JP2012007015A - 光学フィルム、偏光板、表示素子および液晶表示装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】使用環境の湿度の変化に対するRthの変動が抑制された光学フィルムの提供。
【解決手段】セルロースエステルと、少なくとも一種の下記一般式(I)で表される化合物を前記セルロースエステル1gに対して1.0×10−4mol以上含むことを特徴とする光学フィルム。
一般式(I)

Figure 2012007015

(一般式(I)中、Rはそれぞれ独立にハロゲン原子または水酸基を表し、nは0〜4の整数を表す。)
【選択図】なし

Description

本発明は、光学フィルム、並びに、該光学フィルムを用いた偏光板、表示素子および液晶表示装置に関する。また、本発明は、本発明の光学フィルムに用いられるセルロースエステルフィルム用光学性能湿度依存性改良剤にも関する。
液晶表示装置は、消費電力の小さい省スペースの画像表示装置として年々その用途が広がっている。従来、液晶表示装置は表示画像の視野角依存性が大きいことが大きな欠点であったが、VAモード等の広視野角液晶モードが実用化されており、これによってテレビ等の高品位の画像が要求される市場でも液晶表示装置の需要が急速に拡大しつつある。
液晶表示装置の基本的な構成は液晶セルの両側に偏光板を設けたものである。前記偏光板は一定方向の偏波面の光だけを通す役割を担っており、偏光板の性能によって液晶表示装置の性能が大きく左右される。偏光板は、一般にヨウ素や染料を吸着配向させたポリビニルアルコールフィルム等からなる偏光子の表裏両側に透明な保護フィルムを貼り合わせた構成となっている。セルロースアセテートに代表されるセルロースエステルフィルムは透明性が高く、偏光子に使用されるポリビニルアルコールとの密着性を容易に確保できることから偏光板保護フィルムとして広く使用されてきた。
また、液晶表示装置の偏光板と液晶セルとの間に、光学的に2軸性の位相差フィルム(光学フィルム)を配置することで、より広い視野角が実現できること、すなわち表示特性を向上できることが知られている。このような光学フィルムとしても、優れた光学性能を発現させることができるセルロースエステルフィルムが注目されており、セルロースエステルフィルムは光学フィルムとしても液晶表示装置に用いられている。
一方、セルロースエステルフィルムは他の合成ポリマーと比べて、水を吸いやすく、このため環境湿度変化に伴いフィルム性能が変化しやすいという問題を有している。近年、液晶表示装置の用途拡大につれ、テレビ等の大サイズかつ高品位用途が拡大してきており、偏光板、位相差フィルムおよび偏光板保護フィルムの品質に対する要求も一段と高まっている。特に、大サイズかつ高品位用途の液晶表示装置は、従来に比べて様々な過酷な環境下での使用も求められる。このような観点から、液晶表示装置に用いるセルロースエステルフィルムには、湿度に対する耐性の向上が強く望まれてきている。
これに対して、これまで様々な化合物をセルロースエステルフィルム用光学性能湿度依存性改良剤としてセルロースエステルフィルムに添加することにより、光学フィルムの熱や湿度による光学補償能の変化を抑制する方法が検討されてきた。このような添加剤として、例えばトリアジン環やベンゼン環などの芳香環に、−NH−連結基を介して置換基が連結している化合物などが用いられている(特許文献1〜3参照)。
一方、−NH−連結基または−NH基、並びに、−COO−連結基または−COOH基が共にベンゼン環などに直接連結している構造の化合物については、湿度に対する光学特性の変動を低減する観点からは、セルロースエステルフィルムへの添加はほとんど検討されていなかった。
ここで、特許文献4には、セルロースアシレート溶液に対して、剥離剤としてアミノ安息香酸などの芳香族モノカルボン酸を微量添加し、セルロースアシレートフィルムを製造する方法が開示されている。同文献にはセルロースアシレートフィルムに対して剥離性や透明性を損なわない範囲でこれらの剥離剤を添加することが記載されており、具体的にはセルロースアシレート1g当たり1×10−9〜3×10−5モルの添加量が好ましいとの記載があり、同文献実施例では剥離剤としてクエン酸をセルロースアシレートに対して200ppm添加する態様が開示されている。しかしながら、同文献には得られたフィルムについて、光学特性の湿度依存性に関する効果を検討した実施例は開示されておらず、剥離剤の添加量を増やすことや、アミノ安息香酸などの芳香族モノカルボン酸を剥離剤として用いることはいずれも検討されていない。そのため、依然として−NH−連結基または−NH基、並びに、−COO−連結基または−COOH基が共にベンゼン環などに直接連結している構造の化合物を、セルロースエステルを主成分として含む光学フィルムに添加した場合の湿度変動に対する効果は開示も示唆もされていないのが実情であった。
特開2005−99191号公報 特開2005−154764号公報 特開2006−317922号公報 特開2002−212338号公報
本発明者が特許文献1〜3に記載の添加剤を用いた光学フィルムについて光学特性の湿度依存性改善効果を検討したところ、その効果は依然として小さいことがわかり、さらなる改善が必要であることがわかった。
本発明の目的は、使用環境の湿度の変化に対するRthの変動が抑制された光学フィルムを提供することにある。
本発明者が上記課題を解決することを目的として多種多様な−NH−連結基または−NH基、並びに、−COO−連結基または−COOH基が共にベンゼン環などに直接連結している構造の化合物について光学性能湿度依存性改善効果を鋭意研究したところ、特に−NH基と−COOH基が共にベンゼン環に直接連結している構造の化合物を、セルロースエステルを主成分として含む光学フィルムに添加することで、得られた光学フィルムの光学性能湿度依存性が驚くほど顕著に改良できることを見出すに至った。
そして、鋭意研究をすすめた結果、従来光学フィルム分野において剥離剤としてすらほとんど注目されていなかった上記特定の構造の化合物が、光学フィルムの光学性能湿度依存性を改善できることを見出すに至った。一方、上記特定の構造の化合物は、特許文献4などにセルロースアシレートフィルムに対して剥離性や透明性を損なわない範囲で添加するよう記載されていた。また、このような化合物は、その他にもフィルム強度や耐光性の観点から、セルロースエステルを主成分とするフィルムに添加する場合は少量とすることが好ましいと考えられていた。しかしながら、上記特定の構造の化合物を従来特許文献4などに記載されていた好ましい添加量の範囲を超える特定量以上添加することで、意外なことに大幅に光学フィルムの光学性能湿度依存性を改善できることを見出すに至った。すなわち、上記課題は、以下の構成の本発明によって解決される。
[1] セルロースエステルと、少なくとも一種の下記一般式(I)で表される化合物を前記セルロースエステル1gに対して1.0×10−4mol以上含むことを特徴とする光学フィルム。
一般式(I)
Figure 2012007015
(一般式(I)中、Rはそれぞれ独立にハロゲン原子または水酸基を表し、nは0〜4の整数を表す。)
[2] 前記一般式(I)中、前記Rがそれぞれ独立にフッ素原子または水酸基を表し、nは0〜4の整数を表すことを特徴とする[1]に記載の光学フィルム。
[3] 前記セルロースエステルが、総アシル置換度2.0〜3.0のセルロースアシレートであることを特徴とする[1]または[2]に記載の光学フィルム。
[4] 前記セルロースエステルが、総アシル置換度2.0〜2.55のセルロースアシレートであることを特徴とする[1]〜[3]のいずれか一項に記載の光学フィルム。
[5] 膜厚方向のレターデーションRthが70〜140nmであることを特徴とする[1]〜[4]のいずれか一項に記載の光学フィルム。
[6] 膜厚方向のレターデーションRthが120〜140nmであることを特徴とする[1]〜[5]のいずれか一項に記載の光学フィルム。
[7] 下記条件(A)での膜厚方向のレターデーションRthの変化量が、セルロースエステルのみから成るフィルムを下記条件(A)での膜厚方向のレターデーションRthの変化量の70%以下であることを特徴する[1]〜[6]のいずれか一項に記載の光学フィルム。
