JP2011034698A - 非水電解液および非水電解液を用いたリチウム二次電池 - Google Patents

非水電解液および非水電解液を用いたリチウム二次電池 Download PDF

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Abstract

【課題】大電流での放電特性を改善することができる非水電解液を用いたリチウム二次電池を提供する。
【解決手段】リチウム二次電池20は、正極板1、負極板2がセパレータ3を介して捲回された電極群を有している。電極群は電池容器6に収容されている。電池容器6内には非水電解液が注液されている。非水電解液は、有機溶媒に、リン−酸素二重結合を有する有機化合物およびリチウム塩が溶解されている。有機化合物は、リン原子に対し、1つの酸素原子が二重結合しており、3つの置換基が結合している。3つの置換基は、炭素数が1以上10以下であり、少なくとも1つの酸素原子を有しており、かつ、水素、硫黄、酸素、窒素、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素のうち少なくとも1つの原子を有している。リチウム塩にはLiBFが用いられている。非水電解液のイオン伝導度が向上する。
【選択図】図1

Description

本発明は非水電解液および非水電解液を用いたリチウム二次電池に係り、特に、リン−酸素二重結合を有する有機化合物が含有された非水電解液および該非水電解液を用いたリチウム二次電池に関する。
携帯電話や携帯用パソコンなどの移動体通信技術の発達、普及に伴い、これらの電源に対する要求が高まり、小型化、高エネルギー密度化がますます要望されている。更には、深夜電力の貯蔵電源や、太陽電池や風力発電と組み合わせた電力貯蔵用電源の開発も進められている。一方では、電気自動車や電力を動力の一部に用いたハイブリッド車、ハイブリッド電車の実用化も進められている。
移動体通信用や電力貯蔵用の電源としては、非水電解液を用いたリチウム二次電池が広く使用されている。この非水電解液では、通常、有機溶媒に電解質としてリチウム塩が溶解されている。非水電解液の有機溶媒には鎖状や環状のエーテル化合物ないしエステル化合物が用いられており、リチウム塩には6フッ化リン酸リチウム(LiPF)が汎用されている(例えば、特許文献1参照)。ところが、電池使用時に高温にさらされるとLiPFの安定性が損なわれることがあり、また、電解液中に微量水分が混入したときに加水分解を招くこともある。熱的安定性や耐加水分解性の向上を図ることを目的として、例えば、リチウム塩に、LiBF、LiCFSOやLi(CFSONやLiClOやLiB(C、LiBF(C)等も用いられている。
特開平5−41244号公報
しかしながら、上述したLiPFでは、イオン伝導度が大きくなる、電極表面上でも副反応を起こし難くなる等の利点もあるが、熱的安定性に乏しい、という欠点もある。また、電解液中で加水分解を招くことで、加水分解生成物が電極表面に堆積するため、電池の内部抵抗が増大し、電池容量の低下を招く、という問題も引き起こすことがある。上述した種々の電解質が用いられた場合でも、有機溶媒への溶解度の低下やイオン伝導度の低下、粘度上昇、高電圧雰囲気下での電気化学的安定性の低下、アルミニウム集電体の腐食等の問題を招くことがある。このため、高容量化や大電流での充放電が要求される用途におけるリチウム二次電池に対応するには、電池特性が充分とはいえないのが現状である。
本発明者らは、これらの問題を解決するために、非水電解液について鋭意研究を重ねた結果、リン(P)−酸素(O)二重結合を有する有機化合物を溶解させた非水電解液を用いることで、電池の経時劣化が小さく電池の保存特性や高率放電特性に優れることを見出した。
本発明は上記事案に鑑み、大電流での放電特性を改善することができるリチウム二次電池用非水電解液および該非水電解液を用いたリチウム二次電池を提供することを課題とする。
上記課題を解決するために、本発明の第1の態様は、リン(P)−酸素(O)二重結合を有しイオン伝導性を向上させるための有機化合物であって、下記化学式(1)で表され、置換基R、RおよびRが、それぞれ、炭素数が1以上10以下の有機基であり、かつ、少なくとも1つの酸素原子と、水素、硫黄、窒素、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素の原子から選択される少なくとも1つの原子とを有する有機化合物が含有されたことを特徴とするリチウム二次電池用非水電解液である。
