JP2012015146A - リニアアクチュエータ制御装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】電磁制御されるリニアアクチュエータが急激に初期状態に復帰する際に、プランジャなどの可動部が、初期状態で当該可動部と当接する部位に与える衝撃を簡単な構造で緩和する。
【解決手段】プランジャの端部が当接部材に当接する位置において駆動力と付勢力とが平衡する際の駆動電流に応じて設定された値を補正電流Icとし、補正電流Ic以下の値に設定された値を基準電流Iaとして、駆動電流の目標値Isが基準電流Ia以下となった場合には、補正電流Icを目標電流Itとして設定し、目標電流Itに基づいて駆動電流を制御する。
【選択図】図4

Description

本発明は、駆動電流に応じて生じる駆動力と当該駆動力に対抗する機械的な付勢力との平衡により軸方向に沿って変位可能であり、前記付勢力が前記駆動力に打ち勝つ際には当接部材に端部が当接する可動部材を有するリニアアクチュエータを制御するリニアアクチュエータ制御装置に関する。
自動車などのバルブ装置の電磁弁を駆動するためにリニアアクチュエータが利用されている。軸方向に変位自在に指示されたプランジャ(可動部材)がコイルの発生する磁力によって軸方向の一方へ駆動されるリニアソレノイドはそのようなリニアアクチュエータの一例である。このようなリニアアクチュエータには、多くの場合リターンスプリングなどが備えられ、このリターンスプリングの付勢力によりプランジャは軸方向の他方側へ付勢されている。コイルに電流を流すことによって生じる磁力によってプランジャはこの付勢力に対抗し、軸方向の一方の側へと駆動される。この状態からコイルに流れる電流が減少し、磁力に対して付勢力が上回ると、プランジャは軸方向の他方側へと戻される。リニアソレノイドを高い応答性で駆動させる場合など、コイルに流れる電流が急激に減少するとプランジャは勢いよく戻るため、他方側の端部に設けられ、プランジャと対向する対向部に衝突する。その結果、プランジャや対向部が消耗し、リニアソレノイドや電磁弁の寿命に影響を与える可能性がある。
これに鑑みて、特開2009−36345号広報(特許文献1)には、以下のような技術が採用されたリニアソレノイドが開示されている(第42〜48段落、図1、図3等)。
(1)プランジャの軸心に、軸方向に貫通し、外部空間と連通するプランジャ呼吸孔が形成されている。
(2)プランジャが対向部(対向壁)に接近した際に、プランジャと対向壁との間に挟まれて軸方向へ弾性変形する金属製の弾性体が備えられている。
(3)この弾性体は、プランジャが対向壁に近づいて弾性変形した際に、プランジャ呼吸孔の開度を絞る(小さくする)ように設けられている。
上記構造により、弾性体が軸方向に変形することによる「変形吸収効果」と、プランジャの後室(プランジャと対向壁との間の空間)の容積変動が抑えられる「ダンパー効果」とが得られる。それらの組み合わせにより、プランジャが対向壁に衝突する際の速度が制限され、衝撃が緩和される。但し、金属プレートをプレス加工して板バネ状の弾性部材を形成し、プランジャの端部に設置する必要があり、リニアソレノイドの構造が複雑になって生産コストや部材コストが上昇し、製品単価にも影響を与える可能性がある。
特開2009−36345号公報
上記背景に鑑み、電磁制御されるリニアアクチュエータが付勢力により急激に初期状態に復帰する際に、プランジャなどの可動部材が、初期状態で当該可動部と当接する部位に与える衝撃を簡単な構造で緩和することが望まれる。
上記課題に鑑みた本発明に係るリニアアクチュエータ制御装置の特徴構成は、駆動電流に応じて生じる駆動力と当該駆動力に対抗する機械的な付勢力との平衡により軸方向に沿って変位可能であり、前記付勢力が前記駆動力に打ち勝つ際には当接部材に端部が当接する可動部材を有するリニアアクチュエータを制御するリニアアクチュエータ制御装置であって、