条件(A):25℃相対湿度10%で2時間以上調湿後の膜厚方向のレターデーションRthを測定し、その後25℃相対湿度80%に湿度変化させて2時間以上調湿後の膜厚方向のレターデーションRthを測定する。
[8] 偏光子と、[1]〜[7]のいずれか一項に記載の光学フィルムを少なくとも1枚含むことを特徴とする偏光板。
[9] [8]に記載の偏光板を少なくとも1枚含むことを特徴とする表示素子。
[10] [8]に記載の偏光板を少なくとも1枚含むことを特徴とする液晶表示装置。
[11] 下記一般式(I)で表されるセルロースエステルフィルム用光学性能湿度依存性改良剤。
一般式(I)
Figure 2012007015
(一般式(I)中、Rはそれぞれ独立にハロゲン原子または水酸基を表し、nは0〜4の整数を表す。)
[12] 前記一般式(I)中、前記Rがそれぞれ独立にフッ素原子または水酸基を表し、nは0〜4の整数を表すことを特徴とする[11]に記載のセルロースエステルフィルム用光学性能湿度依存性改良剤。
[13] 膜厚方向のレターデーションRthを増加させることができることを特徴とする[11]または[12]に記載のセルロースエステルフィルム用光学性能湿度依存性改良剤。
本発明によれば、使用環境の湿度の変化に対するRthの変動が抑制された光学フィルムを提供することができる。本発明の光学フィルムは、液晶表示装置における偏光板、表示素子、液晶表示装置などに好適に用いることができ、それぞれの使用環境の湿度の変化に対するRthの変動を抑制することができる。本発明のセルロースエステルフィルム用光学性能湿度依存性改良剤によれば、使用環境の湿度の変化に対するRthの変動が抑制された本発明の光学フィルムを提供することができる。
本発明の液晶表示装置の例を示す概略図である。
以下において、本発明の内容について詳細に説明する。以下に記載する構成要件の説明は、本発明の代表的な実施態様に基づいてなされることがあるが、本発明はそのような実施態様に限定されるものではない。尚、本願明細書において「〜」とはその前後に記載される数値を下限値および上限値として含む意味で使用される。また、本明細書中、特に断りなくRthという場合は、膜厚50μmに換算したときの膜厚方向のレターデーションを表す。
[光学フィルム]
本発明の光学フィルム(以下、本発明のフィルムとも言う)は、セルロースエステルと、少なくとも一種の下記一般式(I)で表される化合物を前記セルロースエステル1gに対して1.0×10−4mol以上含むことを特徴とする。
一般式(I)
Figure 2012007015
(一般式(I)中、Rはそれぞれ独立にハロゲン原子または水酸基を表し、nは0〜4の整数を表す。)
ここで、いかなる理論に拘泥するものでもないが、セルロースエステルを主成分とする光学フィルムの使用環境の湿度の変化に対するRthの変動は、セルロースエステル中の残存ヒドロキシル基やセルロースアシレートの置換基に存在するカルボニル基に水分子が配位することにより、セルロースエステルの複屈折性が変化することで生じていると推測される。前記一般式(I)で表される化合物は、水素結合性基を適当な位置に有するため、添加剤として用いるとセルロースエステルのカルボニル基または水酸基に効果的に相互作用し、光学フィルムの使用環境の湿度の変化に対するRthの変動を抑制することができる。すなわち、前記一般式(I)で表される化合物は、セルロースエステルフィルム用光学性能湿度依存性改良剤として好ましく用いることができる。
さらに、本発明のセルロースエステルフィルム用光学性能湿度依存性改良剤は、膜厚方向のレターデーションRthを増加させることができることがより好ましい。セルロースエステルフィルム用光学性能湿度依存性改良剤は一般的に光学フィルムのRthを減少させつつ、Rthの湿度変動に対する変動幅を低減させていた。これに対し、本発明のより好ましい態様では、光学フィルムのRthを増加させ、かつ、湿度依存性をも改善することができる。
以下、本発明のフィルムについて説明する。
<セルロースアシレート>
本発明のフィルムはセルロースエステルを含み、その中でもセルロースアシレートを含むことが好ましい。また、本発明のフィルムはセルロースエステルを主成分とすることが好ましい。ここで、セルロースエステルを主成分とするとは、本発明の光学フィルム中、セルロースエステルを50質量%以上含むことを言う。
本発明で使用できるセルロースアシレートについて詳しく説明する。
セルロースアシレートの置換度は、セルロースの構成単位((β)1,4−グリコシド結合しているグルコース)に存在している、3つの水酸基がアシル化されている割合を意味する。置換度(アシル化度)は、セルロースの構成単位質量当りの結合脂肪酸量を測定して算出することができる。本発明において、セルロース体の置換度はセルロース体を重水素置換されたジメチルスルフォキシド等の溶剤に溶解して13C−NMRスペクトルを測定し、アシル基中のカルボニル炭素のピーク強度比から求めることにより算出することができる。セルロースアシレートの残存水酸基をセルロースアシレート自身が有するアシル基とは異なる他のアシル基に置換したのち、13C−NMR測定により求めることができる。測定方法の詳細については、手塚他(Carbohydrate.Res., 273(1995)83−91)に記載がある。
本発明におけるセルロースアシレートは、総アシル置換度が2.0〜3.0であることが好ましく、Rthの発現性の観点からは2.0〜2.55であることがより好ましく、2.4〜2.5であることが特に好ましい。ただし、本発明の光学フィルムは、総アシル置換度が2.55を超えるセルロースエステルを用いた場合でも十分に光学特性の湿度依存性を改良することができる。総アシル置換度が2.55を超えるセルロースエステルの中では、総アシル置換度は2.6〜3.0であることが好ましく、2.8〜3.0であることがより好ましい。
本発明のセルロースアシレートのアシル基としては、アセチル基、プロピオニル基、ブチリル基が特に好ましく、アセチル基であることがより好ましい。
2種類以上のアシル基からなる混合脂肪酸エステルも本発明においてセルロースアシレートとして好ましく用いることができる。この場合も、アシル基としてはアセチル基と炭素数が3〜4のアシル基が好ましい。
本発明においては、置換基および/または置換度の異なる2種のセルロースアシレートを併用、混合して用いてもよいし、後述の共流延法などにより、異なるセルロースアシレートからなる複数層からなるフィルムを形成してもよい。
さらに特開2008−20896号公報の〔0023〕〜〔0038〕に記載の脂肪酸アシル基と置換もしくは無置換の芳香族アシル基とを有する混合酸エステルも本発明に好ましく用いることができる。
本発明で用いられるセルロースアシレートは、250〜800の質量平均重合度を有することが好ましく、300〜600の質量平均重合度を有することがさらに好ましい。また本発明で用いられるセルロースアシレートは、70000〜230000の数平均分子量を有することが好ましく、75000〜230000の数平均分子量を有することがさらに好ましく、78000〜120000の数平均分子量を有することが最も好ましい。
本発明で用いられるセルロースアシレートは、アシル化剤として酸無水物や酸塩化物を用いて合成できる。前記アシル化剤が酸無水物である場合は、反応溶媒として有機酸(例えば、酢酸)や塩化メチレンが使用される。また、触媒として、硫酸のようなプロトン性触媒を用いることができる。アシル化剤が酸塩化物である場合は、触媒として塩基性化合物を用いることができる。工業的に最も一般的な合成方法では、セルロースをアセチル基および他のアシル基に対応する有機酸(酢酸、プロピオン酸、酪酸)またはそれらの酸無水物(無水酢酸、無水プロピオン酸、無水酪酸)を含む混合有機酸成分でエステル化してセルロースエステルを合成する。
前記方法においては、綿花リンターや木材パルプのようなセルロースは、酢酸のような有機酸で活性化処理した後、硫酸触媒の存在下で、上記のような有機酸成分の混合液を用いてエステル化する場合が多い。有機酸無水物成分は、一般にセルロース中に存在する水酸基の量に対して過剰量で使用する。このエステル化処理では、エステル化反応に加えてセルロース主鎖(β)1,4−グリコシド結合)の加水分解反応(解重合反応)が進行する。主鎖の加水分解反応が進むとセルロースエステルの重合度が低下し、製造するセルロースエステルフィルムの物性が低下する。そのため、反応温度のような反応条件は、得られるセルロースエステルの重合度や分子量を考慮して決定することが好ましい。
