JP2011102768A - 熱特性の測定方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 定常温度場で熱伝導率または接触熱抵抗などの熱特性を測定する方法において、簡便な方法を用いて測定系からの放熱を抑制し、試料高温側と低温側の通過熱流束を一致させる。
【解決手段】 被測定試料を挟持する保持部材中の主熱流方向に対して平行に、保持部材と非当接かつ一定間隔で保護加熱部材を配置する。低温側保護加熱部材の制御温度と低温側保持部材の長さ方向中心部温度を等しく制御する。高温側と低温側の通過熱流束を比較し、高温側の通過熱流束が大きい場合には高温側保護加熱部材の制御温度を上昇させ、低温側の通過熱流束が大きい場合には高温側保護加熱部材の制御温度を低下させる。
【選択図】 図1

Description

本発明は、熱伝導率または接触熱抵抗を定常法で測定する方法に関する。
近年、様々な機器の省エネルギー化に対する要求が高まっており、熱を伝えるべき場所と遮断すべき場所に効果的に部材を配置する設計が求められている。そのため、使用する部材の熱特性を知ることが非常に重要となってきている。特に熱伝導率は熱の伝えやすさを表す指標であり、測定の要望が高い。また、電子機器における伝熱用グリースの熱伝達特性評価のように、部材間の接触面の接触熱抵抗の測定も重要な課題である。
材料の熱特性を測定する方法は従来から広く研究されており、さまざまな方式が提案されている。大別すると、試料と測定系とを含む温度場を時間的に一定に保持して測定する定常法と、試料の過渡的な温度応答を用いて測定する非定常法に分類することができる。定常法には平板直接法、熱流計法、平板比較法などがある。
定常法で熱伝導率を測定する場合、試料両面に温度差ΔTを与えた状態で、試料を通過する熱流束qを計測する。計測した熱流束qと(式1)を用いて熱抵抗Rを求める。
R=ΔT/q (式1)
また、試料の熱伝導率λは、試料厚みdに対して、(式2)を用いて算出される。
λ=d/R=d・q/ΔT (式2)
これは、熱伝導におけるフーリエの法則を直接利用したものである。また、二つの試料を重ねて同様にΔTとqを決定し、二つの試料を重ねた状態の熱抵抗も求めることができる。二つの試料間の接触熱抵抗は、二つの試料全体の熱抵抗から、個別の試料の熱抵抗を差し引いて求めることができる。
一方、非定常法には細線加熱法(または熱線法)、フラッシュ法、周期加熱法が分類されるが、フラッシュ法、周期加熱法の測定値は熱拡散率である。熱伝導率は、熱拡散率と、比熱および密度を用いて算出される。比熱および密度の測定には別の測定機が必要でありコストがかかるため、熱伝導率を直接測定することが好ましい。
細線加熱法は、細線状の発熱体から周囲試料へ熱が伝わる際の発熱部温度変化を元に熱伝導率を直接測定することができる。ただし、細線を中心とする温度変化が外部との境界面の影響で乱れると測定精度が悪化する。また、同じ理由で接触熱抵抗の測定には原理式の大幅な修正が必要となる。
以上より、熱伝導率および接触熱抵抗を同一装置において測定できる定常法は有効な測定手法である。
定常法の一つである平板比較法は、図3に示すように、被測定試料40を熱伝導率が既知の保持部材11aおよび11bで挟持し、保持部材11aを相対的に高温、保持部材11bを相対的に低温に保つことで、保持部材および被測定試料に熱流を発生させる。試料両端に温度差ΔTを与え、保持部材中の温度分布から熱流束qを求めることで、(式2)より熱伝導率が得られる。ここで、保持部材または試料表面からの放熱が発生すると、試料を通過する熱流束を正確に見積もることができず、熱伝導率を求めることができない。
そこで、被測定試料周辺からの放熱を抑制するものとして、環境を真空化し試料周辺の断熱部材を補助的に加熱したものが考えられている(特許文献1)。試料を真空槽内に配置した上で、試料側面を断熱部材で囲んだ構成を有している。試料両端に温度差を与えると試料内に温度分布が生じる。このとき、外部補助加熱装置を用いて試料に発生する温度分布とほぼ同様の温度分布を断熱部材に発生させることによって、試料と断熱部材の対向面の温度差を低減し、放熱を抑制している。