Figure 2011034698
第1の態様では、リン−酸素二重結合を有する有機化合物が含有されたことで非水電解液のイオン伝導度が向上することから、リチウム二次電池に用いたときに内部抵抗を低減し大電流での放電特性を改善することができる。
第1の態様において、鎖状もしくは環状のカーボネート化合物、エステル化合物、エーテル化合物および各化合物を構成する官能基の一部が他の官能基で置換された化合物から選択される少なくとも1種の溶媒と、電解質のリチウム塩とが含有されていてもよい。このとき、有機化合物が10重量%以下の割合で含有されていることが好ましい。また、置換基R、RおよびRが、いずれも、炭素数が6以上10以下の同じ化学構造を有していてもよい。電解質を4フッ化ホウ酸リチウム(LiBF)とすることが好ましい。さらに、ビニレンカーボネート、カルボン酸無水物、硫黄含有化合物、ホウ素含有化合物から選択される少なくとも1種の化合物が含有されるようにすることができる。
また、本発明の第2の態様は、第1の態様の非水電解液に、リチウムイオンを挿入離脱可能なリチウム含有酸化物を用いた正極と、リチウムイオンを挿入離脱可能な材料を用いた負極とを浸潤させたことを特徴とするリチウム二次電池である。
本発明によれば、リン−酸素二重結合を有する有機化合物が含有されたことで非水電解液のイオン伝導度が向上することから、リチウム二次電池に用いたときに内部抵抗を低減し大電流での放電特性を改善することができる、という効果を得ることができる。
本発明を適用した非水電解液を用いた円筒型リチウム二次電池を模式的に示す断面図である。
以下、図面を参照して、本発明を適用した非水電解液を用いた円筒型リチウム二次電池の実施の形態について説明する。
(構成)
図1に示すように、本実施形態の円筒型リチウム二次電池20は、正極板1および負極板2がセパレータ3を介して対向するように断面渦巻状に捲回された電極群を有している。電極群は、SUS製で有底円筒状の電池容器6に収容されている。
電極群の上方には、正極外部端子となる円盤状の密閉蓋部10が配置されている。密閉蓋部10には、電池内の圧力が上昇すると開裂して電池内部の圧力を逃がす逃がし弁(不図示)が形成されている。電極群の上側には、一端部が正極板1に接合された正極リード4が導出されている。正極リード4の他端部は、密閉蓋部10の下面に溶接で接合されている。一方、電極群の下側には、一端部が負極板2に接合された負極リード5が導出されている。負極リード5の他端部は、負極外部端子を兼ねる電池容器6の内底面に溶接で接合されている。電極群の正極リード4が導出された端面と密閉蓋部10との間、および、電極群の負極リード5が導出された端面と電池容器6の内底面との間には、それぞれ絶縁板9が配されている。
また、電池容器6内には、非水電解液が注液されている。密閉蓋部10は、パッキン8を介して電池容器6の上部にカシメ固定されている。このため、リチウム二次電池20の内部は密封されている。得られたリチウム二次電池20では、外径18mm、長さ65mmの大きさに形成されている。
電池容器6に収容された電極群は、正極板1と負極板2とが、これら両極板が直接接触しないようにセパレータ3を介し、捲回されている。セパレータ3には、本例では、厚さが40μm、幅が5.8cmの微多孔性ポリプロピレンフィルムが用いられている。正極リード4と負極リード5とが、それぞれ電極群の両端面から互いに反対方向に導出されている。
電極群を構成する正極板1は、正極集電体としてアルミニウム箔を有している。アルミニウム箔の厚さは、本例では、15〜25μmの範囲に設定されている。アルミニウム箔の両面には、正極活物質を含む正極合剤が略均等に塗着されている。正極合剤には、正極活物質以外に、炭素材料粉末等の導電材およびポリフッ化ビニリデン(以下、PVDFと略記する。)等のバインダ(結着材)が配合されている。