<添加剤>
(一般式(I)で表される化合物)
本発明のフィルムは、前記一般式(I)で表される化合物、すなわち本発明のセルロースエステルフィルム用光学性能湿度依存性改良剤を、前記セルロースエステル1gに対して1.0×10−4mol以上含む。
以下、前記一般式(I)で表される化合物について説明する。
本発明に用いられる前記一般式(I)で表される化合物の構造の詳細について、説明する。なお、従来特許文献1〜3などで公知の構造の光学性能の湿度依存性改良剤の構造からの改良によって、このような構造の化合物を導き出すことは、光学性能の湿度依存性改良剤に求められる構造としてアミドやスルホンアミドの構造が必須と考えられていたため、困難であった。また、−NH−連結基がトリアジン環に3個直接連結している構造の化合物では、トリアジン環上の−NH−連結基を含む置換基は全て同一であるか、少なくとも2つが同一である化合物が主として検討されていた。そのため、本発明に用いられる前記一般式(I)で表される化合物のように芳香環上に−NH基を1つのみ有する構造についてはあまり光学性能の湿度依存性改良効果を検討されていなかった。
一般式(1)
Figure 2012007015
前記一般式(I)中、Rはそれぞれ独立にハロゲン原子または水酸基を表し、nは0〜4の整数を表す。
前記ハロゲン原子としては特に制限はないが、その中でもフッ素原子であることが好ましい。すなわち、前記一般式(I)中、前記Rがそれぞれ独立にフッ素原子または水酸基を表し、nは0〜4の整数を表すことが好ましい。
前記nは0〜4の整数を表し、3〜4であることが好ましい。
なお、前記nが4未満の場合、前記一般式(I)で表される化合物におけるベンゼン環は水素原子を表す。すなわち、前記nが4未満の場合、前記一般式(I)で表される化合物におけるベンゼン環はR、−NH基および−COOH基以外の置換基を有さず、また、前記一般式(I)で表される化合物は複数の−NH基や−COOH基を有さない。
前記一般式(I)で表される化合物は、−NH基と−COOH基が共にベンゼン環に直接連結している化合物である。ここで、−NH基と−COOH基の、ベンゼン環上における配置については特に制限はなく、オルト、メタ、パラのいずれの位置関係でもよい。その中でもオルトまたはパラの位置関係であることが好ましく、パラの位置関係にあることがより好ましい。
また、前記一般式(I)で表される化合物は、−NH基と−COOH基がさらに置換基を有さない。すなわち、前記一般式(I)で表される化合物は−NH基と−COOH基はいずれもアミド結合やエステル結合を形成していない。
一方、前記一般式(I)で表される化合物は、−NH基と−COOH基が可逆的である限り水溶液などの溶媒中などで電離していてもよく、可逆的である限り金属塩を形成していてもよい。
前記一般式(I)で表される化合物の具体例としては、以下のものを挙げることができる。ただし、本発明の湿度依存性改良剤として用いることができる前記一般式(I)で表される化合物は、これらに限定されるものではない。
Figure 2012007015
十分な湿度依存性改良効果を得る観点から、本発明のフィルムは下記一般式(I)で表される化合物を前記セルロースエステル1gに対して1.0×10−4mol以上含み、1.0×10−4mol〜1.0×10−3mol含むことが好ましく、1.5×10−4mol〜3.0×10−3mol含むことがより好ましい。なお、このような添加量はセルロースエステル1g当たり1×10−9〜3×10−5モル程度の添加量で添加されていた剥離剤としての使用態様を大幅に上回る添加量であり、従来前記一般式(I)で表される化合物を用いることで湿度依存性改良効果を得られることは知られておらず、実施もされていなかった。
また、前記一般式(I)で表される化合物の添加量は、セルロースエステルに対して1〜20質量%であることが好ましい。1質量%以上であれば、湿度依存性改良効果が得られやすく、また20質量%以下であれば、セルロースエステルフィルムを製膜した場合にブリードアウトや染み出しも発生しにくい。前記一般式(I)で表される化合物のさらに好ましい添加量は、セルロースエステルに対して2〜15質量%であり、特に好ましくは4〜12質量%である。なお、このような添加量はセルロースエステルに対して200ppm程度の添加量で添加されていた剥離剤としての使用態様を大幅に上回る添加量であり、従来前記一般式(I)で表される化合物を用いることで湿度依存性改良効果を得られることは知られておらず、実施もされていなかった。
また、前記一般式(I)で表される化合物は、セルロースエステルフィルム中に1種添加しても、複数種添加してもよいが、合計添加量が前記添加量の範囲であることが好ましい。
前記一般式(I)で表される化合物は、前記一般式(I)で表される化合物の分子量が130〜2000であることが好ましく、130〜250であることが特に好ましく、130〜210であることがより特に好ましい。前記範囲の分子量を有する化合物を使用することにより、フィルム製造工程における添加剤の揮散を抑制でき、かつセルロースエステルとの相溶性を確保しやすくなり好ましい。
(前記一般式(I)で表される化合物の製造方法)
前記一般式(I)で表される化合物、すなわち本発明のセルロースエステルフィルム用光学性能湿度依存性改良剤の製造方法は、特に限定されるものではなく、公知の方法を用いることができる。
また、前記一般式(I)で表される化合物は、商業的に入手して本発明に用いてもよい。例えば、前記一般式(I)で表される化合物は、東京化成工業(株)や和光純薬工業(株)社などから購入することができる。
(その他の添加剤)
本発明のフィルムは、前記一般式(I)で表される化合物以外に、その他の添加剤を含んでいてもよい。本発明のフィルムに添加することができるその他の添加剤としては、公知の可塑剤、マット剤、劣化防止剤などを挙げることができる。
以下、本発明のフィルムに含まれていてもよい、その他の添加剤について説明する。
(1)可塑剤
本発明の光学フィルムには、セルロースアシレートフィルム用の公知の可塑剤を添加してもよい。公知の可塑剤としては、例えば、特開2007−298916号公報に挙げられているリン酸エステル系可塑剤、フタル酸エステル系可塑剤、トリメリット酸エステル系可塑剤、ピロメリット酸系可塑剤、多価アルコール系可塑剤、グリコレート系可塑剤、クエン酸エステル系可塑剤、脂肪酸エステル系可塑剤、カルボン酸エステル系可塑剤、ポリエステル系可塑剤等などを挙げることができる。
可塑剤の添加量は、セルロースエステルに対して0〜50質量%であることが好ましい。さらに好ましい添加量は、セルロースエステルに対して0〜40質量%であり、特に好ましくは0〜30質量%である。
また、セルロースエステルフィルム中に1種添加しても、複数種添加してもよいが、合計添加量が前記添加量の範囲であることが好ましい。
(2)マット剤
本発明の光学フィルムには、マット剤として微粒子を加えることが好ましい。本発明に使用される微粒子としては、二酸化珪素、二酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウム、炭酸カルシウム、タルク、クレイ、焼成カオリン、焼成珪酸カルシウム、水和ケイ酸カルシウム、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸マグネシウム及びリン酸カルシウムを挙げることができる。微粒子はケイ素を含むものが、濁度が低くなる点で好ましく、特に二酸化珪素が好ましい。
これらの微粒子は、通常平均粒子径が0.1〜3.0μmの2次粒子を形成し、これらの微粒子はフィルム中では、1次粒子の凝集体として存在し、フィルム表面に0.1〜3.0μmの凹凸を形成させることが好ましい。1次、2次粒子径はフィルム中の粒子を走査型電子顕微鏡で観察し、粒子に外接する円の直径をもって粒径とした。また、場所を変えて粒子200個を観察し、その平均値をもって平均粒子径とした。
