JP2012117254A - 保水性舗装及びその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】高い保水性が長期間にわたって維持され、且つ、実用上十分な圧縮強度を有する保水性舗装およびその製造方法を提供する。
【解決手段】ポリブタジエン系有機結合材18と骨材20とを含有する多孔質保水層16を備えた保水性舗装10。ポリブタジエン系有機結合材を、前記骨材100質量部に対して0.5質量部以上8.0質量部以下含有することが好ましく、該有機結合材の、23℃における粘度(BH型粘度計、No.7ローター、10回転)は10万mPa・s以下であることが好ましい。
【選択図】図1

Description

本発明は、保水性舗装およびその製造方法に関する。
都市部の熱環境を改善する手段として、路面の温度上昇を抑制しうる保水性舗装が注目されている。保水性舗装は、舗装内に空隙を設けてここに水分を保持し、経時的に保持された水分が蒸発する際の吸熱効果を利用して、路面およびその周辺の温度を下げることを意図するものである。
舗装の吸水性と保水性を向上させる目的で、路盤層上にサンドクッション層を設け、サンドクッション層の上部に導水シートを、間隔を空けて設けた吸水型保水性ブロックや該保水性ブロックに用いる導水シートが提案されている(例えば、特許文献1、2参照。)。この舗装ブロックは、サンドクッション層を有するために圧縮強度に問題があり、例えば、歩道に適用した場合であっても、車庫や駐車場への出入りのために自動車が通る領域は荷重により陥没したり、降雨・散水でサンドクッションが流出してしまい、経時的に保水性が失われたりするという問題がある。
また、保水性を十分に確保するために表面を粒径5mm以下の炭化物粉末とセメント又はモルタルで被覆した骨材を用いる方法(例えば、特許文献3参照。)或いはエポキシ樹脂に繊維を含有したバインダー(結合材)と骨材とを混練してなる舗装材(例えば、特許文献4参照。)などが提案されている。しかしながら、前者はセメントを用いているため表面に白華汚れが発生し、且つ、内部では目詰りが生じて保水性が低下する問題がある。後者では、エポキシ樹脂をバインダーに用いるため、施工時に水分が付着すると十分な強度が発現せず、施工時に不具合を生じる可能性がある。そのため、不具合防止のための雨対策等の手間を要する。
また、大量の降雨があった場合、従来の舗装では水分浸透に時間が掛かり、道路が冠水するという問題があるが、路面近傍に空隙を有する層を設けることで、速やかな雨水の浸透が期待される。このため、保水性を維持するのに十分な空隙率の確保と、車両の通行に耐える強度とが両立され、簡易な製造方法で形成しうる保水性舗装の開発が求められているのが現状である。
特開2004−204446公報 特開2004−225311公報 特開2008−2225公報 特開2002−294616公報
本発明は、これらの課題を考慮してなされたものであり、本発明の目的は、高い保水性が長期間にわたって維持され、且つ、実用上十分な圧縮強度を有する保水性舗装およびその製造方法を提供することにある。
本発明者らは鋭意検討の結果、骨材とともに特定の有機結合材を用いることで上記課題を解決しうることを見出し、本発明を完成した。
本発明の構成は以下に示すとおりである。
<1> AMERICAN FOUNDRY SOCIETY 粒度指数が5以上180以下である骨材をポリブタジエン系有機結合材で結合してなる多孔質保水層を備えた保水性舗装である。
適度の粘弾性を有するポリブタジエン系有機結合材と特定粒度指数の骨材とを使用することで、骨材間の空隙率が適性に維持され、得られた舗装は実用上十分な圧縮強度が達成される。また、他の有機結合材を用いた場合に懸念される、施工直後に雨が降った場合の圧縮強度低下を防止することができる。
<2> 前記ポリブタジエン系有機結合材を、前記骨材100質量部に対して0.5質量部以上8.0質量部以下含有する前記<1>記載の保水性舗装である。
有機結合材と骨材との混合比を上記範囲とすることで、舗装内の空隙率と圧縮強度がより高いレベルで両立される。
<3> 前記ポリブタジエン系有機結合材の、23℃における粘度(BH型粘度計、No.7ローター、10回転)が、10万mPa・s以下である<1>又は<2>に記載の保水性舗装である。
有機結合材の粘度を上記範囲とすることで、骨材と混練する際に混和性が改良され、両者が均一に混合されることで、骨材表面に付着する有機結合材の不均一に起因する局所的な空隙率や圧縮強度の低下が効果的に抑制される。
<4> 前記ポリブタジエン系有機結合材が、分子内に極性基を有するポリブタジエンを含有する<1>〜<3>のいずれか1つに記載の保水性舗装である。
有機結合材が分子内に極性基を有するポリブタジエンを含有することで、ポリブタジエン同士の分子間相互作用が強くなって揮発しにくくなり、材料に起因する臭気が少なくなる。
<5> 前記ポリブタジエン系有機結合材が、さらに、シラン系架橋助剤を、該有機結合材全不揮発分の0.1質量%以上20質量%以下、及び、硬化触媒を、該有機結合材全不揮発分の0.001質量%以上5.0質量%以下含有する<1>〜<4>のいずれか1つに記載の保水性舗装である。
有機結合材にシラン系架橋助剤や硬化触媒を含有させることで、有機結合材中における架橋構造の密度が増加し、舗装内の空隙率と圧縮強度がより高いレベルで両立される。また、施工時の架橋速度が向上し、効率的に有機結合材を硬化させることができる。
<6> 路盤上に、前記多孔質保水層と保水性を有する保護層とをこの順に備える<1>〜<5>のいずれか1つに記載の保水性舗装である。
保水性を有する保護層を備えることで、多孔質保水層表面の耐摩耗性が向上し、すべりが防止される。例えば、保水性ブロック、天然石樹脂舗装、透水性ゴムマット、ウッドチップ等から選択される保護層を備えることで耐摩耗性、すべり防止性のみならず、材料の選択によって歩行性の改良、良好な外観を付与するなどの付加価値を付与することもできる。
<7> 前記多孔質保水層中に、該多孔質保水層に水を給水する給水管を備える<1>〜<6>のいずれか1つに記載の保水性舗装である。
多孔質保水層中に給水管を布設することで、自然降雨による水の供給が十分に得られない場合、給水管により人工給水することで保水性舗装による路面の温度上昇抑制効果を所望の期間維持できる。
<8> 前記路盤が、粒径0.1mm以下の微粒材を10質量%以上30%質量以下含有する保水性路盤である<6>又は<7>に記載の保水性舗装である。
多孔質保水層の下部、路床と多孔質保水層との間の通常路盤に置き換えて、あるいは、通常路盤の上層部に保水性路盤を設けて雨水を保水性路盤で貯水させることにより、多孔質保水層へ保水性路盤に貯水された水が供給され、雨水のより有効な活用がなされ、保水性舗装による路面の温度上昇抑制効果をより長期間維持できる。
