JP2012009152A - リチウムイオン二次電池 - Google Patents
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Abstract
【課題】複数の柱状の合金系活物質が負極集電体の表面に支持された負極を備えるリチウムイオン二次電池のサイクル特性を向上させる。
【解決手段】リチウムイオンの吸蔵及び放出が可能な正極活物質層を備える正極3と、複数の柱状の合金系活物質が負極集電体の表面に支持された負極4と、正極3と負極4との間に介在するセパレータ5と、非水電解液と、を備えるリチウムイオン二次電池1において、正極3の正極活物質層の表面に、非水電解液に対する膨潤度が10%以上である易膨潤性樹脂からなる膨潤性被膜6を設ける。
【選択図】図1
【解決手段】リチウムイオンの吸蔵及び放出が可能な正極活物質層を備える正極3と、複数の柱状の合金系活物質が負極集電体の表面に支持された負極4と、正極3と負極4との間に介在するセパレータ5と、非水電解液と、を備えるリチウムイオン二次電池1において、正極3の正極活物質層の表面に、非水電解液に対する膨潤度が10%以上である易膨潤性樹脂からなる膨潤性被膜6を設ける。
【選択図】図1
Description
本発明は、リチウムイオン二次電池に関する。更に詳しくは、本発明は、柱状の合金系活物質が負極集電体表面に支持された負極を備えるリチウムイオン二次電池内における、非水電解液の不均一な分布の改良に関する。
負極活物質として合金系活物質を用いたリチウムイオン二次電池(以下「合金系二次電池」とすることがある)は、負極活物質として黒鉛を用いた従来のリチウムイオン二次電池よりも高い容量及びエネルギー密度を有していることが知られている。従って、合金系二次電池は、電子機器の電源としてだけでなく、輸送機器や工作機器等の主電源又は補助電源としても期待されている。合金系活物質としては、珪素、珪素酸化物等の珪素系活物質、錫、錫酸化物等の錫系活物質等が知られている。
しかし、合金系活物質は、充電時にその粒子が著しく膨張して内部応力を生じる。その結果、負極活物質層の負極集電体からの脱落や負極の変形等を引き起こすことがある。
合金系活物質が膨張する際に生じる内部応力を低減させるために、合金系活物質からなる、複数のミクロンサイズの柱状体を負極集電体の表面に形成した負極が知られている(特許文献1参照)。このような負極においては、隣り合う一対の柱状体同士の間に空隙が形成されている。そして、このような空隙により、合金系活物質が膨張した際の内部応力の発生が緩和される。すなわち、充電時に合金系活物質が著しく膨張したとしても、隣接する柱状体間に形成された空隙により応力の発生が抑制される。その結果、負極集電体から合金系活物質が脱落したり、負極が変形したりすること等が抑制される。
ところで、特許文献2は、正極活物質と結着剤とを含む正極活物質層を備える正極と、負極活物質と結着剤とを含む負極活物質層を備える負極と、正極と負極との間に介在するセパレータと、正極活物質層及び/又は負極活物質層とセパレータとの間に介在する高分子支持体と、を備え、高分子支持体を構成するポリマーの溶媒膨潤度が、その高分子支持体と接する正極活物質層及び/又は負極活物質層に含まれる結着剤の溶媒膨潤度よりも大きいことを特徴とする非水電解質二次電池を開示する。
特許文献2に開示された非水電解質二次電池は、上述した構成により、非水電解液の漏洩等を解消することを目的としている。
上述した複数の柱状体を有する負極を備えた合金系二次電池においては、充放電サイクル回数が増加するにしたがって、サイクル特性の低下が起こる場合があった。本発明者らは、この原因について、検討を重ねた結果、次のような知見を得た。
複数の柱状体を有する負極は、充電時には柱状体がリチウムイオンを吸蔵して著しく膨張することにより、柱状体間の空隙の体積が減少する。一方、放電時には柱状体がリチウムイオンを放出して著しく収縮することにより、空隙の体積が著しく増大する。
従って、放電により負極の空隙の体積が増加する際には、合金系二次電池内に収納された非水電解液が毛細管現象によりその空隙に吸収される。その結果、電池内における非水電解液の移動性が乏しくなることがある。そのような場合、放電末期には電極面内における非水電解液の分布が不均一になる。これにより、放電深度のばらつきが発生する。また、複数の柱状体を有する負極は、非水電解液に対する濡れ性が正極よりも高いことから、負極内に非水電解液が偏在する一方、正極は液枯れ状態になってしまう可能性がある。
このように、非水電解液の不均一な分布が生じた場合には、非水電解液が枯渇した領域では充放電反応が進行せず、非水電解液を保持している領域では正負極の充放電反応量が過度に大きくなってしまう。このように、正負極の負荷が増大することにより、サイクル特性の低下を引き起こす恐れがある。
本発明の目的は、負極活物質として合金系活物質を含む負極を備え、サイクル特性に優れたリチウムイオン二次電池を提供することである。
本発明のリチウムイオン二次電池は、リチウムの吸蔵及び放出が可能な正極活物質層を備える正極と、複数の柱状の合金系活物質が負極集電体の表面に支持された負極と、前記正極と前記負極との間に介在するセパレータと、非水電解液と、を備え、正極活物質層の表面に、非水電解液に対する膨潤度が10%以上である易膨潤性樹脂からなる被膜を有することを特徴とする。
このように、正極表面に、高い非水電解液の吸収能を有する樹脂被膜を形成することにより、放電の際において正極の非水電解液の液枯れを抑制することができる。その結果、充電の初期において、正極からのリチウムイオンの放出を円滑に進行させて、正極の劣化を抑制することができる。
本発明によれば、高容量及び高エネルギー密度を有し、サイクル特性に優れたリチウムイオン二次電池が提供される。
本発明の一実施形態を、図面を参照しながら詳しく説明する。
図1は、本発明の第1実施形態であるリチウムイオン二次電池1の構成を模式的に示す縦断面図である。図1に示す正極3及び負極4において、活物質層及び集電体の図示を省略する。図2は、図1に示すリチウムイオン二次電池1に備えられる負極4の構成を模式的に示す縦断面図である。
