JP2012017695A - ガスエンジン - Google Patents

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Abstract

【課題】副室に供給された燃料ガスが未燃のまま主室へ吸い込まれてしまうことを抑制して、燃費悪化を防止すること。
【解決手段】制御装置30は、副室圧及び燃料通路圧の圧力差を利用して、逆止弁21が開弁していられる限界のタイミングをクランク角度に換算した上限クランク角度(−130°)を算出する。さらに、制御装置30は、要求燃料量分の天然ガスを副室19内に供給するために必要なインジェクタ22の開弁時間を算出するとともに、インジェクタ22の開弁時間に相当するクランク角度(70°)を上限クランク角度から差し引いたインジェクタ22の開弁開始クランク角度(−200°)を算出する。そして、制御装置30は、開弁開始クランク角度に基づいてインジェクタ22の開弁開始時期を制御して、逆止弁21が開弁状態である中で、インジェクタ22の開弁開始時期をできる限り遅らしている。
【選択図】図1

Description

本発明は、燃料ガスと空気との希薄混合気が供給される主室と、この主室と噴孔を介して連通するとともに燃料ガスが供給される副室とを備えたガスエンジンに関する。
ガスエンジンには、燃料ガスと空気との希薄混合気が供給される主室と、この主室と噴孔を介して連通するとともに燃料ガスが供給される副室とを備えているものがある。そして、これら主室及び副室それぞれに燃料ガスを供給するためのガス供給システムが、例えば特許文献1に開示されている。
特許文献1のガス供給システムを備えたガス燃料供給型内燃機関(ガスエンジン)は、シリンダ内のピストンよりも上側に設けられた燃焼部(主室)と、オリフィス(噴孔)を介して燃焼部と連通する予燃焼部(副室)とを備えている。予燃焼部には、予燃焼部内での気体燃料(燃料ガス)に点火するためのスパークプラグ等の点火源が設けられている。
ガス供給システムは、ガス燃料供給手段を備えている。ガス燃料供給手段は、予燃焼部に気体燃料を供給する第1ガス供給ライン、燃焼部に気体燃料を供給する第2ガス供給ライン、及び第1及び第2ガス供給ラインに気体燃料を供給するガスインジェクタを備えている。また、ガス燃料供給手段は、第1及び第2ガス供給ラインによって供給される気体燃料の相対比を制御するガスフロー弁(一方向弁)を備えている。
このガスフロー弁は、予燃焼部内の圧力が第1ガス供給ラインの圧力よりも低いときに開弁される。一方、ガスフロー弁は、予燃焼部内の圧力が第1ガス供給ライン内の圧力よりも高いときに閉弁される。
そして、ガス供給システムによれば、吸気行程にあるときは、第2ガス供給ライン及び空気供給手段から気体燃料及び空気が燃焼部に供給されると同時に、第1ガス供給ラインから気体燃料のみがガスフロー弁を介して予燃焼部に供給される。さらに、圧縮行程では、燃焼部内の混合気の一部がオリフィスを介して予燃焼部へ送られ、予燃焼部では点火源によって気体燃料の点火が行われる。予燃焼部では、空気に対する気体燃料の比が比較的高いことから、気体燃料の点火は容易に達成でき、オリフィスを通って予燃焼部から燃焼部へ通ずる通路内で化学反応が起こり、混合気が燃焼部で点火される。
特表平7−500395号公報
しかしながら、特許文献1のガス供給システムでは、ガスフロー弁は、吸気行程が開始された直後に開弁するため、その吸気行程が開始された直後より第1ガス供給ラインからガスフロー弁を介して予燃焼部に気体燃料が供給されてしまう。このため、吸気行程の開始直後では、予燃焼部に供給された気体燃料が、オリフィスを介して未燃のまま燃焼部へ吸い込まれてしまい、燃費悪化の原因となってしまう。
また、排気行程においては、排気の脈動によって、燃焼部内の圧力が排気通路内の圧力に相当する比較的低い排気圧力になると、予燃焼部内の圧力が第1ガス供給ラインの圧力よりも低くなり、ガスフロー弁が開弁する場合がある。すると、第1ガス供給ラインからガスフロー弁を介して予燃焼部に気体燃料が吸い込まれ、そのままオリフィスを介して未燃のまま燃焼部から排気通路へ排出されてしまい、燃費悪化の原因となる。
