JP2012137620A - 照明装置および光散乱性制御装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】光源から出射される光の照明装置からの出かたを直射状態から散乱状態の間で調節でき、さらに、直射状態の光を照射する際に、その光が照明装置からの出射角度によらず散乱しにくい照明装置を提供する。
【解決手段】液晶素子3は、液晶と硬化物とを含有し、液晶/硬化物複合体層が透明な一対の電極付き基板間に挟持され、印加する電圧に応じて、光透過状態と、光散乱状態と、光透過状態と光散乱状態との中間的な状態をとり、透過状態のときに光源1の光が斜め方向から入射してもその光が散乱しにくい。駆動回路4は、液晶/硬化物複合体層に印加する電圧を調節する。
【選択図】図1
【解決手段】液晶素子3は、液晶と硬化物とを含有し、液晶/硬化物複合体層が透明な一対の電極付き基板間に挟持され、印加する電圧に応じて、光透過状態と、光散乱状態と、光透過状態と光散乱状態との中間的な状態をとり、透過状態のときに光源1の光が斜め方向から入射してもその光が散乱しにくい。駆動回路4は、液晶/硬化物複合体層に印加する電圧を調節する。
【選択図】図1
Description
本発明は、光の散乱性を電気的に制御できる照明装置および光散乱性制御装置に関する。
一般に、照明を使用する環境や状況によって、照明器具(灯具などとも呼ばれる)の明るさ、色味(色温度)、光の出かた(以下、光の散乱性と記す。)などが選択される。
照明器具の明るさは、取り付ける光源の種類、大きさ(定格やワット数)、個数などにより選択される。また、調光器を具備する照明器具を選択して使用すれば、光の明るさを調節することができる。
照明器具の色味(色温度)は、例えば、光源を選択することで調節できる。電球を選択すれば、タングステン電極の白熱光で赤みがかった色味(色温度)となる。また、蛍光灯の場合であれば、照明器具の色味(色温度)は、昼光色、電球色などから選択することができる。また、LED(Light Emitting Diode)照明において調色機能を具備した照明器具が知られるようになっているため、このような照明器具を選択して使用すれば、色味を昼光色から電球色の間で調節することもできる。
照明器具から照射される光の散乱性は、例えば、リフレクタなどの反射鏡や、照明器具の覆い(例えば、笠など)を用いることにより調節できる。光の出かた(すなわち、光の散乱性)を調節することで、直射光や散乱光などを選択することができるようになる。
一方、近年商品化が進んでいるLED照明の光源は、1辺数百ミクロン程度の角柱状で、かつ、高輝度のまぶしさ感(ギラギラ感)を有する。このギラギラ感を緩和するために、光を散光する材料の覆いは必須となる。
明るさ、色味を調節可能する照明器具は前記のような例があるが、光の出かたを可変とする方法は少ない。懐中電灯などに、リフレクタ(反射鏡、反射板)やレンズと光源との位置関係を機械的に変えて集光性を変えるもの、光の散乱性についてはディフューザ(光を散乱する板)の取り付け・取り外し、移動などによる切り替えを可能にしたものがあるが、光の散乱性を調節可能にしたものは少ない。
LED照明の光の散乱性を調節する試みが、特許文献1に記載されている。特許文献1に記載された方法では、発光ダイオードからの光放射側に高分子分散型の液晶調光シャッタを設け、この液晶調光シャッタの光散乱特性を用いて、発光ダイオードからの強い発光を和らげている。
しかし、特許文献1に記載された高分子分散型液晶シャッタには、図12に示すように、樹脂中に液晶で構成された粒子状ドメインを分散させたものを用いるのが一般的であり、通常、電圧を印加しない状態で光散乱状態になる(図12参照)。
特許文献1に記載された高分子分散型液晶シャッタは、電圧を印加することによって、分散粒子中の液晶配向軸が一方向に制御されることで電界方向からみた液晶と周囲の樹脂の屈折率がほぼ等しくなり、電界方向に一致する方向で入射した光は液晶と樹脂の界面での反射を受けず、電界方向から見て透明となる。しかしながら、電圧印加時に、電界方向に一致しない方向からみると、液晶と樹脂の屈折率は一致しないので、電界方向に一致しない方向で入射した光は液晶と樹脂の界面で反射および屈折を受ける。したがって、当該液晶調光シャッタを斜め方向からみると、光散乱状態に見える(図13参照)。前記の高分子分散型液晶シャッタでは、LEDのような点光源からの光のうち、同シャッタに斜めに入射する光は散乱され、その直射性を有効に利用できない。