二酸化珪素の微粒子は、例えば、アエロジルR972、R972V、R974、R812、200、200V、300、R202、OX50、TT600(以上日本アエロジル(株)製)などの市販品を使用することができる。酸化ジルコニウムの微粒子は、例えば、アエロジルR976及びR811(以上日本アエロジル(株)製)の商品名で市販されており、使用することができる。
これらの中でアエロジル200V、アエロジルR972Vが、1次平均粒子径が20nm以下であり、かつ見かけ比重が70g/リットル以上である二酸化珪素の微粒子であり、光学フィルムの濁度を低く保ちながら、摩擦係数をさげる効果が大きいため特に好ましい。
本発明において2次平均粒子径の小さな粒子を有するセルロースエステルフィルムを得るために、微粒子の分散液を調製する際にいくつかの手法が考えられる。例えば、溶剤と微粒子を撹拌混合した微粒子分散液をあらかじめ作成し、この微粒子分散液を別途用意した少量のセルロースエステル溶液に加えて撹拌溶解し、さらにメインのセルロースエステル溶液(ドープ液)と混合する方法がある。この方法は二酸化珪素微粒子の分散性がよく、二酸化珪素微粒子が更に再凝集しにくい点で好ましい調製方法である。ほかにも、溶剤に少量のセルロースエステルを加え、撹拌溶解した後、これに微粒子を加えて分散機で分散を行い、これを微粒子添加液とし、この微粒子添加液をインラインミキサーでドープ液と十分混合する方法もある。
(3)劣化防止剤
本発明の光学フィルムには、劣化防止剤(例えば、酸化防止剤、過酸化物分解剤、ラジカル禁止剤、金属不活性化剤、酸捕獲剤、アミン等)を添加してもよい。劣化防止剤については、特開平3−199201号、同5−1907073号、同5−194789号、同5−271471号、同6−107854号の各公報に記載がある。また、前記劣化防止剤の添加量は、調製する溶液(ドープ)の0.01〜1質量%であることが好ましく、0.01〜0.2質量%であることがさらに好ましい。添加量が0.01質量%以上であれば、劣化防止剤の効果が十分に発揮されるので好ましく、添加量が1質量%以下であれば、フィルム表面への劣化防止剤のブリードアウト(滲み出し)などが生じにくいので好ましい。
<光学フィルムの製造方法>
本発明の光学フィルムは、セルロースエステルと前記一般式(I)で表される化合物を含む溶液を製膜して製造することができ、例えばソルベントキャスト法により製造することができる。ソルベントキャスト法では、セルロースエステルを有機溶媒に溶解した溶液(ドープ)を用いてフィルムを製造する。
前記有機溶媒は、炭素原子数が3〜12のエーテル、炭素原子数が3〜12のケトン、炭素原子数が3〜12のエステルおよび炭素原子数が1〜6のハロゲン化炭化水素から選ばれる溶媒を含むことが好ましい。
前記エーテル、ケトンおよびエステルは、環状構造を有していてもよい。また、前記エーテル、ケトンおよびエステルの官能基(すなわち、−O−、−CO−および−COO−)のいずれかを2つ以上有する化合物も、前記有機溶媒として用いることができる。前記有機溶媒は、アルコール性水酸基のような他の官能基を有していてもよい。2種類以上の官能基を有する有機溶媒の場合、その炭素原子数はいずれかの官能基を有する溶媒の上述の好ましい炭素原子数範囲内であることが好ましい。
前記炭素原子数が3〜12のエーテル類の例には、ジイソプロピルエーテル、ジメトキシメタン、ジメトキシエタン、1,4−ジオキサン、1,3−ジオキソラン、テトラヒドロフラン、アニソールおよびフェネトールが含まれる。
前記炭素原子数が3〜12のケトン類の例には、アセトン、メチルエチルケトン、ジエチルケトン、ジイソブチルケトン、シクロヘキサノンおよびメチルシクロヘキサノンが含まれる。
前記炭素原子数が3〜12のエステル類の例には、エチルホルメート、プロピルホルメート、ペンチルホルメート、メチルアセテート、エチルアセテートおよびペンチルアセテートが含まれる。
また、2種類以上の官能基を有する有機溶媒の例には、2−エトキシエチルアセテート、2−メトキシエタノールおよび2−ブトキシエタノールが含まれる。
炭素原子数が1〜6のハロゲン化炭化水素の炭素原子数は、1または2であることが好ましく、1であることが最も好ましい。ハロゲン化炭化水素のハロゲンは、塩素であることが好ましい。ハロゲン化炭化水素の水素原子が、ハロゲンに置換されている割合は、25〜75モル%であることが好ましく、30〜70モル%であることがより好ましく、35〜65モル%であることがさらに好ましく、40〜60モル%であることが最も好ましい。メチレンクロリドが、代表的なハロゲン化炭化水素である。
また、2種類以上の有機溶媒を混合して用いてもよい。
セルロースエステル溶液(ドープ)は、0℃以上の温度(常温または高温)で処理することからなる一般的な方法で調製することができる。セルロースエステル溶液の調製は、通常のソルベントキャスト法におけるドープの調製方法および装置を用いて実施することができる。なお、一般的な方法の場合は、有機溶媒としてハロゲン化炭化水素(特にメチレンクロリド)を用いることが好ましい。
セルロースエステル溶液中におけるセルロースエステルの量は、得られる溶液中に10〜40質量%含まれるように調整する。セルロースエステルの量は、10〜30質量%であることがさらに好ましい。有機溶媒(主溶媒)中には、任意の添加剤を添加しておいてもよい。
セルロースエステル溶液は、常温(0〜40℃)でセルロースエステルと有機溶媒とを撹拌することにより調製することができる。高濃度の溶液は、加圧および加熱条件下で撹拌してもよい。具体的には、セルロースエステルと有機溶媒とを加圧容器に入れて密閉し、加圧下で溶媒の常温における沸点以上、且つ溶媒が沸騰しない範囲の温度に加熱しながら撹拌する。加熱温度は、通常は40℃以上であり、好ましくは60〜200℃であり、さらに好ましくは80〜110℃である。
各成分は予め粗混合してから容器に入れてもよい。また、順次容器に投入してもよい。容器は撹拌できるように構成されている必要がある。窒素ガス等の不活性気体を注入して容器を加圧することができる。また、加熱による溶媒の蒸気圧の上昇を利用してもよい。あるいは、容器を密閉後、各成分を圧力下で添加してもよい。
加熱する場合、容器の外部より加熱することが好ましい。例えば、ジャケットタイプの加熱装置を用いることができる。また、容器の外部にプレートヒーターを設け、配管して液体を循環させることにより容器全体を加熱することもできる。
撹拌は、容器内部に撹拌翼を設けて、これを用いて行うことが好ましい。撹拌翼は、容器の壁付近に達する長さのものが好ましい。撹拌翼の末端には、容器の壁の液膜を更新するため、掻取翼を設けることが好ましい。
容器には、圧力計、温度計等の計器類を設置してもよい。容器内で各成分を溶媒中に溶解する。調製したドープは冷却後容器から取り出すか、あるいは、取り出した後、熱交換器等を用いて冷却する。
冷却溶解法により、セルロースエステル溶液を調製することもできる。冷却溶解法の詳細については、特開2007−86748号公報の〔0115〕〜〔0122〕に記載されている技術を用いることができる。
調製したセルロースエステル溶液(ドープ)から、ソルベントキャスト法によりセルロースエステルフィルムを製造することが好ましい。前記ドープには、前記一般式(I)で表される化合物を添加する。前記ドープには、さらにレターデーション発現剤などのその他の添加剤を添加してもよい。ドープは、ドラムまたはバンド上に流延し、溶媒を蒸発させてフィルムを形成する。流延前のドープは、固形分量が18〜35%となるように濃度を調整することが好ましい。ドラムまたはバンドの表面は、鏡面状態に仕上げておくことが好ましい。ドープは、表面温度が10℃以下のドラムまたはバンド上に流延することが好ましい。
ソルベントキャスト法における乾燥方法については、米国特許第2,336,310号、同2,367,603号、同2,492,078号、同2,492,977号、同2,492,978号、同2,607,704号、同2,739,069号および同2,739,070号の各明細書、英国特許第640731号および同736892号の各明細書、並びに特公昭45−4554号、同49−5614号、特開昭60−176834号、同60−203430号および同62−115035号の各公報に記載がある。バンドまたはドラム上での乾燥は空気、窒素などの不活性ガスを送風することにより行なうことができる。