本発明は、こうした実情に鑑みてなされたものであり、その目的は、副室に供給された燃料ガスが未燃のまま主室へ吸い込まれてしまうことを抑制して、燃費悪化を防止することができるガスエンジンを提供することにある。
上記目的を達成するために、請求項1に記載の発明は、ピストンに面する主室と、前記主室に噴孔を介して連通する副室と、前記副室へ燃料ガスを導く燃料通路と、前記燃料通路に設けられるとともに前記副室へ燃料ガスを供給する燃料供給弁と、前記燃料通路における前記燃料供給弁の下流に設けられるとともに前記副室と前記燃料通路との圧力差に基づいて開弁して前記副室への燃料ガスの供給を許容する逆止弁と、前記副室の圧力を推定する副室圧推定手段と、前記副室圧推定手段により推定された圧力を利用して前記逆止弁の開弁範囲において最も遅角側に対応する上限クランク角度を算出する上限クランク角度算出手段と、前記副室内に供給されるべき燃料ガスの要求燃料量を算出する要求燃料量算出手段と、前記要求燃料量算出手段により算出された要求燃料量及び前記副室の圧力を利用して前記要求燃料量を供給するために要する前記燃料供給弁の開弁時間を算出する開弁時間算出手段と、前記開弁時間算出手段により算出された開弁時間及び前記上限クランク角度を利用して前記燃料供給弁の開弁開始クランク角度を算出する開弁開始クランク角度算出手段と、前記開弁開始クランク角度に基づいて前記燃料供給弁の開弁開始時期を制御する開弁開始時期制御手段と、を備えたことを要旨とする。
この発明によれば、上限クランク角度算出手段は、副室の圧力を利用して、逆止弁が開弁していられる限界のタイミングをクランク角度に換算した上限クランク角度を算出する。さらに、開弁開始クランク角度算出手段は、上限クランク角度算出手段により算出された上限クランク角度から、開弁時間算出手段により算出された開弁時間に相当するクランク角度を差し引いた燃料供給弁の開弁開始クランク角度を算出する。そして、開弁開始時期制御手段は、開弁開始クランク角度に基づいて燃料供給弁の開弁開始時期を制御することで、逆止弁が開弁状態である中で、燃料供給弁の開弁開始時期をできる限り遅らせている。よって、吸気行程が開始された直後に燃料供給弁が開弁しないため、例えば、吸気行程が開始された直後から燃料供給弁が開弁して副室へ燃料ガスが供給される場合のように、ピストンが下降することにより副室内に供給された燃料ガスが噴孔を介して未燃のまま主室へ吸い込まれてしまうといったことがないため、燃費悪化を防止することができる。
また、排気行程においては、排気の脈動によって、主室内の圧力が排気通路内の圧力に相当する比較的低い排気圧力になると、副室内の圧力が燃料通路内の圧力よりも低くなり、逆止弁が開弁する場合がある。しかし、開弁開始時期制御手段が、算出された開弁開始クランク角度に基づいて燃料供給弁の開弁開始時期を制御しているため、排気の脈動によって逆止弁が開弁しても、燃料ガスが不必要に副室へ供給されることがない。よって、副室内に燃料ガスが吸い込まれ、そのまま噴孔を介して未燃のまま主室から排気通路へ排出されてしまうことがないため、燃費悪化を防止することができる。
また、前記副室圧推定手段は、エンジン回転数及び吸気圧に対し、前記副室の圧力を関係付けた副室圧算出マップを用いて前記副室の圧力を推定してもよい。
また、前記上限クランク角度算出手段は、前記副室と前記燃料通路との圧力差に対し、クランク角度を関係付けた上限クランク角度算出マップを用いて前記上限クランク角度を算出してもよい。
また、前記要求燃料量算出手段は、エンジン回転数及び吸気圧に対し、要求燃料量を関係付けた要求燃料量算出マップを用いて前記要求燃料量を算出してもよい。
また、前記開弁時間算出手段は、前記副室と前記燃料通路との圧力差に応じた前記燃料供給弁の開弁時間と流量との関係を示す特性線を用いて前記燃料供給弁の開弁時間を算出してもよい。
この発明によれば、副室に供給された燃料ガスが未燃のまま主室へ吸い込まれてしまうことを抑制して、燃費悪化を防止することができる。
