JP2011185366A - 転がり軸受用保持器および転がり軸受 - Google Patents

転がり軸受用保持器および転がり軸受 Download PDF

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Abstract

【課題】保持器本体と側板とを結合するねじの緩みの発生を抑制し、かつ、適正な締め付け力を保持する。
【解決手段】環状部に軸方向同じ向きに突出する複数の柱部を周方向に間隔をおいて設けた保持器本体11と、各柱部の先端部に接する環状の側板21とを備え、保持器本体11と側板21とをねじ22により結合したものである。柱部に軸方向のねじ穴14を設け、側板21に形成した複数の孔23に座ぐり部24を形成する。その座ぐり部24の内周部を柱部側に向かって小径となる円すい面に形成する。その円すい面の中心軸がねじ穴14の中心軸に対して径方向外側に偏心させる。ねじ22の頭部の外周部を座ぐり部24の円すい面に対向する円すい面に形成する。ねじ穴14に締め付けたねじ22の頭部が座ぐり部24の円すい面の一部を押圧するようにした。
【選択図】図1

Description

ホイールローダ(油圧ポンプなど)などの建設機械、風力発電装置等の各種機械装置の回転支持部に組み込まれる転がり軸受、特に大型軸受に用いる保持器、およびこれを組み込んだ転がり軸受に関する。
上記のような各種機械装置の回転支持部を支持する転がり軸受用の保持器としては、もみ抜きにより形成された分割型のもみ抜き保持器が知られている。
この分割型のもみ抜き保持器は、例えば、特許文献1に開示されているように、環状部の軸方向に突出する複数の柱部を周方向に間隔をおいて環状部と一体に設けた保持器本体と、前記各柱部の先端面に接する別体の円環状の側板とから構成され、保持器本体の柱部及び環状部と側板とに軸方向のリベット孔を設け、リベット孔にリベットを通して先端部を突出させ、その突出部分を叩いて加締めている。
この加締め作業により、保持器本体の柱部と側板とが結合され、隣り合う柱部と側板とで円筒ころを保持するポケットが形成される。そして、上記特許文献では、前記リベットによる加締め力が適正に保持されているかどうかを確認するため、リベットの頭部の座面に突起を設け、その突起を保持器本体の円環部または側板に食い込ませ、その状態を可視化することによって、適正な締め付け力を保証している。
特開2002−257141号公報
しかしながら、大型軸受では、その保持器にリベットによる加締めを適用することが困難であるため、専らねじによる締結手段が採用されている。ねじの締め付けにより、保持器本体と側板とを結合した場合、軸受の運転に伴う保持器の振動により、ねじが緩み、保持器本体の柱部と側板との間にすき間が生じる。すき間が生じると、保持器および保持器内の転動体の円滑な回転が阻害され、さらには、軸受が破損するおそれがあった。
そこで、この発明の課題は、保持器本体と側板とを結合するねじの緩みの発生を抑制し、かつ、適正な締め付け力を保持することにある。
この課題を解決するために、この発明は、環状部の軸方向同じ向きに突出する複数の柱部を周方向に間隔をおいて前記環状部と一体に設けた保持器本体と、前記各保持器の先端面に接する環状の側板とを備え、前記保持器本体と側板とをねじにより締結した転がり軸受用保持器において、前記柱部に軸方向のねじ穴を設け、前記側板に前記ねじを通す孔を周方向に複数設け、前記孔に形成した座ぐり部の内周面を前記柱部に向かって小径となる円すい面に形成し、その円すい面の中心軸を前記ねじ穴の中心軸に対して偏心させ、前記ねじを前記ねじ穴に締め付けたとき、そのねじの頭部が前記座ぐり部の内周面の一部を押圧する構成を採用したのである。
