JP2012113883A - メタルハライドランプ - Google Patents

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Abstract

【課題】効率の良い植物栽培が可能なメタルハライドランプを提供すること。
【解決手段】透光性のセラミックから成る発光管3に添加物を封入し、少なくとも赤色、青色及び緑色の光成分を放射するメタルハライドランプ1において、赤色の光成分のエネルギー比を55〜75%、青色の光成分のエネルギー比を15〜25%とした。
【選択図】図11

Description

本発明は、メタルハライドランプに係り、特に植物の栽培に用いて好適なランプに関する。
近年、天候や工場の周辺環境に左右されずに、多種の植物を高品位で安定的に生産し供給できるなどの利点から植物工場が注目されている。
植物工場には、太陽光の利用を基本とし人工光で補光しながら植物を栽培する太陽光利用型と、太陽光を用いずに閉鎖した環境(閉鎖環境)で植物を栽培する完全人工光型とがある。閉鎖環境で植物を栽培する植物工場は、閉鎖型植物工場とも呼ばれ、植物栽培時の照射光量等の栽培条件を厳密に制御できることから、天候や周辺環境に全く左右されない植物栽培が可能になる。
一方、近年では、人工光で植物を栽培する際に、赤色光、緑色光及び青色光の3色の光をバランス良く植物に照射することが植物の光合成の点から有効であることが知られている(例えば、特許文献1参照)。また、かかる人工光の光源には、メタルハライドランプが好適に用いられている(例えば、特許文献2、特許文献3参照)。
特公平3−49530号公報 特開2003−339236号公報 特開2009−87602号公報
ところで、植物工場で栽培される植物は、これまでレタスやハーブ等の葉菜が中心であったが、近年では、根や地下茎が可食部である根菜(にんじんや大根等)や、実が食用となる果菜(キュウリやトマト等)、コメ等の穀類の栽培も行われている。
発明者らは、これらの植物において、幼苗期以降における日照条件によって、植物の成長に差が生じるとの知見を得ており、従来のメタルハライドランプを植物栽培用光源に用いて栽培は、日照による栽培に比べて効率が悪い、といった問題がある。
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであり、効率の良い植物栽培が可能なメタルハライドランプを提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、本発明は、透光性のセラミックから成る発光管に添加物を封入し、少なくとも赤色、青色及び緑色の光成分を放射するメタルハライドランプにおいて、赤色の光成分のエネルギー比を55〜75%、青色の光成分のエネルギー比を15〜25%であることを特徴とする。
また本発明は、上記メタルハライドランプにおいて、主に緑色の光成分を発光する添加物を除外しつつ、当該緑色の光成分を、主に青色の光成分を発光する添加物の発光、及び主に赤色の光成分を発光する添加物の発光により補うことを特徴とする。
また本発明は、上記メタルハライドランプにおいて、前記添加物に蒸気圧が近いハロゲン化物を組み合わせたことを特徴とする。
本発明によれば、少なくとも赤色、青色及び緑色の光成分を放射するメタルハライドランプにおいて、赤色の光成分のエネルギー比を55〜75%、青色の光成分のエネルギー比を15〜25%としたため、かかるメタルハライドランプを植物栽培用の光源に用いることで、植物の成長を促し、効率の良い植物栽培が可能になる。
イネ幼苗栽培試験に用いたメタルハライドランプの特性を示す図である。 メタルハライドランプの分光分布図である。 イネ幼苗栽培試験条件を示す図である。 栽培試験結果を示す図である。 イネ栽培試験に用いたメタルハライドランプの特性を示す図である。 メタルハライドランプの分光分布図である。 イネ栽培試験条件を示す図である。 栽培試験結果を示す図である。 本発明の実施形態に係るメタルハライドランプの構成を示す図である。 メタルハライドランプの発光管に封入した添加物の種類を示す図であり、(A)は添加物の封入量、(B)は添加物の封入重量比、(C)は添加物のモル比(%)、(D)は添加物の容積比をそれぞれ示す。 メタルハライドランプの調光時の電気的及び光学的特性を示す図である メタルハライドランプの調光時の分光エネルギー分布を示す図である。 メタルハライドランプの調光時のエネルギー比の変化を示す図である。
以下、図面を参照して本発明の実施形態について説明する。