(a)は実施形態におけるガスエンジン及びその制御装置についての全体構成を示す模式図、(b)はクランク角度と副室圧及び燃料通路圧との関係を示すグラフ。 インジェクタの開弁時間と流量とを関係付けた特性線を示すグラフ。 制御装置がインジェクタの開弁開始時期を制御するための処理手順を示すフローチャート。
以下、本発明を具体化した一実施形態を図1〜図3にしたがって説明する。
図1(a)に示すように、ガスエンジン10は、複数の気筒11(図1では一つのみ図示)を備えている。各気筒11内にはピストン12が往復運動可能に収容されるとともに、ピストン12の頂面、気筒11の内壁面等により主室13が区画形成されている。各気筒11には、主室13に希薄混合気を吸気する吸気通路14が接続されるとともに、主室13から燃焼ガスを排気する排気通路15が接続されている。そして、吸気通路14の主室13に開口している部位は吸気バルブ16により開閉されるとともに、排気通路15の主室13に開口している部位は排気バルブ17により開閉される。また、吸気通路14上には吸気圧センサ32が設けられている。
ガスエンジン10において、主室13よりも上方には、噴孔18を介して主室13に連通する副室19が設けられている。また、副室19には点火プラグ24が設けられるとともに、点火プラグ24は、その点火点24aが副室19内に位置するように設けられている。さらに、副室19には燃料通路20が接続されるとともに、燃料通路20には、副室19へ燃料ガスとしての天然ガスを供給する燃料供給弁としてのインジェクタ22が設けられている。インジェクタ22は燃料配管23aを介して燃料タンク23に接続されるとともに、燃料タンク23に貯留された天然ガスがインジェクタ22へ供給されるようになっている。インジェクタ22からは、一定の圧力に調整された天然ガスが噴射されるようになっており、燃料通路20の圧力(以下、「燃料通路圧」と記載する)はインジェクタ22の噴射、副室19への燃料流出によって変動する。
また、燃料通路20には逆止弁21が設けられている。逆止弁21は、所定のスプリングセット圧を有するばね21aを備え、このばね21aの付勢力によりボール等の弁体21bを弁座に当接させることで燃料通路20を閉弁状態としている。そして、逆止弁21は、副室19の圧力(以下、単に「副室圧」と記載する)の低下により副室19と燃料通路20との圧力差がスプリングセット圧以上になると、ばね21aの付勢力に抗する方向に圧力が作用して弁体21bが弁座から離間して開弁状態となり、副室19への天然ガスの供給を許容する。一方、逆止弁21は、副室19と燃料通路20との圧力差がスプリングセット圧よりも小さくなると、ばね21aの付勢力により弁体21bが弁座に着座して閉弁状態になる。つまり、副室圧とスプリングセット圧との和と、燃料通路圧とが等しくなったときに、逆止弁21が開弁状態から閉弁状態になる。
ガスエンジン10は、エンジン制御を司る制御装置30を備えている。この制御装置30は、中央処理制御装置(CPU)、各種プログラムやマップ等を予め記憶した読出専用メモリ(ROM)、CPUの演算結果等を一時記憶するランダムアクセスメモリ(RAM)、タイマカウンタ、入力インターフェース、出力インターフェース等を備えたマイクロコンピュータを中心に構成されている。
制御装置30には、クランク角度検出器31及び吸気圧センサ32が信号接続されている。クランク角度検出器31は、ガスエンジン10が備えるクランク軸(図示せず)の回転角度(クランク角度)を検出する。クランク角度検出器31によって検出されたクランク角度の情報は、制御装置30へ送られる。制御装置30は、クランク角度検出器31によって検出されたクランク角度の情報を利用して、エンジン回転数を算出する。また、吸気圧センサ32は、吸気通路14の吸気圧を検出する。吸気圧センサ32によって検出された吸気圧の情報は、制御装置30へ送られる。
制御装置30は、エンジン回転数及び吸気圧を利用して副室圧を推定する。ROMには、エンジン回転数及び吸気圧に対し、副室圧を関係付けた副室圧算出マップが予め記憶されている。よって、本実施形態における制御装置30は、副室19の圧力を推定する副室圧推定手段としての機能を有する。また、制御装置30は、インジェクタ22の噴射圧を調整して、インジェクタ22から一定の圧力で天然ガスが噴射されるようにインジェクタ22を制御している。そして、制御装置30は、このインジェクタ22の噴射圧を利用して燃料通路圧を推定する。
