JP2011051925A - センチュウによる植物病害を防除する方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】生物的防除技術を用いたセンチュウによる植物病害を防除する方法を提供すること。
【解決手段】植物の茎葉に非病原性の糸状菌を接種することを特徴とする、センチュウによる植物病害を防除する方法。
【選択図】なし
【解決手段】植物の茎葉に非病原性の糸状菌を接種することを特徴とする、センチュウによる植物病害を防除する方法。
【選択図】なし
Description
本発明は、センチュウによる植物病害を防除する方法に関する。より詳細には、植物の茎葉に非病原性の糸状菌を接種することによりセンチュウ、特にネコブセンチュウによる植物病害を防除する方法に関する。
センチュウは、広い寄主範囲を持ち、露地根菜類から施設果菜類におよぶ広範な作物に著しい減収や枯死を起こすこと、侵入すると根絶が難しいことから、最も有害な病害虫の一つとされている。昭和34年から10年間実施された全国土壌検診事業は述べ6,400haの検診面積の53%に有害センチュウが高い密度で生息することを明らかにした。不可欠用途を除く土壌消毒用途の臭化メチルの2005年度以降の全廃によって、これまで意識せずに防除されていたセンチュウ害は顕在化するとともに拡大しつつある。一方、作物防疫においても環境保全型農業技術、有機農業技術の導入が強く求められている。
従来のセンチュウ防除手段の主流は化学合成農薬である。専用、汎用の化学合成農薬が殺センチュウ剤として用いられている。これらは大きく粒剤とくん蒸剤に分けられ、前者では有機リン剤のホスチアゼート剤、後者ではD−D剤が広く普及している。物理的防除手段には、ハウスを密閉し耕土を加温する太陽熱土壌消毒、ハウス土壌に有機物を混和して密閉加温する還元土壌消毒、可動式ボイラーから給湯し直接作土を加熱する熱水土壌消毒、耕土の長期間湛水処理がある。耕種的防除技術には、栽培すると土壌中のセンチュウ密度を低下させるセンチュウ対抗植物やセンチュウ抵抗性品種の栽培が挙げられる。マリーゴールドの「アフリカントール」、野生エンバクの「ヘイオーツ」などが代表的なセンチュウ対抗植物である。また、既登録の生物農薬として出芽細菌のパストリア水和剤(パスツリア・ペネトランス剤)と糸状菌のネマヒトン(モナクロスポリウム・フィマトパガム剤)などが挙げられる。
有機リン酸系化学合成農薬は、作物への残留が社会問題化しており、クロルピクリン剤、D−D剤等の土壌くん蒸剤も人の健康に及ぼす影響、土壌微小生物相の破壊と撹乱、地下水汚染など環境負荷を起こす。化学合成農薬と物理的防除技術は、概して劇的な防除効果を示すものの、センチュウは耕土深層に残存しているため、栽培後のセンチュウ密度復活は速やかであり、却ってセンチュウ害を助長する(誘導多発性)。耕種的防除である対抗植物利用では、作物栽培の中断、除草の手間、他の病害虫の多発生などの問題を持つ。一般に抵抗性品種には市場性がないことが多く、センチュウ抵抗性品種がない野菜もある(例えばウリ科野菜)。また、抵抗性品種の連続的利用により、抵抗性品種に寄生するセンチュウ系統(抵抗性打破系統)が出現し、トマトでは抵抗性品種のセンチュウ抵抗性は既に打破されている。生物資材では、パストリア水和剤が産卵抑制作用、ネマヒトンが捕食作用の単独機作によってセンチュウを抑制するが、コストが極めて高く、劇的な防除効果に乏しい。菌類(フザリウム属、パエキロマイセス属、フィマトパガム属、トリコデルマ属等)の菌体若しくは胞子をネコブセンチュウに汚染された土壌に作物の作付け前に混和することにより、作物の根にセンチュウが誘導する根こぶ(虫えい)の数及びネコブセンチュウ第2期幼虫の土壌内密度を減少させる方法も知られている(例えば、Paecilomyces lilacinus, strain PL 251. BioAct(R)WG(http://www.prophyta.de/englisch/pdf/BioAct_Product_Information.pdf参照)、及び非特許文献1〜4)。しかし、これらの方法の圃場適用に当たっては多量の菌体投入を必要とし、圃場ではポット試験よりセンチュウ防除効果が小さいことが多い。
上述のセンチュウ防除手段は、化学的、物理的、生物的手法を問わず、センチュウの直接致死又は不活化を狙ったものであり、センチュウ、又はセンチュウに寄生する植物病原菌(主として病原性糸状菌)に対する植物の防御反応の強化を視点としたものではない。
本発明者の研究グループは、もう1つの重要な制御ファクターである寄主植物側の対寄生者防御反応を強化することによる生物的防除技術を報告している(特許文献1)。その要点は、ナス科植物を糸状菌の非病原性フザリウム菌で処理することによりネコブセンチュウを防除すること、また非病原性フザリウム菌とトバモウイルス属の弱毒系統との組み合わせを用いてその共力作用によりネコブセンチュウを防除することにあった。
BARRON, G. L., The nematode-destroying fungi. Canadian Biological Publications, Guelph, 140pp, 1977年
DRECHSLER, C., Mycologia 46, 762-782, 1954年
Hallmann J, Sikora RA, J Plant Dis Protect 101:475-481, 1994年
Sharon, E., Bar-Eyal M., Chet, I., Herrera-Estrella, A., Kleifeld, O., Spiegel, Y., Phytopathology 91:687-693, 2001年
本発明の課題は、生物的防除技術を用いたセンチュウによる植物病害を防除する方法を提供することである。
本発明者は、以前に報告した非病原性糸状菌によるセンチュウの防除技術についてさらに鋭意検討を行ったところ、非病原性糸状菌を植物の茎葉に接種することによって特に簡便かつ効果的にセンチュウの増殖と植物病害を抑制することができることを見出した。また、弱毒植物ウイルスと非病原性糸状菌の茎葉接種と弱毒植物ウイルスの施用とを組み合わせて、植物にこれら2種を重複感染させると、センチュウの増殖と植物病害がより顕著に抑制されることも見出した。本発明はこれらの知見に基づいて完成された。
すなわち本発明の概要は以下のとおりである。
(1)植物の茎葉に非病原性の糸状菌を接種することを特徴とする、センチュウによる植物病害を防除する方法。
上記方法において、植物の茎葉への非病原性糸状菌の接種の前に、弱毒植物ウイルスを植物に施用することが好ましい。
上記方法において、非病原性糸状菌として非病原性フザリウム菌を用いることが好ましい。また、非病原性糸状菌は、例えば菌叢ディスク又は懸濁液の形態で接種することができる。
さらに上記方法において、センチュウは、例えばネコブセンチュウである。
(2)非病原性の糸状菌を有効成分として含有する、センチュウによる植物病害の防除のための茎葉処理剤。
上記茎葉処理剤において、非病原性糸状菌は、好ましくは非病原性フザリウム菌である。
(1)植物の茎葉に非病原性の糸状菌を接種することを特徴とする、センチュウによる植物病害を防除する方法。
上記方法において、植物の茎葉への非病原性糸状菌の接種の前に、弱毒植物ウイルスを植物に施用することが好ましい。
上記方法において、非病原性糸状菌として非病原性フザリウム菌を用いることが好ましい。また、非病原性糸状菌は、例えば菌叢ディスク又は懸濁液の形態で接種することができる。
さらに上記方法において、センチュウは、例えばネコブセンチュウである。
(2)非病原性の糸状菌を有効成分として含有する、センチュウによる植物病害の防除のための茎葉処理剤。
上記茎葉処理剤において、非病原性糸状菌は、好ましくは非病原性フザリウム菌である。
本発明により、センチュウによる植物病害を生物的に防除することができる。非病原性糸状菌の茎葉接種、並びに弱毒植物ウイルス及び非病原性糸状菌の接種は、化学防除手段である有機リン剤に匹敵するセンチュウ防除効果を発現し得る。本発明の方法及び茎葉処理剤は、従来から行われている化学的防除法と異なり、環境を汚染や人畜あるいは他の作物への影響が軽微であるため、生態系の調和を乱すことなく、また、土壌中に生息している有益な微生物に悪影響を与えることなく、安定かつ持続的に、センチュウによる植物病害を防除し得る。また、本発明は、センチュウが寄生し、固有のウイルス病やフザリウム病等を持つ植物に広く適用し得る。
本発明のセンチュウによる植物病害を防除する方法は、植物の茎葉に非病原性の糸状菌を接種することを特徴とし、それによりセンチュウの増殖と寄生による加害を低減し、及び/又はセンチュウと関連する他の寄生生物(糸状菌、細菌、ウイルスなど)による植物病害を低減することができる。
センチュウは、植物に寄生し、植物細胞の原形質から栄養をとる害虫である。例えばメロイドギネ属のネコブセンチュウ(英名root−knot nematode)は、分類上現在約70の種(Meloidogyne arenaria、M. incognita、M. hapla、M. javanicaなど)が確認されており、様々な作物や雑草の根に寄生する。種全体では、2000種を超える植物に影響することが報告されており、その中には重要な作物であるトマト、ピーマン、ウリ、バレイショ、サツマイモ、ナス、ニンジン、ゴボウ、ホウレンソウ、フダンソウ、シュンギク、ネギ類、ショウガ、エンドウ、インゲンマメ、ササゲなどが含まれる。
センチュウは単独で植物を加害するばかりでなく、土壌病原菌と複合感染を引き起こす。センチュウに感染すると、地上部分では、寄生の診断に有効となるはっきりとした兆候は感染初期には見られないが、地下ではコブ(gallあるいはknot)が形成され始める。コブの大きさは品種により異なるが、多くの場合1〜2mm程度で肉眼では確認しにくい場合もある。一方、コブの表面や根には卵が産卵され、この卵の固まりは肉眼でも確認ができる。センチュウに感染した根には、様々な発達段階のセンチュウが寄生する。センチュウの感染は、作物の収量を減少させ、あるいは寄生した塊根などの市場価値を失わせる。