前記可動部材の目標位置に応じた前記駆動電流の目標値である目標電流に基づいて前記リニアアクチュエータに前記駆動電流を印加させる駆動制御部と、
前記可動部材の端部が前記当接部材に当接する位置において前記駆動力と前記付勢力とが平衡する際の前記駆動電流に応じて設定された値を補正電流とし、当該補正電流以下の値に設定された値を基準電流として、前記駆動電流の前記目標値が前記基準電流以下となった場合には、前記補正電流を前記目標電流として設定する目標電流設定部と、
を備える点にある。
この特徴構成によれば、可動部材の目標位置に応じた駆動電流の目標値が基準以下となった場合には、駆動制御部において駆動電流の制御の目標とされる目標電流の値が、補正電流の値に設定される。補正電流の値は、可動部材の端部が当接部材に当接する位置において駆動力と付勢力とが平衡する際の駆動電流に応じて設定された値である。従って、ステップ応答のように可動部材の目標位置が急激に変動するような場合で、目標電流がゼロとなるような場合であっても、可動部材の端部が当接部材に当接する位置において可動部材が停止するように制御される。即ち、可動部材が当接部材に強い衝撃力で当接することなく、穏やかに当接するように制御される。従って、リニアアクチュエータの機械的な構造を改変することなく、駆動電流の制御によって可動部材が当接部材に与える衝撃を緩和することができる。即ち、本特徴構成によれば、電磁制御されるリニアアクチュエータが付勢力により急激に初期状態に復帰する際に、プランジャなどの可動部材が、初期状態で当該可動部と当接する部位に与える衝撃を簡単な構造で緩和することが可能となる。
また、本発明に係るリニアアクチュエータ制御装置の前記目標電流設定部は、前記駆動電流の実測値である実電流が前記補正電流の近傍に設定された収束電流に達した場合には、前記可動部材の目標位置に応じた電流値を前記目標電流として設定すると好適である。可動部材の端部は当接部材に当接する位置において可動部材が停止するように制御される。但し、この状態においては可動部材の目標位置に応じた駆動電流の目標値ではなく、補正電流に対して駆動電流が制御されているため、可動部材は本来の目標位置には達していない。駆動電流が補正電流の近傍に設定された収束電流に達した場合には、可動部材の端部は当接部材に当接する位置に達している(又は、ほぼ達している)から、この後、可動部材が当接部材に大きな衝撃で激突するようなことはない。駆動電流が収束電流に達した場合に、目標電流を元の可動部材の目標位置に応じた電流値に戻すことにより、可動部材は本来の目標位置に達するように制御される。
また、本発明に係るリニアアクチュエータ制御装置は、前記収束電流が、前記補正電流よりも大きい値に設定されると好適である。フィードバック制御の誤差や、実電流の検出誤差により、駆動電流が補正電流に達する時間が遅延したり、駆動電流が補正電流に達しなかったりする可能性もある。収束電流は補正電流の近傍の値として設定されるが、収束電流を補正電流よりも大きい値とすることによって、確実に駆動電流が収束電流に達するようにできる。その結果、可動部材は遅滞なく本来の目標位置に達するように制御される。
ソレノイドバルブの一例を模式的に示す断面図 ソレノイドバルブの制御システムを模式的に示すブロック図 ステップ応答時の駆動電流を模式的に示す波形図 駆動電流制御の一例を示すフローチャート 補正電流へのステップ応答時の駆動電流を模試的に示す波形図 駆動電流制御の変形例を示すフローチャート 収束電流と駆動電流との関係を模試的に示す波形図
