本発明は、透明な基板上に、透明な第一の電極、p型有機半導体材料とn型有機半導体材料とを含有する光電変換層、および第二の電極をこの順に有する有機光電変換素子であって、該光電変換層が、p型有機半導体材料として上記一般式1で表される部分構造を有する化合物を含有することを特徴とする。
本発明では、特にp型有機半導体材料とn型有機半導体材料とを含有するバルクヘテロジャンクション型の光電変換層のp型有機半導体材料として、上記一般式1で表される部分構造を有する化合物を用いることで、高い曲線因子の値を有し光電変換効率が高く、耐久性に優れる有機光電変換素子を提供することができる。
(有機光電変換素子の構成)
図1は、本発明の有機光電変換素子の構成の例を示す概略断面図である。
有機光電変換素子10は、透明な基板11上に、透明な第一の電極12を有し、第一の電極12の上に光電変換層14を有し、さらに光電変換層14の上に第二の電極13を有する。
図1の例では、第一の電極12と光電変換層14との間に後述する正孔輸送層17を有し、光電変換層14と第二の電極13との間に後述する電子輸送層18を有する。
本発明においては、基板11および第一の電極12は透明であり、光電変換に用いられる光は、図1の矢印の方向から入射される。
光電変換層14は、光エネルギーを電気エネルギーに変換する層であって、p型半導体材料とn型半導体材料とを含有する。
p型半導体材料は、相対的に電子供与体(ドナー)として機能し、n型半導体材料は、相対的に電子受容体(アクセプタ)として機能する。
ここで、電子供与体及び電子受容体は、“光を吸収した際に、電子供与体から電子受容体に電子が移動し、正孔と電子のペア(電荷分離状態)を形成する電子供与体及び電子受容体”であり、電極のように単に電子を供与あるいは受容するものではなく、光反応によって、電子を供与あるいは受容するものである。
図1において、基板11を介して第一の電極12から入射された光は、光電変換層14の光電変換層14における電子受容体あるいは電子供与体で吸収され、電子供与体から電子受容体に電子が移動し、正孔と電子のペア(電荷分離状態)が形成される。
発生した電荷は内部電界、例えば、第一の電極12と第二の電極13との仕事関数が異なる場合では第一の電極12と第二の電極13との電位差によって、電子は電子受容体間を通り、また正孔は電子供与体間を通り、それぞれ異なる電極へ運ばれ、光電流が検出される。
図1の例では、第一の電極12の仕事関数は第二の電極13の仕事関数よりも大きいため、正孔は第一の電極12へ、電子は第二の電極13へ輸送される。この場合、第二の電極13には仕事関数が小さく酸化されやすい金属が用いられる。この場合、第一の電極はアノード(陽極)として、第二の電極はカソード(陰極)として機能する。
図2に他の構成の例を示す。
図2においては、図1の場合とは、反対に第一の電極12の仕事関数よりも第二の電極13の仕事関数を大きくすることで、電子を第一の電極12へ、正孔を第二の電極13へと輸送するように設計した場合を示した。この場合には、第一の電極12と光電変換層14との間に電子輸送層18を有し、光電変換層14と第二の電極13との間に後述する正孔輸送層17を有し、第一の電極はカソード(陰極)として、第二の電極はアノード(陽極)として機能する。
本発明においては、耐久性の面から特に、図2に示す構成、即ち、第一の電極がカソード(陰極)であり、第二の電極がアノード(陽極)であることが好ましい態様である。
なお、図1、図2には記載していないが、本発明の有機光電変換素子は、正孔ブロック層、電子ブロック層、電子注入層、正孔注入層、あるいは平滑化層等の層を有していてもよい。
更に、太陽光利用率(光電変換効率)の向上を目的として、このような光電変換素子を積層した、タンデム型の構成としてもよい。図3は、タンデム型の光電変換層を備える有機光電変換素子を示す断面図である。
タンデム型構成の場合、基板11上に第一の電極12、第一の光電変換層14′を積層し、電荷再結合層15を積層した後、第二の光電変換層16、次いで第二の電極13を積層することで、タンデム型の構成とすることができる。
第二の光電変換層16は、第一の光電変換層14′の吸収スペクトルと同じスペクトルを吸収する層でもよいし、異なるスペクトルを吸収する層でもよいが、好ましくは異なるスペクトルを吸収する層である。
また、第一の光電変換層14′、第二の光電変換層16と各電極の間には、正孔輸送層17や電子輸送層18を有していても良いが、本発明においてはタンデム構成においてもそれぞれの光電変換層は、図2に示されるような構成を有していることが好ましい。
以下に、これらの層を構成する材料について述べる。
〔p型有機半導体材料〕
光電変換層は、p型有機半導体材料として上記一般式1で表される部分構造を有する化合物を含有する。
当該化合物は、半導体特性を有する有機化合物である。一般式1の部分構造を有するのみでもよいが、有機薄膜太陽電池としてより好ましい半導体特性を有する有機化合物とするためには、後述するドナーユニットと結合させた構造を有する化合物であることが好ましい。
(一般式1の部分構造)
一般式1中、L1およびL2は、単結合または2価の連結基を表す。X1およびX2は、酸素原子または硫黄原子を表す。Y1およびY2は、−O−、−S−または−NR1−、を表す。R1は、アルキル基、フッ化アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、ヘテロアリール基またはアルキルシリル基を表す。Z1およびZ2は、水素原子、ハロゲン原子、または酸素原子、窒素原子もしくは硫黄原子を介してL1に連結して環を形成する連結基を表す。
本発明において、光電変換層が、一般式1で表される部分構造を有する化合物を有することで、本願の効果を奏する理由は、明確ではないが、以下のように推測される。
Z1およびZ2で表される構造が水素原子、ハロゲン原子、および窒素原子、酸素原子、硫黄原子といった、立体障害を発生しない(炭素原子のように水素原子で置換されていることによって、X1およびX2で表されるケトン基・チオケトン基との立体障害がなくなり、アクセプターユニット内でねじれを生じさせない)置換基であることで、平面のねじれが解消されて高移動度が得られ、ひいては高い光電変換効率を得ることができる。
また、一般式1で表されるようなキノイド構造は、イソインディゴ構造とほぼ同等のアクセプタ性、すなわち深いLUMO準位を提供でき、またドナー性のモノマーと共重合をすることで低バンドギャップの材料、すなわち長波長まで吸収できる材料とすることができる。