さらに、特許文献1に記載された高分子分散型液晶シャッタでは、液晶中に蛍光体を分散させているため、これも光源からの光を散乱させることになり、光源の直射性が有効に利用できない。
上述するように、LEDを光源とする照明(LED照明)は、光源からの光が直接目に入った場合、点光源のまぶしさ感(ギラギラ感)がある。一般の照明用途としては、このギラギラ感を緩和するために適当な光散乱材料で覆いを設けるなどの措置が取られている。しかしながら、たとえば、作業を行う手元を明るく照らしたい場合には、LEDから直射する強い光を取り出すことが望まれることもある。
前記のLED照明で光の散乱性を調節可能とすることができれば、被照射物のコントラストを上げて細かいモノを見たい場合はLEDチップから出てくる光を直接そのまま利用し、読書や食事、あるいはテレビを見るときなど、被照射面からの強い反射を嫌う場合はLEDチップから出てくる光を散乱させて利用するなど、照明としての応用が広がる。
すなわち、LED照明において、光の散乱性を可変とし、任意に調節できれば、上記のように照明器具から直射光を取り出して、被照明物体に強い明暗比、強い陰影を与えたり、光を散乱させて取り出して、柔らかい光で影を弱くしたり、広い範囲を照明したりすることができるようになる。
さらに、調光機能付きあるいは調色機能付きのLED光源に用いれば、散乱性に加えて明るさも色味も制御できることになる。なお、光源は必ずしもLEDでなくとも、電球、アーク球などの点状に近い形状の光源であればよく、その他光の散乱性を調節したい照明装置であれば応用できる。
そこで、本発明は、光源から出射される光の照明装置からの出かたを直射状態から散乱状態の間で調節でき、さらに、直射状態の光を照射する際に、その光が照明装置からの出射角度によらず散乱しにくい照明装置および光散乱性制御装置を提供することを目的とする。
本発明による照明装置は、少なくとも1つ以上の光源と、液晶/高分子複合体層が透明な一対の電極付き基板間に挟持され、印加する電圧に応じて、光透過状態と、光散乱状態と、光透過状態と光散乱状態との中間的な状態をとり、透過状態のときに光源の光が斜め方向から入射してもその光が散乱しにくい液晶素子と、液晶/高分子複合体層に印加する電圧を調節する駆動回路とを備えたことを特徴とする。
液晶素子は、液晶とその液晶に溶解可能な硬化性化合物とを含有する組成物に対してその硬化性化合物の総量が0.1質量%以上20質量%以下である組成物を硬化させて形成されることが望ましい。
本発明による照明装置は、前記特徴に加え、光源からの光線が前記液晶素子に効率よく入射するように、光源の周囲に反射鏡(あるいは反射笠)を具備してもよい。
本発明による照明装置には、LED、あるいは、白熱電球、アーク電球などの、蛍光灯などより発光部体積が小さい光源を用いることが望ましい。
本発明による光散乱性制御装置は、液晶/高分子複合体層が透明な一対の電極付き基板間に挟持され、印加する電圧に応じて、光透過状態と、光散乱状態と、光透過状態と光散乱状態との中間的な状態をとり、透過状態のときに光源の光が斜め方向から入射してもその光が散乱しにくい液晶素子と、液晶/高分子複合体層に印加する電圧を調節する駆動回路とを備えたことを特徴とする。
本発明によれば、光源から出射される光の散乱性を直射状態から散乱状態の間で調節でき、さらに、直射状態の光を照射する際にその光が照明装置からの出射角度によらず散乱しにくくできる。
以下、本発明の実施形態を図面を参照して説明する。図1は、本発明による照明装置の実施の形態を示すブロック図である。図1に例示する照明装置10は、光源としてのLED1と、LED1から出射された光を反射する略ドーム状の反射鏡2とを備え、さらに、反射鏡2の開口部前面には、外部からの信号等に基づく透明電極への電圧印加の有無によって光透過状態と光散乱状態をとることができる液晶素子3が設けられている。また、液晶素子3には、駆動回路4が接続される。以下、液晶素子3と駆動回路4をまとめて、光散乱性制御装置と記す。
