JP2011255331A - アルミニウムケイ酸塩複合体を基材とした高性能水蒸気吸着剤 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 低結晶性層状粘土鉱物と非晶質アルミニウムケイ酸塩からなる複合体を塩化マグネシウム溶液に含浸させることにより、吸着時の相対湿度60%と脱離時の相対湿度10%での吸着量の差が40wt%以上であり、かつ相対湿度10%程度の低湿度領域における吸着量においても、30wt%程度の優れた水蒸気吸着性能を有しており、デシカント空調用吸着剤として用いることができる。
【選択図】 図2
Description
特に、デシカント空調では外気から導入される空気中の湿分を取り除くことが目的であるため、夏場の高湿度の空気からでも効率的に湿分を取り除けることが必要とされているばかりでなく、様々な空気の状態においても空気中の湿分を取り除く必要があるため、どの湿度領域においても水蒸気を吸着できる物質が求められている。
しかしながら、Si/Al比が0.7〜1.0で、かつ29Si固体NMRスペクトルにおいて−78ppm及び−87ppm付近にピークを有する非晶質アルミニウムケイ酸塩の、クリーンルーム用施設に対応できるような相対湿度10%程度の低湿度領域における吸着量向上や、吸湿性塩類の担持に適しているかどうかの判定となる水蒸気吸着機構についての検討は行われていなかった。
また基材の水蒸気吸着機構においては、実測の水蒸気吸着測定による水蒸気吸着等温線の結果と、窒素吸着測定から求められる細孔径分布をもとにケルビンの毛細管凝縮理論から計算によって求めた水蒸気吸着等温線の結果を比較し、相対湿度40%以上の領域において、両者が一致することから、アルミニウムケイ酸塩複合体における水蒸気吸着機構が物理吸着によるものであることを明らかにし、本発明を完成するに至った。
(1)X線源としてCuを用いた粉末X線回折図形において、2θ=20、26、35、39°付近に4つのブロードなピークを、低結晶性層状粘土鉱物と非晶質アルミニウムケイ酸塩からなるアルミニウムケイ酸塩複合体を基材とし、その基材に吸湿性塩を担持させた水蒸気吸着剤。
(2)相対湿度40〜90%以上の領域にて、実測の水蒸気吸着等温線と、ケルビンの毛細管凝集理論に基づいて窒素吸着測定から求められる計算値の水蒸気吸着等温線が合致し、水蒸気吸着機構が物理吸着のよることを示す上記(1)の水蒸気吸着剤。
(3)低結晶性層状粘土鉱物と非晶質アルミニウムケイ酸塩からなるアルミニウムケイ酸塩複合体に対して、吸湿性塩の割合が0.1〜20重量%である上記(1)又は(2)の水蒸気吸着剤。
(4)上記(1)〜(3)のいずれかの水蒸気吸着剤を主成分とするデシカント空調用吸着剤。
本発明において基材となる低結晶性層状粘土鉱物と非晶質アルミニウムケイ酸塩との複合体からなる非晶質物質は、構成元素をケイ素(Si)、アルミニウム(Al)、酸素(O)及び水素(H)とし、多数のSi−O−Al結合で組み立てられた水和ケイ酸アルミニウムである。低結晶性層状粘土鉱物としては、水酸化アルミニウムからなる単層あるいは数層程度のギブサイトあるいは層方向の積層をほとんど示さない低結晶性の層状粘土鉱物である。
すなわち、低結晶性層状粘土鉱物と非晶質アルミニウムケイ酸塩からなるアルミニウムケイ酸塩複合体において、吸湿性塩の一つである塩化マグネシウムを担持させることにより、従来では得られなかった、優れた水蒸気吸湿挙動を有する物質の提供が可能となったものである。
ケイ素源として使用される試剤は、ケイ酸水溶液であればよく、具体的には、オルトケイ酸ナトリウム、メタケイ酸ナトリウム、無定形コロイド状二酸化ケイ素(エアロジル等)、等が好適なものとして挙げられる。
また、上記ケイ酸塩分子と結合させるアルミニウム源は、アルミニウムイオンであればよく、具体的には、例えば、塩化アルミニウム、硝酸アルミニウムおよびアルミン酸ナトリウム等のアルミニウム化合物が挙げられる。これらのケイ素源及びアルミニウム源は、上記の化合物に限定されるものではなく、それらと同効のものであれば同様に使用することができる。
具体的には、乾燥して得られたアルミニウムケイ酸塩複合体を、塩化マグネシウムなどの吸湿性塩の溶液にひたし攪拌の後、60℃にて2日乾燥させることによって、目的の水蒸気吸着特性において優れた吸着剤を得ることができる。
(実施例)
本発明における、優れた吸着剤の基材となる低結晶性層状粘土鉱物と非晶質アルミニウムケイ酸塩との複合体は以下のように合成された。
Si源として0.38mol/Lのオルトケイ酸ナトリウム水溶液100mLと、Al源として0.45mol/Lの塩化アルミニウム水溶液100mLを用いた。塩化アルミニウム水溶液にオルトケイ酸ナトリウム水溶液を加え、約10分間攪拌を行った。このときのSi/Al比は0.84である。攪拌後、1Nの水酸化ナトリウム水溶液を1mL/分の速さで滴下し、pHが6程度になるまで添加した。水酸化ナトリウム水溶液の滴下量は5.5mLであった。このようにして生成させた前駆体懸濁液を遠心分離にて1回脱塩処理を行った。脱塩処理は遠心分離機を用いて、回転速度3000rpm、時間10分で行った。脱塩処理後前駆体を純水に分散させ全体で1Lとなるようにし、10分攪拌を行い前駆体懸濁液を作成した。