正極活物質としては、リチウムイオンを挿入離脱可能なリチウム含有酸化物が用いられている。このようなリチウム含有酸化物としては、例えば、コバルト酸リチウム(LiCoO)やニッケル酸リチウム(LiNiO)等の層状結晶構造の化合物、コバルトやニッケルの一部を1種以上の他の遷移金属で置換した化合物、化学式が、Li1+xMn2−x(ただし、x=0〜0.33)、Li1+xMn2−x−y(ただし、MはNi、Co、Fe、Cu、Al、Mgから選ばれた少なくとも1種の金属を含み、x=0〜0.33、y=0〜1.0、2−x−y>0)、LiMnO、LiMn、LiMnO、LiMn2−x(ただし、MはNi、Co、Fe、Cu、Al、Mgから選ばれた少なくとも1種の金属を含み、x=0.01〜0.1)、LiMnMO(ただし、MはNi、Co、Fe、Cuから選ばれた少なくとも1種の金属を含む)のいずれかで表されるマンガン酸リチウム、銅−Li酸化物(LiCuO)、ジスルフィド化合物、Fe(MoO等を含む混合物、および、ポリアニリン、ポリピロール、ポリチオフェン等の化合物を挙げることができ、これらの1種または2種以上を混合して用いてもよい。
アルミニウム箔への正極合剤の塗着時には、N−メチルピロリドン(以下、NMPと略記する。)等の分散溶媒で粘度調整されたスラリが作製される。本例では、正極活物質に対する導電材の混合比が5〜20重量%に調整され、正極活物質の粉末粒子がスラリ中で均一に分散するように、例えば、回転翼のような攪拌手段を備えた混合機を用いて充分に混練される。充分に混練されたスラリは、例えば、ロール転写式の塗布機等により、アルミニウム箔の両面に塗布される。プレス、乾燥させることで正極板1が作製される。乾燥後の正極板1の厚さ(合剤塗布部)は20〜150μmの範囲に調整されている。
アルミニウム箔の長寸方向一側の側縁には、電流引き出し用の正極リード4がスポット溶接または超音波溶接により接合されている。正極リード4は、正極集電体と同一の材質の金属箔、すなわちアルミニウム箔で長方形状に形成されており、正極板1から電流を取り出すために設置するものである。本例では、自動車等の移動体用電源にも適用するうえで、大電流を流すことが要求されるため、複数の正極リード4が設けられている。
一方、負極板2は、負極集電体として銅箔を有している。銅箔の厚さは、本例では、7〜20μmの範囲に設定されている。銅箔の両面には、負極活物質を含む負極合剤が略均等に塗着されている。負極合剤には、負極活物質以外に、PVDF等のバインダが配合されている。なお、負極合剤にアセチレンブラック等の導電材を配合することもできる。
負極活物質としては、リチウムイオンを挿入離脱可能な材料が用いられている。このような材料としては、天然黒鉛、石油コークスや石炭ピッチコークス等から得られる易黒鉛化材料、メソフェーズカーボン、あるいは、非晶質炭素、黒鉛の表面が非晶質炭素で被覆されたもの、天然黒鉛や人造黒鉛を機械的処理することにより表面の結晶性を低下させた炭素材、炭素繊維、リチウム金属、リチウムと合金化する金属、シリコンあるいは炭素粒子表面に金属を担持した材料を挙げることができる。金属を担持した炭素材として、例えば、リチウム、アルミニウム、スズ、ケイ素、インジウム、ガリウム、マグネシウムから選ばれた金属あるいは合金を挙げることができる。さらには、これらの金属またはその酸化物を負極活物質として使用することもできる。これらの材料の1種または2種以上を混合して使用してもよい。
銅箔への負極合剤の塗着時には、NMP等の分散溶媒で粘度調整されたスラリが作製される。本例では、負極活物質とバインダとの混合比が重量比で90:10に調整され、正極合剤のスラリ作製と同様にして負極合剤のスラリが作製される。作製されたスラリは、例えば、ロール転写式の塗布機等により、銅箔の両面に塗布される。プレス乾燥させることで負極板2が作製される。プレス、乾燥後の負極板2の厚さ(合剤塗布部)は20〜150μmの範囲に調整されている。なお、負極板2の長さ、負極合剤塗布部の幅は、正極板1および負極板2を捲回したときに、正極の合剤塗布部が負極の合剤塗布部からはみだすことのないように、正極板1の長さ、正極合剤塗布部の幅よりそれぞれ長く設定されている。
銅箔の長寸方向一側の側縁には、電流引き出し用の負極リード5がスポット溶接または超音波溶接により接合されている。負極リード5は、負極集電体と同一の材質の金属箔、すなわち銅箔で長方形状に形成されており、負極板2から電流を取り出すために設置するものである。本例では、正極板1と同様に、複数の負極リード5が設けられている。