また、大気中で放熱を抑制した測定をおこなうものとしては、試料周辺の対流を抑制する構造と、保持部材および試料の周囲に複数の補償ヒータを設けたものも考えられている(特許文献2)。図6は、特許文献2に開示されている熱伝導率測定装置の概略図である。試料40および試料保持部材11は縦型に配置され、試料保持部材と保持部材の周囲に設けられた保護加熱部61の対向する位置にそれぞれ温度センサ62が設けられている。保持部材の温度測定点は、保持部材の温度分布から熱流束を求めるために、主熱流の方向に複数設けられている。また、保護加熱部は補償ヒータ63を備え、対向する保持部材と保護加熱部の温度が等しくなるように補償ヒータを温度制御する。また、複数の補償ヒータの温度を独立に制御するために、補償ヒータ同士は断熱された構造を有している。さらに、補償ヒータと保持部材は直接接触せず、すきまの対流を抑制するために、保持部材に接するフィン状の断熱素材64により、保持部材と補償ヒータ部のすきまが高さ方向に細分化された構造となっている。
特登録02832334号 特開2006−145446号広報
しかしながら特許文献1記載の方法では、熱伝導率の測定を真空槽内で行う技術が開示されているが、真空槽や真空ポンプなどの機器が必要となり、測定が大掛かりになる。また、特許文献2記載の方法では、大気中で熱伝導率と接触熱抵抗を測定できるが、測定部と放熱抑制部の間の空気対流を低減する断熱性のフィンを設けている。このような対策は構造が複雑であり、コストが高くなる。また多数のヒータ温度を独立に制御するために、制御も複雑になり、多数の温度センサを校正するための手間もかかる。
さらに、特許文献1、特許文献2記載の保護加熱方法は共に、試料と保護加熱部の対向面の温度を等しく制御し、試料および保持部材からの放熱の発生を抑制するものである。しかしながら、図3で示した熱流束qは、試料を挟んだ両側の保持部材中で一致させる事は非常に困難である。
そこで本発明の目的は、高温側および低温側の保持部材中の熱流束qを能動的に一致させることで、熱伝導率や接触熱抵抗などの熱特性の測定方法を提供することにある。
前記目的を達成するため本発明では、被測定試料を挟持する第1の保持部材と第2の保持部材と、前記第1の保持部材と第2の保持部材の前記被測定試料を挟持する面とは逆の端面に配置され、前記第1の保持部材と第2の保持部材の間に温度差を与える第1、第2の主加熱手段と、前記第1の保持部材と第2の保持部材の周囲に配置され、前記第1の保持部材と第2の保持部材の温度を制御する第1、第2の保護加熱手段と、前記第1の保持部材を通過する熱流束q1と第2の保持部材を通過する熱流束q2を計測する手段と、前記計測した熱流束q1と熱流束q2が等しくなるように前記第1、第2の保護加熱手段の温度を制御する制御手段を有する熱特性の測定装置を提供している。
また、第1の保持部材と第2の保持部材により被測定試料を挟持し、前記第1の保持部材と第2の保持部材の前記被測定試料を挟持する端面とは逆の面に配置された第1、第2の主加熱手段により、前記第1の保持部材と第2の保持部材を加熱し、第1の保持部材と第2の保持部材の間に温度差を設け、前記第1の保持部材と第2の保持部材の周囲に配置された第1、第2の保護加熱手段の温度を、前記第1の保持部材を通過する熱流束q1と第2の保持部材を通過する熱流束q2が等しくなるように制御し、前記第1の保持部材と第2の保持部材の温度と、前記等しくなるように制御された熱流束q1もしくはq2とから、被測定試料の熱特性を算出する熱特性の測定方法を提供している。
以上説明したように、本出願の発明によれば、試料高温側と低温側の通過熱流束を判定し、保護加熱部材の制御温度を決定するので、試料高温側と低温側それぞれ一つずつの保護加熱を行うことで高温側と低温側の熱流束を等しく制御できる。これにより、大気中で、保持部材と保護加熱部材間に対流抑制方法や多数の保護加熱部材を必要とせず、定常法による熱伝導率または接触熱抵抗などの熱特性の測定を行うことができる。
第1の実施例にかかる熱伝導率測定装置の構成を説明する図である。 第1の実施例にかかる熱伝導率測定装置の主熱流方向に垂直な断面の模式図である。 定常比較法における熱伝導率の測定原理を表す図である。 第1の実施例にかかる高温側と低温側の熱流束を一致させる手順を示すフロー図である。 第2の実施例にかかる接触熱抵抗測定方法の被測定試料周辺部を説明する図である。 従来例を説明する図である。
