JP2012017806A - 免震支承装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】積層ゴムとストッパー部材からなる支承装置であって、設計地震動以上の地震動が加わったときに、積層ゴムがストッパーに衝突する際の衝撃により、支承装置が破損することを防ぎ、また、衝突時の建物に及ぶ衝撃が大きいことにより、建物内部に設置された物品が破損することを防ぐ。
【解決手段】積層ゴム3と、そのストッパー部材4からなる支承装置であって、ストッパー部材4の下端は、積層ゴム3の下端と接し、積層ゴム3に面するストッパー部材4の支え面5は、下端から上端に向けて積層ゴム3から遠ざかると共に、鉛直断面視において積層ゴム3の側に凸状であることにより、設計地震動以上の地震動が加わっても、積層ゴム3は水平剛性を徐々に増しながら、支え面5の上側の凸状の支え面5bに面着することにより、積層ゴム3がストッパー部材4に衝突する際の衝撃力を緩和する支承装置。
【選択図】図1

Description

本発明は、建物の免震支承装置に関する。
近年、マンション、事務所ビルなどに免震構造が採用されるケースが増えている。これらの免震構造は、水平方向の剛性の小さい積層ゴムを用いて、建物の固有周期を伸ばし、大きな地震加速度が建物に伝わらないようにしたものが代表的である。積層ゴムは、ゴム層と鋼板を交互に幾層にも積層して、ゴム層の水平方向のせん断変形のみを自由にすることにより、鉛直方向に堅く、水平方向に柔らかい性質を有するものである。
従来から、設計地震動等所定の入力を超えたときの水平変位を抑制する為に、積層ゴムによる支承装置とは別に、当該変位を抑制する装置(ストッパー部材)を設ける思想が知られていた。例えば、特許文献1の変形制限部材(3)、特許文献2のワイヤー(11)、ストッパー部(18)などがこれに相当する。しかし、積層ゴムによる支承装置が、過大な外力の作用によって大きく変位したとき、当該ストッパー部材に積層ゴム等が衝突すると、その際の衝撃が建物に及び、建物内部に設置された設備が損傷するという問題が考えられる。
上記問題に対して、特許文献3では、積層ゴムの外周を取り囲む環状のストッパー部(6)に、弾性ゴム(8)を取付けた構造が提案されている。当該ストッパーが効き始めるときから、ストッパー部材の弾性ゴムにより、変形を柔らかく抑制することが可能となる。この構造によれば、積層ゴムが大きく変形した時点で、当該積層ゴムは、ストッパーの弾性ゴムに衝突するものの、その衝撃は弾性ゴムにより緩和される。しかしながら、同構造では、鉛直方向の荷重が大きく、変形した積層ゴムの復元力特性に与える影響が考慮されていない。したがって、ストッパーの水平方向の変形を、座屈が生じない範囲に制限する必要があり、結果的に大きな水平方向の変位を許容することは出来ないという問題がある。
鉛直方向の常時圧縮荷重が積層ゴムに加えられる状態における、積層ゴムに加えられる水平力F(水平方向の力)と、積層ゴムの変位δとの間には、一般に、図5に示される関係がある。すなわち、水平力Fが増えるとこれに伴い、積層ゴムの水平方向の変位δは増加するが、積層ゴムの変位δが所定の値aを超えると、積層ゴムは座屈を生じて、水平方向の復元力は急速に失われる。ここで座屈とは、鉛直方向の圧縮荷重を受ける積層ゴムが、水平方向の荷重・変形に伴い、ある時点で急激に鉛直方向の荷重支持力を失う現象をいう。座屈が起こると同時に水平方向の復元力も急激に失われる。その様子を図5に模式的に示す。
一方、特許文献4では、積層ゴムの外周を取り囲む、バックアップ積層ゴム支承環2が形成され、当該バックアップ積層ゴム支承環の積層ゴムに面する側面が、上部に向かって外部側に傾斜した倒立円錐状である免震支持装置が提案されている。この積層ゴム支承環の傾斜の角度は、中心に配置される積層ゴム1の設計限界変形に対応して決定されている。そして、積層ゴム1の変形が許容変形量に達した状態でも、積層ゴム支承環2は積層ゴム1と協働して、建物の鉛直荷重を受け持つとされている。しかしながら、この構造においても、積層ゴムがバックアップ積層ゴム支承環に当接する前に座屈を生じてはならないことから、バックアップ積層ゴム支承環までの距離、あるいはバックアップ積層ゴム支承環の積層ゴムに面する側面の傾斜角を大きく取ることが出来ないという問題がある。さらに、積層ゴムがバックアップ積層ゴム環に衝突した際には、剛体に衝突した場合に比較すれば軽減されているとはいえ、衝撃力を発生させるという問題があった。