この構成では、柱部のねじ穴にねじを締め付けると、ねじの頭部が座ぐり部の内周面の一部を押圧し、ねじ穴の中心軸に対して座ぐり部の内周面の中心軸が偏心する方向(偏心方向)への力がねじに作用する。この力により、雄ねじ部が柱部のねじ穴の雌ねじ部に押し付けられ、雄ねじ部に作用する軸力(ねじの軸方向に作用する引張力)を増大させるくさび効果が生じる。くさび効果が生じたねじは、その雄ねじ部とねじ穴の雌ねじ部との間の摩擦抵抗が増大するため、適正な締め付け力を保持することができ、その緩みが抑制される。
また、ねじを締め付けるほど、ねじが偏心方向に移動して、ねじに対する前記偏心方向へ作用する力が大きくなる。このため、くさび効果がより大きくなり、前記の摩擦抵抗がさらに増大する。
この構成において、前記ねじの頭部の外周面を円すい面に形成し、この円すい面を前記座ぐり部の円すい面と同一の傾斜角(中心軸を含む断面内における円すいの一対の母線がなす角度)を持たせることができる。この構成では、ねじの頭部がその外周面の母線の全長にわたって、座ぐり部の内周面の一部を押圧する。
前記座ぐり部の内周面の中心軸は、前記ねじ穴の中心軸に対して任意の方向に偏心させることができるが、例えば、径方向に偏心させることができる。この場合、ねじを締め付ければ、側板に径方向の力が作用するため、側板が円周方向に変位することがなく、くさび効果が十分に生じて、保持器本体の柱部と側板の結合が強固なものとなる。
前記座ぐり部の内周部の中心軸を前記ねじ穴の中心軸に対して径方向に偏心させるようにした場合において、軌道輪により案内される軌動輪案内方式の保持器であって、前記座ぐり部の内周部の中心軸を前記ねじ穴の中心軸に対して、前記軌道輪の案内面側に偏心させることができる。
このようにすれば、柱部のねじ穴にねじを締め付けると、ねじの頭部は、座ぐり部の内周面のうち、軌道輪の案内面側の部分に対して径方向反対側の部分を押圧し、軌道輪の案内面側の部分を押圧しない。このため、軌道輪の案内面に対向する側板の周面の変形が抑制される。
さらに、前記柱部の先端部に軸方向の突出部を設け、前記側板に前記突出部が密着係合する凹部を全周に設けることができる。このようにすると、側板の凹部に柱部の突出部を係合すれば、側板は径方向に位置決めされる。
また、前記突出部および凹部を、前記ねじ穴の中心軸に対して、前記座ぐり部の内周部の中心軸が偏心する径方向と反対側の径方向端部に設けてもよい。この場合、ねじの頭部によって、座ぐり部の内周部のうち径方向凹部側の部分が押圧される。この押圧で、側板は、径方向凹部側へ変位しようとするが、その径方向端部に設けた凹部に柱部の突出部が係合しているので、その変位が確実に抑制される。
また、ねじの緩み止めをより強固にするために、前記ねじとねじ穴の内周部との間に接着剤を介在し、前記ねじを前記ねじ穴内に固着させるようにしたり、あるいは、前記ねじ穴内に鋼線を螺旋状に巻いたインサートコイルを装着し、そのインサートコイルの内周部に雌ねじ部を形成し、その雌ねじ部に前記ねじを締め付けたりすることができる。
さらに、前記ねじ、前記保持器本体および側板の線膨張係数を同一としてもよい。
前記ねじを前記ねじ穴に締め付けた状態で、前記座ぐり部の開口部の周縁部分のうち前記側板の周方向側の部分を変形させ、前記ねじの頭部に係合する突起を形成してもよい。このようにすると、ねじの頭部に突起が係合して、ねじが緩む方向に回転し難くなるとともに、ねじの抜け止めとなる。
