JP2012019079A - マスキング用樹脂組成物 - Google Patents

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和倫 岡野
Asami Sato
麻美 佐藤
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Abstract

【課題】電解液の滲みあがり抑制作用が良好なマスキング用樹脂組成物を提供する。
【解決手段】(A)(A−1)芳香族テトラカルボン酸及び/または脂環式テトラカルボン酸からなる酸成分、(A−2)シロキサン単位を含まないジアミン成分、および(A−3)ジアミノポリシロキサンを反応させて得られるシロキサン変性ポリイミド前駆体、(B)平均粒径10〜100nmの微細シリカ、(C)有機溶剤を必須成分とし、
(A−3)ジアミノポリシロキサンの官能基当量が300〜4000、前記(A)シロキサン変性ポリイミド前駆体中のジアミノポリシロキサン(A−3)の含有量が15〜45モル%、樹脂組成物中の成分(A)と(B)の合計量が25質量%〜70質量%であり、
(B)微細シリカを、前記(A)シロキサン変性ポリイミド前駆体に対して1質量%〜20質量%含有することを特徴とするマスキング用樹脂組成物である。
【選択図】なし

Description

本発明は、導電性重合体を固体電解質層として用いた固体電解コンデンサの製造に適したマスキング用樹脂組成物に関する。
固体電解コンデンサの基本素子は、一般にエッチング処理された比表面積の大きなアルミニウム、タンタル、ニオブ等の弁作用金属箔からなる陽極基体に誘電体の酸化皮膜層を形成させ、この外側に対向する電極として固体の半導体層(以下、「固体電解質」という)を形成させ、さらに、半導体層上に導電ペーストなどの導電体層を形成させて作製される。
このような素子は単独で、または積層してリード線を接合し、全体をエポキシ樹脂などで完全に封止してコンデンサ部品として幅広く電気製品に使用されている。
一般的に、誘電体酸化皮膜上に導電性重合体を形成させる手法として、電解酸化重合法および化学酸化重合法が知られている。化学酸化重合法は、反応の制御または重合膜形態の制御が難しいが、固体電解質の形成が容易で、短時間に大量生産が可能であるため、種々の方法が提案されている。
例えば、陽極基体をモノマーを含む溶液に浸漬する工程と酸化剤を含む溶液に浸漬する工程を交互に繰り返すことにより層状構造を有する固体電解質を形成させる方法が提案されている(特許文献1)。
この方法によれば、厚みが0.01〜5μmの層状構造を有する固体電解質層が形成されることによって、高容量、低インピーダンス、かつ耐熱性に優れた固体電解コンデンサを製造することができる。しかしながら、固体電解質層を形成させる層状構造部の層間の空間部分が大きいという問題がある。そのため、コンデンサ素子を複数積層する積層型コンデンサ用の素子として、固体電解質層全体の一層の薄膜化が求められている。
層状構造の固体電解質層を形成させることなく、コンデンサ素子の細孔内および外表面に固体電解質を形成させる方法として、モノマー化合物を含む溶液にマスキング層を形成させた陽極基体を浸漬した後、酸化剤溶液中で重合し、酸化剤を洗浄した後に乾燥するサイクルを繰り返す方法が提案されている(特許文献2)。
ここで、弁作用金属の化成処理に際しては、化成液が固体電解コンデンサの陽極となる部分に滲み上がるのを防止し、かつ後工程で形成される固体電解質(陰極部分)との絶縁を確実とするために一般的にマスキング層が設けられている。
マスキング材としては一般的な耐熱性樹脂、好ましくは溶剤に可溶または膨潤しうる耐熱性樹脂またはその前駆体、無機質微粉とセルロース系樹脂からなる組成物などが使用されている。具体例としてはポリフェニルスルホン(PPS)、ポリエーテルスルホン(PES)、シアン酸エステル樹脂、フッ素樹脂(テトラフルオロエチレン、テトラフルオロエチレン・パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体など)、低分子量ポリイミドおよびそれらの誘導体およびその前駆体などが挙げられ、なかでも、低分子量ポリイミド、ポリエーテルスルホン、フッ素樹脂およびそれらの前駆体が主に使用され、特に低分子量ポリイミドが好ましいとされている(特許文献3〜7)。