また、図1に示す例では、LED1は、略ドーム状の反射鏡の中央に配置される。すなわち、LED1からの光が直接液晶素子2に入射すると同時に、略ドーム状の反射鏡方向にでた光は反射され液晶素子2に入射し、照明として有効に利用できる。なお、LED1は、1個のLEDであってもよく、複数個のLEDであってもよい。以下、本実施形態では、LED1が1個のLEDである場合について説明する。
液晶素子3において、光散乱状態に制御する領域には、透明電極が形成される。透明電極は、駆動回路4によって駆動される。具体的には、駆動回路4は、透明電極に所定の電位を設定する。駆動回路4は、電極の電位を制御するドライバなどにより実現される。なお、駆動回路4が印加する電圧は、例えば、利用者等により状況に応じて調整される。
図2は、照明装置10における液晶素子3の一構成例を示す模式的断面図である。図2において、一対の基板101,108の相対する面には、透明電極102,107が設けられる。さらに内側には配向膜103,106が設けられる。そして、配向膜103,106の間に、液晶を含み、スペーサ(図示せず)によって厚みが制御された液晶層104が挟持される。そして、シール層105によって液晶層104が封止される。
基板101,108の材質は、透明性が確保できれば特に限定されない。基板101,108として、ガラス基板やプラスチック基板を使用することができる。また、液晶素子3の形状は、平面状である必要はなく湾曲していてもよい。
また、基板101,108上に設けられる透明電極102,107として、ITO(酸化インジウム−酸化錫)のような金属酸化物などの透明な電極材料を使用することができる。以下、透明電極102,107が設けられた基板101,108を電極付き基板という。
光透過状態と光散乱状態をとることができる液晶層104は、透明な一対の電極付き基板間に、液晶とその液晶に溶解可能な硬化性化合物とを含有する組成物(以下、未硬化組成物ともいう)を挟持させ、熱や紫外線、電子線などの手段を用いて硬化性化合物を硬化させて形成される液晶層であることが好ましい。このような液晶と硬化性化合物との複合体からなる液晶を、以下、液晶/高分子複合体ともいう。このような未硬化組成物を使用することで、透過状態のとき、正面方向だけでなく、斜め方向からみてもヘイズ値を低く抑えることができる。
液晶/高分子複合体に用いる液晶としては、誘電異方性が正でも負でもよいが、透過状態と光散乱状態の切り替えに要する応答時間を短くするためには、液晶の粘度が低く、さらに誘電異方性が負の液晶を用いることが好ましい。なお、液晶として硬化性ではない化合物が使用される。また、硬化性化合物は液晶性を有していてもよい。
誘電率異方性が負の液晶を使用する場合には、電極付き基板において、液晶層104と接触する側に液晶分子のプレチルト角が基板表面に対して60度以上であるようにする処理が施されていると、配向欠陥を少なくすることができ、透明性が向上するため好ましい。この場合、ラビング処理を施さなくてもよい。プレチルト角は70度以上であることがより好ましい。なお、プレチルト角を、基板表面に垂直の方向を90度として規定する。
液晶層104を形成する液晶/高分子複合体を構成する液晶として、公知の液晶から適宜選択できる。配向膜103,106により未硬化組成物のプレチルト角を制御することができる電極付き基板を用いることによって、誘電率異方性が正の液晶も誘電率異方性が負の液晶も使用可能であるが、より高い透明性や応答速度の面では誘電率異方性が負の液晶が好ましい。配向膜にラビング処理を施すこともできる。また、駆動電圧を低下させるためには誘電率異方性の絶対値が大きい方が好ましい。
また、液晶/高分子複合体を構成する硬化性化合物も透明性を有することが好ましい。さらに、硬化後に、電圧を印加したときに液晶のみが応答するように液晶と硬化性化合物とが分離していると、駆動電圧を下げることができるので好ましい。
本発明では、液晶に溶解可能な硬化性化合物のうち、未硬化時の液晶と硬化性化合物との混合物の配向状態を制御可能であって、硬化する際に高い透明性を保持することができる硬化性化合物が使用される。
硬化性化合物として、式(1)の化合物や式(2)の化合物を例示できる。
A1−O−(R1)m―O―Z―O―(R2)nO―A2 ・・・式(1)
A3−(OR3)o―O―Z’―O―(R4O)p―A4 ・・・式(2)
A1−O−(R1)m―O―Z―O―(R2)nO―A2 ・・・式(1)
A3−(OR3)o―O―Z’―O―(R4O)p―A4 ・・・式(2)