本発明において防除対象となるセンチュウは、有害な植物寄生性センチュウであれば特に限定されるものではなく、サツマイモネコブセンチュウ(Meloidogyne incognita)、ジャワネコブセンチュウ(Meloidogyne javanica)、キタネコブセンチュウ(Meloidogyne hapla)、アレナリアネコブセンチュウ(Meloidogyne arenaria)等のMeloidogyne属センチュウ類、イモグサレセンチュウ(Ditylelenchus destructor)、ナミクキセンチュウ(Ditylelenchus dipsaci)等のDitylelenchus属センチュウ類、キタネグサレセンチュウ(Pratylenchus penetrans)、キクネグサレセンチュウ(Pratylenchus fallax)、ミナミネグサレセンチュウ(Pratylenchus cffeae)、クルミネグサレセンチュウ(Pratylenchus vulnus)等のPratylenchus属センチュウ類などが挙げられる。本発明においては、根に寄生するセンチュウ、特にネコブセンチュウを効果的に防除することが可能である。
また、センチュウは、糸状菌、細菌、ウイルスの感染に関与する。例えば、フザリウム属(Fusariumoxysporum f.sp. lycopersici、Fusarium oxysporum f.sp. cucumerinumなど)、リゾクトニア属(Rhizoctonia solaniなど)、ピシウム属(Pythium cucurbitacearumなど)に属する糸状菌、シュードモナス属(Pseudomonas solanacearumなど)に属する細菌、タバコモザイクウイルスなどの感染に関与し、萎ちょう病、青枯病、立枯病、つる割病、腰折病、根こぶ病などの植物病害が植物に生じる。従って、「センチュウによる植物病害の防除」とは、センチュウの加害と増殖を抑制すること、及び/又は上記の糸状菌、細菌、ウイルス等の感染による植物病害を防除することの両方を意味する。
本発明の方法に用いる非病原性糸状菌は、植物に対して病原性を持たない糸状菌であれば特に制限されるものではなく、例えば非病原性のフザリウム属、トリコデルマ属などに属する糸状菌が挙げられる(Siddiqui I.A. and Shaukat, S.S. (2003) Letters in Applied Microbiology 2003, 37, 109-114;Diedhiou P. M., Hallmann J., Oerke E. C., Dehne H. W. (2003) Mycorrhiza (2003) 13:199-204)。これらのうち、非病原性フザリウム菌が好ましく、非病原性フザリウム・オキシスポラムがより好ましく、フザリウム・オキシスポラムF13が特に好ましい。フザリウム・オキシスポラムF13は、島根大学内土壌より分離され、本出願人により1995年7月20日に独立行政法人 産業技術総合研究所 特許生物寄託センター(茨城県つくば市東1−1−1 つくばセンター中央第6)に受託番号FERM P−15057(国際寄託番号FERM BP−5825)として寄託されている(特開平9−67218号)。また、非病原性糸状菌ではないが、例えばシュードモナス属に属する非病原性の細菌類も非病原性糸状菌と同様に用いることができる(例えば、Ali N. I. et al. (2002) Soil Biology&Biocemistry 34: 1051-1058参照)。
本発明に用いる非病原性糸状菌の培養は、当技術分野において公知の一般的な微生物の培養方法を用いて行うことが可能であり、ポテト・デキストロース寒天培地、ポテト・シュークロース寒天培地、ツアペック寒天培地などの固形平板培地又は斜面培地を用いた固体培養、フスマなどの植物由来の固体成分、糖類や窒素源を含浸させた多孔質体などを用いた固体培養、ポテト・デキストロース液体培地、ポテト・シュークロース液体培地、ツアペック液体培地などの各種液体培地を用いた液体培養等、いずれも可能である。また、培養方法は、振盪培養、ジャーファーメンター培養、あるいは静置培養等とすることができる。例えばフザリウム・オキシスポラムF13を培養する場合の培養条件は、好気条件下、温度15〜35℃、pH4〜8で5〜8日間培養することが好ましい。
非病原性糸状菌は、糸状菌の培養物、培養物を培地とともに破砕若しくは細断した形態、又は糸状菌を培地から分離した形態等で用いることができる。また、糸状菌を当技術分野で公知のポテトデキストロース(PD)ブロス若しくはしょ糖加用ジャガイモ煎汁液体培地(PS)ブロスで振盪培養した後、二重のガーゼで濾過することで菌糸片を除去した出芽菌体(小型分生子など)を用いることができる。
従って、本発明の茎葉処理剤は、上記の形態のいずれかの非病原性糸状菌を含むことができる。また茎葉処理剤は、担体、固着剤、分散剤、補助剤などが配合された、非病原性糸状菌を有効成分として含む、菌叢ディスク(例えばPDAディスク)、紙ヤスリディスク、懸濁液、水和剤、液剤、乳剤、粉剤、粒剤などの形態とすることができる。
担体としては、例えば、水溶性高分子化合物(ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリアクリル酸など)、水、植物油、液体動物油などの液体担体;並びにタルク、ベントナイト、クレー、カオリン、ケイソウ土、ホワイトカーボン、バーミキュライト、ケイ砂などの固体担体などが挙げられる。固着剤としては、例えば、カゼイン、ゼラチン、アラビアゴム、アルギン酸などが挙げられる。分散剤としては、例えば、アルコール硫酸エステル類、ポリオキシエチレングリコールエーテルなどが挙げられる。補助剤としては、例えば、カルボキシメチルセルロース、デンプン、乳糖などが挙げられる。
本発明の茎葉処理剤の製造では、上記担体、固着剤、分散剤及び補助剤をそれぞれの目的に応じて、それぞれ単独で又は適宜組合せて使用することができる。
例えば菌叢ディスクとしてPDAディスクを調製する場合には、ポテトデキストロース液体培地が混和された1.0%寒天培地(PDA培地)に非病原性糸状菌の小型分生子を塗布し、PDA培地全面に菌叢が行き届いたものの中からコルクボーラーなどを用いて適当な大きさ(例えば直径約0.5cm)のPDAディスクを調製することができる。また例えば懸濁液を調製する場合には、非病原性糸状菌の小型分生子を振とう培養し、小型分生子が1mlあたり105程度含まれるように希釈することによって、懸濁液を調製することができる。さらに紙ヤスリディスクを調製する場合には、直形5mm以下の紙ヤスリディスクに小型分生子を含む液を滴下し乾燥させたり、直形5mm以下の濾紙ディスクに小型分生を含む液を滴下し風乾して調製することができる。
本発明の茎葉処理剤における非病原性糸状菌の含有量は特に限定されないが、例えば1×104〜1×108cfu/gの範囲、好ましくは1×106〜1×107cfu/gの範囲である。また、接種時に上記の濃度の範囲になるように茎葉処理剤を調製すればよく、製剤時に上記範囲の数倍〜数千倍の濃度で非病原性糸状菌を含有させることができる。なお、非病原性糸状菌は菌糸体又は胞子でもよく、上記cfu/g、cfu/mlの単位を胞子/g、胞子/mlと読み替えてもよい。
非病原性糸状菌の接種は、植物がセンチュウに感染する前、感染するのと同時又は感染した後に、好ましくは植物がセンチュウに感染した後、例えばセンチュウを駆除した土壌で育苗した植物を圃場に定植した後(より好ましくは定植後1日〜3日)に、植物の茎葉に対して行う。本発明において、「茎葉」とは、植物の地上部にある茎及び葉の任意の部分を意味する。
非病原性糸状菌の茎葉接種の方法は、当技術分野で公知の任意の方法により行うことができる。茎葉接種は、例えば非病原性糸状菌の懸濁液に針を浸漬し、その針で植物の茎葉を傷つけることにより、又は植物の茎葉に傷をつけ、そこに非病原性糸状菌の菌叢ディスクを貼り付けることにより行うことができる。また例えば非病原性糸状菌を含む紙ヤスリディスクを接種する場合には、紙ヤスリディスクを茎に擦りつけ、帯状のパラフイルムで固定すればよく、濾紙ディスクは処理の直前に加水し、パラフィルムで茎に固定後針で突き刺すことにより、菌を植物体内へ導入することができる。非病原性糸状菌の接種量は、当該菌が増殖可能であれば、特に限定されないが、好ましくは103〜106cfu/株の範囲、より好ましくは104〜105cfu/株の範囲である。
本発明のセンチュウによる植物病害を防除する方法は、植物の茎葉への非病原性糸状菌の接種の前に弱毒植物ウイルスを植物に施用すると、防除効果が一層高まる。2種類の微生物(弱毒植物ウイルスと非病原性糸状菌)が共力作用して、おそらく植物の感染防御機構の強化など複数の機構を通じて、センチュウの加害と増殖を強く抑制する。
本発明に用いる弱毒植物ウイルスは、植物に対して病原性を持たない微生物であれば特に限定されるものではなく、例えば弱毒性のトバモウイルス属が挙げられる。弱毒性のトバモウイルス属では、例えば弱毒性のトマトモザイクウイルス、トウガラシマイルドモットルウイルス、キュウリモザイクウイルス、タバコモザイクウイルスなどが好ましい(例えばOshima, N. 1981. Control of tomato mosaic disease by attenuated virus. Japan Agric. Res. Quart. 14:222-228参照)。
本発明に用いられる非病原性の糸状菌が、非病原性フザリウム・オキシスポラムである場合、弱毒植物ウイルスとして、トマトモザイクウイルスの弱毒株及びトウガラシマイルドモットルウイルスの弱毒株を用いることが好ましく、そのなかでもトマトモザイクウイルスL11A237株が好ましい。トマトモザイクウイルスL11A237株は、MAFF No.260002若しくはNo.260004株として独立行政法人農業資源研究所ジ−ンバンクに保存されており、配布申し込みより入手することができる。