図1は、本発明の第1実施形態であるリチウムイオン二次電池1の構成を模式的に示す縦断面図である。図1に示す正極3及び負極4において、活物質層及び集電体の図示を省略する。図2は、図1に示すリチウムイオン二次電池1に備えられる負極4の構成を模式的に示す縦断面図である。
リチウムイオン二次電池1は、正極活物質層表面に膨潤性被膜6を有する正極3と負極4との間にセパレータ5を介在させて、これらを捲回することにより得られる捲回型電極群2(以下単に「電極群2」とする)、有底円筒型の形状を有し、電極群2や図示しない非水電解液等を収容すると共に、負極端子として機能する電池ケース14、電池ケース14を封口すると共に、正極端子として機能する封口板15、電池ケース14と封口板15との間に介在するように配置され、これらを絶縁するガスケット16、正極3の正極集電体と封口板15とを導通する正極リード10、負極4の負極集電体20と電池ケース14とを導通する負極リード11、並びに、電極群2の長手方向両端にそれぞれ装着される上部絶縁板12及び下部絶縁板13を備えている。
まず、電極群2の構成について説明する。図1に示すように、電極群2は、正極活物質層表面に膨潤性被膜6を有する正極3と、負極4と、これらの間に介在させたセパレータ5と、を積層した層構成を有する。膨潤性被膜6は、非水電解液に対する膨潤度が高い易膨潤性樹脂からなる樹脂被膜である。また、図2に示すように、負極4は、複数の凸部21を有する負極集電体20と、凸部21に支持された複数の柱状の合金系活物質23(以下「柱状体23」とする)を備える。
膨潤性被膜6は、正極3の正極活物質層の表面に形成され、非水電解液に対する膨潤度が10%以上である易膨潤性樹脂からなり、リチウムイオン伝導性を有している。このような膨潤性被膜6は、例えば、前述の易膨潤性樹脂を有機溶媒に溶解して塗液を調製し、この塗液を正極活物質層の表面に塗布し、得られた塗膜を乾燥させることにより形成できる。塗布方法としては特に限定されず、例えば、スクリーンコート、ダイコート、コンマコート、ローラコート、バーコート、グラビアコート、カーテンコート、スプレーコート、エアーナイフコート、リバースコート、ディップコート、ディップスクイズコート等が挙げられる。また、前記塗液における易膨潤性樹脂の濃度、前記塗液に用いられる有機溶媒の種類、前記塗液の液温等を選択することにより、所望の厚みを有する膨潤性被膜6を形成できる。
本明細書において、非水電解液に対する膨潤度は、次のようにして測定される。まず、樹脂を有機溶媒に溶解させて樹脂溶液を調製し、この樹脂溶液を平坦なガラス表面に塗布し、得られた塗膜を乾燥させて厚み50μm〜100μmのシートを作製する。このシートを30mm×30mmに切り出し、試料とする。密閉容器内にて、前記で得られた試料を、リチウムイオン二次電池1で用いられる非水電解液に25℃で24時間浸漬する。そして、非水電解液への浸漬前の試料の質量(X)に対する、非水電解液への浸漬後の試料の質量(Y)の増加率として、下記式に従い膨潤度を求める。
膨潤度(%)={(Y−X)/X}×100
膨潤度(%)={(Y−X)/X}×100
リチウムイオン二次電池1においては、非水電解液に対する膨潤度が10%以上である易膨潤性樹脂からなる膨潤性被膜6を、正極3の正極活物質層表面に形成することにより、リチウムイオン二次電池1内での非水電解液の液回りのバランスを良好に保つことができる。特に、放電により負極4の非水電解液を保持する能力が高まった場合でも、非水電解液が負極4に偏在することなく、正極3にも非水電解液が行き渡る。これにより、放電末期及び充電初期に、リチウムイオンが正極3から円滑に放出され、正極活物質層の構造の乱れ及び正極3の劣化が抑制される。その結果、リチウムイオン二次電池1のサイクル特性が更に向上する。
本実施形態の易膨潤性樹脂の非水電解液に対する膨潤度(以下単に「易膨潤性樹脂の膨潤度」とする)は、20%〜200%の範囲にあることが好ましく、50%〜160%の範囲にあることが更に好ましい。
易膨潤性樹脂の膨潤度が10%未満である場合は、膨潤性被膜6による非水電解液の保持能力が低下し、放電末期及び充電初期に負極4に非水電解液が偏在するのを十分に抑制できず、正極3が液枯れ状態になるおそれがある。一方、易膨潤性樹脂の膨潤度が大きくなり過ぎた場合は、膨潤性被膜6がゲル化することにより、セパレータ5が目詰まりを起こすおそれがある。この場合、正極3への非水電解液の液回りが不十分になり、リチウムイオン二次電池1のサイクル特性が低下するおそれがある。
易膨潤性樹脂としては、膨潤度が10%以上であり、非水電解液との接触によりリチウムイオン伝導性を示すようになる樹脂であれば特に限定なく使用できるが、フッ化ビニリデンとヘキサフルオロプロピレンとの共重合体、テトラフルオロエチレンとヘキサフルオロプロピレンとの共重合体等が好ましい。これらの共重合体において、ヘキサフルオロプロピレン単位の含有割合を、共重合体全量の2質量%〜50質量%とすることにより、膨潤度が10%以上の易膨潤性樹脂である共重合体を得ることができる。
ヘキサフルオロプロピレン単位の含有割合が少なすぎると、膨潤性被膜6による非水電解液の保持能力が低下し、放電初期及び充電初期に非水電解液が負極4に偏在するのを十分に抑制できず、正極3が液枯れ状態になるおそれがある。一方、ヘキサフルオロプロピレン単位の含有割合が多すぎると、膨潤性被膜6がゲル化することにより、膨潤性被膜6が正極活物質層表面に確実に付着した状態が得られず、セパレータ5の目詰まり等が生じる。この場合、正極3への非水電解液の液回りが不十分になり、リチウムイオン二次電池1のサイクル特性が低下するおそれがある。
ヘキサフルオロプロピレン単位の含有割合は、共重合体全量の5質量%〜35質量%であることが更に好ましい。これにより、正極3と膨潤性被膜6との積層体による非水電解液の保持能力と、負極4による非水電解液との保持能力と、の差が非常に小さくなる。その結果、正極3に行き渡る非水電解液の量が増加し、リチウムイオン二次電池1内における非水電解液の液回り性が更に向上し、リチウムイオン二次電池1のサイクル特性が顕著に向上する。
このような易膨潤性樹脂は、数平均分子量が1万〜200万の範囲から選択されるのが好ましく、数平均分子量が10万〜100万の範囲から選択されるのが更に好ましい。これにより、膨潤性被膜6と正極活物質層表面との接着性が向上し、充放電を繰り返した場合でも、膨潤性被膜6の正極活物質層表面からの剥離等が抑制される。
