第2軟磁性層114cは、ビッカース硬さA(HV)の材料からなるターゲットを用いて成膜される。ビッカース硬さの詳細については後述する。
第1前下地層116aは、NiもしくはNi化合物からなり、軟磁性層114を防護する層である。本実施形態において、第1前下地層116aは、ビッカース硬さB(HV)の材料からなるターゲットを用いて成膜され、上述した軟磁性層114を成膜するターゲットを構成する材料のビッカース硬さAと、ビッカース硬さBは、その関係式がA<Bを満たすよう構成される。
上記構成により、第1前下地層116aは軟磁性層114よりも高いビッカース硬さを有することとなり、軟磁性層114を第2前下地層116bのスパッタ成膜から防護する作用を備えることができる。すなわち、第2前下地層116bと軟磁性層114の間に、軟磁性層114よりも硬い第1前下地層116aを設けることにより、従来のようにバイアス電圧を印加して第2前下地層116bを成膜したとしても、軟磁性層114は第1前下地層116aにより防護される。したがって、第2前下地層116bによる軟磁性層114への悪影響を排除することができ、軟磁性層114の表面粗さが低減される(軟磁性層114の表面粗さの増大を招くことがない)。これにより、軟磁性層114上に成膜される複数の層における各境界面の粗さが改善(低減)され、これらの層の結晶配向性を向上させ、SNRの向上、ひいては更なる高記録密度化の達成が可能となる。
上記の第1前下地層116aのビッカース硬さBは、800HV以上であることが好ましい。これは、現状において用いられている軟磁性層114のビッカース硬度はおおよそ700HV以上750HV未満であるため、第1前下地層116aのビッカース硬さがそれを上回っていれば、かかる第1前下地層116aにより軟磁性層114を好適に防護することが可能となるからである。
また第1前下地層116aは、TaまたはTiを更に含むとよい。すなわち、第1前下地層116aは、NiTaまたはNiTiから構成されるとよい。これにより、第1前下地層116aのビッカース硬さを好適に高めることが可能となる。
なお、第1前下地層116aのビッカース硬さを軟磁性層114よりも確実に高くするためには、第1前下地層116aのTaの含有量は40at%〜85at%であることが好ましい。これにより、かかる第1前下地層116aを用いて軟磁性層114を好適に防護することが可能となる。
また第1前下地層116aの膜厚は、1nm〜3nmであることが好ましい。第1前下地層116aの厚みが1nmよりも薄い場合、軟磁性層114を十分に防護できなくなるおそれがあり、また第1前下地層116aの厚みが3nmよりも厚い場合、当該垂直磁気記録媒体100への信号の書き込み時の磁束の軟磁性層114への通過を妨げるおそれがある。
第2前下地層116bは、NiまたはNi化合物から構成される非磁性の合金層である。これにより、軟磁性層114からのコロージョンの析出防止および磁気特性の確保を図ることができる。かかる第2前下地層116bは、この上に成膜される下地層118に含まれる六方最密充填構造(hcp構造)の磁化容易軸をディスク垂直方向に配向させる機能を備える。第2前下地層116bは面心立方構造(fcc構造)の(111)面がディスク基体110の主表面と平行となっていることが好ましい。また第2前下地層116bは、これらの結晶構造とアモルファスとが混在した構成としてもよい。
また第2前下地層116bはWを更に含むとよい。すなわち、第2前下地層116bはNiWからなることが最も好ましい。Wは、原子間隔がNiよりもRuに近いため、Wを含ませることにより、第2前下地層116bのNi化合物の原子間隔を、Ruからなる下地層118の原子間隔に近づけることが可能となる。これにより、第2前下地層116bから下地層118に続く連続的な結晶粒子の成長が促進される。