本実施形態では、穀類の一例たるコメを閉鎖型植物工場で栽培する場合を例示する。閉鎖型植物工場で栽培されるコメは、食用の他に、良質なタンパク質を含有することから、このタンパク質を有効成分とした薬剤や薬品等にも好適に用いられる。
上述の通り、従来のメタルハライドランプを植物栽培用光源に用いたコメ栽培は、日照による栽培に比べて効率が悪い、といった問題がある。
そこで発明者らは、各種の栽培試験を行い、閉鎖型植物工場におけるイネ栽培においては、メタルハライドランプの赤色(波長600nm〜700nm)、及び青色(波長400nm〜500nm)のそれぞれの光成分のエネルギー比により、成長に差が生じるとの知見を得た。以下、かかる栽培試験について説明する。
[イネ幼苗栽培試験]
図1はイネ幼苗栽培試験に用いたメタルハライドランプの特性を示す図であり、図2は当該メタルハライドランプの分光分布図である。また図3はイネ幼苗栽培試験条件を示す図であり、図4は栽培試験結果を示す図である。
イネ幼苗栽培試験は、閉鎖型植物工場において、イネの幼苗期に照射する人工光の赤色、及び青色の光成分のエネルギー比の違いが植物成長に与える影響を調査すべく、エネルギーを調整したメタルハライドランプ(以下、「実施例」と言う)と、市販の一般的なメタルハライドランプ(以下、「比較例」と言う)とを用いて比較試験したものである。
なお、イネ幼苗期においては、成長期と同程度の光量を照射して栽培すると、根腐れを起こすとの知見を得ているため、ランプ出力は、図1に示すように、後述する成長期に用いるランプ出力(400W:図5)よりも低い約150Wのものがいられている。
実施例のランプのエネルギー比について詳述すると、図2に示すように、実施例のランプは、イネ作用曲線に対し光量子束比(エネルギー比)において赤色の光成分比率が特段に高められている。
更に、市販の比較例のランプと比べると、実施例のランプは、上記赤色の光成分の他に青色の光成分の光量子束(エネルギー)の比率が高められており、その分、波長500nm〜600nmの緑色の光成分の比率が抑えられたものとなっている。具体的には、実施例のランプは、図1に示すように、赤色の光成分のエネルギー比が42.4%(光量子束比:48.7%)であり、青色の光成分のエネルギー比が27.3%(光量子束比:21.7%)とされている。
そして、かかるランプを用いて、図3に示すイネ幼苗栽培試験条件で栽培を行った結果、図4(A)に示すように、苗の葉長、及び葉緑素計の値については、実施例及び比較例のランプとも、それぞれに差は殆ど見られないものの、茎数(分げつ)(図示せず)と、図4(A)に示す生体及び乾物の地下部重量については、それぞれ実施例のランプでの栽培の方が大きく、比較例のランプで栽培した結果に対し有意差があった。
すなわち、このイネ幼苗栽培試験の結果によれば、実施例のランプを用いて幼苗期の栽培を行うことで育成が促進されることが分かる。
[イネ栽培試験]
図5はイネ栽培試験に用いたメタルハライドランプの特性を示す図であり、図6は当該メタルハライドランプの分光分布図である。また図7はイネ栽培試験条件を示す図であり、図8は栽培試験結果を示す図である。
イネ栽培試験は、閉鎖型植物工場において、イネの幼苗期以降の成長期に照射する人工光の赤色、及び青色の光成分のエネルギー比の違いが植物成長に与える影響を調査すべく、エネルギーを調整したメタルハライドランプ(以下、「実施例」と言う)と、市販の一般的なメタルハライドランプ(以下、「比較例」と言う)とを用いて比較試験したものである。
苗の成長期においては、幼苗期よりもランプ出力が高められており、実施例と比較例のランプとして共に、図5に示すように、約400Wのメタルハライドランプが用いられている。ただし、実施例のランプは、後述するように赤色、緑色、及び青色のそれぞれの光成分のエネルギー比に調整が加えられることで、光量に換算した場合には、図5に示すように、比較例のものの方が大きくなっている。
実施例のランプの光学特性について詳述すると、図6と、前掲図2との対比から明らかなように、イネ栽培試験に用いた実施例のランプは、イネ幼苗栽培試験に用いた実施例のランプに比べ、光量子束比(エネルギー比)において赤色の光成分比率が更に高められており、その分、波長500nm〜600nmの緑色の光成分の比率が顕著に抑えられている。この実施例のランプでは、赤色の光成分のエネルギー比を65%(光量子束比:70.8%)とし、青色の光成分のエネルギー比を20%(光量子束比:15.1%)としている。
そして、かかる実施例のランプを用いて、図7に示す栽培試験条件で栽培を行った結果、図8(A)〜図8(C)に示すように、各種の成長に関する測定項目において、実施例のランプで栽培したときと比較例のランプで栽培したときとの間で大きな有意差は見られなかった。