特許第3187380号公報 特開平09−306788号公報 特開2004−111954号公報 特開2007−35888号公報 特開2007−67199号公報 特開2007−123733号公報 WO2008/038584パンフレット
しかしながら、化学的重合方法により固体電解質を形成させる場合には、電解液の滲みあがりが製品の性能に多大な影響を与えていた。マスキング層が薄いと電解液の滲みあがり抑制効果が不十分で、電解質の形成が不均一となるため、漏れ電流の上昇につながる。また、マスキング層を厚く形成させて電解液の滲みあがり抑制効果を向上させると、製品の厚みの増大につながる。
上記事情に鑑み、本発明の目的は、電解液に対するマスキング性(電解液の滲みあがり抑制作用)が良好なマスキング用樹脂組成物を提供することにある。
本発明者らは、鋭意検討を重ねた結果、平均粒径10〜100nmの微細シリカを含むシロキサン変性ポリイミド前駆体が、電解液に対して良好なマスキング性を発現できることを見出し、本発明を完成させた。
すなわち、本発明は
(1)(A)(A−1)芳香族テトラカルボン酸及び/または脂環式テトラカルボン酸からなる酸成分、(A−2)シロキサン単位を含まない芳香族ジアミン成分、および(A−3)ジアミノポリシロキサン樹脂を反応させて得られるシロキサン変性ポリイミド前駆体、(B)平均粒径10〜100nmの微細シリカ、(C)有機溶剤を必須成分とし、
(A−3)ジアミノポリシロキサンの官能基当量が300〜4000、前記(A)シロキサン変性ポリイミド前駆体中のジアミノポリシロキサン(A−3)の含有量が15〜45モル%、樹脂組成物中の成分(A)と(B)の合計量が25質量%〜70質量%であり、
(B)微細シリカを、前記(A)シロキサン変性ポリイミド前駆体に対して1質量%〜20質量%含有することを特徴とするマスキング用樹脂組成物、
(2)前記マスキング用樹脂組成物の硬化物が固体電解コンデンサ用電解液に対して撥液性を有し、該硬化物と水との接触角が90度以上である上記(1)に記載のマスキング用樹脂組成物、
(3)25℃における粘度が、100〜10000mPa・sである上記(1)または(2)に記載のマスキング用樹脂組成物、
(4)前記(C)の有機溶剤がN−メチルピロリドンおよび/またはジイソブチルケトンである上記(1)〜(3)のいずれかに記載のマスキング用樹脂組成物および
(5)固体電解コンデンサ用である上記(1)〜(4)のいずれかに記載のマスキング用樹脂組成物を提供する。
本発明によれば、電解液に対するマスキング性に優れたマスキング層を得ることができるため、短絡不良が少なく、また、撥液性が良好であることからマスキング層の厚みを薄くすることができるため、固体電解コンデンサチップ内のコンデンサ素子の積層枚数を増やすことが可能となり、高容量化が可能で、等価直列抵抗のバラツキが小さい積層型固体電解コンデンサに適したマスキング用樹脂組成物を提供することができる。
以下、本発明を詳細に説明する。
まず、成分(A)のシロキサン変性ポリイミド前駆体について説明する。
本発明のマスキング用樹脂組成物中の成分(A)のシロキサン変性ポリイミド前駆体中の成分(A−1)である芳香族テトラカルボン酸及びまたは脂環式テトラカルボン酸からなる酸成分(酸無水物)としては、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(BPDA)、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物(BTDA)、3,3’,4,4’−ビフェニルエーテルテトラカルボン酸二無水物(OPDA)、3,3’,4,4’−ジフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物(DSDA)、ビシクロ(2,2,2)−オクト−7−エン−2,3,5,6−テトラカルボン酸二無水物(BCD)、1,2,4,5−シクロヘキサンテトラカルボン酸二無水物(H−PMDA)、ピロメリット酸二無水物(PMDA)、2,2−ビス(3,4−ジカルボンキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン二無水物(6FDA)、5−(2,5−ジオキソテトラヒドロフリル)−3−メチル−3−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸無水物(CP)からなる群から選ばれる少なくとも一種を挙げることができる。