この課題を解決するために、この発明は、環状部の軸方向片側に突き出す複数の柱部を周方向に間隔をおいて前記環状部に設けた一対の保持器本体を備え、両保持器本体の柱部の先端面を相互に突き合わせた状態で、その両保持器本体をねじにより締結した転がり軸受用保持器において、前記一方の保持器本体の各柱部に軸方向のねじ穴を設け、前記他方の保持器本体の各柱部および環状部に前記ねじを通す軸方向の孔を設け、前記孔に形成した座ぐり部の内周面を前記一方の保持器本体に向かって小径となる円すい面に形成し、その円すい面の中心軸を前記ねじ穴の中心軸に対して径方向に偏心させ、前記ねじを前記ねじ穴に締め付けたとき、そのねじの頭部が前記座ぐり部の内周面の一部を押圧する構成を採用することができる。
この構成において、前記一方の保持器本体の柱部の先端部に軸方向の突出部を設け、前記他方の保持器本体の前記柱部に前記突出部が密着係合する凹部を設けた構成を採用してもよい。
このようにすると、他方の保持器本体の凹部に一方の保持器本体の柱部の突出部を係合すれば、両保持器が径方向に位置決めされる。
また、前記突出部および凹部を、前記ねじ穴の中心軸に対して前記座ぐり部の内周部の中心軸が偏心する径方向と反対側の径方向端部に設けるようにしてもよい。この場合、ねじの頭部によって、座ぐり部の内周部のうち径方向凹部側の部分が押圧される。この押圧で、他方の保持器本体は、径方向凹部側へ変位しようとするが、その径方向端部に設けた凹部に一方の保持器本体の柱部の突出部が係合しているので、その径方向の変位が確実に抑制される。
この発明に係る転がり軸受は、上記のような保持器にころを保持させ、この保持器を外径面に軌道面を有する内輪と、内径面に軌道面を有する外輪との間に配置することで完成する。
以上のように、この発明は、ねじの雄ねじ部を柱部のねじ穴の雌ねじ部に押し付け、くさび効果を生じさせるので、ねじの雄ねじ部とねじ穴の雌ねじ部との間の摩擦抵抗を増大し、適正なねじの締め付け力を保持することができ、ねじの緩みの発生を抑制することができる。
この発明の一実施形態の転がり軸受用保持器の使用状態を示す断面図 同上の転がり軸受用保持器を示す拡大分解斜視図 同上の転がり軸受用保持器を示す拡大断面図 同上の転がり軸受用保持器を示す拡大側面図 同上の転がり軸受用保持器の座ぐり部の開口部を示す拡大側面図 図5中のVI−VI線における断面図 一実施形態の転がり軸受用保持器のねじとねじ穴の間に接着剤を介在した形態を示す拡大分解斜視図 同上の転がり軸受用保持器のねじ穴にインサートコイルを装着した形態を示す拡大断面図 この発明の他の実施形態の転がり軸受用保持器の使用状態を示す断面図 同上の転がり軸受用保持器を示す拡大分解斜視図 同上の転がり軸受用保持器を示す拡大断面図
以下、この発明の実施形態を添付図面に基づいて説明する。
図1に、保持器を装着した転がり軸受を示す。同図に示すように、転がり軸受は、外径面に軌道面3を有する内輪1と、内径面に軌道面4を有する外輪2と、この内輪1と外輪2とのそれぞれの軌道面3、4の相互間に周方向に転動可能に組み込まれる複数の転動体である円筒ころ5と、円筒ころ5を周方向に所定間隔をおいて保持する保持器6とから構成されている。
保持器6は、円環状の環状部12の同一軸方向に突出する複数の柱部13を周方向に間隔をおいて環状部12と一体に設けた保持器本体11と、各柱部13の先端面に接する円環状の側板21と、保持器本体11と側板21とを締結するねじ22を備えている(図2参照)。
保持器6の環状部12および側板21の外周部は、図1に示すように、軌動輪である外輪2の内周面により案内され、保持器6は外輪2の内周面を案内面とする軌道輪案内方式の保持器である。
保持器本体11は、例えば、炭素鋼(S30C、S45C等)によって形成したものであって、環状部12、隣接する柱部13、及び側板21により囲まれた部分にポケット7が周方向に間隔をおいて形成され、ポケット7内に円筒ころ5が転動可能に収納される。
