JP2010262994A - 光透過性電磁波シールド材の製造方法、及び光透過性電磁波シールド材 - Google Patents

光透過性電磁波シールド材の製造方法、及び光透過性電磁波シールド材 Download PDF

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秀章 竹之内
Hideshi Kotsubo
秀史 小坪
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芳典 岩淵
Tatsuya Funaki
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Abstract

【課題】寸法精度の優れたメッシュ状の導電層を有する光透過性電磁波シールド材を提供する。
【解決手段】バインダー樹脂及び粒子を含む組成物を透明基材11上に塗布することにより、表面粗さRaが2〜10nmであるアンカーコート層12を形成する工程と、
前記アンカーコート層12上に、複合金属酸化物及び/又は複合金属酸化物水化物と、合成樹脂とを含む無電解めっき前処理剤をメッシュ状に印刷して、メッシュ状の前処理層13を形成する工程と、
前記前処理層13上に、無電解めっき処理により、メッシュ状の金属導電層14を形成する工程と、を有することを特徴とする光透過性電磁波シールド材の製造方法。
【選択図】図1

Description

本発明は、プラズマディスプレイパネル(PDP)の前面フィルタや、病院などの電磁波シールドを必要とする建築物の窓に用いられ得る貼着用シート等として有用な光透過性電磁波シールド材の製造方法、前記方法により製造された光透過性電磁波シールド材、および前記光透過性電磁波シールド材を含むディスプレイ用パネルに関する。
近年、OA機器や通信機器等の普及にともない、これらの機器から発生する電磁波によりもたらされる人体への影響が懸念されている。また、携帯電話等の電磁波により精密機器が誤作動などを起こす場合もあり、電磁波は問題視されている。
そこで、OA機器のPDPの前面フィルタとして、電磁波シールド性および光透過性を有する光透過性電磁波シールド材が開発され、実用に供されている。このような光透過性電磁波シールド材はまた、電磁波から精密機器を保護するために、病院や研究室等の精密機器設置場所の窓材としても利用されている。
この光透過性電磁波シールド材では、光透過性と電磁波シールド性を両立することが必要である。そのために、光透過性電磁波シールド材には、例えば、(1)透明基板の一方の面に、金属線又は導電性繊維を網状にした導電メッシュからなる電磁波シールド層が設けられたものが使用される。この導電性のメッシュの部分によって電磁波がシールドされ、開口部によって光の透過が確保される。
この他にも、光透過性電磁波シールド材には、電子ディスプレイ用フィルタとして種々のものが提案されている。例えば、(2)金属銀を含む透明導電薄膜が設けられた透明基板、(3)透明基板上の銅箔等の層を網状にエッチング加工し、開口部を設けたもの、(4)透明基板上に導電性粉末を含む導電性インクをメッシュ状に印刷したもの、等が一般的に知られている。
このような電磁波シールド層において、優れた光透過性と電磁波シールド性を両立させるには、メッシュ状の透明導電層を用い、極めて線幅を細くし、非常に微細なパターンとする必要がある。しかしながら、前記した従来の光透過性電磁波シールド材では、光透過性と電磁波シールド性を十分に両立させるのが困難であった。すなわち、(1)の光透過性電磁波シールド材では、細線化に限界があり、微細なメッシュパターンを得るのが困難なうえ、目ずれや目曲がりなどの繊維の配列が乱れる問題がある。(2)の光透過性電磁波シールド材の場合、電磁波シールド性が十分ではなく、金属特有の反射光沢が強いなどの問題がある。(3)の光透過性電磁波シールド材では、製造工程が長く、コストが高くなるなどの問題がある。また、(4)の光透過性電磁波シールド材では、十分な電磁波シールド性を得ることが困難であり、電磁波シールド性を向上させるためにパターンを厚くして導電性粉末の量を多くすると、光透過性が低下するなどの問題を有している。
そこで、特許文献1では、複合金属酸化物(水化物)と合成樹脂とを含む無電解めっき前処理剤を透明基板上にメッシュ状に印刷することにより、前記透明基板上にメッシュ状の前処理層を形成する工程、及び、前記前処理層上に無電解めっき処理によりメッシュ状の金属導電層を形成する工程を含む光透過性電磁波シールド材の製造方法が開示されている。
このような特許文献1の方法によれば、分散性の高い複合金属酸化物(水化物)を用いることでスジやカブリの発生もない微細なパターンを有する前処理層を形成することが可能となる。したがって、前処理層上に均一な厚さで精度よく形成された金属導電層を得ることができる。
特開2008−85305号公報
しかしながら、特許文献1の方法によっても、均一な厚さや高精細なパターンを有するメッシュ状の導電層が得られない場合があり、さらなる改善が求められている。
したがって、本発明の目的は、寸法精度の優れたメッシュ状の導電層を有する光透過性電磁波シールド材を提供することである。
上述した問題は、透明基板上に印刷された無電解めっき前処理剤がダレたり、広がるなどして、これらのインクを設計寸法通りに精度よく印刷することができず、結果として微細なパターンを有するメッシュ状の金属導電層を形成するのが困難であったために生じると考えられる。本発明者等はこのような点に着目し、種々の検討を行った結果、粒子を含む特定の表面粗さを有するアンカーコート層を形成することにより上記課題を解決できることを見出した。
すなわち、本発明は、
バインダー樹脂及び粒子を含む組成物を透明基材上に塗布することにより、表面粗さRaが2〜10nmであるアンカーコート層を形成する工程と、
前記アンカーコート層上に、複合金属酸化物及び/又は複合金属酸化物水化物と、合成樹脂とを含む無電解めっき前処理剤をメッシュ状に印刷して、メッシュ状の前処理層を形成する工程と、
前記前処理層上に、無電解めっき処理により、メッシュ状の金属導電層を形成する工程と、を有することを特徴とする光透過性電磁波シールド材の製造方法により上記課題を解決する。