本発明者は、さまざまな試料と測定条件に対して熱伝導率と接触熱抵抗等の熱特性を測定するためには、保持部材と保護加熱部の温度を等しく制御することよりも、試料を挟んだ両側で熱流束qを能動的に一致させることのほうが有効であることに着目した。以下、それを実現する本発明の好適な実施形態について図面を参照して説明する。
(第1の実施の形態)
(装置構成)
図1は本発明の実施形態に関する熱伝導率測定装置の構成図である。被測定試料40は保持部材11aと保持部材11bにより挟持されている。熱伝導率既知(λs)の保持部材11a(第1の保持部材)および11b(第2の保持部材)それぞれの被測定試料40と逆の端面には、主加熱部12a(第1の主加熱手段)および12b(第2の主加熱手段)がそれぞれ取り付けられている。主加熱部12aおよび12bは所定の温度に制御可能で、主加熱部12aおよび12bを相異なる温度に保持することで、保持部材11aおよび11bには温度分布と熱流束qが生じる。また、図1中矢印xで表す保持部材の主熱流方向に沿うように、保持部材の周囲に一定間隔で配置された保護加熱部材13a(第1の保護加熱手段)および13b(第2の保護加熱手段)から構成される。
前記保持部材11aおよび11bのそれぞれに複数設けられた温度センサ111により、保持部材の主熱流方向xに沿う温度分布が測定される。本実施の形態において、保持部材の長さは60mmであり、温度センサは、主加熱部と非接触側の端面から5、15、25、45mmの位置に設けられている。主加熱部12aおよび12bの保持部材と接続されている反対側の面には、冷却部材14aおよび14bが接続されている。
計測部10aは、保持部材11a、加熱部12a、保護加熱部材13a、冷却部材14aにより構成されている。また計測部10bは、保持部材11b、加熱部12b、保護加熱部材13b、冷却部材14bにより構成されている。計測部10aにはロードセル24を介して加圧力発生機構23に接続され、加圧力を測定し、制御可能になっている。加圧力発生機構23は一方の計測部を保持部材の主熱流方向に可動させる。加圧力発生機構は静荷重や空気圧、バネ力などの手段により作動し、任意の加圧力で熱伝導率または接触熱抵抗を測定可能となっている。また、上記計測部10aおよび10bは測定チャンバー31内に収納されており、環境を安定化させて測定することが可能である。
なお、温度センサを配置する位置は任意に選択可能であり、保持部材11aおよびbの主加熱部と非接続側の端面に配置して端面温度を直接測定することができる。また複数備えた温度センサの出力から端面温度を外挿により求めることも可能である。
また、計測部10aおよび10bは試料保持部を中心として上下対称構成となっているので、上側計測部10aまたは下側計測部10bのどちらを高温側としてもよい。高温側と低温側の主加熱部の温度を適宜調整することで、熱伝導率または接触熱抵抗の温度依存性を測定することができる。
図2は計測部の主熱流に垂直な面の断面図を示す。本実施例の態様では、保持部材11は円柱形状であり、保護加熱部材13は保持部材11と同じ中心軸を有する2つ割型の半円筒状部材となっている。本実施例において、保持部材の断面形状は直径12mmであるが、測定する試料の態様に従い、任意に決定できる。保護加熱部材の保持部材と対向する面は、保持部材と同一素材の高熱伝導性材料で構成されている。本実施例において保持部材はアルミ合金により構成されているが、銅や炭素鋼なども用いることができる。
保護加熱部材は保持部材との空間の距離が軸方向に対して一定となるように固定されている。本実施例において、保護加熱部材と保持部材の空間の距離は0.5mmとしている。保護加熱部材には温度センサ131と発熱体132が埋め込みまたは固定されている。温度センサ131の出力は温度制御装置22に導入され、保護加熱部材の温度制御に用いられる。高温側と低温側それぞれの保護加熱部材の温度制御点は各1点であるが、表面部材が高熱伝導性であるため、表面の温度分布は小さくなる。