電池容器6に注液される非水電解液は、有機溶媒に、リン−酸素二重結合を有する有機化合物および電解質のリチウム塩が溶解されている。有機溶媒としては、環状カーボネート類、鎖状カーボネート類、直鎖カルボン酸エステル類、ラクトン類、環状エーテル類、鎖状エーテル類を挙げることができ、これらの物質の1種または2種以上を混合して用いることもできる。有機溶媒の具体例としては、例えば、エチレンカーボネート(EC)、プロピレンカーボネート(PC)、ガンマブチロラクトン、ジメチルカーボネート(DMC)、エチルメチルカーボネート(EMC)、ジエチルカーボネート(DEC)を挙げることができる。また、これら化合物の官能基の一部を他の官能基で置換した化合物、例えば、フッ素置換体などのハロゲン化物や硫黄元素で置換したものも使用することができる。一般的には、環状カーボネートや環状ラクトンといった高誘電率の有機溶媒と、鎖状カーボネートや鎖状エステルといった低誘電率の溶媒との混合溶媒系を用いることが好ましい。
リン−酸素二重結合を有する有機化合物は、下記化学式(1)で表されるように、リン原子に対し1つの酸素原子が二重結合で結合しており、5価のリン原子には二重結合で結合した酸素原子の他に、3つのアルキル基(置換基)R、RおよびRが結合している。3つのアルキル基R、RおよびRは、それぞれ、炭素数が1以上10以下であり、少なくとも1つの酸素原子を有しており、かつ、水素、硫黄、酸素、窒素、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素のうち少なくとも1つの原子を有している。
Figure 2011034698
このような有機化合物の具体例としては、2−エチルヘキシルジフェニルホスフェイト、クレジルジフェニルホスフェイト、リン酸トリス(1、3−ジクロロ−2−プロピル)、リン酸トリ−o−クレジル、トリアミルフォスフェイト、トリブチルフォスフェイト、トリクレジルフォスフェイト、トリエチルフォスフェイト、トリメチルフォスフェイト、トリフェニルホスフェイト、トリス(2−ブトキシエチル)フォスフェイト、トリス(2−クロロエチル)フォスフェイト、トリス(2−エチルヘキシル)フォスフェイト等を挙げることができ、これらの1種または2種以上を混合して用いることができる。これらリン−酸素二重結合を有する有機化合物の混合量は、非水電解液に対する重量比で10wt%以下とすることが好ましい。有機化合物の混合量が過剰になると、得られるリチウム二次電池の初期サイクルにおいて、有機化合物の分解反応が生じ、電池内部、具体的には、正負極間にガスが生成することで電極間距離が大きくなることがあり、内部抵抗上昇を招くことで電池特性が低下する等の問題が生じる可能性がある。
電解質のリチウム塩としては、例えば、LiPF、LiBF、LiClO、LiAsF、LiCF、Li(CFSO)、Li(CFSON、Li(CSO)N、LiB(C、LiBF(C)、LiPF(Cといったリチウム塩を挙げることができる。また、これらリチウム塩を単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いることも可能である。リチウム塩のなかでも、電池の高温保存特性の向上を考慮すれば、従来汎用されるLiPFより耐加水分解性に優れるLiBFを用いることが好ましい。また、リチウム塩の濃度(電解質濃度)としては、0.6〜1.5モル/リットル(M)の範囲とすることが好ましい。
以下、本実施形態に従い製造したリチウム二次電池20について実施例を挙げて説明するが、本発明はこれらの実施例に制限されるものではない。なお、比較のために製造した比較例のリチウム二次電池についても併記する。
(実施例1)
実施例1では、正極活物質として、平均粒径26μm、比表面積1.5m/gのスピネル型結晶構造を有するLiMn1.98Al0.02を用いた。正極活物質と、塊状黒鉛およびアセチレンブラックを9:2の割合で混合した導電剤とを、結着剤として予め5wt%の濃度でNMPに溶解させたPVDF溶液に分散させてスラリを調製した。正極活物質、導電剤、PVDFの混合比は、重量比で85:10:5に設定した。このスラリを厚さ20μmのアルミニウム箔(正極集電体)に実質的に均一かつ均等に塗布した。塗布後80℃の温度で乾燥させ、同じ手順でアルミニウム箔の両面に塗布乾燥を行った。ロールプレス機により圧縮成形した後、塗布幅5.4cm、塗布長さ50cmとなるように切断し、アルミニウム箔製の正極リード4を溶接することで正極板1を作製した。
