JP2012009151A - リチウム二次電池の正極、及びリチウム二次電池 - Google Patents

リチウム二次電池の正極、及びリチウム二次電池 Download PDF

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Abstract

【課題】 高レート特性と高容量化とをともに達成することができる構造の、リチウム二次電池の正極、及びかかる正極を備えたリチウム二次電池を提供すること。
【解決手段】 正極は、層状岩塩構造を有するリチウム複合酸化物の粒子である、正極活物質粒子を含む。この正極活物質粒子には、板状粒子と等軸粒子とが含まれる。板状粒子においては、X線回折におけるピーク強度比[003]/[104]が1.6以下であり、アスペクト比が2.1〜20である。等軸粒子は、アスペクト比が2以下である。
【選択図】 図1B

Description

本発明は、層状岩塩構造を有する正極活物質粒子を含む、リチウム二次電池の正極に関する。さらに、本発明は、かかる正極を備えたリチウム二次電池に関する。
リチウム二次電池(リチウムイオン二次電池と称されることもある)は、正極と、負極と、これらの間に介在する電解質と、を備えている。この正極を構成する正極活物質として、層状岩塩構造を有するリチウム複合酸化物(リチウム遷移金属酸化物)の粒子が、広く知られている(例えば、特開平5−226004号公報等参照。)。そして、正極は、所定のバインダー中に、かかる粒子とカーボン等の導電助剤とを分散させることによって構成された、正極活物質層(正極活物質膜)を備えている。
ここで、「層状岩塩構造」とは、リチウム層とリチウム以外の遷移金属層とが酸素の層を挟んで交互に積層された結晶構造、すなわち、酸化物イオンを介して遷移金属イオン層とリチウム単独層とが交互に積層された結晶構造(典型的にはα−NaFeO型構造:立方晶岩塩型構造の[111]軸方向に遷移金属とリチウムとが規則配列した構造)をいう。
かかる正極活物質粒子においては、(003)面以外の結晶面(リチウムイオン出入り面:例えば(101)面や(104)面)にて、リチウムイオン(Li)の出入りが生じる。このような、正極活物質粒子におけるリチウムイオンの出入りによって、リチウム二次電池における充放電動作が行われる。
この種の電池の正極においては、正極活物質粒子におけるリチウムイオン出入り面の電解質への露出をより多くすることで、レート特性が高くなる。一方、正極におけるバインダー中の正極活物質粒子の充填率を高めることで、高容量化が図られる。
この点、従来の正極活物質粒子においては、粒子径を小さくすると、比表面積が大きくなるためにレート特性が高くなる一方、充填率が低くなるために容量も小さくなる。このように、従来の正極の構造においては、レート特性と容量とが、トレードオフの関係になっていた。
本発明は、かかる課題を解決するためになされたものである。すなわち、本発明の目的は、高レート特性と高容量化とをともに達成することができる構造の、リチウム二次電池の正極、及びかかる正極を備えたリチウム二次電池を提供することにある。
本発明のリチウム二次電池は、層状岩塩構造を有するリチウム複合酸化物の粒子である正極活物質粒子を含む正極と、炭素質材料又はリチウム吸蔵物質を負極活物質として含む負極と、前記正極と前記負極との間に介在するように設けられた電解質と、を備えている。具体的には、前記正極は、バインダー中に前記正極活物質粒子(及び導電助剤)を分散させることによって形成された正極活物質膜を含んでいる。本発の特徴は、前記正極活物質粒子が、以下の特性を有する板状粒子と等軸粒子とを含むことにある。
前記板状粒子においては、ピーク強度比[003]/[104]が1.6以下(より好ましくは1.0以下)であり、アスペクト比が2.1〜20である。ここで、ピーク強度比[003]/[104]は、X線回折における、(104)面による回折強度(ピーク強度)に対する、(003)面による回折強度(ピーク強度)の比率である。また、アスペクト比は、粒子径(d)を厚さ(t)で除した値(d/t)である。前記板状粒子の前記厚さは、好ましくは、5〜100μmである。