数平均分子量が小さすぎると、易膨潤性樹脂の非水電解液を保持する能力が小さくなり、易膨潤性樹脂を用いる効果が充分に発揮されないおそれがある。数平均分子量が大きすぎると、膨潤性被膜6のリチウムイオン伝導性が低下し、リチウムイオン二次電池1の負荷特性等が低下するおそれがある。
膨潤性被膜6の厚みは特に限定されないが、好ましくは0.1μm〜20μm、さらに好ましくは1μm〜10μmである。これにより、非水電解液の保持性と、リチウムイオン伝導性と、をバランス良く併せ持った膨潤性被膜6が得られる。膨潤性被膜6の厚みが小さすぎると、正極3と膨潤性被膜6との積層体による非水電解液の保持能力が低下するおそれがある。また、膨潤性被膜6の機械的強度が低下し、膨潤性被膜6の正極活物質層表面からの剥離等が発生するおそれがある。膨潤性被膜6の厚みが大きすぎると、膨潤性被膜6のリチウムイオン伝導性が低下し、電池1の負荷特性等が低下するおそれがある。
正極3は、図示しない、正極集電体と、正極集電体の両方の表面に形成される正極活物質層とを含み、各正極活物質層の表面に前述の膨潤性被膜6を有する。
正極集電体としては、アルミニウム、アルミニウム合金、ステンレス鋼、チタン等の金属材料からなる金属箔等を使用できる。前記金属材料の中でも、アルミニウム及びアルミニウム合金が好ましい。正極集電体の厚みは特に限定されないが、好ましくは10μm〜30μmである。本実施形態では、正極集電体は帯状である。
正極集電体としては、アルミニウム、アルミニウム合金、ステンレス鋼、チタン等の金属材料からなる金属箔等を使用できる。前記金属材料の中でも、アルミニウム及びアルミニウム合金が好ましい。正極集電体の厚みは特に限定されないが、好ましくは10μm〜30μmである。本実施形態では、正極集電体は帯状である。
正極活物質層は、本実施形態では正極集電体の両方の表面に設けられているが、片方の表面に設けられてもよい。正極活物質層は、正極活物質、結着剤及び導電剤を含有する。正極活物質層は、例えば、正極合剤スラリーを正極集電体の表面に塗布し、得られた塗膜を乾燥及び圧延することにより形成できる。正極合剤スラリーは、例えば、正極活物質、結着剤及び導電剤と、溶媒と、を混合することにより調製できる。
正極活物質としては、リチウムイオン二次電池用正極活物質を使用できるが、その中でも、リチウム含有複合酸化物及びオリビン型リン酸リチウムが好ましい。
リチウム含有複合酸化物は、リチウムと遷移金属元素とを含む金属酸化物、又は前記金属酸化物中の遷移金属元素の一部が異種元素により置換された金属酸化物である。遷移金属元素としては、Sc、Y、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Cr等が挙げられる。遷移金属元素の中では、Mn、Co、Ni等が好ましい。異種元素としては、Na、Mg、Zn、Al、Pb、Sb、B等が挙げられる。異種元素の中では、Mg、Al等が好ましい。遷移金属元素及び異種元素は、それぞれ、1種を単独で使用でき又は2種以上を組み合わせて使用できる。
リチウム含有複合酸化物の具体例としては、例えば、LiZCoO2、LiZNiO2、LiZMnO2、LiZComNi1-mO2、LiZComM1-mOn、LiZNi1-mMmOn、LiZMn2O4、LiZMn2-mMnO4(前記各式中、MはNa、Mg、Sc、Y、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Al、Cr、Pb、Sb及びBよりなる群から選ばれる少なくとも1種の元素を示す。0<Z≦1.2、0≦m≦0.9、2.0≦n≦2.3である。)等が挙げられる。これらの中でも、LiZComM1-mOnが好ましい。
オリビン型リン酸リチウムの具体例としては、例えば、LiXPO4、Li2XPO4F(前記各式中、XはCo、Ni、Mn及びFeよりなる群から選ばれる少なくとも1種の元素を示す)等が挙げられる。
リチウム含有複合酸化物及びオリビン型リン酸リチウムを示す前記各式において、リチウムのモル数は、これらを作製した直後の値であり、充放電により増減する。正極活物質は1種を単独で使用でき又は2種以上を組み合わせて使用できる。
結着剤としては、ポリテトラフルオロエチレン、ポリフッ化ビニリデン等の樹脂材料、アクリル酸モノマーを含有するスチレンブタジエンゴム(商品名:BM−500B、日本ゼオン(株)製)、スチレンブタジエンゴム(商品名:BM−400B、日本ゼオン(株)製)等のゴム材料等が挙げられる。導電剤としては、アセチレンブラック、ケッチェンブラック等のカーボンブラック類、天然黒鉛、人造黒鉛等の黒鉛類等が挙げられる。結着剤及び導電剤の正極活物質層における含有割合は、例えば、正極3及びリチウムイオン二次電池1の設計等に応じて適宜変更できる。
正極活物質、結着剤及び導電剤と混合する溶媒としては、例えば、N−メチル−2−ピロリドン、テトラヒドロフラン、ジメチルホルムアミド等の有機溶媒、水等を使用できる。
次に、図2を参照しながら、負極4について説明する。負極4は、両方の表面に複数の凸部21を有する負極集電体20と、凸部21の表面に支持された複数の柱状体23を含む負極活物質層22と、を備える。本実施形態では、1つの凸部21に1つの柱状体23が形成されている。
柱状体23は、凸部21表面に支持され、凸部21表面から負極集電体20の外方に延びる。互いに隣り合う一対の柱状体23間には、空隙24が存在する。この空隙24により、合金系活物質の体積変化に伴って発生する応力が緩和される。その結果、柱状体23の凸部21からの剥離、負極集電体20及び負極4の変形等が抑制される。また、このような負極4は、放電時に柱状体23が収縮することにより、隣り合う一対の柱状体23の間に存在する空隙24の体積が著しく大きくなり、非水電解液を吸収する。
負極集電体20は、銅、銅合金、ステンレス鋼、ニッケル等の金属材料からなる金属箔であり、両方の表面に複数の凸部21を有している。負極集電体20の凸部21が形成されていない部分の厚みは、好ましくは5μm〜50μmである。なお、本実施形態の負極集電体20は、両方の表面に凸部21を有しているが、片方の表面のみに凸部21を有していてもよい。また、本実施形態では、負極集電体20は帯状である。