本発明の方法は、粒子を用いて特定の表面粗さを有するアンカーコート層を形成することを特徴とする。このようなアンカーコート層上には、無電解めっき前処理剤をダレ、ハジキ等が発生することなく印刷することができ、線幅や厚さが均一であり寸法精度が優れた(即ち、設計寸法との差がほとんど無い)メッシュ状の前処理層を容易に形成することができる。さらに、アンカーコート層は、前処理層との接触面積が大きく、アンカーコート層と前処理層とが強固に接着することができる。したがって、製造工程において前処理層や金属導電層が剥離することがなく、均一な厚さや高精細なパターンを有するメッシュ状の金属導電層を安定して製造することが可能となる。
本発明の製造方法を、各工程に沿って説明した説明図である。
本発明の製造方法の各工程を説明するための概略断面図を図1に示す。
本発明の方法では、まず、バインダー樹脂及び粒子を含む組成物を、透明基材11の一方の面上に塗布することにより、表面粗さRaが2〜10nmであるアンカーコート層12を形成する(図1の矢印A1)。バインダー樹脂及び粒子を用いることにより、所定の表面粗さを有するアンカーコート層12を容易に形成することができる。このようなアンカーコート層12は、無電解めっき前処理剤を高精度で印刷できる他、透明基材11及びメッシュ状の前処理層13との接着性に優れる。
次に、アンカーコート層12上に、複合金属酸化物及び/又は複合金属酸化物水化物と、合成樹脂とを含む無電解めっき前処理剤をメッシュ状に印刷して、メッシュ状の前処理層13を形成する(図1の矢印A2)。アンカーコート層12はメッシュ状の前処理層13との接触面積が大きく、アンカーコート層12に強固に接着したメッシュ状の前処理層13を高精度且つ容易に形成することができる。
そして、メッシュ状の前処理層11上に、金属を無電解めっき処理することにより、メッシュ状の金属導電層14を形成する(図1の矢印A3)。アンカーコート層12に強固に接着したメッシュ状の前処理層13は微細な構造を有し、後工程で剥離することがないため、このようなメッシュ状の前処理層13上には、均一な厚さで高精細なパターンを有するメッシュ状の金属導電層14を形成することができる。
以下に、本発明の方法を工程ごとに順を追って詳細に説明する。
(アンカーコート層形成工程)
本発明の方法では、バインダー樹脂及び粒子を含む組成物を透明基材上に塗布することにより、表面粗さRaが2〜10nmであるアンカーコート層を形成する工程を実施する。
アンカーコート層の表面粗さRaは、2〜10nm、より好ましくは3〜9nm、特に好ましくは5〜9nmである。このような表面粗さを有するアンカーコート層は、無電解めっき前処理剤の印刷精度に優れるだけでなく、メッシュ状の前処理層及び透明基板との接着性に優れる。表面粗さRaが2nm未満である場合、前処理層とアンカーコート層との十分な密着性が得られない恐れがある。表面粗さRaが10nmを超える場合、アンカーコート層上に形成されるメッシュ状の前処理層のパターン精度が低下する恐れがある。
なお、アンカーコート層の表面粗さRaは、JIS B 0601(1994)に従って、表面粗さ計(サーフコム480A 株式会社東京精密製)を用いて測定することができる。
アンカーコート層に用いられる粒子の平均粒径は、好ましくは10〜50nm、より好ましくは20〜40nmである。このような平均粒径を有する粒子によれば、上述した表面粗さを有するアンカーコート層を容易に形成することができる。なお、粒子の平均粒径は、粒子の一次粒子の平均粒径とする。
粒子は、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、酸化チタン、アルミナ、シリカ、硝子、タルク、マイカ、酸化マグネシウム、酸化亜鉛、及びジルコニアなどの透明無機粒子が好ましく用いられる。なかでも、前処理層との密着性に優れるアンカーコート層が得られることから、アルミナ、シリカ、ジルコニア、及び酸化チタンが特に好ましく挙げられる。
透明無機粒子は、脂肪酸やシリコーンカップリング剤、チタネート系カップリング剤などで表面処理が施されたものであってもよい。
アンカーコート層中の粒子の含有量は、バインダー樹脂100質量部に対して、好ましくは5〜200質量部、より好ましくは10〜100質量部、特に好ましくは10〜50質量部であるのが好ましい。このような含有量で粒子を含むアンカーコート層は、多孔質構造を有し、前処理層との密着性だけでなく、インク吸収性にも優れ、前処理層をより精度よく形成することができる。
このようにアンカーコート層は、多孔質構造を有するのが好ましい。多孔質構造は、アンカーコート層の厚さ方向に連続した孔を有しているのが好ましい。アンカーコート層は、平均孔径が0.01〜10μm、特に0.01〜1.0μmの孔が連続した多孔質構造を有しているのが好ましい。平均孔径が0.01μmの連続孔では、十分なインク吸収性が得られない恐れがある。また、平均孔径が10μmを超える連続孔では、前処理剤が孔内に落ち込み、前処理層を高精度に形成できない恐れがある。
なお、本発明において、アンカーコート層に用いられる粒子(一次粒子)の平均粒径は、アンカーコート層を走査型電子顕微鏡(SEM)により倍率100万倍程度で観測し、少なくとも100個の粒子の投影面積円相当径を求めた数平均値とする。また、アンカーコート層の平均孔径についても、アンカーコート層を走査型電子顕微鏡(SEM)により倍率100万倍程度で観測し、少なくとも100個の孔径を求めた数平均値とする。
アンカーコート層に用いられるバインダー樹脂のガラス転移温度は、好ましくは10℃以下、特に好ましくは1〜10℃である。また、バインダー樹脂の数平均分子量Mnは、10,000〜30,000、好ましくは10,000〜25,000、特に好ましくは15,000〜25,000の範囲内である。このようなバインダー樹脂によれば、無電解めっき前処理剤の吸収性に優れたアンカーコート層を形成することができ、無電解めっき前処理剤を高精度で印刷することが可能となる。
なお、本発明において、合成樹脂のガラス転移温度及び数平均分子量は、後記する実施例に記載の測定方法を用いて実施することができる。
バインダー樹脂のヒドロキシル価は、好ましくは1〜10KOHmg/g、より好ましくは4〜9KOHmg/gである。このようなヒドロキシル価のヒドロキシル基及び/又はカルボキシル基を有するバインダー樹脂によれば、無電解めっき前処理剤の吸収性に優れたアンカーコート層を形成することができる。