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。本実施形態では、リニアアクチュエータとして、電磁バルブ(ソレノイドバルブ)に利用されるリニアソレノイドを例として説明する。図1は、ソレノイドバルブの一例を断面図に模式的に示している。ソレノイドバルブ10は、バルブ部材13を収容するスリーブ11と、このバルブ部材13をスリーブ11内で摺動させるソレノイド1とを備えている。バルブ部材13とソレノイド1のプランジャ3(可動部材)とは、略同軸に接続されている。プランジャ3は、略円筒形の磁性体により構成されるヨーク5に収容されている。ヨーク5には、樹脂製のボビンに巻き回されたコイル2が備えられている。コイル2への給電により発生する磁界により、プランジャ3は軸方向に沿って変位する。
プランジャ3とバルブ部材13とはバルブ部材13の一端側で固定されており、バルブ部材13はプランジャ3が軸方向へ変位するのに従って変位する。スリーブ11にはコイルスプリング5が備えられており、バルブ部材13の他端側はこのコイルスプリング5と接続される。コイルスプリング5は、バルブ部材13をソレノイド1の方向へ向かって付勢する。従って、プランジャ3は、コイル2に供給される電流、即ち駆動電流に応じて生じる磁界に基づく駆動力と、この駆動力に対抗する機械的な付勢力との平衡によって軸方向に変位可能である。コイルスプリング5の付勢力は図1の構成においては、コイルスプリング5が縮んでいる場合に最も大きくなるから、駆動電流に応じた駆動力が大きくなるに従って、図示左側(コイルスプリング5の側)で駆動力と付勢力とが平衡する。駆動電流がゼロの場合など、駆動力が小さくなり付勢力が駆動力に打ち勝つと、プランジャ3は図示右側においてシャフト4(当接部材)に当接し、付勢力によってシャフト4に押しつけられる。
駆動電流は、図2に示すようにバルブ制御ECU(electronic control unit)20によって制御される。一例として、バルブ制御ECU20は、マイクロコンピュータ21と駆動回路22とを有して構成される。マイクロコンピュータ21を中核とするバルブ制御ECU20は、本発明のリニアアクチュエータ制御装置に相当する。マイクロコンピュータ21は、CPUコア、プログラムメモリ、パラメータメモリ、ワークメモリ、通信制御部、A/Dコンバータ、タイマ、ポートなどを有して構成される。これらは、一般的な事項であり、説明を容易にするため図示及び詳細な説明は省略する。
プログラムメモリは、バルブ制御プログラムなどが格納された不揮発性のメモリである。パラメータメモリは、プログラムの実行の際に参照される種々のパラメータが格納された不揮発性のメモリである。尚、パラメータメモリは、プログラムメモリと区別することなく、プログラムメモリに含められていてもよい。プログラムメモリやパラメータメモリは、例えばフラッシュメモリなどによって構成されると好適である。ワークメモリは、プログラム実行中の一時データを一時記憶するメモリである。ワークメモリは、揮発性で問題なく、高速にデータの読み書きが可能なDRAM(dynamic RAM)やSRAM(static RAM)により構成される。
駆動回路22は、パワーMOSFET(metal oxide semiconductor field effect transistor)やIGBT(insulated gate bipolar transistor)などのパワー半導体を用いたスイッチング回路や、マイクロコンピュータ21の出力信号をパワー半導体へドライブするドライバ回路などを有して構成される。ソレノイドを駆動するスイッチング回路や、ドライバ回路については公知であるので詳細な説明は省略する。
マイクロコンピュータ21は、例えば自動車においては走行制御ECU30などからソレノイドバルブ10の制御指令を受け、その制御指令に基づいてソレノイドバルブ10を制御する。具体的には、ソレノイド1を駆動する駆動電流を制御して、プランジャ3を任意の位置へ変位させてバルブ部材13をスリーブ11内で摺動させる。ソレノイド1のコイル2に実際に流れる電流(実電流)は、電流センサ29により検出され、マイクロコンピュータ21に伝達される。マイクロコンピュータ21は、目標電流と実電流との偏差に基づいてフィードバック制御を行い、例えばPWM(pulse width modulation)制御などによって、駆動回路22をスイッチングすることによって駆動電流を制御する。