また、保護加熱部材の発熱体を中心として保持部材側とは反対側に、保護加熱部材を冷却可能な冷却手段15が設けられている。図2では冷媒循環による冷却手段を示したが、ペルチェ素子などを用いることもできる。冷却手段は任意に動作可能であり、必要に応じて保護加熱部材を冷却することができる。
(動作)
次に図4を参考に、測定時における各温度制御部の動作を説明する。保持部材で挟持された被測定試料は、ステップS11で上下の主加熱部に所定の温度差を与え加熱を開始される。
ステップS12で、高温側と低温側保持部材中の温度が安定し、定常状態に達したか判定される。本実施例では、保持部材中の各温度測定点の温度変化が0.2℃/5分以下のとき、定常状態と判定したが、上記基準は測定目的により選択されるものであり、本実施例記載の値に制限されるものではない。
ステップS12の判定結果がNOの場合、ステップS16で低温側保護加熱部材の制御温度T4を低温側保持部材の所定の温度Tbsetと等しく設定する。本実施例では、Tbsetを、低温側保持部材の軸方向中央部温度とした。ステップS12とステップS16の繰り返しにより、T4とTbsetは測定中ほぼ同じ温度に制御される。本実施例では、ステップS12の判定を2分間隔で行うことにした。
ステップS12の判定結果がYESの場合、ステップS13で高温側保持部材を通過する熱流束(以下、高温側熱流束)q1と低温側保持部材を通過する熱流束(以下、低温側熱流束)q2を比較する。なお、熱流束qは、保持部材11a、11bの温度分布と保持部材の既知の熱伝導率λsを用いて(式3)により算出する。
q=−λs・(dT/dx) (式3)
本実施例では低温側熱流束と高温側熱流束の比q2/q1が0.99〜1.01の場合、高温側と低温側の熱流束が等しいと判定しているが、上記基準は測定目的により選択されるものであり、本実施例記載の値に制限されるものではない。
ステップS13の判定結果がYESの場合、ステップS14で定常状態における保持部材中の温度分布を記録し、ステップS15で終了する。テップS13の判定結果がNOの場合は、q1≠q2であり、さらにステップS17でq1とq2の大小関係が判定される。
ステップS17の判定結果がYESの場合はq1>q2であり、ステップS18で高温側保護加熱部材の制御温度T3を所定温度上昇させる。本実施例では、1回目のT3の変更量を3℃とし、ステップS18を繰り返すごとにT3の変更幅を小さくした。変更幅は任意に設定できる。変更幅を小さくすると温度安定までの繰り返し回数が多くなるが、q1<q2となるオーバーシュート状態を避けやすい。
ステップS17の判定結果が偽の場合、つまりq1<q2の場合は、T3を所定温度低下させる。本実施例では下降させる所定温度を0.5℃としたが、任意に選択可能である。また数回ステップS17の繰り返しを経過した後には下降させる所定温度幅を小さくすることが有効である。
上記の判定を繰り返し、q1とq2が等しくなった時点の、高温側と低温側保持部材中の温度分布を記録し、測定を終了する(ステップS15)。熱伝導率λは保持部材の温度分布よりΔTおよびqを算出し、(式2)の手順に従って求めることができる。
本発明の実施例として、直径12mm、厚さ2mmのセラミックを被測定試料とし、高温側の熱流束q1と低温側熱流束q2の状態の測定した。実施例1では、高温側主加熱部11aの温度T1を80℃に制御した。また低温側の主加熱部は加熱を行わず、冷却部材に冷却水を循環させた。低温側主加熱部12bの表示温度T2は25〜26℃で安定していた。高温保護加熱部材13bの制御温度T3は、高温側保持部材の長さ方向中心位置温度Tasetに対して3.3℃高く設定した。低温側保護加熱部材13bの制御温度T4は、低温側保持部材の長さ方向中心位置の温度Tbsetと等しく制御した。
また実施例2は、高温保護加熱部材13bの制御温度T3の温度を、高温側保持部材13bの長さ方向中心位置温度Tasetに対して5.3℃高く設定した。また同様に実施例3は、高温保護加熱部材13bの制御温度T3の温度を、高温側保持部材13bの長さ方向中心位置温度Tasetに対して5.3℃高く設定した。実施例2、3おいてその他の条件は実施例1と同様である。また比較例1として、実施例1における保護加熱部材による加熱を行わなかった場合、比較例2として、T3をTasetと等しく制御した場合の計測も行った。実施例1、2、3、比較例1、2の測定結果を表1に示す。また、各実施例、比較例について、低温側と高温側熱流束の比q2/q1を求め表1に示した。