各柱部13は、環状部12に対して周方向に定ピッチで複数設けられ、その周方向の側面が円筒ころ5の外径面に沿う円弧面に形成され、各柱部13の先端面(環状部12側と反対側端面)に軸方向のねじ穴14が設けられている。ねじ穴14は、柱部13の径方向幅の中央に配置されている。各柱部13の先端面には、軸方向に突き出す突出部15が設けられ、突出部15は柱部13の先端面に対して径方向の内側端部全長にわたって設けられている(図2参照)。
側板21は、円環状をなし、保持器本体11の環状部12と同じ内径および外径に形成され、保持器本体11と同じ材質、例えば、炭素鋼(S30C、S45C等)により形成されている。この側板21の周方向に間隔をおいて複数の軸方向の孔23が設けられている。各孔23は、側板21の径方向幅の中央に沿って、環状部12の柱部13のねじ穴14と対応するように設けられている。孔23の内周部は、ねじ22の雄ねじ部22bが挿通可能な内径を有している。
側板21の孔23には、図3に示すように、ねじ22の円すい状の頭部22aが収まる座ぐり部24が形成されている。座ぐり部24は、側板21の軸方向外側に孔23と連通するように形成され、その内周面Pがねじ22の頭部22aと同一の傾斜角を有する円すい面に形成されている。また、座ぐり部24の内周面Pは、柱部13側に向かって小径となっており、その中心軸aが、柱部13のねじ穴14の中心軸bに対して径方向外側、すなわち、径方向の外輪2の内周面(案内面)側に偏心させてある。
このように、座ぐり部24の内周面Pの中心軸が径方向外側に偏心させてあるので、ねじ22をねじ穴14に締め付けると、ねじ22の円すい状の頭部22aは、座ぐり部24の内周面Pのうち、外輪2の案内面側の部分に対して径方向反対側の部分を押圧し、外輪2の案内面側の部分を押圧しない。このため、外輪2の案内面に対向する側板21の周面の変形が抑制され、外輪2の案内面と側板21の外周面との過度な摩擦の発生が防止され、保持器6の円滑な回転が確保される。
また、座ぐり部24の内周面Pの中心軸aの偏心量αは、側板21の座ぐり部24にねじ22を通し柱部13のねじ穴14に締め付けて、ねじ22の頭部22aが座ぐり部24の内周面Pの一部を押圧したときに、側板21の内面と、柱部13の先端面が完全に密着するように、制御されなければならない。これによって、ねじ22による柱部13と側板21との締め付け力を一定にコントロールすることが可能となる。さらに、このような偏心によって、締め付け力の可視化、または、締め付け力の外部からの計側も可能となる。
座ぐり部の内周面Pの中心軸aは、ねじ穴14の中心軸bに対して任意の方向に前記の偏心量αをもって偏心させることができるが、図4に示すように、径方向外側に偏心させると、側板21が周方向に変位することがないため好ましい。
側板21には、図3に示すように、径方向の内側端部に凹部25が全周にわたって設けられ、この凹部25に柱部13の突出部15が密着して係合するようにしてある。この係合により、側板21は径方向に位置決めされるので、柱部13のねじ穴14と21側板の孔23との位置合わせが容易になり、また、次のような利点もある。
すなわち、ねじ22をねじ穴14に締め付けたとき、ねじ22の頭部22aによって、座ぐり部24の内周部のうち径方向凹部25側の部分が押圧される。この押圧で、側板21は、径方向凹部25側へ変位しようとするが、その径方向端部に設けた凹部25に柱部13の突出部15が係合しているので、その変位が確実に抑制される。
なお、突出部15および凹部25は、図3に示す態様に限定されず、例えば、柱部13の先端部および側板21の柱部13側端面に対して、径方向中央、外径側などに設けることができる。