柱状体23を構成する合金系活物質は、リチウムと合金化することによりリチウムを吸蔵し、負極電位下でリチウムイオンを可逆的に吸蔵及び放出する物質である。合金系活物質は、非晶質又は低結晶性であることが好ましい。合金系活物質としてはリチウムイオン二次電池用合金系活物質を使用できるが、珪素系活物質及び錫系活物質が好ましい。合金系活物質は1種を単独で使用でき又は2種以上を組み合わせて使用できる。
珪素系活物質としては、珪素、珪素化合物、部分置換体等が挙げられる。
珪素化合物としては、式SiOa(0.05<a<1.95)で表される珪素酸化物、式SiCb(0<b<1)で表される珪素炭化物、式SiNc(0<c<4/3)で表される珪素窒化物、珪素と異種元素(A)との合金等が挙げられる。異種元素(A)としては、Fe、Co、Sb、Bi、Pb、Ni、Cu、Zn、Ge、In、Sn、Ti等が挙げられる。また、部分置換体は、珪素及び珪素化合物に含まれる珪素原子の一部が、異種元素(B)で置換された化合物である。異種元素(B)の具体例としては、B、Mg、Ni、Ti、Mo、Co、Ca、Cr、Cu、Fe、Mn、Nb、Ta、V、W、Zn、C、N、Sn等が挙げられる。これらの中では、珪素及び珪素酸化物が好ましい。
珪素化合物としては、式SiOa(0.05<a<1.95)で表される珪素酸化物、式SiCb(0<b<1)で表される珪素炭化物、式SiNc(0<c<4/3)で表される珪素窒化物、珪素と異種元素(A)との合金等が挙げられる。異種元素(A)としては、Fe、Co、Sb、Bi、Pb、Ni、Cu、Zn、Ge、In、Sn、Ti等が挙げられる。また、部分置換体は、珪素及び珪素化合物に含まれる珪素原子の一部が、異種元素(B)で置換された化合物である。異種元素(B)の具体例としては、B、Mg、Ni、Ti、Mo、Co、Ca、Cr、Cu、Fe、Mn、Nb、Ta、V、W、Zn、C、N、Sn等が挙げられる。これらの中では、珪素及び珪素酸化物が好ましい。
錫系活物質としては、錫、錫化合物、式SnOd(0<d≦2)で表される錫酸化物、錫窒化物、Ni−Sn合金、Mg−Sn合金、Fe−Sn合金、Cu−Sn合金、Ti−Sn合金等の錫合金、SnSiO3、Ni2Sn4、Mg2Sn等の錫化合物等が挙げられる。錫系活物質の中では、錫酸化物、錫合金、錫化合物等が好ましい。
本実施形態のリチウムイオン二次電池1は、必要に応じて、負極活物質層22の表面に、膨潤度が2%以上50%未満あり、且つ、膨潤性被膜6を構成する易膨潤性樹脂よりも膨潤度が小さい難膨潤性樹脂(以下単に「難膨潤性樹脂」とする)からなる被膜(以下「難膨潤性被膜」とする)を有していてもよい。
負極活物質層22の表面に難膨潤性被膜を積層することにより、正極3と膨潤性被膜6との積層体の非水電解液の保持能力と、負極4と難膨潤性被膜との積層体の非水電解液の保持能力と、の差が少なくなる。その結果、リチウムイオン二次電池1内での非水電解液の液回り性が更に向上し、充電初期でも、正極3内に非水電解液が十分に行き渡り、正極3の劣化が更に抑制される。これにより、リチウムイオン二次電池1のサイクル特性を顕著に向上させることができる。
難膨潤性被膜は、負極活物質層22の表面に形成される。難膨潤性被膜は、易膨潤性樹脂に代えて難膨潤性樹脂を用いる以外は、膨潤性被膜6と同様にして形成できる。難膨潤性樹脂としては、膨潤度が2%以上50%未満の範囲にあり、且つ、膨潤度が易膨潤性樹脂よりも小さいと共に、非水電解液との接触によりリチウムイオン伝導性を示すようになる樹脂であれば特に限定されないが、ヘキサフルオロプロピレンとフッ化ビニリデンとの共重合体、ヘキサフルオロプロピレンとテトラフルオロエチレンとの共重合体等を好ましく使用できる。これらの共重合体において、ヘキサフルオロプロピレン単位の含有割合は、10質量%以下であることが好ましい。
ヘキサフルオロプロピレン単位の含有割合が多すぎると、得られる共重合体の膨潤度が10%以上になり、難膨潤性被膜を形成する効果が得られなくなるおそれがある。
難膨潤性被膜の厚みは特に限定されないが、0.01μm〜10μmの範囲から選択するのが好ましい。難膨潤性被膜の厚みが小さすぎると、難膨潤性被膜の機械的強度や負極活物質層22に対する接着力等が低下することにより、負極活物質層22の膨張及び収縮に伴って、難膨潤性被膜が負極活物質層22の表面から剥離するおそれがある。その結果、難膨潤性被膜を形成する効果が得られなくなるおそれがある。また、難膨潤性被膜の厚みが大きすぎると、難膨潤性樹脂のリチウムイオン伝導性が低下し、リチウムイオン二次電池1の負荷特性等が低下するおそれがある。
負極集電体20は、例えば、ローラ加圧法により作製できる。ローラ加圧法によれば、表面に複数の凹部が形成された凸部用ローラ2本を、これらの軸線が平行になるように圧接させて圧接部を形成し、この圧接部に金属箔を通過させて加圧成形することにより、前記凹部の内部空間の形状及び寸法にほぼ対応する形状及び寸法を有する凸部21が、凸部用ローラ表面における凹部の配置に対応する配置で、金属箔の両方の表面に形成され、負極集電体20が得られる。なお、凸部21と柱状体23との接合強度を更に高めるために、めっき等により粗面化処理した金属箔を圧接部に通過させてもよい。ここで使用する凸部用ローラは、例えば、少なくとも表層部に鍛鋼からなる層を有するローラの表面に、レーザ加工で凹部を形成することにより作製できる。
凸部21は、負極集電体20の表面20aから外方に向けて延びる突起物である。本実施形態の複数の凸部21は、表面20aに千鳥配置されているが、それに限定されず、最密充填配置、格子配置、碁盤目配置等でもよい。更に、不規則に配置されていてもよい。
凸部21の高さ及び幅は、負極4の断面において、それぞれ、凸部21の最先端点から表面20aに降ろした垂線の長さ及び表面20aに平行な方向における凸部21の最大長さである。凸部21の高さは、好ましくは3μm〜15μmである。凸部21の幅は、好ましくは5μm〜50μmである。凸部21の高さ及び幅は、負極4の断面を走査型電子顕微鏡で観察し、例えば100個の凸部21の高さ及び幅をそれぞれ測定し、得られた測定値の平均値として求めることができる。