前記等軸粒子は、前記アスペクト比が2以下である。また、前記等軸粒子の粒子径は、前記板状粒子の前記厚さ以下であることが好適である。
前記板状粒子と前記等軸粒子との合計に対する前記板状粒子の体積%である、板状粒子配合率は、5〜80%であることが好適である。
ここで、「板状粒子」とは、外形形状が板状である粒子のことをいう。「板状」という概念は、本明細書にて特段の説明を加えなくても社会通念上明確であり、上述のように、「アスペクト比が2.1〜20である」という定義づけによってよりいっそう明確になっているが、敢えて付言すると、例えば、以下のように説明することが可能である。
すなわち、「板状」とは、粒子を水平面(重力が作用する方向である鉛直方向と直交する平面)上に安定的に(外部からの衝撃(当該粒子が前記水平面から飛翔してしまうような強力な衝撃は除く)を受けてもさらに転倒することがないような態様で)載置した状態で、前記水平面と直交する第一の平面及び第二の平面(前記第一の平面と前記第二の平面とは交差し、典型的には直交する。)による当該粒子の断面を観察した場合に、いずれの断面においても、前記水平面に沿った(前記水平面と平行、あるいは前記水平面とのなす角度がα度(0<α<45)となる)方向である幅方向における寸法(かかる寸法が「粒子径」に対応する)の方が、当該幅方向と直交する方向である厚さ方向(板厚方向)における寸法(かかる寸法は粒子の「厚さ」と称される。)よりも大きい状態をいう。なお、上述の「厚さ」は、前記水平面と当該粒子との間の空隙部分を含まない。
前記板状粒子は、通常、平板状に形成される。ここで、「平板状」とは、粒子を水平面上に安定的に載置した状態で、前記水平面と当該粒子との間に形成される空隙の高さが、粒子の厚さよりも小さい状態をいうものとする。これ以上屈曲したものは、この種の板状粒子では通常生じないため、前記板状粒子に対しては、上述の定義が適切なものとなる。
粒子を水平面上に安定的に載置した状態において、前記厚さ方向は、必ずしも前記鉛直方向と平行な方向になるとは限らない。例えば、粒子を水平面上に安定的に載置した状態における、前記第一の平面又は前記第二の平面による当該粒子の断面形状を、(1)長方形、(2)菱形、(3)楕円形、のいずれの形状に最も近似するかを分類した場合を想定する。この粒子断面形状が(1)長方形に近似するとき、前記幅方向は上述の状態における前記水平面と平行な方向となり、前記厚さ方向は上述の状態における前記鉛直方向と平行な方向となる。
一方、(2)菱形や(3)楕円形のときは、前記幅方向は上述の状態における前記水平面と若干の角度(45度以下:典型的には数〜20度程度)をなすこととなる。このときは、前記幅方向は、当該断面による外形線上の2点であって互いの距離が最も長くなるもの同士を結んだ方向となる(かかる定義は上述の(1)長方形の場合は、対角線となってしまうために適切ではない)。
また、粒子の「板面」とは、粒子を水平面上に安定的に載置した状態における、当該水平面と対向する面、又は、当該水平面からみて当該粒子よりも上方に位置し当該水平面と平行な仮想平面と対向する面をいう。「板面」は、前記板状粒子における最も広い面であるため、「主面(principal surface)」と称されることもある。なお、この板面(主面)と交差する(典型的には直交する)面、すなわち、前記厚さ方向と垂直な方向である板面方向(あるいは面内方向)と交差する面は、粒子を水平面上に安定的に載置した状態における、当該粒子の平面視(当該粒子を水平面上に安定的に載置した状態で前記鉛直方向における上方から見た場合)における端縁に生じることから、「端面」と称される。