R1が表す、アルキル基としては、好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜12、特に好ましくは炭素数1〜8であり、例えば、メチル、エチル、iso−プロピル、tert−ブチル、n−オクチル、n−デシル、n−ヘキサデシル、2−エチルヘキシルなどが挙げられる。フッ化アルキル基は、これら一部またはすべてがフッ素化されたフッ化アルキル基である。なお完全にフッ素化されたフッ化アルキル基では溶解性が低下しやすいため、母核に近い位置はアルキル基で、末端部がフッ化アルキル基であるような、フッ化アルキル基であることが好ましい。たとえば−(CH2CH2)−C4F9、−(CH2CH2)−C7F15、等である。
シクロアルキル基としては、好ましくは炭素数4〜8であり、例えば、シクロプロピル、シクロペンチル、シクロヘキシル、ノルボルニル、アダマンチルなどが挙げられる。
アリール基としては、好ましくは炭素数6〜30、より好ましくは炭素数6〜20、特に好ましくは炭素数6〜12であり、例えば、フェニル、p−メチルフェニル、ナフチル、フェナントリル、ピレニルなどが挙げられる。
ヘテロアリール基としては、好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜12であり、ヘテロ原子としては、例えば、窒素原子、酸素原子、硫黄原子、具体的には、例えば、イミダゾリル、ピリジル、キノリル、フリル、ピペリジル、ベンズオキサゾリル、ベンズイミダゾリル、ベンズチアゾリル、チエニル、フリル、ピロール、チアゾリル等が挙げられる。
アルキルシリル基としては、好ましくは炭素数3〜15であり、例えば、トリメチルシリル、トリエチルシリル、トリシクロペンチル、トリス(トリメチルシリル)シリル等が挙げられる。これらの基はさらに置換基を有していて良く、アルキル基によって置換されていても良い。すなわち、トリイソプロピルシリル、トリイソブチルシリル、トリt−ブチルシリル基等である。
Y1およびY2は酸素原子、窒素原子、硫黄原子であってよいが、窒素原子の場合アルキル基等の溶解性を向上しうる置換基で置換することができるため、得られるp型半導体材料の溶解性が向上するため好ましい。また、より長波長まで太陽光を吸収できる傾向がある。
Z1およびZ2が表す、酸素原子、窒素原子もしくは硫黄原子を介してL1に連結して環を形成する連結基としては、−O−、−S−、−N=CR2−が挙げられる。R2は、各々置換基を有してもよいアルキル基、アルキル基、フッ化アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、ヘテロアリール基またはアルキルシリル基を表す。
置換基としては、上記の置換基と同様のものが挙げられる。
L1およびL2としては、前記一般式1で表される構造が共役系で連結可能である連結基である2価の連結基であり、例えばメチン基、ビニレン基などの、炭素数1から4のアルケニレン基およびアリーレン基、アゾメチン基、ヘテロアリーレン基を表す。
前述のZ1、Z2がL1およびL2と連結する場合には、たとえば−CR=CZ1−、−CR=CZ2−、−N=CZ1−、−N=CZ2−、などが挙げられる。Rとしては、上記の置換基と同様のものが挙げられる。
L1およびL2は、Z1およびZ2が水素原子またはハロゲン原子の場合、単結合であることが好ましく、Z1およびZ2が、酸素原子、窒素原子もしくは硫黄原子を介してL1、L2に連結して環を形成する連結基の場合には、上記−CR=CZ1−、−CR=CZ2−、であることが好ましい。
一般式1で表される部分構造において、X1およびX2は、酸素原子または硫黄原子であるが、光電変換効率の面から、酸素であることが好ましい。酸素の方が電気陰性度が高く強い電子吸引性を有するため、より深いLUMO準位を提供できるためである。
また、Y1およびY2は、p型有機半導体材料の溶解性、太陽光の長波長での吸収性の面から、上記−NR1−であることが好ましい。
また、本発明に係る部分構造としては、光電変換効率の面から、対称構造を有しているものが好ましく用いられる。即ち、X1=X2、Y1=Y2、Z1=Z2、L1=L2、p=qである部分構造が好ましい構造である。
一般式1で表される部分構造を有する化合物が、対称構造であれば、より結晶性が高く良好な移動度、すなわち高い曲線因子や短絡電流を得ることができるようになる。
即ち、本発明において、一般式1で表される部分構造が、上記一般式2で表される部分構造であることが特に好ましい。
一般式2中、Z3は−N=CR3−、酸素原子または硫黄原子を表し、R3は、各々置換基を有してもよい、アルキル基、フッ化アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、ヘテロアリール基またはアルキルシリル基を表し、上記R1に記載のものと同様のものが挙げられる。置換基としては、上記の置換基と同様のものが挙げられる。
このように、Z3で表される複素原子が環状構造に組み込まれていることで立体障害をなくし、さらにはより大きなπ共役平面となるために分子間でのπスタックが起きやすくなり、高い移動度を期待でき、ひいては高い曲線因子および短絡電流を期待することができる。
一般式2において、Z3は光電変換効率の面から、硫黄原子であることが好ましい。Z3が硫黄原子であると、チオフェン構造となるため、良好な正孔移動度が期待され、高いFFを提供することができる。
またR2、R3はアルキル基およびフッ化アルキル基であることが好ましく、中でも直鎖のC6以上C20以下のアルキル基またはフッ化アルキル基であることが好ましい。より好ましくは、C8以上のC18以下の直鎖アルキル基である。
一般式1で表される部分構造は、一般的に、アクセプターユニットと呼ばれる部分構造であり、ドナーとして機能するドナーユニットと結合させた化合物は長波長の吸収と深いLUMO準位を併せ持つ材料となり、p型有機半導体材料として、好ましく用いられる化合物である。
ドナー性ユニットとしては、たとえば同じπ電子数を有する炭化水素芳香族環(ベンゼン、ナフタレン、アントラセン等)よりもLUMO準位またはHOMO準位が浅くなるようなユニットであれば際限なく用いることができる。
より好ましくは、チオフェン環、フラン環、ピロール環、シクロペンタジエン、シラシクロペンタジエン等の複素5員環およびこれらを縮合環として含む構造である。
具体的には、フルオレン、シラフルオレン、カルバゾール、ジチエノシクロペンタジエン、ジチエノシラシクロペンタジエン、ジチエノピロール、ベンゾジチオフェン等を挙げることができる。
より好ましくは、上記一般式3で表される構造である。
一般式3中、Z4は炭素、珪素、ゲルマニウムから選ばれる原子を表し、R4またはR5は、アルキル基、フッ化アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、ヘテロアリール基またはアルキルシリル基を表し、さらに置換基を有していてもよいし、互いに結合して環を形成してもよい。