弱毒植物ウイルス(植物に感染しても被害を与えないウイルス)は、強毒植物ウイルス(植物に感染して被害を与えるウイルス)からの突然変異(例えば人為的突然変異など)によって作出することもでき、自然界から分離することもできる。
弱毒植物ウイルスは、例えば当該ウイルスを感染させた植物の磨砕液の形態で用いることができる。磨砕液を遠心分離等してウイルスを回収したり、濃縮してもよい。また、弱毒植物ウイルス粒子、あるいはウイルス核酸を単独で用いてもよく、緩衝液などに混合して、液剤、乳剤、懸濁液等の形態にして弱毒植物ウイルス液剤とすることもできる。緩衝液として、例えばリン酸ナトリウム緩衝液、リン酸カリウム緩衝液などが挙げられる。液剤等には、例えばトレハロース、ショ糖などの補助剤、EDTAなどのキレート剤、ポリエチレングリコールなどの安定剤などを含めてもよい。また、磨砕液や液剤等を凍結乾燥品にし、施用時に水、緩衝液などで調製してもよい。
液剤等への弱毒植物ウイルスの含有量は、特に限定されないが、例えばウイルス粒子濃度として、好ましくは0.0001〜0.5重量%の範囲、より好ましくは0.001〜0.01重量%の範囲である。
弱毒植物ウイルスの植物への施用は、磨砕液又は液剤等を植物(好ましくは苗の葉、茎など)に散布したり、塗抹接種して行うことができる。その際、カーボランダムなどの研磨剤を併用してもよく、研磨剤を散布した葉に上記磨砕液又は液剤等を脱脂綿等で塗抹する。また、磨砕液又は液剤等を植物に散布した後、研磨剤を付着させたローラー等を用いて植物の表面を被傷させてもよい。あるいは、噴霧器やスプレーガンを用いて、磨砕液又は液剤等及びカーボランダムに圧力をかけて植物に噴霧してもよい。弱毒植物ウイルスの植物への施用量は、特に限定されず、ウイルスが植物に感染すればよい。
本発明において防除の対象となる植物は、センチュウが寄生する植物、例えばナス科植物(トマト、ピーマン、ナス、ジャガイモ、トウガラシ、タバコ等)、ウリ科植物(ウリ、キュウリ、カボチャ等)、ヒルガオ科植物(サツマイモ等)、セリ科植物(ニンジン、セリ、セロリ等)、キク科植物(ゴボウ、シュンギク等)、アカザ科植物(ホウレンソウ、フダンソウ等)、ネギ科植物(ネギ、ワケギ、ニラ、ラッキョウ等)、ショウガ科植物(ショウガ等)、マメ科植物(エンドウ、インゲンマメ、ササゲ等)であるが、これらに限定されるものではない。
本発明の植物病害を防除する方法は、まず、くん蒸、滅菌処理等を行った土壌で育苗し、苗を定植する前に弱毒植物ウイルスを施用する。次に、当該植物の茎葉に非病原性糸状菌を接種して重複感染させる。具体的には、非病原性糸状菌を圃場に定植する前の苗(センチュウ感染前)に茎葉接種してもよいし、苗を圃場に定植するときに茎葉接種してもよいが、より好ましくは定植数日後(好ましくは定植後1〜3日)に茎葉接種する。
上述のようにして処理した植物では、センチュウ、特にネコブセンチュウの寄生が低減し、また糸状菌、細菌及びウイルスの感染による植物病害も低減する。本発明は特に、非病原性糸状菌を地上部の茎葉に接種するためその接種量が少量でよいという利点がある。そのため、培養効率が低い菌類の資材化を可能とし、糸状菌資材の生産コストと利用コストが削減できる。また、地上部の茎葉への接種は省力的であるため、労働コストの削減にも寄与する。従って、本発明は、植物、特に作物のネコブセンチュウ害を防除する場面で活用できる。特に糸状菌等微生物の誘導抵抗性等作物生理改変を機作としたセンチュウ防除では、安定した防除効果が期待できる。
以下、本発明を実施例により詳細に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
[実施例1]
トマトのポット栽培において、非病原性のフザリウム菌をネコブセンチュウの感染時点に相対して早い、同時、遅い時系列で茎葉接種した場合のネコブセンチュウ防除効果について実験を行った。
トマトのポット栽培において、非病原性のフザリウム菌をネコブセンチュウの感染時点に相対して早い、同時、遅い時系列で茎葉接種した場合のネコブセンチュウ防除効果について実験を行った。
(1)実験に用いたセンチュウと微生物の株
(i)センチュウ
サツマイモネコブセンチュウ:メロイドギネ・インコグニータ(新潟県北蒲原郡加治川村(現、新発田市)のハウス栽培トマトに由来し、中央農業総合研究センターで継代維持されてきた系統、以下「新潟がんばる根系統」と呼ぶ)を用いた。本系統は、センチュウ抵抗性遺伝子(Mi遺伝子)を組み込んだトマトの品種(NR品種:Nematode resistant variety)に対する感染能が、感受性品種に対する感染能と同等である、いわゆる「抵抗性打破系統」である。この系統は、独立行政法人農業生物資源研究所ジーンバンクにMAFF No.108258として登録されている。
(ii)非病原性フザリウム
フザリウム・オキシスポラムF13系統を用いた。
(i)センチュウ
サツマイモネコブセンチュウ:メロイドギネ・インコグニータ(新潟県北蒲原郡加治川村(現、新発田市)のハウス栽培トマトに由来し、中央農業総合研究センターで継代維持されてきた系統、以下「新潟がんばる根系統」と呼ぶ)を用いた。本系統は、センチュウ抵抗性遺伝子(Mi遺伝子)を組み込んだトマトの品種(NR品種:Nematode resistant variety)に対する感染能が、感受性品種に対する感染能と同等である、いわゆる「抵抗性打破系統」である。この系統は、独立行政法人農業生物資源研究所ジーンバンクにMAFF No.108258として登録されている。
(ii)非病原性フザリウム
フザリウム・オキシスポラムF13系統を用いた。
(2)育苗と栽培
トマトの品種は、NR品種(センチュウ抵抗性)である桃太郎(タキイ)を用いた。育苗床土は、クレハ園芸培土と砂質壌土をそれぞれ50%混和したものを用いた。この床土を口径90mm×高さ80mmの黒色ビニルポット(容積300ml)に充てんし、ポット当たり2粒の種子を播種した。発芽後に間引いて1本立ちの苗に仕立てた。播種より11日後に、総ポット数の半数のポットのトマト幼植物にトマトモザイクウイルスの弱毒株を接種した。播種より18日後に口径90mm×高さ80mmの黒色ビニルポット(容積300ml)に前記の育苗床土を用いて改埴した。播種、育苗、供試微生物の接種、接種後のトマトの育苗管理のすべては、茨城県つくば市観音台3丁目1番1号に所在する中央農業総合研究センターのガラス室において実施した。苗は、25℃で管理し、播種より57日後の定植日まで育苗した。
トマトの品種は、NR品種(センチュウ抵抗性)である桃太郎(タキイ)を用いた。育苗床土は、クレハ園芸培土と砂質壌土をそれぞれ50%混和したものを用いた。この床土を口径90mm×高さ80mmの黒色ビニルポット(容積300ml)に充てんし、ポット当たり2粒の種子を播種した。発芽後に間引いて1本立ちの苗に仕立てた。播種より11日後に、総ポット数の半数のポットのトマト幼植物にトマトモザイクウイルスの弱毒株を接種した。播種より18日後に口径90mm×高さ80mmの黒色ビニルポット(容積300ml)に前記の育苗床土を用いて改埴した。播種、育苗、供試微生物の接種、接種後のトマトの育苗管理のすべては、茨城県つくば市観音台3丁目1番1号に所在する中央農業総合研究センターのガラス室において実施した。苗は、25℃で管理し、播種より57日後の定植日まで育苗した。
(3)接種源の調製と接種方法
(i)センチュウ
接種源のサツマイモネコブセンチュウ新潟がんばる根系統は、第2期幼虫の500個体を接種し、25〜30℃で温度管理した温室で約80日間栽培したトマト(強力米寿2号)から得た。すなわち、トマトの根より水洗によって土壌を除去し、露出した根の根こぶ上に形成された卵嚢を実体顕微鏡下(60×)で観察しながら、ピンセットで採集した。100個の卵嚢を、5mlの水道水を入れたシラキュース時計皿に移し、水の蒸散を抑制するため別の時計皿をこの上に重ね置いた。これを25℃で2週間インキュベートした後、孵化した第2期幼虫だけをガラス製の駒込ピペットを用いて水とともに吸い取って集め、メスシリンダーで1ml中250個体の第2期幼虫を含むように調製した。トマト幼植物(6葉期)へのセンチュウの接種は、株元から30mm外側に直径10mm深さ30mmの穴をガラス管瓶を用いて4カ所穿ち、調製したセンチュウ懸濁液を各穴に1mlずつ流し込むことにより実施した。1ポットあたり1000頭のセンチュウを接種した。
(i)センチュウ
接種源のサツマイモネコブセンチュウ新潟がんばる根系統は、第2期幼虫の500個体を接種し、25〜30℃で温度管理した温室で約80日間栽培したトマト(強力米寿2号)から得た。すなわち、トマトの根より水洗によって土壌を除去し、露出した根の根こぶ上に形成された卵嚢を実体顕微鏡下(60×)で観察しながら、ピンセットで採集した。100個の卵嚢を、5mlの水道水を入れたシラキュース時計皿に移し、水の蒸散を抑制するため別の時計皿をこの上に重ね置いた。これを25℃で2週間インキュベートした後、孵化した第2期幼虫だけをガラス製の駒込ピペットを用いて水とともに吸い取って集め、メスシリンダーで1ml中250個体の第2期幼虫を含むように調製した。トマト幼植物(6葉期)へのセンチュウの接種は、株元から30mm外側に直径10mm深さ30mmの穴をガラス管瓶を用いて4カ所穿ち、調製したセンチュウ懸濁液を各穴に1mlずつ流し込むことにより実施した。1ポットあたり1000頭のセンチュウを接種した。
(ii)非病原性フザリウム菌
接種源のF13の菌体は、紙製の円形通気孔を持つ、きのこ培養用プラスチックバック(信濃パック)にフスマ培地を2リットル充てんし、オートクレーブにて120℃20分の滅菌を2回行い、これに試験管内のポテト・デキストロース寒天培地(PDA培地)上で継代したF13菌糸体の滅菌水懸濁液を接種することにより、およそ2週間で無菌的に単独培養された。胞子や菌糸は精製しなかった。自然風乾した培養物中のF13の菌密度は、MP培地を用いて検定し、菌密度5.67×107cfu/g乾物であることを確認した。菌は使用するまで10℃の低温室で保存した。