なお、本発明において、バインダー樹脂のヒドロキシル価は、JIS−K0070に基づいて測定した値をいう。
バインダー樹脂として具体的には、アクリル樹脂、ポリウレタン樹脂、及びポリエステル樹脂が好ましく挙げられる。これらの樹脂によれば、無電解めっき前処理剤の吸収性に優れるだけでなく、耐酸性及び耐アルカリ性に優れ、無電解めっき処理にも十分に耐えられる前処理層を形成することが可能となる。なかでも、ポリエステル樹脂を用いるのが特に好ましい。ポリエステル樹脂は、溶剤に対する溶解性が高いものが好ましい。したがって、非結晶性ポリエステル樹脂が特に好ましい。
ポリエステル樹脂は、ポリエチレングリコールテレフタレート又はポリブチレングリコールテレフタレートなどのポリエステルにおける酸成分又はグリコール成分の一部を他の成分(共重合単量体)に換えてランダム重合させることによって融点及び結晶性を低下させて溶解性を付与することにより製造することができる。共重合単量体として使用される酸成分としては、例えばオルトフタル酸;イソフタル酸;2,6−ナフタレンジカルボン酸;パラフェニレンジカルボン酸などの芳香族2価カルボン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸などの脂環式2価カルボン酸、コハク酸;グルタル酸;アジピン酸;スベリン酸;アゼライン酸;セバシン酸などの脂肪族2価カルボン酸がある。また、グリコール成分としては、1,2−プロピレングリコール;1,4−ブタンジオール;1,5−ペンタンジオール;1,6−ヘキサンジオール;ネオペンチルグリコールなどの脂肪族2価アルコール、ジエチレングリコール;トリエチレングリコール;ジプロピレングリコール;トリプロピレングリコールなどのポリグリコールがある。これら共重合単量体は、単独でも、また2種以上を組み合わせて使用してもよい。
アンカーコート層形成用組成物は、上述した粒子及びバインダー樹脂の他に、シリコーンオイルをさらに含有するのが好ましい。シリコーンオイルを含有するアンカーコート層は、無電解めっき前処理剤の印刷精度をさらに向上させることができる。
アンカーコート層におけるシリコーンオイルの含有量は、バインダー樹脂100質量部に対して、好ましくは0.01〜0.5質量部、より好ましくは0.01〜0.1質量部である。
シリコーンオイルとしては、ジメチルシリコーンオイル、メチルフェニルシリコーンオイル、メチルハイドロジェンシリコーンオイル、ポリエーテル変性シリコーンオイル、アルキル変性シリコーンオイル、アミノ変性シリコーンオイル、及びエポキシ変性シリコーンオイルを挙げることができる。なかでも、上記シリコーンオイルとしては、ジメチルシリコーンオイルが好ましい。
ジメチルシリコーンオイルは、一般に、末端、側鎖がメチル基のジメチルポリシロキサンであり、メチルフェニルシリコーンオイルは、末端、側鎖がメチル基のジメチルポリシロキサンの側基のメチル基の一部がフェニル基に置き換わったフェニル化ポリシロキサンであり、メチルハイドロジェンシリコーンオイルは末端、側鎖がメチル基のジメチルポリシロキサンの側基のメチル基の一部が水素に置き換わった水素化ポリシロキサンであり、これらは一般に直鎖状シリコーンオイルである。
アルキル変性シリコーンオイル、アミノ変性シリコーンオイル、及びエポキシ変性シリコーンオイルは、一般に、上記ポリシロキサンの末端又は側鎖の一部が有機基(ポリエーテル基、アルキル基又はエポキシ基)に置き換わった変性ポリシロキサンである。
アンカーコート層形成用組成物は、さらに、有機溶剤を含むのが好ましい。また、前記組成物には、さらにフィラー、界面活性剤などを適宜添加してもよい。
有機溶剤としては、エチレンジクロリド、シクロヘキサノン、メチルエチルケトン、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロプルアルコール、n−ブタノール、エチレングリコールモノメチルエーテル、1−メトキシ−2−プロパノール、2−メトキシエチルアセテート、1−メトキシ−2−プロピルアセテート、ジメトキシエタン、乳酸メチル、乳酸エチル、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、テトラメチルウレア、N−メチルピロリドン、ジメチルスルホキシド、スルホラン、γ−ブチルラクトン、トルエン、テトラヒドロフラン、酢酸2−メトキシエチル、水等を挙げることができる。これらの溶剤は、一種単独で用いられてもよく、二種以上を混合して用いることもできる。
有機溶剤の含有量は、アンカーコート層形成用組成物の全量に対して、60〜99質量%、特に65〜80質量%であるのが好ましい。
アンカーコート層は、一般的に、バインダー樹脂、粒子、有機溶剤、及び必要に応じてシリコーンオイルを含む組成物を塗布、硬化させることにより形成される。前記組成物の塗布方法としては、グラビアコート、マイクログラビアコート、ダイコート、リップコート、ロールリバースコート、ワイヤーバーコート、キスコート等既存のコーティング法のいずれでも採用することができる。なかでもマイクログラビアコートを用いて行うのが好ましい。
塗布した組成物の硬化は、常温でも可能であり、その場合、例えば1〜5日(特に2〜4日)の間放置する。加熱すれば、その温度に応じて加熱時間は短縮される。塗布した組成物は、80〜140℃、特に90〜120℃に加熱して、硬化させるのが好ましい。この際の加熱時間は、0.5〜3分程度であればよい。
アンカーコート層の厚さは、0.1〜5μm、特に0.1〜1μmが好ましい。
前記組成物を塗布する透明基材としては、透明性(特に、可視光に対して)を有する基板であれば良く、その材料の例として、ポリエステル(例、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリブチレンテレフタレート)、アクリル樹脂(例、ポリメチルメタクリレート(PMMA))、ポリカーボネート(PC)、ポリスチレン、セルローストリアセテート、ポリビニルアルコール、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリエチレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、ポリビニルブチラール、金属イオン架橋エチレン−メタクリル酸共重合体、ポリウレタン、セロファン等を挙げることができる。これらの中で、加工処理(加熱、溶剤、折り曲げ)による劣化が少なく、透明性の高い材料であるPET、PEN、PC、PMMAが好ましい。