<9> AMERICAN FOUNDRY SOCIETY 粒度指数が5以上180以下である骨材100質量部に対し、ポリブタジエン系有機結合材を0.5質量部以上8.0質量部以下含有する混合物を混練する工程と、混練された混合物を路盤上に敷均す工程と、該混合物中のポリブタジエン系有機結合材を硬化させて多孔質保水層を形成する工程とを含む保水性舗装の製造方法である。
前記<1>に記載の保水性と圧縮強度に優れた保水性舗装における多孔質保水層は、骨材と有機結合材とを混練したのち、所定の路盤上に敷均して硬化させるという簡易な方法で形成され、施工直後の水分による圧縮強度低下の懸念がないという利点を有する。
<10> 前記混合物調製工程が、前記骨材及び前記ポリブタジエン系有機結合材に、さらに減粘剤を添加して混練する工程を含む<9>に記載の保水性舗装の製造方法である。
有機結合材の粘度に拘わらず、減粘剤を添加して混練する工程を含むことにより、骨材と混練する際の混和性が改良され、有機結合材と骨材とが均一に混合されることで、骨材表面に付着する有機結合材の不均一に起因する局所的な空隙率や圧縮強度の低下が効果的に抑制される。
本発明によれば、高い保水性が長期間にわたって維持され、且つ、実用上十分な圧縮強度を有する保水性舗装およびその製造方法が提供される。
本発明に係る保水性舗装を実施するための最良の第一の形態を示した概略断面図である。 図2(A)は多孔質保水層内に給水管を備えた本発明の保水性舗装の第二の形態の構成を示す概略断面図であり、図2(B)は、さらに遮水シートを備えた変型例の構成を示す概略断面図である。 多孔質保水層と路床との間に、保水性路盤を備えた本発明の保水性舗装の第三の形態の構成を示す概略断面図である。
本発明の実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。説明において、同一の要素には同一の番号を付し、重複する説明は省略する。
[第一実施形態]
まず、第一実施形態に係る保水性舗装の構成を説明する。図1は、本発明の保水性舗装の一形態を示す概略断面図である。
図1に示すように、保水性舗装10は、路床12の上に基礎となる路盤14が設置され、その表面に本発明に係る多孔質保水層16が設置されてなる。本態様では、多孔質保水層16の表面に保水性保護層である保水性ブロック24が配置されている。なお、路盤14上には強度向上、その他の目的で基層を設けてもよい。
<路盤>
路盤14は、従来の道路と同様に施工されており、路盤14は、たとえば、最大粒径40〜20mmの粒径材料などを、200〜800mmの厚さに敷設して転圧する等して形成される。
<多孔質保水層>
本発明に係る多孔質保水層16は、ポリブタジエン系有機結合材18と骨材20とを含有する。即ち、骨材20がポリブタジエン系有機結合材18をバインダー(結合材:接着剤)として空隙を保持しつつ結合、硬化されて形成された層であり、構造内に多数の空隙22を有し、該空隙22に雨水などの水分を保持する。保持された水分は、経時的に多孔質保水層表面から蒸発し、蒸発時の吸熱効果により路面およびその周辺の温度を下げるものである。
本発明に係る多孔質保水層は、骨材20とポリブタジエン系有機結合材18とを混合し、路盤12上に敷設して有機結合材18を硬化させることで形成される。
以下、多孔質保水層を構成する各材料について説明する。
−骨材−
多孔質保水層に用いられる骨材としては、例えば、細骨材である、けい砂、川砂、山砂、石灰石砕砂、砕砂、スラグ砕砂、軽量骨材等が挙げられる。さらに、ガラスカレットなどのリサイクル骨材を使用してもよい。
細骨材としては、圧縮強度と最大吸水率を確保するという観点から、AFS粒度指数が5〜180であるものを選択して用いる。AFS粒度指数としては、20〜120のものがより好ましく、30〜70のものがさらに好ましい。
AFS粒度指数は AMERICAN FOUNDRY SOCIETY 粒度指数の略称で、鋳型および鋳型材料に関する試験方法のJACT試験法S−1に準じて測定される値である。AFS粒度指数の小さいものほど粒径が大きく、AFS粒度指数の大きいものほど粒径が小さくなる。AFS粒度指数はΣ(W×AFS係数)/100であり、Wは連続する各ふるいの間にとどまる細骨材の質量分率である。
下記表1に、ふるい目の寸法とAFS係数との関連を示す。
ここで骨材のAFS粒度指数を上記範囲とすることにより、空隙を維持しつつ硬化する場合の有機結合材と骨材との混合比を適切に維持して、均一な混合状態を達成することができ、保水に十分な空隙の維持と圧縮強度とが両立される。
AFS粒度指数が高すぎる粒径の細かい砂を用いた場合には、後述する有機結合材の含有量を多くする必要があり、コストが上昇するとともに、均一に混練することが困難となる。他方、AFS粒度指数が低すぎる粒径の粗い砂を用いた場合には、形成される空隙が大きくなりすぎて保水能力が低下する。
なお、一般的に国内で用いられている細骨材においては、4号〜8号けい砂が汎用的であるためより好ましく、5号けい砂及び6号けい砂が多孔質保水層の保水性能と強度のバランスが良いため特に好ましい。4号けい砂のAFS粒度指数は20程度、5号けい砂のAFS粒度指数は30程度、6号けい砂のAFS粒度指数は50程度、7号けい砂のAFS粒度指数は80程度、8号けい砂のAFS粒度指数は120程度であり、上記AFS指数の好ましい範囲に属することから、いずれも、本発明における多孔質保水層の形成に好適に使用される。
−ポリブタジエン系有機結合材−
本発明に係る多孔質保水層はポリブタジエン系有機結合材を含有する。
本発明におけるポリブタジエン系有機結合材は、硬化性成分としてポリブタジエンを用いた結合材であり、以下、特定結合材と称することがある。
特定結合材により前記の骨材同士を固定することにより、骨材間の空隙が保持され、保水性を有する多孔質層が形成される。特定結合材は硬化性の主剤としてポリブタジエンを用いているため、骨材に対する含有量が、一般的な結合材に比較して極微量の添加によっても、保水性を有する多孔質層を形成することができ、且つ、車両進入を可能にする輪荷重に耐える圧縮強度を発現させることができる。
本発明の特定結合材に用いられるポリブタジエンは、ブタジエンを構造単位(ユニット)として含む重合体であり、ポリブタジエン系有機結合材の硬化性成分となるものである。ポリブタジエンの構造としては、1,2−付加反応ユニット、及び、1,4−付加反応ユニットを含む共重合体であることが好ましく、これらのユニットを含む共重合体はランダム共重合体でも、ブロック共重合体でもよいがランダム共重合体であることが好ましい。