尚、本実施形態では、プログラムメモリやワークメモリなどが1つのチップに集積された形態を例示しているが、当然ながら複数のチップによってマイクロコンピューティングシステムが構成されてもよい。また、本実施形態においては、リニアアクチュエータ制御装置は、マイクロコンピュータ21を中核として構成される。つまり、リニアアクチュエータ制御装置は、マイクロコンピュータ21を構成するハードウェアと、プログラムやパラメータなどのソフトウェアとの協働により実現される。但し、リニアアクチュエータ制御装置の実施態様は、このようなハードウェアとソフトウェアとの協働に限定されるものではなく、ASIC(application specific integrated circuit)などを利用してハードウェアのみで構成されることを妨げるものではない。
ところで、図1の断面図に示したプランジャ3及びバルブ部材13は、所定の駆動電流によって生じる駆動力によりコイルスプリング5が縮められて駆動力と付勢力とが平衡している状態を示している。この状態から、ステップ応答的に駆動電流をゼロにするような制御を実施すると、コイルスプリング5の付勢力が駆動電力に応じた駆動力に打ち勝ち、急激にプランジャ3がシャフト4の方向へ移動する。このため、プランジャ3が急激に移動することになり、プランジャ3がシャフト4に衝突し、大きな衝撃が発生する。ソレノイドバルブ10を高い応答性で使用すると、このようなステップ応答が頻繁に生じることになり、衝撃によりソレノイドバルブ10の寿命が縮まる可能性がある。また、衝撃に対する耐性を高めるためにシャフト4やプランジャ3の剛性を高めるとコスト増につながる可能性がある。そこで、バルブ制御ECU20は、ソレノイドバルブ10の応答性は確保しつつ、このような衝撃を緩和できるように、駆動電流を制御する。
図2に示すように、本発明のリニアアクチュエータ制御装置に相当するバルブ制御ECU20は、ハードウェアとソフトウェアとの協働により機能を発揮する機能部として、駆動制御部23と目標電流設定部24とを有している。駆動制御部23は、プランジャ3の目標位置に応じた電流値である目標電流(符号Itで示す)に基づいてソレノイド1(リニアアクチュエータ)に駆動電流を印加させる機能部である。具体的には、駆動制御部23は、駆動回路22に印加される電圧をPWM制御することによって、駆動電流を制御し、駆動回路22を介してソレノイド1に駆動電流を供給する。また、駆動制御部23は、電流センサ29が検出した実際の駆動電流である実電流(符号Imで示す)と目標電流Itとの偏差を求めて、フィードバック制御を行う。
目標電流設定部24は、駆動制御部23が制御に用いる目標電流Itを設定する機能部である。基本的な目標電流指令値(符号Isで示す)は、走行制御ECU30やエンジン制御ECU(不図示)など、車両制御システム上においてバルブ制御ECU20よりも上位の制御部から与えられる。又は、そのような上位の制御部からはバルブの状態などの指令値が与えられ、バルブ制御ECU20内において目標電流指令値Isに変換されるものであってもよい。例えば、不図示の電流指令値生成部などによって、目標電流指令値Isを演算することが可能である。目標電流設定部24は、基本的には電流指令値Isを目標電流Itとして設定する。但し、目標電流設定部24は、所定の条件の元、目標電流指令値Isとは異なる値を目標電流Itとして設定する。
1つの条件として、プランジャ3の目標位置に応じた電流値(即ち、目標電流指令値Is)が、基準電流(符号Iaで示す)以下となった場合には、目標電流設定部24は、基準電流Ia以上の所定値である補正電流(符号Icで示す)を目標電流Itとして設定する。また、目標電流設定部24は、駆動電流の実測値である実電流Imが基準電流Iaの近傍に設定された収束電流(符号Ibで示す)に達した場合には、プランジャ3の目標位置に応じた電流値(目標電流指令値Is)を目標電流Itとして設定する。