調整した1Lの前駆体懸濁液を、100mL用テフロン(登録商標)製容器に70mL測り取った後、ステンレス製回転反応容器に設置し、180℃で6時間加熱を行った。反応後、遠心分離にて2回洗浄し、60℃で1日乾燥させた。
実施例にて得られた低結晶性層状粘土鉱物と非晶質アルミニウムケイ酸塩からなる複合体を塩化マグネシウム溶液に含浸させたものと、塩化マグネシウムを含浸させていないものの2試料について、日本ベル社製Belsorp18により測定を行った水蒸気吸着等温線から水蒸気吸着評価を行った。図2に、その結果を示す。
水蒸気吸着等温線において吸着時の相対湿度60%と脱離時の相対湿度10%での吸着量の差を求めることにより評価を行った。実施例で得られた低結晶性層状粘土鉱物と非晶質アルミニウムケイ酸塩からなる複合体を塩化マグネシウム水溶液に含浸させたものでは、吸着時の相対湿度60%の水蒸気吸着量が74.8wt%、脱離時の相対湿度10%における水蒸気吸着量が33.0wt%であることから、相対湿度60%と脱離時の相対湿度10%での吸着量の差は41.8wt%となる。
これに対し、低結晶性層状粘土鉱物と非晶質アルミニウムケイ酸塩からなる複合体を塩化マグネシウム水溶液に含浸させていない未処理の基材そのものについては、吸着時の相対湿度60%の水蒸気吸着量が45.9wt%、脱離時の相対湿度10%における水蒸気吸着量が15.5wt%であることから、相対湿度60%と脱離時の相対湿度10%での吸着量の差は30.4wt%となる。
上記吸着評価より、実施例で得られた物質の水蒸気吸着性能は、低結晶性層状粘土鉱物と非晶質アルミニウムケイ酸塩からなる複合体からなる基材のみでは得られることはできず、低結晶性層状粘土鉱物と非晶質アルミニウムケイ酸塩を塩化マグネシウム水溶液に含浸させることによって初めて得られる性質であることが明らかとなった。
水蒸気吸着量を増加させるために、基材に吸湿性塩を含浸させることは、従来から行われているが、シリカゲルやメソポーラスシリカに吸湿性塩を担持させると構造劣化が進むことが知られており、その理由は、基材自体の水蒸気吸着機構において、物理的な吸着だけでなく化学的な吸着が存在するためであると推測される。
基材の水蒸気吸着機構が物理吸着によるものか化学吸着によるものかの判別においては、実測の水蒸気吸着測定による水蒸気吸着等温線の結果と、窒素吸着測定から求められる細孔径分布をもとにケルビンの毛細管凝縮理論から計算によって求めた水蒸気吸着等温線の結果を比較し、相対湿度40%以上の領域において両者実測値と理論値との比較検討を行うことにより評価を行った。相対湿度40%以上としているのは、窒素吸着データから得られる細孔径分布曲線の解析として、BJH法を用いているためであり、細孔孔が小さい情報が解析できないことによる。
低結晶性層状粘土鉱物と非晶質アルミニウムケイ酸塩からなる複合体における実測値と理論値の水蒸気吸着結果を図3に示す。図3に示される通り、相対湿度40%以上の領域において、実測値と理論値がほぼ一致しており、低結晶性層状粘土鉱物と非晶質アルミニウムケイ酸塩からなる複合体における水蒸気吸着メカニズムは物理吸着からなることが明らかとなった。
比較例として市販のシリカゲルにおける実測値と理論値の水蒸気吸着結果を図4に示す。図4に示される通り、相対湿度40%以上の領域において、実測値と理論値が一致しておらず、シリカゲルは物理吸着理論に基づく吸着機構でないことが明らかとなった。このように物理吸着を主とすることでないことから、シリカゲルの水蒸気吸着は主に化学吸着に起因すると推測される。
以上のことから、低結晶性層状粘土鉱物と非晶質アルミニウムケイ酸塩からなる複合体における水蒸気吸着機構は物理吸着を主とするものであることから、この基材に塩化マグネシウムなどの吸湿性塩を含浸させても、構造劣化が生じないことが明らかとなった。
Claims (4)
- X線源としてCuを用いた粉末X線回折図形において、2θ=20、26、35、39°付近に4つのブロードなピークを有する、低結晶性層状粘土鉱物と非晶質アルミニウムケイ酸塩からなるアルミニウムケイ酸塩複合体を基材とし、その基材に吸湿性塩を担持させた水蒸気吸着剤。
- 相対湿度40〜90%以上の領域にて、実測の水蒸気吸着等温線と、ケルビンの毛細管凝集理論に基づいて窒素吸着測定から求められる計算値の水蒸気吸着等温線が合致し、水蒸気吸着機構が物理吸着によることを示す請求項1に記載の水蒸気吸着剤。
- 低結晶性層状粘土鉱物と非晶質アルミニウムケイ酸塩からなるアルミニウムケイ酸塩複合体に対して、吸湿性塩の割合が0.1〜10重量%である請求項1又は2に記載の水蒸気吸着剤。
- 請求項1〜3のいずれか1項に記載の水蒸気吸着剤を主成分とするデシカント空調用吸着剤。
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