なお、本発明に用いられるポリブタジエンは、原料仕込み比や重合条件等により、共重合体に含まれる1,2−付加反応ユニット及び1,4−付加反応ユニットの割合は適宜調製しうるが、本発明においては、これらの割合は特に制限はなく、いずれの割合であっても好適に使用される。
ポリブタジエン系有機結合材を用いることで、保水性能に有用な骨材間の空隙を適切に保持しつつ、強度が維持される。従って形成された多孔質層は良好な保水性を有する。
特定結合材に用いられるポリブタジエンは、目的に応じ、種々の官能基を導入することで変成されたものを用いてもよい。具体的には、例えば、ポリブタジエンの分子内に極性基を導入してもよい。ポリブタジエンに極性基を導入すると、該ポリブタジエン同士の分子間相互作用が強くなって揮発しにくくなることで、材料に起因する臭気が少なくなる。
導入可能な極性基としては、水酸基、無水マレイン酸基、カルボキシ基等の親水性基やエポキシ基等が挙げられる。導入量としては、ポリブタジエン1分子あたり、平均0.5個〜30個程度が好ましく、平均1個〜20個程度がより好ましく、平均2個〜10個程度が特に好ましい。
ポリブタジエンの分子量は、圧縮強度性能、保水性能に影響を与えない限りは特に限定されないが、800〜6,000が好ましく、1,000〜3,500がより好ましく、1,200〜2,000が特に好ましい。ポリブタジエンの分子量が上記範囲であることにより、適切な圧縮強度性能が発現され、且つ、ポリブタジエン自体の粘度が高くなることによる細骨材との混和性低下が抑制される。
ポリブタジエンは合成品を用いてもよく、また、市販品としても入手可能である。
本発明に用いうる市販品の具体例としては、日本曹達社製、商品名NISSO PB B−1000、B−2000、B−3000、エボニックデグサ社製商品名Polyoil 110、Polyoi1 130等が挙げられる。
また、分子内に水酸基を有するポリブタジエンの具体例としては、日本曹達社製商品名NISSO PB G−1000、G−2000、G−3000、JP−100、BN−1050、光興産社製商品名PolybdR−15HT、PolybdR−45HT、KRASOL LBH2000、KRASOL LBH3000、KRASOL LBH−P3000、KRASOL LBH5000、KRASOL LBH−P5000、KRASOL LBH−2040、エボニックデグサ社製商品名Polyvest OC 800S等が挙げられる。
また、ポリブタジエンの変性品として、メチル化されたポリブタジエンともいえるポリイソプレンも、本発明におけるポリブタジエンと同様に特定結合材の主剤として使用することができる。ポリイソプレンの市販品の具体例としては、光興産社製商品名Polyip等が挙げられる。
これらのなかでは、細骨材との混和性が良く圧縮強度性能と保水性能が良好であるという観点から、エボニックデグサ社製のPolyoil 110、Polyoi1 130、Polyvest OC 800S、及び、PolybdR−15HTが好適に用いられる。
ポリブタジエンの粘度は、圧縮強度性能、保水性能に影響を与えない限りは特に限定されないが、100万mPa・s以下が好ましく、50万mPa・s以下がより好ましく、10万mPa・s以下が特に好ましい。ポリブタジエンの粘度が100万mPa・sを上回ると、細骨材との混和性が低下する懸念がある。用いられるポリブタジエンの粘度は低いほど骨材との均一混和性が良好となるが、結合材が流れて偏在する可能性を考慮すれば、粘度は0.1mPa・s以上であることが好ましい。
ポリブタジエンの粘度が高い場合は、以下に詳述するようにポリブタジエン系有機結合材の調製に際して、該結合材の粘度を下げるために、以下に詳述する減粘剤を配合してもよく、骨材と混合する際に該結合材を加熱することで粘度を下げてもよい。なお、減粘剤の配合は、用いる材料や添加量によっては圧縮強度性能に影響を与える可能性があるため、圧縮強度性能の許容範囲内で配合する必要がある。
骨材に対するポリブタジエン系有機結合材の添加量としては、骨材100質量部に対して0.5質量部以上とすることが好ましい。添加量が0.5質量部未満であると結合力が十分でなく得られる多孔質保水層の圧縮強度が実用上の強度を保持できない懸念がある。
特定結合材の添加量は、骨材100質量部に対して0.5質量部以上8.0質量部以下であることが好ましく、1.0質量部以上6.0質量部以下であることがより好ましく、1.5質量部以上5.0質量部以下であることが最も好ましい。なお、8.0質量部を超えて添加してもよいが、添加による圧縮強度向上効果はほとんど見られず、また、結合材の増加にも伴う空隙率の低下による保水性が低下する場合もある。
−その他の添加剤−
また、本発明にかかるポリブタジエン系有機結合材には、細骨材に対する結合力を増し、効果的に圧縮強度性能を発現させるために、本発明の効果を損なわない限りにおいて種々の添加剤を用いてもよい。添加剤としては、結合材の硬化性を向上させるための架橋助剤、ポリブタジエンの架橋性を増大させ効率的に硬化させるために、硬化触媒などが挙げられる。
(架橋助剤)
特定結合材には、シラン系架橋助剤を用いてもよい。本発明におけるシラン系架橋助剤は、細骨材に対する結合力を増し、ポリブタジエン同士を効率的に架橋させることで、効果的に圧縮強度性能を発現させる添加剤である。シラン系架橋助剤としては、ポリブタジエンと反応する官能基、砂等の骨材と反応する官能基の双方を有しているものが特に好適に用いられる。
ポリブタジエンと反応する官能基としては、ビニル基、アリル基、ヘキセニル基等のアルケニル基や、アクリロキシ基、メタクリロキシ基等が挙げられる。また、骨材と反応する官能基としては、アルコキシ基、アセトキシ基等の加水分解性基を有する反応性シリル基等が挙げられる。
これらの官能基を有するシラン系架橋助剤としては、具体的には、例えば、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルメチルジメトキシシラン、ビニルメチルジエトキシシラン、ジビニルジメトキシシラン、ジビニルジエトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、アリルトリメトキシシラン、ヘキセニルトリメトキシシラン、3−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、及び、少なくともそれらをモノマーユニットとする縮合重合体等が挙げられる。これらのなかでも、骨材に対する結合力が良好であり、ポリブタジエン同士を効率的に架橋させる効果が高いことから、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、及び、少なくともそれらをモノマーユニットとする縮合重合体が好適に用いられる。