もっとも、前記板状粒子は、その断面形状が上述の(1)長方形に近似することが多い。このため、前記板状粒子においては、前記厚さ方向は、当該粒子を水平面上に安定的に載置した状態における前記鉛直方向と平行な方向と云っても差し支えない。同様に、前記板状粒子においては、「板面」は、当該粒子の前記厚さ方向と直交する表面と云っても差し支えない。
前記板状粒子の厚さtは、例えば、断面をSEM(走査電子顕微鏡)によって観察した場合における、略平行に観察される前記板面間の距離を測定することで得られる。また、前記板状粒子の粒子径dは、前記厚さ方向と直交する板面方向における最小寸法によって定義される。例えば、粒子径dは、前記板状粒子の平面視における外形形状をSEMによって観察した場合における、当該外形形状の内接円を描いたときの直径を測定することで得られる。
本発明の構成においては、前記等軸粒子に対してサイズの大きい前記板状粒子を混合することで、粒子間の隙間を減らすことが可能になる。さらに、前記板状粒子と前記等軸粒子とを適切な混合比で前記正極(前記正極活物質膜)内に分散させることで、前記板状粒子同士の隙間を埋めるように前記等軸粒子が配置される。これにより、当該正極内における前記正極活物質粒子の充填率が高められる。
また、前記板状粒子においては、リチウムイオン出入り面が良好に表面(前記板面)に露出する。さらに、前記等軸粒子の表面に露出するリチウムイオン出入り面もまた、充放電に寄与する。よって、本発明の構成によれば、リチウムイオン出入り面の露出量より多くすることができる。これにより、良好なレート特性が得られる。
したがって、本発明によれば、従来技術においてトレードオフの関係であった、高レート特性と高容量化とを、ともに達成することが可能になる。
本発明の一実施形態であるリチウム二次電池の概略構成を示す断面図である。 図1Aに示されている正極の拡大断面図である。 図1Bに示されている正極活物質板状粒子の拡大斜視図である。 図1Bに示されている正極活物質等軸粒子の拡大斜視図である。 比較例の正極活物質板状粒子の拡大斜視図である。
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しつつ説明する。なお、本実施形態に対して施され得る各種の変更(modification)は、当該実施形態の説明中に挿入されると、一貫した実施形態の説明の理解が妨げられるので、末尾にまとめて記載されている。
<リチウム二次電池の構成>
図1Aは、本発明の一実施形態であるリチウム二次電池10の概略構成を示す断面図である。
図1Aを参照すると、本実施形態のリチウム二次電池10は、いわゆる液体型であって、電池ケース11と、セパレータ12と、電解質13と、負極14と、正極15と、を備えている。
セパレータ12は、電池ケース11内を二分するように設けられている。電池ケース11内には、液体の電解質13が収容されているとともに、負極14及び正極15がセパレータ12を隔てて対向するように設けられている。
電解質13としては、例えば、電気特性や取り扱い易さから、有機溶媒等の非水系溶媒にリチウム塩等の電解質塩を溶解させた、非水溶媒系の電解液が好適に用いられる。非水電解液の溶媒としては、特に限定されないが、例えば、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、エチルメチルカーボネート、メチルプロピオンカーボネート等の鎖状エステル;エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ブチレンカーボネート、ビニレンカーボネート等の誘電率の高い環状エステル;鎖状エステルと環状エステルの混合溶媒;等を用いることができ、鎖状エステルを主溶媒とした環状エステルとの混合溶媒が特に適している。