一方、負極板2を以下の方法で作製した。負極活物質として、平均粒径20μm、比表面積4.0m/gの天然黒鉛を用いた。負極活物質、PVDFの混合比は、重量比で90:10に設定した。得られたスラリを厚さ10μmの圧延銅箔(負極集電体)に実質的に均一かつ均等に塗布した。正極板1の作製と同様の手順で圧延銅箔の両面に塗布乾燥を行い、負極板2の電極密度を1.3g/ccに調整した。その後、ロールプレス機により圧縮成形し、塗布幅5.6cm、塗布長さ54cmとなるよう切断し、銅箔製の負極リード5を溶接することで負極板2を作製した。
非水電解液は、次のようにして作製した。ECとEMCとを重量比でEC:EMC=1:2の割合で混合した混合有機溶媒に電解質としてLiBFを濃度が1.0モル/リットルとなるように溶解させた。得られた溶液の重量に対して、1wt%の割合となるようにビニレンカーボネートを混合した。さらに、リン−酸素二重結合を有する有機化合物としてトリフェニルホスフェイトを混合し、非水電解液を作製した。トリフェニルホスフェイトの混合量は、混合電解液の重量に対して5wt%に設定した。得られた非水電解液を用いて製造したリチウム二次電池20の電池重量はおおよそ50gであった。
(実施例2)
実施例2では、非水電解液に混合するトリフェニルホスフェイトの混合量を10wt%に設定した以外は、実施例1と同様にしてリチウム二次電池20を製造した。
(実施例3)
実施例3では、非水電解液に混合するトリフェニルホスフェイトの混合量を20wt%に設定した以外は、実施例1と同様にしてリチウム二次電池20を製造した。
(比較例1)
比較例1では、ECとEMCとを重量比でEC:EMC=1:2の割合で混合した混合有機溶媒に電解質としてLiBFを濃度が1.0モル/リットルとなるように溶解させて非水電解液を作製した。得られた非水電解液を用い、実施例1と同様にしてリチウム二次電池を製造した。
(比較例2)
比較例2では、非水電解液を次のように作製した。すなわち、ECとEMCとを重量比でEC:EMC=1:2の割合で混合した混合有機溶媒に電解質としてLiPFを濃度が1.0モル/リットルとなるように溶解させた。得られた溶液の重量に対して1wt%の割合となるようにビニレンカーボネートを混合し非水電解液を作製した。得られた非水電解液を用いた以外は、実施例1と同様にしてリチウム二次電池を製造した。
(評価)
各実施例および比較例のリチウム二次電池について、次のような評価を行った。すなわち、25℃の恒温槽内で、充電電流1300mA、電圧4.2V、5時間の定電流定電圧充電を行い、放電電流1300mAで電池電圧2.7Vまで定電流放電を行った。この充電、放電プロセスを1サイクルとし、3サイクルを繰り返し行った。次いで、同じ充電条件で4.2Vまで充電し、放電電流値を1300mAとして2.7Vまで放電させたときの放電容量を測定し、1300mA放電容量とした。更に、再度、同じ充電条件で充電を行った後、放電電流値を3900mAとして放電させたときの放電容量を測定し、3900mA放電容量とした。3900mA放電容量の1300mA放電容量に対する百分率をとり、高率放電特性(%)とした。つまり、高率放電特性(%)=3900mA放電容量(mAh)/1300mA放電容量(mAh)×100で表される。高率放電特性の結果を下表1に示す。なお、表1において、混合物は非水電解液に混合した有機化合物を示している。
Figure 2011034698
表1に示すように、トリフェニルホスフェイトを5wt%、10wt%添加した実施例1、実施例2のリチウム二次電池20では、トリフェニルホスフェイトを添加していない比較例1のリチウム二次電池に比べ高率放電特性が改善されることが判った。一方で、トリフェニルホスフェイトを20wt%添加した実施例3のリチウム二次電池では、高率放電特性が比較例1のリチウム二次電池より向上するものの、トリフェニルホスフェイトを添加していないもののリチウム塩としてLiPFを用いた比較例2のリチウム二次電池より低下することが判った。これは、トリフェニルホスフェイトを添加することで非水電解液の粘度が大きくなり、イオン伝導度が低下したことで内部抵抗が上昇したためであると考えられる。従って、電解質にLiBFを用いたリチウム二次電池では、リン−酸素二重結合を有する有機化合物を10重量%以下の割合で添加することにより高率放電特性を改善することができることが判明した。