これらの官能基を有するシラン系架橋助剤は市販品としても入手可能であり、本発明においては市販品を用いてもよい。
市販品としては、例えば、信越化学工業社製商品名KBM−1003、KBE−1003、東レ・ダウコーニング社製商品名Z−6161、Z−6825、エボニックデグサ社製商品名Dynasylan6490、Dynasylan6498等が挙げられる。
ポリブタジエン系有機結合材にシラン系架橋助剤を用いる場合の添加量は、該有機結合材全不揮発分の0.1質量%以上20質量%以下が好ましく、1.0質量%以上15質量%以下がより好ましく、2.0質量%以上10質量%以下が特に好ましい。添加量が上記範囲において、添加による効果が十分に発現され、且つ、架橋を阻害して硬化性を損なうこともない。
(硬化触媒)
特定結合材に用いうる硬化触媒は、ポリブタジエンの架橋を促進する機能を有する化合物である。ポリブタジエンは硬化触媒を添加しない場合で空気中の酸素による酸化架橋が進行し、硬化するものであるが、実用上は硬化触媒を配合しその架橋反応を促進することが好ましい。
硬化触媒としては、不飽和基を有する化合物の架橋・硬化に用いられる従来公知の硬化触媒を用いればよいが、その代表例として金属ドライヤーが挙げられる。金属ドライヤーの具体例としては、鉄系触媒、ビスマス系触媒、ジルコニウム系触媒、コバルト系触媒、マンガン系触媒、亜鉛系触媒、銅系触媒等が挙げられる。これらの金属系触媒は、種々の錯体あるいはカルボン酸金属塩等の構造を有する多種の触媒があるが、触媒の構造は特に限定されず、酸化硬化を促進する触媒であればいずれも用いることができる。
硬化触媒は市販品として入手可能であり、本発明においてはそれら市販品を用いてもよい。市販品としては、例えば、日本化学工業社製、商品名ナフテックスZnシリーズ、ニッカオクチックスZnシリーズ、ナフテックスCaシリーズ、ニッカオクチックスCaシリーズ、ナフテックスKシリーズ、ニッカオクチックスKシリーズ、ニッカオクチックスBiシリーズ、ネオデカン酸Biシリーズ、プキャットシリーズ、PAシリーズ、ナフテックスZrシリーズ、ニッカオクチックスZrシリーズ、ナフテックスFeシリーズ、ニッカオクチックスFeシリーズ、ナフテックスCoシリーズ、ニッカオクチックスCoシリーズ、ナフテックスMnシリーズ、ニッカオクチックスMnシリーズ、ナフテックスMgシリーズ、ナフテックスLiシリーズ、ナフテックスCuシリーズ、ナフテックスBaシリーズ、ニッカオクチックス・レアースシリーズ、ニッカオクチックスNiシリーズ、ホープ製薬社製商品名オクトープシリーズ等が挙げられる。
これらのなかでは、触媒能の高さから、日本化学工業社製ニッカオクチックスBiシリーズ、プキャットシリーズ、ナフテックスCoシリーズ、ニッカオクチックスCoシリーズ、ナフテックスMnシリーズ、ニッカオクチックスMnシリーズ、ニッカオクチックスFeシリーズが好適に用いられる。
硬化触媒は触媒化合物単独で用いてもよいし、溶媒に溶解させた溶液で用いてもよい。
添加量は、該有機結合材全不揮発分の0.001質量%以上5.0質量%以下が好ましく、0.01質量%以上3.0質量%以下がより好ましく、0.1質量%以上1.5質量%以下が特に好ましい。
添加量が上記範囲において、硬化促進効果が十分に発現され、且つ、触媒の添加に起因する特定結合材の着色なども生じることがない。
(減粘剤)
本発明における多孔質保水層は、上記骨材と上記ポリブタジエン系有機結合材との混合物を混練する混合物調製工程を経て得られるが、混練時の混和性、分散性を向上させるために、混合物には、さらに減粘剤を用いてもよい。本発明における減粘剤は、ポリブタジエンに相溶する液状の有機化合物であり、シクロヘキサン、各種イソパラフィン、メチルシクロヘキサン、トルエン、鉱油等の常温常圧で揮発性の有機化合物、あるいは、フタル酸ジオクチル、フタル酸ジノニル、ランクセス社製商品名メザモール、ビックケミー社製商品名DISPERBYKシリーズ等の常温常圧で揮発性に乏しい有機化合物が利用できる。
減粘剤の添加量は、求められる性能を維持できる範囲において特に限定されないが、硬化性や多孔質保水層の強度等を考慮すれば、上述の常温常圧で揮発性の液体有機化合物の場合、該混合物の全質量中20質量%以下であることが好ましく、上述の常温常圧で揮発性に乏しい液体有機化合物の場合、該混合物中5質量%以下であることが好ましい。
また、上記減粘剤は、上記混合物調製工程の際に添加するだけでなく、上記ポリブタジエン系有機結合材に事前に添加されていてもよい。事前に添加することにより、上記ポリブタジエン系有機結合材の粘度が低くなり、混練時の混和性、分散性が向上する。
事前添加する際の、上記減粘剤の添加量としては、求められる性能を維持できる範囲において特に限定されないが、硬化性や多孔質保水層の強度等を考慮すれば、上述の常温常圧で揮発性の液体有機化合物の場合、該混合物の全質量中80質量%以下であることが好ましく、上述の常温常圧で揮発性に乏しい液体有機化合物の場合、該混合物中20質量%以下であることがさらに好ましい。
特定結合材は、ポリブタジエン及び所望により併用される前記シラン系架橋助剤、硬化触媒及び減粘剤などを混合することにより調製される。
上記各成分を含有するポリブタジエン系有機結合材の粘度は、圧縮強度性能、保水性能に影響を与えない限りは特に限定されないが、骨材との均一混和性向上の観点から、10万mPa・s以下が好ましく、5万mPa・s以下がより好ましく、1万mPa・s以下が特に好ましい。ポリブタジエン系有機結合材の粘度が10万mPa・sを上回ると、細骨材との混和性が十分でない場合がある。粘度は低いほど骨材との均一混和性が良好となるが、結合材が流れて偏在する可能性を考慮すれば、粘度は0.1mPa・s以上であることが好ましい。
粘度を上記範囲とするためには、ポリブタジエンとして粘度が上記範囲のものを選択して用いてもよく、また、ポリブタジエン、硬化触媒などを混合した後、減粘剤を添加することで特定結合材を含有する組成物の粘度を上記範囲に調製してもよい。
−多孔質保水層の形成−
本発明に係る保多孔質保水層は、特定結合材と骨材との混合物を十分に混練したのち、路盤上に敷均し、所望により表面を平滑になるように圧縮した後、特定結合材が硬化して形成される。多孔質保水層形成用組成物の調製に際しては、前記骨材100質量部に対して特定結合材を0.5質量部以上8.0質量部以下添加して混合物を調製する。
混練りは常法により行うことができ、例えば、モルタルミキサー(パン型タイプ、傾胴タイプ)等の装置を用いて行うことができる。