特開平01−203542 特開平09-067956 実開平02-101832 実公平05-020808
従来技術が有する上記のような問題に鑑み、本発明は以下のことを目的として、大きな変形を許容すると同時に、建物に加えられる衝撃を緩和する、あるいは発生させない、積層ゴムとストッパー部材から構成される支承装置を提供する。すなわち、積層ゴムに地震等により、所定以上の水平力が作用して積層ゴムが大きく変形した場合にも、座屈を生じず、積層ゴムの損傷を防止し、水平復元力、荷重支持力が失われることを防止し、また、積層ゴムがストッパー部材に当接する際の衝撃を和らげる。
上記の課題を解決するために、本発明の一実施の態様では、積層ゴムと、ストッパー部材とを有し、該ストッパー部材の上端(又は下端)は、前記積層ゴムの上端(又は下端)に近接し、該ストッパー部材の前記積層ゴムに面する支え面は、前記上端(又は下端)から他端へ向けて該積層ゴムから遠ざかると共に、鉛直断面視において積層ゴムの側に凸状である支承装置を提案する。
上記の構造を有する支承装置において、積層ゴムの水平方向の変形に伴い、ある時点でストッパー部材の支え面と積層ゴムの側面が当接する。その後さらに、積層ゴムが水平方向に変形するときには、積層ゴムの側面が支え面と接する範囲は次第に増加し、当該積層ゴムの水平方向の変形は徐々に増加する。
積層ゴムのうち支え面に接触した部分は、当該支え面によって、それ以上の水平方向の変形が拘束される。したがって、積層ゴムの支え面に接触していない部分だけが、さらに水平方向に変形する。この積層ゴムの、水平方向に変形可能な部分の高さは、変形前の(当初の)積層ゴムの高さより低く(小さく)なり、それ以上の水平方向の変形に対しては、実質的に縦横比が当初の積層ゴムより小さな積層ゴムとして挙動する。水平方向の変形がさらに増大した場合には、積層ゴムと支え面との接触範囲はさらに増大し、水平方向の変位が増大すると共に両者の接触範囲が増大して、水平方向に変形する積層ゴムの実質的高さは減少し、その分、水平方向の剛性を増していく。
積層ゴムの上記挙動から、積層ゴムの水平方向の最大変位(積層ゴムが全高さにわたって支え面に接触する状態)に到るまでの間、徐々に積層ゴムの水平方向の剛性を高めることにより、積層ゴムがストッパー部材により制止される際の衝撃を緩和することができる。あるいは、積層ゴムの全側面が、ストッパー部材の支え面と接触するに到らないように、その変形を抑制することが可能になる。積層ゴムの側面が、支え面と接触した状態では、鉛直方向荷重の一部を当該支え面が負担し、同時に、積層ゴムの実質的な縦横比が小さくなるので、積層ゴムは座屈を生じない。すなわち、本発明によれば、積層ゴムが所定の変形(最大許容変形)を超えたときの座屈を防ぐとともに、設計地震動に対する最大変形の直前で、水平方向の剛性を高めつつ、積層ゴムは徐々に最大許容変形に達することとなり、建物に対する衝撃を緩和することができる。
本発明の一実施の態様では、前記支え面が、鉛直断面視において、上端又は下端から所定の範囲で直線状である支承装置を提案する。
支え面が、鉛直断面視において、上端又は下端から所定の範囲で直線状であることにより、積層ゴムの水平方向の変形が所定の範囲内である場合には、積層ゴムは傾斜面である支え面と接触することがなく、積層ゴムによる地震動の吸収が可能となる。
本発明の一実施の態様では、前記支え面が、鉛直断面視において直線状である範囲は、設計地震動に対する前記積層ゴムの最大変形時に該積層ゴムと該支え面が当接するように設定される支承装置を提案する。
支え面の直線状である範囲を設計地震動に対する積層ゴムの最大変形時に積層ゴムと支え面が当接するように設定することにより、設計地震動以内の地震動が生じたときには、積層ゴムは支え面と接触することがなく、地震動の吸収が可能となる。