このような構造は、移動度の高いチオフェン構造が縮合してさらに大きなπ共役平面を有している半面、溶解性を付与可能な置換基を有しているため、溶解性と高移動度の両立を可能とし、一層高い光電変換効率を期待できるようになる。
中でもZ4で表される原子が珪素原子である構造であることが好ましい。
これはAdv.Mater.(2010)p367に記載されているように、Z4がケイ素原子である方が結晶性が高く、高い移動度が得られる傾向があるためである。
本発明に係る、一般式1で表される部分構造を有する化合物としては、当該部分構造と、上記のドナーユニットとを結合した化合物であるが、当該化合物は高分子化合物であることが好ましい。
これは、バルクヘテロジャンクション型の光電変換層を構成する他方の成分であるn型有機半導体が低分子化合物(フラーレン誘導体)が広く用いられているため、p型半導体材料が高分子である方が互いにミクロ相分離構造を形成し、バルクヘテロジャンクション型光電変換層で発生した正孔と電子をそれぞれ運ぶキャリアパスを生成しやすくなる傾向があるためである。
分子量としては数平均分子量が、曲線因子向上、溶解性による生産性の面から、5000以上500000以下であることが好ましい。より好ましくは、10000以上100000以下であり、さらに好ましくは15000以上50000以下である。
なお、分子量はゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)で測定することができる。また、分子量に応じた精製も分取用のゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)で精製することができる。
以下に、一般式1で表される部分構造を有する化合物の例を挙げるが、本発明はこれらに限定されない。
上記化合物に置いて、nで表される数は前述の分子量に入るような値となれば十分であるが、例えば数平均分子量10000〜100000の範囲に入るためにはnはおよそ10〜200程度である必要がある。
(本発明に係る化合物の合成方法)
本発明に係る化合物のうち、一般式1においてZ1、Z2が水素原子のものは、Heterocycles1998p1415等を参考として合成することができる。また一般式2で表される化合物は、Chemistry of Heterocyclic Compounds(1975)p666、J.Org.Chem.(2004)p4867等を参考として合成することができる。
上記化合物1〜39のような高分子型のものは、これらの論文を参考として合成したアクセプターユニットと、各種ドナー構造をそれぞれの論文に記載の手法で重合することで得ることができる。たとえばカルバゾール構造であればAdv.Mater.(2007)p2295、シクロペンタジチオフェン構造であればAdv.Mater.(2006)p2884、シラシクロペンタジチオフェン構造であれば特表2010−507233、ベンゾジチオフェン構造であればJ.Am.Chem.Soc,(2009)p56等を参考として合成することができる。
また上記化合物40から45のような低分子量のものは、これらの論文を参考として合成したアクセプターユニットを用いて、前記非特許文献3を参考として合成することができる。
(化合物1の合成)
アルドリッチ社製2−ブロモ−3−オクチルチオフェン(分子量275)を5.5g(20mmol)を脱水テトラヒドロフラン100mlに溶解し、ドライアイス浴で−78度まで冷却した後、1.6M n−BuLiヘキサン溶液を12.5ml(20mmol)を滴下し、1時間撹拌した後に関東化学社製・無水マレイン酸(分子量98)を1.96g投入したのち、室温に戻して一昼夜撹拌した。
反応終了後、1規定塩酸水溶液を用いてpHを2以下にしたのち、酢酸エチルを加えて有機相を分取し、硫酸マグネシウムで乾燥・ろ過後に溶媒を留去し、対応する化合物1−1(分子量294)の淡黄色粉末を4.7g得た(収率80%)。マススペクトルでカチオンに相当するピーク295を確認した。
得られた化合物1−2を4.41g(15mmol)を塩化メチレン50mlに溶解し、N−ブロモスクシンイミド(分子量178)を2.67g(15mmol)投入後、室温で一昼夜撹拌した後、20%KOH水溶液で分液を行い、有機相を硫酸マグネシウムで乾燥後に溶媒を留去した。得られた濃紫色の固体をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製し、対応する化合物1−2(分子量373)を3.28g得た(収率88%)。
JOC1951p1231を参考として、色素化工程を行った。すなわち、前記化合物1−2を3.73g(10mmol)、塩化第1銅を0.35g(3.5mmol)、塩化アンモニウムを0.37g(7mmol)、および無水酢酸を15mlを加え、140度で2時間還流した。
反応終了後、テトラヒドロフランを加えてろ過したのち、溶媒を留去した。得られた濃紫色の粘性液体をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製し、対応する化合物1−3(分子量711)を1.78g得た(収率25%)。マススペクトルでカチオンに相当するピーク711および713を確認した。
特表2010−507233号に記載の方法を参考として、重合を行った。
化合物1−3を355mg(0.5mmol)、特表2010−507233号に記載の方法で合成したビス−(5,5′−トリメチルスタンニル)−3,3′−ジ−n−ヘキシル−シリレン−2,2′−ジチオフェンを372mg(0.5mmol)とを20mlの無水トルエンに溶解させた。この溶液を窒素でパージした後、12.55mg(0.014ミリモル)のトリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0)と、28.80mg(0.110ミリモル)のトリフェニルホスフィンとを加えた。この溶液をさらに15分間、窒素でパージした。その後、110〜120℃まで溶液を加熱し、40時間反応させた。反応が完了後、溶媒を留去して生じた残渣を、メタノール(50ml×3)で洗浄し、その後、アセトン(3×50ml)で洗浄した。
回収したポリマー生成物を、加熱してクロロホルム(30ml)に溶解し、0.45μmの膜を介してろ過した。精製のために3ml部分の溶液をリサイクルHPLC(日本分析化学工業製)に装填した。高分子量の分画を集めて120mgの純粋なポリマー(Mn=40000)を得た。
(化合物7の合成例)
Heterocycles1998p1415を参考として、アクセプターユニットの合成を行った。
上記で得られた化合物1−3(分子量711)1g(1.4mmol)を塩化メチレン100mlに溶解し、アンモニアの2規定メタノール溶液を2.1ml(4.2mmol)加え、一昼夜撹拌した。反応終了後に溶媒を留去し、化合物7−1(分子量709)を得た。これ以上の精製は行わずに次工程へと進んだ。なおマススペクトルでカチオンに相当するピーク707,709、711を確認した。