また、施工効率上、練り混ぜ時間は30秒〜10分が好ましい。さらに、路盤上に特定結合材が完全に硬化する前に敷設する必要があることから練り混ぜ後の可使時間は、3時間〜18時間の範囲であることが好ましい。
路盤14上に形成される多孔質保水層16の厚みは目的に応じて選択されるが、保水効果と強度とのバランスを考慮すれば、一般的には、10mm〜60mmの範囲であることが好ましく、20mm〜40mmの範囲であることがより好ましい。
なお、保水効果向上を目的として、路盤14上には水不透過性の遮水シートを配置してもよい。遮水シートを配置することで、雨水などの路盤への流出が抑制され、効果的に多孔質保水層16の空隙内に水分が保持される。遮水シートは、必ずしも路盤14の全面に配置されなくてもよく、必要に応じて部分的に配置されていてもよい。
遮水シートは、多孔質保水層16を保水性の維持と、それによる道路表面の温度低下を目的として用いる場合に特に有用である。一方、多孔質保水層16を、道路表面の排水を促進させる目的で用いる使用態様においては、遮水シートを用いないか、或いは、排水性を損なわない範囲で局所的に使用することが好ましい。
多孔質保水層16の表面には、保水性保護層24を有することが好ましい。
保水性保護層24としては公知のものが適宜用いられる。保水性保護層としては、例えば、保水性ブロック、透水性ゴムマット、ウッドチップ層、天然石樹脂舗装等が挙げられる。保水性保護層24を設けることで、多孔質保水層16の表面が直接露出せず、また、局所的な応力集中が抑制され、耐久性が向上する。また、保護層24も保水性に優れるため、多孔質保水層の効果を損なうことなく、耐久性向上が図れる。
保水性保護層として用いられる保水性ブロックとしては、例えば、多孔質セラミック製のブロック、ガラスカレットや廃コンクリート粉砕物等を結合材で硬化させて形成された多孔質ブロックなど、保水性、透水性を確保するための空隙を有し、舗装材としての強度を備えた固体のブロックが挙げられる。保水性ブロックの市販品としては、例えば、エンテック社製のFUJI(商品名)シリーズなどが挙げられる。
透水性ゴムマットは、ゴムを破砕して得られたゴムチップを結合材で結合して形成した可撓性のマットであり、ゴムチップのサイズ、結合材(接着剤)の種類や量、及び、マットの厚み等を選択することで、所望の保水性、透水性、及び、柔軟性を得ることができる。さらに、所望の色相に着色したゴムチップを原料としたり、マットを成形するための型の形状を工夫したりすることで、意匠性に優れたゴムマットとすることもできる。
透水性ゴムマットは市販品としても入手可能であり、例えば、大木ゴム工業製のライル(商品名)シリーズ、ダイセイ性のISOラバブリック(商品名)シリーズなどが挙げられる。
ウッドチップ層は、各種のウッドチップ(間伐材などの木材破砕物)をウレタン系の結合材で接着、硬化させて形成する保水性層であり、ウッドチップ自体が有する微細な空隙や親水性の物性を利用した保水性、透水性の表面舗装である。ウッドチップを形成する木材の材質、チップのサイズや形状、結合材の種類や量などを調節することで、強度、保水性、外観などを制御することができる。ウッドチップ層の形成に用いるウッドチップは、木材を粉砕して作製したものでもよく、市販品を用いてもよい。
天然石樹脂舗装は、前記ウッドチップに代えて、各種の天然石を敷き詰めた舗装であり、天然石を結合材(樹脂)で接着、硬化させてなる。有機結合材としては、耐久性の観点からは例えば、ウレタン系の有機結合材が好ましい。天然石間の空隙により保水性、透水性の舗装となる。
舗装に用いる天然石としては、所謂玉砂利を使用すればよく、必要な強度と保水性を考慮して玉砂利のサイズを選択すればよい。不定形の天然石一般的には、直径(球形ではない場合、最大径)が1.5mm程度から20mm程度のものが用いられる。天然石もまた、サイズや色相を選択することで意匠性に優れた舗装とすることができる。天然石舗装に使用される市販品としては、日本銀砂(株)製の玉砂利などが挙げられる。
保水性保護層24の厚みは保護層の種類や目的に応じて選択されるが、5mm〜80mmの範囲であることが強度の関係から好ましい。
以下、保水性舗装10の、より詳細な形成方法を説明する。
転圧などによって表面が平らに整地された路床12の上に、例えば、歩道用であれば、粒径材料を100〜150mmの厚さに敷設して転圧する等して路盤14を整正して形成する。この工程は通常の道路施工と同様に実施される。
その後、前記多孔質保水層16に用いられる骨材をドライ混合する。ドライ混合は、骨材が均一に分散できるように、約30秒かけて行う。なお、混合の時間は、目的に応じて選択され、例えば、粒径の異なる複数種の骨材を用いる場合、その種類により決定される。
ドライ混合とは別工程で、特定結合材を調製する。調製は、前記ポリブタジエン主剤に、所望により添加される硬化助剤、架橋剤を添加し、約30秒程度混合する。含有するポリブタジエン素材により粘度の調製を必要とする場合には、減粘剤を加えて、さらに約30秒混合する。なお。混合時間には特に限定はない。
その後、骨材に調製された特定結合材を添加して、約90秒かけてウェット混合して多孔質保水層16形成用の混合物を得る。混合時間は、骨材と結合材が均一に分散するように決定されるものであって、90秒に限定されるものではない。
得られた多孔質保水層形成用の混合物を、人力またはアスファルトフィニッシャ等の装置を用いて路盤14上に配置する。その後、人力(コテ)、機械(ローラおよびビブロプレート)を用いて、敷均された舗装材を転圧して、厚さが20mm〜40mmの多孔質保水層16を形成する。ただし、保水性保護層24に保水性ブロック等を用いた場合は、多孔質保水層形成用の混合物を敷均し、締め固め直後に保水性ブロック等を布設し、仕上げにビブロプレート等でブロックの上から転圧する場合がある。その後、24時間程度養生することで、保水性舗装10が完成する。なお、養生時間は、該結合材の硬化速度に応じて便宜調整すればよい。
本態様では、形成された多孔質保水層16表面に透水性ブロックなどの保水性保護層24が形成される場合があるが、保水性保護層24は必ずしも必要ない。
以上のような製造方法によれば、骨材20と、ポリブタジエン系有機結合材18とを予め混合させ、得られた混合物を敷設するといった簡単な作業で、多孔質保水層16が容易に形成され、実用上十分な強度と保水性を有する保水性舗装10が簡易に得られ、保水性舗装10全体に亘って高い保水機能と高い圧縮強度とを併せて得ることができる。
[第二実施形態]
次に、第二実施形態に係る保水性舗装の構成を説明する。図2(A)は、本発明に係る保水性舗装を実施するための最良の第二の形態を示した概略断面図である。