非水電解液の調製にあたって上述の溶媒に溶解させる電解質塩としては、例えば、LiClO、LiPF、LiBF、LiAsF、LiSbF、LiCFSO、LiCSO、LiCFCO、Li(SO、LiN(RfSO)(Rf′SO)、LiC(RfSO、LiC2n+1SO(n≧2)、LiN(RfOSO[ここでRfとRf′はフルオロアルキル基]、等を用いることができる。これらは、それぞれ単独で用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。上述の電解質塩の中でも、炭素数2以上の含フッ素有機リチウム塩が特に好ましい。この含フッ素有機リチウム塩は、アニオン性が大きく、かつイオン分離しやすいので、上述の溶媒に溶解し易いからである。非水電解液中における電解質塩の濃度は、特に限定されないが、例えば、0.3mol/l以上、より好ましくは0.4mol/l以上であって、1.7mol/l以下、より好ましくは1.5mol/l以下であることが望ましい。
負極14に係る負極活物質は、リチウムイオンを吸蔵、放出できるものであればよく、例えば、黒鉛、熱分解炭素類、コークス類、ガラス状炭素類、有機高分子化合物の焼成体、メソカーボンマイクロビーズ、炭素繊維、活性炭等の炭素質材料が用いられる。また、金属リチウムや、ケイ素,スズ、インジウム等を含む合金、リチウムに近い低電位で充放電できるケイ素,スズ等の酸化物、Li2.6Co0.4N等のリチウムとコバルトとの窒化物、等のリチウム吸蔵物質も、負極活物質として用いることができる。さらに、黒鉛の一部は、リチウムと合金化し得る金属や酸化物等と置き換えることもできる。負極活物質として黒鉛を用いた場合には、満充電時の電圧をリチウム基準で約0.1Vとみなすことができるため、電池電圧に0.1Vを加えた電圧で正極15の電位を便宜上計算することができることから、正極15の充電電位が制御しやすく好ましい。
図1Bは、図1Aに示されている正極15の拡大断面図である。図1Bを参照すると、正極15は、正極集電体15aと、正極活物質層15bと、を備えている。正極活物質層15bは、バインダー15b1と、正極活物質板状粒子15b2と、正極活物質等軸粒子15b3と、から構成されている。
正極活物質層15bは、バインダー15b1中に正極活物質板状粒子15b2と正極活物質等軸粒子15b3と図示しない導電助剤とを分散させることによって形成されている。具体的には、正極活物質層15bにおいては、板状粒子配合率が5〜80%となるように、正極活物質板状粒子15b2及び正極活物質等軸粒子15b3が分散されている。ここで、「板状粒子配合率」は、正極活物質板状粒子15b2と正極活物質等軸粒子15b3との合計に対する正極活物質板状粒子15b2の体積%である。
なお、図1A及び図1Bに示されているリチウム二次電池10及び正極15の基本的な構成(電池ケース11、セパレータ12、電解質13、負極14、正極集電体15a、及びバインダー15b1を構成する材質を含む。)は周知であるので、本明細書においては、その詳細な説明は省略されている。
図2Aは、図1に示されている正極活物質板状粒子15b2の拡大斜視図である。図2Bは、図1に示されている正極活物質等軸粒子15b3の拡大斜視図である。図2Cは、比較例の正極活物質粒子の拡大斜視図である。
図2Aに示されているように、正極活物質板状粒子15b2は、板状(すなわちアスペクト比が2.1〜20)に形成されている。また、正極活物質板状粒子15b2は、厚さが5〜100μmに形成されている。
正極活物質板状粒子15b2は、厚さ方向(図中上下方向)と直交する表面である板面(上側表面A及び下側表面B:以下「上側表面A」及び「下側表面B」をそれぞれ「板面A」及び「板面B」と称する。)に(003)以外の面(例えば(101)面や(104)面)が露出するように形成されている。
すなわち、正極活物質板状粒子15b2は、(003)以外の面(例えば(104)面)が板面A及びBと平行となるように配向するように形成されている。これに対し、図2Cに示されている比較例の粒子は、板状であるものの、粒子の厚さ方向における両面(板面A及びB)に(003)が露出するように形成されている(図中黒色で塗りつぶされた面参照)。なお、正極活物質板状粒子15b2の板面方向(面内方向)と交差する端面Cには、(003)面が露出していても構わない。