上記で得られた化合物7−1(分子量709)を、DMF50mlに溶解し、炭酸カリウム(分子量138)を0.58g(4.2mmol)、オクチルアミン(分子量129)を1.14g(8.8mmol)を加え、100度で15時間反応を行った。反応終了後、反応溶液を100mlの水に投入し、酢酸エチルを加えて分液を行い、有機相を硫酸マグネシウムで乾燥した後溶媒を留去して濃紫色の液状物質を得た。さらにシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製し、対応する化合物7−2(分子量933)を0.33g(収率25%)で得た。
J.AM.CHEM.SOC.9 VOL.127,NO.39(2005)p13477と同様に、ビス−(5,5′−トリブチルスタンニル)−4,4′−ジ−n−オクチル−2,2′−ジチオフェンを合成した。重合は、特表2010−507233に記載の方法を参考として行った。
化合物7−2を467mg(0.5mmol)、ビス−(5,5′−トリブチルスタンニル)−4,4′−ジ−n−オクチル−2,2′−ジチオフェン(分子量969)を485mg(0.5mmol)とを20mlの無水トルエンに溶解させた。この溶液を窒素でパージした後、12.55mg(0.014ミリモル)のトリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0)と、28.80mg(0.110ミリモル)のトリフェニルホスフィンとを加えた。この溶液をさらに15分間、窒素でパージした。その後、110〜120℃まで溶液を加熱し、40時間反応させた。反応が完了後、溶媒を留去して生じた残渣を、メタノール(50ml×3)で洗浄し、その後、アセトン(3×50ml)で洗浄した。
回収したポリマー生成物を、加熱してクロロホルム(30ml)に溶解し、0.45μmの膜を介してろ過した。精製のために3ml部分の溶液をリサイクルHPLC(日本分析化学工業製)に装填した。高分子量の分画を集めて140mgの純粋なポリマー(Mn=50000)を得た。
(化合物20の合成例)
JOC2004p4867を参考として、化合物20−3の合成を行った。
アルドリッチ社製5−ブロモ−2−アセチルチオフェン(分子量205)を10.3g(50mmol)、40%オイル分散水素化ナトリウム6.0g(100mmol)、二硫化炭素(分子量76)を5.7g(75mmol)、トルエン1Lをフラスコ中で撹拌しているところに、ジメチルホルムアミド200mlを滴下した。滴下終了後に氷冷し、さらにヨウ化メチル(分子量142)21.3g(150mmol)を滴下し、1時間撹拌した。
撹拌終了後に水1Lを加えて分液し、有機相を硫酸マグネシウムで乾燥後に留去したのち、エタノールで再結晶することで対応する化合物20−1(分子量309)を12.7g(収率82%)得た。マススペクトルでカチオンに相当するピーク309、311を確認した。
化合物20−1(分子量309)を9.3g(30mmol)、オクチルアミン(分子量129)19.4g(150mmol)をエタノール300mlに溶解し、3時間加熱還流を行った。反応終了後に溶媒およびオクチルアミンを留去した。
さらにこの粗製物をトルエン300mlに溶解し、関東化学社製のLawesson試薬(分子量407)を6.1g(15mmol)加えて30分間加熱還流を行った。反応終了後に溶媒を留去したのち、シリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製し、化合物20−2(分子量406)を6.1g得た(収率50%)。マススペクトルでカチオンに相当するピーク406,408を確認した。
得られた化合物20−2(分子量406)6.1g(15mmol)、および無水マレイン酸(分子量98)1.47g(15mmol)を塩化メチレンに溶解して10時間加熱還流を行った。反応終了後に溶媒を留去し、シリカゲルカラムクロマトグラフィーにて精製を行い、化合物20−3(分子量412)を4.3g得た(収率70%)。マススペクトルでカチオンに相当するピーク412,414を確認した。
Heterocycles1982p2139を参考として合成を行った。
得られた化合物20−3(分子量412)を2.06g(5mmol)、アルドリッチ社製N,N′−ビス(サリチリデン)エチレンジアミノコバルト(II)(分子量325)、0.16g(0.5mmol)をメタノール100mlに溶解し、酸素ガスをバブリングしながら室温で3時間撹拌した。
反応終了後に溶媒を留去し、シリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製し、化合物20−4(分子量426)を1.3g得た(収率60%)。
前記非特許文献3を参考として合成を行った。
化合物20−3(分子量412)1.24g(3mmol)、化合物20−4(分子量426)を1.3g(3mmol)を酢酸20mlに溶解し、0.1mlの濃塩酸を滴下して加熱還流を20時間行った後、溶媒を留去してシリカゲルカラムクロマトグラフィーを行い、対応する化合物20−5(分子量821)を1.7g(収率70%)得た。マススペクトルでカチオンに相当するピーク819,821,823を確認した。
化合物20−5(分子量821)を410mg(0.5mmol)、特表2010−507233に記載の方法で合成したビス−(5,5′−トリメチルスタンニル)−3,3′−ジ−n−ヘキシル−シリレン−2,2′−ジチオフェンを372mg(0.5mmol)とを20mlの無水トルエンに溶解させた。この溶液を窒素でパージした後、12.55mg(0.014ミリモル)のトリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0)と、28.80mg(0.110ミリモル)のトリフェニルホスフィンとを加えた。この溶液をさらに15分間、窒素でパージした。その後、110〜120℃まで溶液を加熱し、40時間反応させた。反応が完了後、溶媒を留去して生じた残渣を、メタノール(50ml×3)で洗浄し、その後、アセトン(3×50ml)で洗浄した。
回収したポリマー生成物を、加熱してクロロホルム(30ml)に溶解し、0.45μmの膜を介してろ過した。精製のために3ml部分の溶液をリサイクルHPLC(日本分析化学工業製)に装填した。高分子量の分画を集めて100mgの純粋なポリマー(Mn=31000)を得た。
〔n型半導体材料〕
本発明に係る光電変換層に用いられるn型有機半導体材料としては、特に限定されないが、例えば、フラーレン、オクタアザポルフィリン等、p型有機半導体の水素原子をフッ素原子に置換したパーフルオロ体(パーフルオロペンタセンやパーフルオロフタロシアニン等)、ナフタレンテトラカルボン酸無水物、ナフタレンテトラカルボン酸ジイミド、ペリレンテトラカルボン酸無水物、ペリレンテトラカルボン酸ジイミド等の芳香族カルボン酸無水物やそのイミド化物を骨格として含む高分子化合物等を挙げることができる。