また、得られたフィルムをドラムまたはバンドから剥ぎ取り、さらに100℃〜160℃まで逐次温度を変えた高温風で乾燥して、残留溶媒を蒸発させることもできる。以上の方法は、特公平5−17844号公報に記載がある。この方法によると、流延から剥ぎ取りまでの時間を短縮することが可能である。この方法を実施するためには、流延時のドラムまたはバンドの表面温度においてドープがゲル化することが必要である。
調製したセルロースエステル溶液(ドープ)を用いて2層以上の流延を行いフィルム化することもできる。この場合、ソルベントキャスト法によりセルロースエステルフィルムを作製することが好ましい。ドープは、ドラムまたはバンド上に流延し、溶媒を蒸発させてフィルムを形成する。流延前のドープは、固形分量が10〜40質量%の範囲となるように濃度を調整することが好ましい。ドラムまたはバンドの表面は、鏡面状態に仕上げておくことが好ましい。
2層以上の複数のセルロースエステル溶液を流延する場合、複数のセルロースエステル溶液を流延することが可能であり、支持体の進行方向に間隔をおいて設けられた複数の流延口からセルロースエステルを含む溶液をそれぞれ流延させて積層させながらフィルムを作製してもよい。これらは、例えば、特開昭61−158414号、特開平1−122419号、および特開平11−198285号の各公報に記載の方法を用いることができる。また、2つの流延口からセルロースエステル溶液を流延することによっても、フィルム化することもできる。これは、例えば、特公昭60−27562号、特開昭61−94724号、特開昭61−947245号、特開昭61−104813号、特開昭61−158413号、および、特開平6−134933号の各公報に記載の方法を用いることができる。さらに特開昭56−162617号公報に記載の高粘度セルロースエステル溶液の流れを低粘度のセルロースエステル溶液で包み込み、その高・低粘度のセルロースエステル溶液を同時に押し出すセルロースエステルフィルムの流延方法を用いることもできる。
また、2個の流延口を用いて、第一の流延口により支持体に成形したフィルムを剥ぎ取り、支持体面に接していた側に第二の流延を行うことにより、フィルムを作製することもできる。例えば、特公昭44−20235号公報に記載の方法を挙げることができる。
流延するセルロースエステル溶液は同一の溶液を用いてもよいし、異なるセルロースエステル溶液を2種以上用いてもよい。複数のセルロースエステル層に機能をもたせるために、その機能に応じたセルロースエステル溶液を、それぞれの流延口から押し出せばよい。さらに本発明におけるセルロースエステル溶液は、他の機能層(例えば、接着層、染料層、帯電防止層、アンチハレーション層、紫外線吸収層、偏光層など)と同時に流延することもできる。
従来の単層液では、必要なフィルムの厚さにするためには高濃度で高粘度のセルロースエステル溶液を押し出すことが必要である。その場合セルロースエステル溶液の安定性が悪くて固形物が発生し、ブツ故障となったり、平面性が不良となったりして問題となることが多かった。この問題の解決方法として、複数のセルロースエステル溶液を流延口から流延することにより、高粘度の溶液を同時に支持体上に押し出すことができ、平面性も良化し優れた面状のフィルムが作製できるばかりでなく、濃厚なセルロースエステル溶液を用いることで乾燥負荷の低減化が達成でき、フィルムの生産スピードを高めることができる。
(添加剤の添加)
本発明では、セルロースエステル溶液に前記一般式(I)で表される化合物を添加するタイミングは、製膜される時点で添加されていれば特に限定されない。例えば、セルロースエステルの合成時点で添加してもよいし、ドープ調製時にセルロースエステルと混合してもよい。
これら流延から後乾燥までの工程は、空気雰囲気下でもよいし窒素ガスなどの不活性ガス雰囲気下でもよい。本発明におけるセルロースエステルフィルムの製造に用いる巻き取り機は、一般的に使用されているものでよく、定テンション法、定トルク法、テーパーテンション法、内部応力一定のプログラムテンションコントロール法などの巻き取り方法で巻き取ることができる。
(延伸処理)
本発明の光学フィルムには、延伸処理を行うことも好ましい。延伸処理によりセルロースエステルフィルムに所望のレターデーションを付与することが可能である。セルロースエステルフィルムの延伸方向は幅方向、長手方向のいずれでも好ましい。
幅方向に延伸する方法は、例えば、特開昭62−115035号、特開平4−152125号、同4−284211号、同4−298310号、同11−48271号などの各公報に記載されている。
フィルムの延伸は、加熱条件下で実施することが好ましい。フィルムは、乾燥中の処理で延伸することができ、特に溶媒が残存する場合は有効である。長手方向の延伸の場合、例えば、フィルムの搬送ローラーの速度を調節して、フィルムの剥ぎ取り速度よりもフィルムの巻き取り速度の方を速くするとフィルムは延伸される。幅方向の延伸の場合、フィルムの巾をテンターで保持しながら搬送して、テンターの巾を徐々に広げることによってもフィルムを延伸できる。フィルムの乾燥後に、延伸機を用いて延伸すること(好ましくはロング延伸機を用いる一軸延伸)もできる。
本発明の光学フィルムの延伸は、セルロースエステルフィルムのガラス転移温度Tg(単位:℃)を用いて、(Tg−5℃)〜(Tg+40℃)の温度で行うことが好ましく、Tg〜(Tg+35℃)であることがより好ましく、(Tg+10℃)〜(Tg+30℃)であることが特に好ましい。乾膜の場合、130℃〜200℃が好ましい。
また、流延後にドープ溶剤が残存した状態で延伸を行う場合、乾膜よりも低い温度で延伸が可能となり、この場合、100℃〜170℃が好ましい。
本発明の光学フィルムの延伸倍率(延伸前のフィルムに対する伸び率)は、1%〜200%が好ましく、5%〜150%がさらに好ましい。とくに、幅方向に1%〜200%で延伸するのが好ましく、さらに好ましくは5%〜150%、特に好ましくは30〜45%である。
延伸速度は1%/分〜300%/分が好ましく、10%/分〜300%/分がさらに好ましく、30%/分〜300%/分が最も好ましい。
また、本発明の光学フィルムは、最大延伸倍率まで延伸したのちに、最大延伸倍率より低い延伸倍率で一定時間保持する工程(以下、「緩和工程」と称することがある。)を経て製造されてもよい。緩和工程における延伸倍率は最大延伸倍率の50%〜99%が好ましく、70%〜97%がさらに好ましく、90%〜95%が最も好ましい。また、緩和工程の時間は1秒〜120秒が好ましく、5秒〜100秒がさらに好ましい。
さらに、本発明の光学フィルムは幅方向にフィルムを把持しながら収縮させる収縮工程を含むことにより好ましく製造することができる。
フィルムの幅方向に延伸する延伸工程と、フィルムの搬送方向(長手方向)に収縮させる収縮工程を含むことを特徴とする製造方法においてはパンタグラフ式あるいはリニアモーター式のテンターによって保持し、フィルムの幅方向に延伸しながら搬送方向にはクリップの間隔を徐々に狭めることでフィルムを収縮させることが出来る。
前記で説明した方法は、延伸工程と収縮工程の少なくとも一部が、同時に行われているということができる。
なお、上記のようなフィルムの長手方向または幅方向のいずれか一方を延伸し、同時にもう一方を収縮させ、同時にフィルムの膜厚を増加させる延伸工程を具体的に行う延伸装置として、市金工業社製FITZ機などを望ましく用いることができる。この装置に関しては(特開2001−38802号公報)に記載されている。
延伸工程における延伸倍率および収縮工程における収縮率としては目的とする面内のレターデーションReおよび厚さ方向のレターデーションRthの値により、任意に適切な値を選択することができるが、延伸工程における延伸倍率が10%以上であり、かつ収縮工程における収縮率を5%以上とすることが好ましい。
特に、フィルムの幅方向に10%以上延伸する延伸工程と、フィルムの幅方向にフィルムを把持しながらフィルムの搬送方向を5%以上収縮させる収縮工程とを含むことが好ましい。