また、制御装置30は、副室圧と燃料通路圧との圧力差を利用して、逆止弁21の開弁範囲において最も遅角側に対応する上限クランク角度を算出する。ここで、「上限クランク角度」とは、吸気行程の開始により逆止弁21が開弁状態になってから、副室圧とスプリングセット圧との和と、燃料通路圧とが等しくなって、逆止弁21が開弁状態から閉弁状態になるときのクランク角度のことをいう。つまり、上限クランク角度は、副室圧と燃料通路圧との圧力差が、スプリングセット圧と等しくなったときのクランク角度である。なお、エンジン負荷による副室圧の変動に伴い、上限クランク角度は変動するものである。
この上限クランク角度は、実験により得られた副室圧と燃料通路圧との値に基づいて予め求められており、ROMには、副室圧と燃料通路圧との圧力差に対し、クランク角度を関係付けた上限クランク角度算出マップが予め記憶されている。よって、本実施形態における制御装置30は、逆止弁21の開弁範囲において最も遅角側に対応する上限クランク角度を算出する上限クランク角度算出手段としての機能も有する。
さらに、制御装置30は、エンジン回転数及び吸気圧を利用して、副室19内に供給されるべき天然ガスの要求燃料量を算出する。ROMには、エンジン回転数及び吸気圧に対し、要求燃料量を関係付けた要求燃料量算出マップが予め記憶されている。よって、本実施形態における制御装置30は、副室19内に供給されるべき天然ガスの要求燃料量を算出する要求燃料量算出手段としての機能も有する。
制御装置30は、算出された要求燃料量、副室圧、及び燃料通路圧を利用して、要求燃料量を副室19に供給するために要するインジェクタ22の開弁時間を算出する。この開弁時間は、インジェクタ22が開弁してから閉弁するまでの時間の長さのことである。インジェクタ22の開弁時間は、インジェクタ22の開弁時間と流量とを関係付けた特性線を用いて算出される。特性線は図2に示すものである。なお、図2では、横軸にインジェクタ22の開弁時間を示し、縦軸にインジェクタ22の流量を示している。
また、この特性線は、エンジン負荷による副室圧の変動、すなわち副室圧と燃料通路圧との圧力差の変動に伴い、その傾きが変化する。図2では、副室圧αのときと副室圧βのときの特性線を示しており、副室圧αは副室圧βよりも高いとする。副室圧αのときの特性線を実線Y1で示し、副室圧βのときの特性線を二点鎖線Y2で示す。ここで、インジェクタ22から噴射される燃料の圧力はほぼ一定であるため、副室圧βのときの燃料通路圧との圧力差は、副室圧αのときの燃料通路圧との圧力差よりも大きくなっている。
図2に示すように、要求燃料量が一定とすると、副室圧βのときのように、副室圧と燃料通路圧との圧力差が大きければ、勢い良く副室19へ天然ガスが吸い込まれるため、インジェクタ22の開弁時間は短くなる。一方、副室圧αのときのように、副室圧と燃料通路圧との圧力差が小さければ、副室19へは緩やかに天然ガスが吸い込まれるため、インジェクタ22の開弁時間は長くなる。なお、図2の特性線は予め実験によって得られたものであり、ROMには、副室圧と燃料通路圧との圧力差に応じたインジェクタ22の開弁時間と流量との関係を示す特性線がY1,Y2以外にも複数記憶されている。よって、本実施形態における制御装置30は、インジェクタ22の開弁時間を算出する開弁時間算出手段としての機能も有する。また、制御装置30は、算出されたインジェクタ22の開弁時間をクランク角度に変換する。
また、制御装置30は、エンジン回転数及びインジェクタ22の開弁時間からインジェクタ22の開弁開始クランク角度を算出する。開弁開始クランク角度は、上限クランク角度からインジェクタ22の開弁時間に相当するクランク角度を差し引いたクランク角度の値になっている。よって、本実施形態における制御装置30は、インジェクタ22の開弁開始クランク角度算出手段としての機能も有する。
そして、制御装置30は、算出された開弁開始クランク角度に基づいて、インジェクタ22の開弁開始時期を制御する。よって、本実施形態における制御装置30は、インジェクタ22の開弁開始時期を制御する開弁開始時期制御手段としての機能も有する。