接種源のF13の菌体は、紙製の円形通気孔を持つ、きのこ培養用プラスチックバック(信濃パック)にフスマ培地を2リットル充てんし、オートクレーブにて120℃20分の滅菌を2回行い、これに試験管内のポテト・デキストロース寒天培地(PDA培地)上で継代したF13菌糸体の滅菌水懸濁液を接種することにより、およそ2週間で無菌的に単独培養された。胞子や菌糸は精製しなかった。自然風乾した培養物中のF13の菌密度は、MP培地を用いて検定し、菌密度5.67×107cfu/g乾物であることを確認した。菌は使用するまで10℃の低温室で保存した。
土壌接種用には、接種の直前に、F13のフスマ培養物をブレンダーで破砕し、必要量を量り取って、蒸気滅菌した砂壌土に混和し、1ml当たり1×107cfuのF13を含む土壌1600mlを調製した。次いで、90mm×高さ80mmのビニルポットからトマトを根と土壌(300ml)ごと抜き取り、口径120mm×高さ145mmの1/10,000ワグネルポット(容積1000ml)に入れ替え、この後、F13を混和した400ml土壌をポットの隙間に充てんした。したがって、F13の接種密度はおよそ6×106cfu/ml土壌であった。
また茎接種に供試した接種源のF13の菌体は、F13をPDブロスで25℃、6日程度振盪培養した後、二重のガーゼで濾過することで菌糸片を除去し、出芽菌体を得、これを3000rpmで15分程度の遠心分離を行い、上澄み液を除去し、それに滅菌蒸留水を加えて洗浄した後、再度3000rpmで10分程度の遠心分離を行い、完全に上澄み液を除去することによって、ペースト状の菌体(小型分生子)を得た。注射針〔22G×1 1/4(0.70×32mm)の規格〕の先にこのペースト状の菌体(小型分生子)をとり、植物の茎に接種した。22G×1 1/4の針で一掬いしたときの胞子量は6.6E+05胞子±0.7E+05であった。
(4)試験区
試験区として下記のとおり7区を設けた。
(i)F13茎−2区
フザリウム菌F13小型分生子を注射針の先にとり、トマト幼植物の子葉位の茎に突き刺して接種し、2日後にトマト幼植物を口径120mm×高さ145mmのワグネルポットに改植し、直ちに新潟がんばる根系統センチュウの第2期幼虫をトマトの培土に接種したもの。
試験区として下記のとおり7区を設けた。
(i)F13茎−2区
フザリウム菌F13小型分生子を注射針の先にとり、トマト幼植物の子葉位の茎に突き刺して接種し、2日後にトマト幼植物を口径120mm×高さ145mmのワグネルポットに改植し、直ちに新潟がんばる根系統センチュウの第2期幼虫をトマトの培土に接種したもの。
(ii)F13土−2区
トマト幼植物をF13培養物を含む土壌400mlと併せて口径120mm×高さ145mmのワグネルポットに改植してF13に接触させ、2日後に新潟がんばる根系統センチュウの第2期幼虫をトマトの培土に接種したもの。
トマト幼植物をF13培養物を含む土壌400mlと併せて口径120mm×高さ145mmのワグネルポットに改植してF13に接触させ、2日後に新潟がんばる根系統センチュウの第2期幼虫をトマトの培土に接種したもの。
(iii)F13茎±0区
トマト幼植物を口径120mm×高さ145mmのワグネルポットに改植し、直ちに新潟がんばる根系統センチュウの第2期幼虫をトマトの培土に接種し、同日の2時間後にフザリウム菌F13の小型分生子を注射針の先にとり、子葉位の茎に突き刺して接種したもの。
トマト幼植物を口径120mm×高さ145mmのワグネルポットに改植し、直ちに新潟がんばる根系統センチュウの第2期幼虫をトマトの培土に接種し、同日の2時間後にフザリウム菌F13の小型分生子を注射針の先にとり、子葉位の茎に突き刺して接種したもの。
(iv)F13茎+2区
トマト幼植物を口径120mm×高さ145mmのワグネルポットに改植し、直ちに新潟がんばる根系統センチュウの第2期幼虫をトマトの培土に接種し、2日後にフザリウム菌F13小型分生子を注射針の先にとり、子葉位の茎に突き刺して接種したもの。
トマト幼植物を口径120mm×高さ145mmのワグネルポットに改植し、直ちに新潟がんばる根系統センチュウの第2期幼虫をトマトの培土に接種し、2日後にフザリウム菌F13小型分生子を注射針の先にとり、子葉位の茎に突き刺して接種したもの。
(v)F13土+2区
新潟がんばる根系統センチュウの第2期幼虫をトマトの培土に接種し、2日後にフザリウム菌のF13培養物を含む土壌400mlと併せて口径120mm×高さ145mmのワグネルポットに改植し、F13に接触させたもの。
新潟がんばる根系統センチュウの第2期幼虫をトマトの培土に接種し、2日後にフザリウム菌のF13培養物を含む土壌400mlと併せて口径120mm×高さ145mmのワグネルポットに改植し、F13に接触させたもの。
(vi)F13茎+8区
トマト幼植物を口径120mm×高さ145mmのワグネルポットに改植し、直ちに新潟がんばる根系統センチュウの第2期幼虫をトマトの根圏土壌に接種し、8日後にフザリウム菌の小型分生子を注射針の先にとり、子葉位の茎に突き刺して接種したもの。
トマト幼植物を口径120mm×高さ145mmのワグネルポットに改植し、直ちに新潟がんばる根系統センチュウの第2期幼虫をトマトの根圏土壌に接種し、8日後にフザリウム菌の小型分生子を注射針の先にとり、子葉位の茎に突き刺して接種したもの。
(vii)対照(Control)区
トマト幼植物を滅菌砂壌土400mlと併せて口径120mm×高さ145mmのワグネルポットに改植し(F13には接触しない)、2時間後にセンチュウの第2期幼虫をトマトの培土に接種したもの。
各試験区は4反復であった。ポットはガラス室のベンチに静置し、25℃〜30℃で管理した。
トマト幼植物を滅菌砂壌土400mlと併せて口径120mm×高さ145mmのワグネルポットに改植し(F13には接触しない)、2時間後にセンチュウの第2期幼虫をトマトの培土に接種したもの。
各試験区は4反復であった。ポットはガラス室のベンチに静置し、25℃〜30℃で管理した。
(5)評価方法
実施例の試験区にセンチュウを接種して42日後に、各試験区のトマトを地際部から切断し、根から土壌を払い落とし、ポリエチレン袋に取り除けた。根は水道水で丁寧に洗浄した。
実施例の試験区にセンチュウを接種して42日後に、各試験区のトマトを地際部から切断し、根から土壌を払い落とし、ポリエチレン袋に取り除けた。根は水道水で丁寧に洗浄した。
(i)センチュウ第2期幼虫数
トマトの根を洗浄するに先立ってポリエチレン袋に取り除けた土壌から20gの土壌を3反復で量り取り、ベルマン漏斗法によって72時間分離した。分離センチュウを含む水をプランクトン計数スライドに入れ、生物顕微鏡(オリンパスBX−50)を用いて150倍で観察しつつ、ネコブセンチュウの第2期幼虫を計数した。3反復の平均値を土壌20g当たりの第2期幼虫密度として計上した。
トマトの根を洗浄するに先立ってポリエチレン袋に取り除けた土壌から20gの土壌を3反復で量り取り、ベルマン漏斗法によって72時間分離した。分離センチュウを含む水をプランクトン計数スライドに入れ、生物顕微鏡(オリンパスBX−50)を用いて150倍で観察しつつ、ネコブセンチュウの第2期幼虫を計数した。3反復の平均値を土壌20g当たりの第2期幼虫密度として計上した。
(ii)0〜10段階根こぶ階級値
Zeck(Zeck,W.M.(1971):Pflanzenschutz-Nachichten. Bayer AG, 24, 141-144.)の方法に従い、以下の階級値によって根こぶ着生程度を評価した。
0:根こぶが全く認められない。
1:注意深い観察によって、数個の小さな根こぶを認めることができる。
2:1と同様の数個の小さな根こぶがが容易に確認できる。
3:多くの小さな根こぶがあり、そのいくつかは融合している。根の機能はほとんど損なわれていない。
4:多数の小さな根こぶがあり、大きな根こぶもいくつかある。根の多くは機能している。
5:根の25%に著しく根こぶが着生し、機能していない。
6:根の50%に著しく根こぶが着生し、機能していない。
7:根の75%に著しく根こぶが着生し、根の再生能力も失われている。
8:健全な根は皆無であり、植物の養分吸収は阻害されている。茎葉部はまだ青い。
9:完全に根こぶに被われた根系が腐敗しつつある。植物は枯死しつつある。
10:植物も根も枯死。
Zeck(Zeck,W.M.(1971):Pflanzenschutz-Nachichten. Bayer AG, 24, 141-144.)の方法に従い、以下の階級値によって根こぶ着生程度を評価した。
0:根こぶが全く認められない。
1:注意深い観察によって、数個の小さな根こぶを認めることができる。
2:1と同様の数個の小さな根こぶがが容易に確認できる。
3:多くの小さな根こぶがあり、そのいくつかは融合している。根の機能はほとんど損なわれていない。
4:多数の小さな根こぶがあり、大きな根こぶもいくつかある。根の多くは機能している。
5:根の25%に著しく根こぶが着生し、機能していない。
6:根の50%に著しく根こぶが着生し、機能していない。
7:根の75%に著しく根こぶが着生し、根の再生能力も失われている。
8:健全な根は皆無であり、植物の養分吸収は阻害されている。茎葉部はまだ青い。
9:完全に根こぶに被われた根系が腐敗しつつある。植物は枯死しつつある。
10:植物も根も枯死。
(iii)根こぶ指数
根の根こぶの程度に応じて0〜4の5段階評を与え、下記の式(1)により根こぶ指数を算出した。根こぶ指数は、主観的評価法ではあるが、センチュウ害の評価指標として最も広く用いられている。
根こぶ指数=((4VI+3III+2II+1I)/(4×調査株数))×100 …式(1)
0 : 根の0%に根こぶが認められた植物体数
I : 根の1〜25%に根こぶが認められた植物体数
II : 根の26〜50%に根こぶが認められた植物体数