この透明基材の厚さは、光透過性電磁波シールド材の用途等によっても異なるが、通常の場合1μm〜5mmの範囲、特に10μm〜1mmの範囲にあることが好ましい。
(メッシュ状の前処理層形成工程)
次に、本発明の方法では、複合金属酸化物及び/又は複合金属酸化物水化物と、合成樹脂とを含む無電解めっき前処理剤をメッシュ状に印刷して、メッシュ状の前処理層を形成する工程を実施する。
無電解めっき前処理剤において複合金属酸化物及び複合金属酸化物水化物は分散性に優れ、これらが印刷時に均一に高分散且つ固着することにより、無電解めっき前処理剤をほぼ設計通りの寸法の形状でアンカーコート層上に印刷することが可能となる。このようなメッシュ状の前処理層上に無電解めっき処理を行うことで、線幅の小さい微細なメッシュ状の金属導電層を形成することが可能となる。
前記無電解めっき前処理剤に用いられる複合金属酸化物及び複合金属酸化物水化物としては、Pd、Ag、Si、Ti及びZrよりなる群から選択される少なくとも2種の金属元素を含むものが好ましく用いられる。より好ましくは、Pd又はAgの金属元素と、Si、Ti又はZrの金属元素とを含むものが挙げられる。このような複合金属酸化物及び複合金属酸化物水化物は、高いめっき金属析出能力を有し、さらに前処理剤中での安定性及び分散性に優れた特性を有する。
なかでも、前記特性が特に優れることから、下記式(I)
Figure 2010262994
(式中、M1はPd又はAgを表し、M2はSi、Ti又はZrを表し、M1がPdである場合、xは1であり、M1がAgである場合、xは2であり、nは1〜20の整数である)で示される複合金属酸化物水化物を用いるのが特に好ましい。
前記式(I)において、M1はPd又はAgであるが、Pdであるのが好ましい。また、M2はSi、Ti又はZrであるが、Tiであるのが好ましい。これにより、高いめっき析出能力を有する複合金属酸化物水水化物が得られる。
前記複合金属酸化物水化物として具体的には、PdSiO3、Ag2SiO3、PdTiO3、Ag2TiO3、PdZrO3及びAg2TiO3などの水化物が挙げられる。
上述した複合金属酸化物水化物は、それぞれの相当する金属塩、例えば塩酸塩、硫酸塩、硝酸塩、ハロゲン化物、オキシハロゲン化物、相当する金属酸化物の水和物等を原料とし、これらを加熱し、加水分解する方法などを用いることによって得られる。
また、複合金属酸化物としては、M1 X・M23(M1、M2及びXについては、上記式(I)と同義である)で示されるものが好ましく用いられる。
無電解めっき前処理剤に用いられる複合金属酸化物及び前記複合金属酸化物水化物の平均粒径は、0.01〜10μm、特に0.05〜3μmのものを用いるのが好ましい。これにより、凝集が抑制された高い分散性および触媒活性を有する複合金属酸化物及び前記複合金属酸化物水化物とすることができる。
なお、本発明において、複合金属酸化物及び前記複合金属酸化物水化物の平均粒径は、前処理層の断面を電子顕微鏡(好ましくは透過型電子顕微鏡)により倍率100万倍程度で観測し、少なくとも100個の複合金属酸化物及び前記複合金属酸化物水化物の投影面積円相当径を求めた数平均値とする。
複合金属酸化物及び前記複合金属酸化物水化物の含有量は、前記合成樹脂100質量部に対して、好ましくは10〜100質量部、より好ましくは10〜70質量部とするのが好ましい。前記含有量が、10質量部未満では十分なめっき析出能力が得られない恐れがあり、100質量部を超えるとこれらの複合金属酸化物の凝集に基づくスジやカブリが形成する恐れがある。
無電解めっき前処理剤は、合成樹脂を含む。これにより、前処理層のアンカーコート層及び導電層との密着性を向上させることができ、前処理層が剥離し難くなり、導電層をより精度よく形成することが可能となる。
前記合成樹脂は、アンカーコート層および導電層との密着性を確保できるものであれば、特に制限されない。前記合成樹脂として、好ましくは、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、塩化ビニル樹脂、およびエチレン酢酸ビニル共重合体樹脂などが挙げられる。なかでもポリウレタン樹脂が好ましい。これらの合成樹脂は、1種単独で用いられてもよいほか、2種以上を混合して用いてもよい。
ポリウレタン樹脂としては、ポリエステル系ウレタン樹脂 、ポリエーテル系ウレタン樹脂、ポリカーボネート系ウレタン樹脂などが挙げられる。なかでも、ポリエステル系ウレタン樹脂が好ましく挙げられる。これらによれば、透明基材および導電層との高い密着性が得られ、前処理層上に導電層を精度よく形成することができる。
無電解めっき前処理剤における合成樹脂の含有量は、無電解めっき前処理剤の全量に対して、10〜100質量%、特に10〜30質量%とするのが好ましい。これにより、高い密着性を有する前処理層を形成することが可能となる。
メッシュ状の前処理層を、活性水素を含む基を有する合成樹脂と、少なくとも2個のイソシアネート基を有するポリイソシアネートとを用いて形成してもよい。これらを含む無電解めっき前処理剤の硬化層を前処理層として使用することで、金属導電層に対する前処理層の密着性をさらに向上させることができる。
活性水素を含む基としては、ヒドロキシル基、1級アミノ基、2級アミノ基、カルボキシル基等を挙げることができ、ヒドロキシル基が好ましい。活性水素を含む基の当量(例、ヒドロキシル価)は、樹脂(1g)に対して10〜300mgKOH/g、特に30〜100mgKOH/gの範囲が好ましい。
ポリイソシアネートとしては、トリレンジイソシアネート(TDI)、イソホロンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、ジフェニルメタン−4,4−ジイソシアネート等の芳香族系ポリイソシアネート;ジシクロペンタニルジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、2,4,4’−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、2,2’,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネートを挙げることができる。またトリメチロールプロパンのTDI付加体等の3官能以上のイソシアネート化合物等のポリイソシアネートも使用することができる。これらの中で芳香族系ポリイソシアネートが好ましい。