本発明の一実施の態様では、支え面が、鉛直断面視において直線状である範囲は、積層ゴムの最大許容変形時に該積層ゴムと該支え面が当接するように設定される支承装置を提案する。
支え面の直線状である範囲を、積層ゴムの最大許容変形時に該積層ゴムと該支え面が当接するように設定することにより、設計地震動の許容範囲を増大させ、しかも積層ゴムの座屈を防止することが出来る。
本発明の一実施の態様では、支え面が、鉛直断面視において直線状である範囲は、積層ゴムと支え面が当接したあとの残存積層ゴムの水平方向の剛性要求に基づいて設定される支承装置を提案する。
支え面の直線状である範囲を、積層ゴムと支え面が当接したあとの、残存積層ゴムの水平方向の剛性要求に基づいて設定することにより、残存積層ゴムの水平方向の剛性を考慮した、最適な支え面の直線上の範囲を設定でき、積層ゴムが支え面に当接した後の衝撃を和らげることが出来る。
本発明の一実施の態様では、支え面が、上端又は下端から鉛直断面視において曲線状である支承装置を提案する。
支え面が曲線部分からのみなるために、設計地震動の範囲内である地震動に対しても、積層ゴムの変位を支え面により減少させることが可能となる。
本発明の一実施の態様では、ストッパー部材は積層ゴムの周囲に設けられ、支え面は積層ゴムの外周面に面する支承装置を提案する。
ストッパー部材は積層ゴムの周囲に設けられているため、積層ゴムのどの方向から水平力が加わった場合でも、積層ゴムはストッパー部材の支え面により支持されることが可能となる。
本発明の一実施の態様では、積層ゴムは中空の水平断面を有し、ストッパー部材は積層ゴムの中空部に設けられ、支え面は積層ゴムの中空の内周面に面する支承装置を提案する。
ストッパー部材を、中空積層ゴムの中空部に設けることにより、免震装置の設置面積をよりコンパクトなものとすることができる。
本発明の一実施の態様では、中空の積層ゴムの周囲にさらにストッパー部材が設けられ、当該ストッパー部材の支え面は、中空の積層ゴムの外周面に面する支承装置を提案する。
中空の積層ゴムの周囲に、さらにストッパー部材が設けられることにより、積層ゴムの変形を防止するストッパー部材をさらに強化することが出来る。
本発明の一実施の態様では、積層ゴムおよびストッパー部材は、積層ゴムの中心軸の周りに回転形状を有する支承装置を提案する。
積層ゴムおよびストッパー部材を、積層ゴムの中心軸を中心とした回転形状とすることにより、どの方向からの地震動にも耐えられる構造とすることができる。
本発明によれば、建物に加えられる衝撃力を緩和する、ストッパー部材付の支承装置を提供することができる。すなわち、建物に地震等による大きな水平力が作用した際に、積層ゴムが大きく変形することにより、当該積層ゴムが座屈するのを防ぐことができる。また、積層ゴムがストッパー部材に当接する際の衝突時の衝撃を和らげ、その後、積層ゴムが座屈することを防止することができる。
以下本発明を、各図に示す実施例に基づいて説明する。
図1は、本発明の第1の実施例の概略を示す断面図である。本図において、1は免振支承を有する建物等の免震構造物(図示なし)の基礎を、2は免震構造物の上部構造を示す。基礎1と上部構造2の間には積層ゴム3が設けられている。免震構造物には、その大きさ、形状等に応じて、通常複数の積層ゴムが設けられている。4は、ストッパー部材である。積層ゴム3とストッパー部材4は、積層ゴム3の中心軸3cの周りに回転形状を成している。
免震設計の都合上、積層ゴム及びそのストッパー部材は、積層ゴムの中心軸を中心として、回転形状、すなわち円柱形状の積層ゴムとラッパ形状のストッパー部材が代表的な形状であるが、本発明に係る積層ゴム及びストッパー部材は、必ずしも回転形状を有している必要はない。設置位置の制約などにより、断面が楕円の円柱形状の積層ゴム、そしてその周囲を同様の形状で取り巻くストッパー部材であってもよい。また、必要であれば、断面が多角形の角柱形状の積層ゴムなどの構成も想定される。