詳細な説明を行う前に、ステップ応答時における本発明の適用例を駆動電流の波形を用いて説明する。図3は、ステップ応答時における駆動電流の時間的な変化を示している。図中において時刻t0〜時刻t1は、ソレノイド1のコイル2に所定の駆動電流が供給されて、コイルスプリング5による付勢力とソレノイド1の駆動力とが平衡し、プランジャ3が所定の位置に留まっている状態である。波形W1は、この際の駆動電流を示している。波形W1に示す駆動電流は、電流値A9の目標電流Itと実電流Imとの偏差に基づくフィードバック制御により、PWM制御の搬送周波数に応じた脈動を生じているが、平均的には電流値がA9であり、目標電流Itと実電流Imとが良好に一致した状態である。
図3では、急速にソレノイドバルブ10の状態を変化させるステップ応答が時刻t1において実行される例を示している。即ち、目標電流指令値Isが電流値ゼロに設定され、これに応じて目標電流Itが電流値ゼロに設定される。波形W2は、この際の駆動電流を示している。目標電流Itが電流値ゼロであるから、目標電流Itと実電流Imとの偏差に基づくフィードバック制御を実行しなくてもよく、波形W2に示すように駆動電流は急速に減少する。これにより、付勢力が駆動力に打ち勝ち、プランジャ3は付勢力により急激にシャフト4に向かって復帰する。その結果、プランジャ3とシャフト4とが強い衝撃を受ける可能性がある。
そこで、目標電流設定部24は、このようなステップ応答の指令を受け取った際には、目標電流ItをA9からA0(=ゼロ)に一気に下げることなく、目標電流ItをA9とA0との間の所定の値A5に設定する。駆動制御部23は、駆動電流がA5に達するまでフィードバック制御を実行して、波形W3に示すように波形W2に比べて穏やかに駆動電流を減少させる。尚、この所定の値A5は、プランジャ3の端部がシャフト4(当接部材)に当接する位置において駆動力と付勢力とが平衡する際の駆動電流の値に応じて設定される。好ましくは、プランジャ3の端部がシャフト4に当接する位置において駆動力と付勢力とが平衡する際の駆動電流以下の値に設定されると、プランジャ3の端部とシャフト4とが確実に接触し、ソレノイドバルブ10のバルブ位置が確実に設定される。
時刻t3において駆動電流が概ねA5に達すると、目標電流設定部24は、目標電流Itを本来の目標電流指令値Isの値であるA0(=ゼロ)に設定する。時刻t3から時刻t4に向けて駆動電流は急速に減少する。A5は、A9に比べて充分に小さい値であるため、ここから駆動電流が急速に減少してもプランジャ3とシャフト4とが強い衝撃を受けることが抑制される。また、上述したように、A5は、プランジャ3の端部がシャフト4に当接する位置において駆動力と付勢力とが平衡する際の駆動電流の値に応じて設定されている。従って、目標電流Itを本来の目標電流指令値Isの値であるA0に設定する際には、プランジャ3とシャフト4とは穏やかに接触を完了している。ここから急速にソレノイド1の駆動力が減少し、付勢力が支配的となっても、プランジャ3とシャフト4との間には、互いに押し付け合う圧縮応力が働くだけであり、衝撃が発生することはない。
以下、上述したような駆動電流の制御の具体例を図4のフローチャートも参照して説明する。目標電流設定部24は、目標電流指令値Is及び実電流測定値Imを取得する(#1)。次に、目標電流設定部24は、目標電流指令値Isが基準電流Ia以下であるか否かを判定する(#3)。上述したように、基準電流Iaは、プランジャ3の端部がシャフト4に当接する位置において駆動力と付勢力とが平衡する際の駆動電流の値に応じて設定され、好ましくは、駆動力と付勢力とが平衡する際の駆動電流以下の値に設定される。ステップ#3は、主に、図3を利用して説明したように、プランジャ3がシャフト4に当接する初期位置へソレノイド1を復帰させる際のステップ応答のための指令を取得したか否かを判定する処理である。プランジャ3を初期位置へ戻す際の目標電流指令値Isがゼロである場合には基準電流Iaがゼロに設定されていてもよい。