III : 根の51〜75%に根こぶが認められた植物体数
IV : 根の76〜100%に根こぶが認められた植物体数 (iv)非病原性フザリウム菌による維管束の褐変
根の根こぶの程度に応じて0〜4の5段階評を与え、下記の式(1)により根こぶ指数を算出した。根こぶ指数は、主観的評価法ではあるが、センチュウ害の評価指標として最も広く用いられている。
根こぶ指数=((4VI+3III+2II+1I)/(4×調査株数))×100 …式(1)
0 : 根の0%に根こぶが認められた植物体数
I : 根の1〜25%に根こぶが認められた植物体数
II : 根の26〜50%に根こぶが認められた植物体数
III : 根の51〜75%に根こぶが認められた植物体数
IV : 根の76〜100%に根こぶが認められた植物体数 (iv)非病原性フザリウム菌による維管束の褐変
実施例の試験区にセンチュウを接種して35日後に、各試験区のトマトを地際部から切断し、地際部より5cm上の維管束褐変の程度に応じて0〜IVの5段階評を与え、下記の式(2)により各処理の罹病指数を算出した。
罹病指数=((4IV+3III+2II+1I)/(4×調査株数))×100 …式(2)
0 : 維管束褐変なし
I : 維管束の1/4に褐変が認められた植物体数
II : 維管束の1/2に褐変が認められた植物体数
III: 維管束の3/4に褐変が認められた植物体数
IV : 枯死若しくは維管束全体に褐変が認められた植物体数
罹病指数=((4IV+3III+2II+1I)/(4×調査株数))×100 …式(2)
0 : 維管束褐変なし
I : 維管束の1/4に褐変が認められた植物体数
II : 維管束の1/2に褐変が認められた植物体数
III: 維管束の3/4に褐変が認められた植物体数
IV : 枯死若しくは維管束全体に褐変が認められた植物体数
(v)統計処理
上記試験区のデータの検定は、検定が可能な場合に、一元配置分散分析による5%水準の有意差検出を行い、試験区間に有意差が検出された場合は、HSD Tukey法による多重比較を行った。図において、「a」「b」のアルファベットは、「a」が付された試験区と「b」が付された試験区の間に有意差があることを示す。
上記試験区のデータの検定は、検定が可能な場合に、一元配置分散分析による5%水準の有意差検出を行い、試験区間に有意差が検出された場合は、HSD Tukey法による多重比較を行った。図において、「a」「b」のアルファベットは、「a」が付された試験区と「b」が付された試験区の間に有意差があることを示す。
(6)結果
各試験区における根こぶ階級値、根こぶ指数及び第2期幼虫密度をそれぞれ図1A、B及びCに示す。フザリウム菌の土壌接種と茎接種(針)を比較したが、フザリウム菌小型分生子の茎接種において、菌体の土壌接種と同じく、センチュウ接種より概ね2日遅い接種によって被害が軽減された。土壌中のセンチュウ幼虫の密度もセンチュウ接種の2日後に茎にフザリウム菌を接種した場合に低かった。
各試験区における根こぶ階級値、根こぶ指数及び第2期幼虫密度をそれぞれ図1A、B及びCに示す。フザリウム菌の土壌接種と茎接種(針)を比較したが、フザリウム菌小型分生子の茎接種において、菌体の土壌接種と同じく、センチュウ接種より概ね2日遅い接種によって被害が軽減された。土壌中のセンチュウ幼虫の密度もセンチュウ接種の2日後に茎にフザリウム菌を接種した場合に低かった。
フザリウム菌による導管の褐変が、F13茎−2区(指数10.0)、F13茎+2区(同6.3)、F13土+2区(同18.8)に認められたが、萎ちょう症状は発症せず、実害はなかった。
[実施例2]
トマトのポット栽培において、ネコブセンチュウの感染時点から2〜64時間にわたり8時間おきのタイミングで非病原性のフザリウム菌を茎葉接種した場合のネコブセンチュウ防除効果について実験を行った。
トマトのポット栽培において、ネコブセンチュウの感染時点から2〜64時間にわたり8時間おきのタイミングで非病原性のフザリウム菌を茎葉接種した場合のネコブセンチュウ防除効果について実験を行った。
(1)実験に用いたセンチュウと微生物の株
(i)センチュウ
実施例1と同様にサツマイモネコブセンチュウ新潟がんばる根系統を用いた。
(ii)非病原性フザリウム
実施例1と同様にフザリウム・オキシスポラムF13系統を用いた。
(i)センチュウ
実施例1と同様にサツマイモネコブセンチュウ新潟がんばる根系統を用いた。
(ii)非病原性フザリウム
実施例1と同様にフザリウム・オキシスポラムF13系統を用いた。
(2)育苗と栽培
土壌蒸気滅菌器にて滅菌処理した砂壌土(砂をおよそ50%含む)に、化成肥料(NPK成分各14%)と苦土石灰をそれぞれ13g/18リットル加えた。この床土を口径90mm×高さ80mmの黒丸ビニルポットに充てんして、挿木再生苗のトマト(桃太郎はるか)を移植した。育苗、試験微生物の接種、接種後のトマトの栽培管理は、すべて茨城県つくば市に所在する中央農業総合研究センターのガラス室において実施した。
土壌蒸気滅菌器にて滅菌処理した砂壌土(砂をおよそ50%含む)に、化成肥料(NPK成分各14%)と苦土石灰をそれぞれ13g/18リットル加えた。この床土を口径90mm×高さ80mmの黒丸ビニルポットに充てんして、挿木再生苗のトマト(桃太郎はるか)を移植した。育苗、試験微生物の接種、接種後のトマトの栽培管理は、すべて茨城県つくば市に所在する中央農業総合研究センターのガラス室において実施した。
(3)接種源の調製と接種方法
(i)センチュウ
実施例1と同様にセンチュウを調製し、1ポット当たり1000頭のネコブセンチュウ幼虫を土壌に接種した。
(ii)非病原性フザリウム菌
実施例1と同様にフザリウム菌F13の小型分生子を調製した。菌の接種はトマトの茎の子葉の葉位の茎にピンで深さ2mmの穴を開け、その穴に先端に注射針を装着したピペットを用い、蒸留水中に小型分生子を105個/μl含む懸濁液を1μl注入することにより実施した。センチュウ接種後2、8、16、24、32、40、48、56及び64時間にトマトの茎に接種した。対照(Control)には接種しなかった。
各試験区は3反復であった。ポットはガラス室のベンチに静置し、25℃〜30℃で管理した。
(i)センチュウ
実施例1と同様にセンチュウを調製し、1ポット当たり1000頭のネコブセンチュウ幼虫を土壌に接種した。
(ii)非病原性フザリウム菌
実施例1と同様にフザリウム菌F13の小型分生子を調製した。菌の接種はトマトの茎の子葉の葉位の茎にピンで深さ2mmの穴を開け、その穴に先端に注射針を装着したピペットを用い、蒸留水中に小型分生子を105個/μl含む懸濁液を1μl注入することにより実施した。センチュウ接種後2、8、16、24、32、40、48、56及び64時間にトマトの茎に接種した。対照(Control)には接種しなかった。
各試験区は3反復であった。ポットはガラス室のベンチに静置し、25℃〜30℃で管理した。
(4)評価方法
各試験区にセンチュウを接種して36日後に、各試験区のトマトを地際部から切断し、根から土壌を払い落とし、ポリエチレン袋に取り除けた。根は水道水で丁寧に洗浄した。
(i)0〜10段階根こぶ階級値
実施例1のZeck(Zeck,W.M.(1971):Pflanzenschutz-Nachichten. Bayer AG, 24, 141-144.)の方法に従い判定した。
各試験区にセンチュウを接種して36日後に、各試験区のトマトを地際部から切断し、根から土壌を払い落とし、ポリエチレン袋に取り除けた。根は水道水で丁寧に洗浄した。
(i)0〜10段階根こぶ階級値
実施例1のZeck(Zeck,W.M.(1971):Pflanzenschutz-Nachichten. Bayer AG, 24, 141-144.)の方法に従い判定した。
(ii)根こぶ数
トマトの根を解剖鋏で分解し、分解した側根ごとに実体顕微鏡下(40〜60倍)で、根こぶ(ゴール)を計数カウンターによって計数し、これらを集計して全根系の根こぶ数を計上した。
トマトの根を解剖鋏で分解し、分解した側根ごとに実体顕微鏡下(40〜60倍)で、根こぶ(ゴール)を計数カウンターによって計数し、これらを集計して全根系の根こぶ数を計上した。
(iii)統計処理
上記試験区のデータの検定は、検定が可能な場合に、一元配置分散分析による5%水準の有意差検出を行い、試験区間に有意差が検出された場合は、HSD Tukey法による多重比較を行った。図において、「a」「b」「c」のアルファベットは、同じ記号が付与されていない場合に処理区の平均値間に有意差(P<0.05)があることを示す。
上記試験区のデータの検定は、検定が可能な場合に、一元配置分散分析による5%水準の有意差検出を行い、試験区間に有意差が検出された場合は、HSD Tukey法による多重比較を行った。図において、「a」「b」「c」のアルファベットは、同じ記号が付与されていない場合に処理区の平均値間に有意差(P<0.05)があることを示す。
(5)結果
各試験区における根こぶ階級値と根こぶ数(ゴール数)をそれぞれ図2A及びBに示す。トマトの茎にフザリウム菌を接種するタイミングを8時間おきに追跡した結果、根こぶ階級値(A)及びゴール(根こぶ数)(B)は、センチュウ接種の2〜24時間後のフザリウム菌接種で低下したが、32時間後接種で元に戻り、48時間後接種に再度大きく低下することが認められた。それ以降のフザリウム菌接種では低下しなかった。
各試験区における根こぶ階級値と根こぶ数(ゴール数)をそれぞれ図2A及びBに示す。トマトの茎にフザリウム菌を接種するタイミングを8時間おきに追跡した結果、根こぶ階級値(A)及びゴール(根こぶ数)(B)は、センチュウ接種の2〜24時間後のフザリウム菌接種で低下したが、32時間後接種で元に戻り、48時間後接種に再度大きく低下することが認められた。それ以降のフザリウム菌接種では低下しなかった。
[実施例3]
非病原性フザリウム菌のセンチュウ防除効果をさらに高める可能性がある微生物資材として、トバモウイルス属の弱毒系統を導入し、ガラス室内でポット栽培したトマトに2種の非病原性微生物とセンチュウを接種する実験を行い、センチュウ防除効果を調べた。