また第2前下地層116bは、下地層118との原子間隔のマッチングを図るために、ディスク基体110にバイアスを印加した状態でスパッタ成膜する。これにより下地層118の結晶配向性を向上させることができる。このとき、第2前下地層116bの下に第1前下地層116aを設けていることにより、第2前下地層116bの成膜時にバイアスを印加しても、軟磁性層114の表層が粗くなることがない。
そして上記説明したように、本実施形態では、第1前下地層116aおよび第2前下地層116b共にNiを含有する。これにより、第1前下地層116aの原子間隔と、第2前下地層116bの原子間隔とを近似させることが可能となる。したがって、第1前下地層116aから第2前下地層116bにかけて結晶粒子が連続的に成長し、更なる結晶配向性の向上を図ることができる。
なお、本実施形態においては、第1前下地層116aをNiTaまたはNiTi、第2前下地層116bをNiWから構成することが好ましいとしたが、これらに限定するものではない。第1前下地層116aは、そのビッカース硬さが軟磁性層114のビッカース硬さを上回ることが可能な材料であれば足り、第2前下地層116bは、軟磁性層114からのコロージョンの析出防止および磁気特性の確保を図ることが可能な材料であれば足りる。したがって、第1前下地層116aおよび第2前下地層116bの材質としては、Ni、Cu、Pt、Pd、Zr、Hf、Nb、Taから選択することができ、さらにこれらの金属を主成分とし、Ti、V、Cr、Mo、Wのいずれか1つ以上の添加元素を含む合金としてもよい。
図7は、組成比による第1前下地層116aのビッカース硬さの変化を示す図である。なお、第1前下地層116aはNiTaにより構成した。また図7に示すビッカース硬さは、急冷リボン法(メルトスパン法)により作製した試験片に試験荷重25gで圧子を押し込んで測定し、かかる測定10回の平均値とした。
図7に示すように、第1前下地層116aは、Taの含有量が増加するとビッカース硬さが高くなり、Taの含有量が約70at%となったあたりでビッカース硬さはピークを示す。そして、更にTaの含有量を増加させると、ビッカース硬さは低下していく。したがって、図7を参照すると、NiおよびTaから構成される第1前下地層116aのビッカース硬さを軟磁性層114よりも確実に高くする、すなわち800HV以上とするためには、Taの含有量は40at%〜85at%の範囲が適切であることが理解できる。
図8は、第1前下地層116aの膜厚によるSNRの変化を示す図である。図8(a)は、実施例および比較例の組成およびSNRの値を示す表であり、図8(b)は、実施例および比較例のSNRの変化を示すグラフである。なお、実施例、比較例共に、第2前下地層116bの組成は、Ni95at%およびW5at%とした。
図8(a)に示すように、実施例41の組成は、45Ni−55Taからなり、ビッカース硬さが950HVの第1前下地層116aと、膜厚7.2nmの第2前下地層116bを有する垂直磁気記録媒体100である。比較例41は、97Ni−3Wからなり、ビッカース硬さが160HVの第1前下地層116aと、膜厚4.3nmの第2前下地層116bを有する垂直磁気記録媒体100である。比較例42は、90Ni−10Taからなり、ビッカース硬さが250HVの第1前下地層116aと、膜厚5.8nmの第2前下地層116bを有する垂直磁気記録媒体100である。
そして、図8(a)に示すように実施例および比較例の第1前下地層116aの膜厚を変化させると、図8(b)に示すようになる。図8(b)を参照すると、実施例41において比較例41および比較例42よりも高いSNRを得られることが理解できる。このことから、軟磁性層114を成膜するターゲットの材料のビッカース硬さをA、第1前下地層116aを成膜するターゲットの材料のビッカース硬さをBとしたときのAとBの関係式がA<Bとなるよう構成し、かかるターゲットを用いて成膜した第1前下地層116aを軟磁性層114と第2前下地層116bとの間に介在させることにより、軟磁性層114が第2前下地層116bのスパッタ成膜から防護され、第2前下地層116bによる軟磁性層114への悪影響が排除されることがわかる。これにより、軟磁性層114の表面粗さが低減され、軟磁性層114上に成膜される複数の層における各境界面の粗さの改善(低減)が図れ、これらの層の結晶配向性が向上することによりSNRが向上する。