負極集電体20の鉛直方向上方からの正投影図における凸部21の形状としては、例えば、菱形、3角形〜8角形の多角形、平行四辺形、台形、円形、楕円形等が挙げられる。
更に、凸部21は、先端部分にほぼ平面状の頂部を有する。この頂部は、表面20aにほぼ平行である。
更に、凸部21は、先端部分にほぼ平面状の頂部を有する。この頂部は、表面20aにほぼ平行である。
凸部21の個数は、好ましくは1万個/cm2〜1000万個/cm2である。また、隣り合う凸部21の軸線間距離は、好ましくは5μm〜100μmである。凸部21の軸線は、凸部21の形状が菱形、多角形、平行四辺形、台形又は楕円形である場合、対角線の交点又は長軸と短軸との交点を通り、表面20aに垂直な直線である。凸部21の形状が円形である場合、凸部21の軸線は、円の中心を通り、表面20aに垂直な直線である。
複数の柱状体23は、気相法により、複数の凸部21表面に同時に形成できる。気相法としては、例えば、真空蒸着法、スパッタ法、イオンプレーティング法、レーザアブレーション法、化学気相成長法、プラズマ化学気相成長法、溶射法等が挙げられる。これらの中でも、真空蒸着法が好ましい。
図3は、柱状体23の構成を模式的に示す縦断面図である。柱状体23は、真空蒸着法により、図3に示す塊23a〜23hの積層体として形成されることが好ましい。なお、塊の積層数は8個に限定されず、2個以上の任意の個数の塊を積層できる。
塊23a〜23hの積層体である柱状体23を形成するに際しては、まず、凸部21の表面に支持される塊24aを形成する。次に、凸部21の残りの表面及び塊24aの表面に支持されるように塊24bを形成する。塊24aの残りの表面及び塊24bの表面に支持されるように塊24cを形成する。更に、塊24bの残りの表面及び塊24cの表面に支持されるように塊24dを形成する。以下同様にして、塊24e、24f、24g、24hを交互に積層することにより、柱状体23が得られる。柱状体23の形成方法は、実施例で詳述する。
柱状体23の立体形状としては、例えば、円柱状、角柱状、紡錘状等が挙げられる。
柱状体23の高さ及び幅は、負極4の断面において、それぞれ、柱状体23の最先端点から凸部21の平坦な頂部表面に降ろした垂線の長さ及び表面20aに平行な方向の柱状体23の最大長さである。柱状体23の高さは好ましくは3μm〜30μmであり、柱状体23の幅は好ましくは3μm〜30μmである。柱状体23の高さ及び幅は、凸部21の高さ及び幅と同様にして、負極4の断面を走査型電子顕微鏡で観察することにより求めることができる。
柱状体23の高さ及び幅は、負極4の断面において、それぞれ、柱状体23の最先端点から凸部21の平坦な頂部表面に降ろした垂線の長さ及び表面20aに平行な方向の柱状体23の最大長さである。柱状体23の高さは好ましくは3μm〜30μmであり、柱状体23の幅は好ましくは3μm〜30μmである。柱状体23の高さ及び幅は、凸部21の高さ及び幅と同様にして、負極4の断面を走査型電子顕微鏡で観察することにより求めることができる。
正極3と負極4との間に配置されるセパレータ5としては、細孔を有する多孔質シート、樹脂繊維の不織布、樹脂繊維の織布等を使用できる。これらの中でも、多孔質シートが好ましく、細孔径が0.05μm〜0.15μm程度である多孔質シートが更に好ましい。多孔質シート及び樹脂繊維を構成する樹脂材料としては、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン、ポリアミド、ポリアミドイミド等が挙げられる。セパレータ5の厚みは、好ましくは、5μm〜30μmである。本実施形態のセパレータ5は、帯状である。
主に電極群2に含浸される非水電解液は、リチウム塩と、非水溶媒と、を含有する。リチウム塩としては、LiPF6、LiClO4、LiBF4、LiAlCl4、LiSbF6、LiSCN、LiAsF6、LiB10Cl10、LiCl、LiBr、LiI、LiCO2CF3、LiSO3CF3、Li(SO3CF3)2、LiN(SO2CF3)2、リチウムイミド塩等が挙げられる。リチウム塩は1種を単独で使用でき又は2種以上を組み合わせて使用できる。非水溶媒1L中のリチウム塩の濃度は、好ましくは0.2モル〜2モル、更に好ましくは0.5モル〜1.5モルである。
非水溶媒としては、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ブチレンカーボネート等の環状炭酸エステル、ジメチルカーボネート、エチルメチルカーボネート、ジエチルカーボネート等の鎖状炭酸エステル、1,2−ジメトキシエタン、1,2−ジエトキシエタン等の鎖状エーテル、γ−ブチロラクトン、γ−バレロラクトン等の環状カルボン酸エステル、酢酸メチル等の鎖状エステル等が挙げられる。非水溶媒は、1種を単独で使用でき又は2種以上を組み合わせて使用できる。
リチウムイオン二次電池1を作製するに際しては、まず、正極リード10及び負極リード11の両端を、それぞれ所定の位置に溶接する。そして、電極群2に上部絶縁板12及び下部絶縁板13を装着した後、電池ケース14に電極群2を収容し、更に非水電解液を注液する。次に、電池ケース14の開口部に、ガスケット16及び封口板15を順次装着し、電池ケース14の開口端部を封口板15に向けてかしめることにより、電池ケース14を封口する。これにより、リチウムイオン二次電池1が得られる。
正極リード10としては、例えば、アルミニウムリード等を使用できる。負極リード11としては、例えば、ニッケルリード、銅リード等を使用できる。電池ケース14及び封口板15としては、例えば、鉄、ステンレス鋼等の金属材料を所定の形状に成形したものを使用できる。上部絶縁板12、下部絶縁板13及びガスケット16としては、例えば、樹脂材料、ゴム材料等の絶縁性材料を所定の形状に成形したものを使用できる。
本実施形態のリチウムイオン二次電池1は、電極群2を備える円筒型電池であるが、それに限定されず、各種形態を採ることができる。前記形態としては、例えば、電極群2や非水電解液等を収容した電池ケースを、正極端子を支持する絶縁材料製の封口板により封口した円筒型電池、電極群2又は積層型電極群を角型電池ケースに収容した角型電池、電極群2を加圧して扁平状に成形した扁平状電極群を角型電池ケースに収容した角型電池、電極群2又は扁平状電極群又は積層型電極群をラミネートフィルム製電池ケースに収容したラミネートフィルム電池、積層型電極群をコイン型電池ケースに収容したコイン型電池等が挙げられる。