非病原性フザリウム菌のセンチュウ防除効果をさらに高める可能性がある微生物資材として、トバモウイルス属の弱毒系統を導入し、ガラス室内でポット栽培したトマトに2種の非病原性微生物とセンチュウを接種する実験を行い、センチュウ防除効果を調べた。
(1)実験に用いたセンチュウと微生物の株
(i)センチュウ
実施例1と同様の系統を供試した。
(ii)非病原性フザリウム菌
実施例1と同様の非病原性フザリウム菌F13系統を供試した。
(iii)トバモウイルス属の弱毒株
トマトモザイクウイルス(ToMV)の弱毒ウイルス系統L11A−237株を供試した。
(i)センチュウ
実施例1と同様の系統を供試した。
(ii)非病原性フザリウム菌
実施例1と同様の非病原性フザリウム菌F13系統を供試した。
(iii)トバモウイルス属の弱毒株
トマトモザイクウイルス(ToMV)の弱毒ウイルス系統L11A−237株を供試した。
(2)育苗と栽培
トマトの品種は、桃太郎(タキイ)を供試し、トマト種子の滅菌を、1.0%アンチホルミンで10分間、70%エタノールに5分間の順で浸漬し、滅菌蒸留水にて3度洗浄することによって行った。滅菌した種子をコニカルビーカー内の滅菌蒸留水に浸漬し、振とう器にて数日間振とうさせて発芽させた(滅菌蒸留水は24時間ごとに交換)。発芽した種子を砂が充填された直径7.5cm黒丸ポットに播種した。
トマトの品種は、桃太郎(タキイ)を供試し、トマト種子の滅菌を、1.0%アンチホルミンで10分間、70%エタノールに5分間の順で浸漬し、滅菌蒸留水にて3度洗浄することによって行った。滅菌した種子をコニカルビーカー内の滅菌蒸留水に浸漬し、振とう器にて数日間振とうさせて発芽させた(滅菌蒸留水は24時間ごとに交換)。発芽した種子を砂が充填された直径7.5cm黒丸ポットに播種した。
(3)接種源の調製と接種方法
(i)ウイルス弱毒系統の調製と接種
トバモウイルス属のトマトモザイクウイルス(ToMV)弱毒系統L11A−237株は、この株が感染したタバコNicotiana tabacum幼植物から得た。本植物より約0.1gの葉を切り出し、0.05M、pH7.0のリン酸緩衝液100ml中で、乳鉢と乳棒を用いて磨砕した。次いで、トマトの子葉に研磨剤を振りかけ、そこに前記の葉の磨砕液を染みこませた脱脂綿を軽くこすりつけた。研磨剤として、400−600メッシュのカーボランダムを用いた。トマト未生の本葉が2枚展開した時点で、ToMV(L11A−237)を子葉に塗布した。
(i)ウイルス弱毒系統の調製と接種
トバモウイルス属のトマトモザイクウイルス(ToMV)弱毒系統L11A−237株は、この株が感染したタバコNicotiana tabacum幼植物から得た。本植物より約0.1gの葉を切り出し、0.05M、pH7.0のリン酸緩衝液100ml中で、乳鉢と乳棒を用いて磨砕した。次いで、トマトの子葉に研磨剤を振りかけ、そこに前記の葉の磨砕液を染みこませた脱脂綿を軽くこすりつけた。研磨剤として、400−600メッシュのカーボランダムを用いた。トマト未生の本葉が2枚展開した時点で、ToMV(L11A−237)を子葉に塗布した。
(ii)非病原性フザリウム菌の調製と接種
接種源のフザリウム菌F13系統の小型分生子は実施例1で使用したものと同一であった。Potato dextrose brothが混和された1.0%寒天培地(PDA培地)が入った直径9cmの滅菌済みプラスチックシャーレにこの小型分生子を塗布した。塗布後、PDA培地全面に菌叢が行き届いたものの中からコルクボーラーにより直径0.5cmのPDAディスクを調製した。またこの小型分生子を振とう培養し、小型分生子が1mlあたり105程度ふくまれるよう、懸濁液を調製した。
接種源のフザリウム菌F13系統の小型分生子は実施例1で使用したものと同一であった。Potato dextrose brothが混和された1.0%寒天培地(PDA培地)が入った直径9cmの滅菌済みプラスチックシャーレにこの小型分生子を塗布した。塗布後、PDA培地全面に菌叢が行き届いたものの中からコルクボーラーにより直径0.5cmのPDAディスクを調製した。またこの小型分生子を振とう培養し、小型分生子が1mlあたり105程度ふくまれるよう、懸濁液を調製した。
トマトモザイクウイルス接種から2日(48時間)経過した時点で、非病原性フザリウム菌若しくはセンチュウを接種した。PDAディスクの場合には、トマトの株元に注射針で傷を付け、そこにPDAディスクを貼り付け、パラフィルム巻き付けて株元のPDAディスクを固定した。また懸濁液の場合には、注射針に懸濁液を浸漬し、株元に傷をつけ、傷口をパラフィルムで覆った。
(iii)センチュウの調製と接種
接種源のサツマイモネコブセンチュウは、実施例1と同様の系統であり、実施例1と同様の方法で増殖し、第2期幼虫を回収した。トマト幼植物へのセンチュウの接種は、フザリウム菌接種の0、6、12、24、36及び48時間前、又はフザリウム菌接種の6、12、24、36及び48時間後に、第2期幼虫200頭を土壌に接種して行った。
接種源のサツマイモネコブセンチュウは、実施例1と同様の系統であり、実施例1と同様の方法で増殖し、第2期幼虫を回収した。トマト幼植物へのセンチュウの接種は、フザリウム菌接種の0、6、12、24、36及び48時間前、又はフザリウム菌接種の6、12、24、36及び48時間後に、第2期幼虫200頭を土壌に接種して行った。
(4)試験区
試験区として下記のとおり4区を設けた。
(i)+virus区
トマトモザイクウイルスをトマト幼植物に接種してから2日経過した後、ネコブセンチュウを接種した場合、ネコブセンチュウ接種の6、12、24、36及び48時間後(6、12、24、36及び48区)に非病原性フザリウム菌を茎接種したもの、ネコブセンチュウ接種と同時(±0区)に非病原性フザリウム菌を茎接種したもの、又は非病原性フザリウム菌を茎接種してから6、12、24、36及び48時間後(−6、−12、−24、−36及び−48区)に、ネコブセンチュウ接種したもの。
試験区として下記のとおり4区を設けた。
(i)+virus区
トマトモザイクウイルスをトマト幼植物に接種してから2日経過した後、ネコブセンチュウを接種した場合、ネコブセンチュウ接種の6、12、24、36及び48時間後(6、12、24、36及び48区)に非病原性フザリウム菌を茎接種したもの、ネコブセンチュウ接種と同時(±0区)に非病原性フザリウム菌を茎接種したもの、又は非病原性フザリウム菌を茎接種してから6、12、24、36及び48時間後(−6、−12、−24、−36及び−48区)に、ネコブセンチュウ接種したもの。
(ii)−virus区
トマト幼植物に、ネコブセンチュウを接種した場合、ネコブセンチュウ接種の6、12、24、36及び48時間後(6、12、24、36及び48区)に非病原性フザリウム菌を茎接種したもの、ネコブセンチュウ接種と同時(±0区)に非病原性フザリウム菌を茎接種したもの、又は非病原性フザリウム菌を茎接種してから6、12、24、36及び48時間後(−6、−12、−24、−36及び−48区)に、ネコブセンチュウ接種したもの。トマトモザイクウイルスは無接種である。
トマト幼植物に、ネコブセンチュウを接種した場合、ネコブセンチュウ接種の6、12、24、36及び48時間後(6、12、24、36及び48区)に非病原性フザリウム菌を茎接種したもの、ネコブセンチュウ接種と同時(±0区)に非病原性フザリウム菌を茎接種したもの、又は非病原性フザリウム菌を茎接種してから6、12、24、36及び48時間後(−6、−12、−24、−36及び−48区)に、ネコブセンチュウ接種したもの。トマトモザイクウイルスは無接種である。
(iii)対照(control)区
−virusの対照区は、トマト幼植物にネコブセンチュウのみを接種したもので、フザリウム菌及びウイルスともに無接種である。+virusの対照は、トマト幼植物にトマトモザイクウイルスを接種し、その2日後にネコブセンチュウのみを接種したもので、フザリウム菌は無接種である。
各試験区について、5反復を2回、計10反復行った。ポットはガラス室のベンチに静置し、20〜25℃で温度を管理して栽培した。また、乾燥しない程度に灌水した。
−virusの対照区は、トマト幼植物にネコブセンチュウのみを接種したもので、フザリウム菌及びウイルスともに無接種である。+virusの対照は、トマト幼植物にトマトモザイクウイルスを接種し、その2日後にネコブセンチュウのみを接種したもので、フザリウム菌は無接種である。
各試験区について、5反復を2回、計10反復行った。ポットはガラス室のベンチに静置し、20〜25℃で温度を管理して栽培した。また、乾燥しない程度に灌水した。
(5)評価方法
フザリウム菌とセンチュウを同時に接種した試験(±0区)を基準として2週間経過後に、各試験区のトマトの根を丁寧に洗い出し、苗を回収した。
回収した根はベルマン管ビンを用いた酸性グリセリン法で染色し、根内部のネコブセンチュウ数を検鏡にて確認した。
フザリウム菌とセンチュウを同時に接種した試験(±0区)を基準として2週間経過後に、各試験区のトマトの根を丁寧に洗い出し、苗を回収した。
回収した根はベルマン管ビンを用いた酸性グリセリン法で染色し、根内部のネコブセンチュウ数を検鏡にて確認した。
(6)結果
各試験区におけるセンチュウのトマト根への侵入数を標準誤差と共に図3A及びBに示す。図3Aはフザリウム菌をPDAディスクとして接種した場合を、図3Bはフザリウム菌を懸濁液として接種した場合を示す。図3中、横軸はネコブセンチュウ接種を基準にフザリウム菌の接種の時間のずれを示す。数字がマイナスであればフザリウム菌がセンチュウより先に接種され、逆にプラスの数字はフザリウム菌が後から接種されたことを示す。濃灰色はフザリウム菌を単独接種した場合、薄灰色は弱毒ToMVと組み合わせた場合を表す。