次に、本実施形態の制御装置30がインジェクタ22の開弁開始時期を制御するための処理手順について説明する。
図3に示すように、まず、制御装置30は、クランク角度検出器31からの情報に基づいて算出されたエンジン回転数及び吸気圧センサ32により検出された吸気圧を利用して、副室圧算出マップから副室圧を推定する(ステップS11)。次に、制御装置30は、ステップS11において推定された副室圧と燃料通路圧との圧力差に基づいて、上限クランク角度算出マップから上限クランク角度を算出する(ステップS12)。
次に、制御装置30は、クランク角度検出器31からの情報に基づいて算出されたエンジン回転数及び吸気圧センサ32により検出された吸気圧を利用して、要求燃料量算出マップから副室19内に供給されるべき天然ガスの要求燃料量を算出する(ステップS13)。次に、制御装置30は、ステップS11において推定された副室圧、燃料通路圧、及び要求燃料量を利用して、特性線からインジェクタ22の開弁時間を算出する(ステップS14)。例えば、副室圧αであるときには、図2に示す特性線Y1を用いて、要求燃料量Fxを得るために必要なインジェクタ22の開弁時間Txが算出される。
次に、制御装置30は、エンジン回転数及びインジェクタ22の開弁時間を利用して、インジェクタ22の開弁開始クランク角度を算出する(ステップS15)。ステップS15で算出された開弁開始クランク角度は、ステップS12で算出された上限クランク角度(本実施形態ではクランク角度−130°)からインジェクタ22の開弁時間に相当するクランク角度(本実施形態ではクランク角度70°)差し引いたクランク角度(本実施形態ではクランク角度−200°)になっている。次に、制御装置30は、ステップS15で算出された開弁開始クランク角度に基づいて、インジェクタ22の開弁開始時期を制御する(ステップS16)。
次に、ガスエンジン10の作動の様子について説明する。
図1(b)は、あるエンジン負荷のときにおける1サイクルでの副室圧の変化、及び燃料通路圧からスプリングセット圧を差し引いた圧力の変化を示したグラフである。横軸にクランク角度を示し、縦軸に圧力を示している。また、副室圧の変化を実線L1で示し、燃料通路圧からスプリングセット圧を差し引いた圧力の変化を一点鎖線L2で示している。また、制御装置30は、1サイクル毎に上記ステップS11〜ステップS16の処理を行っている。そして、制御装置30により、上限クランク角度(−130°)、インジェクタ22の開弁時間に相当するクランク角度(70°)、及びインジェクタ22の開弁開始クランク角度(−200°)が算出されたとする。
図1(b)に示すように、まず、吸気バルブ16が開弁すると、ピストン12が上死点から下死点に向かって下降して吸気通路14から主室13内へ天然ガスと空気との希薄混合気が吸入されるとともに、ピストン12が下死点に到達して下死点から上死点に向かって上昇する途中で、吸気バルブ16が閉弁される(吸気行程)。
この吸気行程において、ピストン12が上死点から下死点に向かって下降すると、副室圧が低下して、副室圧と燃料通路圧との圧力差がスプリングセット圧以上となり、逆止弁21が開弁状態になる。このとき、制御装置30は、逆止弁21が開弁状態である中で、開弁開始クランク角度−200°のときにインジェクタ22が開弁するように、インジェクタ22に対して開弁指令を送り、インジェクタ22から天然ガスが噴射されて、副室19内に天然ガスが供給される。
次に、ピストン12が上死点に向かって上昇して主室13内の希薄混合気は圧縮される(圧縮行程)。この圧縮行程において、主室13内の希薄混合気は、主室13から噴孔18を介して副室19に流入されるとともに、吸気行程の際に副室19内に供給された天然ガスと、希薄混合気とが混合されて、副室19における空気に対する天然ガスの比が大きくなり、副室19に理論混合気相当の混合気が形成される。