ここで、A1,A2,A3,A4のそれぞれは、独立的に、硬化部位となるアクリロイル基、メタクリロイル基、グリシジル基またはアリル基であり、R1,R2,R3,R4のそれぞれは、独立的に、炭素数2〜6のアルキレン基であり、Z,Z’のそれぞれは、独立的に、2価のメソゲン構造部であり、m,n,o,pのそれぞれは、独立的に、1〜10の整数である。ここで、「独立的に」とは、組み合わせが任意であって、どのような組み合わせも可能であることを意味する。
式(1)および式(2)におけるメソゲン構造Z,Z’と硬化部位A1,A2,A3,A4との間に、R1,R2,R3,R4を含む分子運動性の高いオキシアルキレン構造を導入することによって、硬化時に、硬化過程において硬化部位の分子運動性を向上でき、短時間で十分に硬化させることが可能になる。
式(1)および式(2)における硬化部位A1,A2,A3,A4は、光硬化や熱硬化が可能な上記の官能基であればいずれでもよいが、なかでも、硬化時の温度を制御できることから光硬化に適するアクリロイル基、メタクリロイル基であることが好ましい。
式(1)および式(2)におけるR1,R2,R3およびR4の炭素数については、その分子運動性の観点から1〜6が好ましく、炭素数2のエチレン基および炭素数3のプロピレン基がさらに好ましい。
式(1)および式(2)におけるメソゲン構造部Z,Z’として、1,4−フェニレン基の連結したポリフェニレン基を例示できる。1,4−フェニレン基の一部または全部を1,4−シクロへキシレン基で置換したものであってもよい。また、1,4−フェニレン基や置換した1,4−シクロへキシレン基の水素原子の一部または全部が、炭素数1〜2のアルキル基、ハロゲン原子、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基などの置換基で置換されていてもよい。
好ましいメソゲン構造部Z,Z’として、1,4−フェニレン基が2個連結したビフェニレン基(以下、1,4−フェニレン基が2個連結したビフェニレン基を4,4−ビフェニレン基ともいう。)、3個連結したターフェニレン基、およびこれらの水素原子の1〜4個が、炭素数1〜2のアルキル基、フッ素原子、塩素原子またはカルボキシル基に置換されたものを挙げることができる。最も好ましいものは、置換基を有しない4,4−ビフェニレン基である。メソゲン構造部を構成する1,4−フェニレン基または1,4−シクロへキシレン基同士の結合は全て単結合でもよいし、以下に示すいずれかの結合でもよい。
式(1)および式(2)におけるm,n,o,pは、それぞれ独立的に、1〜10であることが好ましく、1〜4がさらに好ましい。あまり大きいと液晶との相溶性が低下し、硬化後の電気光学素子の透明性を低下させるからである。
図3に、本発明において使用できる硬化性化合物の例を示す。液晶と硬化性化合物とを含有する組成物は、式(1),(2)で表される硬化性化合物を含め、複数の硬化性化合物を含有していてもよい。例えば、未硬化組成物に、式(1)および式(2)においてm,n,o,pの異なる複数の硬化性化合物を含有させると、液晶との相溶性を向上させることができる場合がある。
液晶と硬化性化合物とを含有する組成物は硬化触媒を含有していてもよい。光硬化の場合、ベンゾインエーテル系、アセトフェノン系、フォスフィンオキサイド系などの一般に光硬化性樹脂に用いられる光重合開始剤を使用できる。熱硬化の場合は、硬化部位の種類に応じて、パーオキサイド系、チオール系、アミン系、酸無水物系などの硬化触媒を使用でき、また、必要に応じてアミン類などの硬化助剤を使用することもできる。
硬化触媒の含有量は、含有する硬化性化合物の20重量%以下が好ましく、硬化後に硬化樹脂の高い分子量や高い比抵抗が要求される場合は0.1〜5重量%とすることがさらに好ましい。
硬化性化合物の総量は、未硬化組成物に対して0.1〜20質量%であることが好ましい。0.1質量%未満では、液晶層を硬化性化合物により効果的な形状のドメイン構造に分割することができず、所望の透過−散乱特性を得ることができない。一方、20質量%を越えると、一般的な高分子分散型液晶素子と同様に透過状態でのヘイズ値が増大しやすくなる。また、さらに好ましくは、未硬化組成物中の硬化性化合物の含有率が0.5〜15質量%であり、光散乱状態での散乱強度を高く、透過−散乱が切り替わる電圧値を低くすることができる。