以下に実施例及び比較例を挙げ、本発明を具体的に説明する。
(実施例1)
(a)正極の作製
正極活物質(LiNi0.80Co0.15Al0.05O2)95質量部、黒鉛粉末3質量部及びポリフッ化ビニリデン2質量部を、適量のN−メチル−2−ピロリドンと混合し、正極合剤スラリーを調製した。得られた正極合剤スラリーを、厚み15μmのアルミニウム箔(正極集電体)の両面に塗布し、得られた塗膜を乾燥及び圧延し、厚み128μmの正極を作製した。
(実施例1)
(a)正極の作製
正極活物質(LiNi0.80Co0.15Al0.05O2)95質量部、黒鉛粉末3質量部及びポリフッ化ビニリデン2質量部を、適量のN−メチル−2−ピロリドンと混合し、正極合剤スラリーを調製した。得られた正極合剤スラリーを、厚み15μmのアルミニウム箔(正極集電体)の両面に塗布し、得られた塗膜を乾燥及び圧延し、厚み128μmの正極を作製した。
(b)膨潤性被膜の作製
フッ化ビニリデンとヘキサフルオロプロピレンとの共重合体(ヘキサフルオロプロピレン単位の含有割合:12質量%、膨潤度:115%、数平均分子量:40万、以下「VDF−HFP共重合体(1)」とする)をジメチルカーボネート(DMC)に溶解し、VDF−HFP共重合体(1)の3質量%DMC溶液を調製した。この溶液を液温85℃に加熱した後、上記で得られた正極の正極活物質層の表面にローラコートにより塗布し、100℃で10分間真空乾燥し、厚み4μmの膨潤性被膜を形成した。
フッ化ビニリデンとヘキサフルオロプロピレンとの共重合体(ヘキサフルオロプロピレン単位の含有割合:12質量%、膨潤度:115%、数平均分子量:40万、以下「VDF−HFP共重合体(1)」とする)をジメチルカーボネート(DMC)に溶解し、VDF−HFP共重合体(1)の3質量%DMC溶液を調製した。この溶液を液温85℃に加熱した後、上記で得られた正極の正極活物質層の表面にローラコートにより塗布し、100℃で10分間真空乾燥し、厚み4μmの膨潤性被膜を形成した。
上記で得られた正極と膨潤性被膜との積層体を、14400円筒型電池(直径約14mm、高さ約40mm)の電池ケースに挿入可能な幅に裁断し、正極板を作製した。
(c)負極の作製
(c−1)負極集電体20の作製
表面に複数の凹部が千鳥格子状に配置された鍛鋼ローラ2本を、それぞれの軸線が平行になるように圧接させ、ニップ部を形成した。ローラ表面における凹部の開口部分の形状は、ほぼ菱形であった。
(c−1)負極集電体20の作製
表面に複数の凹部が千鳥格子状に配置された鍛鋼ローラ2本を、それぞれの軸線が平行になるように圧接させ、ニップ部を形成した。ローラ表面における凹部の開口部分の形状は、ほぼ菱形であった。
厚み26μmの合金銅箔(商品名:HCL02Z、日立電線(株)製)の両面に、電解めっきにより粗面化処理を施し、複数の銅粒子(粒径約1μm)を形成した。粗面化処理後の合金銅箔の表面粗さRzは、1.5μmであった。表面粗さRzは日本工業規格(JISB 0601―1994)に定められた十点平均粗さRzを指す。この銅箔を、上記の鍛鋼ローラ2本によって形成されたニップ部に、線圧1000N/cmで通過させることにより、両方の表面に複数の凸部21が形成された負極集電体20を作製した。
複数の凸部21は、平均高さが8μmであり、千鳥格子状に配置されていた。また、凸部21の先端部分は、負極集電体20の表面20aにほぼ平行な平面であった。また、負極集電体20の鉛直方向上方からの正投影図において、凸部21の形状はほぼ菱形であった。また、凸部21の軸線間距離は、負極集電体の長手方向では25μm、幅方向では20μmであった。
(c−2)負極活物質層の形成
図4は、真空蒸着装置40(以下「蒸着装置40」とする)の構成を模式的に示す側面透視図である。蒸着装置40を用い、上記で得られた負極集電体20の複数の凸部21の表面に、それぞれ柱状体23を形成し、負極4を作製した。
図4は、真空蒸着装置40(以下「蒸着装置40」とする)の構成を模式的に示す側面透視図である。蒸着装置40を用い、上記で得られた負極集電体20の複数の凸部21の表面に、それぞれ柱状体23を形成し、負極4を作製した。
蒸着装置40は、負極集電体20が予め巻き付けられた送り出しローラ41と、負極集電体20を巻き取りローラ44まで誘導する搬送ローラ42a、42b、42c、42d、42e、42fと、合金系活物質の原料を収容する蒸着源43a、43bと、表面に合金系活物質を蒸着させた負極集電体20を巻き取る巻き取りローラ44と、合金系活物質の蒸気の負極集電体20表面への供給領域を規制する一対の遮蔽板45a、45bと、酸素を供給する酸素ノズル46a、46bと、これらを収容するチャンバ47と、チャンバ47内を減圧状態にする真空ポンプ48と、蒸着源43a、43bに収容された合金系活物質の原料に電子ビームを照射して、合金系活物質の原料の蒸気を発生させる電子ビーム照射装置(不図示)と、を備えている。
蒸着装置40では、送り出しローラ41と搬送ローラ42aとの間に第1蒸着領域50aが形成され、搬送ローラ42aと搬送ローラ42bとの間に第2蒸着領域50bが形成され、搬送ローラ42eと搬送ローラ42fとの間に第3蒸着領域50cが形成され、搬送ローラ42fと巻き取りローラ44との間に第4蒸着領域50dが形成される。
まず、合金系活物質原料としては、シリコン単結晶(純度99.9999%、信越化学工業(株)製)を用い、これを蒸発源43a、43bに収容した。チャンバ47内を真空ポンプ48により5×10-3Paまで排気した後、酸素ノズル46a、46bからチャンバ47内に酸素を供給し、圧力3.5Paの酸素雰囲気とした。次に、蒸発源43a、43bに収容されたスクラップシリコンに電子ビーム(加速電圧:10kV、エミッション:500mA)を照射し、シリコン蒸気を発生させた。シリコン蒸気が上昇する途中で酸素と混ざり合い、シリコン蒸気と酸素との混合気体を生成させた。