ここで、ピストン12が下死点から上死点に向かって上昇すると、副室19内の圧力が上昇して、副室圧と燃料通路圧との圧力差がスプリングセット圧よりも小さくなり、逆止弁21が閉弁状態になる。このとき、副室19内には、要求燃料量分の天然ガスが供給されている。そして、制御装置30は、インジェクタ22が閉弁するように、インジェクタ22に対して閉弁指令を送り、インジェクタ22からの天然ガスの噴射が終了する。また、この逆止弁21の閉弁状態により、主室13から噴孔18を介して副室19に流入された希薄混合気が、燃料通路20側へ流入してしまうことを防止している。
そして、点火プラグ24が作動されて副室19で火花点火が行われる。点火プラグ24による火花点火によって燃焼された副室19内の燃焼ガスは、主室13内へ火炎ジェットとして噴射されることで、主室13内の希薄混合気に着火され燃焼する。
希薄混合気の燃焼により高温高圧になった燃焼ガスがピストン12を押し、ピストン12が上死点から下死点に向かって下降する(膨張行程)。そして、排気バルブ17が開弁して、ピストン12が下死点から上死点に向かって上昇することで、ピストン12が主室13内の燃焼ガスを排気通路15へ押し出す(排気行程)。こうした1サイクルが繰り返されることにより、ピストン12が往復動される。
上記実施形態では以下の効果を得ることができる。
(1)制御装置30は、副室圧及び燃料通路圧の圧力差を利用して、逆止弁21が開弁していられる限界のタイミングをクランク角度に換算した上限クランク角度(−130°)を算出する。さらに、制御装置30は、要求燃料量分の天然ガスを副室19内に供給するために必要なインジェクタ22の開弁時間を算出するとともに、インジェクタ22の開弁時間に相当するクランク角度(70°)を上限クランク角度から差し引いたインジェクタ22の開弁開始クランク角度(−200°)を算出する。そして、制御装置30は、開弁開始クランク角度に基づいてインジェクタ22の開弁開始時期を制御することで、逆止弁21が開弁状態である中で、インジェクタ22の開弁開始時期をできる限り遅らせている。よって、吸気行程が開始された直後にインジェクタ22が開弁しないため、例えば、吸気行程が開始された直後からインジェクタ22が開弁して副室19へ天然ガスが供給される場合のように、ピストン12が下降することにより副室19内に供給された天然ガスが噴孔18を介して未燃のまま主室13へ吸い込まれてしまうといったことがない。その結果として、燃費悪化を防止することができる。
(2)排気行程においては、排気の脈動によって、主室13内の圧力が排気通路15内の圧力に相当する比較的低い排気圧力になると、副室19内の圧力が燃料通路20内の圧力よりも低くなり、逆止弁21が開弁する場合がある。しかし、制御装置30が、算出された開弁開始クランク角度に基づいてインジェクタ22の開弁開始時期を制御しているため、排気の脈動によって逆止弁21が開弁しても、天然ガスが不必要に副室19へ供給されることがない。よって、副室19内に天然ガスが吸い込まれ、そのまま噴孔18を介して未燃のまま主室13から排気通路15へ排出されてしまうことがないため、燃費悪化を防止することができる。
(3)本実施形態では、インジェクタ22から燃料通路20及び逆止弁21を介して副室19に天然ガスを供給している。よって、副室19周りのスペースが狭くても効率良く副室19に天然ガスを供給することができる。また、インジェクタ22を副室19に直接晒すことがないため、副室19内で発生した火炎によるインジェクタ22の劣化を防ぐことができる。
なお、上記実施形態は以下のように変更してもよい。
○ 実施形態において、制御装置30は、エンジン回転数及び吸気圧を利用して、副室圧を推定したが、これに限らず、例えば、エンジン回転数及びスロットル開度を利用して、副室圧を推定してもよい。
○ 実施形態において、制御装置30は、エンジン回転数及び吸気圧を利用して、副室19内に供給されるべき天然ガスの要求燃料量を算出したが、これに限らず、例えば、エンジン回転数及びスロットル開度を利用して、要求燃料量を算出してもよい。
○ 実施形態では、燃料ガスとして、天然ガスを適用したが、これに限らず、燃料ガスとして、例えば、LPG(液化石油ガス)を適用してもよい。