この中でもn型有機半導体材料としては、各種のp型半導体材料と高速(〜50フェムト秒)且つ効率的に電荷分離を行うことができる、フラーレン誘導体が好ましい。
フラーレン誘導体としては、フラーレンC60、フラーレンC70、フラーレンC76、フラーレンC78、フラーレンC84、フラーレンC240、フラーレンC540、ミックスドフラーレン、フラーレンナノチューブ、多層ナノチューブ、単層ナノチューブ、ナノホーン(円錐型)等、及びこれらの一部が水素原子、ハロゲン原子、置換または無置換のアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、ヘテロアリール基、シクロアルキル基、シリル基、エーテル基、チオエーテル基、アミノ基、シリル基等によって置換されたフラーレン誘導体を挙げることができる。
中でもN−Methylfulleropyrrolidine、下記構造式で表される[6,6]−フェニルC61−ブチリックアシッドメチルエステル(略称PCBM)、[6,6]−フェニルC61−ブチリックアシッド−nブチルエステル(PCBnB)、[6,6]−フェニルC61−ブチリックアシッド−イソブチルエステル(PCBiB)、[6,6]−フェニルC61−ブチリックアシッド−n−ヘキシルエステル(PCBH)、Adv.Mater.,vol.20(2008),p2116等に記載のbis−PCBM、特開2006−199674号公報等のアミノ化フラーレン、特開2008−130889号公報等のメタロセン化フラーレン、米国特許第7,329,709号明細書等の環状エーテル基を有するフラーレン、J.Amer.Chem.Soc.,(2009)vol.130,p15429に記載のSIMEF、Appl.Phys.Lett.,Vol.87(2005)、p203504に記載のC60MC12等のような、置換基を有してより溶解性が向上した下記の如きフラーレン誘導体を用いることが好ましい。
〔光電変換層の形成方法〕
p型有機半導体材料とn型有機半導体材料とを含有する光電変換層の形成方法としては、蒸着法、塗布法(キャスト法、スピンコート法を含む)等を例示することができる。
このうち、前述の正孔と電子が電荷分離する界面の面積を増大させ、高い光電変換効率を有する素子を作製するためには、塗布法が好ましい。また、塗布法は製造速度にも優れている。
この際に使用する塗布方法に制限はないが、例えば、スピンコート法、溶液からのキャスト法、ディップコート法、ワイヤーバーコート法、グラビアコート法、スプレーコート法等が挙げられる。さらには、インクジェット法、スクリーン印刷法、凸版印刷法、凹版印刷法、オフセット印刷法、フレキソ印刷法等の印刷法でパターニングすることもできる。
塗布後は残留溶媒及び水分、ガスの除去、及び半導体材料の結晶化による移動度向上・吸収長波化を引き起こすために加熱を行うことが好ましい。
製造工程中において所定の温度でアニール処理されると、微視的に一部が凝集または結晶化が促進され、光電変換層を適切な相分離構造とすることができる。
その結果、光電変換層の正孔と電子(キャリア)の移動度が向上し、高い効率を得ることができるようになる。
光電変換層は、p型有機半導体材料とn型有機半導体材料とが均一に混在された単一層で構成してもよいが、電子受容体と電子供与体との混合比を変えた複数層で構成してもよい。この場合、塗布後に不溶化できるような材料を用いることで形成することが可能となる。
〔電子輸送層〕
本発明の有機光電変換素子は、光電変換層とカソードとの中間に電子輸送層を形成することで、光電変換層で発生した電荷をより効率的に取り出すことが可能となるため、これらの層を有していることが好ましい。
本発明においては、第一の電極がカソードである場合に特に好ましく適当できる。
電子輸送層とは、このようにカソードとバルクヘテロジャンクション層の中間に位置して、バルクヘテロジャンクション層と電極との間で電子の授受をより効率的にすることのできる層のことである。
より具体的には、バルクヘテロジャンクション型の光電変換層のn型半導体材料のLUMO準位とカソードの仕事関数との中間のLUMO準位を有する化合物が電子輸送層として適切である。
より好ましくは、電子移動度が10−4以上の化合物である。
電子輸送層の中には、バルクヘテロジャンクション型の光電変換層に用いられるp型半導体材料のHOMO準位よりも深いHOMO準位を有する電子輸送層には、バルクヘテロジャンクション層で生成した正孔をカソード側には流さないような整流効果を有する、正孔ブロック機能が付与される。
このような電子輸送層は、正孔ブロック層とも呼ばれる。より好ましくは、n型半導体のHOMO準位よりも深いHOMO準位を有する材料を電子輸送層として用いることである。また、正孔を阻止する特性から、正孔移動度が10−6よりも低い化合物を用いることが好ましい。
電子輸送層としては、オクタアザポルフィリン、p型半導体のパーフルオロ体(パーフルオロペンタセンやパーフルオロフタロシアニン等)、国際公開第04/095889号に記載のカルボリン化合物等を用いることができるが、同様に、光電変換層に用いられるp型半導体材料のHOMO準位よりも深いHOMO準位を有する電子輸送層には、光電変換層で生成した正孔をカソード側には流さないような整流効果を有する、正孔ブロック機能が付与される。より好ましくは、n型半導体のHOMO準位よりも深い材料を電子輸送層として用いることである。また、電子を輸送する特性から、電子移動度の高い化合物を用いることが好ましい。
このような材料としては、バソキュプロイン等のフェナントレン系化合物、ナフタレンテトラカルボン酸無水物、ナフタレンテトラカルボン酸ジイミド、ペリレンテトラカルボン酸無水物、ペリレンテトラカルボン酸ジイミド等のn型半導体材料、及び酸化チタン、酸化亜鉛、酸化ガリウム等のn型無機酸化物及びフッ化リチウム、フッ化ナトリウム、フッ化セシウム等のアルカリ金属化合物等を用いることができる。また、光電変換層に用いたn型半導体材料単体からなる層を用いることもできる。
これらの層を形成する手段としては、真空蒸着法、溶液塗布法のいずれであってもよいが、好ましくは溶液塗布法である。
〔正孔輸送層(電子ブロック層)〕
本発明の有機光電変換素子は、光電変換層とアノードとの中間には正孔輸送層を、光電変換層で発生した電荷をより効率的に取り出すことが可能となるため、これらの層を有していることが好ましい。
本発明においては、第二の電極が正孔輸送層である場合に好ましく適用できる。