一方、図2Bに示されているように、正極活物質等軸粒子15b3は、等方形状(アスペクト比が2以下)に形成されている。また、正極活物質等軸粒子15b3は、その粒子径が正極活物質板状粒子15b2の厚さと同程度あるいはそれ以下となるように形成されている。
<正極活物質粒子の製造方法の具体例>
本実施形態における正極活物質板状粒子15b2及び正極活物質等軸粒子15b3の製造方法の具体例は、以下の通りである。
<<板状粒子>>
まず、以下の方法によって、スラリーを調製した:Co34粉末(粒径1−5μm、正同化学工業株式会社製)を粉砕して作製したCo34原料粒子(粒径0.3μm)に20wt%の割合でBi23(粒径0.3μm、太陽鉱工株式会社製)を添加したもの100重量部と、分散媒(トルエン:イソプロパノール=1:1)100重量部と、バインダー(ポリビニルブチラール:品番BM−2、積水化学工業株式会社製)10重量部と、可塑剤(DOP:Di(2-ethylhexyl)phthalate、黒金化成株式会社製)4重量部と、分散剤(製品名レオドールSP−O30、花王株式会社製)2重量部と、を混合した。この混合物を、減圧下で撹拌することで脱泡するとともに、500〜700cPの粘度に調製した。なお、粘度は、ブルックフィールド社製LVT型粘度計で測定した。
上記のようにして調製されたスラリーを、ドクターブレード法によって、PETフィルムの上に、乾燥後の厚さが10μmとなるように、シート状に成形した。
PETフィルムから剥がしたシート状の成形体を、カッターで70mm角に切り出し、突起の大きさが300μmのエンボス加工を施したジルコニア製セッター(寸法90mm角、高さ1mm)の中央に載置し、1500℃で5h焼成後、降温速度50℃/hにて降温し、セッターに溶着していない部分を取り出した。
焼成後のCo34セラミックスシートを、開口径20μmのふるい(メッシュ)に載せ、ヘラで軽く押し付けながらメッシュを通過させることで、解砕した。
セラミックスシートを解砕することで得られたCo34粉末と、Li2CO3粉末(関東化学株式会社製)とを、Li/Co=1.0となるように混合し、坩堝中にて760℃で20時間加熱処理することで、正極活物質板状粒子15b2(LiCoO2板状粒子)を得た。
<<等軸粒子>>
焼成後のCo34セラミックスシートを、容積1Lのポリプロピレンポット中で、直径10mmのナイロンボールを用いて10h粉砕したこと以外は、板状粒子と同様の製造方法により、直径10μmの正極活物質等軸粒子15b3(LiCoO2等軸粒子)を得た。
<評価方法>
得られた板状及び等軸状のLiCoO2粒子を所定の割合で混合したものと、アセチレンブラック、及びポリフッ化ビニリデン(PVDF)を、質量比で90:5:5となるように混合することで、正極材料を調製した。
調製した正極材料を、厚さ21μmのアルミ箔上に厚さ100μmとなるように塗工し、直径20mmの円板状に打ち抜いた後、40℃にて500kg/cm2の圧力で一軸プレスすることで、正極活物質層を作製した。なお、正極活物質層における活物質充填率は、以下の通りに求めた。まず、塗工部分を剥離した後、Arイオンミリング(製品名クロスセクションポリッシャSM−09020CP JEOL社製)にて厚さ方向に断面研磨した。次に、この研磨した面の反射電子像を、走査電子顕微鏡(製品名JSM−6390 JEOL社製)を用いて撮影した。この撮影画像を画像処理ソフト(製品名Photoshop adobe社製)を用いて解析し、正極活物質層と活物質との面積比((活物質断面積/正極活物質層の断面積)×100)を求め、これを活物質充填率とした。
作製した正極活物質層、リチウム金属板からなる負極、ステンレス集電板、及びセパレータを、集電板−正極活物質層−セパレータ−負極−集電板の順に配置し、この集積体を電解液で満たすことで、コインセルを作製した。なお、電解液は、エチレンカーボネート(EC)及びジエチルカーボネート(DEC)を等体積比で混合した有機溶媒に、LiPFを1mol/Lの濃度となるように溶解することで調製した。このようにして作製した電池(コインセル)を用いて、電池特性の評価を、以下のようにして行った。