図1において、積層ゴム3の外周に、上部に昇るに従ってラッパ状に開いた形状のストッパー部材4が設けられている。その具体的な形状の例として、積層ゴム3の外周面3aに面する、ストッパー部材4の支え面5の下端部は、積層ゴム3の下端部に近接して設けられる。図1において、当該支え面5は下端部から上端部に向けて積層ゴムから遠ざかる形状となっている。当該支え面5は、断面視で直線をなす直線部5aと、曲線をなす曲線部5bとから構成されている。その結果、図1の鉛直断面視において、当該支え面5は積層ゴム3の側に凸状となっている。また、ストッパー部材4の直線部5aは、設計地震動に対する積層ゴム3の最大変形時に、積層ゴム3の外周面3a下部から中腹部に至るまで同時に接触するような直線勾配を持っている。
図1には、ストッパー部材4の支え面5の下端部が、積層ゴム3の下端部に近接して設けられる形態が示されているが、ストッパー部材4の形状は、その上端部が積層ゴム3の上端部と近接し、当該支え面5は、上端から下端に向けて積層ゴム3から遠ざかるような形態もありうる。すなわち、図1に示される形態と、ちょうど上下逆さまとなる態様も可能である。本明細書では、その一例として、支え面5の下端部と積層ゴム3の下端部が近接して設けられる態様に基づいて、以下本発明を説明する。
ストッパー部材の下端部(あるいは上端部)と積層ゴムの下端部(あるいは上端部)を、どれだけ近接して設けるかについては様々な態様がありうる。本明細書で記載する本発明の優れた作用・効果を発揮できる範囲で、下端部同士(あるいは上端部同士)を接触させたり、所定の距離だけ離して設けることは可能である。
ストッパー部材4は、硬質高強度の部材からなることが好ましいが、設計地震動に基づく水平力による積層ゴム3の変形を支え得る程度の強度を有する限り、弾性体を用いることも不可能ではない。例えば、鉄筋コンクリートあるいは鋼鉄製のストッパー部材を設けることが出来る。あるいは、積層ゴム、弾性体であってもよい。
ストッパー部材4の支え面5には、図1に示すように、断面視で曲線の曲線部5bが設けられている。所定以上の水平力(例えば、図2の右向きの矢印)が働いた場合、積層ゴム3の上部が、この曲線部5bの曲線に従って変形することにより、水平方向の積層ゴム3の変位が制限される。この際、積層ゴム3の剛性(見かけ上の剛性あるいは実効上の剛性)は徐々に高まり、上部構造物2への衝撃を緩和する。最終的には、積層ゴム3の水平方向の変形が座屈を生じる変形を越える前に、積層ゴム3は硬質高強度のストッパー部材4により支えられるので、積層ゴム3が座屈することを防ぐことが出来る。
ここで、地震動による大きな水平力に対して、例えば、以下のような設計をすることができる。
(1)設計地震動に対する対策
当該建物に設計された範囲内の地震動が発生したときは、積層ゴム3により建物の振動は吸収される。すなわち、積層ゴム3の外周面3aは、ストッパーの支え面5の直線部5aに当接することなく、当該地震動による水平方向の変形を吸収する。
(2)設計地震動を超えた場合の対策
当該建物に設計された地震動を超える地震動が発生したときは、設計地震動に対する当該積層ゴム3の最大変形となり、積層ゴム3の外周面3aはストッパー部材4の支え面5の直線部5aに当接する。このとき、積層ゴム3の変形は、積層ゴム3が座屈を生じる最大許容変形未満であることが望ましい。
(3)座屈を防止するための対策
設計地震動を超える地震動に対して、上記にように積層ゴム3がストッパー部材4の支え面に当接して以降、支え面5が存在しなければ、積層ゴム3は座屈する可能性がある。この座屈を防止するために、支え面5の直線部5aの範囲及び曲線部5bの曲線の傾きを調整することができる。
ここで設計地震動とは、免震構造の設計時に考慮される地震動を指す。具体的には、当該地震動による積層ゴムの変形量は、積層ゴムの側面がストッパーの支え面に当接するときの変形(これを設計地震動に対する最大変形と呼ぶ)と設定することができる。積層ゴムの変形が当該最大変形量以下である場合には、積層ゴムは、線形的な挙動を示し、衝撃を発生することも無い。この最大変形は、積層ゴムの許容応力および座屈を生じないという点から許容されるものであることが必要である。