これらの層を構成する材料としては、例えば、正孔輸送層としては、スタルクヴイテック製、商品名BaytronP等のPEDOT(ポリ−3,4−エチレンジオキシチオフェン)−PSS(ポリスチレンスルホン酸)、ポリアニリン及びそのドープ材料、国際公開第06/019270号等に記載のシアン化合物、などを用いることができる。なお、光電変換層に用いられるn型半導体材料のLUMO準位よりも浅いLUMO準位を有する正孔輸送層には、光電変換層で生成した電子をアノード側には流さないような整流効果を有する、電子ブロック機能が付与される。このような正孔輸送層は電子ブロック層とも呼ばれ、このような機能を有する正孔輸送層を使用する方が好ましい。
このような材料としては、特開平5−271166号公報等に記載のトリアリールアミン系化合物、また酸化モリブデン、酸化ニッケル、酸化タングステン等の金属酸化物等を用いることができる。また、光電変換層に用いたp型半導体材料単体からなる層を用いることもできる。これらの層を形成する手段としては、真空蒸着法、溶液塗布法のいずれであってもよいが、好ましくは溶液塗布法である。光電変換層を形成する前に、下層に塗布膜を形成すると塗布面をレベリングする効果があり、リーク等の影響が低減するため好ましい。
また、同様に正孔を輸送する特性から10−4よりも高い正孔移動度を有していることが好ましく、また電子を阻止する特性から、電子移動度が10−6よりも低い化合物を用いることが好ましい。
〔その他の層〕
本発明の有機光電変換素子の構成としては、エネルギー変換効率の向上や、素子寿命の向上を目的に、各種中間層を素子内に有する構成としてもよい。
中間層の例としては、正孔ブロック層、電子ブロック層、正孔注入層、電子注入層、励起子ブロック層、UV吸収層、光反射層、波長変換層などを挙げることができる。
〔電極〕
本発明の有機光電変換素子においては、第一の電極と第二の電極を有するが、タンデム構成をとる場合には、中間電極を用いることでタンデム構成を達成することができる。
本発明において、第一の電極は、透明な電極である。
透明な、とは、光透過率が50%以上であるものをいう。
光透過率とは、JIS K 7361−1(ISO 13468−1に対応)の「プラスチック−透明材料の全光線透過率の試験方法」に準拠した方法で測定した可視光波長領域における全光線透過率をいう。
本発明の第一の電極は、前述のように透明なカソード(陰極)であり、第二の電極はアノード(陽極)であることが好ましい。
〔第一の電極(透明なカソード)〕
本発明の第一の電極に用いられる、材料としては、例えば、インジウムチンオキシド(ITO)、AZO、FTO、SnO2、ZnO、酸化チタン等の透明金属酸化物、Ag、Al、Au、Pt等の非常に薄い金属層または金属ナノワイヤ、カーボンナノチューブ等のナノワイヤやナノ粒子を含有する層、PEDOT:PSS、ポリアニリン等の導電性高分子材料等を用いることができる。
また、ポリピロール、ポリアニリン、ポリチオフェン、ポリチエニレンビニレン、ポリアズレン、ポリイソチアナフテン、ポリカルバゾール、ポリアセチレン、ポリフェニレン、ポリフェニレンビニレン、ポリアセン、ポリフェニルアセチレン、ポリジアセチレン及びポリナフタレンの各誘導体からなる群より選ばれる導電性高分子等も用いることができる。また、これらの導電性化合物を複数組み合わせてカソードとすることもできる。
〔第二の電極(アノード)〕
第二の電極は導電材単独層であってもよいが、導電性を有する材料に加えて、これらを保持する樹脂を併用してもよい。
カソードである透明電極の仕事関数がおよそ−5.0〜−4.0eVであるため、バルクヘテロジャンクション型の光電変換層で生成したキャリアが拡散してそれぞれの電極に到達するためには、ビルトインポテンシャル、すなわちアノードとカソード間の仕事関数の差がなるべく大きいことが好ましい。
したがって、アノードの導電材としては、仕事関数の大きい(4eV以下)金属、合金、電気伝導性化合物及びこれらの混合物を電極物質とするものが用いられる。このような電極物質の具体例としては、金、銀、銅、白金、ロジウム、インジウム、ニッケル、パラジウム等が挙げられる。
これらの中で、正孔の取り出し性能、光の反射率、及び酸化等に対する耐久性の点から、銀が最も好ましい。
カソードはこれらの電極物質を蒸着やスパッタリング等の方法により薄膜を形成させることにより、作製することができる。また、膜厚は通常10nm〜5μm、好ましくは50〜200nmの範囲で選ばれる。
また、アノード側を光透過性とする場合は、例えば、アルミニウム及びアルミニウム合金、銀及び銀化合物等のアノードに適した導電性材料を薄く1〜20nm程度の膜厚で作製した後、上記透明電極の説明で挙げた導電性光透過性材料の膜を設けることで、光透過性アノードとすることができる。
なお上記は耐久性向上に有利な、いわゆる逆層型素子とするための第2の電極材料に好ましい材料を記載したが、いわゆる順層型(第1の電極がアノードで第2の電極がカソード)とするためには、前述のように第1電極と第2の電極の仕事関数の関係を逆転させればよいが、実質的に透明な電極は種類が限られておりその仕事関数は比較的深いものが多いため、実際には第2の電極側に仕事関数の浅い(−4.0eV未満)金属を使用することで順層型の有機薄膜太陽電池とすることができる。そのような金属としては、たとえば、アルミニウム、カルシウム、マグネシウム、リチウム、ナトリウム、カリウムなどである。一般的には反射率が高く導電性の高いアルミニウムが使用される。
〔中間電極〕
また、前記図3のようなタンデム構成の場合に必要となる中間電極の材料としては、透明性と導電性を併せ持つ化合物を用いた層であることが好ましく、前記アノードで用いたような材料(ITO、AZO、FTO、SnO2、ZnO、酸化チタン等の透明金属酸化物、Ag、Al、Au、Pt等の非常に薄い金属層または金属ナノワイヤ、カーボンナノチューブ等のナノワイヤやナノ粒子を含有する層、PEDOT:PSS、ポリアニリン等の導電性高分子材料等)を用いることができる。
なお、前述した正孔輸送層と電子輸送層の中には、適切に組み合わせて積層することで中間電極(電荷再結合層)として働く組み合わせもあり、このような構成とすると1層形成する工程を省くことができ好ましい。
〔基板〕
本発明において、基板は透明な基板であるが、透明な、とは前述の電極の記載と同様の意味を有する。
基板としては、例えばガラス基板や樹脂基板等が好適に挙げられるが、軽量性と柔軟性の観点から透明樹脂フィルムを用いることが望ましい。本発明で透明基板として好ましく用いることができる透明樹脂フィルムには特に制限がなく、その材料、形状、構造、厚み等については公知のものの中から適宜選択することができる。