図2(A)に示すように、かかる保水性舗装26Aは、多孔質保水層16内に水を給水する給水管28が配置される。給水管28は、金属或いは樹脂製の中空管であって、長さ方向に一定の間隔で、或いは、ランダムに微細な穴が形成されており、図示されない水分供給設備に接続している。好天が続き雨水による水分の供給がない場合においても、給水管28により多孔質保水層16内に定期的に給水することで、路面の温度低下効果を維持することができる。
ここで用いられる給水管28は、多孔質保水層16の形成時に層内に配置されることが、施工の簡易性及び硬化した多孔質保水層16により給水管28が保護されるという観点から好ましい。
給水管28は、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリエステルなどの樹脂製の管、繊維強化樹脂製の管、金属管などのいずれを用いてもよいが、可撓性、耐久性、及び、コストの点からは、ポリエチレン樹脂などの樹脂製管が好ましい。
給水管の直径は適宜選択されるが、一般的には、直径が10mm〜20mm程度、管の肉厚が0.5mm〜1.0mm程度のものが用いられる。
給水のための開口部は、その間隔を一定とする際には、所望の保水性の程度に応じて、10cm〜100cmの範囲で適宜選択すればよい。また、ランダムに配置してもよく、開口部の大きさや管の単位長さあたりに形成する開口部の数は、多孔質保水層の目的に応じて適宜選択される。
給水管に設けられる開口部は、経時的に目詰まりしない形状やサイズを選択することが好ましく、開口部の形状を選択する以外に、例えば、定期的に高圧の水により開口部を洗浄して目詰まりを防止したり、或いは、開口部に点滴ノズルを配置して目詰まりを防ぐ構造としたり、してもよい。
給水管は市販品としても入手可能であり、例えば、トロカンパニー社製のドリップチューブDL2000(商品名)などが挙げられる。
給水管の少なくとも一方の端部は、必要に応じて、給水タンク、給水ポンプ、水道の蛇口などの水分供給装置に連結されて用いられる。
なお、給水管28から補給された水分により効果的な保水を行う目的で、給水管28の配置された路盤14上に既述の遮水シート29を配置してもよい。図2(B)は、路盤14と給水管28との間に遮水シート29を配置した実施形態を示す概略断面図である。
本実施形態によれば、給水管28から供給された水が路盤14へ流失せず、遮水シート29上に保持されることから、多孔質保水層16の空隙に徐々に拡散して保水されることから、供給された水分は道路表面の温度低下などにより有効に使用される。
[第三実施形態]
次に、第三実施形態に係る保水性舗装の構成を説明する。図3は、本発明に係る保水性舗装を実施するための最良の第三の形態を示した概略断面図である。
図3に示すように、かかる保水性舗装30は、多孔質保水層16と路床12との間に保水性路盤32を有する。保水性路盤32を設けることで、多孔質保水層16を透過した雨水が保水性路盤32に保持され、保水性舗装30における路面の温度低下効果が長期間にわたり維持される。
保水性路盤32は、通常の路盤材に加え、保水材として微粒珪砂、石炭灰等の微粒子を混合して形成された路盤である。微粒珪砂とは、陶磁器やガラスの原料となる珪砂を製造する工程で排出される粒子径が0.005mm〜0.1mmの範囲の微粒分をいう。石炭灰は、石炭火力発電所で微粉炭を燃焼した後に発生した残渣である。
保水性路盤の粒径0.1mm以下の微粒材の含有率は、10質量%以上30質量%以下であることが好ましく、10質量%以上20質量%以下であることがより好ましい。上記範囲において、保水性と路盤の強度とが両立される。
保水性路盤32を設ける場合の厚みは、効果と強度の観点から100mm〜400mmの範囲であることが好ましい。保水性路盤32は、通常の路盤に変えて設置されてもよく、路盤上にさらに設置されてもよい。
以下、本発明の実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに制限されない。
(実施例1−1)
1.保水性舗装の作製
(混合物の作製)
Polyoil 110(エボニックデグサ社製ポリブタジエン、分子量2,200、20℃における粘度850mPa・s)を100質量部、KBM−1003(信越化学工業社製ビニルトリメトキシシラン)を5質量部、ニッカオクチックスMn8%(T)(商品名)、日本化学産業社製:2−エチルヘキサン酸マンガン系触媒(約50質量%溶液)を、0.1質量部を混合することで、ポリブタジエン系有機結合材Aを得た。骨材として6号けい砂を用い、骨材100質量部に対し、ポリブタジエン系有機結合材A2.0質量部を添加し、モルタルミキサーにて3分間混合して多孔質保水層形成用の混合物(混合物1)を作製した。
(多孔質保水層の形成)
路盤14上に前記で得られた混合物1を配置し、厚さが30mmとなるように表面を人力(コテ)で圧縮し、敷均し、路盤上に厚さ30mmの多孔質保水層16を形成した。形成された多孔質保水層16表面に、厚さ60mmの保水性ブロック(セラミックス製、比重1.85のブロック:サイズ200mm×100mm×厚さ60mm)24を配置して、図1に示すのと同じ層構成を有する保水性舗装10を形成した。
2.圧縮強度の評価
圧縮強度の評価のため、得られた混合物1を型枠内に配置し、表面を平面上にならして硬化させ、材齢7日後に得られた成形体の圧縮強度をJIS R 5201に準じて測定した。養生温度は室温20℃とした。なお、本評価において圧縮強度が1.4N/mm以上であることで、歩道に用いた場合に、表面を通過する自動車の荷重に耐える実用上の圧縮強度を達成したと評価する。
また、施工時の耐降雨性を評価するため、型枠内に配置後、15分放置した後、降雨量5mm/hに相当する量の水を霧吹きにて散布し、材齢7日後に得られた成形体の圧縮強度を、水を散布しなかった試料と同様にして測定した、結果を下記表2に示す。
3.白華性の評価
形成された保水性舗装10の暴露試験を、自然環境下、屋外に1年間暴露することで実施した。
保水性ブロック18表面を目視にて観察し、白華に起因する白色の汚れの有無を以下の基準で評価した。結果を下記表2に併記する。
あり:保水性ブロック表面に白華による汚れが観察された
なし:保水性ブロック表面に白華による汚れは全く観察されなかった。
(比較例1−1)
実施例1−1で用いたポリブタジエン系有機結合材に代えて、2液型エポキシ系接着剤(主剤:ビスフェノールA型エポキシ樹脂、硬化剤:ポリチオール/ポリアミン混合物)をバインダー(結合材)として用いた以外は、実施例1−1と同様にして成形体を形成し、同様に圧縮強度の評価を行った。結果を下記表2に示す。
(比較例1−2)