また、側板21と柱部13とをねじ結合するねじ22は、六角穴付きのボルトである。その頭部22aおよび雄ねじ部22bの中心軸は、当然のことながら一致しており、前述のように、円すい状の頭部22aの外周面Qは、座ぐり部24の内周面Pと同一の傾斜角の円すい面に形成され、雄ねじ部22b側に向かって小径となっている。ねじ22の頭部22aの径は、座ぐり部24よりも全体として小径になっている。
このねじ22を側板21の孔23に通し、ねじ穴14に締め付けると、ねじ22の頭部22aの外周面Qが座ぐり部24の内周面Pの一部を押圧し、径方向外向きの力がねじ22に作用する。この力により、雄ねじ部22bが柱部13のねじ穴14の雌ねじ部を押し付けられ、雄ねじ部22bに作用する軸力(ねじの軸方向に作用する引張力)を増大させるくさび効果が生じる。くさび効果が生じたねじ22は、その雄ねじ部22bとねじ穴14の雌ねじ部との間の摩擦抵抗が増大するため、適正な締め付け力を保持することができ、その緩みが抑制される。
また、ねじ22の頭部22aの外周面Qは、座ぐり部24の内周面Pと同一の傾斜角を有しているため、ねじ22の頭部22aがその外周面Qの母線の全長にわたって、座ぐり部24の内周面Pの一部を押圧することができる。このため、ねじ22に対する径方向外向きの力が、雄ねじ部22bの頭部22a寄りの位置から先端部に至るより広い範囲に作用する。その結果、くさび効果の生ずる範囲が雄ねじ部22bの長さ方向に広くなり、好ましい。
前記ねじ22の材質としては、保持器本体11および側板21と同じ材質、例えば、炭素鋼(S30C、S45C等)を用いることができる。同じ材質を用いることによって、ねじ22、保持器本体11および側板21の線膨張係数が同一になっている。
このようにすると、軸受の運転に伴う軸受温度の変化に対して、ねじ22の雄ねじ部22bと柱部13のねじ穴14の雌ねじとの締め代、あるいは、ねじ22の頭部22aによる座ぐり部24の内周面Pに対する押圧代の変動をなくすことができ、軸受温度の変化による、ねじ22の締結力の変動が抑制され、ねじの緩みを防止することができる。
図5、6に示すように、ねじ22がねじ穴14に締め付けられた状態で、座ぐり部24の開口部の周縁部分のうち、側板21の周方向両側部分を、座ぐり部24に対して内向きに変形させ、ねじ22の頭部22aに係合する突起26を形成することができる。これによって、ねじ22の緩みを防止し、ねじ22の抜け止めとなる(図6参照)。
保持器6の保持器本体11と側板21とのねじ22による一体化の構造は、ねじ22による結合であって、ねじ22の緩みを抑制する手段を、適宜に付加することができる。
図7に示すように、柱部13のねじ穴14に締め付けたねじ22と、そのねじ穴14の内周部との間に接着剤27を介在させ、ねじ22をねじ穴14内に固着させることができる。この接着剤27としては、瞬間接着剤、嫌気性接着剤などが適用可能であり、例えば、Henkel社製のロックタイト(登録商標)を適用することができる。
また、図8に示すように、柱部13のねじ穴14内に鋼線を螺旋状に巻いたインサートコイル28を装着し、インサートコイル28の雌ねじ部28aにねじ22を締め付けてもよい。
弾性変形したインサートコイル28は、その復元力によって、雌ねじ部28aがねじ22の雄ねじ部22bを締め付ける。このため、これらの間の摩擦抵抗が増大して、ねじ22の緩みを抑制することができる。
この発明に係る転がり軸受用保持器の他の実施形態を図9〜図11に示す。
この実施形態における保持器6は、前述した一実施形態の保持器6の保持器本体11を2つ組み合わせ、両保持器本体11の柱部13の先端面を互いに突き合わせた状態で、その両保持器本体11をねじ22により締結したものである。