例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)変性ポリエステル等のポリエステル系樹脂フィルム、ポリエチレン(PE)樹脂フィルム、ポリプロピレン(PP)樹脂フィルム、ポリスチレン樹脂フィルム、環状オレフィン系樹脂等のポリオレフィン類樹脂フィルム、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン等のビニル系樹脂フィルム、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)樹脂フィルム、ポリサルホン(PSF)樹脂フィルム、ポリエーテルサルホン(PES)樹脂フィルム、ポリカーボネート(PC)樹脂フィルム、ポリアミド樹脂フィルム、ポリイミド樹脂フィルム、アクリル樹脂フィルム、トリアセチルセルロース(TAC)樹脂フィルム等を挙げることができるが、可視域の波長(380〜800nm)における透過率が80%以上である樹脂フィルムであれば、本発明に係る透明樹脂フィルムに好ましく適用することができる。
中でも、透明性、耐熱性、取り扱いやすさ、強度及びコストの点から、二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム、二軸延伸ポリエチレンナフタレートフィルム、ポリエーテルサルホンフィルム、ポリカーボネートフィルムであることが好ましく、二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム、二軸延伸ポリエチレンナフタレートフィルムであることがより好ましい。
本発明に用いられる透明基板には、塗布液の濡れ性や接着性を確保するために、表面処理を施すことや易接着層を設けることができる。表面処理や易接着層については従来公知の技術を使用できる。例えば、表面処理としては、コロナ放電処理、火炎処理、紫外線処理、高周波処理、グロー放電処理、活性プラズマ処理、レーザー処理等の表面活性化処理を挙げることができる。また、易接着層としては、ポリエステル、ポリアミド、ポリウレタン、ビニル系共重合体、ブタジエン系共重合体、アクリル系共重合体、ビニリデン系共重合体、エポキシ系共重合体等を挙げることができる。
また、酸素及び水蒸気の透過を抑制する目的で、透明基板にはバリアコート層が予め形成されていてもよいし、透明導電層を転写する反対側にはハードコート層が予め形成されていてもよい。
〔光学機能層〕
本発明の有機光電変換素子は、太陽光のより効率的な受光を目的として、各種の光学機能層を有していてよい。光学機能層としては、例えば、反射防止膜、マイクロレンズアレイ等の集光層、カソードで反射した光を散乱させて再度発電層に入射させることができるような光拡散層などを設けてもよい。
反射防止層としては、各種公知の反射防止層を設けることができるが、例えば、透明樹脂フィルムが二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムである場合は、フィルムに隣接する易接着層の屈折率を1.57〜1.63とすることで、フィルム基板と易接着層との界面反射を低減して透過率を向上させることができるのでより好ましい。屈折率を調整する方法としては、酸化スズゾルや酸化セリウムゾル等の比較的屈折率の高い酸化物ゾルとバインダー樹脂との比率を適宜調整して塗設することで実施できる。易接着層は単層でもよいが、接着性を向上させるためには2層以上の構成にしてもよい。
集光層としては、例えば、支持基板の太陽光受光側にマイクロレンズアレイ上の構造を設けるように加工したり、あるいは所謂集光シートと組み合わせたりすることにより特定方向からの受光量を高めたり、逆に太陽光の入射角度依存性を低減することができる。
マイクロレンズアレイの例としては、基板の光取り出し側に一辺が30μmでその頂角が90度となるような四角錐を2次元に配列する。一辺は10〜100μmが好ましい。これより小さくなると回折の効果が発生して色付き、大きすぎると厚みが厚くなり好ましくない。
また、光散乱層としては、各種のアンチグレア層、金属または各種無機酸化物などのナノ粒子・ナノワイヤー等を無色透明なポリマーに分散した層などを挙げることができる。
〔パターニング〕
本発明に係る各々の電極、光電変換層や、正孔輸送層、電子輸送層等をパターニングする方法やプロセスには特に制限はなく、公知の手法を適宜適用することができる。
光電変換層、輸送層等の可溶性の材料であれば、ダイコート、ディップコート等の全面塗布後に不要部だけ拭き取ってもよいし、インクジェット法やスクリーン印刷等の方法を使用して塗布時に直接パターニングしてもよい。
電極材料などの不溶性の材料の場合は、電極を真空堆積時にマスク蒸着を行ったり、エッチングまたはリフトオフ等の公知の方法によってパターニングすることができる。また、別の基板上に形成したパターンを転写することによってパターンを形成してもよい。
(太陽電池)
本発明の太陽電池は、上記の有機光電変換素子を有する。
本発明の太陽電池は、上記有機光電変換素子を具備し、太陽光に最適の設計並びに回路設計が行われ、太陽光を光源として用いたときに最適な光電変換が行われるような構造を有する。
即ち、光電変換層に太陽光が照射されうる構造となっており、本発明の太陽電池を構成する際には、前記光電変換層および各々の電極をケース内に収納して封止するか、あるいはそれら全体を樹脂封止することが好ましい。
封止の方法としては、作製した有機光電変換素子が環境中の酸素、水分等で劣化しないために、有機光電変換素子だけでなく有機エレクトロルミネッセンス素子などで公知の手法によって封止することが好ましい。
例えば、アルミまたはガラスでできたキャップを接着剤によって接着することによって封止する手法、アルミニウム、酸化珪素、酸化アルミニウム等のガスバリア層が形成されたプラスチックフィルムと有機光電変換素子上を接着剤で貼合する手法、ガスバリア性の高い有機高分子材料(ポリビニルアルコール等)をスピンコートする方法、ガスバリア性の高い無機薄膜(酸化珪素、酸化アルミニウム等)または有機膜(パリレン等)を真空下で堆積する方法、及びこれらを複合的に積層する方法等を挙げることができる。
以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
実施例1:光電変換効率の評価
〔有機光電変換素子1の作製〕
特開2009−146981号を参考として、逆層型の有機光電変換素子を作製した。
ガラス基板上に、インジウム・スズ酸化物(ITO)透明導電膜を110nm堆積したもの(表面抵抗率13Ω/□)を、通常のフォトリソグラフィ技術と塩酸エッチングとを用いて2mm幅にパターニングして、透明電極を形成した。
パターン形成した透明電極を、界面活性剤と超純水による超音波洗浄、超純水による超音波洗浄の順で洗浄後、窒素ブローで乾燥させ、最後に紫外線オゾン洗浄を行った。
次いで基板をグローブボックス中に持ち込み、窒素雰囲気下でこの透明基板上に、以下の手順で作製した150mMのTiOx前駆体溶液をスピンコート(回転速度2000rpm、回転時間60s)し、所定のパターンに拭き取りを行った。