成分(A−2)であるシロキサン単位を含まない芳香族ジアミン成分というのは、後で述べる成分(A−3)であるジアミノポリシロキサン以外の芳香族ジアミンのことである。具体的には、ビス(3−アミノプロピル)エーテルエタン、3,3’−ジアミノ−4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホン(SO2−HOAB)、4,4’−ジアミノ−3,3’ジヒドロキシビフェニル(HOAB)、2,2−ビス〔4−(4−アミノフェノキシ)フェニル〕ヘキサフルオロプロパン(HOCF3AB)、シロキサンジアミン、N,N−ビス(3−アミノプロピル)エーテル、1,4−ビス(3−アミノプロピル)ピペラジン、イソホロンジアミン、1,3−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、3,3’−ジメチル−4,4’−ジアミノジシクロヘキシルメタン、4,4’−メチレンビス(シクロヘキシルアミン)、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル(p−DADE)、3,4’−ジアミノジフェニルエーテル(m−DADE)、3,3’−ジアミノジフェニルエーテル、4,4’−ジアミノ−ジフェニルスルホン(p−DDS)、3,4’−ジアミノ−ジフェニルスルホン、3,3’−ジアミノ−ジフェニルスルホン、2,4’−ジアミノジフェニルエーテル、1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン(m−TPE)、1,3−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン(APB)、2,2−ビス〔4−(4−アミノフェノキシ)フェニル〕プロパン(BAPP)、2,2−ビス〔4−(4−アミノフェノキシ)フェニル〕ヘキサフルオロプロパン(HF−BAPP)、ビス〔4−(4−アミノフェノキシ)フェニル〕スルホン(p−BAPS)、ビス〔4−(3−アミノフェノキシ)フェニル〕スルホン(m−BAPS)、4,4’−ビス(4−アミノフェノキシ)ビフェニル(BAPB)、1,4−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン(p−TPE)、4,4’−ジアミノジフェニルスルフィド(ASD)、3,4’−ジアミノジフェニルスルフィド、3,3’−ジアミノジフェニルスルフィド、3,3’−ジアミノ−4,4’ジヒドロキシジフェニルスルホン、2,4−ジアミノトルエン(DAT)、2,5−ジアミノトルエン、3,5−ジアミノ安息香酸(DABz)、2,6−ジアミノピリジン(DAPy)、4,4’−ジアミノ−3,3’ジメトキシビフェニル(CH3OAB)、4,4’−ジアミノ−3,3’ジメチルビフェニル(CH3AB)、9,9’−ビス(4−アミノフェニル)フルオレン(FDA)からなる群から選ばれる少なくとも一種を挙げることができる。
成分(A−3)である官能基当量300〜4000のジアミノポリシロキサン(以下、シロキサンジアミンと称することもある)としては、例えばω,ω- ビス(2- アミノエチル) ポリジメチルシロキサン、ω,ω- ビス(3- アミノプロピル) ポリジメチルシロキサン、ω,ω- ビス(4- アミノフェニル) ポリジメチルシロキサン、ω,ω- ビス(3- アミノプロピル) ポリジフェニルシロキサン、ω,ω- ビス(3- アミノプロピル) ポリメチルフェニルシロキサンなどが挙げられる。
シロキサンジアミンの市販品としては、アミノ変性シリコーンオイルであるKF−8010〔官能基(アミノ基)当量:430〕、X−22−161AS〔官能基(アミノ基)当量:450〕、X−22−161A〔官能基(アミノ基)当量:800〕、X−22−161B〔官能基(アミノ基)当量:1500〕(以上、信越化学工業社製)、BY16−853〔官能基(アミノ基)当量:650〕、BY−16−853B〔官能基(アミノ基)当量:2200〕(以上、東レダウコーニングシリコーン社製)や、オルガノポリシロキサンジアミンであるX−22−9409〔官能基(アミノ基)当量:680〕、X−22−1660B〔官能基(アミノ基)当量:2260〕(以上、信越化学工業社製)を挙げることができる。