実施例1、2、3では、q2/q1が0.99〜1.00であって、高温側と低温側それぞれ一対の保護加熱部材の温度制御によりq1とq2を等しく制御できることを示している。試料を通過する熱流束qは、q1とq2の平均値で求めた。
一方、比較例1ではq2/q1は0.87となっており、保護加熱部材で加熱を行わなければ放熱の影響は無視できないことを示している。また、比較例2では、q2/q1が0.96となっており、保護加熱部材温度と保持部材平均温度を等しく制御するだけではq1およびq2を等しくことができない。
Figure 2011102768
本発明の実施態様による熱伝導率測定の結果を確認する。厚みdの被測定試料に対して、保持部材両端面に温度差ΔTを与えたとき、熱流束qが得られる。実際の測定では、図5(b)に示すように、被測定試料と保持部材の間には接触熱抵抗Rcが存在する。本実施例で用いたセラミック試料では、試料厚み数1mm以下の場合、セラミックと保持部材の接触熱抵抗Rcが熱伝導率計測結果に10%以上の影響を及ぼす。
接触熱抵抗Rcと厚みdと熱伝導率λとΔT、qの関係は、(式4)で表される。
ΔT/q=2Rc+d/λ (式4)
Rcの係数2は試料の両側に接触面があることを表す。熱伝導率測定に対するRcの影響を補正するために、同一素材のn個の試料S1、S2、・・・、Sn(個別試料の測定における、厚みdi、両端温度差ΔTi、熱流束qi)を用い、(式4)のRcおよびλを最小二乗法により決定する。このとき、熱伝導率λは、(式5)より求めることができる。
λ={(Σdi)×(Σdi)−n×Σ(di×di)}/{(Σdi)(Σ(ΔTi/qi))−n×Σ(di×ΔTi/qi)} (式5)
表2に示した2種類のセラミックの熱伝導率を、(式5)を用いて測定した結果を示す。測定値の幅は、(式5)の最小二乗法による熱伝導率の決定の結果、信頼区間95%で熱伝導率が含まれると考えられる範囲である。測定はセラミック1が厚み0.5、1、2、3、4mmの試料を各2回の計10回、セラミック2が厚み1、2、3、4mmを各3回の計12回行った。
Figure 2011102768
以上示したように、厚みの異なる複数の被測定試料を用いる方法によれば、既知の熱伝導率を有するセラミック部材の熱伝導率測定値と文献値との差が7%以内となった。
上記実施形態によれば、高温側および低温側の保持部材に対してそれぞれ1系統の温度制御点を有する保護加熱部材を用いて温度制御を行うことで、被測定試料の高温側と低温側の熱流束を等しく制御することができる。これにより、保持部材と保護加熱部材の間に複雑な対流抑制手段や放熱抑制の方法を用いずに、熱伝導率を測定することができる。
図1記載の熱伝導率測定装置を用い、接触熱抵抗の測定も可能である。以下、図5を参考に、図1記載の熱伝導率測定方法を用いて接触熱抵抗を測定する手法について説明する。
図5(a)に示すように、保持部材同士を当接させて主加熱部に温度差を与えたとき、保持部材接触面の温度差ΔTと通過熱流束qと接触熱抵抗Rcは、(式1)と同様に(式6)から求めることができる。
Rc=ΔT/q (式6)
上記構成によれば、保持部材の表面形状を変えて接触熱抵抗の違いを測定することができる。また、保持部材表面に熱伝導グリースを塗布して、グリースの熱伝達性評価に用いることが可能である。
また、被測定試料を挟持し、以下の手順に従い、接触熱抵抗を測定することが可能である。図5(b)に示すように、被測定試料(熱伝導率λ、厚みd)を保持部材11a、11bで挟持し、主加熱部材で加熱したときのΔT、q、熱伝導率λ、厚みdと接触熱抵抗Rcの関係は、前述の(式4)で表される。ΔT、q、λ、dがわかれば試料と保持部材の接触熱抵抗を算出できる。
また、二つの試料X、Y間の接触熱抵抗を求める場合には、以下の手順に従う。第1に、被測定試料X(熱伝導率λX、厚みdX)を用い、所定の圧力で保持部材11a、11bで被測定試料Xを挟持し、所定の被測定試料平均温度で、高温側保持部材の端面と低温側保持部材の端面の温度差ΔTX、熱流束qXを計測する。試料保持の状態は図5(b)のようになる。