目標電流指令値Isが基準電流Iaを越えている場合、即ち、初期位置へソレノイド1を復帰させる際のステップ応答が求められていない場合には、目標電流設定部24は、目標電流指令値Isを目標電流Itとして設定する(#5)。そして、駆動制御部23は、目標電流Itと実電流Imとの電流偏差dIを演算して、フードバック制御を実施し、駆動回路22を介してソレノイド1に駆動電流を供給する(#9)。図3及び図5における時刻t0〜時刻t1までの波形W1は、ステップ#1,#3,#5,#9を繰り返すことによって得られる駆動電流の波形を模式的に示したものである。
ステップ#3において目標電流指令値Isが基準電流Ia以下であると判定された場合には、初期位置へソレノイド1を復帰させる際のステップ応答が求められている場合である。従って、目標電流設定部24は、補正電流Icを目標電流Itとして設定する(#6)。後述するようにステップ#4はステップ#6の継続条件であるので、ここでは、ステップ#4においてステップ#6の継続条件を満たしたものとしてステップ#6について説明する。
目標電流設定部24が設定する補正電流Icは、プランジャ3の端部がシャフト4に当接する位置において駆動力と付勢力とが平衡する際の駆動電流に応じて設定された値である。基準電流Iaも、プランジャ3の端部がシャフト4に当接する位置において駆動力と付勢力とが平衡する際の駆動電流に応じて設定された値であるが、基準電流Iaは補正電流Ic以下の値に設定される。尚、基準電流Iaと補正電流Icとが同じ値であることを妨げるものではなく、両者は同値であってもよい。目標電流Itとして、図5に示す電流値A5の補正電流Icが設定されると、駆動制御部23は、駆動電流が電流値A5に達するまでフィードバック制御を実行する(#9)。即ち、ステップ#1,#3,(#4),#6,#9を経て波形W31(W3)に示すように駆動電流が減少していく。駆動電流が電流値A5に達した後も、このままフィードバック制御を継続すると、図5に示すように時刻t31以降、駆動電流はほぼ電流値A5で安定する。
しかし、この状態では、駆動電流は本来の目標電流指令値Isとなってはいない。そこで、ステップ#4においてステップ#6の継続条件が判定される。ステップ#4では、駆動電流の実測値である実電流Imが補正電流Ibの近傍に設定された収束電流Ibに達したか否かが判定される。ここでは、理解を容易にするために、収束電流Ibが補正電流Icと同じ値であるA5であるとして説明する。実電流Imが収束電流Ib以上の場合、即ち、概ね図5に示す時刻t1から時刻t31の間では緩やかに駆動電流を減少させる必要がある。従って、ステップ#4においてステップ#6を継続すべきと判定され(Yes分岐)、補正電流Icが目標電流Itとして設定される。一方、実電流Imが収束電流Ib未満の場合には、駆動電流が補正電流Ic(=A5)に達したことになる。つまり、プランジャ3の端部はシャフト4に当接する位置まで復帰しているので、緩やかに駆動電流を減少させる必要はない。従って、ステップ#4においてステップ#6を終了すべきと判定され(No分岐)、ステップ#5に進んで目標電流指令値Isが目標電流Isとして設定される。
ここで、ステップ#5からステップ#9に進み、フィードバック制御が実行されてもよいが、本実施形態のように目標電流指令Isがゼロの時のような場合には、フィードバック制御は特に必要ない。つまり、実電流Imに応じて細かく駆動電流を制御しなくとも、駆動電流がゼロになるように制御すれば足りる。従って、図6に変形例として示すフローチャートのように、ステップ#4においてステップ#6の継続が不要と判定された場合に、ステップ#5,#9の順に進むことなく、ステップ#7,#8と進んでもよい。ステップ#7は、ステップ#5と同じ処理であり、目標電流Itとして目標電流指令値Isが設定される。ステップ#7に続くステップ#8では、電流偏差dIを用いてフィードバック制御されることなく、電流制御のPWMのデューティーがゼロに設定される。つまり、駆動制御部23は、急速に駆動電流をゼロまで減少させる。尚、図3に示した時刻t3から時刻t4の波形は、フィードバック制御することなく駆動電流を減少させた場合の例である。