次に、空気中で放置してTiOx前駆体を加水分解させた。次に、TiOx前駆体を150℃で1時間加熱処理して30nmのTiOx層を得た。
(TiOx前駆体の調製:ゾルゲル法)
先ず、100ml三口フラスコに2−メトキシエタノール12.5mlと、6.25mmolのチタニウムテトライソプロポキシドとを入れ、氷浴中で10分間冷却した。次に、12.5mmolのアセチルアセトンをゆっくり加えて、氷浴中で10分間撹拌した。次に、混合溶液を80℃で2時間加熱後、1時間還流した。最後に、室温まで冷却し、メトキシエタノールを用いて所定の濃度(150m)に調整した。TiOx前駆体を得た。なお、上記工程は全て窒素雰囲気で行った。
次いで、TiOx層の上にバルクヘテロジャンクション層を形成した。p型半導体材料として比較化合物1を0.9質量%、n型半導体材料としてPCBM(フロンティアカーボン製、Nanon Spectra E100H)を0.9質量%(全固形分濃度1.8質量%)を溶解した液を作製し、0.45μmのフィルタでろ過をかけながら700rpmで60秒、次いで2200rpmで1秒間のスピンコートを行い、100℃で30分乾燥し、光電変換層を得た。なお比較化合物1は非特許文献3に基づいて合成した。
次に、有機半導体層の上に有機溶剤系PEDOT:PSSの分散液(化研産業製、エノコートHC200)をスピンコート(2000rpm、60s)し風乾して正孔輸送層を成膜した。
次に、導電性ポリマー層の上に銀電極層を膜厚約100nmになるように真空蒸着を行ったのち、150℃で10分間加熱処理を行うことで、逆層型の有機光電変換素子を作製した。
得られた有機光電変換素子1は、窒素雰囲気下でUV硬化樹脂(ナガセケムテックス株式会社製、UV RESIN XNR5570−B1)を用いて凸版印刷製透明バリアフィルムGX(水蒸気透過率0.05g/m2/d)と貼り合わせて封止した後に大気下に取り出した。
得られた有機光電変換素子1は、封止を行った後、ソーラシミュレーター(AM1.5G)の光を100mW/cm2の照射強度で照射して、電圧−電流特性を測定し、初期の変換効率を測定した。
〔有機光電変換素子2〜6、11の作製〕
上記有機光電変換素子1の作製において、p型半導体材料を表1に記載の材料に変更し、さらにp:n比を表に記載の組成(全固形分濃度は1.8質量%に固定)に代えた以外は、比較の有機光電変換素子1と同様にして有機光電変換素子2〜6、11を得た。
なお有機光電変換素子11のP3HTとしては、プレクトストロニクス製、プレックスコアOS2100を使用した。
〔有機光電変換素子12〜17の作製〕
上記有機光電変換素子1の作製において、p型半導体材料を表1に記載の材料に変更し、さらにp:n比を0.6質量%:1.2質量%(全固形分濃度は1.8質量%で同じ)に代えた以外は、比較の有機光電変換素子1と同様にして有機光電変換素子2〜7を得た。
(ねじれ角の評価)
p型半導体材料の構造を、B3LYP 6−31G*の手法に従って計算した(高分子材料の場合は3量体で計算)。得られた分子モデルから、最もπ共役平面でねじれた二面角を有する部位を検出し、その二面角を測定した。
(変換効率の評価)
上記作製した光電変換素子に、ソーラーシミュレーター(AM1.5Gフィルタ)の100mW/cm2の強度の光を照射し、有効面積を4.0mm2にしたマスクを受光部に重ね、短絡電流密度Jsc(mA/cm2)及び開放電圧Voc(V)、曲線因子(フィルファクター)FFを、同素子上に形成した4箇所の受光部をそれぞれ測定し、平均値を求めた。また、Jsc、Voc、FFから式1に従って光電変換効率η(%)を求めた。
式1 η(%)=Jsc(mA/cm2)×Voc(V)×FF
表1からわかるように、比較の化合物に比して本発明の化合物ではねじれ角が抑制されて移動度が向上したためと推測されるが、短絡電流および曲線因子が向上し、高い光電変換効率が得られるようになっていることが分かる。
実施例2:耐久性評価
実施例1で作製した有機光電変換素子17について、それぞれ同様の素材および組成を用いて以下のような順層型の素子を作製した。
〔有機光電変換素子17′の作製〕
実施例1と同じ透明基板を同様の工程で洗浄した後、ITO膜上に、導電性高分子であるBaytron P4083(スタルクヴィテック社製)を30nmの膜厚となるようにスピンコートした後、140℃で大気中10分間加熱乾燥した。
これ以降は、基板をグローブボックス中に持ち込み、窒素雰囲気下で作業した。まず、窒素雰囲気下で上記基板を再度140℃で10分間加熱処理した。
p型半導体材料として、前記例示化合物21の0.6質量%と、n型半導体材料として前記PCBM0.9質量%分をクロロベンゼンに溶解して、1.2質量%のクロロベンゼン溶液を作製し、0.45μmのフィルタでろ過しながら700rpmで60秒、次いで2200rpmで1秒間のスピンコートを行い、室温で30分放置した。
次に、上記一連の有機層を成膜した基板を大気に晒すことなく真空蒸着装置内に設置した。2mm幅のシャドウマスクが透明電極と直交するように素子をセットし、10−3Pa以下にまで真空蒸着機内を減圧した後、フッ化リチウムを0.6nm、対極としてアルミニウムを100nm蒸着した。最後に120℃で30分間の加熱を行い、有機光電変換素子17′を得た。なお蒸着速度は2nm/秒で、2mm角のサイズとした。
得られた有機光電変換素子21は、窒素雰囲気下でUV硬化樹脂(ナガセケムテックス株式会社製、UV RESIN XNR5570−B1)を用いて凸版印刷製透明バリアフィルムGX(水蒸気透過率0.05g/m2/d)と貼り合わせて封止した後に大気下に取り出した。
また、実施例1で作製した有機光電変換素子1について、上記と同様にして、順層型の有機光電変換素子1′を作製した。
(変換効率の評価)
上記作製した光電変換素子に、ソーラーシミュレーター(AM1.5Gフィルタ)の100mW/cm2の強度の光を照射し、有効面積を4.0mm2にしたマスクを受光部に重ね、短絡電流密度Jsc(mA/cm2)及び開放電圧Voc(V)、曲線因子(フィルファクター)FFを、同素子上に形成した4箇所の受光部をそれぞれ測定し、平均値を求めた。また、Jsc、Voc、FFから式1に従ってエネルギー変換効率η(%)を求めた。
式1 η(%)=Jsc(mA/cm2)×Voc(V)×FF
(耐久性評価)
温度80度、湿度80%に保持した容器内に保存し、定期的に取りだして電圧−電流特性を測定し、初期の変換効率を100として、初期の効率の80%の効率まで低下する時間をLT80として評価した。結果を表2に示す。
表2において有機光電変換素子1および17を比較すると、本発明の化合物17の方が耐久性が高いことが分かる。また、17,17′を比較すると、同じ化合物で有機薄膜太陽電池を作製した場合、順層型の方が若干効率が良いが、逆層型素子の方が高い耐久性が得られることが分かる。