バインダー樹脂に対するポリイソシアネートの使用量は、2〜30質量%、特に5〜20質量%が好ましい。
また、無電解めっき前処理剤は、さらに無機微粒子を含んでいてもよい。無機微粒子を含有することにより、印刷精度を向上することができ、より精度の高い導電層を形成することが可能となる。無機微粒子としては、シリカ、炭酸カルシウム、アルミナ、タルク、マイカ、ガラスフレーク、金属ウィスカー、セラミッックウィスカー、硫酸カルシウムウィスカー、スメクタイト等が好ましく挙げられる。これらは、1種単独で用いられてもよい他、2種以上を混合して用いてもよい。
無機微粒子の平均粒径は、0.01〜5μm、特に0.1〜3μmとするのが好ましい。無機微粒子の平均粒径が、0.01μm未満であると無機微粒子の添加により所望するほどの印刷精度の向上が得られない恐れがあり、5μmを超えるとスジやカブリが発生し易くなる恐れがある。
無電解めっき前処理剤における無機微粒子の含有量は、前記合成樹脂100質量部に対して、10〜100質量部、特に10〜30質量部とするのが好ましい。これにより、高い印刷適正を持った前処理剤とすることができる。
また、無電解めっき前処理剤は、さらにチキソトロピック剤を含有してもよい。チキソトロピック剤によれば、前処理剤の流動性を調整することにより印刷精度を向上させることができ、より精度の高い導電層を形成することが可能となる。チキソトロピック剤としては、従来公知のものであれば使用できる。好ましくは、アマイドワックス、硬化ひまし油、蜜ロウ、カルナバワックス、ステアリン酸アミド、ヒドロキシステアリン酸エチレンビスアミド等を使用することができる。
無電解めっき前処理剤におけるチキソトロピック剤の含有量は、合成樹脂100質量部に対して、0.1〜20質量部、特に1〜15質量部とするのが好ましい。これにより、高い印刷適正を持った前処理剤とすることができる。
本発明の無電解めっき前処理剤は、黒色着色剤をさらに含有していてもよい。これにより、印刷精度の向上とともに、得られる光透過性電磁波シールド材において透明基材側から見た際の防眩効果を付与することができる。
黒色着色剤としては、カーボンブラック、チタンブラック、黒色酸化鉄、黒鉛、および活性炭などが好ましく挙げられる。これらは、1種単独で用いられてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。なかでも、カーボンブラックが好ましい。カーボンブラックとしては、アセチレンブラック、チャンネルブラック、ファーネスブラック等が挙げられる。カーボンブラックの平均粒径は、好ましくは0.1〜1,000nm、特に好ましくは5〜500nmである。
無電解めっき前処理剤における黒色着色剤の含有量は、合成樹脂100質量部に対して、0.1〜10質量部、特に1〜5質量部とするのが好ましい。これにより、防眩効果を有する前処理層を精度よく形成することが可能となる。
黒色着色剤を用いる場合、市販されている墨インキを用いて無電解めっき前処理剤を調製するのが好ましい。このような墨インキとしては、東洋インキ製造株式会社製 SS8911、十条ケミカル株式会社製 EXG−3590、大日精化工業株式会社製 NTハイラミック 795R墨などがある。例えば、東洋インキ製造株式会社製 SS8911の場合、溶剤中に、カーボンブラックの他、さらに塩化ビニルおよびアクリル樹脂などを含む。したがって、市販品であれば、合成樹脂および黒色着色剤を含む無電解めっき前処理剤の調製を容易に行うことができる。
また、無電解めっき前処理剤は、有機溶剤を含んでいるのが好ましい。前記有機溶剤は、アンカーコート層形成用組成物に用いられるものと同じものが用いられる。
有機溶剤は、アンカーコート層に含まれるバインダー樹脂を溶解できるものを用いるのが特に好ましい。このような有機溶剤としては、シクロヘキサノン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン(MIBK)、及びトルエンが特に好ましく挙げられる。これらの有機溶剤を含む無電解めっき前処理剤は、アンカーコート層に含まれるバインダー樹脂を溶解することにより、アンカーコート層上に印刷された後に広がるのを抑制され、高精度で印刷することができる。
有機溶剤の含有量は、無電解めっき前処理剤の全量に対して、50〜90質量%、特に65〜85質量%とするのが好ましい。
前記無電解めっき前処理剤には、必要に応じて体質顔料、界面活性剤などの各種添加剤をさらに含有させてもよい。
前記無電解めっき前処理剤の粘度は、印刷により微細な線幅および間隙(ピッチ)を有する前処理層を得るためには、25℃において、好ましくは500〜5000cps、より好ましくは1000〜3000cpsとするのがよい。
前記無電解めっき前処理剤をアンカーコート層に印刷するには、グラビア印刷、フレキソ印刷、グラビアオフセット印刷、スクリーン印刷、インクジェット印刷、静電印刷等の印刷方法を用いることができる。特に、細線化のためには、グラビア印刷、グラビアオフセット印刷が好適である。グラビア印刷を用いる場合、印刷速度は5〜50m/分とするのがよい。
このように前記無電解めっき前処理剤を印刷した後、好ましくは80〜160℃、より好ましくは90〜130℃で加熱することにより乾燥させるのがよい。乾燥温度が80℃未満では溶媒の蒸発速度が遅く十分な成膜性が得られない恐れがあり、160℃を超えると化合物の熱分解が生じる恐れがある。塗布後に熱乾燥させる場合の乾燥時間は5秒〜5分が好ましい。
メッシュ状(格子状を含む)の前処理層の線幅は、一般に25μm以下、好ましくは5〜20μmで、特に5〜15μmを有する。線のピッチは300μm以下が好ましい。また、開口率は75〜95%であることが好ましく、特に80〜95%である。
前処理層の線で囲まれた開口部の形状は、円、楕円、角形(4角形、6角形)など任意の形状とすることができるが、一般に角形であり、特に正方形であることが好ましい。また線は網状であるが、格子状とすることが好ましい。
前記前処理層の厚さは、0.01〜5μm、好ましくは0.1〜2μmとするのがよい。
(還元処理工程)