この転がり軸受は、図9に示すように、外径面に軌道面3を有する内輪1と、内径面に軌道面4を有する外輪2と、この内輪1と外輪2とのそれぞれの軌道面3、4の相互間に周方向に転動可能に組み込まれる複数の転動体であるボール5と、ボール5を周方向に所定間隔をおいて保持する前記保持器6と、内輪1と外輪2との間の軸受空間を塞ぐ軸方向両側に設けたシール部材8とから構成されている。
保持器6は、図10に示すように、円環状の環状部12の軸方向同じ向きに突出する複数の柱部13を周方向に間隔をおいて環状部12と一体に設けた一対の保持器本体11a、11bと、両保持器本体11a、11bを柱部13の先端面を突き合わされた状態で締結するねじ22を備えている。
一対の保持器本体11は、例えば、炭素鋼によって環状部12及び各柱部13を形成したものであって、環状部12、隣接する柱部13により囲まれた部分にポケット7が周方向に間隔をおいて形成され、ポケット7内にボール5が転動可能に収納される。各柱部13は、環状部12に対して周方向に定ピッチで複数設けられ、その周方向の側面がボール5の外周面に沿う球面に形成されている。
一対の保持器本体11のうち、一方の保持器本体11aの各柱部13aの先端面に軸方向のねじ穴14が設けられている。図10に示すように、ねじ穴14は、柱部13aの径方向幅の中央に配置している。各柱部13aの先端面には、軸方向に突き出す突出部15が設けられ、突出部15が柱部13aの先端面に対して径方向の内側端部全長にわたって設けられている。
他方の保持器本体11bの各柱部13bおよび環状部12bには、軸方向の孔31が設けられ、孔31の環状部12側の端部にねじ22の円すい状の頭部22aが収まる座ぐり部32が形成されている(図11参照)。座ぐり部32の内周面Rはねじ22の頭部22aと同一の傾斜角を有する円すい面に形成されている。座ぐり部32の内周面Rは、柱部13b側に向かって小径になっており、その中心軸cが、一方の保持器本体11aの柱部13aのねじ穴14の中心軸bに対して、径方向外側に偏心させてある。
座ぐり部32の内周面Rの中心軸cの偏心量βは、保持器本体11bの座ぐり部32にねじ22を通し、保持器本体11aのねじ穴14に締め付けて、ねじ22の頭部22aが座ぐり部32の内周面Rの一部を押圧したときに、両保持器本体11a、11bの柱部13a、13bの先端面が完全に密着するように、制御される必要がある。これによって、ねじ22の締結力を一定にコントロールすることが可能となる。さらに、このような偏心によって、締め付け力の可視化、または、締め付け力の外部からの計側も可能となる。
また、保持器本体体11bには、柱部13bの先端面に対して径方向の内側端部に凹部33が全長に設けられ、凹部33に突出部15が密着して係合するようにしてある。この係合により、両保持器本体11a、11bに対して、容易に径方向に位置決めすることができる。
また、突出部15と凹部33とが密着して係合すると、ねじ22をねじ穴14に締め付けたとき、座ぐり部32の内周面Rのうち、径方向内側の部分が押圧され、他方の保持器本体11bは径方向内向きに変位しようとするが、径方向内端部において、凹部33に係合する突出部15によって径方向の変位が確実に抑制される。
なお、突出部15および凹部33は、図11に示す態様に限定されず、例えば、両保持器本体11の柱部13の先端面に対して、径方向中央、外径側などに設けることができる。
両保持器本体11a、11bを締結するねじ22の頭部の外周部Qは、座ぐり部32の内周面Rと同一の傾斜角を有している。ねじ22の頭部22aの径は、座ぐり部32よりも全体として小径になっている。