なお、本発明でいう収縮率とは、収縮方向における収縮前のフィルムの長さに対する収縮後のフィルムの収縮した長さの割合を意味する。
収縮率としては5〜40%が好ましく、10〜30%が特に好ましい。
<セルロースエステルフィルムの特性>
(レターデーション)
次に、本発明の光学フィルムの特性について詳しく説明する。
本発明の光学フィルムの光学特性の好ましい範囲は、用途に応じて変動する。
VAモード用としては、589nmで測定したReは30〜200nmのものが好ましく、30〜150nmのものがより好ましく、40〜100nmのものが特に好ましく、45〜65nmのものがさらに好ましい。Rthは70〜400nmのものが好ましく、70〜140nmのものがより好ましく、100〜140nmのものが特に好ましく、120〜140nmのものがさらに好ましい。
本発明の光学フィルムは、下記条件(A)での膜厚方向のレターデーションRthの変化量が、セルロースエステルのみから成るフィルムを下記条件(A)での膜厚方向のレターデーションRthの変化量の70%以下であることが好ましい。
条件(A):25℃相対湿度10%で2時間以上調湿後の膜厚方向のレターデーションRthを測定し、その後25℃相対湿度80%に湿度変化させて2時間以上調湿後の膜厚方向のレターデーションRthを測定する。
本発明の光学フィルムは、前記条件(A)での膜厚方向のレターデーションRthの変化量が、セルロースエステルのみから成るフィルムを前記条件(A)での膜厚方向のレターデーションRthの変化量の60%以下であることがより好ましく、55%以下であることが特に好ましい。
なお、前記条件(A)における調湿時間は2時間以上であれば特に制限はないが、例えば10時間以上調湿してもよく、後述する本発明の実施例では12時間調湿を行った。
本明細書において、Re(λ)、Rth(λ)は各々、波長λにおける面内のレターデーションおよび厚さ方向のレターデーションを表す。また、本明細書中、特にことわりがなくRe、Rthと言う場合、波長589nmにおけるReおよびRthを表す。Re(λ)はKOBRA 21ADHまたはWR(王子計測機器(株)製)において波長λnmの光をフィルム法線方向に入射させて測定される。
測定されるフィルムが1軸または2軸の屈折率楕円体で表されるものである場合には、以下の方法によりRth(λ)は算出される。
Rth(λ)は前記Re(λ)を、面内の遅相軸(KOBRA 21ADHまたはWRにより判断される)を傾斜軸(回転軸)として(遅相軸がない場合にはフィルム面内の任意の方向を回転軸とする)のフィルム法線方向に対して法線方向から片側50度まで10度ステップで各々その傾斜した方向から波長λnmの光を入射させて全部で6点測定し、その測定されたレターデーション値と平均屈折率の仮定値および入力された膜厚値を基にKOBRA 21ADHまたはWRが算出する。
上記において、法線方向から面内の遅相軸を回転軸として、ある傾斜角度にレターデーションの値がゼロとなる方向をもつフィルムの場合には、その傾斜角度より大きい傾斜角度でのレターデーション値はその符号を負に変更した後、KOBRA 21ADHまたはWRが算出する。
なお、遅相軸を傾斜軸(回転軸)として(遅相軸がない場合にはフィルム面内の任意の方向を回転軸とする)、任意の傾斜した2方向からレターデーション値を測定し、その値と平均屈折率の仮定値および入力された膜厚値を基に、以下の式(21)および式(22)よりRthを算出することもできる。
Figure 2012007015
注記:
上記のRe(θ)は法線方向から角度θ傾斜した方向におけるレターデーション値をあらわす。式(21)におけるnxは面内における遅相軸方向の屈折率を表し、nyは面内においてnxに直交する方向の屈折率を表し、nzはnxおよびnyに直交する方向の屈折率を表す。dはフィルムの厚さを表す。
Rth=((nx+ny)/2−nz)×d 式(22)
測定されるフィルムが1軸や2軸の屈折率楕円体で表現できないもの、いわゆる光学軸(optic axis)がないフィルムの場合には、以下の方法によりRth(λ)は算出される。
Rth(λ)は前記Re(λ)を、面内の遅相軸(KOBRA 21ADHまたはWRにより判断される)を傾斜軸(回転軸)としてフィルム法線方向に対して−50度から+50度まで10度ステップで各々その傾斜した方向から波長λnmの光を入射させて11点測定し、その測定されたレターデーション値と平均屈折率の仮定値および入力された膜厚値を基にKOBRA 21ADHまたはWRが算出する。
上記の測定において、平均屈折率の仮定値はポリマーハンドブック(JOHN WILEY&SONS,INC)、各種光学フィルムのカタログの値を使用することができる。平均屈折率の値が既知でないものについてはアッベ屈折計で測定することができる。主な光学フィルムの平均屈折率の値を以下に例示する:セルロースアシレート(1.48)、シクロオレフィンポリマー(1.52)、ポリカーボネート(1.59)、ポリメチルメタクリレート(1.49)、ポリスチレン(1.59)である。これら平均屈折率の仮定値と膜厚を入力することで、KOBRA 21ADHまたはWRはnx、ny、nzを算出する。この算出されたnx、ny、nzよりNz=(nx−nz)/(nx−ny)がさらに算出される。
(セルロースエステルフィルムの厚み)
本発明におけるセルロースエステルフィルムの厚みは30μm〜100μmが好ましく、30μm〜80μmがさらに好ましく、30μm〜60μmが最も好ましい。
<偏光板保護フィルム>
(鹸化処理)
本発明の光学フィルムはアルカリ鹸化処理することによりポリビニルアルコールのような偏光子の材料との密着性を付与し、偏光板保護フィルムとして用いることができる。鹸化の方法については、特開2007−86748号公報の〔0211〕と〔0212〕に記載され、偏光板の偏光子の作り方、偏光板の光学特性等については同公報の〔0213〕〜〔0255〕に記載されており、これらの記載を基に本発明のフィルムを保護フィルムに用いた偏光板を作製することができる。
例えば本発明の光学フィルムに対するアルカリ鹸化処理は、フィルム表面をアルカリ溶液に浸漬した後、酸性溶液で中和し、水洗して乾燥するサイクルで行われることが好ましい。前記アルカリ溶液としては、水酸化カリウム溶液、水酸化ナトリウム溶液が挙げられ、水酸化イオンの濃度は0.1〜5.0mol/Lの範囲にあることが好ましく、0.5〜4.0mol/Lの範囲にあることがさらに好ましい。アルカリ溶液温度は、室温〜90℃の範囲にあることが好ましく、40〜70℃の範囲にあることがさらに好ましい。
<位相差フィルム>
本発明の光学フィルムは、位相差フィルムとして用いることができる。なお、「位相差フィルム」、または「光学補償フィルム」とは、一般に液晶表示装置等の表示装置に用いられ、光学異方性を有する光学材料のことを意味し、光学補償シートなどと同義である。液晶表示装置において、光学補償フィルムは表示画面のコントラストを向上させたり、視野角特性や色味を改善したりする目的で用いられる。
また、本発明の光学フィルムを複数枚積層したり、本発明の光学フィルムと本発明外のフィルムとを積層したりしてReやRthを適宜調整して光学補償フィルムとして用いることもできる。フィルムの積層は、粘着剤や接着剤を用いて実施することができる。
[偏光板]
本発明の偏光板は、偏光子と、本発明の光学フィルムを少なくとも一枚含むことを特徴とする。