本発明の方法では、上述の通りにしてアンカーコート層上にメッシュ状の前処理層を形成する工程の後、メッシュ状の金属導電層を形成する工程の前に、前記前処理層に還元処理を行う工程を実施するのが好ましい。還元処理することで、前記前処理層に含まれる無電解めっき触媒である複合金属酸化物及び複合金属酸化物水化物に含まれる金属種を還元し、活性成分である金属種のみを超微粒子状で均一に析出させることができる。このように還元析出した金属種は、高い触媒活性を有し且つ安定であることから、無電解めっきの析出速度を向上させ、さらには複合金属酸化物(水化物)の使用量を少なくすることが可能となる。
前記還元処理は、前処理層に含まれる複合金属酸化物(水化物)を還元して金属化できる方法であれば特に制限されない。具体的には、(i)前記前処理層が形成された透明基板を、還元剤を含む溶液を用いて処理する液相還元法、(ii)前記前処理層が形成された透明基板を、還元性ガスと接触させる気相還元法などが好ましく用いられる。
前記液相還元法において還元剤を含む溶液を用いて処理する方法として、具体的には、前記前処理層が形成された透明基板を還元剤を含む溶液中に浸漬させる方法、前記透明基板の前記前処理層が形成された面に還元剤を含む溶液をスプレーする方法などが用いられる。
前記還元剤を含む溶液は、所定の還元剤を水などの溶媒に分散又は溶解させて調製されるものである。前記還元剤としては、特に制限されないが、ホルムアミド、ジメチルホルムアミド、ジエチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、ジメチルアクリルアミド、水素化ホウ素ナトリウム、水素化ホウ素カリウム、ブドウ糖、アミノボラン、ジメチルアミンボラン(DMAB)、トリメチルアミンボラン(TMAB)、ヒドラジン、ジエチルアミンボラン、ホルムアルデヒド、グリオキシル酸、イミダゾール、アスコルビン酸、ヒドロキシルアミン、硫酸ヒドロキシルアミン、塩酸ヒドロキシルアミン、次亜リン酸、次亜リン酸ナトリウムなどの次亜リン酸塩、硫酸ヒドロキシルアミン、亜硫酸ナトリウムなどの亜硫酸塩、ハイドロサルファイト(Na224:亜二チオン酸ナトリウムともいう)等が挙げられる。前記還元剤は、後工程で用いる無電解めっき浴中に含まれる還元剤と同一のものを用いると、還元処理後の前記透明基板を水洗処理することなく無電解めっきを行うことができ、また無電解めっき浴の組成を変化させる恐れも少ない。
前記還元剤としては、高い還元性が得られることから、アミノボラン、ジメチルアミンボラン、次亜リン酸ナトリウム、硫酸ヒドロキシルアミン、ハイドロサルファイト、及びホルマリンを用いるのが好ましい。
前記還元剤を含む溶液における還元剤の含有量は、0.01〜200g/L、特に0.1〜100g/Lとするのが好ましい。還元剤の濃度が低すぎる場合には十分に還元処理を行うのに所要時間が長くなる恐れがあり、還元剤の濃度が高すぎる場合には析出させためっき触媒が脱落する恐れがある。
前記液相還元法において還元剤を含む溶液を用いて処理する方法としては、前処理層に含まれる複合金属酸化物(水化物)の高い還元性が得られることから、前記前処理層が形成された透明基板を還元剤を含む溶液中に浸漬させる方法を用いるのが好ましい。
前記透明基板を浸漬させる場合、前記還元剤を含む溶液の温度は、20〜90℃、特に50〜80℃とするのが好ましい。また、浸漬時間は、少なくとも1分以上、好ましくは1〜10分程度とすればよい。
一方、前記気相還元法を用いて還元処理を行う場合、前記還元性ガスとしては、水素ガス、ジボランガスなど、還元性を有する気体であれば特に制限されない。還元ガスを用いた還元処理時の反応温度および反応時間は、使用する還元ガスの種類などに応じて適宜決定すればよい。
(メッシュ状の導電層形成工程)
次に、本発明の方法では、上述の通りに形成した前処理層上に、無電解めっき処理により、メッシュ状の金属導電層を形成する工程を実施する。無電解めっき処理を行うことにより、微細な金属粒子が濃密で実質的な連続皮膜として沈積形成されて、前処理層上のみに選択的に導電層を得ることが可能となる。
めっき金属は、導電性を有してメッキ可能である金属であれば使用することができ、金属単体、合金、導電性金属酸化物等であってもよく、均一な金属薄膜又は一様に塗布された微細な微粒子等からなるものであってもよい。
無電解めっきにおけるめっき金属としては、アルミニウム、ニッケル、インジウム、クロム、金、バナジウム、スズ、カドミウム、銀、白金、銅、チタン、コバルト、鉛等を用いることができる。特に、高い電磁波シールド性が得られる導電層が得られることから、好ましくは、銀、銅又はアルミニウムが好ましく用いられる。これらのめっき金属を用いて形成される導電層は、前処理層との密着性に優れる他、光透過性と電磁波シールド性の両立に好適である。
前記無電解めっきは、無電解めっき浴を用いて常法に従って常温または加温下で行うことができる。即ち、めっき金属塩、キレート剤、pH調整剤、還元剤などを基本組成として含むめっき液を建浴したものにめっき基材を浸漬して行うか、構成めっき液を2液以上と分けて添加方式でめっき処理を施すなど適宜選択すれば良い。
無電解めっきとして一例を挙げると、Cuからなる導電層を形成する場合、硫酸銅等の水溶性銅塩1〜100g/L、特に5〜50g/L、ホルムアルデヒド等の還元剤0.5〜10g/L、特に1〜5g/L、EDTA等の錯化剤20〜100g/L、特に30〜70g/Lを含み、pH12〜13.5、特に12.5〜13に調整した溶液に、前処理層及びアンカーコート層を有する透明基材を50〜90℃、30秒〜60分浸漬する方法を採用することができる。
無電解めっきをする際に、めっきされる基板を揺動、回転させたり、その近傍を空気撹拌させたりしてもよい。
メッシュ状(格子状を含む)の導電層の線幅は、一般に25μm以下、好ましくは5〜20μmで、特に5〜15μmを有する。線のピッチは300μm以下が好ましい。また、開口率は75〜95%であることが好ましく、特に80〜95%である。
導電層の線で囲まれた開口部の形状は、円、楕円、角形(4角形、6角形)など任意の形状とすることができるが、一般に角形であり、特に正方形であることが好ましい。また線は網状であるが、格子状とすることが好ましい。
本発明の方法では、メッシュ状の導電層を形成する工程の後、電気めっき処理を行って前記導電層上に金属メッキ層を形成しても良い。