液晶分子を、基板表面に対してプレチルト角が60度以上になるように配向させる処理方法として、垂直配向剤を使用する方法がある。垂直配向剤を使用する方法として、例えば、界面活性剤を用いる方法や、アルキル基やフルオロアルキル基を含むシランカップリング剤などで基板界面を処理する方法、または日産化学工業社製のSE1211やJSR社製のJALS−682−R3等の市販の垂直配向剤を用いる方法がある。垂直配向状態から任意の方向に液晶分子が倒れた状態を作るためには、公知のどのような方法を採用してもよい。垂直配向剤をラビングしてもよい。また、電圧が基板101,108に対して斜めに印加されるように、透明電極101,107にスリットを設けたり、電極101,107上に三角柱を配置する方法を採用してもよい。また、特定方向に液晶分子を倒すような手段を用いなくてもよい。
二つの基板101,108間にある液晶層104の厚さを、スペーサ等で規定することができる。その厚さは1〜50μmが好ましく、3〜30μmがさらに好ましい。液晶層104の厚さが薄すぎるとコントラストが低下し、厚すぎると駆動電圧が上昇する傾向が増大するため好ましくない場合が多い。
シール層105として、透明性の高い樹脂であれば公知のどのようなものを使用することも可能である。透明性の高い樹脂を使用すれば、全面に亘って液晶素子の透明感を高めることができる。
以上のように作製された液晶素子3は、光透過状態と光散乱状態との間の応答時間が5msよりも短く非常に速い応答速度を実現することができる。また、一般的な高分子分散型液晶素子による透過散乱モードと比べると視野角依存性が良好であり、斜めから見たときにも非常に良好な透過状態を得ることができるようにすることができる。例えば、上記の液晶/高分子複合体を使用した場合、垂直から40度傾けて見た場合もほとんどヘイズがないようにすることができる。
液晶素子3のサイズとして、対角線の長さが1cm程度のものから3m程度の大きいものを含め、どのようなサイズのものも使用することができる。
照明装置10において、液晶素子3を複数枚用いてもよい。また、液晶素子3に対する耐衝撃性を増すために、上下の基板101,108を固定させてもよい。
液晶素子3の表裏の表面には、反射防止膜または紫外線遮断膜を設けることが好ましい。例えば、液晶素子3の表裏に、SiO2やTiO2などの誘電体多層膜よりなるARコート(低反射コート)処理を施すことにより、基板表面での外光の反射を減らすことができ、コントラストをより向上させることができる。
上述する液晶素子3において、透明電極102,107に電位が設定されると、透明電極間の液晶に、その電位差に相当する電圧が印加されることになる。図4は、上記のように作製された液晶素子3の印加電圧(実効値)に対する透過率を示す説明図である。
図4に例示するグラフの実線は、本発明で用いられる液晶素子3について集光角5°のシュリーレン光学系による透過率の電圧依存性を測定した結果を示す。また、図4に例示するグラフの破線は、本発明で用いられる液晶素子3の全透過率を測定した結果を示す。ここで、図4に例示する各透過率の測定方法について説明する。
図5は、シュリーレン系光学系測定器の構成例を示す説明図である。図4に例示するグラフの実線は、図5に例示する測定器を用いて測定した、集光角5°のシュリーレン光学系における透過率の電圧依存性変化である。
具体的には、液晶素子(以下、サンプルと記すこともある。)が透過状態のときの光強度T0と、透過状態でない時の光強度Tとの比T/T0を算出することで、光散乱の程度を測定する。なお、本測定において、サンプルを入れずに測定した光強度をT0としている。
図5に例示するシュリーレン系光学系測定器において、光源から出射された光は、Lens1でコリメートされ、その光がサンプルを通過する際に散乱を受ける。散乱角5°(±2.5°)以上に拡散した光は、Aperture(絞り)で遮られて、ディテクター到達しない。すなわち、本測定法では、サンプルにより散乱された光のうち、散乱角5°以上の光は検出器に入らないため、散乱の度合いが大きいと透過率が低くなる。
本発明における液晶素子の透過状態(すなわち、電圧印加ゼロ)で透過率を測定した結果、ガラス基板2枚の2面の空気とガラスの界面の反射、ガラスと液晶材料の界面の反射と液晶材料に起因する吸収の影響で、透過率は83%であった。この状態から、液晶素子に駆動周波数200Hzの矩形波で電圧値を上げていくと、印加電圧10Vから光散乱が発生し、40Vでほぼ散乱特性が飽和する。