0.1Cレートの電流値で電池電圧が4.2Vとなるまで定電流充電し、次に電池電圧を4.2Vに維持しつつ電流値が1/20に低下するまで定電圧充電した後10分間休止し、続いて0.1Cレートの電流値で電池電圧が3.0Vになるまで定電流放電した後10分間休止する、という充放電操作を1サイクルとし、25℃の条件下で合計2サイクル繰り返し、2サイクル目の放電容量を測定した(0.1Cレートの放電容量)。
引き続き、充電時の電流値を0.1Cレートに固定し、放電電流値を1Cレート、5Cレートで各2サイクル放電を繰り返し、2サイクル目の放電容量を各レートにおける放電容量とした。レート特性の指標として、5Cレートにおける放電容量を0.1Cレートの放電容量で除した値(これを「放電容量維持率(%)」とする)を用いた。
<評価結果>
上述の具体例の製造方法によって作成された板状粒子に代えて従来のLiCoO2板状粒子(図2C参照)を用いた実験例1と、Bi23添加量、焼成・降温条件、及びリチウム導入条件を変更することで配向度を変えた5つの実験例(実験例2〜6:上述の製造方法と合致するものは「実験例5」である)との評価結果を、以下の表1に示す。また、配向度を一定(実験例5と同じ)として、板状粒子配合率を変えた9つの実験例(実験例7〜15)の評価結果を、以下の表2に示す(実験例12は実験例5と同一である)。
Figure 2012009151
Figure 2012009151
表1に示されているように、配向度が低い(ピーク強度比[003]/[104]が大きい)実験例1においては、レート特性が低下した。また、板状粒子配合率が低すぎる実験例7及び8、並びに高すぎる実験例15においては、活物質充填率が低下した。
これに対し、ピーク強度比[003]/[104]が1.6以下であり、且つ板状粒子配合率が50%である実験例2〜6においては、良好なレート特性が得られた。また、板状粒子配合率が5〜80%である実験例9〜14においては、良好な活物質充填率が得られた。
<実施形態による効果>
上述のように、正極活物質板状粒子15b2においては、リチウムイオン出入り面(例えば(104)面)が、板面と平行となるように配向することで、表面の大部分にて露出される。一方、リチウムイオンの出入りが行えない(003)面は、端面にわずかに露出するのみである(図2A参照)。すなわち、正極活物質板状粒子15b2においては、電解質13(バインダー15b1に浸透しているものを含む)への、リチウムイオン出入り面の露出がより多くなるとともに、リチウムイオンの出入りが行えない(003)面の露出割合が極めて低くなる。
また、正極活物質板状粒子15b2と正極活物質等軸粒子15b3とが適切な混合比で正極活物質層15b内に分散することで、正極活物質板状粒子15b2同士の隙間を埋めるように正極活物質等軸粒子15b3が配置される。これにより、正極活物質層15b内における正極活物質粒子の充填率が高められる。すなわち、正極活物質層15b内におけるバインダー15b1の割合を可及的に低くすることができる。さらに、正極活物質等軸粒子15b3の表面に露出したリチウムイオン出入り面も充放電動作に寄与できることとなる。
したがって、本実施形態の構成によれば、リチウムイオン出入り面の露出を可及的に多くすることによるレート特性の向上と、正極活物質板状粒子15b2の粒子径を大きくすることによる粒子強度の向上に伴う耐久性の向上と、充填率を高めることによる高容量化とが、同時に達成される。
特に、携帯電話やノートPCに搭載される、モバイル機器向けのリチウムイオン二次電池においては、長時間の使用に対応可能程度に高容量化されることが求められる。かかる観点から、正極活物質板状粒子15b2として、粒子径が10μm以上の大きな粒子を用いることで、充填率を高めることが好ましい。