上記説明した如く、本実施形態によれば、軟磁性層114上に、かかる軟磁性層114の成膜に用いるターゲットのビッカース硬さよりも高いビッカース硬度を有するターゲットを用いて成膜した第1前下地層116aを設ける。これにより、第2前下地層116b成膜時における軟磁性層114の表面粗さの増大が防止され、第2前下地層116bと軟磁性層114の境界面の粗さを低減される。したがって、軟磁性層114上に成膜される層の結晶配向性が向上され、SNRが向上し、更なる高記録密度化の達成が可能となる。
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施例について説明したが、本発明はかかる実施形態に限定されないことは言うまでもない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
本発明は、垂直磁気記録方式のHDDなどに搭載される垂直磁気記録媒体およびその製造方法として利用することができる。
100 …垂直磁気記録媒体、110 …ディスク基体、112 …付着層、114 …軟磁性層、114a …第1軟磁性層、114b …スペーサ層、114c …第2軟磁性層、116 …前下地層、116a …第1前下地層、116b …第2前下地層、118 …下地層、118a …第1下地層、118b …第2下地層、122 …磁気記録層、122a …下記録層、122b …介在層、122c …第1主記録層、122d …第2主記録層、124 …分断層、126 …補助記録層、128 …媒体保護層、130 …潤滑層

Claims (17)

  1. 基体上に、信号を記録する磁気記録層と、該磁気記録層より下に設けられRuまたはRu化合物からなる下地層と、該下地層の下に設けられ非磁性材料からなり該下地層の結晶配向性を制御するための非磁性層と、該非磁性層より下に設けられる軟磁性層とを備える垂直磁気記録媒体において、
    前記非磁性層は、前記軟磁性層の上に設けられる第1非磁性層と、該第1非磁性層の上に設けられる第2非磁性層とから構成され、
    前記第1非磁性層は非晶質のNi化合物からなり、前記第2非磁性層は結晶質のNiまたはNi化合物からなることを特徴とする垂直磁気記録媒体。
  2. 前記第1非磁性層は、Ta、Ti、Hf、Re、Os、Ir、Mo、Nb、Zr、Vの群から選択される1または複数の元素、もしくは該元素の化合物を、40at%〜60at%含むことを特徴とする請求項1に記載の垂直磁気記録媒体。
  3. 前記第2非磁性層は、W、Cr、Mo、Re、Al、Cu、Mnの群から選択される1または複数の元素、もしくは、該元素の化合物を、3at%〜8at%含むことを特徴とする請求項1に記載の垂直磁気記録媒体。
  4. 基体上に、信号を記録する磁気記録層と、該磁気記録層より下に設けられRuまたはRu化合物からなる下地層と、該下地層の結晶配向性を制御するための非磁性層と、該非磁性層より下に設けられる軟磁性層とを備える垂直磁気記録媒体において、
    前記非磁性層は、前記軟磁性層の上に設けられ、非晶質材料からなる第1非磁性層と、該第1非磁性層の上に設けられ、fcc構造を有する結晶質材料からなる第2非磁性層とから構成され、
    前記磁気記録層は、柱状に成長して磁性の結晶粒子を形成するCo系合金と、該結晶粒子の間に非磁性の粒界部を形成する複数の酸化物とからなることを特徴とする垂直磁気記録媒体。
  5. 前記第1非磁性層は、
    Ni、Fe、Co、Cu、Zn、Pd、Ptの群から選択される1または複数の元素、もしくは該元素の化合物と、