実施例1−1で用いたポリブタジエン系有機結合材に代えて、3液型ビニルエステル樹脂系結合材主剤:ビニルエステル系樹脂、硬化剤:有機過酸化物、硬化促進剤:有機金属系還元剤)をバインダーとして用いた以外は、実施例1−1と同様にして成形体を形成し、同様に圧縮強度の評価を行った。結果を下記表2に示す。
(比較例1−3)
実施例1−1で用いたポリブタジエン系有機結合材に代えて、セメント(普通ポルトランドセメント)をバインダーとして用い、添加量を骨材100質量部に対してセメント4.6質量部とし、さらに、セメントに対して水100質量部を添加して混合物を得た以外は、実施例1−1と同様にして成形体を形成し、同様に圧縮強度の評価を行った。結果を下記表2に示す。
表2に示すように、本発明に係るポリブタジエン系有機結合材を用いてなる成形体は圧縮強度が高く、硬化前に水分に触れた場合においても、圧縮強度の低下が見られないことがわかる。また、暴露試験によっても白華が発生しなかった。
他方、圧縮強度の高い成形体を形成しうるエポキシ系バインダーやセメントを用いた比較例1−1、比較例1−3では、散水を行った場合に強度が大きく低下することがわかる。さらに、圧縮強度が高いセメントを用いた比較例1−3では、暴露試験により保水性ブロック表面に白華に起因する汚れの発生が観察された。
(実施例1−2〜実施例1−5)
1.保水性舗装の作製
ポリブタジエン系有機結合材Aの骨材に対する添加量を下記表3に記載のように変更した以外は、実施例1−1と同様にして保水性舗装を製造した。また、実施例1−1と同様にして圧縮強度を測定した。さらに、以下の基準で吸水率を測定した。下記により測定した吸水率が高いほど、保水性に優れる。
2.最大吸水率の評価
最大吸水率試験は、舗装調査・試験法便覧(社)日本道路協会に準じて行った。
結果を下記表3に示す。
表3の結果より、本発明に係る実施例1−1〜実施例1−5の保水性舗装はいずれも、材齢7日(20℃養生)において車両進入を可能にする輪荷重に耐える圧縮強度性能を有し、且つ、吸水率の結果より保水性を維持しうる空隙を備えることが確認された。また、実施例1−1〜実施例1−5の対比より、骨材に対する特定結合材の添加量が2.0質量部〜7.0質量部の範囲において、強度と吸水率の両立という本発明の効果が著しいことがわかる。
(実施例2−1〜実施例2−3)
ポリブタジエン系有機結合材として、NISSO PB JP−100(商品名)、日本曹達社製:エポキシ化ポリブタジエン、分子量1,300、45℃における粘度220Pa・s)を用い、該特定結合材100質量部に対して、減粘剤としてシクロヘキサン30質量部、硬化触媒としてニッカオクチックスCo12%(T)(商品名)、日本化学産業社製:2−エチルヘキサン酸コバルト系触媒(約75質量%溶液)を添加して結合材を調製した。
得られた結合材の23℃における粘度を、BH型粘度計(No.7ローター、10回転)により測定した。結果を下記表4に示す。
その後、骨材100質量部に対して、得られた結合材2.0質量部を添加し、モルタルミキサーにて10分間混合し、混和性を確認した。
混和性は、以下の基準により評価した。
○:均一に混和できる(問題なく混和できる)
×:均一に混和できない(ダマができやすく混和しにくい)
表4に記載のように、結合材の粘度を適切に保つことで、骨材との均一混合が達成された。従って、得られる多孔質保水層も均一な多孔質層となり、実用上問題のない保水性舗装を形成しうることが分かる。
(実施例3−1〜実施例3−10)
下記表5に記載のポリブタジエン、架橋助剤、減粘剤、硬化触媒を下記表5に記載の含有量で、23℃において配合してポリブタジエン系有機結合材を得た。その後、骨材としての6号けい砂100質量部に対して、得られた結合材を2質量部添加し、混合した。
(可使時間の評価)
23℃において、各原料を混合した直後からその混合物が施工できなくなるまでの時間を施工効率(可使時間)とした。施工の可否については、金属スパーチュラでハンドリングすることで評価し、ハンドリングが不可になった時点を施工できない時点として評価した。
(圧縮強度と最大吸水率の評価)
得られた混合物を用いた他は、前記実施例1−1と同様にして保水性舗装を作製し、実施例1−1と同じ方法で、圧縮強度と最大吸水率の評価を行った。
(施工時の臭気の評価)
保水性舗装の施工時の臭気について官能評価を行った。なお、臭気の評価は、臭気が少ないと感じた人数が、評価者10人中8人以上の場合を「◎」、6〜7人の場合を「○」、5人以下の場合「△」とした。結果を下記表5に示す。
なお、下記表5及び表6に記載の各成分の詳細を以下に示す。
(ポリブタジエン)
・Polyoil 110(エボニックデグサ社製):ポリブタジエン、分子量2,200、20℃における粘度850mPa・s
・Poly bd R−45HT(出光興産社製):水酸基含有ポリブタジエン、分子量2,800、30℃における粘度6,600mPa・s、水酸基含有率:1分子あたり約2個
・NISSO PB JP−100(日本曹達社製):エポキシ化ポリブタジエン、分子量1,300、45℃における粘度220Pa・s、エポキシ基含有率:1分子あたり約5.6個
・NISSO PB BN−1015(日本曹達社製):無水マレイン酸基含有ポリブタジエン、分子量1,400、45℃における粘度350Pa・s、無水マレイン酸基含有率:1分子あたり約1.8個
・Polyvest OC 800S(エボニックデグサ社製): 無水マレイン酸基含有ポリブタジエン、分子量2,200〜2,600、20℃における粘度6,000〜9,000mPa・s、無水マレイン酸基含有率:1分子あたり約1.9個
・Kraysol LBH−P 5000(出光興産社製):水酸基含有ポリブタジエン、分子量5,300、30℃における粘度19Pa・s、水酸基含有率:1分子あたり約2個
(シラン系架橋助剤)
・KBM−1003(信越化学工業社製):ビニルトリメトキシシラン
・Dynasylan 6490(エボニックデグサジャパン社製):ビニルアルコキシシラン系オリゴマー
・Dynasylan 6498(エボニックデグサジャパン社製):ビニルアルコキシシラン系オリゴマー
(減粘剤)
・アイソパーH(エクソンモービル社製):液体イソパラフィン
(硬化触媒)
・ニッカオクチックスCo12%(T)(日本化学産業社製):2−エチルヘキサン酸コバルト系触媒(約75質量%溶液)
・ニッカオクチックスCo8%(T)(日本化学産業社製):2−エチルヘキサン酸コバルト系触媒(約50質量%溶液)
・8%オクトープFe(ホープ製薬社製):2−エチルヘキサン酸鉄系触媒(約70質量%溶液)
・PA101(日本化学産業社製):金属石けん系触媒(約50質量%溶液)