一方、負極集電体20を送り出しローラ41から送給速度2cm/分で送り出し、蒸着領域50aを走行する負極集電体20の一方の表面に形成された凸部21表面に、シリコン蒸気と酸素との混合物を蒸着させ、図3に示す塊23aを形成した。次に、蒸着領域50bを走行する負極集電体20の凸部21の表面及び塊23aの表面に塊23bを形成した。次に、負極集電体20の他方の表面に形成された凸部21表面に、第3蒸着領域50cにて塊23aを形成し、第4蒸着領域50dにて塊23bを形成した。負極集電体20が巻き取られた巻取りローラ44を、送り出しローラ41に付け替え、前記と同様にして、負極集電体20の両面において、塊23bの表面に塊23c、23dを積層した。以下、同じ操作を2回繰返し、負極集電体20の両面の凸部21表面に、塊23a、23b、23c、23d、23e、23f、23g、23hの積層体である柱状体23を形成した。こうして負極4を作製した。
柱状体23は、凸部21の表面により支持され、負極集電体20の外方に延びるように成長していた。1個の凸部21に1個の柱状体23が形成されていた。柱状体23は、ほぼ円柱状の立体形状を有していた。柱状体23の平均高さは16μm、平均幅は30μmであった。また、柱状体23に含まれる酸素量を燃焼法により定量したところ、柱状体の組成はSiO0.4であった。
上記で得られた負極4の両面の負極活物質層にリチウムを蒸着し、不可逆容量分のリチウムを補填した。リチウム蒸着後の負極4を、14400円筒型電池(直径約14mm、高さ約40mm)の電池ケースに挿入可能な幅に裁断し、負極板を作製した。
(d)非水電解液の調製
エチレンカーボネート、エチルメチルカーボネート及びジメチルカーボネートを体積比1:1:8で混合し、得られた混合溶媒に、LiPF6を1.2mol/Lの濃度で溶解させ、更に混合溶媒100質量部に対して添加剤としてフルオロエチレンカーボネート10質量部を添加し、非水電解液を調製した。
エチレンカーボネート、エチルメチルカーボネート及びジメチルカーボネートを体積比1:1:8で混合し、得られた混合溶媒に、LiPF6を1.2mol/Lの濃度で溶解させ、更に混合溶媒100質量部に対して添加剤としてフルオロエチレンカーボネート10質量部を添加し、非水電解液を調製した。
(e)電池の組み立て
正極活物質層の表面に膨潤性被膜を有する正極板と、負極板との間に、厚み20μmのセパレータ(商品名:ハイポア、ポリエチレン製多孔質膜、旭化成(株)製)を介在させてこれらを捲回し、捲回型電極群を作製した。正極板にアルミニウムリードの一端を接続し、負極板にニッケルリードの一端を接続した。捲回型電極群の長手方向両端にポリプロピレン製の上部絶縁板及び下部絶縁板をそれぞれ装着した。次に、この捲回型電極群を、有底円筒型の鉄製電池ケースに収容すると共に、アルミニウムリードの他端をステンレス鋼製封口板に接続し、ニッケルリードの他端を電池ケースの底部内面に接続した。
正極活物質層の表面に膨潤性被膜を有する正極板と、負極板との間に、厚み20μmのセパレータ(商品名:ハイポア、ポリエチレン製多孔質膜、旭化成(株)製)を介在させてこれらを捲回し、捲回型電極群を作製した。正極板にアルミニウムリードの一端を接続し、負極板にニッケルリードの一端を接続した。捲回型電極群の長手方向両端にポリプロピレン製の上部絶縁板及び下部絶縁板をそれぞれ装着した。次に、この捲回型電極群を、有底円筒型の鉄製電池ケースに収容すると共に、アルミニウムリードの他端をステンレス鋼製封口板に接続し、ニッケルリードの他端を電池ケースの底部内面に接続した。
次に、減圧方式により、電池ケースの内部に非水電解質を注液した。安全弁を支持した封口板の周縁部にポリプロピレン製ガスケットを装着し、この状態で、封口板を電池ケースの開口に装着した。電池ケースの開口端部を封口板に向けてかしめることにより、電池ケースを気密封口した。こうして、外径14mm、高さ40mmである円筒型のリチウムイオン二次電池を作製した。
(実施例2)
VDF−HFP共重合体(1)に代えて、VDF−HFP共重合体(2)を用いる以外は、実施例1と同様にして、円筒型リチウムイオン二次電池を作製した。なお、VDF−HFP共重合体(2)は、HFP含有割合:6質量%、膨潤度:70%、数平均分子量:80万であった。
VDF−HFP共重合体(1)に代えて、VDF−HFP共重合体(2)を用いる以外は、実施例1と同様にして、円筒型リチウムイオン二次電池を作製した。なお、VDF−HFP共重合体(2)は、HFP含有割合:6質量%、膨潤度:70%、数平均分子量:80万であった。
(実施例3)
負極活物質層の表面に、下記のようにして難膨潤性被膜を形成する以外は、実施例1と同様にして、円筒型リチウムイオン二次電池を作製した。
負極活物質層の表面に、下記のようにして難膨潤性被膜を形成する以外は、実施例1と同様にして、円筒型リチウムイオン二次電池を作製した。
[難膨潤性被膜の作製]
ポリフッ化ビニリデン(膨潤度:6.5%、数平均分子量:40万)をN−メチル−2−ピロリドンに溶解し、ポリフッ化ビニリデンの2質量%N−メチル−2−ピロリドン溶液(以下「PVDF溶液」とする)を調製した。実施例1と同様にして作製され、更に不可逆容量分のリチウムが補填された負極の負極活物質層表面に、前記で得られたPVDF溶液をローラコートにより塗布し、85℃で10分間真空乾燥し、厚み約0.1μmの難膨潤性被膜を形成した。
ポリフッ化ビニリデン(膨潤度:6.5%、数平均分子量:40万)をN−メチル−2−ピロリドンに溶解し、ポリフッ化ビニリデンの2質量%N−メチル−2−ピロリドン溶液(以下「PVDF溶液」とする)を調製した。実施例1と同様にして作製され、更に不可逆容量分のリチウムが補填された負極の負極活物質層表面に、前記で得られたPVDF溶液をローラコートにより塗布し、85℃で10分間真空乾燥し、厚み約0.1μmの難膨潤性被膜を形成した。
(比較例1)
正極の正極活物質層表面に膨潤性被膜を形成しない以外は、実施例1と同様にして、円筒型リチウムイオン二次電池を作製した。
正極の正極活物質層表面に膨潤性被膜を形成しない以外は、実施例1と同様にして、円筒型リチウムイオン二次電池を作製した。
(比較例2)
VDF−HFP共重合体(1)に代えて、ポリフッ化ビニリデン(膨潤度:6.5%、数平均分子量:40万)を用いる以外は、実施例1と同様にして、円筒型リチウムイオン二次電池を作製した。