しかしながら、上述の通り、このイネ栽培試験では、実施例のランプの光量が比較例のランプの光量よりも小さい。すなわち、光量が小さい実施例のランプを用いた栽培でも、より光量の大きい比較例のランプを用いた栽培と同等の成長結果が得られるであるから、比較例のランプよりもイネの成長が促進されていると言える。
発明者らは、赤色の光成分のエネルギー比が55〜75%の範囲、青色の光成分のエネルギー比が15〜25%の範囲の各種組み合わせのメタルハライドランプを用いることで、イネ幼苗期の栽培、及び、幼苗期以降の成長期の栽培において、成長が促進されるとの知見を得ている。
次いで、植物栽培に好適なエネルギー比を有した、本実施形態に係るメタルハライドランプ1について詳述する。
図9は、本実施形態に係るメタルハライドランプ1の構成を示す図である。このメタルハライドランプ1は、閉鎖型植物工場において、植物栽培用の光源に用いて好適なランプであり、同図に示すように、発光管3、外球5及びランプ口金7を有し、発光管3の内部には一対の電極が封着され、また、発光用のハロゲン化物が添加物として封入されている。
発光管3には、透光性のセラミックの一種である透光性アルミナ管が用いられている。発光管3の両端部には、アルミナタングステンからなる導電性サーメットキャップが電極として封止材により封止されており、さらに、この発光管3には、始動用希ガスとしてアルゴン、ヨウ化リチウム、ヨウ化タリウムなどの添加物が所定量ずつ封入されている。
上記発光管3は、外球5及びランプ口金7により封じられており、外球5の内部空間9は真空に保たれている。
発光管3の形状寸法により発光特性が変わるが、本実施形態では発光管3として、図9に示すように、直径が約21.4mm、高さが約35mmの略円柱状部位の両端に、細長い管状部位を設けて、全長が約76mmに構成されたものを用いている。
一般に、波長400nm〜700nmの光(「光合成有効放射」と呼ばれる)が、植物の光合成のエネルギー源として有効であることが知られており、また、光合成有効放射の波長の光は、光合成のエネルギー源となるため強い光強度である必要がある。これに対して、本実施形態ではメタルハライドランプ1を植物育成用の光源として使用することで、高強度の光を植物に照射可能にしている。
図10は、メタルハライドランプ1の発光管3に封入した添加物の種類を示す図であり、図10(A)は添加物の封入量、図10(B)は添加物の封入重量比、図10(C)は添加物のモル比(%)、図10(D)は添加物の容積比をそれぞれ示す。なお、同図には、上記イネ幼苗栽培試験、及びイネ栽培試験のそれぞれで用いた比較例のランプ、及び実施例のランプとともに、本実施形態のメタルハライドランプ1(図中、「実施例(調光可能型)」と表記)を示している。
メタルハライドランプ1の発光スペクトル、すなわち赤色、緑色、及び青色の光成分のエネルギーは、発光管3に封入する添加物に依存する。
すなわち、図10に示すように、主として青色の光成分を発光するハロゲン化金属であるDyI3−HoI3−NaI及びCaI2に加え、赤色の光成分を発光するハロゲン化金属であるLiIを添加物として用いることで、青色、及び赤色の光成分のエネルギー比を高めたメタルハライドランプ1が構成されている。
特に、本実施形態のメタルハライドランプ1、及びイネ栽培試験で用いた実施例のランプでは、Tm3(ヨウ化ツリウム)、及びTlI(ヨウ化タリウム)といった、緑色の光成分(波長500nm〜600nm)を主に発光する添加物を排除し非添加とし、緑色の成分を、主として青色の光成分を発光する添加物の発光、及び主として赤色の光成分を発光する添加物の発光により補う構成としたため、緑色の光成分のエネルギー比を20%以下に抑え、青色、及び赤色の光成分のエネルギー比が効率良く高められている。
ところで、イネ幼苗期においては、根腐れを防止するために、照射光量を成長期よりも下げる必要があることは上述の通りである。
また一般に、メタルハライドランプにおいては、調光点灯を行った場合、発光管に添加物として封入している各ハロゲン化物の蒸気圧の違いに起因して低出力になるにしたがって、赤色及び青色の光成分のエネルギー比が変わることが知られている。
すなわち、メタルハライドランプの添加物を調整して、苗の成長期の栽培に最適なエネルギー比を有するランプを構成したとしても、ランプ出力を低下させて幼苗期の育成に用いるため調光制御すると、赤色及び青色の光成分のエネルギー比が変わってしまい、最適な範囲から外れてしまう、という問題が生じる。
そこで本実施形態のメタルハライドランプ1においては、発光管3に封入する添加物として、蒸気圧が近いハロゲン化物を選択して組み合わせることで、調光制御時のランプ入力電力の変化に伴う発光管3の温度変化に対しても、添加物の各ハロゲン化物が同じように変化し、赤色及び青色の光成分のエネルギー比の変化が抑えられる構成としている。