    Ta、Ti、Hf、Re、Os、Ir、Mo、Nb、Zr、Vの群から選択される1または複数の元素、もしくは該元素の化合物と、
    を含むことを特徴とする請求項4に記載の垂直磁気記録媒体。
  6. 前記第2非磁性層は、
    Ni、Co、Cu、Cr、Y、Agの群から選択される1または複数の元素、もしくは該元素の化合物と、
    W、Cr、Mo、Re、Al、Cu、Mnの群から選択される1または複数の元素、もしくは該元素の化合物と、
    を含むことを特徴とする請求項4に記載の垂直磁気記録媒体。
  7. 前記酸化物は、Si、Ti、Cr、Co、Ta、Ru、Cuの群から選択される元素の酸化物であることを特徴とする請求項4に記載の垂直磁気記録媒体。
  8. 基体上に軟磁性層を成膜し、
    前記軟磁性層上に、前記基体にバイアス電圧を印加せずに非晶質のNi化合物からなる第1非磁性層を成膜し、
    前記第1非磁性層上に、前記基体にバイアス電圧を印加しながら結晶質のNi化合物からなる第2非磁性層を成膜し、
    前記第2非磁性層上に、RuまたはRu化合物からなる下地層を成膜し、
    前記下地層より上に、信号を記録する磁気記録層を成膜することを特徴とする垂直磁気記録媒体の製造方法。
  9. 前記第1非磁性層は、Niと、Ta、Ti、Hf、Re、Os、Ir、Mo、Nb、Zr、Vの群から選択される1または複数の元素の化合物からなることを特徴とする請求項8に記載の垂直磁気記録媒体の製造方法。
  10. 前記第2非磁性層は、Niと、W、Cr、Mo、Re、Al、Cu、Mnの群から選択される1または複数の元素の化合物からなることを特徴とする請求項8に記載の垂直磁気記録媒体の製造方法。
  11. 基体上に、信号を記録する磁気記録層と、該磁気記録層より下に設けられRuまたはRu化合物からなる下地層と、該下地層の下に設けられ非磁性の結晶質材料からなり該下地層の結晶配向性を制御するための第2非磁性層と、該第2非磁性層より下に設けられ非晶質材料からなる第1非磁性層と、該第1非磁性層より下に設けられる軟磁性層とを備える垂直磁気記録媒体の製造方法において、
    ビッカース硬さA(HV)の材料からなるターゲットを用いて前記軟磁性層を成膜し、
    ビッカース硬さB(HV)の材料からなるターゲットを用いて前記軟磁性層上に前記第1非磁性層を成膜し、
    前記基体にバイアス電圧を印加しながら前記第1非磁性層上に前記第2非磁性層を成膜し、
    前記ビッカース硬さAと前記ビッカース硬さBの関係式は、A<Bを満たすことを特徴とする垂直磁気記録媒体の製造方法。
  12. 前記第2非磁性層はNiWからなることを特徴とする請求項11に記載の垂直磁気記録媒体の製造方法。
  13. 前記第1非磁性層は、NiTaまたはNiTiからなることを特徴とする請求項11に記載の垂直磁気記録媒体の製造方法。
  14. 前記第1非磁性層のTaの含有量は、40at%〜85at%であることを特徴とする請求項13に記載の垂直磁気記録媒体の製造方法。
  15. 前記ビッカース硬さBは、800HV以上であることを特徴する請求項11に記載の垂直磁気記録媒体の製造方法。
  16. 前記第1非磁性層の膜厚は、1nm〜3nmであることを特徴する請求項11に記載の垂直磁気記録媒体の製造方法。
  17. 基体上に、信号を記録する磁気記録層と、該磁気記録層より下に設けられRuまたはRu化合物からなる下地層と、該下地層の下に設けられ非磁性の結晶質材料からなり該下地層の結晶配向性を制御するための第2非磁性層と、該第2非磁性層より下に設けられる軟磁性層とを備える垂直磁気記録媒体において、
    前記第2非磁性層と前記軟磁性層との間に、非晶質材料からなり、該第2非磁性層をスパッタ成膜する際の衝撃から該軟磁性層を防護するための第1非磁性層を設けたことを特徴とする垂直磁気記録媒体。
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