電気めっき処理に用いる材質としては、金属めっき層が優れた電磁波シールド効果を有するものであればよく特に制限はないが、例えば、銅、ニッケル、クロム、亜鉛、スズ、銀、及び、金等の金属が挙げられる。これらは、1種単独で使用されてもよく、2種以上の合金として使用されてもよい。
金属めっき層の厚さは、0.1〜10μmが好ましく、2〜5μmがより好ましい。前記厚みが0.1μm未満であると、充分な電磁波シールド効果を付与できないことがある一方、10μmを超えると、電気めっき層が巾方向にも広がることから、線幅が太くなり、導電層の開口率が低くなってしまうことがある。
金属めっき層における表面抵抗率としては、3Ω/□以下が好ましく、1Ω/□以下がより好ましい。金属めっき層の表面抵抗率が3Ω/□を超えると、導電性が不充分で、電磁波シールド効果が不充分となることがある。
また、メッシュ状の金属導電層又は金属めっき層には、黒化処理を行っても良く、例えば、金属層の酸化処理、クロム合金等の黒色メッキ、黒又は暗色系インキの塗布等を行うことができる。
上述した本発明の方法により得られる光透過性電磁波シールド材は、所定の表面粗さを有するアンカーコート層上に、線幅や厚さが均一な、寸法精度の優れた(即ち、設計寸法との差がほとんど無い)メッシュ状の前処理層を容易に形成することができ、メッシュ状の導電層の形状も寸法精度の優れたものが得られる。したがって、本発明の方法により得られる光透過性電磁波シールド材は、電磁波シールド性及び光透過性に優れる。
この光透過性電磁波シールド材は、透明基材、前記透明基材上に形成されたアンカーコート層、前記アンカーコート層に形成されたメッシュ状の前処理層、及び前記メッシュ状の前処理層上に形成されたメッシュ状の導電層を有し、前記アンカーコート層が、バインダー樹脂及び粒子を含み、且つ表面粗さRaが2〜10nmである。各層に用いられる成分については、上述した通りである。
本発明による光透過性電磁波シールド材は、光透過性が要求される用途、例えば電磁波を発生する各種電気機器のLCD、PDP、CRT等のディスプレイ装置のディスプレイ面、又は、施設や家屋の透明ガラス面や透明パネル面に好適に適用される。前記光透過性電磁波シールド材は、高い光透過性および電磁波シールド性を有しているので、前述したディスプレイ装置のディスプレイ用フィルタに好適に用いられる。
本発明のディスプレイ用フィルタは、特に制限されないが、前記方法によって製造された光透過性電磁波シールド材を、ガラス板等の透明基板に接着剤層などを介して貼り合わせる等することにより得られる。このようなディスプレイ用フィルタでは、メッシュ状の前処理層および金属導電層の開口部は、接着剤層により埋められる。
また、前記電子ディスプレイ用フィルタは、透明基板、アンカーコート層、前処理層、金属導電層、及び接着剤層の他、さらに反射防止層、色調補正フィルタ層、近赤外線カット層などを有していてもよい。これらの各層の積層の順序は、目的に応じて決定される。また、ディスプレイ用フィルタには、電磁波シールド機能を高めるために、PDP本体のアース電極と接続するための電極を設けてもよい。
以下、本発明を実施例により説明する。本発明は、以下の実施例により制限されるものではない。
(実施例1)
1.アンカーコート層の形成
アルミナ粒子(Al23、平均一次粒子径20nm)15質量部、及びトルエン84質量部、分散剤(不飽和ポリカルボン酸ポリアミノアマイド)1質量部を、ビーズミルにて2時間撹拌し、アルミナ粒子分散液を調製した。次に、アルミナ粒子分散液100質量部、メチルエチルケトン中にポリエステル樹脂(数平均分子量(Mn)20,000、ガラス転移温度(Tg)7℃、バイロン(登録商標)670:東洋紡績株式会社製)を30質量%含む溶液100質量部、メチルエチルケトン358質量部、トルエン446質量部、酢酸2−メトキシエチル68.5質量部、シリコーンオイル(組成ジメチレンシリコーン)0.036質量部、及び脂環族イソシアネート4質量部を混合することにより、アンカーコート層成形用組成物を調製した。
PETフィルム(厚さ100μm;Sグレード;(株)帝人製)上に、マイクログラビアコートにより、アンカーコート層形成用組成物を塗布した後、100℃、5分間乾燥し、アンカーコート層(厚さ0.5μm)を形成した。
2.メッシュ状の前処理層の形成
複合金属酸化物水化物粒子(PdTiO3・6H2O、平均粒径0.5μm)60質量部を、ポリエステル樹脂溶液(固形分濃度30質量%、シクロヘキサノンにポリエステル樹脂を溶解させた溶液)100質量部に配合して前処理剤を調製した。
次に、前記前処理剤を、アンカーコート層上にグラビア印刷によってパターニングした後、100℃、5分間乾燥させることにより、前記アンカーコート層上にメッシュ状の前処理層を形成した。なお、グラビア印刷版として、線幅16μm、線深さ6μm、線間隔300μmの溝を有する金型を用いた。また、メッシュ状の前処理層は、線幅20μm、厚さ0.5μmであった。
次に、上記で得られた前処理層が形成されたPETフィルムを、60℃の次亜リン酸ナトリウム溶液(NaH2PO2濃度:30g/L)に、3分間浸漬させ、前処理層の還元処理を行った。
3.金属導電層の作製
上記で還元処理された前処理層が形成されたPETフィルムを、無電解銅めっき液(メルテックス株式会社製 メルプレートCU−5100)に浸漬し、50℃、20分間で、無電解銅めっき処理してメッシュ状の金属導電層を作製し、光透過性電磁波シールド材を得た。前記金属導電層は、線幅23μm、厚さ0.7μmであった。
(実施例2)
アンカーコート層形成用組成物の調製において、アルミナ粒子(Al23、平均一次粒子径20nm)に代えて、アルミナ粒子(Al23、平均一次粒子径25nm)を用いた以外は実施例1と同様にして光透過性電磁波シールド材を作製した。
(実施例3)
アンカーコート層形成用組成物の調製において、アルミナ粒子(Al23、平均一次粒子径20nm)に代えて、アルミナ粒子(Al23、平均一次粒子径40nm)を用い、ポリエステル樹脂(バイロン(登録商標)670:東洋紡績株式会社製)に代えて、ポリエステル樹脂(数平均分子量(Mn)25,000、ガラス転移温度(Tg)10℃、AD−335A:東洋モートン株式会社製)を用いた以外は実施例1と同様にして光透過性電磁波シールド材を作製した。
(比較例1)