第2に、被測定試料Y(熱伝導率λY、厚みdY)を用い、所定の圧力を与え保持部材で試料Yを挟持し、被測定試料Xの測定と同じ被測定試料平均温度において、温度差ΔTY、熱流束qYを計測する。
第3に、図5(c)に示すように、保持部材11aおよびbで、前記被測定試料XおよびYを直列状態で所定の圧力で挟持し、上記被測定試料XおよびYの測定と同じ被測定試料の平均温度において、温度差ΔTZおよび熱流束qZを計測する。ここで、被測定試料X、Yをそれぞれ単独で計測した後に、被測定試料XおよびYを直列に挟持して計測する手順を示しているが、当然逆の順番も考えられる。
接触熱抵抗が被測定試料厚みに依存しないとき、被測定試料Xと被測定試料Yの接触熱抵抗Rcは(式7)で求められる。
Rc=ΔTZ/qZ−(ΔTX/qX+ΔTY/qY+dX/λX+dY/λY)/2 (式7)
被測定試料X、Yの熱伝導率は実施例1記載の方法で求めることができる。また、熱拡散率α、密度ρ、比熱cを計測し、熱伝導率λ=α×ρ×cで導出してもよい。
一例として、表3に示した試験番号1ないし5の接触熱抵抗を測定した結果を示す。上記実施例1のセラミック1とアルミ合金製保持部材との接触熱抵抗を保持部材とセラミック1の間にフッ素グリスを塗布して測定した。試料としてセラミック板のみを用いたので、(式4)を変形すると、接触熱抵抗Rcは(式8)で求められる。
Rc=(ΔT/q−d/λ)/2 (式8)
なお、ここでは、セラミックの熱伝導率として文献値の3.1W/mKを用いた。厚み0.5,1,2,3,4mmのセラミック1を試料とすると、セラミック1と保持部材の間の接触熱抵抗として1.8〜3.7e−5 m2K/Wが得られた。
Figure 2011102768
10 計測部
11 保持部材
12 主加熱部材
13 保護加熱部材
14 冷却部材
15 保護加熱部用冷却部材
21 保持部材温度計測部
22 温度制御装置
23 加圧力発生機構
24 ロードセル
31 測定チャンバー
40 被測定試料

Claims (4)

  1. 被測定試料を挟持する第1の保持部材と第2の保持部材と、
    前記第1の保持部材と第2の保持部材の前記被測定試料を挟持する面とは逆の端面に配置され、前記第1の保持部材と第2の保持部材の間に温度差を与える第1、第2の主加熱手段と、
    前記第1の保持部材と第2の保持部材の周囲に配置され、前記第1の保持部材と第2の保持部材の温度を制御する第1、第2の保護加熱手段と、
    前記第1の保持部材を通過する熱流束q1と第2の保持部材を通過する熱流束q2を計測する手段と、前記計測した熱流束q1と熱流束q2が等しくなるように前記第1、第2の保護加熱手段の温度を制御する制御手段を有することを特徴とする熱特性の測定装置。
  2. 前記熱流束q1、q2を計測する手段は、前記第1の保持部材および第2の保持部材の軸方向に配置された複数の温度センサであることを特徴とする請求項1に記載の熱特性の測定装置。
  3. 第1の保持部材と第2の保持部材により被測定試料を挟持し、
    前記第1の保持部材と第2の保持部材の前記被測定試料を挟持する面とは逆の端面に配置された第1、第2の主加熱手段により、前記第1の保持部材と第2の保持部材を加熱し、第1の保持部材と第2の保持部材の間に温度差を設け、
    前記第1の保持部材と第2の保持部材の周囲に配置された第1、第2の保護加熱手段の温度を、前記第1の保持部材を通過する熱流束q1と第2の保持部材を通過する熱流束q2が等しくなるように制御し、
    前記第1の保持部材と第2の保持部材の温度と、前記等しくなるように制御された熱流束q1もしくはq2とから、被測定試料の熱特性を算出することを特徴とする熱特性の測定方法。
  4. 前記第1の保護加熱手段と第2の保護加熱手段の温度制御は、第1の保持部材と第2の保持部材の軸方向中央部の温度により行われることを特徴とする請求項3に記載の熱特性の測定方法。
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