ここで、官能基当量が300未満では、硬化物と水との接触角が小さいため、電解液に対する撥液性が低下し、4000を超えると反応性が悪く、マスキング性や耐薬品性に劣るため好ましくない。
また、(A−3)ジアミノポリシロキサン樹脂成分が全樹脂分中に15モル%未満ではマスキング用樹脂組成物がゲル化しやすく、撹拌・加熱に支障をきたし、合成反応が阻害されてしまう。45モル%を超えるとモノマーが未反応の状態で残りやすく、耐薬品性に劣るため好ましくない。
上記成分(A)のシロキサン変性ポリイミド前駆体は前記成分(A−1)、(A−2)および(A−3)を以下のように反応させることにより調製することができる。成分(A−2)であるシロキサン単位を含まない芳香族ジアミンを25℃において窒素雰囲気下で有機溶媒に溶解させる。その後、成分(A−3)であるジアミノポリシロキサンを添加するが、この時25℃で均一にジアミノポリシロキサンを溶解させることができない場合は、任意の温度で加熱し、均一に溶解させることが望ましい。
次に、成分(A−1)である芳香族テトラカルボン酸及び/または脂環族テトラカルボン酸からなる酸成分を加え、室温付近まで冷却した後、1〜3時間程度反応させると、シロキサン変性ポリイミド前駆体が得られる。その後、成分(B)である微細シリカを加え、攪拌しながら反応を行う。成分(A−3)であるジアミノポリシロキサンと成分(A−2)であるシロキサン単位を含まない芳香族ジアミンのモル比は30/70〜99/1であることが好ましい。
反応に用いられる有機溶媒は特に限定されるものではないが、樹脂組成物の主成分を均一溶解可能なものならば、一種類あるいは二種類以上を併用した混合溶媒であっても差し支えない。例えば、フェノール系溶媒、アミド系溶媒(ピロリドン系溶媒、アセトアミド系溶媒など)、オキサン系溶媒(ジオキサン、トリオキサンなど)、ケトン系溶媒(シクロヘキサノンなど)、グライム系溶媒(メチルジグライム、メチルトリグライムなど)などがある。また必要に応じて、ベンゼン、トルエンなどの芳香族炭化水素系溶媒やヘキサン、デカンなどの脂肪族炭化水素系溶媒を、均一に溶解できる範囲で混合し使用することもできる。反応時間の短縮、溶媒散逸の問題により、沸点150℃以上のものがよく、特に200℃以上である有機極性溶媒(例えば、N-メチル-2-ピロリジノン、メチルトリグライムなど)が最も好ましい。
また、シロキサン変性ポリイミド前駆体の分子量は、通常の重縮合系ポリマーの場合と同様に、モノマー成分のモル比を調節することにより制御することができる。すなわち、芳香族及びまたは脂環族テトラカルボン酸無水物の混合物1モルに対し、0.8〜1.2モルのジアミン混合物を使用することが好ましい。このモル比が0.8未満及び1.2を超える場合は低分子量のものしか得られず、充分な耐熱性が得られない。芳香族及びまたは脂環族テテトラカルボン酸無水物の混合物1モルに対し、0.95〜1.05モルのジアミン混合物の使用がより好ましく、0.98〜1.02モルのジアミン混合物の使用が特に好ましい。
溶液中で重合されたシロキサン変性ポリイミド前駆体の溶液は、任意の基材上に塗布され、140℃以下の温度で3〜30分間程度予備乾燥した後、溶剤除去、イミド化のために通常150〜270℃程度の温度で20〜60分程度熱処理され、シロキサン変性ポリイミド前駆体となる。また、フィルム状にする必要がない場合は、任意の方法で溶剤除去、熱処理されて、成分(A)のシロキサン変性ポリイミド前駆体となる。
上記のようにして得られる成分(A)のシロキサン変性ポリイミド前駆体は、接着性に優れており、マスキング用樹脂組成物の樹脂成分として用いられる。
なお、上記150℃以上での熱処理のあとは、イミド化が実質的に完了しているが、さらに完全なイミド化及び低分子量成分の除去のために、270℃で1〜5分程度、熱処理を加えることが好ましい。このイミド化の完了は、イミド化率を測定することにより確認することができる。イミド化率は赤外吸収スペクトル分析法で測定でき、イミド化が実質的に完了したものは、アミド結合に起因する吸収ピークが実質的に観察されず、イミド閉環により生じるイミド環に起因する吸収ピークのみが観察されるようになる。