アンカーコート層を形成しなかった以外は実施例1と同様にして光透過性電磁波シールド材を作製した。
(比較例2)
アンカーコート層形成用組成物の調製において、アルミナ粒子(Al23、平均一次粒子径20nm)に代えて、アルミナ粒子(Al23、平均一次粒子径300nm)を用いた以外は実施例1と同様にして光透過性電磁波シールド材を作製した。
(評価)
1.アンカーコート層の表面粗さRa
アンカーコート層の表面粗さRaを、表面粗さ計(サーフコム480A 株式会社東京精密製)を用いて、JIS B 0601(1994)により規定された測定条件、測定長さ4mm、カットオフ値0.8mmで測定した。結果を表1に示す。
2.ガラス転移温度(Tg)
アンカーコート層の形成に使用したバインダー樹脂のガラス転移温度(Tg)を、動的粘弾性測定装置(レオメトリクス社製 RPS−II)を用いて、−50℃から100℃まで10℃/分で昇温しながら、歪み1%、周波数1Hzの条件で温度分散を測定し、これにより得られる損失正接(tanδ)の最大値をガラス転移温度とする。結果を表1に示す。
3.数平均分子量Mn
アンカーコート層の形成に使用したバインダー樹脂の数平均分子量Mnを、下記条件で測定した。結果を表1に示す。
装置:東ソー社製、高速液体クロマトグラフィー「HLC−8120GPC」、
カラム:東ソー社製、「Super H2000+H4000」、6mm I.D.,15cm、
溶離液:THF、
流速:0.500ml/min、
検出器:RI、
カラム恒温槽温度:40℃、
ポリスチレン標準。
4.メッシュ状の前処理層の密着性
アンカーコート層上に作製したメッシュ状の前処理層上に、セロハンテープ(ニチバン(株)製のCT24)を密着させた後に剥離した。目視にて剥離状況を確認した。結果を表1に示す。
なお、表1において、メッシュ状の前処理層の剥離が全く見られなかったものを「◎」とし メッシュ状の前処理層の一部に剥離が見られるものを「○」とし、メッシュ状の前処理層が全体的に剥離したものを「×」とした。
5.メッシュ状の金属導電層の寸法
アンカーコート層上に形成したメッシュ状の金属導電層の線幅を測定した。結果を表1に示す。
Figure 2010262994
本発明の方法により得られる光透過性電磁波シールド材は、優れた視認性と電磁波シールド性を備えたものであり、プラズマディスプレイパネル(PDP)前面フィルタ用として特に好適な光透過性電磁波シールド材であり、他のディスプレイ用のフィルタとしても好適な光透過性電磁波シールド材である。
さらに、電磁波の影響を避けることが求められる用途において広く使用可能な光透過性電磁波シールド材であり、例えば精密機器等に設けられた表示窓や病院や研究室等の窓材等の用途においても、好適に使用可能で同様の優位性を有する新規な光透過性電磁波シールド材である。
11 透明基材、
12 アンカーコート層、
13 メッシュ状の前処理層、
14 メッシュ状の金属導電層。

Claims (13)

  1. バインダー樹脂及び粒子を含む組成物を透明基材上に塗布することにより、表面粗さRaが2〜10nmであるアンカーコート層を形成する工程と、
    前記アンカーコート層上に、複合金属酸化物及び/又は複合金属酸化物水化物と、合成樹脂とを含む無電解めっき前処理剤をメッシュ状に印刷して、メッシュ状の前処理層を形成する工程と、
    前記前処理層上に、無電解めっき処理により、メッシュ状の金属導電層を形成する工程と、を有することを特徴とする光透過性電磁波シールド材の製造方法。
  2. 前記粒子の平均粒径が、10〜50nmであることを特徴とする請求項1に記載の光透過性電磁波シールド材の製造方法。
  3. 前記粒子の含有量が、前記バインダー樹脂100質量部に対して、5〜200質量部であることを特徴とする請求項1又は2に記載の光透過性電磁波シールド材の製造方法。
  4. 前記バインダー樹脂のガラス転移温度が10℃以下であり、数平均分子量Mnが10,000〜30,000の範囲内であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の光透過性電磁波シールド材の製造方法。
  5. 前記バインダー樹脂が、アクリル樹脂、ポリウレタン樹脂、及びポリエステル樹脂よりなる群から選択される少なくとも一種であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の光透過性電磁波シールド材の製造方法。
  6. 前記無電解めっき前処理剤が、シクロヘキサノン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、及びトルエンよりなる群から選択される少なくとも一種の有機溶剤を含むことを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の光透過性電磁波シールド材の製造方法。
  7. 請求項1〜6のいずれか1項に記載の方法により得られた光透過性電磁波シールド材。
  8. 透明基材、前記透明基材上に形成されたアンカーコート層、前記アンカーコート層に形成されたメッシュ状の前処理層、及び前記メッシュ状の前処理層上に形成されたメッシュ状の金属導電層を有し、
    前記アンカーコート層が、バインダー樹脂及び粒子を含み、且つ表面粗さRaが2〜10nmであることを特徴とする光透過性電磁波シールド材。
  9. 前記粒子の平均粒径が、10〜50nmであることを特徴とする請求項8に記載の光透過性電磁波シールド材。
  10. 前記粒子の含有量が、前記バインダー樹脂100質量部に対して、5〜200質量部であることを特徴とする請求項8又は9に記載の光透過性電磁波シールド材。
  11. 前記バインダー樹脂のガラス転移温度が10℃以下であり、数平均分子量Mnが10,000〜30,000の範囲内であることを特徴とする請求項8〜10のいずれか1項に記載の光透過性電磁波シールド材。
  12. 前記バインダー樹脂が、アクリル樹脂、ポリウレタン樹脂、及びポリエステルよりなる群から選択される少なくとも一種であることを特徴とする請求項8〜11のいずれか1項に記載の光透過性電磁波シールド材。
  13. 請求項7〜12のいずれか1項に記載の光透過性電磁波シールド材を用いたディスプレイ用フィルタ。
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