また、耐加水分解性のリチウム塩であるLiBFを用い、かつ、トリフェニルホスフェイトを5wt%、10wt%添加した実施例1、実施例2のリチウム二次電池20では、高温保存特性にも優れることを確認した。これは、電池内部あるいは電池外部から混入した水分により加水分解を受けやすいLiPFでは加水分解することでフッ酸が生成されるため、正極活物質からのマンガン(Mn)溶出を促進し、電池性能の低下を招いたものと考えられる。これに対して、LiBFでは耐加水分解性に優れるため、リチウム塩としてLiBFを用いることで高温保存特性が向上したものと考えられる。
(作用等)
次に、本実施形態のリチウム二次電池20の作用等について、非水電解液の作用等を中心に説明する。
従来リチウム二次電池に用いられる非水電解液では、有機溶媒に電解質のリチウム塩が溶解されており、リチウム塩としてLiPFが汎用されている。このLiPFでは、非水電解液のイオン電導度を大きくすることができ、電極表面上でも副反応を起こしにくい、という利点を有している。ところが、LiPFは、熱的安定性に乏しく、また、非水電解液中で加水分解を招く、という欠点も有している。加水分解が生じると、分解生成物が電極表面に堆積するため、電池の内部抵抗が増大し、電池容量の低下を招くこととなる。これらを解決するために種々の電解質が用いられているものの、有機溶媒への溶解度やイオン伝導度の低下、粘度上昇、高電圧雰囲気下での電気化学的安定性の低下、アルミニウム集電体の腐食等の問題を招くことがあり、高容量化や大電流での充放電が要求される用途で充分な電池特性を得ることが難しい状況にある。
本発明者らは、これらの問題を解決することができる非水電解液について鋭意研究を重ねた結果、リチウム塩としてLiBFを用い、リン(P)−酸素(O)二重結合を有する有機化合物を溶解させた非水電解液を用いることで、リチウム二次電池の経時劣化が小さく保存特性、高率放電特性に優れることを見出した。ここでいう高率放電特性は、一定の電流値での放電容量に対し、放電電流値を変化させたときの放電容量の比である。すなわち、本実施形態のリチウム二次電池20に用いた非水電解液は、上述した問題を解決することができる非水電解液である。
本実施形態では、リチウム二次電池20の電池容器6に注液される非水電解液にリン−酸素二重結合を有する有機化合物が含有されている。リン−酸素二重結合を有する有機化合物の作用機構については、明確ではないが、非水電解液のイオン伝導度を向上させる働きが認められる。このため、非水電解液のイオン伝導度が向上することから、リチウム二次電池20では内部抵抗が低減し大電流での放電特性を改善することができる。
また、本実施形態では、非水電解液に含有された有機化合物が10重量%以下の割合に調整されている。有機化合物の含有量が過剰になると、得られるリチウム二次電池の初期サイクルにおいて、有機化合物の分解反応が生じることで、内部抵抗の上昇を招き電池特性が低下することがある。有機化合物の含有量を10重量%以下とすることで、分解反応を抑制して電池特性を向上させることができる(実施例1、実施例2参照)。
更に、本実施形態では、非水電解液に混合するリチウム塩には特に制限されないものの、LiBFを用いることが望ましい。LiBFでは、非水電解液中に水分が混入してもLiPFと比べて耐加水分解性に優れるため、リチウム塩の機能を維持することができる(実施例1、実施例2、比較例2参照)。リチウム塩の加水分解が生じると、分解生成物が電極表面に堆積し、電池の内部抵抗の増大や電池容量の低下を招くことがある。耐加水分解性のリチウム塩を用いることで内部抵抗の増大や電池容量の低下を抑制することができる。また、非水電解液中での加水分解が高温雰囲気下で促進されることを考慮すれば、耐加水分解性に優れるLiBFを用いることで、高温保存特性を向上させることができる。
なお、本実施形態では、特に言及していないが、非水電解液に、有機溶媒、リチウム塩、リン−酸素二重結合を有する有機化合物以外の成分として、ビニレンカーボネート、カルボン酸無水物、硫黄含有化合物、ホウ素含有化合物から選択される少なくとも1種の化合物を含有するようにしてもよい。例えば、分子中に二重結合を有するビニレンカーボネートやプロパンサルトンでは、還元分解生成物が負極に保護皮膜を形成するため、リチウム電池の経時劣化を抑制する効果が期待できる。