以上のようにして得られた成分(A)のシロキサン変性ポリイミド前駆体は分子量が約2,000〜200,000である。4,000〜100,000であることがより好ましい。
次に、成分(B)の微細シリカについて説明する。
本発明における成分(B)の微細シリカはマスキング層を形成させるための塗布膜の均一性向上に効果があることから、平均粒径10〜100nmの微細シリカを使用することが必要であり、好ましくは平均粒径10〜50nmである。平均粒径が10nmより小さいと形成されるマスキング層の厚みが薄くなりすぎてしまう傾向にあり、平均粒径が100nmより大きいと塗布性や転写性が損なわれ、何れも固体電解コンデンサ中の電解液に対するマスキング性に劣るため好ましくない。
このような、微細シリカとしては日本アエロジル社製のAEROSIL R972、R974、R976、R976S、R812等が挙げられる。
前記微細シリカの添加量は成分(A)のシロキサン変性ポリイミド前駆体に対して1.0〜20質量%であることが必要であり、3〜10質量%であることが好ましい。微細シリカの添加量が1.0質量%よりも少ないと固体電解コンデンサ中の電解液に対するマスキング性が悪くなり、20質量%より多いとマスキング層の転写性が損なわれ、電解液に対するマスキング性に劣るため好ましくない。
次に、成分(C)の有機溶剤について説明する。
本発明における成分(C)の有機溶剤としては、アセトン、メチルエチルケトン、イソブチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類、酢酸エチル、酢酸ブチル、セロソルブアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、カルビトールアセテート等の酢酸エステル類、セロソルブ、ブチルセロソルブ等のセロソルブ類、カルビトール、ブチルカルビトール等のカルビトール類、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン等が挙げられ、これらの1種又は2種以上を用いることができる。なかでも安定した合成が可能であることからイソブチルケトンおよびN−メチルピロリドンが、特に好ましい。
本発明において、マスキング用樹脂組成物の硬化後の水との接触角が90度以上であることが好ましく、接触角が90度以上であると固体電解コンデンサ中の電解液に対する撥液性に優れ、電解液の滲みあがりが抑制されるためマスキング性に優れている。有機溶剤の量は本発明のマスキング用樹脂組成物中の前記成分(A)と(B)の合計量が下記の範囲になるように調整する。
本発明のマスキング用樹脂組成物中の成分(A)と(B)の合計量は25質量%〜70質量%であることが必要であり、好ましくは40〜60質量%である。成分(A)と(B)の合計量が25質量%よりも少ないとマスキング層の厚みの制御が困難となり、70質量%を超える量ではゲル化し易く、マスキング層の形成が困難になるため好ましくない。
本発明のマスキング用樹脂組成物の25℃における粘度(JIS K5600−2−3に準じて、コーンプレート型粘度計を使用して測定した数値)は、使用される成分(A)のシロキサン変性ポリイミド前駆体の分子量、同添加量および成分(B)の微細シリカの添加量、同平均粒径に依存するが、100〜10000mPa・sが好ましく、さらに好ましくは500〜5000mPa・s程度である。粘度が100mPa・sより小さいと転写後のマスキング層の形状が崩れてしまい、10000mPa・sよりも大きいと転写による安定したマスキング層の形成ができなくなる虞があり、それがマスキング性や外観を低下させる虞があるため好ましくない。
このようにして得られた本発明のマスキング用樹脂組成物の使用例について述べる。
マスキング用樹脂組成物を、エッチドアルミニウム化成箔の所定の位置に、転写法等で上記成分(A)、(B)、および(C)からなるマスキング層形成液を塗布し、乾燥、硬化させてマスキング層を形成させた後、化成処理箔を陽極酸化して誘電体酸化皮膜を形成させる。次いで、3,4−エチレンジオキシフランのようなモノマー化合物を含む溶液に浸漬した後、酸化剤溶液中で重合させ、酸化剤を洗浄した後に乾燥するサイクルを複数回繰り返して導電性重合体層を形成させることができる。