以上のように、液晶素子3は、光透過状態と光散乱状態をとることができる液晶層104に所定の電圧(例えば、60V)が印加されているときに光散乱状態となり、液晶層104に対して電圧無印加のときに光透過状態となる。また、印加電圧(実効値)が0Vと60Vとの中間的な値(例えば、18V〜35V程度)であるときに、液晶素子3は、光透過状態と光散乱状態との中間的な状態(中間状態)をとる。
また、図6は、全透過率を測定する際に利用される積分球の例を示す説明図である。図4に例示するグラフの破線は、図6に例示する測定器を用いて測定した、本発明における液晶素子の全光線透過率である。
図6に例示する積分球を用いる測定法では、液晶素子の光出射面に可視光用の積分球の計測窓を接して、液晶素子を透過した光をすべて検出器に導くことにより、全透過率を測定する。ここでも、液晶素子を設置せずに測定した場合の透過率T0と、透過状態でない時の光強度Tとの比T/T0を全透過率とする。
図4に示すように、本発明における液晶素子3では、電圧印加により全光線透過率の若干の低下が観測されるが、液晶素子に入射した光のほとんどが素子前面に出射していることがわかる。以上のことから、図4に示すように、本発明による液晶素子は、光の散乱性を印加電圧により制御できるとともに、全光線透過率を高くすることができる。
なお、以下の説明では、所定の電圧を印加したときに光散乱状態になり、電圧無印加のときに光透過状態になる液晶素子3を用いる場合について説明する。ただし、液晶素子3として、所定の電圧を印加したときに光透過状態になり、電圧無印加のときに光散乱状態になる素子を用いてもよい。また、液晶素子3(より具体的には、液晶層104)に電圧を印加するタイミング、及び電圧を無印加にするタイミングは、LED1を点灯させるタイミングと連動させる必要はない。
図7は、液晶素子3の状態に応じて照射される光の状態を示す説明図である。液晶素子3が光透過状態にあるとき、図7(a)に例示するように、LED1から出射された光は、ほとんどそのまま液晶素子3を透過し、直進する強い光として照射される。一方、液晶素子3が光散乱状態にあるとき、図7(b)に例示するように、LED1から出射された光は、液晶素子3によって散乱され、和らげられた光として照射される。
次に、前記の液晶素子が透過状態のときの光散乱が少ないという特徴について説明する。具体的には、光源からの光が本発明における液晶素子に対して垂直ではなく角度をつけて入射しても光散乱を少なくできる。すなわち、本発明における液晶素子は、透過状態のときに光源の光が斜め方向から入射してもその光が散乱しにくい。
透過状態のときの光散乱が少ないことを説明するため、島津製作所製分光光度系SolidSpec−3700DUVに可変角測定装置を取り付けて、液晶素子の透過特性の角度依存性の測定を行った。図8は、透過状態における透過率の入射角度依存性を評価する装置の例を示す説明図である。本発明の液晶素子には電圧を印加していない透明状態で、一般的な高分子分散型液晶素子には200Hz,30Vの電圧を印加した透過状態で、それぞれの素子を図8に例示する装置に配置した。その後、それぞれの素子に、波長540nmの光を照射して測定を行った。
具体的には、まず、素子の垂線方向と入射光との角度φ=0°として透過状態の素子を配置し、この状態から、角度φを増加させるように素子を回転させて分光測定を行った。そして、波長540nmにおける素子正面(φ=0°)の透過率をToとし、各角度になるように素子を回転させた時の透過率をTとして相対透過率T/Toを算出した。図9は、角度ごとに算出した相対透過率の例を示す説明図である。
図9に例示するように、本発明の液晶素子では、光の入射角φ=60°程度まで斜めになってもおよそ90%程度以上の高い透過率を保っているのに対して、一般的な高分子分散型液晶素子では光の入射角がφ=20°以上になると相対透過率T/Toの低下が観測される。さらに入射角が60°の状態では、高分子分散型液晶素子では、透過状態であっても相対透過率が50%程度にまで減少する。これは、高分子分散型液晶が透過状態であっても、光の入射角が斜めになるほど散乱が大きくなって透過率が低下することを示している。