上記説明においては、補正電流Icの値の近傍に設定される収束電流Ibの値が補正電流Icと同じ値(A5)の場合を例として説明した。当然ながら、収束電流Ibの値はこの例に限定されるものではない。好ましくは、図7に示すように、収束電流Ibは、補正電流Icよりも大きい値(A6)に設定されるとよい。上述したように、PWM制御では駆動電流に搬送周波数に応じた脈動が現れる。また、電流センサの誤差やフィードバック制御の誤差により駆動電流(実電流Im)が補正電流Icに達しない可能性もある。従って、例えばそのような誤差分を考慮して、補正電流Icの値よりも大きい値を収束電流Ibとしておくとよい。これにより、確実に駆動電流(実電流Im)が収束電流Ibに達することになる。また、駆動電流が早く収束電流Icに達することになるので、ステップ応答が要求されるような際に迅速な制御が実現される。
以上説明したように、電磁制御されるリニアアクチュエータが急激に初期状態に復帰する際に、プランジャなどの可動部が、初期状態で当該可動部と当接する部位に与える衝撃を簡単な構造で緩和することが可能となる。尚、図3に示すように、駆動電流がゼロとなる時刻は、本発明の適用により時刻t2から時刻t4となる。しかし、この時間差は、概ね0.01秒〜0.02秒程度であり、実用上何ら問題はない。また、本発明を適用せず、プランジャ3がシャフト4に激突するような場合には、跳ね返りなどを生じる可能性もある。従って、結果的に本発明の適用により、早期にプランジャ3が安定する効果も得られる。
また、上記実施形態においては、リニアアクチュエータとしてソレノイドを例示したが、電磁制御により発生した回転トルクを機械的な変換機構を介して直線的な駆動力に変換するアクチュエータであってもよい。
4:シャフト(当接部材)
3:プランジャ
3a:端部
1:ソレノイド(リニアアクチュエータ)
20:バルブ制御ECU(リニアアクチュエータ制御装置)
Is:目標電流指令値(駆動電流の目標値)
It:目標電流
23:駆動制御部
Ic:補正電流
Ia:基準電流
24:目標電流設定部
Im:実電流
Ib:収束電流

Claims (3)

  1. 駆動電流に応じて生じる駆動力と当該駆動力に対抗する機械的な付勢力との平衡により軸方向に沿って変位可能であり、前記付勢力が前記駆動力に打ち勝つ際には当接部材に端部が当接するプランジャを有するリニアアクチュエータを制御するリニアアクチュエータ制御装置であって、
    前記プランジャの目標位置に応じた前記駆動電流の目標値である目標電流に基づいて前記リニアアクチュエータに前記駆動電流を印加させる駆動制御部と、
    前記プランジャの端部が前記当接部材に当接する位置において前記駆動力と前記付勢力とが平衡する際の前記駆動電流に応じて設定された値を補正電流とし、当該補正電流以下の値に設定された値を基準電流として、前記駆動電流の前記目標値が前記基準電流以下となった場合には、前記補正電流を前記目標電流として設定する目標電流設定部と、
    を備えるリニアアクチュエータ制御装置。
  2. 前記目標電流設定部は、前記駆動電流の実測値である実電流が前記補正電流の近傍に設定された収束電流に達した場合には、前記プランジャの目標位置に応じた電流値を前記目標電流として設定する請求項1に記載のリニアアクチュエータ制御装置。
  3. 前記収束電流は、前記補正電流よりも大きい値に設定される請求項2に記載のリニアアクチュエータ制御装置。
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