さらに、導電性重合体層を形成させた部分にカーボンペーストと銀ペーストを付けて、所定枚数を積層し、陰極リード端子を接続し、また導電性重合体層の形成されていないアルミニウム箔部分には陽極リード端子を接続して、エポキシ樹脂等で封止することで、固体電解コンデンサとすることができる。
次に、本発明を実施例および比較例により詳細に説明するが、本発明はこれらの例によって限定されるものではない。
[実施例1]
成分(A−2)として4,4’−ジアミノジフェニルエーテル(和歌山精化製、分子量200、以下4,4’−DPEと記載する)4質量部と、成分(C)のN−メチル−2−ピロリドン(三和油化工業社製、表1中ではNMPと記載する)54質量部をガラス製4つ口セパラブルフラスコに投入し、25℃において窒素雰囲気下で、100rpmで10分間撹拌し完全に溶解した。次に、成分(A−3)のジアミノポリシロキサン(信越化学工業社製、KF−8010、官能基当量430)28質量部を加え、撹拌混合しながら加熱し、80℃で10分間保持した後、成分(A−1)の無水ピロメリット酸(ダイセル化学工業社製、分子量218、以下PMDAと記載する)12質量部加え、25℃まで冷却しながら、1時間撹拌して反応させた。
次に、成分(B)の微細シリカ(日本アエロジル社製、AEROSIL R972、平均粒径16nm)2質量部を加えて撹拌し、成分(A)と(B)の合計量(以下、固形分と記載する)46.0質量%、微細シリカがシロキサン変性ポリイミド前駆体に対して4.5質量%、ジアミノポリシロキサンがシロキサン変性ポリイミド前駆体に対して30モル%のマスキング用樹脂組成物を作製した。次に、エッチング処理されたアルミニウム化成箔を3mm×10mmに切り出し、10mmの面の中間に、該面を4mmと5mmの部分に区切るように、両面に幅1mmに上記マスキング用樹脂組成物を塗布し、100℃、3分間で乾燥させた後、200℃、60分で硬化させマスキング層を形成させた。
後で説明する試験方法、及び評価方法を用いて、上記マスキング用樹脂組成物の粘度、塗膜性、接触角、マスキング性、耐薬品性を評価し、その結果を表1に記した。
[実施例2]
4,4’−DPEの代わりに、3,4’−ジアミノジフェニルエーテル(和歌山精化製、分子量200、以下3,4’−DPEと記載する)4質量部とした以外は、実施例1と同様にして、固形分が46.0質量%、微細シリカがシロキサン変性ポリイミド前駆体に対して4.5質量%、ジアミノポリシロキサンがシロキサン変性ポリイミド前駆体に対して30モル%のマスキング用樹脂組成物を作製した。
さらに、実施例1と同様にマスキング層を形成させ、評価を行い、その結果を表1に記した。
[実施例3]
ジアミノポリシロキサンとして、KF−8010の代わりに、X−22−161A(信越化学工業社製、官能基当量800)28質量部を用いた以外は、実施例1と同様にして固形分46.0%のマスキング用樹脂組成物を作製した。実施例1と同様にして、固形分が46.0質量%、微細シリカがシロキサン変性ポリイミド前駆体に対して4.5質量%、ジアミノポリシロキサンがシロキサン変性ポリイミド前駆体に対して19モル%のマスキング用樹脂組成物を作製した。
さらに、マスキング層を形成させ、評価を行い、その結果を表1に記した。
[実施例4]
有機溶剤として、NMPの32質量部とジイソブチルケトン(協和発酵ケミカル社製、以下、DIBKと記載する)22質量部を使用した以外は、実施例1と同様にして、固形分が46.0質量%、微細シリカがシロキサン変性ポリイミド前駆体に対して4.5質量%、ジアミノポリシロキサンがシロキサン変性ポリイミド前駆体に対して30モル%のマスキング用樹脂組成物を作製した。
さらに、実施例1と同様にマスキング層を形成させ、評価を行い、その結果を表1に記した。
[実施例5]
無水ピロメリット酸の代わりに、3,3′,4,4′-ビフェニルエーテルテトラカルボン酸ニ無水物(マナック社製、分子量310.2、以下ODPAと記載する)12質量部加えた以外は、実施例1と同様にして、固形分が46.0質量%、微細シリカがシロキサン変性ポリイミド前駆体に対して4.5質量%、ジアミノポリシロキサンがシロキサン変性ポリイミド前駆体に対して36モル%のマスキング用樹脂組成物を作製した。