一般的な高分子分散型液晶では、電圧印加時に液晶分子が電界方向に配向するに際して、電界方向において液晶の屈折率と周りを囲む硬化物との屈折率が一致するように高分子材料が選択される。一方、電界方向と垂直の方向から見ると、高分子材料は光学的に等方性であるので屈折率は前記の電圧印加方向となんら変わることがないが、電圧印加されて電界方向に配向した液晶分子は屈折率異方性を持つために、前記の電界方向とは異なる屈折率を示す。そのため、電圧印加時に電界方向とは異なる方向においては、必ず高分子材料と液晶材料の屈折率差が生じ、液晶と高分子との界面で散乱および反射が起こるので、必然的に光が散乱される。
一方、本発明における液晶素子は、硬化性化合物の総量を未硬化組成物に対して0.1〜20質量%、さらに好ましくは0.5〜15質量%と低くすることにより、液晶層を硬化物により所望の透過・散乱特性を得るのに効果的な形状のドメイン構造に分割できると同時に、液晶と硬化物との界面が少なくなっている。その結果、従来の液晶/高分子複合体とは異なり、透過状態において光の入射角度を振っても光の透過性はほとんど変わらないようにすることができる。具体的には、本発明における液晶素子では、入射角が60°の状態であっても、少なくとも90%以上の相対透過率を維持できる。すなわち、一般的な高分子分散型液晶素子は、透過状態であっても、斜め方向から観察するほど濁って(光を散乱して)見えるのに対して、本発明による液晶素子は、光源の直射光(直射性)を有効に利用できる。
このように、本発明による光散乱性制御装置を用いることで、照明器具からの光の出かた、特に、光の散乱性を調節することを可能とした。具体的には、前記の高分子分散型液晶素子では光源の直射性を有効に利用することが困難だったが、本発明の光散乱性制御装置を組み込むことで、光の散乱がどの方向からみてもほとんどない状態から広く散乱する状態までの広い範囲での調節を可能とした。そのため、光透過時には、光源から光をよりすっきりと透過させ、光散乱時には散乱性を高く、かつ、全透過率を高くすることができる。
次に、本実施形態の変形例について説明する。図10は、本発明による照明装置の変形例を示すブロック図である。図10に例示する照明装置20は、光源としての複数のLED1と、LEDから出射された光を反射する略コ型状の反射鏡2とを備え、さらに、反射鏡2の開口部前面に光透過状態と光散乱状態をとることができる液晶素子3が設けられている。また、液晶素子3には、駆動回路4が接続される。図10に示す例では、複数のLED1は、それぞれ、略コ型状の反射鏡2の底面に配置される。
また、図10(a)は、液晶素子が光透過状態であるときにLED1から出射する光線の軌跡の例を示している。LED1から左方向に向けて伸びている太矢印は、LED1から直進する光を示しており、実線で示される矢印は、LED1から出射された直進する光以外の光を示す。図10(b)は、液晶素子が光散乱状態であるときにLED1から出射する光線の軌跡の例を示している。液晶素子を通過した光は概略、破線のように散乱を受ける。
図11は、液晶素子3の状態に応じて照射される光の状態を示す説明図である。液晶素子3が光透過状態にあるとき、図11(a)に例示するように、複数のLED1からそれぞれから出射された光は、そのまま液晶素子3を透過し、直進する強い光として照射される。一方、液晶素子3が光散乱状態にあるとき、図10(b)および図11(b)に例示するように、複数のLED1から出射された光は、それぞれ液晶素子3によって散乱され、和らげられた光として照射される。さらに、この場合、各LEDを中心とした同心円状のグラデーションをなす複数の光が照射されるため、視認したときの美感をより高めることができる。
なお、図11では、複数のLED1から出射される全ての光を液晶素子3で散乱させる場合について例示しているが、一部のLED1から出射される光のみを液晶素子3で散乱させるようにしてもよい。この場合、液晶素子3において、光散乱状態に制御する領域として形成する透明電極を、LED1から照射される光が通過する範囲(より具体的には、各LED1から照射される光が通過する範囲ごと)に形成すればよい。
この場合、一部のLED1から出射される光は、常に直進する光として利用し、他のLED1から出射される光は、状況に応じて変化させて利用するといったことが可能になる。