この点、従来技術では、粒子径を大きくすると、その反面、リチウムイオンが出入りできない面(003)が表面に広く露出してしまい(図2C参照)、出力特性がかえって悪化することがあった。
これに対し、本実施形態に係る正極活物質板状粒子15b2では、リチウムイオン出入り面が表面に広く露出している。このため、本実施形態によれば、出力特性に悪影響を及ぼすことなく、正極活物質板状粒子15b2を大粒子化することができる。また、上述のように、正極活物質板状粒子15b2同士の隙間を埋めるように正極活物質等軸粒子15b3が配置される。したがって、本実施形態によれば、従来よりも充填率が高められた、高容量化に対応した正極を提供することができる。
なお、正極活物質板状粒子15b2の厚さは、2〜100μm、より好ましくは5〜50μm、さらに好ましくは5〜20μmが望ましい。100μmより厚いと、レート特性が低下する点や、シート成形性の点から、好ましくない。また、正極活物質板状粒子15b2の厚さは、2μm以上が望ましい。2μmより薄いと、充填率を高める効果が小さくなる点で、好ましくない。
正極活物質板状粒子15b2のアスペクト比は、2.1〜20が望ましい。アスペクト比が小さすぎると、配向によるリチウムイオン出入り面の拡大効果が小さくなる。アスペクト比が20より大きいと、正極活物質板状粒子15b2の板面が正極活物質層15bの面内方向と平行になるように正極活物質板状粒子15b2が充填された場合、正極活物質層15bの厚み方向へのリチウムイオンの拡散経路が極度に長くなることで、レート特性が低下するので、好ましくない。
<変形例の例示列挙>
なお、上述の実施形態や具体例は、出願人が取り敢えず本願の出願時点において最良であると考えた本発明の具現化の一例を単に示したものにすぎないのであって、本発明はもとより上述の実施形態や具体例によって何ら限定されるべきものではない。よって、上述の実施形態や具体例に対して、本発明の本質的部分を変更しない範囲内において、種々の変形が施され得ることは、当然である。
以下、変形例について幾つか例示する。以下の変形例の説明において、上述の実施形態における各構成要素と同様の構成・機能を有する構成要素については、本変形例においても同一の名称及び同一の符号が付されているものとする。そして、当該構成要素の説明については、上述の実施形態における説明が、矛盾しない範囲で適宜援用され得るものとする。
もっとも、変形例とて、下記のものに限定されるものではないことは、いうまでもない。本発明を、上述の実施形態や下記変形例の記載に基づいて限定解釈することは、(特に先願主義の下で出願を急ぐ)出願人の利益を不当に害する反面、模倣者を不当に利するものであって、許されない。
また、上述の実施形態の構成、及び下記の各変形例に記載された構成の全部又は一部が、技術的に矛盾しない範囲において、適宜複合して適用され得ることも、いうまでもない。
電解質としては、無機固体、有機ポリマー、あるいはゲルポリマー(有機ポリマーに電解液を染み込ませたゲル状のもの)が用いられ得る。
正極活物質板状粒子15b2の製造方法は、上述の具体例に何ら限定されない。例えば、正極活物質板状粒子15b2は、従来周知の製造方法とは異なる、本出願人の先願に係る製造方法(例えば国際出願番号PCT/JP2009/071838等)によって製造され得る。
上述の具体例においては、正極活物質等軸粒子15b3として、配向度が高い(ピーク強度比[003]/[104]が1.6以下である)正極活物質板状粒子15b2を粉砕したものを用いたが、本発明はこれに限定されない。すなわち、例えば、正極活物質等軸粒子15b3として、従来周知の製造方法によって製造されたもの(図2Cに示されているものと同様の結晶構造で外形形状が等軸状のもの)も用いられ得る。
その他、特段に言及されていない変形例についても、本発明の本質的部分を変更しない範囲内において、本発明の技術的範囲に含まれることは当然である。