さらに、実施例1と同様にマスキング層を形成させ、評価を行い、その結果を表1に記した。
[実施例6]
4,4’−DPEの代わりに、芳香族ジアミン[和歌山精化製の2,2-ビス〔4−(4−アミノフェノキシ)フェニル〕プロパン、分子量410.5、以下、BAPPと記載する]4質量部とした以外は、実施例1と同様にして、固形分が46.0質量%、微細シリカがシロキサン変性ポリイミド前駆体に対して4.5質量%、ジアミノポリシロキサンがシロキサン変性ポリイミド前駆体に対して33モル%のマスキング用樹脂組成物を作製した。
さらに、実施例1と同様にマスキング層を形成させ、評価を行い、その結果を表1に記した。
[実施例7]
NMPを30.0質量部とした以外は、実施例1と同様にして、固形分が60.5質量%、微細シリカがシロキサン変性ポリイミド前駆体に対して4.5質量%、ジアミノポリシロキサンがシロキサン変性ポリイミド前駆体に対して30モル%のマスキング用樹脂組成物を作製した。
さらに、実施例1と同様にマスキング層を形成させ、評価を行い、その結果を表1に記した。
[実施例8]
NMPを85.0質量部とした以外は、実施例1と同様にして、固形分が35.1質量%、微細シリカがシロキサン変性ポリイミド前駆体に対して4.5質量%、ジアミノポリシロキサンがシロキサン変性ポリイミド前駆体に対して30モル%のマスキング用樹脂組成物を作製した。
さらに、実施例1と同様にマスキング層を形成させ、評価を行い、その結果を表1に記した。
[比較例1]
微細シリカを配合しなかった以外は、実施例1と同様にして、固形分が44.9質量%、微細シリカがシロキサン変性ポリイミド前駆体に対して0質量%、ジアミノポリシロキサンがシロキサン変性ポリイミド前駆体に対して30モル%のマスキング用樹脂組成物を作製した。
さらに、実施例1と同様にマスキング層を形成させ、評価を行い、その結果を表1に記した。
[比較例2]
4,4’−DPEを4質量部と、NMPの51質量部、KF−8010を26質量部、PMDAを11質量部、AEROSILR972を10質量部とした以外は、実施例1と同様にして、固形分が50.0質量%、微細シリカがシロキサン変性ポリイミド前駆体に対して24.4質量%、ジアミノポリシロキサンがシロキサン変性ポリイミド前駆体に対して30モル%のマスキング用樹脂組成物を作製した。
さらに、実施例1と同様にマスキング層を形成させ、評価を行い、その結果を表1に記した。
[比較例3]
4,4’−DPEを7.3質量部と、NMPの80質量部をガラス製4つ口セパラブルフラスコに投入し、25℃において窒素雰囲気下で100rpmで10分間撹拌し完全に溶解した。次に、PMDAを8.7質量部加え1時間撹拌して反応させて、固形分が20.0質量%、微細シリカがシロキサン変性ポリイミド前駆体に対して5.3質量%、ジアミノポリシロキサンがシロキサン変性ポリイミド前駆体に対して4モル%のマスキング用樹脂組成物を作製した。
さらに、実施例1と同様にマスキング層を形成させ、評価を行い、その結果を表1に記した。
[比較例4]
微細シリカとして、AEROSIL R972の代わりに、SO−E2(アドマテックス社製、平均粒径500nm)を2質量部とした以外は、実施例1と同様にして、固形分が46.0質量%、微細シリカがシロキサン変性ポリイミド前駆体に対して4.5質量%、ジアミノポリシロキサンがシロキサン変性ポリイミド前駆体に対して30モル%のマスキング用樹脂組成物を作製した。
さらに、実施例1と同様にマスキング層を形成させ、評価を行い、その結果を表1に記した。
[比較例5]
NMP(三和油化工業社製)を160質量部とした以外は、実施例1と同様にして、固形分が21.4質量%、微細シリカがシロキサン変性ポリイミド前駆体に対して4.5質量%、ジアミノポリシロキサンがシロキサン変性ポリイミド前駆体に対して30モル%のマスキング用樹脂組成物を作製した。
さらに、実施例1と同様にマスキング層を形成させ、評価を行い、その結果を表1に記した。
[比較例6]