かかるハロゲン化物を選択して組み合わせとしては、図10に示すように、(DyI3−HoI3−NaI、CaI2、LiI、HgI2)の組が挙げられる。
また、各添加物の封入量は、調光によりランプ出力を低下させた場合でも、赤色の光成分のエネルギー比が55〜75%、青色の光成分のエネルギー比が15〜25%の範囲となるように設定されている。
なお、図10に示す各実施例のランプの400W蒸気圧は、比較例のランプが3.2atm(発光管温度1300Kにて)、実施例(イネ栽培試験)のランプが5.0atm(発光管温度1300Kにて)、実施例(調光可能型)のランプが5.7atm(発光管温度1300Kにて)とされている。また、イネ幼苗栽培試験で用いた150Wの実施例のランプについては、150W蒸気圧が7.1atm(発光管温度1300Kにて)とされている。
図11はメタルハライドランプ1の調光時の電気的及び光学的特性を示す図であり、図12はメタルハライドランプ1の調光時の分光エネルギー分布を示す図である。また図13はメタルハライドランプ1の調光時のエネルギー比の変化を示す図である。なお、図13に示す調光は、電子安定器の一般的な矩形波による電流値を制御する定電流制御により行われている。
本実施形態では、これらの図に示すように、400Wのランプ出力のメタルハライドランプ1において、少なくとも100%〜65%の調光範囲で、赤色の光成分のエネルギー比が55〜75%、青色の光成分のエネルギー比が15〜25%の範囲に維持されるようになっている。
特に図12に示すように、分光エネルギー分布においても、100%調光時と65%調光時で略同じ分布形状となることから、同一のメタルハライドランプ1を用いて、幼苗期から成長期まで一貫して効率の良い育成が可能となる。
以上説明したように、本実施形態によれば、透光性のセラミックである透光性アルミナから成る発光管3にハロゲン化物の添加物を封入し、少なくとも赤色、青色及び緑色の光成分を放射するメタルハライドランプ1において、赤色の光成分のエネルギー比を55〜75%、青色の光成分のエネルギー比を15〜25%とした。
これにより、植物の成長を促し、効率の良い植物栽培が可能になる。
またアルミナ製の発光管3を用いることで、ヨウ化物の透過を防止し、青色、緑色及び赤色の光成分のエネルギー比を長期に亘り維持可能な、経時変化に対して優れた耐久性を有するメタルハライドランプ1が実現される。
また本実施形態によれば、主に緑色の光成分を発光する添加物(例えばTm3、TiI)を除外しつつ、当該緑色の光成分を、主に青色の光成分を発光する添加物の発光(DyI3−HoI3−NaIやCaI2)、及び主に赤色の光成分を発光する添加物(例えばLiI)の発光により補う構成としたため、赤色及び青色の光成分のエネルギーの比率を簡単かつ効率良く高めることができる。
また本実施形態によれば、添加物に蒸気圧が近いハロゲン化物を選択して組み合わせ、調光制御時のランプ入力電力の変化に伴う発光管3の温度変化に対して、赤色及び青色の光成分のエネルギー比の変化を抑える構成とたため、植物栽培において、同一のメタルハライドランプ1を用いて、幼苗期から成長期まで一貫して効率の良い育成が可能となる。
なお、上述した実施形態は、あくまでも本発明の一例であって、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で任意に変形及び応用が可能である。
上述した実施形態では、植物工場として閉鎖型植物工場を例示したが、これに限らず、太陽光(自然光)を併用する植物工場の植物栽培用光源にも用いることができる。
1 メタルハライドランプ
3 発光管
5 外球
7 ランプ口金
9 内部空間

Claims (3)

  1. 透光性のセラミックから成る発光管に添加物を封入し、少なくとも赤色、青色及び緑色の光成分を放射するメタルハライドランプにおいて、
    赤色の光成分のエネルギー比を55〜75%、青色の光成分のエネルギー比を15〜25%としたことを特徴とするメタルハライドランプ。
  2. 主に緑色の光成分を発光する添加物を除外しつつ、当該緑色の光成分を、主に青色の光成分を発光する添加物の発光、及び主に赤色の光成分を発光する添加物の発光により補うことを特徴とする請求項1に記載のメタルハライドランプ。
  3. 前記添加物に蒸気圧が近いハロゲン化物を組み合わせたことを特徴とする請求項1又は2に記載のメタルハライドランプ。
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