○ 実施形態では、制御装置30は、インジェクタ22の噴射圧を利用して燃料通路圧を推定し、推定された燃料通路圧と副室圧との圧力差により上限クランク角度を算出したが、これに限らない。インジェクタ22の下流側における燃料通路20の面積は、副室19の面積に比べてかなり小さく、又インジェクタ22の噴射圧は一定であるため、燃料通路圧の変動は副室圧の変動に比べてかなり小さい。よって、制御装置30は、副室圧のみを用いて上限クランク角度を算出してもよい。この場合、上限クランク角度は、実験により得られた副室圧の値に基づいて予め求められており、ROMには、副室圧に対して、上限クランク角度を関係付けた上限クランク角度算出マップが予め記憶されている。
次に、上記実施形態及び別例から把握できる技術的思想について以下に追記する。
(イ)前記開弁開始クランク角度算出手段は、エンジン回転数及び前記燃料供給弁の開弁時間を利用して前記開弁開始クランク角度を算出することを特徴とする請求項1〜請求項5のいずれか一項に記載のガスエンジン。
(ロ)前記燃料ガスは天然ガスであることを特徴とする請求項1〜請求項5及び前記技術的思想(イ)のいずれか一項に記載のガスエンジン。
10…ガスエンジン、12…ピストン、13…主室、18…噴孔、19…副室、20…燃料通路、21…逆止弁、22…燃料供給弁としてのインジェクタ、30…副室圧推定手段、上限クランク角度算出手段、要求燃料量算出手段、開弁時間算出手段、開弁開始クランク角度算出手段及び開弁開始時期制御手段としての機能を有する制御装置。

Claims (5)

  1. ピストンに面する主室と、
    前記主室に噴孔を介して連通する副室と、
    前記副室へ燃料ガスを導く燃料通路と、
    前記燃料通路に設けられるとともに前記副室へ燃料ガスを供給する燃料供給弁と、
    前記燃料通路における前記燃料供給弁の下流に設けられるとともに前記副室と前記燃料通路との圧力差に基づいて開弁して前記副室への燃料ガスの供給を許容する逆止弁と、
    前記副室の圧力を推定する副室圧推定手段と、
    前記副室圧推定手段により推定された圧力を利用して前記逆止弁の開弁範囲において最も遅角側に対応する上限クランク角度を算出する上限クランク角度算出手段と、
    前記副室内に供給されるべき燃料ガスの要求燃料量を算出する要求燃料量算出手段と、
    前記要求燃料量算出手段により算出された要求燃料量及び前記副室の圧力を利用して前記要求燃料量を供給するために要する前記燃料供給弁の開弁時間を算出する開弁時間算出手段と、
    前記開弁時間算出手段により算出された開弁時間及び前記上限クランク角度を利用して前記燃料供給弁の開弁開始クランク角度を算出する開弁開始クランク角度算出手段と、
    前記開弁開始クランク角度に基づいて前記燃料供給弁の開弁開始時期を制御する開弁開始時期制御手段と、を備えたことを特徴とするガスエンジン。
  2. 前記副室圧推定手段は、エンジン回転数及び吸気圧に対し、前記副室の圧力を関係付けた副室圧算出マップを用いて前記副室の圧力を推定することを特徴とする請求項1に記載のガスエンジン。
  3. 前記上限クランク角度算出手段は、前記副室と前記燃料通路との圧力差に対し、クランク角度を関係付けた上限クランク角度算出マップを用いて前記上限クランク角度を算出することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のガスエンジン。
  4. 前記要求燃料量算出手段は、エンジン回転数及び吸気圧に対し、要求燃料量を関係付けた要求燃料量算出マップを用いて前記要求燃料量を算出することを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれか一項に記載のガスエンジン。
  5. 前記開弁時間算出手段は、前記副室と前記燃料通路との圧力差に応じた前記燃料供給弁の開弁時間と流量との関係を示す特性線を用いて前記燃料供給弁の開弁時間を算出することを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれか一項に記載のガスエンジン。
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