芳香族ジアミンBAPPを0.1質量部、KF−8008(信越化学工業社製のジアミノポリシロキサン樹脂、官能基当量5700)を43.1質量部、PMDAを0.9質量部とした以外は実施例1と同様にして、固形分が46.1質量%、微細シリカがシロキサン変性ポリイミド前駆体に対して4.5質量%、ジアミノポリシロキサンがシロキサン変性ポリイミド前駆体に対して46モル%のマスキング用樹脂組成物を作製した。
さらに、実施例1と同様にマスキング層を形成させ、評価を行い、その結果を表1に記した。
[比較例7]
NMPを10.0質量部とした以外は実施例1と同様にして、固形分が82.1質量%、微細シリカがシロキサン変性ポリイミド前駆体に対して4.5質量%、ジアミノポリシロキサンがシロキサン変性ポリイミド前駆体に対して30モル%のマスキング用樹脂組成物を作製した。
さらに、実施例1と同様にマスキング層を形成させ、評価を行い、その結果を表1に記した。
[比較例8]
NMPを150.0質量部とした以外は実施例1と同様にして、固形分が23.5質量%、微細シリカがシロキサン変性ポリイミド前駆体に対して4.5質量%、ジアミノポリシロキサンがシロキサン変性ポリイミド前駆体に対して30モル%のマスキング用樹脂組成物を作製した。
さらに、実施例1と同様にマスキング層を形成させ、評価を行い、その結果を表1に記した。
<試験または評価方法>
(1)粘度
JIS K5600−2−3に準じて、25℃の粘度をコーンプレート型回転粘度計(東京計器製、EHD型)を使用して測定した。
(2)塗膜性
目視と光学顕微鏡(オリンパス社製、実体顕微鏡、対物5倍×接眼10倍)によって塗膜表面状態を観察し、表面状態が平滑なものを○、表面状態が平滑でなく、不均一な格子状の模様や、波状の模様が観察できたものを×とした。
(3)接触角
塗膜に対して水との接触角をFACE CONTACT−ANGLE METER(協和界面科学社製)にて測定して、接触角90度以上のものを○とし、接触角90度未満を×とした。
(4)マスキング性
アルミニウム化成箔の一端をイソプロルアルコール(以下、IPA)に浸漬して塗膜によって、IPAが堰止められているか、他方の側に乗り越えているかを確認した。IPAが堰止められているものを○、IPAが堰止められず他方の側に乗り越えたものを×とした。
(5)耐薬品性
アセトン、5質量%塩酸、酢酸イソアミルに常温で30分間浸漬させ、樹脂が膨潤・剥離等の外観上の変化がないものを○とし、変化が見られたものを×とした。
Figure 2012019079
本発明によれば、電解液に対するマスキング性に優れたマスキング層を得ることができるため、高容量化が可能で、等価直列抵抗のバラツキが小さい積層型固体電解コンデンサに有用なマスキング用樹脂組成物を提供することができる。

Claims (5)

  1. (A)(A−1)芳香族テトラカルボン酸及び/または脂環式テトラカルボン酸からなる酸成分、(A−2)シロキサン単位を含まない芳香族ジアミン成分、および(A−3)ジアミノポリシロキサンを反応させて得られるシロキサン変性ポリイミド前駆体、(B)平均粒径10〜100nmの微細シリカ、(C)有機溶剤を必須成分とし、
    (A−3)ジアミノポリシロキサンの官能基当量が300〜4000、前記(A)シロキサン変性ポリイミド前駆体中のジアミノポリシロキサン(A−3)の含有量が15〜45モル%、樹脂組成物中の成分(A)と(B)の合計量が25質量%〜70質量%であり、
    (B)微細シリカを、前記(A)シロキサン変性ポリイミド前駆体に対して1質量%〜20質量%含有することを特徴とするマスキング用樹脂組成物。
  2. 前記マスキング用樹脂組成物の硬化物が固体電解コンデンサ用電解液に対して撥液性を有し、該硬化物と水との接触角が90度以上である請求項1に記載のマスキング用樹脂組成物。
  3. 25℃における粘度が、100〜10000mPa・sである請求項1または2に記載のマスキング用樹脂組成物。
  4. 前記(C)の有機溶剤がN−メチルピロリドンおよび/またはジイソブチルケトンである請求項1〜3のいずれかに記載のマスキング用樹脂組成物。
  5. 固体電解コンデンサ用である請求項1〜4のいずれかに記載のマスキング用樹脂組成物。
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