設計地震動を越えた場合であって、積層ゴム3に前記最大変形を超える変形が発生するときには、図2に示すように、積層ゴム3のうち支え面5の直線部5aと未だ接していない部分は、積層ゴム3の水平方向の変形が支え面5によって漸次制限されるために、変形の増大に伴って水平方向の剛性が上昇する。ここで、積層ゴム3の全体の高さ(図1の高さH)に比べて、支え面5と未だ接触していない残存積層ゴムの高さ(図1の高さh)は小さくなっている。従って、当該積層ゴムの水平方向の剛性は、当初の積層ゴム全体の剛性より大きくなる。
図6に、本発明による支承装置における、積層ゴムの変形量(変位)と水平方向に加わる力との関係を模式的に示す。図6において、縦軸は積層ゴムに加えられる水平力Fを、横軸は積層ゴムの水平方向の変位δを示す。積層ゴム3に加えられた水平力が増加すると共に、積層ゴム3の水平方向の変位δは増加する。積層ゴム3の外周面3aがストッパー部材4の支え面5の直線部5aに当接して変位δが所定の値bに達すると、積層ゴム3のうち、支え面5の直線部に面着した部分は、それ以降の水平方向の変位が制限される。
その後さらに、積層ゴム3に水平方向の力が加わるときには、積層ゴム3の変形は、その部分よりさらに上側の部分(残存積層ゴム)の水平方向の変形に限定される。この変形可能な積層ゴム3の残存高さは、当初の積層ゴム3の高さより低く(小さく)なり、実質的に、当初の積層ゴム3より縦横比が小さな積層ゴム3として挙動する。積層ゴム3の当該上側の部分は、支え面5の曲線部5bの曲線に従って、漸次支え面5に接触する。
この曲線部5bの曲線により、当該部分の水平方向の剛性を調節することが出来る。すなわち、積層ゴム3は、断面視で上側に凸状の支え面との接触範囲が徐々に増大するのに伴って、積層ゴム3の残存高さが減少し、その結果、積層ゴム3の水平剛性は次第に増大する。最終的には、積層ゴム3が座屈することなく、硬質高強度のストッパー部材4に全側面が当接して積層ゴム3の変形は阻止される。ただし、ストッパー部材4が弾性体であれば、さらに変形することも可能である。
また、支え面5の直線部5aの範囲は、残存積層ゴムの剛性要求に基づいて設定される。すなわち、積層ゴム3の座屈を防止するために必要な、残存積層ゴムの水平方向の剛性の大きさに基づいて、直線部分の範囲が決定される。
従来は、積層ゴムに最大許容変形以上の変形が発生したときは、図5に示すように、積層ゴム3は変形途中で座屈を起こすことがあり、積層ゴム3が、ストッパー部材4と当接するときには、大きな衝撃を受けることとなっていた。しかし、上述するように、本発明においては、設計地震動を超える地震動が発生したときには、積層ゴム3はストッパー部材4の支え面5の直線部5aに当接し、それ以上の水平方向の変位に対しては、支え面の曲線部5bにより、残存積層ゴムの水平方向の剛性が徐々に上がることにより、上記衝撃を減らすと共に、積層ゴム3の座屈が防止される。
図3は、本発明の第2の実施例の概略を示す断面図である。本図において、図1と同じ箇所については説明を省略する。この実施例においても、基礎部1と上部構造物2の間には積層ゴム3が設けられている。しかし、この積層ゴム3の形状は中空の水平断面を有するところが第1の実施例とは異なる。積層ゴム3の中空部にはストッパー部材4が設けられている。さらに積層ゴム3の外側にも、第1の実施例と同様に、さらにストッパー部材4が設けられていてもよい。積層ゴム3とストッパー部材4は、積層ゴムの中心軸3cの周りに回転形状を成して設けられている。この形状は回転形状に限られないのは、第1の実施例の場合と同様である。また、ストッパー部材4は、図3に示される形態と、天地逆さまとなる態様も可能である。
図3において、積層ゴム3の中空部に、上方に向かって閉じた山形のストッパー部材4が設けられている。その具体的な形状の例として、図3に示すように、積層ゴム3に面するストッパー部材4の支え面5の下端部は、積層ゴム3の下端部に近接して設けられる。当該支え面5は、図3において、下端部から上端部に向けて、積層ゴム3の内周面3bから遠ざかる形状をしている。当該支え面5は、直線をなす直線部と、曲線をなす曲線部から構成されているのは、第1の実施例の場合と同様である。その結果、当該支え面5は図3の鉛直断面視において、積層ゴム3の内周面側に凸状となっている。また、ストッパー部材4の直線部は、積層ゴム3の水平方向の変形が所定の値になったときに、積層ゴム3の内周面下部から中腹部まで一様に接触する直線勾配を持っている。