VDF−HFP共重合体(1)に代えて、ポリフッ化ビニリデン(膨潤度:6.5%、数平均分子量:40万)を用いる以外は、実施例1と同様にして、円筒型リチウムイオン二次電池を作製した。
[電池容量]
実施例1〜3及び比較例1〜2の電池を、それぞれ20℃の恒温槽に収容し、以下の充放電条件で充電(定電流充電及びそれに続く定電圧充電)及び放電(定電流放電)の充放電を3サイクル繰返し、3回目の放電容量(0.2C容量)を求め、電池容量(mAh)とした。結果を表1に示す。
実施例1〜3及び比較例1〜2の電池を、それぞれ20℃の恒温槽に収容し、以下の充放電条件で充電(定電流充電及びそれに続く定電圧充電)及び放電(定電流放電)の充放電を3サイクル繰返し、3回目の放電容量(0.2C容量)を求め、電池容量(mAh)とした。結果を表1に示す。
定電流充電:充電電流0.7C、充電終止電圧4.2V。
定電圧充電:充電電圧4.2V、充電終止電流0.05C、休止時間20分。
定電流放電:放電電流0.2C、放電終止電圧2.5V、休止時間20分。
定電圧充電:充電電圧4.2V、充電終止電流0.05C、休止時間20分。
定電流放電:放電電流0.2C、放電終止電圧2.5V、休止時間20分。
[サイクル特性]
実施例1〜3及び比較例1〜2の電池を、それぞれ20℃の恒温槽に収容し、電池容量評価と同じ充放電条件で1サイクルの充放電を行い、1サイクル放電容量を求めた。その後、定電流放電の電流値を0.2Cから1Cに変更する以外は、1サイクル目と同じ充放電条件で198サイクルの充放電を行った。次に、1サイクル目と同じ充放電条件で充放電を行い、200サイクル放電容量を求めた。1サイクル放電容量に対する200サイクル放電容量の百分率として、容量維持率(%)を求めた。結果を表1に示す。
実施例1〜3及び比較例1〜2の電池を、それぞれ20℃の恒温槽に収容し、電池容量評価と同じ充放電条件で1サイクルの充放電を行い、1サイクル放電容量を求めた。その後、定電流放電の電流値を0.2Cから1Cに変更する以外は、1サイクル目と同じ充放電条件で198サイクルの充放電を行った。次に、1サイクル目と同じ充放電条件で充放電を行い、200サイクル放電容量を求めた。1サイクル放電容量に対する200サイクル放電容量の百分率として、容量維持率(%)を求めた。結果を表1に示す。
表1から、正極の正極活物質層表面に膨潤性被膜を形成することにより、電池のサイクル特性が向上し、充放電サイクル回数が増加しても、サイクル特性の急激な低下が抑制されることが判る。更に、表1の実施例3から、正極の正極活物質層表面に膨潤性被膜を形成すると共に、負極の負極活物質層表面に難膨潤性被膜を形成することにより、電池のサイクル特性が一層向上することが判る。
本発明のリチウムイオン二次電池は、従来のリチウムイオン二次電池と同様の用途に使用でき、特に、電子機器、電気機器、工作機器、輸送機器、電力貯蔵機器等の主電源又は補助電源として有用である。電子機器には、パーソナルコンピュータ、携帯電話、モバイル機器、携帯情報端末、携帯用ゲーム機器等がある。電気機器には、掃除機、ビデオカメラ等がある。工作機器には、電動工具、ロボット等がある。輸送機器には、電気自動車、ハイブリッド電気自動車、プラグインHEV、燃料電池自動車等がある。電力貯蔵機器には、無停電電源等がある。
1 リチウムイオン二次電池
2 捲回型電極群
3 正極
4 負極
5 セパレータ
6 膨潤性被膜
10 正極リード
11 負極リード
12 上部絶縁板
13 下部絶縁板
14 電池ケース
15 封口板
16 ガスケット
20 負極集電体
21 凸部
22 負極活物質層
23 柱状体
24 空隙
40 真空蒸着装置
2 捲回型電極群
3 正極
4 負極
5 セパレータ
6 膨潤性被膜
10 正極リード
11 負極リード
12 上部絶縁板
13 下部絶縁板
14 電池ケース
15 封口板
16 ガスケット
20 負極集電体
21 凸部
22 負極活物質層
23 柱状体
24 空隙
40 真空蒸着装置
Claims (8)
- リチウムイオンの吸蔵及び放出が可能な正極活物質層を備える正極と、複数の柱状の合金系活物質が負極集電体の表面に支持された負極と、前記正極と前記負極との間に介在するセパレータと、非水電解液と、を備えるリチウムイオン二次電池であって、
前記正極活物質層の表面に、前記非水電解液に対する膨潤度が10%以上である易膨潤性樹脂からなる被膜を有することを特徴とするリチウムイオン二次電池。 - 前記易膨潤性樹脂が、ヘキサフルオロプロピレン単位を2質量%〜50質量%含有する、ヘキサフルオロプロピレンとフッ化ビニリデン又はテトラフルオロエチレンとの共重合体である請求項1に記載のリチウムイオン二次電池。
- 前記易膨潤性樹脂からなる前記被膜の厚みが、0.01μm〜20μmの範囲である請求項1又は2に記載のリチウムイオン二次電池。
- 前記負極活物質層の表面に、前記非水電解液に対する膨潤度が2%以上50%未満であり、前記易膨潤性樹脂よりも膨潤度が小さい難膨潤性樹脂からなる被膜を有する請求項1〜3のいずれか1項に記載のリチウムイオン二次電池。
- 前記難膨潤性樹脂が、ヘキサフルオロプロピレン単位を10質量%以下の割合で含有する、ヘキサフルオロプロピレンとフッ化ビニリデン又はテトラフルオロエチレンとの共重合体である請求項4に記載のリチウムイオン二次電池。
- 前記難膨潤性樹脂からなる前記被膜の厚みが、0.01μm〜10μmの範囲である請求項4又は5に記載のリチウムイオン二次電池。
- 前記負極集電体がその表面に複数の凸部を有し、前記柱状の合金系活物質が前記凸部の表面に支持されている請求項1〜6のいずれか1項に記載のリチウムイオン二次電池。
- 前記合金系活物質が、珪素系活物質及び錫系活物質から選ばれる少なくとも1種である請求項1〜7のいずれか1項に記載のリチウムイオン二次電池。
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-
2010
- 2010-06-22 JP JP2010141374A patent/JP2012009152A/ja active Pending
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