このねじ22を他方の保持器本体11bの孔23に通し、ねじ穴14に締め付けると、ねじ22の頭部22aの外周面Qが座ぐり部32の内周面Rの一部を押圧し、径方向外向きの力がねじ22に作用する。この力により、雄ねじ部22bが一方の保持器本体11aの柱部13のねじ穴14の雌ねじ部に押し付けられ、雄ねじ部22bに作用する軸力(ねじの軸方向に作用する引張力)を増大させるくさび効果が生じる。くさび効果が生じたねじ22は、一実施形態の保持器6の場合と同様、その雄ねじ部22bとねじ穴14の雌ねじ部との間の摩擦抵抗が増大するため、適正な締め付け力を保持することができ、その緩みが抑制される。
また、ねじ22の頭部22aの外周面Qは、座ぐり部32の内周面Rと同一の傾斜角を有している。傾斜角が同一であれば、ねじ22の頭部22aがその外周面Qの母線の全長にわたって、座ぐり部32の内周面Rの一部を押圧する。
保持器6においては、両保持器本体11a、11bのねじ22による一体化の構造は、ねじ22による結合であって、前述した一実施形態の場合と同様のねじ22の緩みを抑制する手段を、適宜に付加することができる。
例えば、ねじ22をねじ穴14に締め付けた状態で、他方の保持器本体11bの座ぐり部32の開口部の周縁部分のうち、他方の保持器本体11bの周方向側の部分を変形させ、ねじ22の頭部22aに係合する突起を形成してもよい。
また、ねじ穴14に締め付けたねじ22と、そのねじ穴14の内周部との間に接着剤を介在させ、ねじ22をねじ穴14内に固着させることができる。
さらに、一方の保持器本体11aの柱部13のねじ穴14内に鋼線を螺旋状に巻いたインサートコイル28を装着し、そのインサートコイル28の雌ねじ部28aにねじ22を締め付けてもよい。
1 内輪
2 外輪
3 軌道面
4 軌道面
5 円筒ころ(ボール)
6 保持器
7 ポケット
8 シール部材
11、11a、11b 保持器本体
12、12a、12b 環状部
13、13a、13b 柱部
14 ねじ穴
15 突出部
21 側板
22 ねじ
22a 頭部
22b 雄ねじ部
23 孔
24 座ぐり部
25 凹部
26 突起
27 接着剤
28 インサートコイル
28a 雌ねじ部
31 孔
32 座ぐり部
33 凹部
a、b、c 中心軸
P、R 座ぐり部の内周面
Q ねじの頭部の外周面

Claims (14)

  1. 環状部(12)の同一軸方向に突き出す複数の柱部(13)を周方向に間隔をおいて前記環状部(12)に設けた保持器本体(11)と、前記各柱部(13)の先端面に接する環状の側板(21)とを備え、前記保持器本体(11)と側板(21)とをねじ(22)により締結した転がり軸受用保持器において、
    前記柱部(13)に軸方向のねじ穴(14)を設け、前記側板(21)に前記ねじ(22)を通す孔(23)を周方向に複数設け、前記孔(23)に形成した座ぐり部(24)の内周面を前記柱部(13)に向かって小径となる円すい面に形成し、その円すい面の中心軸を前記ねじ穴(14)の中心軸に対して偏心させ、前記ねじ(22)を前記ねじ穴(14)に締め付けたとき、そのねじ(22)の頭部が前記座ぐり部(24)の内周面の一部を押圧するようにしたことを特徴とする転がり軸受用保持器。
  2. 前記ねじ(22)の頭部の外周面を円すい面に形成し、この円すい面を前記座ぐり部(24)の円すい面と同一の傾斜角を有するようにしたことを特徴とする請求項1に記載の転がり軸受用保持器。
  3. 前記座ぐり部(24)の内周部の中心軸を前記ねじ穴(14)の中心軸に対して径方向に偏心させたことを特徴とする請求項1または2に記載の転がり軸受用保持器。
  4. 軌道輪により案内される軌動輪案内方式の保持器であり、前記座ぐり部(24)の内周部の中心軸を前記ねじ穴(14)の中心軸に対して前記軌道輪の案内面側に偏心させたことを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の転がり軸受用保持器。