また、本実施形態では、リン−酸素二重結合を有する有機化合物として、3つの置換基が炭素数1以上10以下の種々の例を示し、中でも、3つの置換基がいずれも同じフェニル基であるトリフェニルホスフェイトを用いた具体例を示した(各実施例参照)。本発明はこれに制限されるものではなく、3つの置換基が互いに異なる化学構造を有していてもよい。有機化合物の3つの置換基について付言すると、有機化合物の熱的安定性や当該有機化合物の製造を考慮すれば、各置換基が、いずれも、炭素数が6以上10以下の同じ化学構造を有していることが好ましい。
更に、本実施形態では、正極板1、負極板2を捲回した電極群を電池容器6に収容した円筒型リチウム二次電池20を例示したが、本発明はこれに制限されるものではない。例えば、円筒型に代えて角型としてもよく、正極板1、負極板2を捲回することに代えて積層して電極群を形成してもよい。もちろん、正極板1、負極板2を扁平状に捲回し角型の電池容器に収容するようにしてもよい。また、本実施形態では、SUS製の電池容器6を例示したが、電池容器の材質としては、例えば、ステンレススチールやアルミニウムを用いてもよい。
また更に、本実施形態では、セパレータ3に微多孔性ポリプロピレンフィルムを用いる例を示したが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、ポリエチレンフィルムを用いてもよく、ポリエチレンフィルムやポリプロピレンフィルムを積層して用いることも可能である。また、正極板1、負極板2を積層して電極群を構成する場合には、これらのフィルムを袋状にして用いることもできる。
更にまた、本実施形態では、正極集電体、負極集電体、セパレータのサイズをそれぞれ例示したが、本発明はこれらに制限されるものではなく、電池サイズや電極群の形態に合わせてそれぞれ定めるようにすればよい。また、正極板1、負極板2の厚さ等にも制限されないことはもちろんである。
本発明は大電流での放電特性を改善することができるリチウム二次電池用非水電解液および該非水電解液を用いたリチウム二次電池を提供するものであるため、リチウム二次電池の製造、販売に寄与するので、産業上の利用可能性を有する。
1 正極板
2 負極板
3 セパレータ
6 電池缶
10 密閉蓋部。
20 リチウム二次電池

Claims (7)

  1. リン(P)−酸素(O)二重結合を有しイオン伝導性を向上させるための有機化合物であって、下記化学式(1)で表され、置換基R、RおよびRが、それぞれ、炭素数が1以上10以下の有機基であり、かつ、少なくとも1つの酸素原子と、水素、硫黄、窒素、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素の原子から選択される少なくとも1つの原子とを有する有機化合物が含有されたことを特徴とするリチウム二次電池用非水電解液。
    Figure 2011034698
  2. 鎖状もしくは環状のカーボネート化合物、エステル化合物、エーテル化合物および前記各化合物を構成する官能基の一部が他の官能基で置換された化合物から選択される少なくとも1種の溶媒と、電解質のリチウム塩とが含有されたことを特徴とする請求項1に記載の非水電解液。
  3. 前記有機化合物は、10重量%以下の割合で含有されたことを特徴とする請求項2に記載の非水電解液。
  4. 前記置換基R、RおよびRは、いずれも、炭素数が6以上10以下の同じ化学構造を有することを特徴とする請求項3に記載の非水電解液。
  5. 前記電解質は、4フッ化ホウ酸リチウム(LiBF)であることを特徴とする請求項2に記載の非水電解液。
  6. 更に、ビニレンカーボネート、カルボン酸無水物、硫黄含有化合物、ホウ素含有化合物から選択される少なくとも1種の化合物が含有されたことを特徴とする請求項2に記載の非水電解液。
  7. 請求項1ないし請求項6のいずれか1項に記載の非水電解液に、リチウムイオンを挿入離脱可能なリチウム含有酸化物を用いた正極と、リチウムイオンを挿入離脱可能な材料を用いた負極とを浸潤させたことを特徴とするリチウム二次電池。
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