実験の結果、12時間おきに観察したセンチュウの根への侵入数は、8時間おきのポット試験のゴール形成数と異なり、一貫して対照区(control)より少なく、48時間後に最も少なかった。図3A及びBに示されるように、ウイルスとの組み合わせは侵入センチュウ数をさらに減少させた。
各試験区におけるセンチュウのトマト根への侵入数を標準誤差と共に図3A及びBに示す。図3Aはフザリウム菌をPDAディスクとして接種した場合を、図3Bはフザリウム菌を懸濁液として接種した場合を示す。図3中、横軸はネコブセンチュウ接種を基準にフザリウム菌の接種の時間のずれを示す。数字がマイナスであればフザリウム菌がセンチュウより先に接種され、逆にプラスの数字はフザリウム菌が後から接種されたことを示す。濃灰色はフザリウム菌を単独接種した場合、薄灰色は弱毒ToMVと組み合わせた場合を表す。
実験の結果、12時間おきに観察したセンチュウの根への侵入数は、8時間おきのポット試験のゴール形成数と異なり、一貫して対照区(control)より少なく、48時間後に最も少なかった。図3A及びBに示されるように、ウイルスとの組み合わせは侵入センチュウ数をさらに減少させた。
[実施例4]
トバモウイルス属ウイルスの弱毒株をトマト幼苗に接種することと、センチュウの感染に相対して2日遅く感染するタイミングで非病原性フザリウム菌を茎葉接種する条件とを組み合わせることによるセンチュウ防除効果を、無加温ビニルハウス栽培において調べた。
トバモウイルス属ウイルスの弱毒株をトマト幼苗に接種することと、センチュウの感染に相対して2日遅く感染するタイミングで非病原性フザリウム菌を茎葉接種する条件とを組み合わせることによるセンチュウ防除効果を、無加温ビニルハウス栽培において調べた。
(1)実験に用いたセンチュウと微生物の株
(i)センチュウ
サツマイモネコブセンチュウ:メロイドギネ・インコグニータ(Meloidogyne incognita)(山梨県のトマト(品種:踊り子)栽培圃場に由来し、1999年に中央農業総合研究センター(つくば)のC4特殊圃場のビニルハウスに導入され、以降トマトを連作することにより、このビニルハウス土壌に定着した系統)を用いた。本系統は、センチュウ抵抗性遺伝子(Mi遺伝子)を組み込んだトマトの品種(NR品種:Nematode resistant variety)に対する感染能が、感受性品種に対する感染能と同等である、いわゆる「抵抗性打破系統」である。この系統は、いずれの公的機関にも寄託されていないが、独立行政法人農業・食品産業技術研究機構中央農業研究センター病害虫検出同定法研究チーム 水久保隆之から無償で入手することができる。
(ii)非病原性の微生物
実施例1と同様に、フザリウム・オキシスポラムF13系統を用いた。
(iii)トバモウイルス属の弱毒株
実施例3と同様に、トマトモザイクウイルスToMVの弱毒性L11A237株を用いた。
(i)センチュウ
サツマイモネコブセンチュウ:メロイドギネ・インコグニータ(Meloidogyne incognita)(山梨県のトマト(品種:踊り子)栽培圃場に由来し、1999年に中央農業総合研究センター(つくば)のC4特殊圃場のビニルハウスに導入され、以降トマトを連作することにより、このビニルハウス土壌に定着した系統)を用いた。本系統は、センチュウ抵抗性遺伝子(Mi遺伝子)を組み込んだトマトの品種(NR品種:Nematode resistant variety)に対する感染能が、感受性品種に対する感染能と同等である、いわゆる「抵抗性打破系統」である。この系統は、いずれの公的機関にも寄託されていないが、独立行政法人農業・食品産業技術研究機構中央農業研究センター病害虫検出同定法研究チーム 水久保隆之から無償で入手することができる。
(ii)非病原性の微生物
実施例1と同様に、フザリウム・オキシスポラムF13系統を用いた。
(iii)トバモウイルス属の弱毒株
実施例3と同様に、トマトモザイクウイルスToMVの弱毒性L11A237株を用いた。
(2)育苗と栽培
トマトの品種は、NR品種(センチュウ抵抗性)である桃太郎(タキイ)を用いた。育苗床土は、クレハ園芸培土と砂質壌土をそれぞれ50%混和したものを用いた。この床土を口径60mm×高さ57mmの黒色ビニルポット(容積100ml)に充てんし、ポット当たり2粒の種子を播種した。発芽後に間引いて1本立ちの苗に仕立てた。播種より11日後に、総ポット数の半数のポットのトマト幼植物にトマトモザイクウイルスの弱毒株を接種した。播種より18日後に口径90mm×高さ80mmの黒色ビニルポット(容積300ml)に前記の育苗床土を用いて改埴した。播種、育苗、供試微生物の接種、接種後のトマトの育苗管理のすべては、実施例1と同様に、茨城県つくば市観音台3丁目1番1号に所在する中央農業総合研究センターのガラス室において実施した。苗は、25℃で管理し、定植日まで育苗した。
トマトの品種は、NR品種(センチュウ抵抗性)である桃太郎(タキイ)を用いた。育苗床土は、クレハ園芸培土と砂質壌土をそれぞれ50%混和したものを用いた。この床土を口径60mm×高さ57mmの黒色ビニルポット(容積100ml)に充てんし、ポット当たり2粒の種子を播種した。発芽後に間引いて1本立ちの苗に仕立てた。播種より11日後に、総ポット数の半数のポットのトマト幼植物にトマトモザイクウイルスの弱毒株を接種した。播種より18日後に口径90mm×高さ80mmの黒色ビニルポット(容積300ml)に前記の育苗床土を用いて改埴した。播種、育苗、供試微生物の接種、接種後のトマトの育苗管理のすべては、実施例1と同様に、茨城県つくば市観音台3丁目1番1号に所在する中央農業総合研究センターのガラス室において実施した。苗は、25℃で管理し、定植日まで育苗した。
栽培試験は、茨城県つくば市観音台3丁目1番1号に所在する中央農業総合研究センターのC4特殊圃場に設置されたビニルハウス(間口6.4m、奥行25.0m、高さ3.0m)において実施した。ここに0.8m幅の通路を隔てた幅1.0m、長さ21.6mの畝を3本設けた。各畝を高さ25cmのポリエチレン製の畦波板を埋設して2.4m毎に仕切り、併せて27区のマイクロプロットを設けた。1試験プロットの面積は2.4m2であった。これらからランダムに選定し、相互に隔たった試験プロット3枚を反復する9試験区を設計した。
試験に供したプロットは、鍬で耕起した後、14化性肥料(NPK:14−14−14)、苦土石灰及び熔成燐肥をプロットごとにそれぞれ240g(100kg/10a相当)、240g(100kg/10a相当)及び48g(20kg/10a相当)散布して施肥し、鍬で丁寧に混和した。
第1回採土は、耕起直後に一度に表層から深さ20cmまでの土壌100mlを採収できるオーガーを用い、1プロット当たり4点の土壌コア(サブサンプル)の採取(以下、採土と呼ぶ)を行った。採取した4点のサブサンプルを12号のポリエチレン袋に収納し、収納直後に混和して1サンプルとした。
手押し式灌注器(共立)を用いて慣行防除に割り当てた試験プロットにD−Dくん蒸剤を深さ15cmに30cm間隔で2ml(20L/10a相当量)灌注処理し、黒色ビニール製マルチシートで被覆した。灌注より8日後に、鍬を用いて耕起し、土壌中に残存するくん蒸剤成分を除去するガス抜き作業を実施した。
第2回採土及び第3回(最終)採土は前記第1回採土と同様に実施した。
第2回採土及び第3回(最終)採土は前記第1回採土と同様に実施した。
トマトの定植は、2008年5月20日に畝を被覆した黒ポリマルチの上から、マルチ穴開け機を用いてつくった直径9cm、深さ9cmの穴に苗を育苗した土壌ごと挿し込み、土寄せすることによって行った。試験プロットには8本の苗を、条間に50cm、株間に60cmをとって2条植えした。定植後に180cmの支柱を立てた。
定植後、2008年8月12日まで84日間栽培した。潅水は、畝を覆う黒ポリマルチの下中央に設置した潅水チューブ(スミサンスイM30)によって週に1、2回の頻度で行った。ハウス内気温は、側窓の開閉、大型換気扇による強制換気によって、35℃以下に保った。この間、芽かき、支柱への誘引、病害虫防除を適宜実施した。
(3)接種源の調製と接種方法
(i)ウイルス弱毒系統の調製と接種
接種源のトバモウイルス属のトマトモザイクウイルス弱毒系統株は、実施例3と同様に調製し、実施例3と同様の方法を用いて、播種より14日後のトマト幼植物に接種した。
(i)ウイルス弱毒系統の調製と接種
接種源のトバモウイルス属のトマトモザイクウイルス弱毒系統株は、実施例3と同様に調製し、実施例3と同様の方法を用いて、播種より14日後のトマト幼植物に接種した。
(ii)非病原性フザリウム菌の調製と接種
接種源の非病原性フザリウム菌としてF13系統を用いた。圃場に処理する接種源は以下のように調整した。すなわち、フスマ2L、圃場の黒ボク土壌0.8L、バーミキュライト0.8L、水道水0.8Lを混和し、実施例1に記載のきのこ培養用プラスチックパック(信濃パック)の2つの袋に2Lずつ入れた。各パックには、それらの上端の開放口に加熱密封機(シーラー)よる密閉を施した後に、オートクレーブ121℃1時間による滅菌を施した。滅菌終了後、直ちに培地のパックをクリンベンチに移して放冷した。続いて、滅菌済の10ml注射針を用いて、フザリウムの菌液を10ml注入した。注射針が開けたパックの細孔はビニルテープを貼ることによって塞いだ。2週間後におよそ5X108CFU/gの湿培養物を得た。株際の3箇所の直形2cm深さ5cm程度の穴を穿ち、各5gの培養物を投入することにより、株当り15gを処理した。したがって、1株当りの接種量は7.5×109cfuであった。茎に接種するF13は、実施例1と同様に培養し、実施例1と同様に調整して、ペースト状の小型分生子(出芽菌体)を得た。これを規格25G(針の直形0.5mm)の注射針に掬い取り、子葉部と第1本葉の間の茎に直角に突き刺すことにより接種した。接種量は5×105/株であった。