偏光板は、一般に、偏光子およびその両側に配置された二枚の透明保護膜からなる。一方の保護膜として、本発明の光学フィルムを用いることができる。他方の保護膜は、通常のセルロースアセテートフィルムを用いてもよい。偏光子には、ヨウ素系偏光子、二色性染料を用いる染料系偏光子やポリエン系偏光子がある。ヨウ素系偏光子および染料系偏光子は、一般にポリビニルアルコール系フィルムを用いて製造する。本発明の光学フィルムを偏光板保護膜として用いる場合、偏光板の作製方法は特に限定されず、一般的な方法で作製することができる。得られたセルロースエステルフィルムをアルカリ処理し、ポリビニルアルコールフィルムを沃素溶液中に浸漬延伸して作製した偏光子の両面に完全ケン化ポリビニルアルコール水溶液を用いて貼り合わせる方法がある。アルカリ処理の代わりに特開平6−94915号公報、特開平6−118232号公報に記載されているような易接着加工を施してもよい。保護膜処理面と偏光子を貼り合わせるのに使用される接着剤としては、例えば、ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラール等のポリビニルアルコール系接着剤や、ブチルアクリレート等のビニル系ラテックス等が挙げられる。偏光板は偏光子及びその両面を保護する保護膜で構成されており、更に該偏光板の一方の面にプロテクトフィルムを、反対面にセパレートフィルムを貼合して構成される。プロテクトフィルム及びセパレートフィルムは偏光板出荷時、製品検査時等において偏光板を保護する目的で用いられる。この場合、プロテクトフィルムは、偏光板の表面を保護する目的で貼合され、偏光板を液晶板へ貼合する面の反対面側に用いられる。また、セパレートフィルムは液晶板へ貼合する接着層をカバーする目的で用いられ、偏光板を液晶板へ貼合する面側に用いられる。
本発明の光学フィルムの偏光子への貼り合せ方は、偏光子の透過軸と本発明の光学フィルムの遅相軸が実質的に平行となるように貼り合せることが好ましい。
本発明の液晶表示装置において、偏光板の透過軸と本発明の光学フィルムの遅相軸が、実質的に平行であることが好ましい。ここで、実質的に平行であるとは、本発明の光学フィルムの主屈折率nxの方向と偏光板の透過軸の方向とは、そのずれが5°以内であることをいい、1°以内、好ましくは0.5°以内であることが好ましい。ずれが1°より大きいと、偏光板クロスニコル下での偏光度性能が低下して光抜けが生じて好ましくない。
<偏光板の機能化>
本発明における偏光板は、ディスプレイの視認性向上のための反射防止フィルム、輝度向上フィルムや、ハードコート層、前方散乱層、アンチグレア(防眩)層等の機能層を有する光学フィルムと複合した機能化偏光板としても好ましく使用される。機能化のための反射防止フィルム、輝度向上フィルム、他の機能性光学フィルム、ハードコート層、前方散乱層、アンチグレア層については、特開2007−86748号公報の〔0257〕〜〔0276〕に記載され、これらの記載を基に機能化した偏光板を作成することができる。
[表示素子]
次に本発明の表示素子について説明する。本発明の偏光板はさまざまな表示素子に用いることができ、例えば、液晶表示装置、光シャッターやフィルターなどを挙げることができる。その中でも、本発明の偏光板は液晶表示装置に用いることが好ましい。以下、本発明の液晶表示装置について説明する。
[液晶表示装置]
本発明の液晶表示装置は、本発明の偏光板を少なくとも一枚含むことを特徴とする。
図1は、本発明の液晶表示装置の例を示す概略図である。図1において、液晶表示装置10は、液晶層5とこの上下に配置された液晶セル上電極基板3および液晶セル下電極基板6とを有する液晶セル、液晶セルの両側に配置された上側偏光板1および下側偏光板8からなる。液晶セルと各偏光板との間にカラーフィルターを配置してもよい。前記液晶表示装置10を透過型として使用する場合は、冷陰極あるいは熱陰極蛍光管、あるいは発光ダイオード、フィールドエミッション素子、エレクトロルミネッセント素子を光源とするバックライトを背面に配置する。
上側偏光板1および下側偏光板8は、それぞれ2枚の保護フィルムで偏光子を挟むように積層した構成を有するのが好ましい。本発明の液晶表示装置10は、装置の外側(液晶セルから遠い側)から、透明保護フィルム、偏光子、本発明の光学フィルムの順序で積層することが好ましい。
液晶表示装置10には、画像直視型、画像投影型や光変調型が含まれる。TFTやMIMのような3端子または2端子半導体素子を用いたアクティブマトリックス液晶表示装置が本発明は有効である。もちろん時分割駆動と呼ばれるSTNモードに代表されるパッシブマトリックス液晶表示装置でも有効である。
(VAモード)
本発明の液晶表示装置の液晶セルはVAモードであることが好ましい。
VAモードでは上下基板間に誘電異方性が負で、Δn=0.0813、Δε=−4.6程度の液晶をラビング配向により、液晶分子の配向方向を示すダイレクタ、いわゆるチルト角を、約89°で作製する。図1における液晶層5の厚さdは3.5μm程度に設定してあることが好ましい。ここで厚さdと屈折率異方性Δnとの積Δndの大きさにより白表示時の明るさが変化する。このため最大の明るさを得るためには液晶層の厚みを0.2μm〜0.5μmの範囲になるように設定する。
液晶セルの上側偏光板1の吸収軸2と下側偏光板8の吸収軸9は略直交に積層する。液晶セル上電極基板3および液晶セル下電極基板6のそれぞれの配向膜の内側には透明電極(図示せず)が形成されるが、電極に駆動電圧を印加しない非駆動状態では、液晶層5中の液晶分子は、基板面に対して概略垂直に配向し、その結果液晶パネルを通過する光の偏光状態はほとんど変化しない。すなわち、液晶表示装置では、非駆動状態において理想的な黒表示を実現する。これに対し、駆動状態では、液晶分子は基板面に平行な方向に傾斜し、液晶パネルを通過する光はかかる傾斜した液晶分子により偏光状態を変化させる。換言すると、液晶表示装置では、駆動状態において白表示が得られる。なお図1において、符号4および7は、配向制御方向である。
ここでは上下基板間に電界が印加されるため、電界方向に垂直に液晶分子が応答するような、誘電率異方性が負の液晶材料を使用することが好ましい。また電極を一方の基板に配置し、電界が基板面に平行の横方向に印加される場合は、液晶材料は正の誘電率異方性を有するものを使用する。
またVAモードの液晶表示装置では、TNモードの液晶表示装置で一般的に使われているカイラル剤の添加は、動的応答特性の劣化させるため用いることは少ないが、配向不良を低減するために添加されることもある。
VAモードの特徴は、高速応答であることと、コントラストが高いことである。しかし、コントラストは正面では高いが、斜め方向では劣化する課題がある。黒表示時に液晶分子は基板面に垂直に配向している。正面から観察すると、液晶分子の複屈折はほとんどないため透過率は低く、高コントラストが得られる。しかし、斜めから観察した場合は液晶分子に複屈折が生じる。さらに上下の偏光板吸収軸の交差角が、正面では90°の直交であるが、斜めから見た場合は90°より大きくなる。この2つの要因のために斜め方向では漏れ光が生じ、コントラストが低下する。これを解決するために光学補償シート(位相差フィルム)として、本発明の光学フィルムを配置する。
また白表示時には液晶分子が傾斜しているが、傾斜方向とその逆方向では、斜めから観察した時の液晶分子の複屈折の大きさが異なり、輝度や色調に差が生じる。これを解決するためには、液晶表示装置の一画素を複数の領域に分割するマルチドメインと呼ばれる構造にすることも好ましい。
(マルチドメイン)
例えば、VA方式では液晶分子が電界印加により、一つの画素内で異なる複数の領域に傾斜することで視角特性が平均化される。一画素内で配向を分割するには、電極にスリットを設けたり、突起を設け、電界方向を変えたり電界密度に偏りを持たせる。全方向で均等な視野角を得るにはこの分割数を多くすればよいが、4分割、あるいは8分割以上することでほぼ均等な視野角が得られる。特に8分割時は偏光板吸収軸を任意の角度に設定できるので好ましい。
また配向分割の領域境界では、液晶分子が応答しづらい。そのためノーマリーブラック表示では黒表示が維持されるため、輝度低下が問題となる。そこで液晶材料にカイラル剤を添加して境界領域を小さくすることが可能である。
(IPSモード)
本発明の光学フィルムは、IPSモードの液晶セルを有するIPS型液晶表示装置の光学補償シートの支持体、または偏光板の保護フィルムとしても特に有利に用いられる。これらのモードは黒表示時に液晶材料が略平行に配向する態様であり、電圧無印加状態で液晶分子を基板面に対して平行配向させて、黒表示する。これらの態様において本発明の光学フィルムを用いた偏光板は色味、コントラストの視野角による変化の低減に有効である。
以下に実施例と比較例を挙げて本発明の特徴をさらに具体的に説明する。以下の実施例に示す材料、使用量、割合、処理内容、処理手順等は、本発明の趣旨を逸脱しない限り適宜変更することができる。したがって、本発明の範囲は以下に示す具体例により限定的に解釈されるべきものではない。
[実施例1および2]