・ニッカオクチックスMn8%(T)(日本化学産業社製):2−エチルヘキサン酸マンガン系触媒(約50質量%溶液)
表5の結果より、本発明に係る特定結合材はいずれも、施工時間を十分にとれるとともに、骨材と結合材とが均一に混合されるうえ、高い吸水率と圧縮強度が両立されていた。なかでも、ポリブタジエン系有機結合材の主剤として極性基を有するポリブタジエンを用いたもの(実施例3−6〜実施例3−10)は、施工時の臭気が少なくなることが確認された。
(実施例4−1〜実施例4−5)
下記表6に記載のポリブタジエン、架橋助剤、硬化触媒を下記表6に記載の含有量で、23℃において配合してポリブタジエン系有機結合材を得た。その後、骨材としての6号けい砂100質量部に対して、得られた結合材を2質量部添加し、混合した。
35℃において、各原料を混合した直後からその混合物が施工できなくなるまでの時間を施工効率(可使時間)とした。施工の可否については、金属スパーチュラでハンドリングすることで評価し、ハンドリングが不可になった時点を施工できない時点として評価した。結果を下記表6に示した。
表6の結果より、本発明に係る特定結合材はいずれも、35℃においても施工時間を十分にとれるとともに、骨材と結合材とが均一に混合され、気温の高い夏季でも効率よく使用できることがわかる。
このように、本発明の保水性舗装を形成するに際し、結合材の粘度を制御したり、架橋助剤、硬化触媒を使用したりすることで、施工性が向上し、優れた効果を奏する保水性舗装をより効率よく製造しうることが分かる。
(実施例5−1)
路盤14上に給水管〔商品名:レインバード社製ドリップラインXFシリーズ(XFD06−12−100)〕28を1.5m間隔に布設した。その後、実施例1−1で用いた混合物1により、同様にして多孔質保水層16を形成し、さらに、保水性ブロック(セラミックス製、比重1.85のブロック:サイズ200mm×100mm×厚さ60mm)24を配置して、図2に示すのと同じ層構成を有する保水性舗装26Aを作製した。
(実施例5−2)
実施例5−1と同様に給水管28を路盤14上に布設した。その後、路盤上に実施例1−1と同様にして得た混合物1を配置し、厚さが30mmとなるように表面を人力(コテ)で圧縮し、敷均し、厚さ30mmの多孔質保水層16を形成した。保水性ブロックを設けず、保水性舗装を作製した(保護層無し)。
(実施例5−3)
下層路盤14の上に路盤材(RC40〜0)へ微粒珪砂10%質量を混合した保水性路盤32を150mm敷均し、コンバインドローラで締固め転圧した。その後は、実施例1−1と同様にして多孔質保水層16と保水性ブロック24とを設け、保水性舗装30を作製した。
(比較例5−1)
路盤上に防水性を高めアスファルト混合物層とのなじみをよくするため、アスファルト乳剤PK−3(プライムコート)を散布した。その後、アスファルト混合物(密粒度アスコン骨材TOP13mm)を厚さ50mm敷均し、コンバインドローラで締固め転圧し、比較例5−1の舗装を作製した。
(舗装表面の温度評価)
下記表7に示す条件で給水を行い、実施例1−1、実施例5−1〜実施例5−3、及び比較例5−1の舗装の表面温度を4日間測定し、温度低減効果を確認した。表面温度は、熱電対で測定した。測定日毎の最高温度の下記表8に示す。なお、測定期間中の降雨はなかった。
表8に明らかなように、実施例の保水性舗装は、いずれも、アスファルト混合物を用いた比較例5−1よりも舗装表面の温度低減効果に優れ、実用上問題のないレベルであることがわかる。
また、実施例1−1と実施例5−1及び実施例5−2との対比より、給水管を設けて毎日給水することにより温度低減効果を長期間維持できることが分かる。また、実施例1−1と実施例5−3との対比より、保水性路盤を設けた保水性舗装は、通常路盤上に多孔質保水層を設けた保水性舗装に比べて、温度低減効果が長期間維持された。
10、26、30 保水性舗装
12 路床
14 路盤
16 多孔質保水層
18 ポリブタジエン系有機結合材(特定結合材)
20 骨材
22 空隙
24 保水性ブロック(保水性保護層)
28 給水管
29 遮水シート
32 保水性路盤

Claims (10)

  1. AMERICAN FOUNDRY SOCIETY 粒度指数が5以上180以下である骨材をポリブタジエン系有機結合材で結合してなる多孔質保水層を備えた保水性舗装。
  2. 前記ポリブタジエン系有機結合材を、前記骨材100質量部に対して0.5質量部以上8.0質量部以下含有する請求項1に記載の保水性舗装。
  3. 前記ポリブタジエン系有機結合材の、23℃における粘度(BH型粘度計、No.7ローター、10回転)が、10万mPa・s以下である請求項1又は請求項2に記載の保水性舗装。
  4. 前記ポリブタジエン系有機結合材が、分子内に極性基を有するポリブタジエンを含有する請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の保水性舗装。
  5. 前記ポリブタジエン系有機結合材が、さらに、シラン系架橋助剤を、該有機結合材全不揮発分の0.1質量%以上20質量%以下、及び、硬化触媒を、該有機結合材全不揮発分の0.001質量%以上5.0質量%以下含有する請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の保水性舗装。
  6. 路盤上に、前記多孔質保水層と保水性を有する保護層とをこの順に備える請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の保水性舗装
  7. 前記多孔質保水層中に、該多孔質保水層に水を給水する給水管を備える請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の保水性舗装。
  8. 前記路盤が、粒径0.1mm以下の微粒材を10質量%以上30%質量以下含有する保水性路盤である請求項6又は請求項7に記載の保水性舗装。
  9. AMERICAN FOUNDRY SOCIETY 粒度指数が5以上180以下である骨材100質量部に対し、ポリブタジエン系有機結合材を0.5質量部以上8.0質量部以下含有する混合物を混練する混合物調製工程と、混練された混合物を路盤上に敷均す工程と、該混合物中のポリブタジエン系有機結合材を硬化させて多孔質保水層を形成する工程とを含む保水性舗装の製造方法。
  10. 前記混合物調製工程が、前記骨材及び前記ポリブタジエン系有機結合材に、さらに減粘剤を添加して混練する工程を含む請求項9に記載の保水性舗装の製造方法。
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