また、本発明の課題を解決するための手段を構成する各要素における、作用・機能的に表現されている要素は、上述の実施形態や変形例にて開示されている具体的構造の他、当該作用・機能を実現可能ないかなる構造をも含む。さらに、本明細書にて引用した先行出願や各公報の内容(明細書及び図面を含む)は、本明細書の一部を構成するものとして適宜援用され得る。
10…リチウム二次電池 11…電池ケース
12…セパレータ 13…電解質
14…負極 15…正極
15a…正極集電体 15b…正極活物質層
15b1…バインダー 15b2…正極活物質板状粒子
15b3…正極活物質等軸粒子
A…板面(上側表面) B…板面(下側表面)
C…端面
特開平9−22693号公報 特開2003−132887号公報 特開2003−346809号公報

Claims (10)

  1. 層状岩塩構造を有し、X線回折における(104)面による回折強度に対する(003)面による回折強度の比率であるピーク強度比[003]/[104]が1.6以下であり、厚さを規定する板厚方向と直交する板面方向における最小寸法によって定義される粒子径を前記厚さで除した値であるアスペクト比が2.1〜20である、板状粒子と、
    層状岩塩構造を有し、前記アスペクト比が2以下である、等軸粒子と、
    を含むことを特徴とする、リチウム二次電池の正極。
  2. 請求項1に記載の、リチウム二次電池の正極であって、
    前記等軸粒子の粒子径が前記板状粒子の前記厚さ以下であることを特徴とする、リチウム二次電池の正極。
  3. 請求項1又は請求項2に記載の、リチウム二次電池の正極であって、
    前記板状粒子の前記厚さが、5〜100μmであることを特徴とする、リチウム二次電池の正極。
  4. 請求項1〜請求項3のうちのいずれか1項に記載の、リチウム二次電池の正極であって、
    前記板状粒子と前記等軸粒子との合計に対する前記板状粒子の体積%である、板状粒子配合率が、5〜80%であることを特徴とする、リチウム二次電池の正極。
  5. 請求項1〜請求項4のうちのいずれか1項に記載の、リチウム二次電池の正極であって、
    バインダー中に前記板状粒子と前記等軸粒子とを分散させることによって形成された正極活物質膜を含むことを特徴とする、リチウム二次電池の正極。
  6. 層状岩塩構造を有し、X線回折における(104)面による回折強度に対する(003)面による回折強度の比率であるピーク強度比[003]/[104]が1.6以下であり、厚さを規定する板厚方向と直交する板面方向における最小寸法によって定義される粒子径を前記厚さで除した値であるアスペクト比が2.1〜20である、板状粒子と、層状岩塩構造を有し、前記アスペクト比が2以下である、等軸粒子と、を、正極活物質粒子として含む、正極と、
    炭素質材料又はリチウム吸蔵物質を負極活物質として含む、負極と、
    前記正極と前記負極との間に介在するように設けられた、電解質と、
    を備えたことを特徴とする、リチウム二次電池。
  7. 請求項6に記載の、リチウム二次電池であって、
    前記等軸粒子の粒子径が前記板状粒子の前記厚さ以下であることを特徴とする、リチウム二次電池。
  8. 請求項6又は請求項7に記載の、リチウム二次電池であって、
    前記板状粒子の前記厚さが、5〜100μmであることを特徴とする、リチウム二次電池。
  9. 請求項6〜請求項8のうちのいずれか1項に記載の、リチウム二次電池であって、
    前記正極における、前記板状粒子と前記等軸粒子との合計に対する前記板状粒子の体積%である、板状粒子配合率が、5〜80%であることを特徴とする、リチウム二次電池。
  10. 請求項6〜請求項9のうちのいずれか1項に記載の、リチウム二次電池の正極であって、
    前記正極は、バインダー中に前記板状粒子と前記等軸粒子とを分散させることによって形成された正極活物質膜を含むことを特徴とする、リチウム二次電池の正極。
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