〔セルロースアシレートフィルムの製膜〕
1.フィルムの作成
アセチル置換度2.45のセルロースアセテート7gに対して添加剤として下記表1に記載の構造の化合物1を4重量%加え、さらに固形分濃度が15重量%になるように塩化メチレン/メタノール(重量比で87/13)混合溶液を加えてドープを作成した。固形分が完全に溶解した後、20℃に冷却したガラス板上にドープをたらし、アプリケーターで膜厚を均一化させ70℃で6分間乾燥させた。その後、ガラス板上のフィルムを剥離し、乾燥枠に固定させて100℃で10分間および140℃で20分間乾燥させて溶媒を完全に取り除いた。
なお、下記表1中、添加剤の添加量は、セルロースアシレート樹脂1gに対する添加量(mol)を表す。
2.測定試料の作成
以上のようにして製造した各実施例のセルロースアシレートフィルムについて、幅方向3点(中央、端部(両端からそれぞれ全幅の5%の位置))を長手方向に10mごとに3回サンプリングし、縦横5.5cm角のサンプルフィルムを切り出し、延伸する場合は200℃で幅手方向に1.3倍の固定端延伸を行った。その後、後述の評価を行った。なお、未延伸の場合は延伸処理をせずに後述の評価を行った。
[実施例4〜6、比較例1〜13]
実施例1において、セルロースアシレートの総アシル置換度、添加剤の種類、延伸の有無を下記表1および表2に記載したとおりに変更した以外は同様にして、実施例4〜6および比較例1〜13のセルロースアシレートフィルムを製造し、サンプルフィルムを切り出した。
<評価>
(Rth発現性)
サンプルフィルムを25℃・相対湿度60%にて24時間調湿後、自動複屈折計(KOBRA−21ADH:王子計測機器(株)製)を用いて、25℃・相対湿度60%において、フィルム表面に対し垂直方向および遅相軸を回転軸としてフィルム面法線から+50°から−50°まで10°刻みで傾斜させた方向から波長589nmにおける位相差を測定することから、膜厚方向のレターデーション値(Rth)を算出した。膜厚50μm換算値とした後、得られた結果をそれぞれ下記表1および表2に記載した。
(Rth湿度依存性(ΔRth))
また、レターデーション値の湿度に伴う変化については、フィルムを25℃・相対湿度10%にて12時間調湿した以外は上記の方法と同様にして測定して算出したRth(Rth(10%))、および25℃・相対湿度80%にて12時間調湿した以外は上記の方法と同様にして測定して算出したRth(Rth(80%))から、Rthの湿度依存性ΔRthとを算出した。具体的には、ΔRth=Rth(10%)−Rth(80%)の値を計算し、得られた結果をそれぞれ下記表1および表2に記載した。
(Rth湿度依存性低減率)
また、比較例1および2で得られたセルロースアセテートフィルムのRth湿度依存性(ΔRth)に対する、その他の実施例および比較例のセルロースアセテートフィルムのRth湿度依存性(ΔRth)の割合を求め、得られた値(%)をRth湿度依存性低減率として下記表1および表2に記載した。
Figure 2012007015
Figure 2012007015
[比較例14〜16]
また、実施例1、3、6に対して各添加剤の添加量を1/10にした場合について、同様に検討を行った。その結果を下記表3に示す。
Figure 2012007015
上記表1および表2の結果から、アミノ基とカルボン酸基の両方がベンゼン環に置換されている化合物を用いた実施例1〜6の光学フィルムは延伸、未延伸にかかわらず、添加剤無添加の比較例1および2の光学フィルムよりもRthの湿度依存性が大きく改良されることがわかった。さらに、比較例3〜13の光学フィルムと実施例1〜6の光学フィルムを比較したところ、比較例で用いた化合物6〜13を用いた場合よりも、本発明の化合物1〜5を用いた場合の方がRthの湿度依存性が大きく改良されることがわかった。すなわち、本発明の湿度依存性改良剤は、各比較例で用いた添加剤よりも、湿度依存性改良効果が高いことがわかった。
また、上記表1と表3の結果の対比から、前記一般式(I)で表される化合物を、従来剥離剤としてセルロースアシレートフィルムの製膜時に添加されていた場合の添加量よりも1桁以上多く添加することで、Rthの湿度依存性が大きく改良されることがわかった。
1 上側偏光板
2 上側偏光板吸収軸の方向
3 液晶セル上電極基板
4 上基板の配向制御方向
5 液晶層
6 液晶セル下電極基板
7 下基板の配向制御方向
8 下側偏光板
9 下側偏光板吸収軸の方向
10 液晶表示装置

Claims (13)

  1. セルロースエステルと、
    少なくとも一種の下記一般式(I)で表される化合物を前記セルロースエステル1gに対して1.0×10−4mol以上含むことを特徴とする光学フィルム。
    一般式(I)
    Figure 2012007015
    (一般式(I)中、Rはそれぞれ独立にハロゲン原子または水酸基を表し、nは0〜4の整数を表す。)
  2. 前記一般式(I)中、前記Rがそれぞれ独立にフッ素原子または水酸基を表し、nは0〜4の整数を表すことを特徴とする請求項1に記載の光学フィルム。
  3. 前記セルロースエステルが、総アシル置換度2.0〜3.0のセルロースアシレートであることを特徴とする請求項1または2に記載の光学フィルム。
  4. 前記セルロースエステルが、総アシル置換度2.0〜2.55のセルロースアシレートであることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の光学フィルム。
  5. 膜厚方向のレターデーションRthが70〜140nmであることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の光学フィルム。
  6. 膜厚方向のレターデーションRthが120〜140nmであることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の光学フィルム。
  7. 下記条件(A)での膜厚方向のレターデーションRthの変化量が、セルロースエステルのみから成るフィルムを下記条件(A)での膜厚方向のレターデーションRthの変化量の70%以下であることを特徴する請求項1〜6のいずれか一項に記載の光学フィルム。
    条件(A):25℃相対湿度10%で2時間以上調湿後の膜厚方向のレターデーションRthを測定し、その後25℃相対湿度80%に湿度変化させて2時間以上調湿後の膜厚方向のレターデーションRthを測定する。
  8. 偏光子と、請求項1〜7のいずれか一項に記載の光学フィルムを少なくとも1枚含むことを特徴とする偏光板。
  9. 請求項8に記載の偏光板を少なくとも1枚含むことを特徴とする表示素子。
  10. 請求項8に記載の偏光板を少なくとも1枚含むことを特徴とする液晶表示装置。
  11. 下記一般式(I)で表されるセルロースエステルフィルム用光学性能湿度依存性改良剤。
    一般式(I)
    Figure 2012007015
    (一般式(I)中、Rはそれぞれ独立にハロゲン原子または水酸基を表し、nは0〜4の整数を表す。)
  12. 前記一般式(I)中、前記Rがそれぞれ独立にフッ素原子または水酸基を表し、nは0〜4の整数を表すことを特徴とする請求項11に記載のセルロースエステルフィルム用光学性能湿度依存性改良剤。
  13. 膜厚方向のレターデーションRthを増加させることができることを特徴とする請求項11または12に記載のセルロースエステルフィルム用光学性能湿度依存性改良剤。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2013185100A (ja) * 2012-03-08 2013-09-19 Adeka Corp セルロース系樹脂組成物及びフィルム
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JP2014085628A (ja) * 2012-10-26 2014-05-12 Konica Minolta Inc 位相差フィルムの製造方法、位相差フィルム、偏光板および液晶表示装置

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