接種源の非病原性フザリウム菌としてF13系統を用いた。圃場に処理する接種源は以下のように調整した。すなわち、フスマ2L、圃場の黒ボク土壌0.8L、バーミキュライト0.8L、水道水0.8Lを混和し、実施例1に記載のきのこ培養用プラスチックパック(信濃パック)の2つの袋に2Lずつ入れた。各パックには、それらの上端の開放口に加熱密封機(シーラー)よる密閉を施した後に、オートクレーブ121℃1時間による滅菌を施した。滅菌終了後、直ちに培地のパックをクリンベンチに移して放冷した。続いて、滅菌済の10ml注射針を用いて、フザリウムの菌液を10ml注入した。注射針が開けたパックの細孔はビニルテープを貼ることによって塞いだ。2週間後におよそ5X108CFU/gの湿培養物を得た。株際の3箇所の直形2cm深さ5cm程度の穴を穿ち、各5gの培養物を投入することにより、株当り15gを処理した。したがって、1株当りの接種量は7.5×109cfuであった。茎に接種するF13は、実施例1と同様に培養し、実施例1と同様に調整して、ペースト状の小型分生子(出芽菌体)を得た。これを規格25G(針の直形0.5mm)の注射針に掬い取り、子葉部と第1本葉の間の茎に直角に突き刺すことにより接種した。接種量は5×105/株であった。
(4)試験区
(i)対照区
ウイルスの弱毒株を接種していない苗を定植し、定植の2日後に株元にオートクレーブ滅菌したF13培養物を15g混和し、さらに規格25Gの注射針で蒸留水を茎に接種したもの。
(i)対照区
ウイルスの弱毒株を接種していない苗を定植し、定植の2日後に株元にオートクレーブ滅菌したF13培養物を15g混和し、さらに規格25Gの注射針で蒸留水を茎に接種したもの。
(ii)F13茎区
ウイルスの弱毒株を接種した又は接種していない苗を定植し、定植の2日後にこの茎に非病原性フザリウム菌F13を接種したもの。
ウイルスの弱毒株を接種した又は接種していない苗を定植し、定植の2日後にこの茎に非病原性フザリウム菌F13を接種したもの。
(iii)F13株元区
ウイルスの弱毒株を接種した又は接種していない苗を定植し、定植の2日後にこの株元に非病原性フザリウム菌F13を混和したもの。
ウイルスの弱毒株を接種した又は接種していない苗を定植し、定植の2日後にこの株元に非病原性フザリウム菌F13を混和したもの。
(iv)ホスチアゼート区
ウイルスの弱毒株を接種した又は接種していない苗を定植し、慣行的にセンチュウ防除に使用されているホスチアゼート1.5%粒剤を20kg/10aで処理したもの。
試験圃場は、2007年にD−Dくん蒸剤20リットル/10aを処理し、トマトを栽培した跡地であった。
ウイルスの弱毒株を接種した又は接種していない苗を定植し、慣行的にセンチュウ防除に使用されているホスチアゼート1.5%粒剤を20kg/10aで処理したもの。
試験圃場は、2007年にD−Dくん蒸剤20リットル/10aを処理し、トマトを栽培した跡地であった。
(5)評価方法
実施例の試験区に苗を定植して84日後(2008年8月12日)に、各試験区のトマトの茎葉を刈取り、株の中心から半径20cmの位置に深くシャベルを入れ、直径40cm、深さ25cmの根系を土壌とともに掘り上げた。その場で根から土壌を払い落とし、目視観察により、根こぶ被害度を判定した。また、オーガーを用いて株元から20cm外側の位置の土壌を4点採取し、ポリエチレン袋に収納した。
実施例の試験区に苗を定植して84日後(2008年8月12日)に、各試験区のトマトの茎葉を刈取り、株の中心から半径20cmの位置に深くシャベルを入れ、直径40cm、深さ25cmの根系を土壌とともに掘り上げた。その場で根から土壌を払い落とし、目視観察により、根こぶ被害度を判定した。また、オーガーを用いて株元から20cm外側の位置の土壌を4点採取し、ポリエチレン袋に収納した。
(i)0〜10段階根こぶ階級値
Zeck(Zeck,W.M.(1971):Pflanzenschutz-Nachichten. Bayer AG, 24, 141-144.)の方法に従い、以下の階級値によって根こぶ着生程度を11段階で評価した。
0:根こぶが全く認められない。
1:注意深い観察によって、数個の小さな根こぶを認めることができる。
2:1と同様の数個の小さな根こぶがが容易に確認できる。
3:多くの小さな根こぶがあり、そのいくつかは融合している。根の機能はほとんど損なわれていない。
4:多数の小さな根こぶがあり、大きな根こぶもいくつかある。根の多くは機能している。
5:根の25%に著しく根こぶが着生し、機能していない。
6:根の50%に著しく根こぶが着生し、機能していない。
7:根の75%に著しく根こぶが着生し、根の再生能力も失われている。
8:健全な根は皆無であり、植物の養分吸収は阻害されている。茎葉部はまだ青い。
9:完全に根こぶに被われた根系が腐敗しつつある。植物は枯死しつつある。
10:植物も根も枯死。
(ii)センチュウ第2期幼虫数
実施例1と同様の方法によって、土壌20gあたりのセンチュウ第2期幼虫数を計数した。
Zeck(Zeck,W.M.(1971):Pflanzenschutz-Nachichten. Bayer AG, 24, 141-144.)の方法に従い、以下の階級値によって根こぶ着生程度を11段階で評価した。
0:根こぶが全く認められない。
1:注意深い観察によって、数個の小さな根こぶを認めることができる。
2:1と同様の数個の小さな根こぶがが容易に確認できる。
3:多くの小さな根こぶがあり、そのいくつかは融合している。根の機能はほとんど損なわれていない。
4:多数の小さな根こぶがあり、大きな根こぶもいくつかある。根の多くは機能している。
5:根の25%に著しく根こぶが着生し、機能していない。
6:根の50%に著しく根こぶが着生し、機能していない。
7:根の75%に著しく根こぶが着生し、根の再生能力も失われている。
8:健全な根は皆無であり、植物の養分吸収は阻害されている。茎葉部はまだ青い。
9:完全に根こぶに被われた根系が腐敗しつつある。植物は枯死しつつある。
10:植物も根も枯死。
(ii)センチュウ第2期幼虫数
実施例1と同様の方法によって、土壌20gあたりのセンチュウ第2期幼虫数を計数した。
(6)結果
各試験区における幼虫密度及び根こぶ階級値をそれぞれ図4A及びBに示す。図4Aでは、センチュウの幼虫密度を対数で示した。非病原性フザリウム菌を茎に接種すると、幼虫密度は2日後接種のタイミングで代表的殺センチュウ剤のホスチアゼート粒剤より低下し、トマトモザイクウイルスも接種した苗では一層低い傾向があった(図4A)。根の被害程度(根こぶ階級値)はばらつきが大きかったが、茎接種とトマトモザイクウイルスの処理の根こぶ階級値はばらつきが少なく、抑制程度は安定していた(図4B)。
各試験区における幼虫密度及び根こぶ階級値をそれぞれ図4A及びBに示す。図4Aでは、センチュウの幼虫密度を対数で示した。非病原性フザリウム菌を茎に接種すると、幼虫密度は2日後接種のタイミングで代表的殺センチュウ剤のホスチアゼート粒剤より低下し、トマトモザイクウイルスも接種した苗では一層低い傾向があった(図4A)。根の被害程度(根こぶ階級値)はばらつきが大きかったが、茎接種とトマトモザイクウイルスの処理の根こぶ階級値はばらつきが少なく、抑制程度は安定していた(図4B)。
本発明は、ネコブセンチュウが寄生し、固有のウイルス病やフザリウム病を持つ植物に広く適用可能である。本発明により、ネコブセンチュウによる植物の病害を安全かつ効率的に回避することができるため、農業分野及び農芸化学分野などに有用である。
Claims (7)
- 植物の茎葉に非病原性の糸状菌を接種することを特徴とする、センチュウによる植物病害を防除する方法。
- 植物の茎葉への非病原性糸状菌の接種の前に弱毒植物ウイルスを植物に施用する、請求項1に記載の方法。
- 非病原性糸状菌が非病原性フザリウム菌である、請求項1又は2に記載の方法。
- 非病原性糸状菌を菌叢ディスク又は懸濁液の形態で接種する、請求項1〜3のいずれか1項に記載の方法。
- センチュウがネコブセンチュウである、請求項1〜4のいずれか1項に記載の方法。
- 非病原性の糸状菌を有効成分として含有する、センチュウによる植物病害の防除のための茎葉処理剤。
- 非病原性糸状菌が非病原性フザリウム菌である、請求項6に記載の茎葉処理剤。
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| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
| WO2015118689A1 (ja) * | 2014-02-10 | 2015-08-13 | 十和田グリーンタフ・アグロサイエンス株式会社 | 農業害虫殺虫能を有する菌体抽出物の製造方法及び農業害虫の殺虫方法 |
| CN113079972A (zh) * | 2021-04-07 | 2021-07-09 | 山东省寿光蔬菜产业集团有限公司 | 一种抗性品种持续控制番茄根结线虫的方法 |
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2009
- 2009-09-01 JP JP2009201705A patent/JP2011051925A/ja active Pending
Cited By (4)
| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
| WO2015118689A1 (ja) * | 2014-02-10 | 2015-08-13 | 十和田グリーンタフ・アグロサイエンス株式会社 | 農業害虫殺虫能を有する菌体抽出物の製造方法及び農業害虫の殺虫方法 |
| JPWO2015118689A1 (ja) * | 2014-02-10 | 2017-03-23 | 十和田グリーンタフ・アグロサイエンス株式会社 | 農業害虫殺虫能を有する菌体抽出物の製造方法及び農業害虫の殺虫方法 |
| CN113079972A (zh) * | 2021-04-07 | 2021-07-09 | 山东省寿光蔬菜产业集团有限公司 | 一种抗性品种持续控制番茄根结线虫的方法 |
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