  5. 前記柱部(13)の先端部に軸方向の突出部(15)を設け、前記側板(21)に前記突出部(15)が密着係合する凹部(25)を全周に設けたことを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の転がり軸受用保持器。
  6. 前記突出部(15)および凹部(25)を、前記ねじ穴(14)の中心軸に対して前記座ぐり部(24)の内周部の中心軸が偏心する径方向と反対側の径方向端部に設けたことを特徴とする請求項5に記載の転がり軸受用保持器。
  7. 前記ねじ(22)とねじ穴(14)の内周部との間に接着剤(27)が介在され、前記ねじ(22)を前記ねじ穴(14)内に固着させたことを特徴とする請求項1から6のいずれかに記載の転がり軸受用保持器。
  8. 前記ねじ穴(14)内に鋼線を螺旋状に巻いたインサートコイル(28)を装着し、そのインサートコイル(28)の内周部に雌ねじ部(28a)を形成し、その雌ねじ部(28a)に前記ねじ(22)を締め付けたことを特徴とする請求項1から6のいずれかに記載の転がり軸受用保持器。
  9. 前記ねじ(22)、前記保持器本体(11)および側板(21)の線膨張係数を同一としたことを特徴とする請求項1から8のいずれかに記載の転がり軸受用保持器。
  10. 前記ねじ(22)を前記ねじ穴(14)に締め付けた状態で、前記座ぐり部(24)の開口部の周縁部分のうち前記側板(21)の周方向側の部分を変形させ、前記ねじ(22)の頭部に係合する突起(26)を形成したことを特徴とする請求項1から9のいずれか1つに記載の転がり軸受用保持器。
  11. 環状部(12)の同一軸方向に突き出す複数の柱部(13)を周方向に間隔をおいて前記環状部(12)に設けた一対の保持器本体(11a、11b)を備え、両保持器本体(11a、11b)の柱部(13a、13b)の先端面を相互に突き合わせた状態で、その両保持器本体(11a、11b)をねじ(22)により締結した転がり軸受用保持器において、
    前記一方の保持器本体(11a)の柱部(13a)に軸方向のねじ穴(14)を設け、前記他方の保持器本体(11b)の各柱部(13b)および環状部(12b)に前記ねじ(22)を通す軸方向の孔(31)を周方向に複数設け、前記孔(31)に形成した座ぐり部(32)の内周面を前記一方の保持器本体(11a)に向かって小径となる円すい面に形成し、その円すい面の中心軸を前記ねじ穴(14)の中心軸に対して径方向に偏心させ、前記ねじ(22)を前記ねじ穴(14)に締め付けたとき、そのねじ(22)の頭部が前記座ぐり部(32)の内周面の一部を押圧するようにしたことを特徴とする転がり軸受用保持器。
  12. 前記一方の保持器本体(11a)の柱部(13a)の先端部に軸方向の突出部(15)を設け、前記他方の保持器本体(11b)の前記柱部(13b)に前記突出部(15)が密着係合する凹部(33)を設けたことを特徴とする請求項11に記載の転がり軸受用保持器。
  13. 前記突出部(15)および凹部(33)を、前記ねじ穴(14)の中心軸に対して前記座ぐり部(32)の内周部の中心軸が偏心する径方向と反対側の径方向端部に設けたことを特徴とする請求項12に記載の転がり軸受用保持器。
  14. 外径面に軌道面(3)を有する内輪(1)と、内径面に軌道面(4)を有する外輪(2)と、前記内輪(1)と外輪(2)との間に配置される複数の転動体(5)と、前記転動体(5)を転動自在に保持する保持器とを備え、前記保持器は、請求項1〜13のいずれかに記載の保持器である転がり軸受。
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