第1、第2の実施例における、支え面5の直線部5aの長さ、曲線部5bの長さをどのように決めるかは、直線部5aを有しない形状も含めて、設計時に適宜決定できる。曲線部5bは、円弧形状であってもよいし、円弧以外の曲線状であってもよい。円弧形状の場合、その曲率半径をどのように決めるかは、設計時に適宜決定できる。
図4は、本発明の第3の実施例の概略を示す断面図である。この実施例では、ストッパー部材4の支え面5は、鉛直断面視において積層ゴムの側に凸状であるが、支え面5の直線部5aが設けられていない。支え面の全てが、曲線部5bで構成されているところが第1、第2の実施例と異なる。この曲線部の曲率を調整することにより、積層ゴム3の水平方向の変形量と、ストッパー部材4による変形抑止力、すなわち支承の力と積層ゴムの水平方向の変形量の関係を調整することができ、設計地震動を超えたときの、積層ゴムとストッパーとの衝撃を発生させないようにすることも出来る。本実施例においても、ストッパーを積層ゴムの中空部に設置する構成をとることは可能である。また、ストッパー部材4は、図4に示される形態と、天地逆さまとなる態様も可能である。
本発明は、構造物とその基礎との間に積層ゴムを配置した、免震構造物における支承装置に関する。
図1は、本発明による支承装置の第1の実施例を示す断面図である。 図2は、水平力が加わったときの、本発明に係る支承装置の変形形状を示す断面図である。 図3は、本発明による支承装置の第2の実施例を示す断面図である。 図4は、本発明による支承装置の第3の実施例を示す断面図である。 図5は、鉛直荷重を受ける積層ゴムの水平方向の力とその水平方向の変形量(変位)δとの関係を示す図である。 図6は、本発明による支承装置における、水平方向の力とその水平方向の変形量(変位)δとの関係を示す図である。
1 基礎
2 上部構造物
3 積層ゴム
3a 積層ゴムの外周面
3b 積層ゴムの内周面
3c 積層ゴムの中心軸
4 ストッパー部材
5 支え面
5a 支え面の直線部
5b 支え面の曲線部

Claims (10)

  1. 積層ゴムと、ストッパー部材とを有し、該ストッパー部材の上端又は下端は、前記積層ゴムの上端又は下端に近接し、該ストッパー部材の前記積層ゴムに面する支え面は、前記上端又は下端から他端へ向けて該積層ゴムから遠ざかると共に、鉛直断面視において積層ゴムの側に凸状である支承装置。
  2. 前記支え面が、鉛直断面視において、前記上端又は下端から所定の範囲で直線状である請求項1に記載の支承装置。
  3. 前記支え面が、鉛直断面視において直線状である範囲は、設計地震動に対する前記積層ゴムの最大変形時に該積層ゴムと該支え面が当接するように設定されている請求項2に記載の支承装置。
  4. 前記支え面が、鉛直断面視において直線状である範囲は、前記積層ゴムの最大許容変形時に該積層ゴムと該支え面が当接するように設定されている請求項2に記載の支承装置。
  5. 前記支え面が、鉛直断面視において直線状である範囲は、前記積層ゴムと該支え面が当接したあとの残存積層ゴムの水平方向の剛性要求に基づいて設定される、請求項2ないし4の何れか一項に記載の支承装置。
  6. 前記支え面が、前記上端又は下端から鉛直断面視において曲線状である請求項1に記載の支承装置。
  7. 前記ストッパー部材は前記積層ゴムの周囲に設けられ、前記支え面は該積層ゴムの外周面に面する、請求項1ないし6の何れか一項に記載の支承装置。
  8. 前記積層ゴムは中空の水平断面を有し、前記ストッパー部材は該積層ゴムの中空部に設けられ、前記支え面は該積層ゴムの中空の内周面に面する、請求項1ないし6の何れか一項に記載の支承装置。
  9. 前記中空の積層ゴムの周囲にさらにストッパー部材が設けられ、当該ストッパー部材の支え面は、前記中空の積層ゴムの外周面に面する請求項8に記載の支承装置。
  10. 前記積層ゴムおよび前記ストッパー部材は、当該積層ゴムの中心軸の周りに回転形状を有する、請求項1ないし9の何れか一項に記載の支承装置。
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