以上のように、本変形例では、液晶素子3には、LED1から照射される光が通過する範囲に電極が形成される。具体的には、各LED1から照射される光が通過する範囲ごとに電極が形成される。そして、駆動回路4が、その電極に電位を設定することにより電極間の液晶層に電圧を印加する。したがって、上記実施形態の効果に加え、液晶素子3は、複数の光源から出射される光の散乱を個々に制御できるため、視認したときの美感をより高めることができる。
本発明は、光の散乱性を電気的に制御できる照明装置に好適に適用される。
1 LED
2 反射鏡
3 液晶素子
4 駆動回路
101,108 ガラス基板
102,107 透明電極
103,106 配向膜
104 液晶層
105 シール層
2 反射鏡
3 液晶素子
4 駆動回路
101,108 ガラス基板
102,107 透明電極
103,106 配向膜
104 液晶層
105 シール層
Claims (5)
- 少なくとも1つ以上の光源と、
液晶/高分子複合体層が透明な一対の電極付き基板間に挟持され、印加する電圧に応じて、光透過状態と、光散乱状態と、光透過状態と光散乱状態との中間的な状態をとり、前記透過状態のときに前記光源の光が斜め方向から入射しても当該光が散乱しにくい液晶素子と、
前記液晶/高分子複合体層に印加する電圧を調節する駆動回路とを備えた
ことを特徴とする照明装置。 - 前記液晶素子は、液晶と当該液晶に溶解可能な硬化性化合物とを含有する組成物に対して当該硬化性化合物の総量が0.1質量%以上20質量%以下である組成物を硬化させて形成される
請求項1記載の照明装置。 - 光源の周囲に反射鏡を備えた
請求項1または請求項2記載の照明装置。 - 光源には、LED、または、蛍光灯より発光部体積が小さい光源が用いられる
請求項1から請求項3のうちのいずれか1項に記載の照明装置。 - 液晶/高分子複合体層が透明な一対の電極付き基板間に挟持され、印加する電圧に応じて、光透過状態と、光散乱状態と、光透過状態と光散乱状態との中間的な状態をとり、前記透過状態のときに光源の光が斜め方向から入射しても当該光が散乱しにくい液晶素子と、
前記液晶/高分子複合体層に印加する電圧を調節する駆動回路とを備えた
ことを特徴とする光散乱性制御装置。
Priority Applications (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP2010290001A JP2012137620A (ja) | 2010-12-27 | 2010-12-27 | 照明装置および光散乱性制御装置 |
Applications Claiming Priority (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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| JP2010290001A JP2012137620A (ja) | 2010-12-27 | 2010-12-27 | 照明装置および光散乱性制御装置 |
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| Publication Number | Publication Date |
|---|---|
| JP2012137620A true JP2012137620A (ja) | 2012-07-19 |
Family
ID=46675085
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| JP2010290001A Withdrawn JP2012137620A (ja) | 2010-12-27 | 2010-12-27 | 照明装置および光散乱性制御装置 |
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| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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-
2010
- 2010-12-27 JP JP2010290001A patent/JP2012137620A/ja not_active Withdrawn
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